
2025年8月1日に発売された「TECLAST ArtPad Pro」は、12.7インチの大画面と専用ペンによる手書き機能を備えたクリエイティブAndroidタブレットとして注目されています。
このレビューでは、ArtPad Proが日々の作業や趣味の時間をどれだけ豊かにしてくれるのか、ライバル機である「HUION Kamvas Slate 13」(12.7インチ)と比較しながら、その性能と使い勝手を徹底的に検証しました。
【先に結論からお伝えしましょう】
TECLAST ArtPad Pro の長所 (Pros):
- ペンも付属して3万円台から購入できる、圧倒的なコストパフォーマンス
- Widevine L1対応の美しいディスプレイと、迫力ある高音質スピーカー
- 便利な物理「Smartボタン」と、高機能なノートアプリ「Art Note」
- 4G LTEとGPSを搭載し、場所を選ばずに使える高い機動性
TECLAST ArtPad Pro の短所 (Cons):
- プロのイラスト制作には向かないペン性能と、映り込みやすい光沢画面
- 色の正確性を示すsRGBカバー率が非公表である点
- オートフォーカスが甘く、画質の低いカメラ性能
総合評価:
TECLAST ArtPad Proは、本格的なイラスト制作には一歩譲るものの、高機能なデジタルノートや動画視聴、Webブラウジングといった日常的な用途においては、価格をはるかに超える価値を提供する、非常にバランスの取れた一台です。特に、単体で通信できる大画面タブレットを探している方には、最高の選択肢と言えるでしょう。
<この記事で分かること>
- ArtPad Proの高級感あふれる金属製デザインと、便利な「Smartボタン」の詳細
- HUION Kamvas Slate 13とのディスプレイ比較(光沢 vs 非光沢、Widevine L1 vs L3)
- 付属ペン「T-Pen」の性能と、ノートアプリ「Art Note」の詳しい機能
- Helio G99の処理性能と、イラスト制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」での実際の動作感
- 人気ゲーム(『原神』『ウマ娘』など)がどの程度快適に動作するかの検証
- 「AI Hyper-Audio」がもたらす、映画や音楽での驚きのオーディオ体験
- 10000mAhバッテリーの持続時間と、30W急速充電の実力
- 最大の魅力である「4G LTE通信機能」がもたらす利便性
- 他のクリエイティブタブレットとの比較で判明したメリットとデメリット
- 専門家による5段階価評とどんな人に最適か
- 最新の価格・購入先とライバル機種との比較
この記事を最後まで読むことで、「TECLAST ArtPad Pro」を購入するべきかどうかがはっきりと分かるはずです。購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
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公式ページ: TECLAST ArtPad Pro (アートパッドプロ)
デザイン:TECLAST ArtPad Proの質感と使い勝手を探る
ここでは、TECLAST ArtPad Proの金属製ボディがもたらす所有感や、日々の使い勝手を左右するボタン配置、そして購入後すぐに必要になる付属品について、比較対象のHUION Kamvas Slate 13と比べながら詳しくレビューしていきます。
まるでハイエンド機のような第一印象と形状
箱からTECLAST ArtPad Proを初めて取り出したとき、そのずっしりとした重みと金属のひんやりとした感触から、これが4万円台のタブレットとは思えないほどの高級感に驚きました。全体的にiPad Proを彷彿とさせるスクエアな形状で、一般的な16:9の横長タブレットとは一線を画す独特の存在感があります。アスペクト比がほぼ4:3(※公式サイトでは7:5と記載)のため、手に持つとしっかりとした「板」を持っている感覚があり、クリエイティブな作業への意欲をかき立ててくれます。
リアカメラは縦に持った場合に左上に配置されています。注目すべきは、カメラ部分に出っ張りがなく本体がフラットなデザインに仕上げられている点です。これにより、机のような平らな場所に置いた際にガタつくことがなく、デザイン的にもすっきりとした印象を与えます。一方、比較対象のHUION Kamvas Slate 13も同様に金属製で質感は高いものの、より一般的なタブレットに近い形状をしています。ArtPad Proのこの特徴的なアスペクト比は、デザイン面で大きな魅力の一つと言えるでしょう。
大画面ゆえの重量感と落ち着いたカラーリング
サイズは279mm × 211mm × 7.2mmと、12.7インチの大画面ながら7mm台という薄さを実現しています。しかし、重量は実測で約670gあり、片手で長時間持つのは少し厳しいと感じました。例えば、カフェでスケッチブックのように広げて使う際には問題ありませんが、電車の中で立ったまま電子書籍を読むようなシーンでは、少し重さが気になるかもしれません。
驚いたことに、比較対象のKamvas Slate 13はサイズが280.6mm x 211.8mm x 7.5mm、重量が682gと、ArtPad Proとほぼ同等のサイズ・重量です。どちらも大画面と携帯性のバランスを取る上で、重量が共通の課題となっているようです。
<サイズ・重量の違い>
- TECLAST ArtPad Pro:(サイズ)279mm × 211mm × 7.2mm、(重量)670g
- HUION Kamvas Slate 13:(サイズ)280.6mm x 211.8mm x 7.5mm、(重量)682g
カラーは両機とも「スペースグレー」(TECLAST ArtPad Pro)や「ダークグレー」(HUION Kamvas Slate 13)といった落ち着いた色合いで、安っぽさは微塵も感じさせません。
指紋が気になるマットな金属ボディ
ArtPad Proのボディは、CNC精密加工によって金属の塊から削り出されており、シルクのように滑らかな手触りが心地よいです。仕上げはマット調で光の反射が抑えられていますが、実際に使っていると指紋や手の脂が意外と目立ちやすいと感じました。これはKamvas Slate 13も同様で、美しい質感を保つためには、こまめに拭き取るか、ケースを装着するのがおすすめです。耐久性に関するIP等級などの特別な記載はありませんが、しっかりとした金属の筐体は安心感を与えてくれます。
便利な「Smartボタン」と標準的なポート配置
ArtPad Proのボタンとポートの配置は非常に考えられています。横向きに持った際、上側面には音量ボタンと、この製品の大きな特徴である「Smartボタン」が配置されています。このSmartボタンを試してみたところ、ワンタッチで画面をモノクロの「Inkモード」に切り替えられ、電子書籍を読む際に目の疲れが軽減されるのを実感しました。アプリの起動なども割り当てられるため、自分好みにカスタマイズする楽しみもあります。
USB Type-Cポートは右側面に、電源ボタンは左側面にあり、左右にバランス良く配置されています。4つのスピーカーも左右側面に2つずつ配置されており、手で塞いでしまうこともありませんでした。また、上側面にはSIM/microSDカードスロットがあり、ストレージ拡張や4G通信に対応している点も実用的です。
これに対してKamvas Slate 13は、電源、音量ボタン、USBポート、microSDスロットがすべて右側面に集中しています。どちらが良いというわけではありませんが、ArtPad Pro独自の「Smartボタン」の存在は、使い勝手において明確なアドバンテージだと感じました。
付属品の充実度はKamvas Slate 13に軍配
購入してすぐに使い始められるかという点で、付属品は重要な要素です。ArtPad Proには、スタイラスペンである「T-Pen」、30Wの急速充電に対応したACアダプターとケーブル、SIMピンが一通り付属しています 。特にT-Penは本体上部の側面にマグネットでしっかりと吸着するため、カバンの中で迷子になる心配がなく、非常に便利でした 。
しかし、付属品の豪華さではKamvas Slate 13が圧勝です。ペンはもちろんのこと、スタンド機能付きのレザーケースや、画面に手が触れて誤動作するのを防ぐパームリジェクションアーティストグローブまで標準で同梱されています 。ArtPad Proはケースが別売りのため、一式揃えるとなると初期費用に差が出ます 。この手厚い付属品からは、クリエイティブな用途に特化するHUIONの姿勢がうかがえます。
<TECLAST ArtPad Proの付属品>
- Teclast T-Pen(スタイラスペン)
- ACアダプター(30W急速充電対応)
- USB Type-C to A ケーブル
- SIMイジェクトピン
- 取扱説明書
- 交換用ペン先
まとめ:デザイン
- 第一印象:CNC加工されたメタルボディが価格以上の高級感を演出し、所有欲を満たしてくれる
- 形状と携帯性:iPad Proのようなスクエアな形状が特徴的だが、約670gの重量は長時間の持ち運びには覚悟が必要
- ボタンとポート:独自機能を持つ「Smartボタン」が日常使いの利便性を高めており、ポート配置も標準的で使いやすい
- 付属品の比較:HUION製品と比べると付属品は最小限で、タブレットを保護するケースは別途用意する必要がある
ディスプレイ:TECLAST ArtPad Proの「創作キャンバス」を徹底検証
ここでは、TECLAST ArtPad Proの体験の核となる12.7インチディスプレイを徹底的にレビューします。メーカーが謳う「創作のためのキャンバス」としての実力は本物か、ユニークなアスペクト比がもたらす体験や、ライバルであるHUION Kamvas Slate 13のディスプレイとの違いに迫ります。
コンテンツ消費と創作を両立する高精細ディスプレイ
ArtPad Proのディスプレイは、12.7インチという大画面で非常に見やすいのが第一印象です。その広大なキャンバスを支えているのが、2176 x 1600という高解像度。213 PPIという高い画素密度によって、Webサイトのテキストからイラストの繊細な線まで、あらゆるものを鮮明に映し出します。発色も良好で、特定の色に偏ることなく自然な色合いを表現してくれるため、動画鑑賞や電子書籍の閲覧には最適だと感じました。ベゼルの幅も広すぎず狭すぎず、ちょうどよいバランスです。
一方で、輝度は室内照明の下で最大にしても眩しすぎることはなく、屋外での使用を考えると少し物足りないかもしれません。視野角についても、真横に近い角度から見ると画面がやや暗くなるなど、最高品質のパネルとは言えない部分もあります。しかし、これらは価格を考えれば十分に納得できる範囲であり、イラスト制作のキャンバスとしては合格レベルの実力を持っていると言えるでしょう。
驚くべきことに、比較対象であるHUION Kamvas Slate 13も、画面サイズ、解像度、そして60Hzのリフレッシュレートに至るまで、全く同じ仕様のパネルを採用しています。つまり、この2つのタブレットを比べる上で、画面の大きさやシャープさは優劣の決め手にはなりません。本当の違いは、ペン先が触れる表面の「質感」や、動画鑑賞の快適さを左右する「機能」に隠されています。
映像美の光沢か、見やすさの非光沢か
両者のディスプレイを比較する上で、最も重要な違いが表面の仕上げです。ArtPad Proが採用するのは、映像の美しさが際立つ光沢(グレア)仕上げです。これにより、動画や写真の色が鮮やかに表示されますが、その反面、照明や背景が画面に映り込みやすいという弱点もあります。
対照的に、HUION Kamvas Slate 13はナノエッチング加工が施された非光沢(アンチグレア)ガラスを採用しています 。こちらの利点は、光の反射を効果的に拡散し、映り込みを大幅に抑えてくれることです 。明るい室内でも画面が見やすく、長時間の作業でも目の疲れを軽減する効果が期待できます。どちらの仕上げを好むかは、動画視聴時の色の鮮やかさを取るか、映り込みの少なさによる見やすさを取るか、ユーザーの主な用途によって判断が分かれるでしょう。
コンテンツ消費に最適化されたユニークなアスペクト比
両者に共通するもう一つの魅力が、ほぼ4:3というユニークなアスペクト比です(※TECLAST ArtPad Proの公式ページでは7:5と記載)。一般的な16:9のタブレットと違い、縦方向の表示領域が広いため、ウェブサイトを閲覧した際に一度に表示される情報量が多く、非常に快適でした。
この恩恵は電子書籍の閲覧で特に顕著で、漫画を見開きで表示しても文字や絵が小さくなりすぎず、まるで紙の単行本を読んでいるかのような没入感が得られます 。
さらにArtPad Proには、Kamvas Slate 13にはない独自の機能があります。本体の「Smartボタン」を押すだけで、画面をモノクロ表示の「Inkモード」に切り替えられるのです。このモードを読書中に使うと、目の疲れが明らかに軽減され、電子ペーパーのような集中できる読書体験が得られました。
動画視聴体験を決定づける「Widevine L1」対応
ディスプレイの比較で、もう一つ見逃せない決定的な違いがあります。それは、動画配信サービスの再生品質に関わる著作権保護技術「Google Widevine」のレベルです。
TECLAST ArtPad Proは「Widevine L1」に対応しています 。これにより、NetflixやAmazonプライム・ビデオといった主要な動画サービスを、本来のHDやフルHDといった高画質で再生することが可能です 。実際に映画をストリーミング再生してみると、12.7インチの大画面に映し出される映像は非常にシャープで、没入感のある体験ができました。
一方で、HUION Kamvas Slate 13は「Widevine L3」にとどまっています 。L3の場合、同じサービスを利用しても画質がSD(標準画質)に制限されてしまうため、せっかくの高解像度ディスプレイを活かしきれず、映像がぼやけて見えることがあります。イラスト制作だけでなく、映画鑑賞などエンターテイメントも一台で楽しみたいユーザーにとって、これはArtPad Proが持つ大きなアドバンテージと言えるでしょう。
<TECLAST ArtPad Proのディスプレイ仕様>
- 種類: IPS液晶
- サイズ: 12.7インチ
- 解像度: 2176 × 1600
- 画素密度 (PPI): 213 PPI
- アスペクト比: ほぼ4:3
- リフレッシュレート: 60Hz
- 表面処理: 光沢
- 著作権保護: Google Widevine L1
まとめ:ディスプレイ
- 表示品質: 12.7インチの大画面は自然な発色で目に優しく、2176×1600の高解像度でシャープな表示が可能
- アスペクト比: 一般的なタブレットとは異なるほぼ4:3の比率で、Webサイトや電子書籍の閲覧時に広い表示領域を確保できる
- 表面仕上げ: 映像の鮮やかさに優れる光沢仕上げだが、照明などの映り込みは避けられない。非光沢のHUIONとは好みが分かれる点
- 動画視聴性能: 高画質再生が可能な「Widevine L1」に対応しており、動画配信サービスを多用するならHUIONより明確に有利
ペン性能と手書き機能:TECLAST ArtPad Proの実力と課題
ここでは、TECLAST ArtPad Proが「お絵描きタブレット」としてどれほどの実力を持つのか、その核となるペン性能と手書き機能に焦点を当ててレビューします。付属のT-Penの基本性能から、実際の使用感、そしてプリインストールアプリの使い勝手まで、比較対象のHUION Kamvas Slate 13と比べながら、その実力を深く掘り下げていきます。
4096段階筆圧対応、便利なマグネット吸着ペン
ArtPad Proに付属するスタイラスペン「T-Pen」は、4096段階の筆圧感知に対応したUSI 2.0規格のペンです。これにより、線の強弱を細かく表現できます。注目すべきは、ペン本体をタブレットの上部側面にマグネットでピタッと吸着させて持ち運べる点です。実際にカバンに入れて持ち運んでみましたが、移動中にペンが外れてしまうことはなく、使いたい時にサッと取り出せるこの仕様は非常に便利だと感じました。
ペン本体はUSB Type-Cで充電するアクティブ式で、HUION Kamvas Slate 13の「H-Pencil」も同様に充電式です。ただし、ペンの機能性には違いがあります。H-Pencilは特定のアプリでサイドボタンのカスタマイズが可能ですが、ArtPad ProのT-Penでは、そうした細かい設定項目は見当たりませんでした。汎用性の高いUSI 2.0規格を採用したArtPad Proか、独自にアプリ連携を強化したHUIONか、という思想の違いが見て取れます。
デジタルノートとしては快適、しかし本格的な描画には課題も
実際に「CLIP STUDIO PAINT」でイラストを描いてみると、ArtPad Proのペンにはいくつかの課題が見えてきました。まず、ディスプレイが光沢仕上げのため、ペン先がツルツルと滑りやすく、繊細な線を引くには慣れが必要です。紙のような抵抗感があるHUION Kamvas Slate 13の非光沢ディスプレイとは、この点で好みがはっきりと分かれるでしょう。
また、ペンを素早く動かすと、描画がワンテンポ遅れる感覚(遅延)がありました。さらに、手のひらを画面につけたまま描こうとすると、パームリジェクション機能が十分に働かず、意図せず画面が拡大されたり、線が引かれたりすることが何度かありました。これはHUIONの製品でも指摘される点ですが、ArtPad Proでは特にその傾向が強く感じられ、快適な描画のためには別途2本指グローブを用意した方がよさそうです。
ノートアプリ「Art Note」の優れた実用性
ArtPad Proのペン体験を語る上で欠かせないのが、プリインストールされている唯一の手書きアプリ「Art Note」です。このアプリは、まず、紙のノートでは不可能な拡大・縮小機能により、画面の一部を大きく表示して細かな文字や図を正確に書き込めます。
次に、手書き図形変換機能は、フリーハンドで描いた円や四角、三角を自動で綺麗な図形に補正してくれる、デジタルならではの強力な機能です。そして、「輪投げツール」を使えば、書いた後でも文字や図形を自由に選択して、ページ内の好きな場所へ瞬時に移動させることが可能です。このほか、画像やPDFをノートにインポートして書き込む機能や、完成したノートをPDFとして共有する機能も備わっています。
例えば、フリーハンドで描いた円や四角が綺麗な図形に自動で補正される機能は、会議中に簡易的な図を作成する際に非常に役立ちます。また、「輪投げツール」で手書きのメモや図形を囲み、好きな場所にサッと移動できるため、紙のノートでは不可能な思考の整理やレイアウト変更が瞬時に行えました。作成したノートはPDFとしてGoogle Driveなどに簡単に共有できるので、デジタルならではのワークフローが完結します。
さらに、9種類用意されているノートテンプレートに加え、PDFや画像を読み込んで自分だけのカスタムテンプレートとして使える点も素晴らしいと感じました。これにより、配布された資料に直接書き込んだり、スケジュール帳として活用したりと、用途が無限に広がります。
ただし、このアプリを使っている間も、ハードウェアが持つ課題が解消されるわけではありません。ペン入力中のパームリジェクションは依然として弱く、意図せず画面が動いてしまうことがありました。アプリ内の「ノートロック機能」を使えばこの問題は軽減できますが、ひと手間かかるのは事実です。それでも、これらの課題を補って余りあるほど「Art Note」の機能は充実しており、ArtPad Proは本格的なイラスト制作よりも、「高機能なデジタルノート」として活用することにこそ、その真価を発揮する一台だと結論付けられます。
<TECLAST ArtPad Proの手書き機能 一覧>
- ペン仕様: 4096段階筆圧感知、USI 2.0対応
- 専用ペンの充電方式: USB Type-C
- ペン携行方法: 本体側面へのマグネット吸着
- パームリジェクション: 対応(ただしチューニングに課題あり)
- プリインストールアプリ: Art Note(ノート作成に特化)
- 独自機能: ArtOSによる表示モード切り替え(Inkモード、パステルモード)
まとめ:ペン性能と手書き機能
- ペン本体の利便性: 本体側面にマグネットで吸着できるため、持ち運びが非常に楽で紛失のリスクも低い
- 描画体験: 光沢ディスプレイ上ではペンが滑りやすく、遅延やパームリジェクションの弱さから、本格的なイラスト制作には調整や慣れが必要
- アプリの方向性: プリインストールされている「Art Note」はノート作成機能が充実しており、お絵描きよりもデジタルノートとしての用途で高い実用性を発揮する
- 比較評価: ペン自体の描画精度ではHUIONに軍配が上がる可能性があるが、ArtPad Proはマグネット吸着やノートアプリの使いやすさで差別化を図っている
処理性能とレスポンス:TECLAST ArtPad Proの動作性能を徹底解剖
ここでは、タブレットの快適さを決定づける処理性能とレスポンスについて、詳細にレビューします。TECLAST ArtPad Proは、比較対象のHUION Kamvas Slate 13と同じSoC(System-on-a-Chip)を搭載していますが、メモリ拡張などの違いが実際の使用感にどう影響するのか。その実力を、具体的なスペックと体験談を交えて深く掘り下げていきます。
ミドルレンジの定番SoC「MediaTek Helio G99」
ArtPad Proの性能の中核を担うのは、ミドルレンジタブレットで広く採用されている「MediaTek Helio G99」です 。これは比較対象のHUION Kamvas Slate 13と全く同じSoCであり、両者の基本的な処理能力は同等と言えます 。このチップは、電力効率に優れたTSMCの6nmプロセスで製造されています 。
CPUの構成は、高性能な2つのCortex-A76コア(最大2.2GHz)と、高効率な6つのCortex-A55コア(最大2.0GHz)を組み合わせたオクタコア(8コア)設計です 。これにより、負荷の高い作業は高性能コアが、待機時などの軽い作業は高効率コアが担当し、性能とバッテリー寿命のバランスを取っています。グラフィックス処理は、CPUに統合されたArm Mali-G57 MC2 GPUが担います 。
客観的な性能指標として、CPU性能を測るGeekbench 6では、シングルコアで725点、マルチコアで1,983点を記録しました。また、グラフィック性能を示す3DMarkのWild Life Extremeテストでは338点という結果でした。これらのスコアは、Helio G99の標準的な性能を示しており、日常的な用途には十分なパワーを持っていることが分かります。
クリエイティブ作業を快適にこなすレスポンスと発熱
このタブレットの真価を確かめるべく、多機能なイラストアプリ「CLIP STUDIO PAINT」の使用感を検証してみました。複数のレイヤーを重ね、複雑なブラシを使っても、描画の遅延はほとんど感じられません。キャンバスの回転や拡大・縮小といった操作もスムーズで、ストレスなく作画に集中できました。高解像度のキャンバスで作業していても、動作が重くなることはなく、Helio G99がこのクラスのクリエイティブ作業を十分にこなせることを実感しました。
発熱に関しては、長時間イラスト制作を続けていると、本体背面がほんのり温かくなる程度で、不快に感じるほどの温度上昇はありませんでした。パフォーマンスが低下するような熱暴走(サーマルスロットリング)の兆候も見られず、安定して作業を続けることができました。
また、クリエイティブな用途として、Adobe Lightroomで高解像度のRAW画像を読み込み、フィルター加工や色調補正を行ってみました。プレビューの反映も素早く、ストレスなく作業に集中できます。ただし、複数の画像を一度に書き出すような重い処理では、さすがにハイエンド機のような速さとはいきませんが、価格を考えれば十分に実用的な性能です。動画編集アプリのCapCutを使ってみたところ、フルHD解像度の短い動画であれば、カット編集やテロップ挿入といった作業は問題なくこなせました。一連の作業を通して、本体が過度に熱を持つこともなく、パフォーマンスは安定していました。
高速ストレージと拡張RAMの恩恵
この快適なレスポンスを支えているのが、メモリとストレージの品質です。ArtPad Proは、8GBのLPDDR4X規格のRAMを搭載しており、その転送速度は最大4266MT/sに達します 。
さらに、ストレージの一部をRAMとして使用する仮想メモリ拡張機能により、最大で12GB分のメモリを追加し、合計20GBとして利用可能です 。これにより、多くのアプリを同時に起動しても、バックグラウンドのアプリが終了されにくく、切り替えが非常にスムーズでした。
内蔵ストレージは256GBで、高速なUFS 2.2規格を採用しています 。UFS 2.2の転送速度は、読み込みが約1,000MB/s、書き込みが約260MB/sに達し、安価なタブレットに多いeMMC規格と比べてアプリの起動やファイルの読み込みが格段に速いことを体感できました。もちろん、microSDカードスロットも備えているため、写真や動画などのデータを大量に保存することも可能です。
<TECLAST ArtPad Proのパフォーマンス仕様一覧>
- SoC: MediaTek Helio G99 (6nm)
- CPU: 2x Cortex-A76 (2.2GHz) + 6x Cortex-A55 (2.0GHz)
- GPU: Arm Mali-G57 MC2
- RAM: 8GB LPDDR4X (最大12GBの仮想メモリ拡張に対応)
- ストレージ: 256GB UFS 2.2 (最大1TBのmicroSDカード拡張に対応)
まとめ:処理性能とレスポンス
- 基本性能: Helio G99は、Web閲覧、動画視聴、オフィス作業といった日常的なタスクをストレスなくこなす、十分なミドルレンジ性能を持っている
- 体感レスポンス: 実際の操作感は非常にスムーズで、複数のアプリを同時に使ったり、軽い画像編集を行ったりする場面でも快適さを損なわない
- メモリ性能: 物理RAMに加え、最大20GBまで拡張できる仮想メモリ機能が、優れたマルチタスク性能を実現している
- ストレージ性能: 高速なUFS 2.2ストレージの採用により、アプリの起動やファイルの読み書きが速く、全体的な快適さを底上げしている
Antutuベンチマーク
TECLAST ArtPad Proが搭載するMediaTek Helio G99 プロセッサは、Antutu V10 ベンチマーク総合で約 40万点を記録する性能を備えています。
実際に測定しても、以下の通り、約 40万点を記録していました。
例1: Antutu V10.5.2 総合で「401725」、CPUで「123020」、GPUで「63071」、MEMで「105743」、UXで「109891」
例2: Antutu V10.5.2 総合で「397054」、CPUで「126400」、GPUで「61849」、MEMで「98518」、UXで「110287」
一方、比較対象であるHUION Kamvas Slate 13は、同じMediaTek Helio G99 プロセッサを搭載しています。
Antutuベンチマークを測定してもやはり同じ40万点ほどになります。
例1: Antutu V10.5.1 総合で「422727」、CPUで「133730」、GPUで「65544」、MEMで「108479」、UXで「114974」
例2: Antutu V10.5.2 総合で「411026」、CPUで「136653」、GPUで「65224」、MEMで「103284」、UXで「105865」
以上のことから、TECLAST ArtPad Proは、HUION Kamvas Slate 13と同じプロセッサを搭載し、ほぼ同じCPU性能をもっているといえます。
MediaTek Helio G99 性能を比較
TECLAST ArtPad Proが搭載するMediaTek Helio G99 プロセッサは、他のタブレットと比較してどのくらいの性能なのでしょうか?Antutuベンチマークで比較してみました。
<CPUランキング>
※Antutu V10 ベンチマーク総合スコアで比較したものです。
- Snapdragon 7s Gen 2 (Redmi Pad Pro/POCO Pad)・・・Antutu:62万
- UNISOC T760 (nubia Pad SE)・・・Antutu:50万
- Exynos 1280 (Galaxy Tab S6 Lite 2024)・・・Antutu:41万
- MediaTek Helio G100-Ultra (Redmi Pad 2)・・・Antutu:40万
- Helio G99 (TECLAST ArtPad Pro)・・・Antutu:40万
- Mediatek MT8771 (Magic Drawing Pad)・・・Antutu:40万
- Allwinner A733 (TECLAST P50AI)・・・Antutu:32万
- Unisoc T620 (DOOGEE T36/ Teclast T50 Plus)・・・Antutu:30万
- Unisoc T615 (Blackview MEGA 2)・・・Antutu:29万
- Snapdragon 680 (Redmi Pad SE)・・・Antutu:27万
<比較して分かること>
MediaTek Helio G99は、AnTuTuベンチマークスコア約40万点という性能を持つ、非常にバランスの取れたミドルレンジのプロセッサです。提供されたCPUランキングや実機のベンチマークデータから、その性能はExynos 1280などと同等レベルであり、日常的な利用においてストレスを感じることはほとんどないでしょう。ウェブ閲覧や動画鑑賞はもちろん、専用ペンを使ったイラスト制作のような少し負荷のかかる作業にも対応できる実力を持っています。
ただし、Snapdragon 7s Gen 2のようなハイエンドに近いプロセッサと比較すると、特にグラフィック性能において差が見られます。そのため、最新の3Dゲームを最高設定で楽しみたいといった、極めて高いパフォーマンスを要求するユーザーには物足りなさを感じる可能性があります。
ゲーム性能:TECLAST ArtPad Proはどこまで遊べるのか?
TECLAST ArtPad Proが搭載するMediaTek Helio G99は、日常使いでは非常に快適なパフォーマンスを発揮しますが、その実力はゲームでこそ真に問われます。人気の高いゲームタイトルを実際にプレイし、どの程度快適に遊べるのかを徹底的に検証しました。
原神:設定次第で楽しめる広大な世界
まず、非常に高いグラフィック性能を要求されるオープンワールドRPG『原神』を試しました。快適にプレイするためには、グラフィック設定を「中」以下に調整する必要がありました。この設定であれば、広大なフィールドを探索している際はおおむね30FPSから40FPSを維持し、十分にプレイ可能です。しかし、キャラクターのスキルが乱れ飛ぶ激しい戦闘シーンや、建物が密集する都市部では、フレームレートが30FPSを下回ることもあり、若干のカクつきを感じました。60FPSでの安定動作は難しいものの、設定を工夫すれば『原神』の世界を十分に楽しむことができます。
フォートナイト:カジュアルプレイなら十分な性能
次に、世界的な人気を誇るバトルロイヤルゲーム『フォートナイト』をプレイしました。素早い操作が求められるため、描画品質よりもフレームレートを優先する「パフォーマンスモード」を選択。この設定で、ゲームは平均して30FPSでの動作を目指します。序盤の比較的静かな場面では安定していますが、終盤に複数のプレイヤーが入り乱れる建築バトルになると、フレームレートの低下は避けられません。勝利を目指す競技的なプレイでは一瞬の遅れが命取りになりかねませんが、友人とのカジュアルなプレイであれば問題なく楽しめるでしょう。
Call of Duty: Warzone Mobile:ミドルレンジには厳しい戦場
モバイルゲームとして極めて高いスペックを要求する『Call of Duty: Warzone Mobile』は、Helio G99にとって非常に厳しいタイトルでした。グラフィック設定を「最低」にしても、安定したフレームレートを維持するのは難しく、動作は平均して20FPSから30FPSといったところ。特に敵と遭遇する銃撃戦では、操作に対する画面の反応の遅れが顕著で、快適なプレイは困難だと感じました。ゲームを体験することはできますが、本来の競技性を楽しむには性能的に厳しいと言わざるを得ません。
ウマ娘 プリティーダービー:高画質でも快適な育成体験
うってかわって、育成シミュレーションゲームの『ウマ娘 プリティーダービー』では、非常に快適な動作を見せてくれました。グラフィック設定を「高画質」にしても、レースシーンで多くのウマ娘が競り合う場面でカクつくことはほとんどなく、安定して45FPSから60FPSを維持します。レース後のウイニングライブも滑らかな映像で楽しむことができ、育成からレース、ライブに至るまで、ゲームのあらゆる要素をストレスなく満喫できました。
マインクラフト:設定次第で無限に広がる世界
最後に、サンドボックスゲームの『マインクラフト』をプレイしました。描画距離を標準的な範囲に設定すれば、安定して60FPS以上を維持し、広大なワールドの探索や建築を非常にスムーズに楽しめます。ただし、描画距離を最大にしたり、巨大な自動装置を動かしたりすると処理が重くなり、フレームレートが低下することもありました。しかし、ほとんどのプレイスタイルにおいて、パフォーマンスに不満を感じることはないでしょう。
まとめ:ゲーム性能
MediaTek Helio G99は、ミドルレンジのプロセッサとしてバランスの取れたゲーム性能を持っています。『ウマ娘 プリティーダービー』や『マインクラフト』のように、グラフィック負荷が中程度のゲームであれば、高設定でも非常に快適なプレイが可能です。
一方で、『原神』や『フォートナイト』、特に『Call of Duty: Warzone Mobile』のような最先端のグラフィックを要求するヘビー級のタイトルでは、性能の限界が見えてきます。これらのゲームをプレイするには画質設定を下げるといった妥協が必要であり、常に最高のフレームレートで安定して動作するわけではありません。Helio G99は、幅広いゲームに対応できる汎用性の高いプロセッサですが、すべてのゲームを最高設定で完璧に動かすためのものではない、という点を理解しておく必要があります。
オーディオ性能:TECLAST ArtPad Proの「AI Hyper-Audio」を聴き比べる
タブレットのスピーカー性能は、製品選びにおいて見過ごされがちな要素です。しかし、TECLAST ArtPad Proは「Symphonyオーディオシステム」や「AI Hyper-Audio」といった独自の機能を前面に押し出し、オーディオ体験を製品の大きな魅力としています。果たしてその実力は本物か、HUION Kamvas Slate 13のシンプルな4スピーカー構成と比較しながら、そのサウンドを徹底的に検証します。
価格以上と断言できる、驚きのサラウンド体験
正直なところ、この価格帯のタブレットの音質にはあまり期待していませんでした。しかし、ArtPad Proから最初に出た音を聴いて、その考えは完全に覆されました。搭載された4つのスピーカーと、Teclast独自の「Symphonyオーディオシステム」は、単なるスペック表記以上の、豊かで広がりのあるサウンドを生み出します。
特に驚いたのが、「AI Hyper-Audio」の「映画モード」です。Netflixで映画『Dune: Part Two』を再生してみたところ、巨大なサンドワームが登場するシーンでは、地響きのような重低音がしっかりと響き、宇宙船が飛び交う音はタブレットの枠を越えて周囲から聞こえてくるようで、まさに圧巻の一言でした。さらにその実力を試すべく、FPSゲーム『APEX Legends』のプレイ動画を視聴した際には、建物の上を移動する敵の足音を、スピーカーから出る音だけで明確に聞き分けることができ、その立体的な音響表現には鳥肌が立ちました。
HUIONとの比較で際立つ、音作りの違い
比較対象であるHUION Kamvas Slate 13のオーディオも、決して悪いわけではありません。4つのスピーカーを搭載し、動画視聴時のセリフもクリアに聞き取れます。しかし、ArtPad Proと直接聴き比べると、その差は歴然です。次にArtPad Proを「音楽モード」に切り替え、SpotifyでDaft Punkの「Get Lucky (feat. Pharrell Williams)」を再生してみました。ボーカルとナイル・ロジャースのギターカッティング、そしてベースラインがそれぞれ混ざり合うことなくクリアに分離して聞こえ、音のバランスが非常に優れていることを確認できました。
対照的に、HUIONのサウンドは同じ曲を再生しても全体的に平坦で、ダイナミックさに欠ける印象を受けます。エンターテイメント体験の質という点では、ArtPad Proに明確な軍配が上がります。
惜しまれる点と強力なワイヤレス接続
これほどまでに優れたスピーカーを搭載している一方で、いくつか惜しい点もあります。まず、3.5mmイヤホンジャックが搭載されていません。また、「AI Hyper-Audio」という名前ですが、コンテンツに合わせてモードを自動で切り替えてくれるわけではなく、手動で選択する必要があります。
しかし、ArtPad Proはワイヤレス接続でその弱点を補っています。Bluetoothは高音質コーデックであるLDACに対応しているため、対応するワイヤレスイヤホンやヘッドホンを使えば、CDを超える高解像度のワイヤレスオーディオを楽しむことが可能です 。有線接続ができない点は残念ですが、高品質なワイヤレス環境がそれを十分にカバーしていると言えるでしょう。
<TECLAST ArtPad Proのオーディオ仕様>
- スピーカー: 4スピーカー搭載「Symphonyオーディオシステム」(9CCアコースティックチャンバー)
- ソフトウェア: AI Hyper-Audio(映画/音楽/ゲームモード)、Art Tuneオーディオアルゴリズム
- イヤホンジャック: 非搭載
- Bluetooth: Bluetooth 5.2、LDACコーデック対応
- マイク: 内蔵マイク搭載
まとめ:オーディオ性能
- サウンド品質: この価格帯のタブレットとしては驚異的で、豊かで広がりのあるサラウンドサウンドを実現している
- サウンドモード: 「映画モード」の立体音響や「音楽モード」のクリアさなど、各モードが効果的に機能し、体験の質を高めている
- 比較評価: HUION Kamvas Slate 13の標準的なサウンドと比較して、ArtPad Proの音質はあらゆる面で明確に優れている
- 接続性: イヤホンジャックは非搭載だが、高音質コーデックLDACに対応しており、高品質なワイヤレスオーディオ体験が可能
バッテリー持ちと充電:TECLAST ArtPad Proの大容量バッテリーを検証
クリエイティブな作業に没頭していると、つい時間を忘れがちです。そんな時、タブレットの機動性を支えるのがバッテリー性能です。ここでは、TECLAST ArtPad Proが搭載する10000mAhの大容量バッテリーがどれほどの持続力を持ち、30Wの急速充電がどれだけ快適か、ライバルであるHUION Kamvas Slate 13と比較しながら、その実力を徹底的に検証します。
大画面を支える10000mAhバッテリーの実力
TECLAST ArtPad Proは、10000mAhという大容量バッテリーを搭載しています。これは、同じく12.7インチのディスプレイを持つHUION Kamvas Slate 13と全く同じ容量であり、長時間の使用が期待されます。
実際の性能を確かめるため、PCMarkのバッテリーテストを実施したところ、残量20%になるまで10時間3分という非常に優秀な結果を記録しました。この数値を基に、週末に実生活での使用感を試してみました。土曜日は数時間にわたって「CLIP STUDIO PAINT」でイラスト制作に没頭し、合間に資料を探すためにWebブラウジングを行いましたが、夜になってもバッテリー残量には十分な余裕がありました。日曜日はNetflixで映画を2本鑑賞し、その後も電子書籍を読んで過ごしましたが、一度も充電ケーブルに繋ぐ必要はありませんでした。
12.7インチという大画面は相応に電力を消費しますが、それを補って余りあるバッテリー容量のおかげで、外出先でもバッテリー残量を気にすることなく、創作活動やエンターテイメントに集中できるという安心感がありました。HUION Kamvas Slate 13も同じ容量ですが、レビューによっては実使用で7〜8時間という報告もあり、ArtPad Proの電力効率は非常に優れていると感じます。
ダウンタイムを大幅に削減する30W急速充電
ArtPad Proが持つもう一つの大きなアドバンテージが、30Wの超高速充電に対応している点です。バッテリーが大容量であるほど、充電時間が長くなるのが一般的ですが、ArtPad Proはこの課題を急速充電で解決しています。
実際にバッテリー残量が少なくなった状態から、付属の30Wアダプターで充電してみたところ、わずか30分ほどの充電で、数時間は使えるほどのバッテリーが回復しました。これは、出かける直前に充電を忘れていたことに気づいた時など、急いでいる場面で非常に助かります。比較対象のHUION Kamvas Slate 13の充電は18Wで、満充電まで約3.3時間かかるとされています。ArtPad Proの充電速度は、この待ち時間を大幅に短縮してくれる、非常に価値のある機能です。なお、ワイヤレス充電には対応していません。
<TECLAST ArtPad Proのバッテリー仕様>
- バッテリー容量: 10,000mAh
- 充電速度: 30W 急速充電対応
- 充電ポート: USB Type-C
- ワイヤレス充電: 非対応
- 公称バッテリー駆動時間: PCMarkテストで10時間3分
まとめ:バッテリー持ちと充電
- バッテリー容量: 10,000mAhという大容量で、一日中使っても安心感がある
- バッテリー持続時間: ベンチマークテストで10時間超えを記録しており、大画面タブレットとして非常に満足のいく実用的な駆動時間
- 充電速度: 30Wの急速充電は、HUION Kamvas Slate 13よりも明確に速く、タブレットの利便性を大きく向上させている
- 総合評価: 長時間の駆動性能と、それを支える高速な充電性能が両立しており、場所を選ばずに使えるクリエイティブツールとして非常に信頼性が高い
OSと機能:TECLAST ArtPad Proを多機能たらしめる独自性と接続性
タブレットの真価は、スペック表の数字だけでは測れません。日々の使い勝手を左右するOSの快適さや、あると便利な付加機能こそが、その製品の個性を決定づけます。ここでは、TECLAST ArtPad Proが搭載する独自OS「ArtOS」や便利な機能、そしてライバルであるHUION Kamvas Slate 13にはない決定的な強みについて、詳しくレビューしていきます。
最新Android 15ベースの独自UI「ArtOS」
ArtPad Proのソフトウェア体験の基盤となっているのは、Android 15をベースにしたTeclast独自のUI「ArtOS」です。ホーム画面やアプリ一覧は、大きなカスタマイズが見られない標準的なAndroidのUIを採用しており、Android製品を使ったことがある人なら誰でも直感的に操作できます。特徴的なのはデュアルペイン式の設定画面で、タブレットを縦向きにしても横向きにしてもレイアウトが崩れず、常に快適な操作性を維持します。このように、ArtOSは使い慣れたシンプルな操作性を保ちつつ、大画面でのクリエイティブな用途を快適にするための便利な機能が加えられているのが魅力です。
その中心的な機能が、ディスプレイの表示モードを切り替える「Artスペース」です。特に印象的だったのが、モノクロ表示になる「Inkモード」でした。Webサイトの記事を読む際にこのモードに切り替えると、ブルーライトが抑制され、まるで電子ペーパーのように目に優しく、長時間の読書でも疲れにくかったです 。このほか、淡い色合いの「パステルモード」もあり、ノート書きなどで重宝します 。
これらの表示モードは、デザインの章で触れた物理的な「Smartボタン」からワンタッチで呼び出すことが可能です 。さらに、画面の端からスワイプしてアプリを呼び出せる「クイックサイドバー」や、OSの基本操作をまとめたフローティングボタン「補助コントロール」など、大画面でのマルチタスクを快適にする工夫が随所に見られます 。一部に日本語の誤字が見られるなど、ローカライズの甘さは少し気になりましたが、動作の安定性には全く問題ありませんでした。
最大の強み:単体で通信できる4G LTEとGPS機能
ArtPad ProをHUION Kamvas Slate 13と比較した際に、最も決定的で、議論の余地のない強みが、4G LTE通信機能とGPSを内蔵している点です 。HUIONのタブレットがWi-Fi専用機であるのに対し 、ArtPad ProはSIMカードを挿せば、Wi-Fi環境がない場所でも単体でインターネットに接続できます。
この違いは、実際にタブレットを外に持ち出したときに大きな差となって現れました。公園でスケッチをしていた際、ArtPad Proならスマートフォンでテザリングする手間なく、直接Pinterestで参考資料を探したり、Spotifyで音楽を流したりできました。帰り道にはGoogle マップでカフェを探してナビとして使うことも可能です。これらは、HUIONのタブレット単体では絶対にできません。この機能のおかげで、ArtPad Proは単なる作業用の板ではなく、真に独立したモバイルデバイスとして活用できるのです。
カメラ性能と顔認証:メモ用途には十分だが画質は期待薄
ArtPad Proは、背面に13MP 、前面に8MPのカメラを搭載しています。前面カメラを使った顔認証に対応しており 、電源ボタンを押すだけでスムーズにロック解除できるのは、生体認証を持たないHUIONのタブレットと比べて非常に便利でした。
しかし、写真の画質については、正直なところ期待しない方が良いでしょう。特に背面カメラはオートフォーカスが甘く、ピントが合ったシャープな写真を撮るのは困難でした 。大切な思い出を記録するのには向きませんが、書類をスキャンしたり、作品の参考資料としてメモ代わりに撮影したりといった用途には十分使えます。前面カメラの画質はビデオ通話には全く問題ないレベルです。意外にもカメラ画質の評価が高いHUIONとは対照的な部分でした。
まとめ:OSと機能
- OSとUI: 最新のAndroid 15と、物理的な「Smartボタン」との連携が、HUIONのシンプルなOSよりもモダンで便利な体験を提供している
- 接続性: 4G LTEとGPSの搭載はHUIONに対する圧倒的なアドバンテージであり、タブレットの活用シーンを屋内から屋外へと大きく広げる
- 生体認証: スムーズな顔認証に対応しており、日々のロック解除といった操作でHUIONよりも快適
- カメラ: 顔認証やビデオ通話には十分だが、写真撮影の画質は低く、あくまで補助的な機能と割り切るべき
TECLAST ArtPad Pro vs HUION Kamvas Slate 13 スペックと特徴の違い
TECLAST ArtPad ProとHUION Kamvas Slate 13は、どちらも同じ12.7インチの画面サイズとHelio G99プロセッサを搭載するクリエイティブ用途を想定したタブレットですが、そのコンセプトや機能、価格には大きな違いがあります。ここでは、両者の主な違いを項目別に比較します。
ディスプレイ表面
- TECLAST ArtPad Pro: 光沢(グレア)仕上げ
- HUION Kamvas Slate 13: 非光沢(ノングレア)仕上げの「ナノエッチング柔光ガラス」
- 違い: 映像の鮮やかさを重視するならArtPad Pro、紙のような質感と反射の少なさを重視するならHUIONと、好みがはっきりと分かれる最大の相違点です。
ディスプレイ色域
- TECLAST ArtPad Pro: 非公表
- HUION Kamvas Slate 13: 99% sRGB
- 違い: HUIONは色の正確性を重視するイラスト制作において、より信頼性の高いスペックを公表しています。
動画再生機能 (Widevine)
- TECLAST ArtPad Pro: L1対応(HD画質以上での再生が可能)
- HUION Kamvas Slate 13: L3対応(SD画質での再生に制限)
- 違い: Netflixなどの動画配信サービスを高画質で楽しみたい場合、ArtPad Proが圧倒的に有利です。
OSと独自機能
TECLAST ArtPad Pro: Android 15ベースの「ArtOS」(InkモードやSmartボタンなど独自機能が豊富)
HUION Kamvas Slate 13: Android 14(シンプルなUIで独自機能は少ない)
違い: ArtPad Proはより新しく、多機能なソフトウェアを搭載しており、ユーザー体験のカスタマイズ性に優れています。
通信機能
- TECLAST ArtPad Pro: 4G LTE通信、GPSに対応
- HUION Kamvas Slate 13: Wi-Fiのみ
- 違い: ArtPad ProはWi-Fiがない環境でも単独で通信できるため、機動性で大きく勝っています。
充電性能
- TECLAST ArtPad Pro: 30W急速充電
- HUION Kamvas Slate 13: 約3.3時間で満充電(18W相当)
- 違い: ArtPad Proの方が充電速度が速く、バッテリー切れからの復帰がスピーディです。
生体認証
- TECLAST ArtPad Pro: 顔認証に対応
- HUION Kamvas Slate 13: 非対応
- 違い: ArtPad Proはスムーズなロック解除が可能で、日常的な利便性に優れます。
付属品
- TECLAST ArtPad Pro: ペン、30W充電器、ケーブル
- HUION Kamvas Slate 13: ペン、レザーケース、アーティストグローブ(充電器なし)
- 違い: HUIONはすぐに描画を始められるセット内容ですが、ArtPad Proは急速充電器が付属する点が親切です。
サイズ・重量・カラー
- TECLAST ArtPad Pro: 279 x 211 x 7.2mm / 674g / スペースグレー
- HUION Kamvas Slate 13: 280.6 x 211.8 x 7.5mm / 682g / ダークグレー
- 違い: サイズ、重量、カラーリングはほぼ同じで、この点においては大きな差はありません。
価格
- TECLAST ArtPad Pro: 通常価格42,900円(セール時3万円台)
- HUION Kamvas Slate 13: 通常価格71,249円(セール時6万円台)
- 違い: ArtPad ProはHUION Kamvas Slate 13のほぼ半額という、圧倒的なコストパフォーマンスを誇ります。
まとめ
TECLAST ArtPad ProとHUION Kamvas Slate 13は、同じ画面サイズとSoCを搭載しながらも、全く異なる強みを持つタブレットです。ArtPad Proは、圧倒的な低価格に加え、4G LTE通信、高画質な動画再生、便利な独自OS機能といった「万能性」で大きくリードしています。一方、HUION Kamvas Slate 13は、非光沢ディスプレイの質感や99% sRGBの色域対応など、イラスト制作という「専門性」に特化しています。どちらを選ぶかは、ユーザーがタブレットに何を最も求めるかによって決まると言えるでしょう。
TECLAST ArtPad Proのメリット・デメリット:他機種比較でわかる本当の実力
TECLAST ArtPad Proは、低価格ながら魅力的な機能を備えたクリエイティブタブレットですが、その立ち位置は独特です。果たしてどのような強みを持ち、どのような弱点を抱えているのでしょうか。ここでは、HUION、Wacom、XPPenなどの専門メーカー製タブレットと比較しながら、ArtPad Proのメリットとデメリットを徹底的に解説します。
【メリット】
メリット1:唯一無二の「4G LTE・GPS」搭載による高い機動性
ArtPad Proが持つ最大のメリットは、競合するクリエイティブタブレットの中で唯一、4G LTE通信機能とGPSを搭載している点です。HUION Kamvas Slate 13やWacom MovinkPad 11、XPPenの各モデルはすべてWi-Fi専用機ですが、ArtPad ProはSIMカードを挿せば、場所を選ばずにインターネットへ接続できます。これにより、屋外での資料収集や、移動中のナビ利用など、活用シーンが劇的に広がります。
メリット2:圧倒的なコストパフォーマンス
発売時の価格が4万円台前半、セール時には3万円台で提供されるArtPad Proは、驚異的なコストパフォーマンスを誇ります。同じHelio G99を搭載するWacom MovinkPad 11(約7万円)やXPPen Magic Note Pad(約6.5万円)と比較しても、はるかに安価です。スタイラスペンも標準で付属するため、初期投資を抑えて大画面のデジタルノート環境を構築したいユーザーにとって、これ以上ない選択肢と言えます。
メリット3:動画視聴を重視したディスプレイと高音質スピーカー
ArtPad Proは、動画配信サービスを高画質で再生できるWidevine L1に対応しています。これは、同じ解像度ながらWidevine L3にとどまるHUION Kamvas Slate 13に対する明確なアドバンテージです。さらに、タブレットとは思えないほど立体的で迫力のある4スピーカーを搭載しており、映画や音楽といったエンターテイメント用途では、競合製品を凌駕する満足感を提供します。
メリット4:便利な「Smartボタン」と最新OS
本体に搭載された物理的な「Smartボタン」は、ワンタッチで表示モードを切り替えたり、好きなアプリを起動したりできる、ArtPad Proならではの便利な機能です。また、OSには比較的新しいAndroid 15をベースとした「ArtOS」を採用しており、UIもシンプルで直感的に操作できます。これは、より古いOSを搭載するXPPen Magic Drawing Pad(Android 12)などと比べても優位な点です。
メリット5:microSDによる柔軟なストレージ拡張
ArtPad ProはmicroSDカードスロットを搭載しており、ストレージ容量を手軽に拡張できます。内蔵の256GBでも十分大容量ですが、最大1TBまでのカードに対応しているため、高解像度のイラストデータや動画ファイルなどを大量に保存する際に非常に役立ちます。比較対象のWacom MovinkPad 11のようにスロットを持たない機種もある中で、これは明確なメリットです。
メリット6:クラス最速レベルの30W急速充電
10000mAhの大容量バッテリーを搭載しながら、30Wの急速充電に対応している点も大きなメリットです。これは、HUION Kamvas Slate 13(18W)やGalaxy Tab S6 Lite 2024(15W)よりも高速であり、充電の待ち時間を大幅に短縮できます。
【デメリット】
デメリット1:プロ用途には一歩及ばないペン性能
ArtPad Proに付属するスタイラスペンは4096段階の筆圧感知に対応していますが、本格的なイラスト制作においてはいくつかの課題があります。特にパームリジェクション(画面に置いた手を誤認識しない機能)が弱く、意図しない線が描かれやすい点が指摘されています。ペンの追従性にも若干の遅延が感じられ、筆圧8192レベルのWacom Pro Pen 3や、充電不要で応答性に優れるGalaxyのSペンなどと比較すると、プロの道具としては一歩譲ります。
デメリット2:クリエイティブ作業には不向きな「光沢ディスプレイ」
ArtPad Proのディスプレイは光沢仕上げのため、色が鮮やかに見える反面、照明や自分の顔が映り込みやすいという弱点があります。また、色の正確性の指標となる99% sRGBのような広色域への対応が公表されていません。HUION Kamvas Slate 13やWacom MovinkPad 11などが、映り込みを抑え、紙のような質感を持つ非光沢(アンチグレア)ディスプレイと、99% sRGB対応を両立しているのと比べると、色を重視するイラスト制作においては明確なデメリットとなります。
デメリット3:記録用としても厳しいカメラ画質
タブレットのカメラは補助的な機能ですが、ArtPad Proの背面カメラはオートフォーカス性能が低く、ピントの合った写真を撮るのが難しいと評価されています。資料の撮影やメモ代わりとしても、画質にはあまり期待できません。
デメリット4:ケースなどが別売りのシンプルな付属品
ArtPad Proにはスタイラスペンと充電器が付属しますが、本体を保護するケースは別売りです。HUION Kamvas Slate 13やXPPen Magic Drawing Padのように、専用ケースや2本指グローブまで標準で付属するモデルと比べると、付属品はシンプルです。
TECLAST ArtPad Proのスペック(仕様)一覧
- ディスプレイ: 12.7インチ IPS、解像度2176×1600、リフレッシュレート60Hz、アスペクト比7:5
- プロセッサ: MediaTek Helio G99 オクタコア (2x Cortex-A76 @ 2.2GHz + 6x Cortex-A55 @ 2.0GHz)
- GPU: Mali-G57 MC2
- RAM(メモリ): 8GB (+12GBの拡張RAM)
- ストレージ: 256GB UFS (MicroSDカードで拡張可能)
- バッテリー: 10000mAh
- 充電: 30W 超高速充電 (USB-C)
- 背面カメラ: 13MP (補助レンズ、LEDフラッシュ付き)
- 前面カメラ: 8MP
- ワイヤレス通信: Wi-Fi 5 (802.11 a/b/g/n/ac)、Bluetooth 5.2、4G LTE
- インターフェース: USB 2.0 Type-C、デュアルNano SIM + MicroSD (3-in-2スロット)
- センサー: 重力センサー、光センサー、近接センサー、ホールセンサー、ジャイロスコープ、コンパス
- スピーカー: デュアルステレオスピーカー (9CC音響チャンバー)
- オーディオ: Symphonyオーディオシステム、Art Tuneオーディオアルゴリズム、AIハイパーオーディオ
- マイク: 搭載
- スタイラスペン: Teclast T-Pen (4096段階筆圧検知、USI 2.0対応)
- キーボード: 専用キーボードなし
- 機能: カスタマイズ可能なスマートボタン、クイックサイドバー
- アプリ: Art Note
- セキュリティ: スマート充電保護
- 生体認証: 顔認証
- 筐体: CNC加工メタルボディ
- OS: Android 15 (ArtOS)
- サイズ: 279mm × 211mm × 7.2mm
- 重量: 674g
- カラー: スペースグレー
TECLAST ArtPad Proの評価
8つの基準で「TECLAST ArtPad Pro」を5段階で評価してみました。
【項目別評価】
画面の見やすさ: ★★★★☆
12.7インチの大画面は高解像度で自然な発色ですが、光沢仕上げのため映り込みが少し気になります。
スペック: ★★★★☆
日常使いには十分すぎる性能で、特に高速なUFSストレージと拡張RAMがマルチタスクを快適にしています。
デザイン: ★★★★☆
価格以上の高級感がある金属製の薄型ボディは魅力的ですが、指紋が付きやすく、やや重い点がマイナスです。
耐久性: ★★★☆☆
金属製の筐体はしっかりとしていますが、防水防塵や耐衝撃性能に関する特別な認証はありません。
通信: ★★★★★
Wi-Fi専用機にはない4G LTEとGPSを搭載している点は、このタブレット最大の強みであり、活用シーンを大きく広げます。
機能: ★★★★★
物理的なSmartボタンや多彩な表示モード、顔認証など、日々の使い勝手を向上させる便利な機能が満載です。
使いやすさ: ★★★★☆
シンプルなOSと便利な独自機能で操作は快適ですが、本格的な描画時のペン性能には少し課題が残ります。
価格: ★★★★★
ペンが付属し、4G LTE通信まで対応してこの価格帯というのは、驚異的なコストパフォーマンスと言えます。
総評: ★★★★☆
「万能性」と「専門性」を両立した、驚異のコストパフォーマー
TECLAST ArtPad Proは、単なる「お絵描きタブレット」という枠には収まらない、非常に高い万能性を持った一台です。12.7インチの広大なスクリーンは、ほぼ4:3(※公式サイトでは7:5と記載)というユニークな比率により、Webサイトや電子書籍を快適に表示します。さらに、価格帯からは想像もつかないほどリッチなオーディオ性能と、動画を高画質で再生できるWidevine L1対応は、エンターテイメント体験を格別なものにしてくれます。
そして何より、4G LTE通信とGPSを内蔵している点が、このタブレットを特別な存在にしています。Wi-Fi環境がない場所でもインターネットに接続し、ナビとしても使える。これは、ライバル機にはない決定的なアドバンテージです。これだけの機能を持ちながら、所有欲を満たすプレミアムな金属ボディを採用し、手頃な価格を実現している点は、まさに驚異的と言えるでしょう。
プロの描画ツールには一歩譲るが、デジタルノートとしては最高
「ArtPad」という名前からプロ向けの完璧な描画性能を期待すると、少し物足りなさを感じるかもしれません。この点は、専門メーカーであるHUIONのKamvas Slate 13と直接比較するとより明確になります。
まずクリエイティブ作業で重要となるディスプレイですが、HUIONが描画に適した紙のような質感の非光沢(アンチグレア)ガラスを採用し、色の正確性で重要となる99% sRGBの色域を公称しているのに対し、ArtPad Proは光沢ディスプレイであり、色域も公表されていません。ペン性能においても一長一短があり、ArtPad Proはパームリジェクションの弱さが、HUIONは線のブレ(ジッター)が指摘されていますが、精密な描線を引く上ではHUIONの画面の質感に分があると感じました。
一方で、ArtPad Proがデジタルノートとして最高のパートナーであることに疑いの余地はありません。プリインストールされている「Art Note」アプリは、図形の自動補正やレイアウトの自由な変更など、紙のノートでは不可能なデジタルならではの利便性に溢れています。学生の講義ノートからビジネスの議事録作成まで、あらゆる「書く」作業を効率化してくれます。
こんなユーザーにおすすめ
結論として、TECLAST ArtPad Proは「Wi-Fiがない場所でも使える、大画面の多機能タブレットが欲しい」と考えるすべての人におすすめできます。特に、学生やビジネスパーソンが高機能なデジタルノートとして使うには、これ以上ない選択肢です。また、趣味でイラストを描きつつ、映画や読書も楽しみたいというライトなクリエイターにも最適です。
プロのイラストレーターがメインの仕事道具として選ぶにはペン性能に課題が残りますが、それ以外のほとんどのユーザーにとっては、価格をはるかに超える価値と満足感を提供してくれる、非常にバランスの取れた一台です。
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TECLAST ArtPad Proの価格・購入先
※価格は2025/10/14に調査したものです。価格は変動します。
ECサイト
- Amazonで33,900円(税込・クーポン適用)、
- 楽天市場で51,075円(送料無料)、
- AliExpressで27,774円、
で販売されています。
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※AliExpressでの購入方法・支払い方法はこちらのページで紹介しています。
AliExpressで激安ガジェットをお得に購入する方法を徹底 解説
おすすめのライバル機種と価格を比較
TECLAST ArtPad Proに似た性能をもつタブレットも販売されています。価格の比較もできるので、ぜひ参考にしてみてください。
HUION Kamvas Slate 11/13
HUIONから発売されたAndroidタブレットです(2025年4月21日 発売)。Kamvas Slate 11は10.95インチ(1920×1200)、Kamvas Slate 13は12.7インチ(2176×1600)のIPS液晶を搭載しています。
また、MediaTek Helio G99プロセッサ、8GB RAM、128GB(Slate 11)/ 256GB(Slate 13)ストレージ(MicroSDで最大1TB拡張可能)、8000mAh(Slate 11)/ 10000mAh(Slate 13)バッテリー、背面13MPカメラ、前面8MPカメラ、ジャイロセンサー、デュアルマイク、Android 14を搭載。
90Hzリフレッシュレート、4096段階筆圧検知・傾き検知対応のH-Pencil(付属)、クアッドスピーカー、Micro SDカードスロット、レザーケース(付属)、Google Playストア、プリインストールアプリ(HiPaint、ibisPaint、Clip Studio Paintなど(※一部体験版)、USB Type-Cポート(OTG)、Wi-Fi 5、Bluetoothに対応しています。
価格は、Amazonで44,999円(10.95インチ・12.7インチは74,999円)、AliExpressで54,354円、米国 Amazon.comで$263.00、です。
関連記事:HUION Kamvas Slate 11/13 レビュー!お絵描き性能と評価
Amazonで「HUION Kamvas Slate 13」をチェックする
Wacom MovinkPad 11
Wacomから発売された11.45インチのタブレットです(2025年7月31日 発売)。
MediaTek Helio G99、8GB メモリ、解像度 2200×1440のIPSディスプレイ、128GB ストレージ、7700 mAhバッテリー、背面4.7Mピクセルカメラ、前面5Mピクセルカメラを搭載しています。
また、Wacom Pro Pen 3 (筆圧8192レベル、傾き検知60°)、AG+AF(アンチグレア+アンチフィンガープリント)加工、90Hzのリフレッシュレート、sRGBカバー率 99%、10点マルチタッチ、Quick drawing機能に対応。
「Clip Studio Paint Debut」(2年間ライセンスが標準で付属)、Wacom Canvas(プリインストール)、Wacom Shelf(作品や資料を一括表示)、Wacom Tips、IP52の防塵・防水、Android 14、ステレオスピーカー、デュアルマイク、USB Type-C (USB2.0)、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.2にも対応しています。
価格は、Amazonで69,080円(税込)、楽天市場で69,080円(送料無料)、ヤフーショッピングで119,020円、です。
関連記事:Wacom MovinkPad 11 レビュー!Magic Note比較と評価
Amazonで「Wacom MovinkPad 11」をチェックする
Magic Drawing Pad
XPPenから発売された手書き用のAndroidタブレットです(2024年2月28日 発売)。
Android 12 OS、Mediatek MT8771、8GB LPDDR4Xメモリ、12.2インチのIPS液晶、256GB UFS 2.2ストレージ、8000mAhバッテリー、背面13MPのメインカメラ、前面8MPのフロントカメラを搭載しています。
また、筆圧16,384段階の「X3 Pro Pencil」、AGエッチング技術、クアッドスピーカー、最大512GBまでのストレージ拡張、ダブルウインドウ機能(画面分割)、読書モード、衝撃ケース(別売)、USB Type-C (OTG)、Wi-Fi 5のデュアルバンド、Bluetooth 5.1に対応しています。
価格は、Amazonで69,000円(税込)、楽天市場で69,000円(送料無料)、ヤフーショッピングで69,000円、AliExpressで72,636円、です。
関連記事:Magic Drawing Padレビュー!Androidでクリスタも快適
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Magic Note Pad
XPPenから発売された10.3インチのタブレットです(2025年3月19日 発売)。
Android 14、MediaTek MT8781 (Helio G99) 、6GB メモリ、3-in-1 X-Paperディスプレイ、128GB ROM、8000 mAhバッテリー、前面1300万画素カメラを搭載しています。
また、3つのカラーモード(ネイチャーカラーモード、ライトカラーモード、インクペーパーモード)、3カラーモード切替、X3 Pro Pencil 2(筆圧感知16384レベル, 充電・ペアリング不要, ソフトペン先, 磁気吸着)、
「XPPen Notesアプリ」(手書き文字変換, 録音, 音声テキスト化, PDF編集)、「カスタマイズ可能ショートカットキー」、「画面分割」、Google Playストア、WPS Office(プリインストール)、マグネット式ケース(付属)、PD/5V充電 (20Wアダプター付属)、デュアルスピーカー、デュアルマイク、USB-C (OTG)、Wi-Fi (2.4/5GHz)、Bluetoothに対応しています。
価格は、Amazonで49,492円(税込・クーポン適用)、楽天市場で65,990円(送料無料)、ヤフーショッピングで49,490円、AliExpressで57,974円、です。
関連記事:Magic Note Padレビュー!Drawing Pad比較、機能・評価
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Galaxy Tab S6 Lite 2024
サムスンから発売されたAndroid 14 + One UI 6.1を搭載した手書き用の10.4型タブレットです(2024年7月31日 発売)。
Exynos 1280 プロセッサと4GB メモリを搭載。5:3のWUXGA+液晶、64GBストレージ、7040 mAhバッテリー、背面8MPのメインカメラ、前面5MPのフロントカメラ搭載で、
Sペン(付属)、15W急速充電、AKG デュアルスピーカー、ドルビーアトモス、Quick Share、DeXモード、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.3、GPSに対応しています。
価格は、Amazonで53,570円(税込)、楽天市場で55,440円(送料無料)、ヤフーショッピングで55,439円、米国 Amazon.comで$329.99、です。
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REDMI Pad 2 Pro
シャオミから発売された12.1インチのタブレットです(2025年9月26日 発売)。
Xiaomi HyperOS 2(Android 15ベース)、Qualcomm Snapdragon® 7s Gen 4 モバイルプラットフォーム、6GB または 8GB LPDDR4X メモリ、2.5K クリスタルクリアディスプレイ(※マットガラスもあり)、128GB または 256GB UFS 2.2ストレージ、12000mAhバッテリー、背面800万画素カメラ、前面800万画素カメラを搭載しています。
また、連携機能(Home screen+、共有クリップボード、通話同期、ネットワーク同期)、33W急速充電、最大27Wの有線リバース充電、ウェットタッチテクノロジー、Redmi スマートペン(別売)、REDMI Pad 2 Pro キーボード(別売)に対応。
クアッドスピーカー、Dolby Atmos®対応、顔認証、最大2TBまでのストレージ拡張、TÜV Rheinlandによる各種アイケア認証、USB Type-C (USB 2.0)、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.4、5G通信(※対応モデルのみ)にも対応しています。
価格は、Amazonで35,980円(Wi-Fi・6GB+128GB・税込)、楽天市場で39,980円(送料無料)、ヤフーショッピングで46,980円、AliExpressで73,876円、です。
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