
2023年12月に発売された「Lenovo Legion Go」は、まるでニンテンドーSwitchのように使える着脱式コントローラーを採用したことで、今なお注目されているポータブルゲーミングPCです。
このレビューでは、Legion Goがライバル機「ROG Ally X」とどのように違っているのか、CPU性能やバッテリー、ディスプレイ、操作性などの使い勝手を徹底比較・検証しました。
【先に結論からお伝えしましょう】
Lenovo Legion Go の長所(Pros):
- 8.8インチWQXGA(2560×1600)の大画面による圧倒的な没入感と視認性
- 着脱式コントローラーによる自由なプレイスタイルとFPSモード(マウス化)
- トラックパッド搭載による快適なWindowsデスクトップ操作
- 上下2つのUSB4ポートによる優れた拡張性と充電の利便性
- しっかりとしたキックスタンド内蔵で、追加アクセサリーなしで自立可能
Lenovo Legion Go の短所(Cons):
- 本体重量約854gと重く、長時間のハンドヘルドプレイは腕への負担が大きい
- 49.2Whrバッテリーのため、80Wh搭載のROG Ally Xと比較して駆動時間が短い
- メモリが16GB固定で、VRAM割り当て時にシステムメモリが不足する場合がある
- ネイティブポートレート液晶のため、一部の古いゲームで互換性の問題が出る可能性がある
総合評価:
Lenovo Legion Goは、Ryzen Z1 Extremeプロセッサを搭載した、高いパフォーマンスを発揮できるポータブルゲーミングPCです。ROG Ally Xのような軽快さやバッテリー持ちはありませんが、8.8インチの大画面と、まるでニンテンドー Switchのように使える着脱式コントローラーとトラックパッドによる操作性は、非常にユニークで今なお魅力的です。特に、自宅や外出先のテーブルでじっくりと腰を据えてゲームやPC作業を楽しみたいユーザーにおすすめします。
<この記事で分かること>
- デザイン: サイズ、重量、カラー、着脱式構造、キックスタンド、ROG Ally Xとのサイズ比較、付属品、ケース
- 操作性: Legion TrueStrikeコントローラー、設定、FPSモード(マウス化)、トラックパッド、ホール効果ジョイスティック、背面ボタン
- ディスプレイ: 8.8インチ、WQXGA (2560×1600)、144Hzリフレッシュレート、IPS液晶、DCI-P3 97%、ネイティブポートレート問題
- パフォーマンス: AMD Ryzen Z1 Extreme、ROG Ally Xとの処理能力比較、メモリ、増設、ストレージ、SSD交換、SDカード
- ベンチマーク: 3DMark (Time Spy, Fire Strike)、Geekbench 6、PCMark 10の実測スコア、CPU性能比較、グラフィック性能比較
- ゲーム性能: 『モンハン ワイルズ』、『サイバーパンク2077』、『原神』、『Apex Legends』、『Forza Horizon 5』の実測フレームレート(fps)
- バッテリー: 49.2Whr容量、AAAタイトルでの駆動時間、ROG Ally X (80Wh) とのスタミナ比較、急速充電
- オーディオ: 2.0Wステレオスピーカー、スマートAMP、マイク音質、コンボジャック
- 通信: Wi-Fi 6Eによる高速ダウンロード、クラウドゲーミング、Bluetooth 5.3接続、コントローラーの無線ペアリング
- ソフトウェアと機能: できること、Windows 11 Home、Steam、Legion Space、TDP設定、外部GPU (eGPU) 接続、外部モニター出力
- 比較: ROG Ally X
- スペック: 仕様詳細(Ryzen Z1 Extreme、16GBメモリ、512GB SSD、USB4ポートなど)
- 評価: 5段階評価、詳細な総評、おすすめユーザー、メリット・デメリット
- 価格: 購入先、Amazon、楽天、中古、ライバル機種との価格比較
この記事を最後まで読むことで、「Lenovo Legion Go」を購入するべきかどうかがはっきりと分かるはず。ROG Ally Xと比較してどちらが自分に合っているのか悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
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公式ページ : Lenovo Legion Go | 着脱式のコントローラーを採用した8.8型ハンドヘルドゲーミングPC | レノボ・ ジャパン
デザインと外観:Lenovo Legion Goの重厚なボディと拡張性
ここでは、Lenovo Legion Goのデザイン、サイズ感、インターフェース、そして付属品について、競合機であるROG Ally Xと比較しながら詳しく解説していきます。
質感とビルドクオリティ
まず手に取って圧倒されるのは、その巨大な8.8インチディスプレイを擁するボディの存在感です。カラーは「シャドーブラック」一色で統一されており、マットな質感が指紋を目立ちにくくし、大人のガジェットという高級感を醸し出しています。プラスチック素材が多用されていますが、ビルドクオリティは非常に高く、着脱式のコントローラー「Legion TrueStrike」の接合部にもガタつきは一切感じられません。
特に背面にあるキックスタンドは、無段階調整が可能で非常に安定しており、Surface Proのように机に立てて遊ぶ際に絶大な威力を発揮します。このキックスタンドの剛性感と利便性は、本体一体型ならではの強みだと感じました。
サイズと重量:ROG Ally Xとの比較
サイズと重量については、はっきりとした違いがあります。Lenovo Legion Goはコントローラー込みで約854gもあり、手に持つとずっしりとした重みを感じます。対するROG Ally Xは約678gと、前モデルから増量したとはいえ、Legion Goより170g以上も軽量です。実際に両機を持ち比べてみると、ROG Ally Xは「携帯ゲーム機」として持ち運べる範疇に収まっていますが、Legion Goは「持ち運べるゲーミングPC」といった印象で、長時間の手持ちプレイには覚悟が必要です。
バッグへの収まりやすさでも、幅が約298mmあるLegion Goはかなりのスペースを占有するため、持ち出す際は大きめのリュックが必須だと感じました。カラーに関しては、ROG Ally Xもブラックを採用したことで、両機ともに引き締まった印象になっています。
接続ポートの配置と利便性
接続ポートの配置に関しては、Legion Goに大きなアドバンテージがあります。本体の上部と下部の両方にUSB4ポートが1つずつ搭載されているのです。これにより、キックスタンドでテーブルに立てて遊ぶ際も、上部から給電したり、あるいは下部にドッキングステーションを接続したりと、ケーブルの取り回しが非常に柔軟に行えます。
一方で、ROG Ally XはUSB Type-Cポートが2つ(USB4とUSB3.2 Gen2)に増えましたが、どちらも本体上部に配置されています。拡張性はROG Ally Xも優秀ですが、上下にポートがあるLegion Goの方が、充電しながらのプレイや周辺機器の接続において、より自由度が高いと実感しました。
充実した付属品
付属品の充実度も見逃せないポイントです。Lenovo Legion Goには、しっかりとしたハードタイプのキャリングケースが標準で同梱されています。コントローラーを取り付けたまま収納でき、画面を保護するフラップも付いているため、購入後すぐに安心して持ち運ぶことができます。さらに、FPSモードで使用するコントローラードックも付属しています。
対してROG Ally Xは、簡易的なスタンドは付属するものの、専用ケースは別売りやキャンペーン特典となることが多く、標準では同梱されていません。高価なデバイスだけに、最初から専用ケースが付いてくる点は、Legion Goの大きなメリットだと言えます。
まとめ:デザイン
- 質感:マットなシャドーブラックで統一され、指紋が付きにくく高級感がある。
- 構造:着脱式コントローラーの接合部は強固で、無段階調整のキックスタンドが非常に便利。
- 重量比較:Legion Goは約854gと重く、約678gのROG Ally Xと比較すると長時間の保持は疲れやすい。
- ポート配置:Legion Goは上下にUSB4ポートがあり、上部のみのROG Ally Xよりケーブルの取り回しが柔軟。
- 付属品:Legion Goはハードケースが標準付属するが、ROG Ally Xは別売りまたは特典扱い。
操作性:Lenovo Legion Goの変幻自在なギミックと独自の操作感
ここでは、Lenovo Legion Goの最大の特徴である着脱式コントローラー「Legion TrueStrike」が生み出す多彩な操作モードと、実際の使い心地について、競合機ROG Ally Xとの違いを交えながら解説していきます。
Legion TrueStrike マルチモードの革新性
Lenovo Legion Goを触って最初に感動するのは、やはりコントローラーが着脱できるという点です。Nintendo Switchのように本体からコントローラーを取り外すラッチ機構はスムーズで、装着時のガタツキもなく、非常に高い一体感があります。本体重量は約854gと、約678gのROG Ally Xと比較すると明らかに重く、ハンドヘルドモードで長時間持ち続けるのは腕への負担が大きいです。
しかし、背面のキックスタンドを立ててコントローラーを分離する「デタッチャブルモード」に移行すれば、重さの問題は完全に解消されます。ROG Ally Xはコントローラー一体型であるため、テーブルに置いて遊ぶには別途スタンドやコントローラーを用意する必要がありますが、Legion Goはこの一台だけで、新幹線やカフェの狭いテーブルでもリラックスした姿勢で卓上プレイが可能です。
さらにユニークなのが、右コントローラーを専用のアダプタに装着してマウスのように使う「FPSモード」です。ジョイスティックを操縦桿のように握り、デスク上で滑らせる独自の操作感は、慣れるまで時間はかかるものの、コントローラーのスティック操作では難しい精密なエイミングを可能にします。キーバインドの設定は必要ですが、携帯機でFPSゲームをマウス操作に近い感覚で遊べるのは、ROG Ally Xにはない唯一無二の体験でした。
コントローラーのレイアウトとホールド感
コントローラーの基本的なレイアウトはXbox準拠ですが、人間工学に基づいたエルゴノミックデザインにより、グリップの形状は手のひらにしっかりとフィットします。ただ、ボタン配置に関しては少し慣れが必要だと感じました。特に「ビューボタン」や「メニューボタン」が左コントローラーの十字キーの下、かなり低い位置に配置されており、ゲーム中に親指を伸ばして押すのが窮屈です。
一方、ROG Ally Xはユーザーからのフィードバックを元にボタン配置が最適化されており、マクロボタンを小型化して誤爆を防ぐなど、純粋なコントローラーとしての完成度は一歩リードしている印象を受けました。Legion Goは背面ボタン(Y1/Y2/Y3/M3)や側面ボタンなど入力系統が非常に多いのがメリットですが、手の大きさによっては意図せず背面パドルを押してしまうことがあり、この点は好みが分かれるところでしょう。
ジョイスティック、ボタン、Dパッドの感触
ジョイスティックには、電磁気を利用した「ホール効果センサー」が採用されています。物理的な接点がないため摩耗に強く、長期間使用してもドリフト(勝手に動く現象)が起きにくいという安心感があります。ROG Ally Xも耐久性の高いスティックを採用していますが、Legion Goのスティックもデッドゾーンが少なく、反応性は非常に良好でした。
A/B/X/Yボタンのクリック感は軽快ですが、Dパッド(十字キー)に関しては、ROG Ally Xの方が格闘ゲームなどの斜め入力がしやすい形状に改良されており、操作精度が高いと感じました。Legion GoのDパッドはクリック感が浅めで、精密なコマンド入力には少し練習が必要かもしれません。
トリガーとショルダーボタン
トリガー(LT/RT)はアナログ入力に対応しており、レースゲームでのアクセル調整なども違和感なく行えます。ショルダーボタン(LB/RB)は指にフィットするように角が12度傾斜しており、自然に人差し指が掛かる設計になっています。ただ、ROG Ally Xと比較すると、クリック感がわずかに硬い印象を受けました。ROG Ally Xのトリガーは指吸い付きが良く、長時間の連射でも疲れにくい形状に進化しているため、純粋なトリガーの押し心地ではROG Ally Xに軍配が上がると感じました。
決定的な差を生むタッチパッドとマウスホイール
Windows搭載携帯機として、Lenovo Legion GoがROG Ally Xに対して圧倒的なアドバンテージを持っているのが、右コントローラーに搭載された「タッチパッド」と「マウスホイール」です。Windows 11のデスクトップ操作や、コントローラー非対応のゲームランチャーを操作する際、ROG Ally Xでは画面を直接タッチするか、スティックでマウスカーソルを動かす必要がありますが、細かいボタンをクリックするのはストレスが溜まります。
しかし、Legion Goならタッチパッドを使ってノートPCのように快適にカーソル操作ができ、右トリガー下のホイールでWebページのスクロールも直感的に行えます。『シヴィライゼーション』のようなストラテジーゲームや、細かな設定画面の操作において、このタッチパッドの有無は「Windows機としての使いやすさ」に決定的な差を生んでいました。
まとめ:操作性
- 操作性 :マルチモード:着脱式コントローラーとキックスタンドにより、本体の重さを感じさせない自由な卓上プレイが可能
- FPSモード:右コントローラーをマウス化する機能は独創的で、慣れれば高いエイミング精度を実現できる
- スティック:ホール効果センサー採用でドリフト耐性が高く、操作の反応性も良好
- ボタン配置:機能ボタンが多く便利だが、メニューボタンの位置が低く、ROG Ally Xに比べると誤操作しやすい場面がある
- Windows操作:タッチパッドとマウスホイールの搭載により、デスクトップ操作の快適さはROG Ally Xを圧倒している
ディスプレイ:Lenovo Legion Goの8.8インチがもたらす圧倒的な没入感とジレンマ
ここでは、携帯ゲーム機の常識を覆す8.8インチの大画面ディスプレイについて、その美しさと高解像度がもたらす実際のメリット・デメリットを詳しく見ていきます。
圧倒的なビジュアルインパクト
電源を入れた瞬間、目に飛び込んでくる8.8インチの大画面は圧巻の一言です。WQXGA(2560×1600ドット)という高解像度と、DCI-P3カバー率97%を誇る広色域により、色彩は非常に鮮やかで深みがあります。IPS液晶特有の視野角の広さもあり、どの角度から見ても色が破綻しません。
表面は光沢(グレア)仕上げで、映像の透明感を引き立てていますが、照明の下では多少の映り込みが気になりました。それでも、Corning® Gorilla® Glass 5に守られた画面は堅牢で、指で触れた時の安心感があります。この「画面の大きさと美しさ」だけで、所有欲が満たされる感覚を覚えました。
ROG Ally Xとの決定的な違い
競合であるROG Ally Xと比較すると、その違いは歴然としています。ROG Ally Xが一般的な7インチ(1920×1080)であるのに対し、Lenovo Legion Goは8.8インチと二回りほど大きく、解像度も約2倍の画素数を持っています。実際に『サイバーパンク2077』のような情報を多く表示するゲームをプレイした際、7インチでは潰れてしまいがちな小さなテキストやUIが、Legion Goではくっきりと視認できました。
また、アスペクト比が16:10であるため縦方向の情報量が多く、ゲームだけでなくウェブブラウジングや電子書籍を読む際にも窮屈さを感じさせません。ROG Ally Xの携帯性は魅力ですが、一度この大画面の没入感を体験してしまうと、7インチには戻れないほどのインパクトがあります。
リフレッシュレートと互換性の課題
リフレッシュレートに関しては、ROG Ally Xの120Hzに対し、Lenovo Legion Goは最大144Hzに対応しており、数値上はより滑らかな映像表現が可能です。ただし、AAA級の重いゲームをネイティブ解像度(2560×1600)かつ144fpsで動かすのは性能的に厳しく、実際には解像度を800pや1200pに落としてプレイすることが多かったです。
それでも、インディーゲームやデスクトップ操作時のヌルヌルとした動きは非常に快適です。輝度は両機種とも500nitsで、屋外の明るい場所でも十分な視認性を確保できています。一方で気になったのが、Legion Goがタブレット用の液晶を流用した「ネイティブポートレート(縦画面)」仕様である点です。古いゲームタイトルによってはフルスクリーン表示が正常に機能しないことがあり、この点ではネイティブランドスケープ(横画面)として動作するROG Ally Xの方が互換性の面で安心感がありました。
タッチ操作の快適性
10点マルチタッチ対応のスクリーンは反応が良く、スマートフォン感覚でスムーズに操作できます。Windows 11の操作は小さなボタンをタップする機会が多いですが、8.8インチの大画面のおかげで誤タップも少なく、ストレスフリーでした。
まとめ:ディスプレイ
- サイズと没入感:8.8インチの大画面は7インチのROG Ally Xを圧倒し、没入感と視認性が段違いに高い
- 画質:WQXGA解像度とDCI-P3 97%の色域により、映像は驚くほど鮮明で美しい
- リフレッシュレート:最大144Hzに対応し、軽量なゲームやシステム操作が非常に滑らか
- 互換性の課題:ネイティブポートレート液晶のため、一部の古いゲームで表示トラブルが起きる可能性がある
- 屋外視認性:500nitsの高輝度により、明るい環境でも画面が見やすい
- 実用性:16:10のアスペクト比はゲーム以外のPC作業やブラウジングでも快適さを提供する
パフォーマンス
ここではLenovo Legion Goのパフォーマンスについて、ベンチマーク、ゲーム性能、メモリとストレージ、発熱と冷却の4つに分けて詳細にレビューします。
ベンチマーク
Lenovo Legion Goの頭脳となるのは、モバイルゲーミングPC向けに設計されたAMDのAPU「Ryzen Z1 Extreme」です。これは、Zen 4アーキテクチャを採用した8コア16スレッドのCPUと、RDNA 3アーキテクチャのRadeonグラフィックスを統合した強力なプロセッサです。同じプロセッサは競合機であるROG Ally Xにも搭載されています。そのため、基本的な処理能力において両者は対等のポテンシャルを持っているといえます。
ベンチマーク結果は以下のようになっています。
【Lenovo Legion Goのベンチマーク結果】
<CPUのベンチマーク結果・AMD Ryzen Z1 Extreme>
- PassmarkのCPUベンチマークスコア「24669」
- Geekbench 6のシングルコア「2446」、マルチコア「12000」
- Cinebench R23 シングルコア「1707」、マルチコア「11439」
- Cinebench 2024 シングルコア「99」、マルチコア「643」
- PCMark 10 スコア「6792」(よく利用されるアプリの使用感を計測)
<GPUのベンチマーク結果・グラフィックスコア>
- Fire Strike グラフィックスコアで「7756」(DirectX 11)
- Fire Strike Extreme グラフィックスコアで「4095」
- Time Spy グラフィックスコアで「3219」(DirectX 12)
- 3DMark Night Raidで「24885」(DirectX 12, 低負荷)
- 3DMark Wild Life「15869」(Vulkan/Metal, モバイル向け)
Ryzen Z1 Extreme性能を比較
Lenovo Legion Goが搭載するRyzen Z1 Extremeの性能を、他のCPU、GPUと比較してみました。
【Cinebench R23でCPU性能を比較】
- AMD Ryzen AI Z2 Extreme (ROG XBOX ALLY X)・・・13212
- Ryzen Z1 Extreme (Lenovo Legion Go)・・・11439
- AMD Ryzen Z2 Go (Lenovo Legion Go S)・・・5802
- Ryzen Z2 A (ROG XBOX ALLY)・・・4541
- AMDカスタム APU Zen 2(Steam Deck OLED)・・・4436
【Time Spyでグラフィック性能を比較】
- AMD Ryzen AI Z2 Extreme (ROG XBOX ALLY X)・・4009
- Ryzen Z1 Extreme (Lenovo Legion Go)・・・3219
- AMD Ryzen Z2 Go (Lenovo Legion Go S)・・・2179
- Ryzen Z2 A (ROG XBOX ALLY)・・・1929
- AMDカスタム APU Zen 2(Steam Deck OLED)・・・1700
<CPU性能、グラフィック性能の比較からわかること>
Lenovo Legion Goに搭載されたRyzen Z1 ExtremeとSteam Deck OLED(Zen 2世代)を比較すると、Cinebench R23のCPUスコアで約2.5倍、グラフィック性能を示すTime Spyでも約1.9倍もの大差をつけています。これは世代交代による性能の飛躍的向上を意味しており、よりリッチなグラフィックのAAAタイトルを遊ぶならLegion Goが圧倒的に有利であることを示しています。
一方で、比較リストにある次世代チップ「Ryzen AI Z2 Extreme」を搭載したモデル(ROG XBOX ALLY X)に対しては、CPU性能で約13%、グラフィック性能で約20%ほど譲る結果となっています。しかし、現行のROG Ally X(Z1 Extreme搭載)とは同等のスコア帯にあり、今市場に出ているゲームを快適にプレイするための性能としては依然としてトップクラスの水準です。スペック数値だけを見れば次世代機への期待も高まりますが、Legion Goは「今すぐ遊べるハイエンド機」として十分な実力を持っていると評価できます。
ゲーム性能:Ryzen Z1 Extremeの実力を5つのタイトルで検証
ここでは、Lenovo Legion Goを使って実際に人気ゲームタイトルをプレイし、どの程度快適に動作するのかを検証していきます。搭載されているRyzen Z1 Extremeは、競合機であるROG Ally Xと同じプロセッサですが、8.8インチの大画面で体感するゲームプレイは、また一味違った迫力があります。
原神
まずは、広大なテイワット大陸を冒険するオープンワールドRPG『原神』から見ていきます。このゲームはアニメ調のグラフィックが特徴ですが、8.8インチの大画面で見るとその美しさが際立ちます。画質設定を「中」から「高」、解像度を1920×1080に設定してプレイしたところ、平均60FPSでの安定した動作が可能でした。
実際にフィールドを走り回ったり、元素スキルを連発して派手なエフェクトが画面を覆うような戦闘シーンでも、カクつきを感じることはほとんどありません。特に描画負荷が高いとされるスメールの雨林やフォンテーヌの水中、さらには敵が多数出現する深境螺旋でも、設定を微調整すれば快適さを維持できました。タッチ操作やコントローラーのレスポンスも鋭く、高解像度かつ高フレームレートで没入感たっぷりに冒険を楽しめるのは、このデバイスの大きな魅力だと感じました。
Apex Legends
次に、スピード感が命のバトルロイヤルシューティング『Apex Legends』です。高リフレッシュレートディスプレイの実力を試すのに最適なタイトルですが、解像度1920×1080、画質設定を「低」から「中」、テクスチャストリーミング割り当てを4GB程度に調整することで、平均60FPSから90FPS程度をマークしました。
射撃訓練場や屋内の探索時など、負荷が低い場面では100FPS近くまで上昇することもあり、144Hz対応パネルの恩恵をしっかりと感じられます。ジブラルタルの防衛爆撃やバンガロールのスモークなど、画面全体にパーティクルが充満する激しい戦闘ではフレームレートの変動こそありますが、プレイに支障が出るレベルまで落ち込むことは稀でした。エイムの追従性も高く、近距離での激しいドームファイトでも敵を視認しやすく、十分に戦えるポテンシャルを持っています。
ストリートファイター6
対戦格闘ゲームの最新作『ストリートファイター6』では、競技性が求められるためフレームレートの安定性が何より重要です。対戦メインの「ファイティンググラウンド」モードでは、解像度1920×1080、画質設定を「NORMAL」から「LOW」に設定することで、対戦成立に必須となる張り付きの60FPSを維持できました。
ドライブインパクトやスーパーアーツといった派手な演出が入っても処理落ちは発生せず、フレーム単位の攻防やコンボ入力も遅延なく反映されます。この安定感なら、外出先でも本格的な練習が可能です。一方で、RPG要素のある「ワールドツアー」モードは非常に負荷が高く、広場などNPCが多い場所では重さを感じました。このモードに関しては30FPS上限設定にするか、解像度を落とすことでスムーズに操作できるようになります。
サイバーパンク2077
超重量級タイトルの代名詞とも言える『サイバーパンク2077』ですが、このクラスのゲームが携帯機で動くこと自体に感動を覚えます。解像度1920×1080、画質設定を「低」、さらにアップスケーリング技術であるFSR 2.1を「パフォーマンス」または「バランス」に設定することで、平均30FPSから45FPS程度での動作を確認しました。
さすがに60FPSの維持は困難で、ナイトシティの人混みや車での高速移動時にはフレームレートの変動も見られますが、FSRの恩恵により十分に「遊べる」水準を保っています。もしフレームレートを優先したい場合は、解像度を720pまで落とし、Radeon Super Resolutionなどを併用すれば、より安定した50FPS前後でのプレイも可能です。メモリが24GBあるROG Ally Xと比較すると、VRAM容量の制約で設定には気を使いますが、工夫次第でこの重厚な世界を持ち運べるのは驚異的です。
Forza Horizon 5
最後に、フォトリアルなグラフィックが魅力のレーシングゲーム『Forza Horizon 5』です。このタイトルは最適化が非常に優れており、Ryzen Z1 ExtremeのRDNA 3アーキテクチャの性能を存分に発揮できます。解像度1920×1080、画質設定「中」または「高」において、平均60FPS前後で安定して動作しました。
メキシコのジャングルを駆け抜ける際や、視界が悪くなる砂嵐の中でのレースでも大きくフレームレートを落とすことなく、スピード感を損なわない滑らかな描画が続きます。車体の反射や路面の質感も美しく表現されており、8.8インチの大画面も相まって、携帯機であることを忘れるほどのビジュアル体験が得られました。入力遅延も少なく、快適なハンドリング操作が可能です。
まとめ:ゲーム性能
Lenovo Legion Goに搭載されたRyzen Z1 Extremeは、GeekbenchやCinebenchといったベンチマークスコアだけでなく、実際のゲームプレイにおいても高い実力を発揮しました。内蔵GPUとしては最高峰のグラフィック性能を持っており、画質設定や解像度の調整、そしてFSR等のアップスケーリング技術を適切に組み合わせることで、最新のAAAタイトルから競技性の高いFPSタイトルまで、幅広いジャンルのゲームを実用的なフレームレートで動作させることができます。
ROG Ally Xと比較するとメモリ容量の違いから設定の詰めが必要な場面もありますが、8.8インチという圧倒的な大画面でこれらのゲームをプレイできる体験は、Legion Goならではの大きなアドバンテージだと言えるでしょう。
メモリとストレージ:Lenovo Legion Goの規格と拡張性の明暗
ここでは、ゲーム体験の快適さを左右するメモリとストレージ性能について、スペック上の数値だけでなく、実際に運用して感じたROG Ally Xとの決定的な違いを中心に解説します。
メモリの制約とROG Ally Xの優位性
Lenovo Legion Goは、メモリにLPDDR5X-7500を16GB搭載しており、転送速度自体は非常に高速です。しかし、実際に重量級のゲームを動かしてみると、この「16GB」という容量がボトルネックになる場面に遭遇しました。この機種は内蔵GPU用にメインメモリからVRAM(ビデオメモリ)を割り当てる必要があり、標準で約3GB、設定によってはそれ以上が確保されます。そのため、Windows OSやゲーム本体が使えるメモリ領域は実質12GB程度に目減りしてしまいます。
ここで比較対象となるROG Ally Xの強さが際立ちます。ROG Ally Xはメモリが24GBに増量されているため、VRAMに8GBを割り当てても、システム用に余裕を持って16GBを残せます。実際に両機を使ってみると、Legion Goではメモリ不足を気にしてバックグラウンドアプリを閉じる手間が必要な場面でも、ROG Ally Xなら余裕を持って動作しました。Legion Goのメモリはオンボードのため増設は不可能であり、将来的なAAAタイトルの肥大化を考えると、この容量差は無視できないポイントです。
独自のSSD規格と交換のハードル
ストレージに関しては、PCIe Gen4接続のNVMe SSDを搭載しており、ゲームのロード時間は非常に高速で快適です。しかし、標準容量が512GBというのは、最近のゲームサイズを考えると心許ないのが正直な感想です。数本の大作ゲームを入れただけで容量が一杯になってしまいました。対するROG Ally Xは標準で1TBを搭載しており、初期状態での余裕が全く異なります。
さらにSSDの交換(換装)を検討する際、Legion Goには「M.2 Type 2242」という、一般的ではない短いサイズのSSDが採用されている点に注意が必要です。ROG Ally Xが汎用性の高い「Type 2280」を採用し換装が容易になったのと対照的に、Legion Go用のType 2242の大容量SSDは市場での選択肢が少なく、入手性が良くありません。物理的に交換すること自体は可能ですが、メーカー保証外の自己責任となるため、ハードルは高いと感じました。
必須となるMicroSDカードでの拡張
SSDの容量不足を補うために、本体上部に搭載されたmicroSDカードスロットの出番となります。読み込み速度は十分に速く、インディーゲームやレトロゲームのデータ保存先として非常に重宝しました。AAAタイトルは内蔵SSDへ、軽めのゲームやエミュレーター関連はmicroSDカードへと使い分ける運用が、Legion Goを長く快適に使うための鍵となります。
まとめ:メモリとストレージ
- メモリ容量:高速なLPDDR5X-7500を16GB搭載しているが、VRAMとの共有により実質利用可能領域は少なくなる。
- ROG Ally Xとの比較:24GBメモリを搭載するROG Ally Xに対し、マルチタスクや重量級ゲームでの余裕で劣る。
- 増設の可否:メモリはオンボード実装のため、後からの増設や交換は一切できない。
- SSD規格:PCIe Gen4対応で高速だが、サイズが「Type 2242」という特殊な規格で、換装の選択肢が狭い。
- 容量不足の解消:標準の512GBはすぐに埋まるため、microSDカードスロットを活用したデータ管理が必須となる。
発熱と冷却:Lenovo Legion Goの静音性と安定したColdfront技術
ここでは、Lenovo Legion Goの独自の冷却技術「Legion Coldfront」の実力と、高負荷時のファン騒音について、ROG Ally Xと比較しながら詳しく解説します。
独自の冷却技術と熱設計
Lenovo Legion Goの冷却システムには、ゲーミングPCブランド「Legion」で培われた「Legion Coldfront」技術が採用されています。薄型のヒートシンクフィンと、液晶ポリマー製のファンを組み合わせることで、効率的なエアフローを実現しています。ROG Ally Xがデュアルファンを採用して冷却能力を高めているのに対し、Legion Goは大型のシングルファンで対応していますが、本体サイズが大きい分、エアフローの設計に余裕を感じます。最大TDP 30Wというハイパワーな設定でも、熱暴走を防ぎながら動作するように設計されています。
実測温度と筐体の発熱
実際に『サイバーパンク2077』のような重いゲームを「Performance」モードでプレイしてみました。このモードでは、起動直後にTDPが一時的に30W〜32W付近まで上昇し、その後安定して23W前後で推移するという挙動を見せます。この状態でのCPUパッケージ温度をモニタリングしたところ、おおよそ71℃前後で安定しており、サーマルスロットリング(熱による性能低下)が発生する気配はありませんでした。
ここでROG Ally Xとの決定的な違いを感じたのが、手に伝わる熱の少なさです。ROG Ally Xも冷却性能は優秀ですが、一体型ボディである以上、長時間プレイしているとグリップ部分にほんのりと熱が伝わってくることがあります。しかし、Lenovo Legion Goはコントローラーが物理的に分離しているため、発熱源であるCPUやバッテリーの熱がグリップに伝わることが構造上ありえません。どれだけ本体が熱くなっても、手元は常にクールなままでプレイに集中できるのは、着脱式ならではの大きなメリットだと実感しました。排気は本体上部から行われるため、手に熱風が当たることもありません。
ファン騒音と静音性の評価
ファンの騒音についても、非常に優秀な調整がされています。寝室で家族が寝ている横で「静音モード(Quietプリセット)」を使い、TDPを8W程度に抑えてインディーゲームを遊んでみましたが、騒音レベルは最大25デシベルと、ささやき声程度の静けさでした。これなら周囲を気にせず使用できます。
一方、TDP 30Wの「Custom」モードなどでファンを全開にすると、さすがに「サー」という風切り音は大きくなります。しかし、小型ファン特有の耳障りな甲高い音(キーンという音)は抑えられており、音の質が低めであるため不快感は少ないと感じました。ROG Ally Xはデュアルファンによる静音性が売りですが、Legion Goもシングルファンながら口径が大きいためか、耳障りなノイズはうまく処理されています。ただし、最大負荷時の絶対的な静かさでは、デュアルファンのROG Ally Xに一歩譲る印象です。
まとめ:発熱と冷却
- 冷却技術:独自の「Legion Coldfront」により、最大30W TDPの高負荷でも効率的に冷却できる。
- 温度制御:Performanceモード(約23W)でのCPU温度は71℃前後と安定しており、熱暴走の心配が少ない。
- グリップ温度:コントローラーが本体から分離しているため、ROG Ally Xと異なり手のひらに熱が一切伝わらない構造上の利点がある。
- 静音性:静音モード時は最大25デシベルと非常に静かで、静かな環境でも使いやすい。
- ファン騒音:高負荷時は風切り音がするものの、耳障りな高音ノイズは抑えられている。
バッテリーと充電:Lenovo Legion Goの急速充電とROG Ally Xとの圧倒的な差
Lenovo Legion Goは、49.2Whrという携帯型ゲーミングPCとしては標準的な容量のバッテリーを搭載しています。ここでは、実際の駆動時間テストの結果や、ROG Ally Xとの比較、そして充電周りの使い勝手について解説します。
バッテリー容量と実測テストの結果
スペック上の駆動時間はJEITA 2.0基準で最大約7.9時間とされていますが、実際のゲーミング用途ではこの数値通りにはいきません。実際に輝度50%、TDPを「パフォーマンス」設定にしてPCMark 10のGamingバッテリーテストを実施したところ、駆動時間は約1時間38分という結果になりました。
ここで比較対象として避けて通れないのがROG Ally Xの存在です。ROG Ally Xは80Whという、Legion Goの約1.6倍、初代Allyの2倍もの超大容量バッテリーを搭載しています。PCMark 10の同テストにおいて、ROG Ally Xは約2時間51分という記録を残しており、バッテリー持ちに関してはROG Ally Xに完全に軍配が上がります。
実際のゲームプレイ体験とWindowsの課題
実際に私が『サイバーパンク2077』や『Doom Eternal』のような高負荷なAAAタイトルをプレイした際、パフォーマンスモードでは1時間から1時間40分程度でバッテリー切れとなり、すぐにコンセントを探す必要に迫られました。『Stardew Valley』のような軽い2Dゲームを静音モード(TDP 8W程度)で遊んだ場合でも、3時間程度で限界を迎えます。
また、Windows機特有の弱点としてスリープ時の待機電力消費が激しく、満充電でスリープにしてバッグに入れておいたはずが、翌朝使おうとしたらバッテリーが空になっていたという経験もありました。ROG Ally Xならヘビーなゲームでも約3時間は遊べるため、Legion Goを持ち運ぶ際はモバイルバッテリーが必須アイテムになると痛感しました。
上下ポートによる充電の快適性と急速充電
しかし、充電周りの機能性は非常に優秀です。超急速充電技術に対応しており、電源オフ時であれば約1.2時間でフル充電が可能です。また、ACアダプター接続時にバッテリーを介さずシステムに直接給電する「電源バイパスモード」にも対応しており、据え置きプレイ時のバッテリー劣化を防いでくれます。
注目すべきは、本体の上部と下部の両方にUSB4 Type-Cポートを備えている点です。ROG Ally Xはポートが上部に集中していますが、Legion Goならキックスタンドで立てて遊ぶ際や、仰向けで寝転がって遊ぶ際など、姿勢に合わせて邪魔にならないポートから充電できます。この「どちらからでも充電できる」利便性は、バッテリー持ちの弱点を補う工夫として非常に魅力的でした。
まとめ:バッテリーと充電
- バッテリー容量:49.2Whrを搭載しているが、80Whを搭載するROG Ally X と比較すると明らかにスタミナ不足を感じる
- 実駆動時間:高負荷なAAAタイトルでは約1時間半、軽めのゲームでも3時間程度と、長時間の外出には心許ない
- 急速充電:約1.2時間で満充電になる超急速充電に対応しており、リカバリーは早い
- 充電ポートの利便性:上下2つのUSB4ポートにより、プレイスタイルに合わせてケーブルの差し込み口を選べるのが非常に便利
- バイパス給電:電源バイパスモードにより、充電しながらのプレイでもバッテリーへの負荷を軽減できる
- スリープ時の課題:Windows特有のスリープ時のバッテリー消費があり、こまめなシャットダウンや休止状態の活用が必要
オーディオ性能:Lenovo Legion Goの没入感とROG Ally Xとの音質比較
ここでは、Lenovo Legion Goのサウンドシステムと、競合機ROG Ally Xと比較した際の音質や接続性について解説します。
スピーカー構成とSmart AMPの恩恵
Lenovo Legion Goは、本体に2.0Wのステレオスピーカーを2基搭載しています。このスピーカーシステムには、オプションで「スマートAMP」機能が用意されており、オーディオ領域を増幅させることで全体の音量を引き上げ、鮮やかで広々としたサウンドを実現する仕組みになっています。
一方、競合であるROG Ally Xは、Dolby Atmosに対応したデュアルスマートアンプスピーカーを搭載し、前面に向けた配置によるダイレクトな音圧を売りにしています。Lenovo Legion Goのスピーカーは本体の上方向や空間に広がるような構造で、音が空間に広がるような鳴り方をするので、この点は両機種の大きな違いです。
純粋な音圧や顔への直撃感ではROG Ally Xに分があると感じる場面もありますが、Legion Goも2.0Wという出力のおかげで、最大音量は携帯機として十分すぎるほどのパワーを持っています。
バランスの取れた音質と定位感
実際のゲームプレイにおける音質についてですが、スマートAMPの効果もあり、非常にクリアで聴き取りやすいサウンドです。特に中音域の解像度が高く、RPGのイベントシーンにおけるキャラクターのボイスやナレーションは、背景BGMに埋もれることなく明瞭に耳に届きました。高音域は伸びやかで、剣と剣がぶつかり合う金属音や、魔法のエフェクト音なども刺さるような不快感はなく、煌びやかに表現されます。
一方で、低音(ベース)に関しては、筐体のサイズ的な制約もあり、ズシンと響くような重低音は控えめです。ここはROG Ally Xの方が若干迫力を感じる部分かもしれません。しかし、FPSゲームをプレイした際の音の定位性は優秀でした。ステレオの分離感が良く、敵の足音や銃声が右から聞こえるのか、左奥からなのかといった方向感覚を掴みやすく、ヘッドホンなしでも十分に戦況を把握できるレベルです。全体として、特定の音域を過度に強調しないフラット寄りのバランスで、長時間のプレイでも聴き疲れしにくいチューニングだと感じました。
マイク性能と接続インターフェース
ボイスチャットや通話に使用するマイクには、デュアルアレイマイクロホンが採用されています。実際に友人とDiscordで会話しながらプレイしてみましたが、ファンの騒音を過度に拾うことなく、こちらの声をクリアに届けることができました。また、本体上部にはマイクロホン/ヘッドホン・コンボ・ジャックを搭載しており、遅延を嫌う音ゲーマーや、より高音質を求めるユーザーは有線イヤホンを簡単に接続できます。
ワイヤレス環境においては、Bluetooth v5.3に対応しています。最新規格のおかげで、完全ワイヤレスイヤホンとの接続安定性は非常に高く、電車内のような電波が混線しやすい場所でも途切れにくいと感じました。YouTubeでの動画視聴時も、口の動きと音声のズレ(遅延)は気にならないレベルに抑えられており、快適な視聴体験が可能です。
まとめ:オーディオ性能
- スピーカー出力:2.0W×2のステレオスピーカーを搭載し、スマートAMPにより十分な最大音量を確保
- 音質傾向:中高音域がクリアでボイスが聴き取りやすく、音の定位性も良いためFPSでも実用的
- ROG Ally Xとの比較:Dolby Atmos搭載のROG Ally Xに比べると低音の迫力はやや劣るが、空間への広がりを感じるサウンド
- 有線接続:コンボジャック搭載により、遅延のないアナログオーディオ環境を即座に構築可能
- 無線接続:Bluetooth v5.3対応により、ワイヤレスイヤホンとの接続が安定しており遅延も少ない
通信性能:Lenovo Legion Goの高速Wi-Fi 6Eと独自コントローラーの無線接続
ここでは、ゲームダウンロードの快適さやクラウドゲーミングの安定性を支えるWi-Fi性能、そして着脱式コントローラーの肝となるBluetooth接続の実力について、最新規格を搭載するROG Ally Xと比較しながらレビューしていきます。
Wi-Fi 6Eによる高速ダウンロードと安定性
通信規格において、Lenovo Legion Goは「Wi-Fi 6E」に対応しています。これはROG Ally Xも同様で、現在のポータブルゲーミングPCとしては標準的かつ十分なスペックです。実際に自宅のWi-Fi 6環境下で100GBを超えるAAAタイトルのダウンロードを行ってみましたが、ダウンロード速度は非常に高速で、回線の混雑する時間帯でも安定した速度を維持してくれました。
また、付属のXbox Game Pass Ultimate を利用してクラウドゲーミングを試した際も、このWi-Fi 6Eの恩恵を強く感じました。映像のブロックノイズや操作のラグはほとんど感じられず、まるでローカルで動かしているかのようにスムーズにプレイできます。有線LANポート(RJ-45)は非搭載 ですが、これだけの無線性能があれば、格闘ゲームなどの競技シーン以外で不満を感じることはまずないでしょう。
Bluetooth v5.3と着脱式コントローラーの接続品質
Bluetoothに関しては、Lenovo Legion Goが「v5.3」であるのに対し、後発のROG Ally Xは最新の「v5.4」を採用しており、スペック上はROG Ally Xに分があります。とはいえ、実際にワイヤレスイヤホンを接続して動画を見たり音楽を聴いたりする分には、v5.3でも接続は非常に安定しており、音ズレ(遅延)も気にならないレベルでした。
Lenovo Legion Goで特に重要なのが、着脱式コントローラー「Legion TrueStrike」の無線接続です。本体から取り外した瞬間、自動的にBluetooth接続に切り替わるのですが、このペアリング速度が速く、ストレスを感じません。分離状態でアクションゲームを遊んでみても、ボタン入力の遅延(レイテンシー)や接続の瞬断といったトラブルには遭遇しませんでした。Bluetooth接続であることを忘れるほど操作への反応がリニアで、ソファに深く座って画面から離れてプレイする際の快適さは格別です。
まとめ:通信性能
- Wi-Fi規格:Wi-Fi 6Eに対応しており、大容量ゲームのダウンロードも高速でクラウドゲーミングも快適
- ROG Ally Xとの比較(Wi-Fi):両機種ともWi-Fi 6E対応で、通信速度や安定性において同等の高い水準にある
- Bluetooth規格:Bluetooth v5.3を採用しており、最新のv5.4を搭載するROG Ally Xより世代は古いが実用上の差は感じない
- コントローラー無線接続:分離時のペアリングはスムーズで、操作遅延も感じられず非常に優秀な接続品質
- 有線LAN:本体にLANポートは非搭載のため、有線接続にはUSBドックなどが別途必要
ソフトウェアと機能:Lenovo Legion GoのWindows活用術と拡張性
ここでは、Windows 11を搭載したLenovo Legion Goの機能性と、独自のランチャーソフト「Legion Space」、そしてUSB4ポートを活かした高い拡張性について、競合機ROG Ally Xと比較しながら解説します。
Windows 11の自由度とトラックパッドの恩恵
Lenovo Legion GoはOSに「Windows 11 Home」を搭載しており、PCゲームだけでなく、ブラウザやOfficeソフトなどWindowsのフル機能が利用可能です。Steam、Epic Games、Battle.netといった主要なプラットフォームはもちろん、付属の「Xbox Game Pass Ultimate(3ヶ月)」を利用して、クラウドゲーミングや数百のタイトルにすぐにアクセスできる点は大きな魅力です。また、エミュレーターを導入してレトロゲームを楽しんだり、Androidゲームを遊んだりと、その汎用性はコンソール機を凌駕します。
独自ソフト「Legion Space」の使い勝手
システムの中核となるのが、専用ランチャー「Legion Space」です。インストールされた各プラットフォームのゲームをライブラリとして統合し、一元管理することができます。また、右コントローラーの「Rボタン」を押すことで、ゲーム中にいつでもクイックセッティング(Rメニュー)を呼び出せます。
ここでTDP(熱設計電力)、解像度、リフレッシュレート、ファンの回転数などを即座に変更できる機能は、バッテリー持ちとパフォーマンスのバランスを取る上で非常に重宝しました。ただし、ROG Ally Xに搭載されている「Armoury Crate SE」と比較すると、Legion Spaceはまだ動作がもっさりしていたり、起動が不安定だったりと、ソフトの完成度では一歩譲る印象があります。今後のアップデートによる改善に期待したいところです。
上下USB4ポートによる柔軟な外部モニター出力
外部モニター出力に関しては、本体の上部と下部にそれぞれ1つずつ、合計2つの「USB4 Type-Cポート」を搭載している点が非常に優秀です。これにより、変換アダプタやドックを介してDisplayPort出力を行い、大画面モニターでゲームや作業を行うことができます。ROG Ally Xも2つのUSB-Cポートを持っていますが、どちらも上部に配置されています。Legion Goは下部にもポートがあるため、ドッキングステーションに立てた際のケーブルの収まりが良く、据え置き機としての運用も非常にスマートに行えました。
外部GPU(eGPU)接続でメインPC化
さらに、USB4(40Gbps)の帯域を活かして、外部GPU(eGPU)を接続できるのも大きなメリットです。自宅では強力なグラフィックボードを搭載したeGPUボックスに繋ぐことで、外出先では携帯機、家ではハイエンドデスクトップPCとして、『モンスターハンターワイルズ』のような重量級ゲームも高画質・高フレームレートで楽しむことができます。
ROG Ally XもUSB4に対応しeGPUが使えるようになりましたが、Legion Goは発売当初からこの拡張性を備えており、8.8インチの大画面をサブモニターとして活用しながらデスクトップ環境を構築するスタイルは、非常に実用的でした。
ドライバーの安定性とSteamOSの可能性
ドライバーに関しては、AMD公式ではなくLenovoから提供されるGPUドライバーを使用します。更新頻度はAMD公式に比べると遅れることがあり、最新ゲームへの最適化パッチが待ち遠しい場面もありました。システムの安定性はおおむね良好ですが、稀にLegion Spaceがフリーズすることもありました。
上級者向けの楽しみ方として、Windowsではなく「SteamOS(HoloISOやBazziteなど)」をインストールして、Steam Deckのようなゲーム専用機として運用することも可能です。ハードウェアのポテンシャルが高いため、こうしたカスタムの自由度が高い点も、PC好きにはたまらない魅力と言えるでしょう。
まとめ:ソフトウェアと機能
- OSの汎用性:Windows 11 Home搭載により、SteamやXbox Game Pass Ultimate(3ヶ月付属)などあらゆるPCゲームやアプリに対応
- Legion Space:ゲームの一元管理やTDP変更などのクイック設定は便利だが、ソフトの挙動や安定性はROG Ally XのArmoury Crate SEに劣る部分がある
- 外部出力:上下に配置されたUSB4ポートにより、ドック接続やモニター出力時のケーブル取り回しが非常に柔軟
- 拡張性:USB4経由での外部GPU(eGPU)接続に対応しており、自宅ではハイスペックなデスクトップPCとして運用可能
- 安定性:基本的には安定しているが、GPUドライバーの更新頻度や独自ランチャーの挙動には改善の余地がある
検証してわかったLenovo Legion Goのメリット・デメリット
実際にLenovo Legion Goを使い込み、競合機であるROG Ally Xとも比較しながら徹底的に検証を行いました。スペック表だけでは見えてこない、実際に手にしたからこそ分かる「独自の強み」と「許容すべき弱点」が浮き彫りになりました。ここでは、購入を検討する上で決定的な判断材料となるメリットとデメリットを詳しく解説します。
メリット(長所、利点)
メリット1:圧倒的な没入感の8.8インチ大画面(ROG Ally Xは7インチ)
Lenovo Legion Goを使用して最も感動するのは、やはり8.8インチという巨大なディスプレイです。ROG Ally Xの7インチ(1920×1080)と比較すると、画面サイズの違いは一目瞭然で、2560×1600の高解像度により、ゲームの世界への没入感が段違いです。細かいテキストやUIも見やすく、RPGやアドベンチャーゲームではこの大画面が圧倒的なアドバンテージになります。16:10のアスペクト比は、ウェブブラウジングや電子書籍の閲覧といったPC用途でも非常に快適でした。
メリット2:自由な姿勢で遊べる着脱式コントローラー(ROG Ally Xは固定式)
Nintendo Switchのようにコントローラーを取り外せる「TrueStrike」コントローラーは、プレイスタイルの自由度を劇的に広げます。ROG Ally Xはコントローラー一体型のため、常に本体を持って遊ぶ必要がありますが、Lenovo Legion Goなら画面をテーブルに置き、コントローラーだけを握ってソファでリラックスしながら遊ぶことができます。本体は重いですが、このモードなら腕への負担はゼロになり、長時間のプレイも快適でした。
メリット3:Windows操作を快適にするトラックパッドとホイール(ROG Ally Xは非搭載)
Windows 11を搭載する携帯機として、右コントローラーに「トラックパッド」と「マウスホイール」を備えている点は、ROG Ally Xに対する決定的な優位点です。ROG Ally Xではスティックでカーソルを動かす必要があり、細かいファイル操作やランチャーの操作にストレスを感じることがありましたが、Lenovo Legion GoならノートPCのように直感的にカーソルを操作でき、ホイールでのスクロールもスムーズに行えます。
メリット4:安定感抜群のキックスタンドを内蔵(ROG Ally Xは簡易スタンドのみ)
本体背面に大きくしっかりとしたキックスタンドを内蔵しているのも大きな魅力です。無段階で角度調整ができ、ヒンジも硬めで安定感があるため、テーブルモードでのプレイが非常に安定します。ROG Ally Xには簡易的な紙製やプラスチック製のスタンドしか付属しないことが多く、自立させるには別途スタンドを持ち歩く必要があるため、本体だけで完結するLenovo Legion Goの利便性は非常に高いと感じました。
メリット5:拡張性を広げる上下2つのUSB4ポート(ROG Ally Xは上部集中)
Lenovo Legion Goは、本体の上部と下部にそれぞれUSB4ポートを搭載しています。これにより、キックスタンドで立てて遊ぶ際は上部から充電し、手に持って遊ぶ際やドッキングステーションに接続する際は下部を使うなど、状況に応じてケーブルの取り回しを変えられます。ROG Ally Xも2つのUSB-Cポートを持っていますが、両方とも上部に配置されているため、この柔軟性はありません。
メリット6:ハードケースが標準で付属する(ROG Ally Xは別売り)
購入してすぐに持ち運べるよう、しっかりとしたハードケースが標準で付属しているのは嬉しいポイントです。ACアダプターこそ収納できませんが、画面を保護するフラップ付きで質感も良く、安心してバッグに放り込めます。ROG Ally Xの場合、専用ケースは別売りやキャンペーン特典扱いとなることが多いため、初期投資を抑えられる点はメリットと言えます。
デメリット(短所、欠点)
デメリット1:80WhのROG Ally Xに見劣りするバッテリー持ち
最大の弱点はやはりバッテリーです。Lenovo Legion Goのバッテリー容量は49.2Whですが、ROG Ally Xはその約1.6倍となる80Whの大容量バッテリーを搭載しています。実際にAAAタイトルをプレイすると、Lenovo Legion Goは1時間から1時間半程度でバッテリーが切れてしまいますが、ROG Ally Xならより長時間プレイ可能です。外出先で電源確保が難しい場合、この差は致命的になり得ると感じました。
デメリット2:長時間の携帯プレイには重すぎる約854gの重量
8.8インチの大画面と引き換えに、本体重量は約854gとヘビー級です。約678gのROG Ally Xと比較するとその差は約176gもあり、手に持って仰向けでプレイしたり、長時間持ち続けたりするのは筋力トレーニングに近い感覚を覚えます。テーブルモードを使わない完全なハンドヘルドプレイを想定する場合、この重さは明確なデメリットになります。
デメリット3:メモリ16GBによるVRAMの制約(ROG Ally Xは24GB)
Lenovo Legion Goのメモリは16GBですが、ここからVRAM(ビデオメモリ)を割り当てる必要があるため、システムが使えるメモリは実質少なくなります。一方、ROG Ally Xは24GBのメモリを搭載しており、VRAMに8GBを割り当ててもシステム用に16GBを確保できます。最新の重量級ゲームやマルチタスクを行う際、メモリ不足によるカクつきや動作の不安定さを感じることがあり、将来性という面では不安が残ります。
デメリット4:ネイティブポートレート液晶による互換性の問題
Lenovo Legion Goの液晶はタブレット用を流用した「ネイティブポートレート(縦長)」仕様であるため、一部の古いゲームではフルスクリーン表示が正しく行われないなどのトラブルが発生することがあります。ROG Ally Xはネイティブランドスケープ(横長)液晶を採用しているため、こうした互換性の問題に悩まされることは少なく、安心して古いタイトルも遊べます。
デメリット5:ソフトウェアの完成度とファンの音質
管理ソフト「Legion Space」は機能こそ豊富ですが、動作がもっさりしていたり、設定が反映されなかったりと、不安定な部分が見受けられました。ROG Ally Xの「Armoury Crate SE」は世代を重ねて洗練されており、使い勝手で差を感じます。また、高負荷時のファンの音は、耳障りな高音こそ抑えられていますが、風切り音自体はそれなりに大きく、静かな環境では気になりました。
まとめ:メリット・デメリット
Lenovo Legion Goは、8.8インチの大画面と着脱式コントローラー、そしてトラックパッドによるWindows操作の快適さという、他機種にはない強力なハードウェアの魅力を持っています。特に「テーブルに置いて遊ぶ」「マウス操作が必要なゲームや作業を行う」といったシーンでは、ROG Ally Xを凌駕する体験が得られました。
一方で、バッテリー持ちや重量、メモリ容量といった基礎体力や携帯性の面では、後発のROG Ally Xが圧倒的に有利です。「大画面とギミックのロマン」を取るか、「完成された携帯性とスペック」を取るか、自分のプレイスタイルに合わせて選ぶ必要があると強く感じました。
Lenovo Legion Go(日本版)のスペック
- 型番: 83E10027JP
- ディスプレイ: 8.8インチ、解像度2560×1600ドットのIPS液晶 (16:10、WQXGA、輝度500nit、97% DCI-P3、10点マルチタッチ、光沢あり、Corning Gorilla Glass 5)
- リフレッシュレート: 最大144Hz
- プロセッサ: AMD Ryzen Z1 Extreme プロセッサー (8コア/16スレッド、最大5.1GHz)
- GPU: AMD Radeon グラフィックス (AMD RDNA 3)
- RAM(メモリ): 16GB LPDDR5X-7500 (オンボード)
- ストレージ: 512GB SSD (PCIe NVMe/M.2)
- 外部ストレージ: microSD メディアカードリーダー
- バッテリー: 49.2Whr 固定式 2 セル リチウムイオンポリマーバッテリー
- 駆動時間: JEITA 2.0 約7.9時間 / JEITA 3.0 (動画再生時) 約7.2時間・(アイドル時) 約7.6時間
- 充電: PD急速充電対応 (約1.2時間)、ACアダプター 65W (AC 100-240V)
- カメラ: なし
- ワイヤレス通信: Wi-Fi 6E (IEEE802.11ax/ac/a/b/g/n)、Bluetooth v5.3
- インターフェース: USB4 (Type-C/40Gbps/DisplayPort出力/PD対応) x2、マイクロホン/ヘッドホン・コンボ・ジャック x1
- センサー: ジャイロセンサー
- スピーカー: ステレオスピーカー (2.0Wx2)
- マイク: デジタルアレイ マイクロホン
- ケース: Legion Goキャリングケース (付属)
- 機能: Legion Space、Legion TrueStrikeコントローラー (着脱式)、FPSモード
- 冷却システム: Legion Coldfront (最大30W TDP、静音モード時最大25dB)
- OS: Windows 11 Home 64bit (日本語版)
- サイズ: (タブレット+コントローラー) 約 298×40.7x131mm / (タブレットのみ) 約 210×20.1x131mm
- 重量: (タブレット+コントローラー) 約 854g / (タブレットのみ) 約 639g
- カラー: シャドーブラック
- 付属品: ACアダプター、キャリーバッグ、コントローラードック
Lenovo Legion Goの評価
10の評価基準で「Lenovo Legion Go」を5段階で評価してみました。
【項目別評価】
画面の見やすさ:★★★★★
8.8インチの大画面とWQXGAの高解像度は圧巻です。7インチのROG Ally Xと比較しても没入感が段違いで、細かい文字も読みやすく、発色も鮮やかで非常に美しいディスプレイです。
パフォーマンス:★★★★☆
Ryzen Z1 Extreme搭載で処理能力は高いですが、メモリが16GBのため、VRAM割り当て時にシステムメモリが不足しがちです。24GB搭載のROG Ally Xと比較すると、重量級ゲームでの余裕に差が出ます。
操作性:★★★★★
着脱式コントローラーとトラックパッドの搭載が素晴らしいです。Windows操作がマウス感覚で行える点は、スティック操作のみのROG Ally Xに対する明確なアドバンテージです。
機能性:★★★★★
上下2つのUSB4ポートや安定したキックスタンド、FPSモードなど、独自のギミックが満載です。拡張性と設置の自由度は、ポートが上部に集中しているROG Ally Xよりも優れています。
デザイン:★★★★☆
マットなブラックで統一された高級感ある外観です。ビルドクオリティも高いですが、コントローラーのボタン配置、特にメニューボタンの位置が低く、少し押しにくい点が気になりました。
携帯性:★★☆☆☆
本体重量約854gは、約678gのROG Ally Xと比較してもかなり重く、持ち運びには大きめのバッグが必要です。手軽に持ち出すというよりは、気合を入れて持ち運ぶデバイスです。
使いやすさ:★★★★☆
重さはありますが、キックスタンドで置いて遊べるため、腕への負担を回避できます。トラックパッドのおかげでデスクトップ操作も快適ですが、独自ソフトの挙動には改善の余地があります。
バッテリー:★★★☆☆
49.2Whrの容量は、80Whrを搭載するROG Ally Xの約6割しかなく、AAAタイトルでは1時間半程度しか持ちません。モバイルバッテリーなしでの長時間プレイは厳しいと言わざるを得ません。
冷却・静音性:★★★★☆
シングルファンですが口径が大きく、高負荷時でも耳障りな高音ノイズは抑えられています。背面が熱くなってもコントローラーに熱が伝わらないのは着脱式の大きなメリットです。
価格:★★★★☆
高価なデバイスですが、しっかりしたハードケースが標準付属している点は評価できます。ROG Ally Xより実売価格が少し安く、機能の多さを考えればコストパフォーマンスは悪くありません。
【総評】★★★★☆
Lenovo Legion Goは、携帯ゲーム機の枠を超えた「多機能UMPC」として非常に野心的な一台です。ROG Ally Xという強力なライバルが存在する中で、あえてこちらを選ぶ理由は明確に「ギミック」と「大画面」にあります。
着脱式コントローラーが生む自由なプレイスタイル
最大の魅力はやはりNintendo Switchのようにコントローラーが着脱できる点です。本体重量は約854gと非常に重いですが、背面のキックスタンドを立ててコントローラーを分離すれば、重さを全く気にせずに遊ぶことができます。新幹線のテーブルやカフェなど、少しのスペースがあればどこでも快適なプレイ環境を構築できるのは、一体型のROG Ally Xには真似できない芸当です。さらに、右コントローラーをマウス化する「FPSモード」は、慣れが必要ですがエイミングの精度を飛躍的に高めてくれます。
ROG Ally Xとの決定的な違い
ROG Ally Xと比較すると、「バッテリー」と「メモリ」で明確に劣ります。ROG Ally Xは80Whの大容量バッテリーと24GBメモリを搭載しており、モバイルでの長時間駆動と重量級ゲームの安定性で勝ります。一方で、Lenovo Legion Goは「8.8インチの大画面」と「トラックパッド」を持っています。特にWindows OSを操作する上で、マウスカーソルを直感的に動かせるトラックパッドの有無は、使い勝手に天と地ほどの差を生みます。純粋なゲーム機としての完成度はROG Ally Xが高いですが、PCとしての汎用性はLenovo Legion Goが上です。
購入前の注意点とデメリット
購入前に覚悟すべきは、バッテリー持ちの悪さと重量です。高負荷なゲームでは1時間強でバッテリーが切れるため、電源確保が必須となります。また、メモリが16GB固定で増設不可なため、将来的な超重量級タイトルでは設定を落とす必要があります。液晶が縦画面用のパネルを流用した「ネイティブポートレート」仕様であるため、一部の古いゲームで表示トラブルが起きる可能性がある点も留意が必要です。
こんなユーザーにおすすめ
Lenovo Legion Goは、「テーブルに置いてリラックスしてゲームを楽しみたい」というユーザーに最適です。もちろん、8インチの少し大きめのディスプレイなので、ゲームだけでなく動画を楽しみたい人にもおすすめ。映像出力機能を利用してWindowsのデスクトップ操作も快適に行いたいという人にも合っています。バッテリーや重さという弱点はありますが、ゲームや動画鑑賞、そして趣味や仕事にもフル活用できるポータブルゲーミングPCであるといえます。
Lenovo Legion Goの価格・購入先
※価格は2025/12/12に調査したものです。価格は変動します。
ECサイト(Amazon、楽天、ヤフーなど)
- Amazonで119,824円(税込/整備済み品は108,980円)、
- 楽天市場で117,690円(送料無料)、
- ヤフーショッピングで116,830円、
で販売されています。
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おすすめのライバル機種と価格を比較
「Lenovo Legion Go」に似た性能をもつポータブルゲーミングPCも販売されています。価格の比較もできるので、ぜひ比較してみてください。
Lenovo Legion Go S
レノボから発売された8.0インチのポータブルゲーミングPCです(2025年12月12日に発売)。
AMD Ryzen™ Z2 Go プロセッサー、16GB LPDDR5X-7500MHzメモリ、8.0型 WUXGA (1920×1200) IPS液晶、512GB SSD (PCIe Gen4 NVMe/M.2 2242)ストレージ、55.5Whr バッテリー、Windows 11 Home 64bit (日本語版)、を搭載しています。
また、統合ソフト「Legion Space」(ランチャー・設定管理)、リフレッシュレート最大120Hz、VRR(可変リフレッシュレート)、冷却システム「Legion ColdFront」、急速充電「Super Rapid Charge」、ホール効果ジョイスティック(RGBライト付き)、調整可能トリガー、「トラックパッド」、大型ピボットDパッド」に対応。
2つのUSB4 (Type-C)ポート、外部モニター出力、外部GPU接続、前面配置ステレオスピーカー (2W x 2)、デュアルアレイマイク、トラックパッド、microSDカードスロット(最大2TBまで)、オーディオジャック、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3にも対応しています。
価格は、レノボ公式サイトで99,880円、楽天市場で109,860円(送料無料)、ヤフーショッピングで99,880円、米国 Amazon.comで$649.99、です。
関連記事:Lenovo Legion Go S徹底レビュー!10万円以下の実力は本物か?
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ROG XBOX ALLY / Ally X
ASUS (ROG) から発売された7.0インチのポータブルゲーミングPCです(2025年10月16日に発売・型番:RC73YA-Z2A16G512/RC73XA-Z2E24G1T)。
7.0型ワイドTFTカラー液晶 (1,920×1,080, 120Hz, FreeSync Premium対応)、AMD Ryzen™ Z2 A (Ally) / AMD Ryzen™ AI Z2 Extreme (Ally X)、LPDDR5X 16GB (Ally) / 24GB (Ally X) メモリ、SSD 512GB (Ally) / 1TB (Ally X) (PCI Express 4.0 x4接続 NVMe/M.2 2280)、60Wh (Ally) / 80Wh (Ally X) バッテリー、Windows 11 Home 64ビットを搭載しています。
また、Xboxアプリ、UI「Xboxフルスクリーンエクスペリエンス」、Xboxボタン(Game Bar)、「Xbox Play Anywhere」、ASUSの管理コンソール「Armoury Crate Special Edition (ACSE)」、AMD Ryzen™ AI (NPU※Ally Xのみ)、モニター出力、内蔵SSDの交換(換装)に対応。
ステレオスピーカー (Dolby Atmos / Hi-Res Audio対応)、アレイマイク、HD振動機能 (Ally Xはインパルストリガー対応)、ROGインテリジェントクーリング (デュアルファン)、ジョイスティック×2(RGBライティング)、マクロボタン×2、バンパー/トリガー、指紋認証センサ (電源ボタン一体型)、USB Type-Cポート (Ally XはUSB4対応)、microSDカードスロット、Wi-Fi 6E、Bluetooth® 5.4にも対応しています。
価格は、Amazonで89,800円(ROG XBOX ALLY / Ally Xは139,800円)、楽天市場で93,980円(中古品・送料無料)、ヤフーショッピングで97,939円、米国 Amazon.comで$599.00、です。
関連記事:ROG XBOX ALLY/Ally X評価レビュー!期待以上の性能・機能か?
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ROG Ally X
ASUSから発売された7インチのポータブルゲーミングPCです(2024年7月 発売)。
AMD Ryzen Z1 Extreme、24GB LPDDR5-7500、フルHDののIPS タッチスクリーン、1TB PCIe 4.0 NVMe M.2 SSD (2280)、80WHrsバッテリー、6軸ジャイロセンサー、Windows 11 Homeを搭載しています。
また、デュアル ステレオスピーカー、Dolby Atmos、アレイマイク、AIノイズキャンセリング、HDハプティクス、Microsoft Pluton セキュリティ、指紋認証、AURA SYNC、Gorilla Glass DXC、USB4 Gen2 Type-C x1、USB 3.2 Gen2 Type-C x1、Wi-Fi 6e、Bluetooth 5.2に対応しています。
価格は、Amazonで129,832円、楽天市場で127,800円(送料無料)、ヤフーショッピングで127,800円、です。
関連記事:ROG Ally Xは買うべきか?できるゲームとグラフィック性能をレビュー
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Steam Deck OLED
米国 Valve から発売された7.4インチのポータブルゲーミングPCです(2023年11月17日に発売)。
Steam OS 3.0、Zen2ベースのAMD APUと16 GB LPDDR5 メモリ、HD画質のHDR OLED(有機EL)タッチスクリーン、512GB/1TB NVMe SSD、50 Whバッテリー、トラックパッドを搭載しています。
また、リフレッシュレート 90 Hz、HDハプティクス、大型の冷却ファン、DSP内蔵ステレオスピーカー、デュアルアレイマイク、microSDカードでのストレージ拡張、45W急速充電、6軸ジャイロセンサー、Steam Deck ドッキングステーション(別売)、USB3 Gen2 Type-C (DP映像出力/PD充電/データ転送)x1、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3に対応しています。
価格は、Amazonで146,200円、楽天市場で98,600円(送料無料)、ヤフーショッピングで99,000円、です。
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