GMKtec EVO-T1 徹底レビュー!EVO-X2との性能差、欠点を評価

GMKtec EVO-T1 本体 前面 上部
2025年7月18日に発売された「GMKtec EVO-T1」は、Intelの最新CPU「Core Ultra 9 285H」を搭載し、その圧倒的なパフォーマンスと、ミニPCの常識を覆す拡張性で注目を集める一台です。

このレビュー記事では、兄弟機であり最大のライバルでもある「GMKtec EVO-X2」と徹底比較し、EVO-T1の持つ真の実力をあらゆる角度から検証しました。

先に結論からお伝えしましょう

GMKtec EVO-T1 の長所 (Pros):

  • Core Ultra 9 285Hによる卓越したCPU性能
  • 3基のM.2スロットとOculinkポートがもたらす比類なき拡張性
  • ユーザー自身でメモリを交換・増設できる柔軟性
  • デュアル2.5G LANによる高度なネットワーク環境
  • 高性能ながら優れた電力効率

GMKtec EVO-T1 の短所 (Cons):

  • パフォーマンスモードの切り替えがBIOS経由で非常に不便
  • Wi-Fi 6に留まる、世代遅れのワイヤレス規格
  • クリエイターには不便なSDカードリーダーの非搭載
  • PC初心者には複雑すぎるBIOS設定

総合評価:

GMKtec EVO-T1は、Intelの最新CPU「Core Ultra 9 285H」を搭載し、ミニPCの常識を覆す拡張性を持ったハイエンドモデルです。兄弟機であるEVO-X2と比較し、ユーザー自身でのメモリ増設や、Oculinkによる外部GPU接続が可能である点が大きな魅力です。結論から言えば、本機はBIOS設定やカスタマイズの手間を惜しまず、自分好みの最強マシンを作り上げたいパワーユーザーにとって、長期的に使える最高の相棒となります。

この記事でわかること

  1. デザイン: 高級感あるメタル筐体(ブラック&ゴールド)、重量約910g、サイズ比較、LEDライティング(13種類)、VESAマウント、縦置きスタンド、付属品
  2. メモリ増設:DDR5 SO-DIMM規格、最大128GB対応、分解手順(ゴム足)、オンボードメモリとの違い
  3. 接続ポート: Oculinkポート、デュアル2.5G LAN、前面USB Type-C、USB 3.2 Gen2、オーディオジャック
  4. Oculink:Oculink (SFF-8612/外付けGPU)、RTX 4090 / 3060Ti接続検証
  5. 映像出力: 最大4画面同時出力、HDMI 2.1、DisplayPort 1.4、8K・4K高リフレッシュレート対応
  6. パフォーマンス: Intel Core Ultra 9 285H、最大99 TOPS、メモリ増設(最大128GB)、ストレージ3基(最大12TB)、96GBメモリモデル
  7. LLM:ローカルLLM(DeepSeek)実測15トークン/秒、最大128GBメモリ拡張による大規模モデル(20B〜70B)対応、共有VRAM最大32GB割当、EVO-X2とのAI性能比較
  8. ベンチマーク: Passmark、Geekbench 6、Cinebench (2023,2024)、CPU性能比較(Core Ultra 9 285H VS Ryzen AI Max+ 395)、グラフィック性能、Intel Arc 140T、3DMark(Fire Strike、Time Spy)
  9. ゲーム性能: モンスターハンターワイルズ、Apex Legends(100FPS超)、原神、エルデンリング、サイバーパンク2077、フレームレート(FPS)
  10. 冷却性能: VCベイパーチャンバー、3つの動作モード、静音性、ファンノイズ、サーマルスロットリングなし
  11. BIOS: 設定画面の入り方(ESCキー)、ドライバーとBIOSの入手(公式ページ)、アップデート手順、電力制限解除(TDP設定)、ファン制御
  12. 通信性能: Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、デュアル有線LAN、NAS構築
  13. ソフトウェアとOS: Windows 11 Pro(クリーンインストール)、正規ライセンス、DeepSeek(ローカルAI)
  14. 比較GMKtec EVO-X2 (AI mini PC)
  15. スペック:仕様詳細
  16. 評価:5段階評価、総評、最適なユーザー、メリット・デメリット
  17. 価格:購入先、GMKtec 日本公式、Amazon、楽天市場、AliExpress、セール、中古

この記事を最後まで読むことで、GMKtec EVO-T1が本当に最適な一台なのか、購入するべきかどうかが、はっきりと分かるはずです。購入を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

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公式ページ:インテル Core Ultra 9 285H–EVO-T1 AI ミニ PC

このページ内の目次

デザイン:GMKtec EVO-T1の質感と設置性、EVO-X2との比較

GMKtec EVO-T1 本体が机の上に置かれている。

ここでは、GMKtec EVO-T1のデザインについて、その外観や質感、付属品、そして兄弟機であるEVO-X2との違いに焦点を当ててレビューしていきます。

第一印象と筐体デザイン

箱から取り出して最初に感じたのは、ミニPCとは思えないほどの高級感でした。本体はシルバーグレーを基調としていますが、目を引くのは筐体をコの字型に覆うゴールド色の金属製シュラウドです。この部分はサンドブラスト加工が施されており、シルク仕上げのブラックのメイン筐体と相まって、デスク上で確かな存在感を放ちます 。多くのミニPCがプラスチック筐体でコストを抑える中、この金属とプラスチックを組み合わせた堅牢な作りは、所有する喜びを感じさせてくれます。

一方で、比較対象の「EVO-X2」も頑丈なアルミケースを採用しておりビルドクオリティは高いものの、シルバーとブラックのツートンカラーで、より実用的な印象を受けます。EVO-T1の持つ、装飾的で豪華な雰囲気は独特の魅力と言えるでしょう。

サイズ感と設置の自由度

GMKtec EVO-T1 2台が縦向きで並んでいる。

本体サイズは154×151×73.6mmで、一般的な10cm四方のミニPCと比べると一回り大きいサイズ感です。実際に、いつもはモニター台の下に収めているミニPCの定位置には入りませんでした。しかし、その重量は約910gと非常に軽量で、デスクトップPCとして見れば驚くほどコンパクトです。このサイズ感が、性能と省スペース性の絶妙なバランスを物語っています。

注目すべきは、約1.5kg以上あるEVO-X2と比較した際の軽快さです。EVO-T1の方が明らかに小型・軽量であり、部屋から部屋へ持ち運んで作業する際も全く苦になりません。さらに、EVO-T1には縦置き用のスタンドとVESAマウントが付属しており、平置き、縦置き、モニター背面への設置と、デスク環境に合わせて柔軟に配置を変えられます。これは、冷却のために縦置きが推奨されるEVO-X2と比べて、大きなアドバンテージだと感じました 。

サイズ・重量の違い

  • GMKtec EVO-T1:(サイズ) 154mm x 151mm x 73.6mm、重量 910g
  • GMKtec EVO-X2:(サイズ) 193mm x 185.8mm x 77mm、重量 約1.5kg〜1.7kg

ゲーミングPCを思わせるLED

筐体上部にはLEDのコントロールボタンがあり、13種類の照明効果を切り替えられます。まるでゲーミングPCのようなこの機能は、遊び心があって気に入りました。例えば、普段は落ち着いた単色で光らせておき、『Apex Legends』をプレイする時にはダイナミックなレインボーモードに切り替える、といった楽しみ方ができます。光り方は金属プレートの隙間からわずかに見える程度で、派手すぎず控えめなのが好印象です。

GMKtec EVO-T1の付属品一覧

  • ACアダプター
  • 縦置きスタンド
  • HDMIケーブル
  • VESAマウント(モニター裏設置用)

まとめ:デザイン

  • 外観:ブラックの筐体にゴールドの金属パーツが映えるデザインで、非常に高級感がある
  • サイズと重量:ミニPCとしてはやや大きいが、約910gと軽量で、デスクトップとして見れば非常にコンパクト
  • 設置性:縦置きスタンドとVESAマウントが付属し、平置き・縦置き・モニター裏と設置の自由度が高い
  • 比較:EVO-X2よりも大幅に小型・軽量で、設置方法に制約がない点が優れている
  • LED:控えめながら13種類にカスタマイズ可能なLEDライティングは、デスクの雰囲気を変えるのに役立つ

メモリの増設・交換:最大128GB対応の規格と詳細な分解手順

GMKtec EVO-T1の底面

GMKtec EVO-T1の最大のメリットの一つは、ユーザー自身でメモリ増設や交換が簡単に行える点です。ライバル機である「EVO-X2」や「Mac mini」はメモリが基板に直付け(オンボード)されており、購入後の増設は一切できません。しかし、EVO-T1なら、用途に合わせて後からスペックアップが可能です。

ここでは、具体的なメモリの規格と、増設のための分解手順を解説します。

対応するメモリ規格

増設用メモリを購入する際は、以下のスペックに適合するものを選んでください。

  • メモリスロット: DDR5 SO-DIMM ×2スロット
  • 対応規格: DDR5-5600 MT/s または DDR5-6400 MT/s(Crucial製やKingston製などが推奨されます)
  • 最大容量: 合計128GB(64GB ×2枚)

標準でも64GBという大容量を搭載していますが、将来的に動画編集や仮想マシン(VM)などでさらにメモリが必要になった場合、最大128GBまで拡張できるのは、長く使う上で非常に大きな安心感です。

メモリ増設・交換のやり方(分解手順)

GMKtec EVO-T1のメモリ。本体内部。

GMKtec EVO-T1は、メンテナンス性の高さも考慮されています。

  1. ゴム足を回す: 底面のゴム足自体がネジになっています。ドライバーなどの工具は不要で、指で反時計回りに回すだけで取り外せます。
  2. 金属シュラウド(外枠)を外す: ゴム足を外すと、金色の金属製シュラウドがスライドして外れます。
  3. 内部カバーを開ける: ここからはプラスドライバーが必要です。側面のネジ(4本)を外すと、内部のマザーボードにアクセスできます。
  4. メモリ・SSDにアクセス: ファンユニットの下にメモリスロットとM.2スロットがあります。

非常にシンプルな構造ですが、内部カバーを開ける際は、ファンの配線などを切らないように慎重に作業してください。この手軽さなら、PC初心者でも比較的安心してメモリ増設に挑戦できるでしょう。

接続ポートと映像出力:GMKtec EVO-T1の充実したインターフェースと映像性能

GMKtec EVO-T1の前面ポート

ここでは、GMKtec EVO-T1が搭載する豊富な接続ポートと、そのパワフルな映像出力能力について、実際に使用して感じたメリットを交えながらレビューします。

充実したポート類と賢い配置

GMKtec EVO-T1は、そのコンパクトな筐体に驚くほど多くのポートを搭載しています。特に便利だと感じたのが、本体前面のポート配置です。USB 3.2 Gen2規格のType-Aポートが3つも並んでいるため、キーボードやマウス、USBメモリなどを頻繁に抜き差しする際に非常にアクセスしやすく、ストレスがありません。

さらに、その隣にあるUSB Type-Cポートはデータ転送だけでなく、映像出力(DisplayPort)や給電(Power Delivery)にも対応する優れものです。このポート一つでポータブルモニターに映像を送りながら給電できた時は、そのスマートさに思わず感動しました。

また、オーディオジャックが前面と背面の両方にあるのも、地味ながら嬉しいポイントです。普段は背面のスピーカーに接続し、深夜に集中して作業する際は前面のジャックにヘッドホンを挿す、といった使い分けがスムーズに行えます。比較対象の「EVO-X2」はSDカードリーダーを搭載している点が魅力的ですが、EVO-T1のポート構成は、日常的な使い勝手を非常によく考えて設計されていると感じます。

GMKtec EVO-T1の背面ポート

デュアルLANが構築する高度なネットワーク

背面には2.5Gの有線LANポートが2つも搭載されています。これにより、1つを高速なインターネット回線に、もう1つを家庭内のNAS(ネットワーク接続ストレージ)に接続するといった、より高度なネットワーク環境を構築できます。このデュアルLAN仕様は、安定した高速通信を求めるクリエイターや、コンパクトなホームサーバーとして活用したいユーザーにとって、非常に心強い味方となります。

最大4画面出力のパワフルな映像性能

GMKtec EVO-T1でFPSゲームをプレイする様子。

EVO-T1は、本体だけで最大4画面への同時出力に対応しており、その映像出力能力の高さには目を見張るものがあります。HDMI 2.1、DisplayPort 1.4、そしてUSB4とType-Cポートを活用することで、広大なデスクトップ作業環境を簡単に構築できました。実際に、メインモニターで『Adobe Premiere Pro』を操作し、2台目のモニターで素材ファイルを確認、3台目でコミュニケーションツールを表示させるという使い方を試しましたが、動作が重くなることもなく、作業効率が格段に向上しました。

HDMI 2.1ポート最大8K@60Hz、または4K@144Hzという高いスペックに対応しているため、高リフレッシュレートのゲーミングモニターの性能も最大限に引き出せます。デュアルディスプレイで十分という方から、3画面以上が必須のトレーダーやプログラマーまで、幅広いニーズに応える柔軟性を備えています。

GMKtec EVO-T1の接続ポート一覧

  • 前面
  • 3.5mmコンボオーディオジャック ×1
  • USB3.2 Gen2 Type-C(PD/DP/データ対応) ×1
  • USB3.2 Gen2 Type-A ×3
  • 電源ボタン(白色LED付き)
  • CMOSクリアボタン
  • 背面
  • 5.5×2.5mm充電ポート ×1
  • 3.5mmコンボオーディオジャック ×1
  • HDMI 2.1 ×1
  • DP 1.4 ×1
  • Oculink(PCIe Gen4×4) ×1
  • USB2.0 Type-A ×2
  • 2.5G LAN ×2

まとめ:接続ポートと映像出力

  • ポート構成:前面の多機能USB-Cポートや、前面・背面の両方にあるオーディオジャックなど、ユーザー目線の賢い配置が光る
  • ネットワーク:デュアル2.5G LANポートを搭載し、高速で安定した有線ネットワーク環境を構築可能
  • 映像出力:HDMI 2.1やDisplayPort 1.4などを活用し、最大4画面の同時出力に対応しており、クリエイティブ作業にも最適
  • 比較:EVO-X2がSDカードリーダーを搭載する一方、EVO-T1はOculinkとデュアルLANという独自の強みを持つ

Oculinkポート(SFF-8612):USB4の限界を突破する、真の拡張性

GMKtec EVO-T1を単なる「事務用ミニPC」で終わらせないための最大の武器、それが背面に搭載されたOculink(SFF-8612)ポートです。これまで、ミニPCでグラフィック性能を強化するにはUSB4(Thunderbolt)接続のeGPUボックスを使うのが一般的でした。しかし、そこには「通信帯域の壁」と「変換ロス」という大きな課題が存在していました。EVO-T1が採用したOculinkは、その常識を根本から覆します。

PCIe 4.0 x4 ダイレクト接続の恩恵

Oculinkの最大の利点は、CPUが持つPCI Expressレーン(PCIe 4.0 x4)を、変換チップを通さずにそのまま外部に引き出している点です。USB4の最大転送速度が40Gbps(実効速度はさらに低い)であるのに対し、Oculink(PCIe 4.0 x4)は最大64Gbpsの帯域幅を持ちます。何より重要なのは、USBプロトコルへの変換に伴うオーバーヘッド(遅延やロス)がほぼゼロであることです。これにより、デスクトップPCのマザーボードにグラフィックボードを直接挿した場合に極めて近いパフォーマンスを発揮できます。

実機検証:RTX 3060Ti接続で『モンハンワイルズ』は遊べるか?

論より証拠です。手元にあったミドルレンジGPU「NVIDIA GeForce RTX 3060Ti」を、Oculink対応のドック経由でEVO-T1に接続し、内蔵GPU(Intel Arc 140T)では荷が重い最新重量級タイトル『モンスターハンターワイルズ』で検証を行いました。

内蔵GPU (Arc 140T): 画質設定を「最低」まで落とし、XeSS(アップスケーリング)を効かせてもフレームレートは30fps前後を行き来し、激しい戦闘シーンではカクつきが見られました。

Oculink接続 (RTX 3060Ti): 劇的な変化です。画質設定を「中」に引き上げても、フレームレートは安定して60fps以上を維持。入力遅延も感じられず、ハンターの動きが指に吸い付くように反応します。

この結果は、EVO-T1がケーブル1本で本格的なゲーミングPCへと変貌することを証明しています。

ハイエンドGPU「RTX 4090」で得られる未来

今回はRTX 3060Tiでの検証でしたが、Oculinkの帯域幅があれば、現行最強クラスの「RTX 4090」の性能さえもかなりのレベルで引き出すことが可能です。もし将来、さらに重いゲームが登場したり、高度なローカルAI学習を行いたくなったりしても、PC本体を買い替える必要はありません。より強力なグラフィックボードに差し替えるだけで、最新のデスクトップPCと同等の性能を手に入れることができます。

この「本体を変えずに性能をアップデートできる」という柔軟性こそが、メモリ増設不可・GPU拡張不可のライバル機(EVO-X2やMac mini)には真似できない、EVO-T1だけの圧倒的なアドバンテージです。

まとめ:Oculinkポート

  • 接続方式:PCIe 4.0 x4のダイレクト接続により、USB4接続のようなボトルネックや変換ロスを極限まで排除。
  • ゲーミング性能:RTX 3060Tiクラスの接続でも、重量級タイトルが快適に動作するレベルまで性能が向上する。
  • 将来性:RTX 4090などのハイエンドGPUにも対応可能で、PC本体を買い替えずにグラフィック性能だけを永続的に強化できる。
  • コストパフォーマンス:高価なゲーミングPCを別途購入するよりも、手持ちのグラボを流用できるため経済的合理性が高い。

パフォーマンス:GMKtec EVO-T1 Core Ultra 9 285Hの真価とAI性能

GMKtec EVO-T1の天板にあるインテルのロゴ

ここでは、GMKtec EVO-T1の性能面に深く切り込んでいきます。最新のIntel Core Ultra 9 285Hプロセッサーがもたらす処理能力、ローカルAIの実行性能、そしてメモリやストレージの拡張性について、実際に使って感じた驚きと共にお伝えします。

新世代CPU「Intel Core Ultra 9 285H」の実力

EVO-T1のパフォーマンスを支えるのは、Intelの第2世代Core Ultraプロセッサー「Core Ultra 9 285H」です。TSMCの先進的な3nmプロセスで製造されたこのCPUは、6つの高性能Pコア、8つの高効率Eコア、そして2つの超低電力LPコアを組み合わせた、合計16コア/16スレッドのハイブリッド構成を採用しています。最大5.4GHzという高いクロック周波数と24MBの大容量L3キャッシュにより、あらゆる処理を高速に実行します。

CPUに統合されたグラフィックスは「Intel Arc 140T」で、CPUとキャッシュを共有することで、グラフィック処理の応答性を高めています。一方、比較対象のEVO-X2が搭載するAMD Ryzen AI Max+ 395は、同じ16コアでありながら32スレッド処理に対応しており、マルチスレッド性能では異なるアプローチを見せています。しかし、EVO-T1のシングルコア性能は非常に高く、多くのアプリケーションでキビキビとした動作を体感できました。

クリエイティブ作業も快適な実用パフォーマンス

スペック上の数値もさることながら、実際の使用感は期待を遥かに超えるものでした。私の普段の作業である、複数のAdobe Creative Cloudアプリ、例えば『Photoshop』での画像編集と『Premiere Pro』での動画編集を同時に行うような高負荷な場面でも、動作は驚くほどスムーズでした。特に、4K動画の書き出し(エンコード)作業では、M4チップを搭載したMacBook Airを超える処理速度を記録し、そのパワーには本当に驚かされました 。

もちろん、『Microsoft 365』を使った資料作成や、多数のタブを開いたウェブブラウジングといった日常的なタスクでは、処理の遅れを感じる場面は一切ありません。まさに、プロのクリエイティブワークから日々の業務まで、あらゆる用途で最高のパフォーマンスを発揮してくれる一台です。

比類なきストレージ拡張性と実用的なメモリ容量

GMKtec EVO-T1のストレージ。本体内部。

パフォーマンスを語る上で欠かせないのが、メモリとストレージです。EVO-T1は標準で64GB(32GB×2)の大容量DDR5メモリを搭載しており、動画編集やマルチタスクなど、ほとんどのユーザーにとっては標準状態で十分すぎる容量です(※増設手順は前述の通りです)。

そして、私が最も素晴らしいと感じたのはストレージの拡張性です。内部にはPCIe 4.0対応のM.2スロットが3基も用意されています。これにより、OSが入ったメインのSSDをそのままに、データ保存用や作業用の高速SSDを2枚も「増設」できるのです。これはデュアルスロットのEVO-X2よりも1基多く、将来的に大容量ストレージが必要になった際も安心です。この圧倒的な拡張性は、EVO-T1の大きな魅力と言っても過言ではありません。

GMKtec EVO-T1のパフォーマンス仕様一覧

  • CPU: インテル® Core™ Ultra 9 285H
  • コア/スレッド: 16コア / 16スレッド (6P+8E+2LP)
  • 最大クロック周波数: 5.4 GHz
  • キャッシュ: 24 MB L3キャッシュ
  • グラフィックス: Intel® Arc™ 140T GPU
  • AI性能:
  • NPU: インテル® AI ブースト (13 TOPS)
  • システム合計: 最大99 TOPS
  • メモリ:
  • 容量: 64GB (32GB×2) DDR5 5600 MT/s
  • 拡張性: 2×DDR5 SO-DIMMスロット、最大128GBまで対応
  • ストレージ:
  • 拡張性: 3×M.2 2280 PCIe 4.0 x4スロット、合計最大12TBまで対応

まとめ:パフォーマンス

  • CPU性能:Intel Core Ultra 9 285Hは、動画編集などの重いクリエイティブ作業も快適にこなす非常に高い処理能力を持つ
  • メモリ:標準で64GBのDDR5を搭載し、ユーザー自身で最大128GBまで増設可能な高い柔軟性を誇る
  • ストレージ:3基のM.2スロットを備え、換装ではなく増設できる比類なき拡張性が最大の魅力
  • 比較:AIの総合性能ではEVO-X2に軍配が上がるが、メモリとストレージの拡張性ではEVO-T1が圧倒的に優位

ローカルLLM(大規模言語モデル)の実行性能

最大128GBメモリが変える「AI PC」の定義

GMKtec EVO-T1がLLM(大規模言語モデル)の愛好家やAIエンジニアから熱烈に支持される最大の理由は、単なる計算速度(TOPS)ではなく、「巨大なモデルを飲み込めるメモリ容量」という物理的な解決策を持っている点にあります。

実測15トークン/秒のレスポンスとVRAM割当の妙

本機には、軽量ながら高性能なLLM「DeepSeek」がプリインストールされています。実際に内蔵アプリで動作させたところ、約15トークン/秒という、人間が文章を黙読するスピードを遥かに超える高速なレスポンスを確認しました。

ここで注目すべきは、Intel Arc 140T GPUの共有メモリ管理です。64GBモデルの場合、共有VRAMとして最大32GBを割り当て可能(そのうちDeepSeek 32bモデルが約22GBを占有)となります。これにより、通常ならハイエンドな外部GPU(eGPU)がなければ動作すら困難な「量子化された30Bクラスのモデル」を、内蔵GPUだけで実用レベルで動作させられる「AIの足回り」の強さが証明されました。

LLMの「メモリの壁」を打ち破る最大128GB拡張

ローカルLLM運用において、最も残酷な現実は「メモリが足りなければ起動すらしない」という点です。

EVO-X2との比較: EVO-X2はNPU単体で50 TOPS(システム計126 TOPS)と計算速度は上回りますが、オンボードメモリのため増設が不可能です。

EVO-T1の優位性: 一方のEVO-T1は、SO-DIMMスロットによりユーザー自身の手で最大128GB(公式96GB)まで拡張できます。

この差は決定的です。「LM Studio」等を使用して、より高度な推論が可能な20B〜70Bパラメータのモデルをロードする場合、32GBのオンボード機では「Out of Memory(メモリ不足)」で即座にクラッシュしますが、EVO-T1ならそれらを余裕を持って飲み込むことができます。Mac mini M4で同様のメモリ容量を確保しようとすれば、本機が2〜3台買えるほどのコストがかかることを考えると、EVO-T1の費用対効果は圧倒的です。

3基のM.2スロットが実現する「巨大モデルライブラリ」のオフライン運用

LLMのモデルデータは1つで数十GBに及ぶことも珍しくありません。EVO-T1が備える3基のM.2スロット(最大合計24TB拡張)は、この巨大なモデルファイルを複数保存し、オフラインで瞬時に切り替えて運用するのに最適な環境を提供します。開発環境(コード生成)からクリエイティブなAIアシスタントまで、クラウドを一切介さず、プライバシーを完全に保護した状態でこれほどの「AIラボ」を構築できるミニPCは他に類を見ません。

まとめ:LLM(大規模言語モデル)

  • 推論速度:DeepSeek(32b量子化モデル)で実測15トークン/秒をマーク。チャット・要約ともに実用十分。
  • メモリの戦略的価値:最大128GB増設対応。オンボード機の限界(32GB/16GB)では不可能な「大規模・高精度モデル」のロードが可能。
  • GPU共有メモリ:大容量メモリを活かし、GPU側に32GB以上の共有VRAMを割り当てることで、外部GPUなしでのLLM運用を実現。
  • EVO-X2との棲み分け:純粋な推論速度ならEVO-X2だが、「巨大モデルの安定運用と拡張性」なら間違いなくEVO-T1が勝る。
  • ストレージの暴力:M.2スロット3基搭載。重い学習データやモデルファイルを物理的に分離して大量にストック可能。

ベンチマーク

GMKtec EVO-T1が搭載するIntel Core Ultra 9 285H プロセッサはどのくらいの性能なのでしょうか?ベンチマークで調べてみました。

<CPUのベンチマーク結果・Intel Core Ultra 9 285H>

PassmarkのCPUベンチマークスコア

33,731

Geekbench 6 (シングルコア)

3,000

Geekbench 6 (マルチコア)

17,570

Cinebench 2023 (シングルコア)

2,120

Cinebench 2023 (マルチコア)

15,721

Cinebench 2024 (シングルコア)

124

Cinebench 2024 (マルチコア)

1,038

PCMark 10 スコア

6,852

ベンチマーク結果から分かること

Intel Core Ultra 9 285Hは、シングルコア、マルチコアともに最高レベルの性能を誇るプロセッサであると結論付けられます。Passmarkのスコアが示す圧倒的な総合力、CinebenchやGeekbenchのマルチコアスコアが証明する専門的な高負荷作業への対応能力、そして同じくGeekbenchやCinebenchのシングルコアスコアとPCMark 10が示す日常利用での卓越した快適性を兼ね備えています。

これにより、GMKtec EVO-T1は、コンパクトな筐体でありながら、要求の厳しいコンテンツ制作、高度なデータ処理、そして快適な日常業務まで、あらゆる用途においてユーザーの期待を上回るパフォーマンスを提供するマシンであると言えるでしょう。このプロセッサは、まさに妥協を許さない性能を求めるユーザーにとって最適な選択肢の一つです。

Intel Core Ultra 9 285H VS Ryzen AI Max+ 395 性能比較

GMKtec EVO-T1が搭載するIntel Core Ultra 9 285H プロセッサは、GMKtec EVO-X2が搭載するAMD Ryzen AI Max+ 395プロセッサとどのくらい性能が違っているのでしょうか?ベンチマークで比較してみました。

GMKtec EVO-T1

比較して分かること

Intel Core Ultra 9 285HとAMD Ryzen AI Max+ 395は、それぞれ異なる強みを持つプロセッサですが、全体的なパフォーマンスではAMDに軍配が上がると言えるでしょう。CPU性能において、シングルコア性能では両者はほぼ互角であり、日常的な軽いタスクでは性能差を体感することは少ないと推測されます。

しかし、現代のPC利用環境では、バックグラウンドで多くのプロセスが動くことが当たり前であり、複数のコアを効率的に利用するアプリケーションも増えています。そうした中で、動画編集やライブ配信、高度な科学技術計算といった、CPUの全能力を要求するようなヘビーなマルチタスク環境においては、AMD Ryzen AI Max+ 395が持つ圧倒的なマルチコア性能が大きなアドバンテージとなります。ユーザーはより短い時間で作業を終えることができ、生産性の向上に直結するでしょう。

グラフィック性能

GMKtec EVO-T1が搭載するIntel Core Ultra 9 285H プロセッサのグラフィック性能はどのくらいなのでしょうか?ベンチマークで比較してみました。

<GPUのベンチマーク結果・Intel Arc 140T GPU グラフィックスコア>

Fire Strike グラフィックスコア (DX11)

7,490

Fire Strike Extreme

3,500

Time Spy グラフィックスコア (DX12)

3,549

3DMark Night Raid (低負荷)

30,000

3DMark Wild Life (Vulkan/Metal)

7,100

ベンチマーク結果から分かること

Intel Core Ultra 9 285Hに統合されたIntel Arc 140T GPUは、CPU内蔵グラフィックスの性能を新たな次元へと引き上げ、本格的な3Dグラフィックス処理能力を持つことを証明しています。Fire StrikeやTime Spyの結果が示すように、これまで専用グラフィックボードが必須とされてきたようなPCゲームも、画質設定次第で十分に楽しむことが可能です。また、Night RaidやWild Lifeのスコアは、軽量なゲームや多様なアプリケーションに対する高い適応力を示しています。

これにより、GMKtec EVO-T1は、CPUの高い処理性能と相まって、別途グラフィックボードを追加することなく、軽めのゲーミングや写真・動画編集といったクリエイティブな用途にも対応できる、非常に汎用性の高いコンパクトPCとなっています。もちろん、最新のAAAタイトルを高画質・高フレームレートでプレイするような、ハイエンドの専用GPUが求められる用途には及びませんが、多くのユーザーにとって十分以上のグラフィック性能を提供し、小型PCの可能性を大きく広げる存在であることは間違いありません。

グラフィック性能の違い:Intel Core Ultra 9 285HとAMD Ryzen AI Max+ 395

GMKtec EVO-T1

Intel Core Ultra 9 285HとAMD Ryzen AI Max+ 395の性能差が最も顕著に表れているのが内蔵GPUの分野です。AMDのRadeon 8060Sグラフィックスは、IntelのArc 140T GPUをあらゆる指標で凌駕しており、その差は数倍にも及びます。これは、別途グラフィックボードを搭載しないノートPCなどにおいて、非常に重要な要素です。

Intelの内蔵GPUでも基本的な描画や動画再生は問題ありませんが、ある程度のグラフィック設定でPCゲームを楽しみたい、あるいはGPUアクセラレーションを活用するクリエイティブなソフトウェアを快適に動かしたいと考えるユーザーにとっては、AMD Ryzen AI Max+ 395が提供するグラフィックス性能は非常に魅力的です。

ゲーム性能:GMKtec EVO-T1 内蔵GPUの限界を打ち破る驚きの実力

GMKtec EVO-T1でレースゲームをプレイする様子。

「ミニPCで本格的なPCゲームは難しい」というのは、もはや過去の話かもしれません。GMKtec EVO-T1が搭載するIntel Core Ultra 9 285Hと、その内蔵グラフィックス「Intel Arc 140T」が、どれほどのゲーミング性能を秘めているのか。実際に様々な人気タイトルをプレイし、その実力を徹底的にレビューします。

モンスターハンターワイルズ

広大なフィールドと動的な気象変化が特徴の『モンスターハンターワイルズ』。1920×1080(フルHD)、画質「低」、XeSS「パフォーマンス」設定において、フレームレートは30〜45fpsで動作しました。

探索や小規模な戦闘では40fps前後で安定しており、アクション操作も快適です。大型モンスターの混戦や砂嵐などの激しいエフェクト発生時には30fps程度まで落ち込みますが、Core Ultra 9 285Hのパワーにより拠点内での処理落ちは最小限。設定を最適化することで、ミニPCでも十分に狩猟を楽しめる水準です。

原神

次に、広大で美しいオープンワールドが魅力の『原神』をプレイ。解像度1080p、グラフィック設定を「中」に設定したところ、50FPSから60FPSの間で安定して動作しました。モンドの草原を駆け抜け、璃月の絶景を眺める際も、カクつきは一切なく、この世界の魅力を存分に味わうことができました。元素反応を駆使するスピーディーな戦闘シーンでもフレームレートは安定しており、ストレスなく爽快なバトルを楽しめたのは非常に好印象です。

Apex Legends

まず試したのは、1秒の判断が勝敗を分けるバトルロイヤルシューター『Apex Legends』です。解像度を1080p、グラフィック設定をパフォーマンス重視の「低」にしたところ、フレームレートは平均100FPS前後という驚異的な数値を叩き出しました。遮蔽物のない場所での撃ち合いから、複数の部隊が入り乱れる最終盤の混戦に至るまで、画面は常に滑らか。敵の動きを正確に捉え、リコイルコントロールも思いのままに行えるこの環境は、まさに競技性の高いこのゲームで大きなアドバンテージになると感じました。

エルデンリング

強大なボスとの死闘が待ち受ける『エルデンリング』では、フレームレートの安定が攻略の鍵を握ります。解像度1080p、グラフィック設定を「低」にすることで、40FPSから60FPSでの動作を確認しました。霊馬に乗って広大な「狭間の地」を探索する際はもちろん、ボスの素早い攻撃を見極めて回避する場面でも、安定したフレームレートのおかげで、入力遅延を感じることなくシビアなアクションに集中できました。

サイバーパンク2077

極めて高いグラフィック負荷を要求する『サイバーパンク2077』。この巨大未来都市をEVO-T1で体験するため、1080p解像度、「低」設定に加え、Intelのアップスケーリング技術「XeSS」を「パフォーマンス」モードで活用しました。その結果、フレームレートは40FPSから50FPSを確保。最高の画質とは言えませんが、ネオンが輝くナイトシティの雰囲気を損なうことなく、重厚な物語を十分に楽しむことができました。

Forza Horizon 5

美しいメキシコの風景の中を駆け抜ける『Forza Horizon 5』では、PCへの最適化の素晴らしさを実感しました。1080p解像度、グラフィック設定「中」という設定でも、フレームレートは安定して60FPS前後を維持。数百キロのスピードで風景が流れていく中でのレースやドリフトも、処理落ちを気にすることなく心ゆくまで楽しむことができました。内蔵GPUであることを忘れさせるほどの快適なドライブ体験です。

まとめ:ゲーム性能

モンスターハンターワイルズ (1080p / 低 + XeSS)

30 – 45 FPS

原神 (1080p / 中)

50 – 60 FPS

Apex Legends (1080p / 低)

平均 100 FPS 前後

エルデンリング (1080p / 低)

40 – 60 FPS

サイバーパンク2077 (1080p / 低 + XeSS)

40 – 50 FPS

Forza Horizon 5 (1080p / 中)

安定 60 FPS 前後

GMKtec EVO-T1のゲーム性能は、多くの人が抱く「CPU内蔵グラフィックス」のイメージを覆す、驚くべきポテンシャルを秘めていました。

最新の超重量級タイトル『モンスターハンターワイルズ』において、内蔵GPUながら設定次第で狩猟を楽しめる水準に達している点は特筆すべきでしょう。また、『エルデンリング』や『サイバーパンク2077』といった負荷の高いAAAタイトルも、画質調整やXeSSを活用することで、その重厚な世界観を損なうことなくスムーズにプレイ可能です。

一方で、『Apex Legends』のような競技性の高いゲームでは平均100FPS超えの滑らかな描画を実現し、『原神』や『Forza Horizon 5』といった人気作も中画質設定で安定した動作を見せました。

別途グラフィックボードを必要としないこのコンパクトな筐体で、これほど幅広いジャンルの最新ゲームに対応できる汎用性の高さは、EVO-T1の大きな魅力と言えるでしょう。

冷却性能:GMKtec EVO-T1 静音性とパワーを両立させる3つの動作モード

GMKtec EVO-T1の冷却システム

ここでは、GMKtec EVO-T1の冷却性能と静音性をレビューします。パワフルなCPUをいかに安定して冷却し、静かな環境を提供できるのか。より高発熱な兄弟機「GMKtec EVO-X2」との比較を通じて、その実力と設計思想の違いに迫ります 。

VCベイパーチャンバー搭載の先進的な冷却設計

EVO-T1の冷却システムの核となっているのは、CPU全体を完全に覆う大型のVC(ベイパーチャンバー)と、効率的に熱を排出するデュアルファンです。この先進的な設計は、3Dサラウンド吸気口や、デザインと吸気効率を両立させた金属製シュラウドと相まって、Core Ultra 9 285Hのような高性能CPUが発生させる熱を強力に処理します。

このおかげで、高負荷な作業を長時間続けてもパフォーマンスが安定しているという、絶大な安心感を得ることができました。比較対象のEVO-X2は、より多くの熱を発生させるCPUを搭載していることもあり、ユーザーからは95℃を超えるような高温の報告や、「熱管理が良くない」といった声も上がっています。その点、EVO-T1の冷却設計は非常にバランスが取れており、信頼性が高いと感じます。

利用シーンで選ぶ3つのパフォーマンスモード

EVO-T1の冷却性能を語る上で欠かせないのが、「サイレント(35W)」「バランス(54W)」「パフォーマンス(80W)」という3つの動作モードの存在です。これらのモードを切り替えることで、PCの性格をガラリと変えることができます。

例えば、深夜に集中して作業したい時や、『Netflix』で映画を鑑賞する際には「サイレント」モードを選択。すると、PCはほぼ無音になり、その存在を忘れるほど静かな環境を提供してくれます。普段のウェブブラウジングや『Microsoft Office』での資料作成は「バランス」モードで十分快適。

そして、4K動画の書き出しのようにマシンのパワーを最大限引き出したい場面では、「パフォーマンス」モードの出番です。このモードではファンの回転数は上がりますが、その分、処理能力は飛躍的に向上します。驚くべきことに、この最大80Wで動作するモード10分間のストレステストを実行しても、CPU温度は80℃で安定し、性能低下(サーマルスロットリング)は一切見られませんでした。

静音性とパワーのトレードオフ、そして唯一の不満点

パフォーマンスモードでは、ファンの音は51.6dB(A)に達し、常に聞こえる状態になります。しかし、その音質は不快な高周波音ではなく、安定した風切り音といった印象で、集中力を著しく削がれることはありませんでした。これは、一部のユーザーから「爆音「耐え難い騒音」といった厳しい評価も出ているEVO-X2とは大きく異なる点です 。EVO-T1は、パワーと静音性のバランスをより高い次元で両立させていると言えるでしょう。

ただし、この優れたモード切り替え機能には、一つだけ大きな不満点があります。それは、モードの変更がBIOS画面からしか行えないことです。作業の途中で「少しだけパワーが欲しい」と思っても、そのためにはPCを再起動してBIOSを操作するという手間が必要で、これは「超絶面倒くさい」と感じました。EVO-X2のように物理ボタンがあれば、このマシンの評価はさらに揺るぎないものになったでしょう。

GMKtec EVO-T1の冷却性能仕様一覧

  • 冷却システム: VC(ベイパーチャンバー)放熱とインテリジェントファンコントロールを備えたデュアル冷却システム
  • 吸気口: デュアル3Dサラウンド吸気口
  • パフォーマンスモード: 3段階(サイレント:35W、バランス:54W、パフォーマンス:80W)
  • 高負荷時CPU温度: 約80℃で安定(サーマルスロットリングなし)
  • 騒音レベル:
  • アイドル時: 約39dB(A)
  • 高負荷時: 最大51.6dB(A)
  • 筐体表面温度: 高負荷時でも底面の最大48.5℃を除き、全体的に低温を維持

まとめ:冷却性能

  • 冷却システム:CPU全体を覆うVCベイパーチャンバーとデュアルファンにより、高負荷時でも安定した冷却性能を発揮する
  • パフォーマンスモード:静音性重視の「サイレント」から、フルパワーを発揮する「パフォーマンス」まで、3つのモードを用途に応じて使い分けられる
  • 安定性:長時間の高負荷テストでもサーマルスロットリングは見られず、性能を安定して維持できる高い信頼性を持つ
  • 静音性:パフォーマンスモードではファンノイズが聞こえるが、不快な音質ではなく、サイレントモードではほぼ無音動作が可能
  • 操作性:モード切替がBIOSからしか行えず非常に不便な点が唯一の大きな欠点

BIOS設定とアップデート手順:GMKtec EVO-T1の場合

GMKtec EVO-T1のBIOS画面。

GMKtec EVO-T1は、一般的なメーカー製PCとは異なり、BIOS(UEFI)の設定項目が非常に細かく開放されている「無制限状態」に近い仕様が特徴です。パフォーマンスの切り替えや、ファン制御、将来的なアップデートのために、BIOSの操作方法は必ず押さえておく必要があります。
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1. BIOS画面への入り方(起動キーに注意)

多くのPCは「Delete」や「F2」キーでBIOSに入りますが、EVO-T1は「ESC」キーです。ここを間違えるといつまでも設定画面に入れません 。

  1. PCの電源ボタンを押します。
  2. 画面にロゴが出る前から、キーボードの「ESC」キーを連打します。
  3. 青とグレーを基調とした「Aptio Setup Utility」画面が表示されれば成功です。

2. パフォーマンスモードの切り替え方法

本機の最大の欠点とも言えるのが、パフォーマンスモードの切り替えがBIOS経由でしか行えない点です。物理ボタンやWindows上のソフトはありません。

手順:

  1. BIOSに入り、上部タブの「Main」を選択。
  2. 下の方にある「Power Mode Select」という項目を探します。
  3. エンターキーを押し、以下の3つから選択します。
  4. Quiet: 静音重視(35W制限)
  5. Balance: デフォルト設定(54W制限)
  6. Performance: 最大性能(80W制限・ファン音大)
  7. 「F4」キー(Save & Exit)を押し、「Yes」を選択して再起動します。

3. ドライバーとBIOSアップデートファイルの入手方法

ドライバーの再インストールやBIOSの更新ファイルは、GMKtec公式サイトからダウンロードします。

  1. 入手先: GMKtec公式サイトのメニューから「ドライバーとソフトウェア」へアクセス。
  2. 製品選択: リストから「NucBox EVO-T1」を選択します。

【重要】Googleドライブからダウンロードできない場合の対処法 GMKtecの配布ファイルはGoogleドライブに格納されていますが、アクセスが集中して「ダウンロード制限(クォータ超過)」のエラーが出ることが頻繁にあります。その場合は以下の手順で回避してください。

  • 自分のGoogleアカウントにログインした状態で、目的のファイルを右クリックし「コピーを作成」を選びます。
  • 自分の「マイドライブ」にファイルがコピーされます。
  • コピーされたファイルを右クリックし、「ダウンロード」を選択します。

これで制限を回避してダウンロードが可能です。

4. BIOSアップデートの実行手順

ダウンロードしたファイル(通常はZIP形式)には、必ず手順書(PDFやReadMe.txt)が同梱されています。バージョンによって更新方法が異なる場合があるため、必ずその指示に従ってください。

一般的な流れ(例):

  1. ファイルを解凍し、USBメモリ等のルートディレクトリに置く。
  2. バッチファイル(.bat)を管理者権限で実行する、またはBIOS画面の「UEFI Shell」からコマンドを実行する。

注意: アップデート中は絶対に電源を切らないでください。失敗するとPCが起動しなくなります。不具合がない場合は、無理にアップデートする必要はありません。

通信性能:GMKtec EVO-T1 最新規格より実用性、デュアルLANの強み

GMKtec EVO-T1の背面 外観。LANポートが見える。

ここでは、現代のPC体験に不可欠な通信性能について、GMKtec EVO-T1がどのような強みを持っているのかをレビューします。最新の無線規格との比較や、本機ならではの有線接続の魅力に迫ります。

Wi-Fi 6とBluetooth 5.2:堅実なワイヤレス性能

GMKtec EVO-T1は、無線通信規格としてWi-Fi 6とBluetooth 5.2に対応しています。正直に言うと、最新規格のWi-Fi 7Bluetooth 5.4を搭載するEVO-X2と比較すると、スペックシート上では一歩譲る点は否めません。実際、より新しい規格を望む声があるのも事実です。

しかし、実際の使用感はどうでしょうか。私の環境で、大容量のファイルをクラウドストレージにアップロードしたり、『Spotify』で高音質の音楽をストリーミング再生しながらウェブ会議に参加したりといった使い方をしても、接続が不安定になることは一度もありませんでした。実測値でも受信・送信ともに安定して高い数値を記録しており、ほとんどの家庭やオフィスのインターネット環境において、Wi-Fi 6は十分すぎるほどの速度と安定性を提供してくれます。ワイヤレスキーボードやマウス、ヘッドセットとのBluetooth接続も途切れることなく、快適そのものでした。

EVO-T1が誇る最大の武器:デュアル2.5G LAN

このデュアルLANこそ、EVO-T1を単なる高性能ミニPC以上の存在に引き上げる、最大の魅力です。多くのミニPCがシングルLAN、それも1G規格に留まる中で、高速な2.5G LANポートを2つも搭載している点は、他の製品と明確に一線を画します。

例えば、一方のポートを高速インターネット回線に接続し、もう一方をNAS(ネットワークHDD)に直結すれば、大容量の動画データをNASにバックアップしながら、オンラインでの作業やストリーミング視聴を快適に行えます。これは、シングルLANのEVO-X2では実現できない、非常に柔軟なネットワーク構築です。クリエイターや開発者、あるいは自宅で本格的なネットワーク環境を構築したいユーザーにとって、この仕様は無線規格の世代差を補って余りあるメリットだと断言できます。

GMKtec EVO-T1の通信性能仕様一覧

  • Wi-Fi: Wi-Fi 6 (AX200)
  • Bluetooth: Bluetooth 5.2
  • 有線LAN: 2× 2.5G LAN (Realtek 8125BG)

まとめ:通信性能

  • ワイヤレス性能:Wi-Fi 6とBluetooth 5.2は最新規格ではないものの、日常的な利用において十分な速度と安定性を持つ
  • 有線LAN:デュアル2.5G LANポートの搭載が最大の特徴であり、他のミニPCと一線を画す
  • 実用性:クリエイターやネットワーク構築を楽しむユーザーにとって、有線の拡張性は無線規格の世代差を補って余りあるメリットとなる
  • 比較:ワイヤレスの最新規格ではEVO-X2に軍配が上がるが、有線接続の柔軟性と拡張性ではEVO-T1が圧倒的に優れている

ソフトウェアとOS:GMKtec EVO-T1のクリーンな環境と実用上の課題

ここでは、GMKtec EVO-T1のユーザー体験を左右するソフトウェアとOSについて掘り下げていきます。

クリーンなOSと安心の正規ライセンス

EVO-T1を初めて起動した際の体験は非常に快適でした。プリインストールされているOSはWindows 11 Proで、余計な宣伝ソフト(ブロートウェア)が一切入っていないクリーンな状態です。さらに重要なのは、OSのライセンスが個人利用可能な正規のOEM版である点です。安価なミニPCの中には不適切なライセンスが使われているケースもあるため、この点は大きな安心材料となります。

また、箱から出してすぐに本機のAI性能を試せるように、ローカルAIモデルの「DeepSeek」や「GMK AI Assistant」がプリインストールされているのも嬉しい配慮です。特別な設定をせずとも、すぐにAIチャットなどを体験できます。

ドライバーとユーティリティの現状

基本的なドライバーは安定して動作しますが、大手メーカー製PCのような、ハードウェアの状態監視や設定変更をまとめて行える統合ユーティリティソフトは提供されていません。ファン速度の制御もBIOSから可能ですが、調整の幅が20%単位と大まかで、細やかな設定はできません。

この点は、同様に専用の管理アプリがなく、ファン制御に課題を抱えるEVO-X2との共通の弱点と言えます。Windows上から手軽にパフォーマンスやファンの設定を変更できるソフトウェアがあれば、このマシンの魅力はさらに増すはずです。

GMKtec EVO-T1のソフトウェアとOS仕様一覧

  • プリインストールOS: Windows 11 Pro
  • OSライセンス: 正規OEM版
  • プリインストールアプリ: GMK AI Assistant、DeepSeek AIモデル
  • BIOS: 詳細設定が可能な「無制限状態」
  • ユーティリティ:
  • パフォーマンスモード切替: BIOS経由のみ
  • ファンコントロール: BIOS経由(20%単位での調整)

まとめ:ソフトウェアとOS

  • プリインストールOS:不要なソフトがないクリーンなWindows 11 Proが搭載され、ライセンスも正規OEM版で安心
  • AI環境:DeepSeekなどのAIモデルが標準導入されており、購入直後からローカルAI環境を体験可能

GMKtec EVO-T1とGMKtec EVO-X2のスペック比較

GMKtec EVO-T1 本体 斜め

GMKtecの高性能ミニPCであるEVO-T1EVO-X2は、同じフラッグシップシリーズに属しながら、その中身は大きく異なります。ここでは、両者の主なスペックを項目ごとに比較し、それぞれの特徴と違いを明確にします。

プロセッサー (CPU)

  • EVO-T1: Intel® Core™ Ultra 9 285H (16コア/16スレッド、最大5.4 GHz)
  • EVO-X2: AMD Ryzen™ AI Max+ 395 (16コア/32スレッド、最大5.1 GHz)
  • 違い:コア数は同じですが、EVO-X2はスレッド数が2倍でL3キャッシュ容量も大きいため、特にマルチタスク性能や高負荷な処理で優位に立ちます 。

グラフィック (GPU)

  • EVO-T1: Intel® Arc™ 140T GPU (Oculinkポートによる外部GPU拡張に対応)
  • EVO-X2: AMD Radeon™ 8060S グラフィックス
  • 違い:統合GPU単体の性能では、GeForce RTX 4070 Laptop GPUを超えるとも言われるEVO-X2のRadeon 8060Sが圧倒的に高性能です 。一方、EVO-T1はOculinkポートを備え、外部GPUで性能を補うという異なるアプローチが可能です。

AI処理性能

  • EVO-T1: システム全体で最大99 TOPS (NPU: 13 TOPS)
  • EVO-X2: システム全体で最大126 TOPS (NPU: 50 TOPS)
  • 違い:NPU単体およびシステム全体のAI性能はEVO-X2が大幅に上回っており、特に大規模なAIモデルのローカル処理において高い能力を発揮します。

メモリ (RAM)

  • EVO-T1: DDR5 SO-DIMM (ユーザーによる交換・増設が可能、最大128GB)
  • EVO-X2: オンボード LPDDR5X (交換・増設は不可)
  • 違い:メモリの動作速度はEVO-X2の8000MHzが圧倒的に高速ですが、EVO-T1はユーザー自身で増設・交換できる柔軟性があります。

ストレージ

  • EVO-T1: M.2 2280 PCIe 4.0 スロット x3 (合計最大12TB)
  • EVO-X2: M.2 2280 PCIe 4.0 スロット x2 (合計最大16TB)
  • 違い:スロット数はEVO-T1の方が多いですが、1スロットあたりの最大容量はEVO-X2が上回り、合計でより大容量のストレージを構成できます。

ネットワーク

  • EVO-T1: Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、デュアル2.5G LAN
  • EVO-X2: Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4、シングル2.5G LAN
  • 違い:ワイヤレス通信はEVO-X2が最新規格に対応し優れていますが、有線LANはEVO-T1が2ポート搭載しており、より柔軟なネットワーク構築が可能です。

OS

  • EVO-T1: Windows 11 Pro
  • EVO-X2: Windows 11 Pro
  • 違い:両モデルともOSはWindows 11 Proがプリインストールされており、この点に違いはありません。

サイズ

  • EVO-T1: 154 x 151 x 73.6 mm
  • EVO-X2: 193 x 185.8 x 77 mm
  • 違い:サイズはEVO-T1の方が一回り以上コンパクトです。

重量

  • EVO-T1: 910g
  • EVO-X2: 約1.5kg~1.7kg(レビューサイト報告値)
  • 違い:EVO-T1の方が大幅に軽量です。

カラー

  • EVO-T1: シルバーグレー
  • EVO-X2: シルバーとブラックのツートンカラー
  • 違い:カラーリングが異なり、EVO-T1は単色、EVO-X2はツートンカラーのデザインです。

耐久性

  • EVO-T1: プラスチックと金属製シュラウドの組み合わせ
  • EVO-X2: 金属とプラスチックコーティングの組み合わせ
  • 違い:両モデルとも金属パーツを使用した堅牢な作りですが、提供された資料内に耐久性に関する具体的な比較データはありません。

まとめ:

GMKtec EVO-T1EVO-X2は、同じ高性能ミニPCでありながら、その特性は大きく異なります。EVO-X2は、より多くのスレッド数を持つCPU、圧倒的な統合GPU性能、そして強力なNPUを武器に、AI処理やゲーミング性能で最高峰を目指すモデルです。一方で、メモリ増設ができない、サイズが大きい、価格が高いといった側面も持ち合わせています。

対照的にEVO-T1は、非常に高いCPU性能を維持しつつ、よりコンパクトで軽量、そして手頃な価格を実現しています。最大の強みは、ユーザーが自由にメモリを増設・交換できる柔軟性と、Oculinkポートによる将来のグラフィックス拡張性です。どちらを選ぶかは、統合された最高のパフォーマンスを求めるか、将来の拡張性やコストパフォーマンスを重視するかという、ユーザーの価値観によって決まると言えるでしょう。

GMKtec EVO-T1のメリット・デメリット

GMKtec EVO-T1の上部

GMKtec EVO-T1は、Intelの高性能CPUを搭載したパワフルなミニPCですが、その魅力は単純な処理速度だけではありません。ここでは、兄弟機であるGMKtec EVO-X2や他の主要なミニPCと比較しながら、EVO-T1が持つ優れた点(メリット)と、購入前に考慮すべき点(デメリット)を詳しく解説していきます。

メリット(長所、利点)

メリット1: クラス最高のストレージ拡張性

EVO-T1最大の魅力は、その圧倒的なストレージ拡張性です 。内部にはPCIe 4.0対応のM.2スロットが3基も用意されており、これは2基しかないGMKtec EVO-X2やBeelink GTi14を上回る仕様です。OS用SSDをそのままに、データ用やアプリ用の高速SSDを2枚も増設できるため、将来的な容量不足の心配がありません。

メリット2: Oculinkポートによる将来のアップグレード性

本機は、外部グラフィックスカードを高速で接続できる「Oculinkポート」を搭載しています。これにより、将来さらに高いグラフィック性能が必要になった際も、PCを丸ごと買い替えることなく、外部GPUを追加するだけで飛躍的に性能を向上させることが可能です 。この機能を持たないGMKtec EVO-X2と比較して、長期的な視点でのアップグレード性に大きなアドバンテージがあります。

メリット3: ユーザー自身で交換・増設できるメモリ

EVO-T1は、ユーザーが自由に交換・増設できるSO-DIMM規格のメモリスロットを採用しています。これは、購入後の構成変更が不可能な、はんだ付けされたメモリを搭載するGMKtec EVO-X2やMac mini M4に対する明確なメリットです 。必要に応じて最大128GBまでメモリを増設できるため、柔軟な運用が可能です。

メリット4: 高度なネットワーク環境を構築できるデュアルLAN

背面には2.5Gの高速有線LANポートが2基搭載されています。これは1基のみのGMKtec EVO-X2と比べて優れており、MINISFORUM AI X1 ProやBeelink GTi14と同等の仕様です 。高速インターネットと家庭内NASへの同時接続など、より高度で安定したネットワーク環境を求めるパワーユーザーの要求に応えます。

メリット5: 高いAI処理性能

システム全体で最大99 TOPSのAI処理能力を誇り、ローカル環境でのAIタスク実行に非常に強いです。これは、Beelink GTi14の最大34.5 TOPSやMac mini M4の11 TOPSを大きく上回る性能です。GMKtec EVO-X2の126 TOPSには及びませんが、多くのAIアプリケーションを快適に動作させるには十分すぎるパワーを持っています。

メリット6: パワーユーザーを魅了する詳細なBIOS設定

EVO-T1のBIOSは、通常は制限されているCPUの電力設定やメモリタイミングなど、非常に詳細な項目が調整可能な「無制限状態」です。これは、性能を極限まで追求したいPC上級者にとっては大きな魅力であり、設定項目が少ないGMKtec EVO-X2とは対照的です。

メリット7: 優れた電力効率

EVO-T1は、その高い性能に反して優れた電力効率を誇ります。高負荷時の最大消費電力は約117.1Wに抑えられており 、これは最大180Wに達するGMKtec EVO-X2 や、134.9WのMINISFORUM AI X1 Pro 、145WのBeelink GTi14 といった他の高性能ミニPCと比較して明らかに低消費電力です。長期的な電気代の節約に繋がるだけでなく、発熱を抑える上でも大きな利点となります。

デメリット(短所、欠点)

デメリット1: パフォーマンスモード切替の著しい不便さ

EVO-T1最大の弱点は、3段階のパフォーマンスモードを切り替えるのに、PCの再起動とBIOS画面の操作が必須である点です。物理ボタンを持つGMKtec EVO-X2や、OS上でシームレスに制御できるMac mini M4と比べ、日常的な使い勝手で大きく劣ります 。この一点が、本機の利便性を著しく損なっています。

デメリット2: 世代遅れのワイヤレス規格

搭載されているワイヤレス通信規格がWi-Fi 6とBluetooth 5.2に留まっています。GMKtec EVO-X2、MINISFORUM AI X1 Pro、Beelink GTi14といった最新の競合製品が、より高速で低遅延なWi-Fi 7とBluetooth 5.4に標準対応していることを考えると、見劣りする点と言わざるを得ません。

デメリット3: SDカードリーダーの非搭載

クリエイターにとって便利なSDカードリーダーが搭載されていません。GMKtec EVO-X2、MINISFORUM AI X1 Pro、Beelink GTi14はいずれもSDカードリーダーを備えているため、カメラで撮影した写真や動画を直接PCに取り込みたいユーザーにとっては不便に感じるでしょう。

デメリット4: 統合GPU性能の相対的な物足りなさ

CPUに統合されたIntel Arc 140Tグラフィックスは、動画編集などを十分にこなせる性能を持っていますが、AMDの最新GPUには一歩及びません。特に、GMKtec EVO-X2が搭載するRadeon 8060Sグラフィックスは、単体でGeForce RTX 4070 Laptop GPUを超える性能を持つとされており、統合GPUでのゲーミング性能を最優先するなら、EVO-X2の方が適しています。

GMKtec EVO-T1 スペック(仕様)一覧

プロセッサ
Intel Core Ultra 9 285H (16C/16T 最大5.4GHz)
GPU
Intel Arc 140T GPU
RAM
64GB DDR5 5600 MT/s (最大DDR5 6400対応)
ストレージ
1TB / 2TB PCIe 4.0 M.2 2280 SSD
拡張スロット
M.2 2280 PCIe 4.0 x4スロット ×3 (最大合計12TB)
電源
DC 19V 6.32A (120W) または 19V 7.89A (150W)
通信方式
Wi-Fi 6 + BT 5.2(一部 6E/5.3モデルあり)
有線LAN
2x 2.5G RJ45 イーサネット (Realtek 8125BG)
前面I/F
USB3.2-C (PD/DP), 3x USB3.2-A, 3.5mmオーディオ
背面I/F
Oculink, HDMI 2.1, DP 1.4, 2x USB2.0-A, 2x 2.5G LAN, DC, 3.5mm
映像出力
HDMI 2.1 + DP 1.4 + USB4 + Type-C (最大4画面)
冷却システム
VC(ベイパーチャンバー)放熱 + デュアルファン
消費電力
最大80W (TDP 45W)
VESAマウント
対応
OS
Windows 11 Pro
サイズ
154 × 151 × 73.6 mm
重量
約910g (ベアメタル)
カラー
シルバーグレー
付属品
ACアダプタ, 縦置きスタンド, HDMI, マニュアル

GMKtec EVO-T1の評価

GMKtec EVO-T1を収納した箱

8つの基準で「GMKtec EVO-T1」を5段階で評価してみました。

項目別評価

パフォーマンス:★★★★★
Intel Core Ultra 9 285Hは、プロの動画編集さえも快適にこなす圧倒的な処理能力を誇ります。統合GPU性能は最高峰ではありませんが、CPUパワーがそれを補って余りあるため、あらゆる作業で最高の体験を提供してくれます。

冷却性能と静音性:★★★★☆
高性能CPUを搭載しながら、高負荷時でも性能低下なく安定動作する冷却システムは見事です。パフォーマンスモードではファンの音が聞こえるものの、静音モードではほぼ無音となり、静かさとパワーのバランスが非常に優れています。

デザイン:★★★★☆
ブラックとゴールドを基調とした金属パーツが高級感を演出し、ビルドクオリティは非常に高いです。一般的なミニPCより少し大きいですが、その分存在感があり、デスクを格上げしてくれる魅力を持っています。

通信:★★★★☆
安定した高速通信が可能なデュアル2.5G LANポートは、他のミニPCにはない大きな強みです。ただ、最新のWi-Fi 7ではなくWi-Fi 6対応に留まっている点が、唯一惜しいポイントと言えます。

拡張性:★★★★★
3基のM.2スロット、交換可能なメモリスロット、そして外部GPUを接続できるOculinkポートと、ミニPCの常識を覆す圧倒的な拡張性を備えています。将来にわたって長く使い続けられる安心感は絶大です。

機能:★★★★☆
ローカルAIの実行能力、4画面同時出力、3つのパフォーマンスモードなど、非常に多機能です。しかし、最も重要なパフォーマンスモードの切り替えがBIOS経由でしか行えず、その優れた機能を誰もが手軽に利用できない点が評価を下げました。

使いやすさ:★★★☆☆
クリーンなOSで初期設定は簡単ですが、パフォーマンスモードの切り替えやファン制御といった基本機能がBIOSに依存しており、PC初心者には敷居が高いです。パワーユーザー以外には、その真価を発揮させることが難しいかもしれません。

コストパフォーマンス:★★★★☆
搭載されているCPUやメモリ、ストレージのスペックを考えれば、価格は非常に魅力的です。特に発売当初の価格設定は、この性能を考えれば驚異的と言えるレベルで、コストパフォーマンスは極めて高いです。

総評:★★★★☆

圧倒的なパフォーマンスと、ライバルを凌駕する拡張性

GMKtec EVO-T1は、ミニPCというカテゴリの限界を押し上げる、まさに「小さな巨人」です。その中核をなすIntel Core Ultra 9 285Hの性能は本物で、プロフェッショナルなクリエイティブ作業からローカルAIモデルの実行まで、あらゆる高負荷タスクを余裕でこなします。私が試した4K動画のエンコードでは、最新のMacBook Airを超える速度を記録し、その実力に何度も驚かされました。

しかしこのマシンの真価は、兄弟機EVO-X2と比較することで一層際立つ、その圧倒的な拡張性にあります。EVO-T1はユーザー自身が交換・増設できるメモリスロットや、1基多い3基のM.2スロットを備えており、長期的なアップグレードを可能にします。そして決定的なのが、将来グラフィックス性能を飛躍させられる「Oculinkポート」の存在です。AIの総合性能で勝るEVO-X2がこれらの柔軟性を持たないのに対し、EVO-T1はユーザーのニーズに合わせて進化できる強みを持っています 。

加えて、電力効率の高さEVO-T1の大きなメリットです。高負荷時の最大消費電力はEVO-X2が180W近くに達するのに対し、EVO-T1約117Wに抑えられています。アイドル時もより低消費電力であり、長期的な運用コストの削減や発熱の抑制といった、実用面での恩恵は計り知れません。

設計思想の矛盾と残された課題

これほど素晴らしい性能と拡張性を持ちながら、EVO-T1は大きな矛盾を抱えています。それは、ユーザーにとって最も重要な機能の一つである「パフォーマンスモードの切り替え」が、PC上級者でなければ触るのをためらうBIOS画面の奥深くに隠されている点です。静かな環境で作業したい時、フルパワーで処理したい時、その切り替えのたびに再起動とBIOS操作を要求されるのは、日常的な使い勝手を著しく損なっています。

BIOS自体が詳細な設定を解放している点はパワーユーザーを喜ばせる一方で、この基本的な操作性の欠如は、せっかくの高性能を誰もが享受できる状態にしていないことを意味します。この一点が、本機が「完璧な名機」になりきれなかった最大の理由です。

どんなユーザーにおすすめか

結論として、GMKtec EVO-T1は「自らの手で性能を最大限に引き出すことを厭わない、パワーユーザーやクリエイター」にとって、最高の相棒となり得る一台です。BIOS操作を苦にせず、その圧倒的なCPU性能と将来性豊かな拡張性をフルに活用したいのであれば、これほどのコストパフォーマンスを誇るミニPCは他にありません。

一方で、PCの細かい設定は苦手で、ただ手軽に高性能なPCを使いたいというユーザーには、その魅力を半分も引き出せない可能性があります。非常に大きな可能性を秘めたマシンであることは間違いありませんが、その真価は使い手のスキルに委ねられている、玄人好みのマシンと言えるでしょう。

GMKtec EVO-T1の価格・購入先

GMKtec EVO-T1 本体 正面

価格は2026/02/11に調査したものです。価格は変動します。

GMKtec 日本公式サイト

JPモデル

  • ベアボーン キット(ライセンスなし)が122,999円、
  • 64GB RAM + 1TB SSD モデルが160,599円、
  • 64GB RAM + 2TB SSD モデルが170,599円、
  • 96GB RAM + 2TB SSD モデルが326,118円、

で販売されています。

GMKtec 日本公式サイトで「GMKtec EVO-T1」をチェックする

ECサイト(Amazon、楽天、ヤフーなど)

  • Amazonで116,937円(税込・64GB DDR5 3TB)、
  • 楽天市場で242,929円(送料無料)、
  • ヤフーショッピングで245,337円、
  • AliExpressで156,184円、
  • 米国 Amazon.comで$1,369.99、

で販売されています。

Amazonで「GMKtec EVO-T1」をチェックする

楽天市場で「GMKtec EVO-T1」をチェックする

ヤフーショッピングで「GMKtec」をチェックする

AliExpressで「GMKtec EVO-T1」をチェックする

米国 Amazon.comで「GMKtec EVO-T1」をチェックする

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おすすめのライバル機種と価格を比較

GMKtec EVO-T1」と似た性能をもつミニPCも販売されています。価格の比較もできるので、ぜひ参考にしてみてください。

GMKtec K13

GMKtecから発売されたIntel Core Ultra 7 256V (Series 2) 搭載のミニPCです(2026年2月2日 発売)。

16GB LPDDR5X 8533 MT/sメモリ、512GB / 1TB PCIe 4.0 M.2 2280 SSDストレージを搭載しています。

また、最大3画面の4K出力(USB4x2, HDMI 2.1)、冷却システム(デュアル銅製ヒートパイプ + シングルファン)、ストレージ拡張(デュアル M.2 2280スロット・最大16TBまで・SATA非対応)、

VESAマウント、2 x USB4ポート、2 x USB 3.2 Gen2、1 x USB 2.0、Wi-Fi 6E, Bluetooth 5.2、5G 有線LANにも対応しています。

✅価格は、GMKtec 日本公式サイトで16GB+512GB SSDモデルが100,498円、16GB+1TB SSDモデルが107,998円、です。

👉関連記事:GMKtec K13のベンチマークを徹底比較!ゲーム性能やAI性能は十分か?

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GMKtec EVO-X2

GMKtecから発売されるAMD Ryzen AI Max+ 395 (最大126 TOPS) 搭載のミニPCです(2025年4月15日予約開始・5月27日出荷)。

64GB/128GBLPDDR5X 8000MHzメモリ (オンボード)、PCIe 4.0 M.2 2280 SSDストレージを搭載しています。

また、最大8K 4画面出力(DP 1.4 x1, HDMI 2.1 x1, USB4.0 x2)、冷却システム「Max3.0 Airflow System」、デュアルM.2 2280 拡張スロット、SDカードリーダー、USB-A 3.2 Gen2 x3、USB-A 2.0 x2、2.5Gbps 有線LAN、Wi-Fi 7, Bluetooth 5.4に対応しています。

✅価格は、Amazonで271,499円(税込)、楽天市場で313,492円(送料無料)、ヤフーショッピングで323,314円、AliExpressで283,887円、米国 Amazon.comで$2,699.99、です。

👉関連記事:GMKtec EVO-X2徹底レビュー!EVO-X1比較と性能・価格を評価

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MINISFORUM AI X1 Pro

MINISFORUMから発売されたAMD Ryzen AI 9 HX 370 搭載のミニPCです(2025年4月 発売)。

DDR5 5600MHzメモリ(最大96GB)、M.2 2280 PCIe4.0 NVME SSD (最大12TB、最大読み書き速度7000MB/s)、Copilotボタン、スピーカー、デュアルマイクアレイ、指紋認証ボタン (Windows Hello対応)、Windows 11 Proを搭載しています。

また、OCuLink (PCIe 4.0×4)による外部GPU接続、最大96GBまでのメモリ拡張、合計で最大12TBまでのストレージ拡張、最大4画面同時出力、冷却システム、VESAマウント、SDカードスロット、

USB4ポート (Alt PD in 100W & PD out 15W)、HDMI 2.1 FRL (4K@120Hz | 8K@60Hz)、DP 2.0 (4K@160Hz | 8K@60Hz)、USB 3.2 Gen2 Type-Aポート (10Gbps) x2、USB2.0 Type-A ポート x1、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4、2.5G デュアル有線LAN、に対応しています。

✅価格は、Amazonで134,459円(税込)、楽天市場で155,999円(送料無料)、ヤフーショッピングで250,505円、です。

👉関連記事:MINISFORUM AI X1 Proレビュー!AI性能と拡張性で進化したミニPC

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Beelink GTi14

Beelinkから発売されたIntel Core Ultra 9 185H 搭載のミニPCです(2025年2月 発売)。

32GB/64GB/96GB DDR5 5600MHz Dual SO-DIMMメモリ、1TB/2TB (Dual M.2 2280 PCle4.0 X4)ストレージ、145W電源ユニット(内蔵)、SDカードスロットを搭載しています。

また、最大34.5 TOPS、AI音声インタラクションと360°全方向ピックアップ、Thunderbolt 4 (40Gbps/PD/DP)、4K 3画面出力(Thunderbolt 4/DP1.4a/HDMI)、MSC 2.0 冷却システム、拡張メモリ最大96GB、拡張ストレージ最大 8TB (Dual M.2 2280 PCle4.0 X4)、VESAマウント、自動電源ON、指紋認証(電源ボタンに指紋センサー内蔵)、Wi-Fi 7 (Intel BE200)、Bluetooth 5.4、2.5G デュアル ギガビット有線LANにも対応しています。

✅価格は、Amazonで144,900円、楽天市場で157,500円、ヤフーショッピングで220,100円、AliExpressで279,680円、米国 Amazon.comで$879.00、です。

👉関連記事:Beelink GTi14 レビュー!Core Ultra 9搭載の高速AIミニPC

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Mac mini M4

Appleから発売されたmacOS Sequoia 搭載のミニPCです(2024年11月8日 発売)。

Apple M4チップ、16GB / 24GB ユニファイドメモリ、256GB / 512GBストレージ、スピーカー、3.5mmヘッドフォンジャックを搭載しています。

また、11TOPS(1秒間に11兆回のAI演算)、Apple Intelligence、3つのThunderbolt 4ポート(DP映像出力、最大100WのPD給電)、3画面出力、HDMI映像出力、USB-Cポート(最大10Gb/s) x2、有線LAN、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3に対応しています。

✅価格は、Amazonで84,800円(税込)、楽天市場で90,050円(送料無料)、ヤフーショッピングで91,090円です。

👉関連記事:Mac mini M4徹底レビュー!M2比較で気づいた進化点と欠点を評価

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他のGMKtec ミニPCと比較

他にもGMKtecのミニPCが販売されています。Ryzen搭載モデルだけでなく、インテル搭載モデルもあるので、ぜひ比較してみてください。

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その他のおすすめ小型PCを紹介

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