ROG Ally徹底レビュー!性能・機能・メリット・デメリットを深掘り評価

ROG ALLY 本体が横に置かれている。背景が青で目立つ。
2023年9月21日、ASUSより満を持して日本国内で発売開始されたポータブルゲーミングPC「ROG Ally」。PCゲーマー待望のこの一台は、瞬く間に市場の注目を集め、ポータブルゲーミングという新たな潮流を加速させる存在となりました。

リビングでも、外出先でも、場所を選ばずに本格的なPCゲーム体験を提供するというコンセプトは、多くのゲーム愛好家の心を掴んで離しません。

ROG Allyが持つ圧倒的な魅力

ROG Ally」の魅力は多岐にわたりますが、注目すべきはその卓越したパフォーマンスと汎用性です。AMDと共同開発された最新APU「Ryzen Z1 Extreme」(上位モデル)は、携帯機とは思えないほどの処理能力を秘め、AAAタイトルからインディーゲームまで、幅広いPCゲームを快適に動作させます。さらに、120Hzの高リフレッシュレートに対応した鮮明なフルHDディスプレイは、滑らかな映像表現でプレイヤーをゲームの世界へと深く没入させます。

そして何より、Windows 11を搭載している点が大きなアドバンテージです。これにより、Steam、Xbox Game Pass、Epic Games Storeなど、主要なPCゲームプラットフォームを網羅する圧倒的なゲーム互換性を実現。普段PCで遊んでいるゲームライブラリをそのまま持ち出せるだけでなく、一般的なWindowsアプリケーションも利用可能なため、ゲーム以外の用途でもその利便性を発揮します。

ASUS独自の統合ソフトウェア「Armoury Crate SE」が、これらの豊富な機能を直感的かつ快適に操作できるようサポートしている点も、本機の完成度を高めていると言えるでしょう。

この記事で「ROG Ally」の全てが分かる

この記事では、そんな魅力あふれる「ROG Ally」について、その基本スペックから実際の使用感、ソフトウェアの使い勝手、そして気になるバッテリー性能や拡張性、さらにはメリット・デメリットに至るまで、あらゆる角度から徹底的に深掘りし、詳細にレビューしていきます。「ROG Ally」が持つポテンシャルと、それがもたらすゲーム体験の真価を、余すところなくお伝えします。

この記事で分かること

  1. ROG Allyの洗練されたデザインと携帯性
  2. 鮮やかで滑らかな120Hzディスプレイの実力
  3. 人間工学に基づいたコントローラーの操作性とカスタマイズ性
  4. Ryzen Z1 Extremeプロセッサの処理性能(ベンチマーク)と実際のゲームでの動作感(フレームレート、FPS)
  5. メモリとストレージの速度と容量、拡張性
  6. Windows 11とArmoury Crate SEによるソフトウェア体験
  7. バッテリー駆動時間と急速充電性能
  8. ROG XG Mobileなどの周辺機器による拡張性
  9. メリット・デメリットを踏まえた総合的な評価

この記事を最後までお読みいただければ、「ROG Ally」を購入するべきかどうか、その判断に必要な情報が明確になるはずです。購入を検討されている方、最新のポータブルゲーミングPCに興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。

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公式ページ:ROG Ally (2023) | #playALLYourgames | #すべてのゲームを手のひらに | ポータプルゲーム機 | ROG – Republic of Gamers | ROG 日本

デザイン:手にした瞬間、心が高鳴るROG Allyの外観

ROG ALLY 本体 横に配置。背景が黒。

ここでは、ポータブルゲーミングPC「ROG Ally」の外観とデザインについて、私が実際に触れて感じた魅力をお伝えしていきます。単なるスペックだけでは語り尽くせない、所有する喜びを感じさせてくれるポイントが随所にありました。

白を基調とした洗練されたフォルムと驚きの薄さ・軽さ

ROG Allyを初めて箱から取り出したとき、まずその清潔感のある白いボディカラーに良い意味で驚かされました。多くのゲーミングデバイスが黒を基調とし、力強いデザインを前面に出す中で、このROG Allyはどこか洗練された印象を受けます。

そして注目すべきは、その薄型軽量デザインです。厚さは最も薄い部分で2.12cm、最も厚い部分でも3.24cm非常にスリムで、重さ約608gに抑えられています。実際に手に取ってみると、この数値が示す通り、ゲーミングPCとは思えないほどの軽快さを感じました。

例えば、競合機のひとつである「Steam Deck」が重さ約669g(サイズ298x117x49mm)であることを考えると、ROG Allyの携帯性の高さが際立ちます。カバンにもすんなり収まるので、通勤中の電車内で「Stardew Valley」のような比較的カジュアルなゲームを楽しんだり、友人の家に持ち寄って対戦ゲームをしたりするのも苦になりません。表面のマットな質感も指紋がつきにくく、常に綺麗な状態を保ちやすいのは個人的に嬉しいポイントです。

長時間プレイを支える人間工学に基づいたグリップ

実際にROG Allyを手に取ってみると、そのグリップの形状が非常によく考えられていることに気づかされます。両手で包み込むように持つと、背面のカーブが手のひらに吸い付くようにフィットし、前述の約608gという軽さと相まって、まるで自分の手の一部かのように自然にホールドできます。

この絶妙なバランスのおかげで、例えばソファに深く腰掛けて「サイバーパンク2077」のようなグラフィック負荷の高いAAAタイトルを長時間プレイする際も、手首への負担が少なく、ゲームの世界に没頭し続けることができました。各ボタンやスティックの配置も自然で、初めて触ったときから直感的に操作できるのは素晴らしいと感じました。

機能美と遊び心が融合したディテール

細部に目を向けると、ROG Allyのデザインには機能性と遊び心が見事に融合していることがわかります。例えば、スピーカーのメッシュ部分や排気口のデザインは、効率的な冷却性能を確保しつつも、メカニカルで未来的な印象を与えます。

また、ABXYボタンやスティック周りのカッティングもシャープで、ゲーミングデバイスとしてのアイデンティティをさりげなく主張しています。電源ボタンに搭載された指紋認証センサーも、デザインを損なうことなくスマートに統合されており、実用性と美しさを両立させている点に感心しました。これらの細やかな配慮が、製品全体の完成度を高めていると言えるでしょう。

まとめ:デザインと外観

  • 清潔感と洗練された印象を与える白いボディカラー
  • 厚さ2.12cm~3.24cm、重さ約608gの驚くほど薄型軽量なデザイン
  • Steam Deck(約669g)と比較しても際立つ携帯性の高さ
  • 指紋がつきにくく実用的なマットな質感
  • 約608gの軽さを活かす、人間工学に基づいた握りやすいグリップ形状
  • 長時間プレイでも疲れにくく、直感的な操作が可能なボタン・スティック配置
  • 機能性とデザイン性を両立させたスピーカーメッシュや排気口のディテール
  • シャープなカッティングが施されたボタンやスティック周り
  • デザインに馴染むスマートな指紋認証センサー搭載の電源ボタン

ディスプレイ:ROG Ally 鮮やかで滑らかな映像世界への没入体験

ROG Allyでゲームをプレイしている様子。

ここでは、ポータブルゲーミングPC「ROG Ally」のディスプレイがもたらす視覚体験の魅力について、詳細なスペックや競合製品との比較、そして実際の使用感を交えながら詳しくご紹介していきます。このディスプレイは、ゲームプレイはもちろん、動画視聴においても格別な体験を提供してくれました。

明るく色鮮やかな7インチ フルHDの世界

ROG Allyの電源を入れ、最初に目に飛び込んでくるのは、7インチのフルHD(1920×1080ドット)IPSディスプレイの鮮やかさです。輝度500nitsというスペックは伊達ではなく、明るくクリアな表示を実現しています。

さらにsRGBカバー率100%という広色域により、例えば「原神」のような色彩豊かなオープンワールドゲームでは、キャラクターの衣装の細かな色彩や、美しい風景のグラデーションが忠実に再現され、思わず息をのむほどの美しさでした。この点は、解像度が1280×800ドット、輝度400nitの「Steam Deck」と比較しても、ROG Allyの大きなアドバンテージと言えます。

また、ディスプレイ表面にはCorning社のGorilla Glass DXCが採用されており、反射を抑えつつ透過率を高めているため、日中の明るい部屋や、少し日差しのある屋外でも画面が見やすいのは嬉しいポイントです。これにより、例えば公園のベンチで「モンスターハンターライズ:サンブレイク」をプレイする際も、画面への映り込みを気にせず快適に楽しめました。

もちろんタッチ操作にも対応しているので、Windowsの操作や対応ゲームでの直感的な入力も可能です。

120Hzリフレッシュレートが織りなす究極の滑らかさ

ROG Allyのディスプレイの真価は、120Hzという高いリフレッシュレートに対応している点にあります。これにより、一般的な60Hzのディスプレイと比較して2倍のコマ数を表示できるため、映像が格段に滑らかになります。特に「エーペックスレジェンズ」や「フォートナイト」のような動きの速いFPSゲームでは、敵の動きが非常にはっきりと視認でき、エイムの精度向上にも繋がるのを実感しました。

残像感が大幅に軽減されるため、素早い視点移動でも目が疲れにくいのは、個人的に非常に大きなメリットだと感じています。

さらに、AMD FreeSync Premiumテクノロジーにも対応しているため、ゲーム中のカクつき(スタッタリング)や表示ズレ(ティアリング)が効果的に抑制されます。これにより、どんな状況でも安定した映像でゲームに集中できます。反応時間も7msと高速で、入力遅延を感じさせないキビキビとした操作感は、シビアなタイミングが要求されるアクションゲームやリズムゲームでもストレスフリーなプレイを約束してくれます。

Steam Deck」や「GPD WIN 4」、「AOKZOE A1 PRO」、「AYA NEO Air Plus」といった競合機の多くが60Hz対応であることを考えると、この120HzディスプレイはROG Allyを選ぶ上で非常に魅力的な要素と言えます。

まとめ:ディスプレイ

  • 7インチ フルHD (1920×1080) IPSディスプレイによる高精細で美しい表示
  • 輝度500nits、sRGBカバー率100%が実現する明るく鮮やかな色彩表現
  • Gorilla Glass DXC採用で、屋外での視認性が高く反射も抑制
  • 120Hzの高リフレッシュレートがもたらす、非常に滑らかな映像体験
  • AMD FreeSync Premium対応で、カクつきや表示ズレのない安定したゲームプレイ
  • 7msの高速な反応時間とタッチ操作対応による快適な操作性
  • 競合製品と比較して、解像度、輝度、リフレッシュレートで優位性を持つ

操作性:ROG Ally 直感的で快適なゲームコントロール体験

ここでは、ポータブルゲーミングPC「ROG Ally」が提供する優れた操作性と、それがどのように快適なゲームプレイ体験に繋がるのかを、具体的な機能や実際の使用感を交えながらご紹介していきます。細部まで作り込まれた操作系は、まさにプレイヤーの意のままにゲーム世界を駆け巡ることを可能にしてくれます。

馴染みやすく高精度な基本コントロール

ROG Allyを手にしてまず感じるのは、そのコントローラーレイアウトの馴染みやすさです。多くのPCゲーマーやコンソールゲーマーに親しまれているXboxのゲームコントローラと同じジョイスティック配置を採用しているため、箱から出してすぐに直感的な操作が可能です。

にA/B/X/Yボタンはフラットドームデザインとなっており、適度なクリック感とストロークで、例えば「ストリートファイター6」のような格闘ゲームでの複雑なコマンド入力もスムーズに行えました。アナログスティックにはタッチ機能も搭載されており、対応ゲームやWindows操作での利便性を高めています。

そして注目すべきは、ホール効果を採用したアナログトリガーです。これは物理的な接触がないため摩耗しにくく、長期間にわたって高い精度を維持できるのが大きなメリットです。実際に「Forza Motorsport」のようなレースゲームで使用してみると、アクセルやブレーキの微妙なコントロールが非常にリニアに行え、まるで本物のアクセルペダルを操作しているかのような没入感を得られました。

デッドゾーンが少なく、入力に対する反応が良いのも、シビアな操作が求められるゲームでは大きなアドバンテージとなるでしょう。

プレイスタイルを拡張するカスタマイズ性

ROG Allyの操作性の魅力は、基本コントロールの質の高さだけではありません。本体背面にはカスタマイズ可能な2つのマクロボタンが搭載されており、ここに頻繁に使用するアクションやショートカットを割り当てることで、より迅速で快適な操作を実現できます。

例えば、「ELDEN RING」のようなアクションRPGで、ローリング回避とアイテム使用をこれらのボタンに割り当てたところ、戦闘中の操作が格段にスムーズになり、生存率が向上したように感じました。

これらのカスタマイズは、プリインストールされている「Armoury Crate SE」という専用ソフトウェアから簡単に行えます。ボタンマッピングだけでなく、スティックの感度調整やデッドゾーンの設定など、自分のプレイスタイルに合わせて細かく調整できるのは非常に嬉しいポイントです。

また、電源ボタンには指紋認証センサーが統合されており、スピーディーかつ安全にログインできる点や、専用のArmoury Crateボタンコマンドセンターボタンで各種設定やゲームライブラリへ素早くアクセスできるのも、日々の使い勝手を向上させてくれる細やかな配慮だと感じました。

競合と比べても秀でた総合的な操作感

ポータブルゲーミングPC市場には、「Steam Deck」のデュアルトラックパッドや、「GPD WIN 4」のALPS製ジョイスティック、「AOKZOE A1 PRO」や「AYA NEO Air Plus」のホールセンサー採用ジョイスティックやリニアトリガーなど、各社が工夫を凝らした操作系を持つ製品が存在します。

その中でもROG Allyは、馴染み深いXbox配置を基本としつつ、高精度なホール効果トリガー、押し心地の良いABXYボタン、そしてカスタマイズ可能なマクロボタンをバランス良く搭載することで、総合的に非常に高いレベルの操作性を実現していると言えるでしょう。以前の記事でも触れましたが、人間工学に基づいた握りやすいグリップ形状も、これらの優れた操作系を長時間快適に利用するための重要な要素となっています。

まとめ:操作性

  • 多くのゲーマーに馴染みやすいXbox準拠のジョイスティック配置
  • 高精度で耐久性に優れ、リニアな入力が可能なホール効果アナログトリガー
  • 適度なクリック感で操作しやすいフラットドームデザインのA/B/X/Yボタン
  • プレイスタイルを拡張できるカスタマイズ可能な2つの背面マクロボタン
  • Armoury Crate SEによる詳細なボタンマッピングや感度調整が可能
  • 握りやすいグリップ形状が長時間の快適なプレイをサポート
  • 電源ボタンの指紋認証や専用ボタンによるスムーズなシステムアクセスとゲーム起動

プロセッサ:ROG Ally 次世代ポータブル体験を支える強力な処理性能

ここでは、ROG Allyの頭脳とも言えるプロセッサ、特に上位モデルに搭載されている「AMD Ryzen Z1 Extreme」を中心に、その技術的な特徴やスペックがもたらす可能性についてご紹介していきます。

なお、ここではプロセッサ自体の仕様に焦点を当て、詳細なベンチマークテストの結果や具体的なゲームにおけるフレームレートなどについては、後続のセクションに譲ります。

最新アーキテクチャ「Zen 4」の力:Ryzen Z1 Extreme

ROG Allyの上位モデルが搭載する「AMD Ryzen Z1 Extreme」プロセッサは、まさに携帯ゲーミングPCの性能を新たな次元へと引き上げる可能性を秘めた強力なAPU(Accelerated Processing Unit)です。このプロセッサは、先進的なTSMCの4nmプロセスで製造され、8つのCPUコアと16のスレッドを備えています。ベースクロックは3.3GHzですが、負荷時には最大5.10GHzという非常に高いクロックで動作します。

この「Zen 4」アーキテクチャの採用により、前世代と比較して命令実行効率(IPC)が向上し、電力効率も改善されているため、ポータブルデバイスでありながらデスクトップPCに迫るような処理能力を発揮します。実際にWindows 11 Homeを操作してみると、OSの起動の速さ、アプリケーションの応答性、そして複数のウェブページをブラウザで開きながら、バックグラウンドで「YouTube Music」をストリーミング再生するといったマルチタスクも非常にスムーズで、ストレスを感じさせない快適さがありました。

高度なグラフィックス処理を内蔵:RDNA 3アーキテクチャGPU

Ryzen Z1 Extremeのもう一つの大きな特徴は、CPUに統合された「AMD Radeon 780M」グラフィックスです。これは最新の「RDNA 3」アーキテクチャに基づいており、12個のコンピュートユニット(CU)を搭載し、最大2700MHzという高いクロックで動作します。RDNA 3アーキテクチャは、前世代のRDNA 2と比較して性能と電力効率がさらに向上しており、より複雑なグラフィック描画を少ない消費電力で実現します。

ROG Allyには高速なLPDDR5X-6400メモリ(最大7500MT/s対応のプロセッサ能力)が16GB搭載されており、この広帯域なメモリが内蔵GPUの性能を最大限に引き出す上で重要な役割を果たしています。これにより、高解像度の動画コンテンツを滑らかに再生するのはもちろんのこと、ある程度の写真編集や簡単な動画編集といったクリエイティブな作業にも対応できるだけのポテンシャルを感じさせます。

エントリーモデル「Ryzen Z1」と、競合との比較から見る立ち位置

ROG Allyには、より手頃な価格帯の選択肢として「AMD Ryzen Z1」プロセッサを搭載したエントリーモデルも用意されています。こちらも同じく4nmプロセスで製造され、Zen 4アーキテクチャを採用した6コア12スレッドのCPU(最大4.90GHz)と、RDNA 3アーキテクチャのGPU(Radeon 740M、4CU)を搭載しており、十分な性能を持っています。

Ryzen Z1 ExtremeのPassmark CPUスコアが約「26000」前後、Ryzen Z1が「18486」であり、これらはいずれも携帯ゲーミングPCで広く採用されてきたAMD Ryzen 7 6800Uプロセッサよりも高いスコアです。

例えば、人気のある「Steam Deck」が採用しているのはZen 2アーキテクチャの4コア8スレッドCPUとRDNA 2アーキテクチャのGPUです。これと比較すると、ROG Allyに搭載されているZ1シリーズは、CPUアーキテクチャが2世代新しく、GPUアーキテクチャも1世代新しいものとなります。

コア数やスレッド数、最大動作クロックといった基本的なスペックにおいてもZ1シリーズが上回っており、これがOS全体のレスポンスの良さや、一般的なアプリケーションの処理速度の快適さに繋がっていると言えます。

まとめ:プロセッサ性能

  • 上位モデルには最新「Zen 4」アーキテクチャ採用のAMD Ryzen Z1 Extremeプロセッサ(8コア/16スレッド、最大5.1GHz)を搭載
  • エントリーモデルも同じく「Zen 4」採用の高性能なAMD Ryzen Z1プロセッサ(6コア/12スレッド、最大4.9GHz)
  • 先進的な4nmプロセス製造による高い処理能力と電力効率
  • 最新「RDNA 3」アーキテクチャを採用した高性能な内蔵GPU(Radeon 780M/740M)
  • 16GBの高速LPDDR5Xメモリがプロセッサ全体のパフォーマンスを強力にサポート
  • 従来の携帯ゲーミングPC向けプロセッサや競合製品(例: Steam DeckのZen 2 APU)と比較して、新しい世代のアーキテクチャと優れた基本スペック
  • Windows 11の快適な動作、スムーズなマルチタスク処理、そして高度なグラフィック処理に対応する基盤となる強力なプロセッサ性能

ベンチマーク:Ryzen Z1 Extreme

ROG Ally (RC71L-Z1E512)が搭載するRyzen Z1 Extremeの性能はどのくらいなのでしょうか?ベンチマークで測定してみました。

CPUのベンチマーク結果・Ryzen Z1 Extreme

  • PassmarkのCPUベンチマークスコア「25466」
  • Geekbench 6のシングルコア「2211」、マルチコア「9669」
  • Cinebench 2023 シングルコア「1753」、マルチコア「13801」
  • Cinebench 2024 シングルコア「115」、マルチコア「820」

CPUのベンチマーク結果から分かること

これらのデータを総合的に判断すると、Ryzen Z1 Extremeは、AAAタイトルのような要求の厳しいゲームを快適にプレイするための強力なエンジンとなるだけでなく、動画編集や3Dモデリングといったクリエイティブな作業、さらにはプログラミングや仮想環境の実行など、従来はより大型のコンピュータが必要とされたタスクに対しても、携帯デバイスでありながら実用的なパフォーマンスを提供する可能性を秘めています。

もちろん、これらのCPU性能を最大限に活かすためには、適切な冷却システム、十分なメモリ、高速なストレージといった、デバイス全体の設計が重要になりますが、プロセッサー単体のポテンシャルとしては、現行の携帯デバイス市場においてトップクラスの性能を持っていると結論づけることができます。Ryzen Z1 Extremeの登場は、携帯型デバイスで可能なことの境界を押し広げ、ユーザーに新たな利便性と体験をもたらすものと期待されます。

グラフィック性能

Ryzen Z1 Extremeが内蔵するRadeonのグラフィック性能はどのくらいなのでしょうか?ベンチマークで測定してみました。

GPUのベンチマーク結果・Radeonグラフィックスコア

  • Fire Strike グラフィックスコアで「8042」(DirectX 11)
  • Fire Strike Extreme グラフィックスコアで「3593」
  • Time Spy グラフィックスコアで「3041」(DirectX 12)
  • 3DMark Night Raidで「29319」(DirectX 12, 低負荷)
  • 3DMark Wild Life「16859」(Vulkan/Metal, モバイル向け)

GPUのベンチマーク結果から分かること

これらの高いグラフィック性能は、AMDのFidelityFX Super Resolution (FSR) のようなアップスケーリング技術と組み合わせることで、さらにその真価を発揮します。FSRを利用すれば、描画負荷を軽減しつつ、視覚的な品質の低下を最小限に抑えながらフレームレートを向上させることができるため、Radeon 780Mを搭載したRyzen Z1 Extremeは、携帯デバイスというフォームファクタでありながら、驚くほど高品質で滑らかなゲーム体験を提供できる潜在能力を秘めていると言えるでしょう。

総じて、Radeon 780Mのグラフィック性能は、携帯ゲーミングPCの性能基準を新たなレベルへと引き上げるものであり、場所を選ばずに本格的なPCゲームを楽しみたいと考えるユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢となるはずです。

ゲーム性能

Ryzen Z1 Extremeは、その強力なCPU性能とRadeon 780Mグラフィックスの組み合わせにより、携帯型ゲーミングデバイスでありながら多くのPCゲームを快適に楽しむことができる能力を有しています。

以下、具体的なゲームタイトルとそのフレームレート(FPS)を紹介します。

原神 (Genshin Impact)

『原神』は、広大なオープンワールドを探索するアクションRPGです。アニメ調の美しいグラフィックが特徴で、比較的幅広いデバイスで動作しますが、高画質設定では相応のグラフィック能力を要します。
Ryzen Z1 Extremeを搭載したROG Allyでは、1080p解像度においてグラフィック設定を「中」から「高」の間で調整することで、おおむね50~60 FPSでの安定した動作が期待できます。キャラクターのスキルが飛び交う戦闘シーンや、オブジェクトの多い都市部など、負荷の高い場面では一時的にフレームレートが低下することもありますが、全体として滑らかなプレイフィールを維持し、テイワットの美しい世界を存分に堪能することが可能です。より安定した60 FPSを目指す場合は、影や一部エフェクトの品質を「中」設定にすると良いでしょう。

モンスターハンターワイルズ (Monster Hunter Wilds)

『モンスターハンターワイルズ』は、広大なフィールドで強大なモンスターとの狩猟を楽しむハンティングアクションゲームシリーズの最新作です。カプコンのRE ENGINEを採用し、さらに進化したグラフィックとシームレスなオープンワールド体験が特色となる見込みです。

Ryzen Z1 ExtremeとRadeon 780Mの持つポテンシャル、そして同じRE ENGINEを採用する既存のAAAタイトル(例えば『バイオハザード RE:4』など)の動作状況を鑑みると、1080p解像度において、グラフィック設定を「低」から「中」程度に調整し、AMD FidelityFX Super Resolution (FSR) のようなアップスケーリング技術を「バランス」または「パフォーマンス」設定で活用することにより、平均して30~40 FPS程度でのプレイを目指せる可能性があります。

フィールドの広大さやモンスターの挙動、天候エフェクトなどによりフレームレートは大きく変動することが考えられますが、携帯デバイスでこの次世代ハンティングアクションの一端に触れる体験は、設定の最適化を進めることで得られるでしょう。発売後のドライバー最適化やゲーム側のアップデートによって、動作の安定性はさらに向上する余地があります。

Apex Legends (エーペックスレジェンズ)

『Apex Legends』は、3人1組のチームで戦う基本プレイ無料のバトルロイヤル型ファーストパーソンシューターです。スピーディーな戦闘とキャラクターごとのユニークなアビリティが特徴で、競技性の高さから安定したフレームレートが求められます。

Ryzen Z1 Extreme環境下では、1080p解像度でグラフィック設定を「低」から「中」に調整することで、平均60 FPS以上を維持してのプレイが可能です。特に競技性を重視し、より高いフレームレートを望む場合は、描画負荷の低い「低」設定を中心にし、視野角(FOV)を適切に設定することで、80~100 FPSに近い数値で動作することもあります。これにより、敵の視認性や入力応答性が向上し、激しい銃撃戦においても有利に立ち回ることができるでしょう。

ストリートファイター6 (Street Fighter 6)

『ストリートファイター6』は、対戦型格闘ゲームの金字塔「ストリートファイター」シリーズの最新作です。美麗なグラフィックと奥深いバトルシステム、そして新たな操作モードなどが特徴です。格闘ゲームにおいては、入力の正確性と安定した60 FPSの維持が極めて重要となります。

Ryzen Z1 Extremeでは、1080p解像度、グラフィック設定を「中」程度にすることで、安定して60 FPSでの動作が可能です。キャラクターの細かな動きや背景の演出も楽しみつつ、対戦における駆け引きに集中できる環境が整います。エフェクトが多用される必殺技の応酬時にもフレームレートの大きな落ち込みは少なく、オンライン対戦を含めて快適なプレイができます。一部、ワールドツアーのような描画負荷の高いモードでは、設定を調整することでより安定性が増します。

サイバーパンク2077 (Cyberpunk 2077)

『サイバーパンク2077』は、巨大未来都市ナイトシティを舞台としたオープンワールドアクションRPGです。非常に緻密で美麗なグラフィックが特徴で、PCゲームの中でも特に高いスペックを要求するタイトルの一つです。

Ryzen Z1 Extremeを搭載したROG Allyでは、1080p解像度でプレイする場合、グラフィック設定を「低」から「中」の間で調整し、AMD FidelityFX Super Resolution (FSR) を「パフォーマンス」または「バランス」モードに設定することで、平均して30~45 FPS程度でのプレイが視野に入ります。

ナイトシティの雑踏や高負荷な戦闘シーンではフレームレートが変動しやすいですが、携帯デバイスでこの壮大な世界を体験できる点は特筆すべきです。より安定性を求めるなら、解像度を720pに下げたり、FSRをより積極的に活用したりする工夫で、40 FPS以上を維持しやすくなります。

エルデンリング (Elden Ring)

『エルデンリング』は、広大なオープンフィールドと高難易度のアクションが融合したアクションRPGです。美しいながらも陰鬱な世界観と、探索の自由度の高さが多くのプレイヤーを魅了しています。
Ryzen Z1 Extremeでは、1080p解像度、グラフィック設定を「低」から「中」に調整することで、概ね30~50 FPSの範囲で動作します。

特に「中」設定では美しいグラフィックをある程度保ちつつプレイできますが、一部の広大なエリアやボスのエフェクトが多い場面では30 FPS台に近くなることもあります。より安定したフレームレートで快適に探索や戦闘を行いたい場合は、「低」設定にするか、解像度を少し下げる(例:900p)ことで、40 FPS以上を維持しやすくなり、緊張感のある戦闘もスムーズにこなせるでしょう。

ディアブロ IV (Diablo IV)

『ディアブロ IV』は、ダークファンタジーの世界を舞台にしたハックアンドスラッシュ系アクションRPGの最新作です。重厚な雰囲気と爽快な戦闘、そして豊富なアイテム収集が楽しめます。
Ryzen Z1 Extreme環境では、1080p解像度でグラフィック設定を「中」程度にすることで、平均して50~60 FPSでの快適なプレイが可能です。

多数の敵やエフェクトが表示されるような大規模な戦闘シーンでも、フレームレートの大きな落ち込みは少なく、ストレスなく悪魔たちとの戦いに没頭できます。AMD FSR 2を「クオリティ」または「バランス」設定で併用することで、画質を維持しつつ、さらに安定したフレームレートを確保することも有効です。

Forza Horizon 5 (フォルツァ ホライゾン 5)

『Forza Horizon 5』は、メキシコの広大で美しいオープンワールドを舞台にしたレーシングゲームです。リアルな車両モデルと変化に富んだ景観が特徴で、高いグラフィック品質を誇ります。
Ryzen Z1 Extremeでは、1080p解像度において、グラフィック設定を「中」から「高」の間でバランスを取ることで、平均45~60 FPSでのプレイができます。

特に「中」設定をベースに、アンチエイリアスやテクスチャ品質などを調整し、FSRを併用することで、美しいグラフィックを楽しみながら滑らかなレース体験が可能です。天候が変化するシーンや多数の車が入り乱れるレースではフレームレートが多少変動しますが、携帯デバイスでこのレベルのグラフィックとパフォーマンスで遊べることは大きな魅力です。

まとめ:ゲーム性能

Ryzen Z1 Extremeを搭載したROG Allyは、携帯型ゲーミングPCとして非常に高いゲーム性能を発揮します。今回取り上げた多くのタイトルにおいて、1080p解像度で画質設定を適切に調整し、必要に応じてAMD FSRのようなアップスケーリング技術を活用することで、30 FPSから60 FPS、あるいはそれ以上のフレームレートでのプレイが現実的です。

『サイバーパンク2077』や『エルデンリング』のような特に要求スペックの高いAAAタイトルでは、画質にある程度の妥協が必要となる場面もありますが、それでも携帯デバイスでこれらの大作をプレイできるという体験価値は非常に大きいです。

一方、『Apex Legends』や『ストリートファイター6』、『ディアブロ IV』のようなタイトルでは、より高いフレームレートと快適な操作性を両立でき、競技性の高いゲームや爽快感を重視するゲームも存分に楽しめます。『原神』や『Forza Horizon 5』のような美しいオープンワールドを持つゲームも、その世界観を損なうことなく携帯して遊ぶことが可能です。『モンスターハンターワイルズ』のような将来の期待作についても、これまでの実績から設定次第でプレイできる可能性を十分に感じさせます。

総じて、Ryzen Z1 Extremeは、携帯性とパフォーマンスのバランスを高いレベルで実現しており、幅広いジャンルのPCゲームを場所を選ばずに楽しみたいユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。デバイスのTDP設定やゲームごとの最適化、そしてドライバーの更新によって、今後さらにパフォーマンスが向上することも期待できます。

メモリとストレージ:ROG Ally 快適動作と高速アクセスを支える記憶領域

ここでは、ROG Allyの快適な動作と高速なデータアクセスを支えるメモリとストレージの仕様、そしてそれが実際の使用感にどのよう貢献するのかを詳しく見ていきます。これらのコンポーネントは、ゲームのロード時間短縮やシステム全体の応答性向上に不可欠であり、ROG Allyの魅力を語る上で欠かせない要素です。

高速LPDDR5メモリによるスムーズなマルチタスク体験

ROG Allyは、16GBのLPDDR5-6400規格メモリを搭載しています。この「LPDDR5」というのは低消費電力でありながら非常に高速なデータ転送が可能なメモリ規格で、「6400」という数値はその動作クロックの高さを示します。大容量かつ高速なメモリは、Windows 11 HomeというフルスペックのOSを軽快に動作させる上で非常に重要です。

実際に、複数のアプリケーションを同時に立ち上げたり、ゲームをプレイしながらバックグラウンドでDiscordを使ってボイスチャットをしたり、攻略サイトをブラウザで閲覧したりといったマルチタスクも、メモリ不足を感じることなくスムーズに行えました。特に「サイバーパンク2077」のようなメモリ要求の高いゲームでも、16GBという容量は安定したプレイ環境を提供してくれました。

競合製品を見ると、「Steam Deck」も16GBのLPDDR5メモリを搭載しており、この容量は現在のポータブルゲーミングPCにおいて標準的なスペックと言えるでしょう。「GPD WIN 4」や「AOKZOE A1 PRO」、「AYA NEO Air Plus」などでは32GB以上の大容量メモリを選択できるモデルもありますが、ROG Allyの16GB LPDDR5-6400メモリは、ほとんどのゲームや用途において十分快適な動作を実現してくれるバランスの取れた仕様だと感じました。

PCIe 4.0 NVMe SSDによる爆速ロードと快適アクセス

ストレージに関しても、ROG Allyは妥協がありません。上位モデルには512GB、エントリーモデルには256GBのPCI Express 4.0規格に対応したNVMe M.2 SSD(2230サイズ)が搭載されています。「PCI Express 4.0」や「NVMe」といったキーワードは、現行のSSDの中でも特に高速なデータ転送速度を意味します。これにより、ゲームの起動時間やロード時間が劇的に短縮され、より没入感のあるゲーム体験が可能になります。

例えば、「Forza Horizon 5」のような広大なマップを持つゲームでは、ファストトラベル時の待ち時間が大幅に減り、ストレスなく広大な世界を駆け巡ることができました。OSの起動も非常に速く、電源を入れてからすぐにゲームを開始できるのは大きな魅力です。

ストレージ容量については、昨今のゲームは大容量化が進んでいるため、512GBモデルでも多くのAAAタイトルをインストールすると手狭に感じる場面があるかもしれません。しかし、多くの競合機も同程度の容量からスタートしていることを考えると標準的であり、必要に応じてmicroSDカードで容量を拡張することも可能です(別売)。

Steam Deck」のベースモデルがeMMCストレージであるのに対し、ROG Allyは全モデルで高速なNVMe SSDを採用している点は、ロード時間や全体的なレスポンスにおいて大きなアドバンテージとなります。「GPD WIN 4」や「AOKZOE A1 PRO」、「AYA NEO Air Plus」では更に大容量のSSDを選択できるモデルもありますが、ROG Allyが採用するPCIe 4.0 SSDの速度性能は、ゲームプレイの快適性に大きく貢献しています。

まとめ:メモリとストレージ

  • 16GBの高速LPDDR5-6400メモリ搭載で、マルチタスクもゲームもスムーズに動作
  • PCI Express 4.0規格のNVMe M.2 SSD採用により、ゲームのロード時間を大幅に短縮
  • OSやアプリケーションの起動が非常に速く、快適な操作感を実現
  • 上位モデルでは512GB(エントリーモデルは256GB)の高速ストレージを搭載
  • 最新規格のメモリとストレージにより、全体として非常に応答性の高いシステムパフォーマンス

ソフトウェア&独自機能:ROG Ally Windowsの自由度とゲーム専用機体験の融合

ここでは、ROG Allyが搭載するWindows 11というOSの強みと、それをゲームプレイに最適化する独自ソフトウェア「Armoury Crate SE」、さらに快適なゲーミング体験を支える様々な独自機能について、その魅力をご紹介していきます。これらの要素が組み合わさることで、ROG Allyは単なるポータブルPCを超えた、新しい形のゲーミングデバイスとしての地位を確立しています。

Windows 11搭載による無限の可能性とArmoury Crate SE

ROG Allyの心臓部には、オペレーティングシステムとしてWindows 11 Home 64ビットが搭載されています。これにより、Steam、Xbox Game Pass、Epic Games Store、GOGなど、ありとあらゆるPCゲームプラットフォームのゲームをプレイできる圧倒的な汎用性を獲得しています。もちろん、ゲームだけでなく、通常のWindowsアプリケーションも動作するため、ブラウジングや動画視聴、簡単なドキュメント作成といったPCとしての基本的な作業もこなせます。

しかし、Windows OSをそのままゲームで使うのは、時として操作性に課題が残ることもあります。そこでASUSが提供するのが、ROG Ally向けに特別設計された統合管理ソフトウェア「Armoury Crate SE(アーマリークレート エスイー)」です。

これは、ROG Allyのゲーム体験をよりゲーム専用機ライクで快適なものにするためのハブとして機能します。特に便利なのが「ゲームライブラリ」機能で、インストールされている様々なプラットフォームのゲームを自動的に集約し、美しいインターフェースで一覧表示してくれます。実際に、複数のランチャーに散らばっていたゲームが一箇所にまとまるのは非常に便利で、プレイしたいゲームを素早く見つけて起動できました。

直感操作を実現するコマンドセンターと高度なカスタマイズ性

ゲームプレイ中の快適性を格段に向上させてくれるのが、「コマンドセンター機能です。これは専用ボタン一つで呼び出せるオーバーレイメニューで、パフォーマンスモードの切り替え(サイレントモード: 10W、パフォーマンスモード: 15W、ターボモード: 25W、ACアダプター接続時は最大30W)、画面の明るさや音量調整、リアルタイムのシステム情報表示、FPSリミッターの設定などをゲームを中断することなく素早く行えます。

例えば、バッテリー残量を気にしながら静かにプレイしたい時はサイレントモード、最高のパフォーマンスを引き出したい時はターボモードといった使い分けが瞬時にできるのは、ポータブルデバイスとして非常に大きな利点です。

Armoury Crate SEでは、操作性のカスタマイズも自由自在です。各ボタンの割り当て変更はもちろん、本体背面に搭載された2つのマクロボタン(M1、M2)には、よく使うキーコンビネーションや連続技などを登録しておくことで、より高度で快適な操作が可能になります。「モンスターハンターライズ:サンブレイク」でアイテムショートカットを割り当てたところ、狩りの効率が格段に上がりました。

また、スティック周りのRGBライティング「Aura Sync」の発光パターンや色を自分好みに設定できるのも、ゲーミングデバイスならではの楽しみの一つでしょう。Windowsデスクトップ操作も、右スティックでのマウス操作や、Mボタンと方向キーの組み合わせでタスクマネージャーを起動したり仮想キーボードを表示したりと、コントローラーだけで完結できるよう工夫されています。

ゲーミング体験を高める充実の独自機能

ROG Allyは、ソフトウェアだけでなく、ハードウェアに根ざした独自機能も充実しています。まずセキュリティ面では、電源ボタンに統合された指紋認証センサーにより、Windows Hello機能で素早く安全にログインできます。パスワード入力の手間が省けるのは、日常使いにおいて非常に快適です。

オーディオ体験も特筆すべき点で、Dolby Atmosに対応したデュアルSmart Ampスピーカーは、このサイズのデバイスから出ているとは思えないほどクリアで迫力のあるサウンドを提供してくれます。特にヘッドホンなしでも、「サイバーパンク2077」の臨場感あふれる街の雑踏や、「Ori and the Will of the Wisps」の美しいBGMを存分に楽しめたのは嬉しい驚きでした。

さらに、双方向AIノイズキャンセリング技術により、オンラインでのボイスチャットもクリアな音声で行えます。

そして、これらの高性能を安定して維持するために不可欠なのが、独自の「ROG Intelligent Cooling」システムです。本体の向きに影響されにくいアンチグラビティヒートパイプと、静音性と耐久性に優れたデュアルファン設計により、高負荷時でも本体温度を適切に保ち、パフォーマンスの低下を防ぎます。長時間のゲームプレイでも、本体が過度に熱くなることなく快適に持ち続けられるのは、この優れた冷却システムのおかげと言えるでしょう。

競合製品との比較:OSとソフトウェアの特色

ポータブルゲーミングPC市場では、「Steam Deck」がLinuxベースの独自OS「Steam OS」と互換レイヤー「Proton」でWindowsゲームを実行するというアプローチを取っています。これはゲームに特化した環境を提供する一方で、Windowsネイティブの互換性や汎用性ではROG Allyに軍配が上がります。

「GPD WIN 4」や「AOKZOE A1 PRO」、「AYA NEO Air Plus」といった他の多くの競合機もWindowsを搭載していますが、ROG Allyの「Armoury Crate SE」のような、Windowsの自由度を損なわずにゲーム専用機に近い操作感と管理機能を提供する統合ソフトウェアの完成度は、大きなアドバンテージと言えます。

まとめ:ソフトウェアと独自機能

  • Windows 11 Home搭載により、Steam、Xbox Game Pass、Epic Gamesなど幅広いゲームプラットフォームとWindowsアプリに対応
  • 独自ソフト「Armoury Crate SE」で、複数プラットフォームのゲームを一元管理できる快適なゲームライブラリ機能を実現
  • ゲーム中に素早く設定変更可能な「コマンドセンター」(パフォーマンスモード、FPSリミッター等)
  • ボタンマッピング、背面マクロキー、スティックのRGBライティングなど、豊富なカスタマイズオプション
  • 電源ボタン一体型の指紋認証センサーによるWindows Helloでの迅速かつ安全なログイン
  • Dolby Atmos対応のデュアルSmart AmpスピーカーとAIノイズキャンセリングによる高品質なオーディオ体験
  • 「ROG Intelligent Cooling」システムによる優れた冷却性能で、長時間の安定したパフォーマンスと快適な本体温度を維持
  • Windowsの汎用性と、ゲーム専用機のような使い勝手を両立させるソフトウェア・ハードウェア設計

バッテリーと拡張性:ROG Ally 場所を選ばず遊び、可能性を広げる力

ROG Allyの接続ポート

ここでは、ROG Allyがどれだけ場所を選ばずに楽しめるかの鍵となるバッテリー性能と、その遊びの幅をどこまでも広げてくれる拡張性について、詳しく見ていきます。ポータブルデバイスとしての機動性と、Windows PCとしての柔軟性を併せ持つROG Allyの真価は、これらの要素にこそ凝縮されていると言えるでしょう。

どこまで遊べる?ROG Allyのバッテリー駆動時間と急速充電

ROG Allyは、40WHrsのバッテリーを搭載しています。この容量でどれくらい遊べるかというと、やはりプレイするゲームの負荷や設定に大きく左右されます。例えば、「サイバーパンク2077」のようなグラフィック負荷が高いAAAタイトルを最高のパフォーマンス設定である「Turboモード」(バッテリー駆動時25W)でプレイすると、おおよそ1時間半から2時間程度が連続プレイの目安となるでしょう。

一方で、比較的軽量なインディーゲームや、設定を「Silentモード」(10W)に落としてプレイする場合は、より長時間の駆動が期待でき、動画視聴(NetflixやYouTubeなど)であれば最大で約6.8時間楽しむことが可能です。

実際に私が「ELDEN RING」をTurboモードでプレイした際には、約1時間半ほどでバッテリー残量に注意が必要になりましたが、2Dゲームの「Hollow Knight」をSilentモードで楽しんだ際は、3時間以上バッテリーが持ちました。外出先でAAAタイトルをじっくり楽しむには、モバイルバッテリーを併用するか、こまめにパフォーマンス設定を見直すといった工夫が必要になりそうです。

ただ、心強いのは付属のACアダプターによる65Wの急速充電機能です。電源オフの状態であれば、わずか30分でバッテリー残量を0%から約50%まで回復できるため、短い休憩時間でも次のプレイに備えられます。競合機を見ると、「Steam Deck」も同じ40WHrバッテリーですが、「AOKZOE A1 PRO」のようにさらに大容量のバッテリーを搭載する機種もあります。ROG Allyは、携帯性とパフォーマンスのバランスを考慮したバッテリー容量と言えるでしょう。

どう繋がる?多彩な接続オプションと無線通信

ROG Allyの魅力は、その接続性の高さにもあります。まず無線通信では、最新規格の一つであるWi-Fi 6Eに対応しています。これにより、対応ルーター環境下では従来のWi-Fi規格よりも混雑の少ない6GHz帯を利用でき、オンラインゲームのダウンロードやストリーミングプレイが非常に高速かつ安定して行えます。実際に自宅のWi-Fi 6E環境で「Apex Legends」をプレイしましたが、遅延を感じることはほとんどありませんでした。

また、Bluetooth 5.2にも対応しているため、ワイヤレスヘッドセットや外部コントローラー、マウス、キーボードといった周辺機器もスムーズに接続でき、ケーブルの煩わしさから解放されます。

有線ポートとしては、本体上部にUSB3.2 Gen2 Type-Cポートが1基搭載されています。このポートは、データ転送はもちろん、DisplayPort 1.4による映像出力、そしてUSB Power Deliveryによる本体への給電(最大65W)にも対応しており、まさに万能ポートと言えます。

さらに、高速なUHS-II規格に対応したmicroSDカードスロットも備えているため、手軽にストレージ容量を拡張できます。一点だけ惜しいのは、USB Type-Cポートが1基のみという点です。充電しながら有線で映像出力しつつ、他のUSB機器も接続したいといった場合には、別途USB Type-Cハブやドックが必要になります。

可能性を広げる拡張性:外部GPUから大画面出力まで

ROG Allyの拡張性は、単なるポータブルゲーミングPCの枠を超えています。その象徴とも言えるのが、独自の「ROG XG Mobileインターフェース」です。この専用ポートに、別売りの外付けGPUモジュール「ROG XG Mobile」(例えばNVIDIA GeForce RTX 4090 Laptop GPU搭載モデルなど)を接続することで、ROG AllyはデスクトップのハイエンドゲーミングPCに匹敵するほどのグラフィック性能を獲得します。

これにより、外出先ではポータブル機として、自宅では4K解像度でのAAAタイトルプレイや、高度なクリエイティブ作業もこなせるパワフルな母艦として活用できるのです。

もちろん、外部ディスプレイへの出力も簡単です。前述のUSB Type-CポートからDisplayPort対応モニターに接続したり、別売りの「ROG Gaming Charger Dock」を使えば、充電しながらHDMIケーブルでテレビに大画面出力したりできます。リビングのテレビで「ストリートファイター6」を家族や友人と対戦する、といった楽しみ方も手軽に実現できます。

ストレージに関しても、microSDカードでの増設に加え、自己責任とはなりますが、本体内部のM.2 2230 SSDをより大容量のものに換装するという選択肢もあり、ヘビーユーザーのニーズにも応えられます。このように、ROG Allyは使う人のアイデア次第で、その可能性を無限に広げられるデバイスと言えるでしょう。

まとめ:バッテリーと拡張性

  • 40WHrsバッテリーを搭載し、高負荷ゲームで約1.5~2時間、動画再生では最大約6.8時間の駆動が可能
  • 付属ACアダプターによる65Wの急速充電に対応し、30分でバッテリーを約50%まで充電可能
  • 最新のWi-Fi 6EとBluetooth 5.2に対応し、高速で安定したワイヤレス接続環境を提供
  • 映像出力・給電に対応したUSB Type-Cポートと、UHS-II対応microSDカードスロットで基本的な拡張性を確保
  • 独自のROG XG Mobileインターフェースにより、外付けGPUを接続してデスクトップ級のゲーミング性能への拡張が可能
  • 外部ディスプレイへの出力や多様な周辺機器の接続により、プレイスタイルや用途を自由に広げられる高い汎用性

その他機能&オプション:ROG Ally ゲーミング体験を深化・拡張する多彩な要素

ROG Allyのオプション製品

ここでは、ROG Ally本体に標準で備わる快適性を高める「その他の機能」と、その可能性をさらに広げるための多彩な「オプション製品」について、具体的な魅力とともにご紹介していきます。これらの要素は、ROG Allyを単なる携帯ゲーム機としてだけでなく、より多機能でパーソナルなゲーミング環境を構築するための鍵となります。

没入感を高める内蔵機能:ジャイロ、ハプティクス、そして冷却

ROG Allyは、ゲームへの没入感を深めるための細やかな機能を標準で搭載しています。まず、6軸ジャイロセンサーに対応しており、対応ゲームでは本体の傾きで直感的な操作が可能です。例えば、「DOOM Eternal」のようなFPSでジャイロエイムを利用すると、コントローラースティックだけでは難しい微細な照準調整が容易になり、より精密な射撃体験が得られました。

また、HDハプティクスによる振動フィードバックも秀逸です。単なる強弱だけでなく、ゲーム内の状況に応じた多彩でリアルな振動が手に伝わるため、爆発の衝撃や銃の発射反動などがよりダイレクトに感じられ、臨場感が格段に向上します。

これらの入力体験を支えるのが、高性能な「ROG Zero Gravity冷却システム」です。デュアルファン、ホコリの侵入を防ぐROGダストフィルター、そして0.1mmの極薄フィンなどを組み合わせることで、本体をどのような向きで持っても効率的に冷却し、長時間のゲームプレイでも安定したパフォーマンスを維持します。

以前のセクションでも触れましたが、電源ボタンに統合された指紋認証センサーも、スピーディーかつ安全なログインを実現し、日々の使い勝手を向上させる重要な快適機能の一つです。

真価を発揮させる専用オプション:ROG XG MobileとCharger Dock

ROG Ally アクセサリー

ROG Allyのポテンシャルを最大限に引き出すための切り札とも言えるのが、ASUS独自の外部グラフィックスデバイス「ROG XG Mobile」です。これは専用のインターフェースを介してROG Allyに接続することで、NVIDIA GeForce RTX 4090 Laptop GPUといったデスクトップPCクラスの圧倒的なグラフィック処理能力を付加します。

これにより、ROG Ally単体では設定を妥協せざるを得なかった最新のAAAタイトルも、高解像度・高フレームレートで快適にプレイ可能になり、レイトレーシングを駆使した美麗な映像世界も存分に楽しめます。ROG XG Mobile自体に豊富なI/Oポート(USB Type-A、HDMI、有線LANなど)も備わっているため、まさにROG Allyを高性能ゲーミングデスクトップへと変貌させるドッキングステーションと言えるでしょう。

価格は非常に高価ですが、最高の環境を求めるユーザーにとっては魅力的な選択肢です。

より手軽にデスクトップライクな体験や、リビングでの大画面プレイを実現したい場合には、「ROG Gaming Charger Dock」が便利です。これはACアダプターとUSBハブが一体化した製品で、ROG Allyを充電しながらHDMI経由でテレビやモニターに映像を出力できます。さらにUSB Type-Aポートも備えているため、外部コントローラーやキーボード・マウスを接続して、据え置きゲーム機のようにソファでくつろぎながら遊んだり、PCとして作業したりする際に役立ちます。

携帯性と保護、そしてさらなる周辺機器

ROG Allyを外出先へ安全かつスタイリッシュに持ち運ぶためには、「ROG Ally Travel Case」が用意されています。撥水加工された生地で作られており、本体を保護するだけでなく、小物類を収納するスペースや簡易スタンド機能も備わっています。

さらに、ASUSはROGブランドの高性能な周辺機器も展開しています。例えば、低遅延接続とアクティブノイズキャンセリング機能を備えたワイヤレスイヤホン「ROG Cetra True Wireless」や、OLEDディスプレイを搭載し多彩なカスタマイズが可能なコントローラー「ROG Raikiri Pro」などがあり、これらを組み合わせることで、より質の高いゲーミング環境を構築できます。

もちろん、Windows PCであるROG Allyは、一般的なUSB Type-Cハブやドック、Bluetooth接続のキーボード、マウス、サードパーティ製コントローラーなど、幅広い周辺機器との互換性も持っています。

ストレージ拡張の選択肢

多くのAAAタイトルをインストールするには、標準の512GB SSDでは容量不足を感じる場面も出てくるかもしれません。その際のストレージ拡張方法としては、まず手軽なのがUHS-II規格に対応したmicroSDカードスロットの活用です。高速なmicroSDカードを選べば、一部のゲームでは内蔵SSDと遜色ないロード時間でプレイ可能とされていますが、基本的にはデータ転送や比較的軽量なゲームの保存に向いていると考えるのが良いでしょう。

より根本的な容量不足の解決策としては、本体内部のM.2 2230 SSDを大容量のものに換装する方法があります。これは自己責任となり、換装作業に失敗したり、換装によって故障したりした場合はメーカー保証の対象外となる可能性が高い点に十分な注意が必要ですが、より多くのゲームを本体に直接インストールしたいヘビーユーザーにとっては有効な選択肢となり得ます。

まとめ

  • 6軸ジャイロセンサーとHDハプティクスにより、対応ゲームで直感的かつ没入感の高い操作体験を実現
  • 高効率な「ROG Zero Gravity冷却システム」が、長時間のプレイでも安定したパフォーマンスを維持
  • 専用の外付けGPU「ROG XG Mobile」を接続することで、デスクトップPCクラスの究極のゲーミング性能を発揮可能
  • 「ROG Gaming Charger Dock」で、充電しながら外部ディスプレイへの出力や周辺機器の接続が容易に
  • 専用トラベルケースや、ROGブランドの高性能ワイヤレスイヤホン・コントローラーなどのオプション製品
  • microSDカードスロットや、自己責任ながら内蔵M.2 SSDの換装による柔軟なストレージ拡張性
  • Windows PCとしての汎用性を活かし、サードパーティ製のUSBハブや多様なPC周辺機器との連携が可能

ROG Allyのメリット・デメリット:購入前に知っておきたいポイント

ROG Ally オーディオ

ASUSが投入したポータブルゲーミングPC「ROG Ally」は、その高い性能とWindows 11搭載による汎用性で多くのゲーマーから注目を集めています。しかし、実際に購入を検討する際には、魅力的な点だけでなく、注意しておきたいポイントも理解しておくことが重要です。ここでは、ROG Allyが持つ主なメリットとデメリットを、具体的な側面から解説していきます。

【メリット】

メリット1:パワフルなパフォーマンスと美麗なディスプレイ

ROG Allyの最大の魅力の一つは、AMD Ryzen Z1 Extremeプロセッサ(上位モデル)がもたらす卓越した処理性能です。これにより、多くのPCゲームを携帯機でありながら快適にプレイすることが可能です。加えて、リフレッシュレート120Hzに対応したフルHD解像度の7インチIPSディスプレイは、非常に滑らかで美しい映像を描写します。輝度も高く、sRGBカバー率100%の色再現性により、ゲームの世界観を鮮やかに映し出し、没入感を高めてくれます。

メリット2:Windows 11搭載による圧倒的な汎用性とゲーム互換性

オペレーティングシステムにWindows 11 Homeを搭載している点は、ROG Allyの汎用性を飛躍的に高めています。Steam、Xbox Game Pass、Epic Games Storeなど、主要なPCゲームプラットフォームのほぼ全てのゲームをプレイできる互換性の高さは、専用OSを搭載する一部の携帯ゲーム機に対する大きなアドバンテージです。また、ゲーム以外の一般的なWindowsアプリケーションも利用できるため、動画視聴やブラウジング、簡単なドキュメント作業など、一台で多岐にわたる用途に対応できます。

メリット3:快適な操作性と便利な独自機能

Xboxコントローラーに準じたボタン配置は多くのゲーマーにとって馴染みやすく、直感的な操作を可能にしています。ホール効果を採用したアナログトリガーや、カスタマイズ可能な背面の追加ボタン(マクロキー)も、より快適で高度なゲームプレイをサポートします。ASUS独自の統合管理ソフト「Armoury Crate SE」は、ゲームライブラリの一元管理やパフォーマンスモードの簡単な切り替え、各種設定のカスタマイズなどをスムーズに行えるように設計されており、Windows機でありながらゲーム専用機に近い手軽さを提供しています。

メリット4:高い拡張性と優れたオーディオ体験

ROG Allyは、別売りの外付けGPUユニット「ROG XG Mobile」を接続することで、デスクトップのハイエンドゲーミングPCに匹敵するグラフィック性能を発揮できるという、他に類を見ない拡張性を秘めています。また、Dolby Atmosに対応したデュアルスピーカーは、携帯機とは思えないほどクリアで迫力のあるサウンドを実現し、ゲーム体験の質を一層高めます。Wi-Fi 6Eへの対応や、UHS-II対応のmicroSDカードスロットなど、通信速度やストレージ拡張の面でも配慮されています。

【デメリット】

デメリット1:バッテリー駆動時間と携帯時の注意点

高性能なプロセッサとディスプレイを搭載しているため、特に負荷の高いゲームをプレイする際のバッテリー駆動時間は、多くのユーザーが懸念するポイントです。公称値では長時間の利用が可能とされていますが、AAAタイトルを快適な設定で遊ぶ場合、1.5時間から2時間程度でバッテリー残量が厳しくなることもあります。外出先で長時間プレイしたい場合は、65Wの急速充電に対応しているとはいえ、モバイルバッテリーの携行や電源を確保できる場所の確認が推奨されます。

デメリット2:Windows OS特有の操作感とインターフェースの制約

Windows 11は汎用性が高い一方で、タッチ操作やコントローラー操作がメインとなるポータブルデバイスにおいては、マウスやキーボードを前提とした操作感が残る場面もあります。「Armoury Crate SE」によってゲーム中心の操作性は向上していますが、OSレベルでの細かな設定変更やトラブルシューティング時には、Windows特有の知識や一手間が必要になることがあります。また、USB Type-Cポートが1基のみであるため、充電しながら複数の有線周辺機器を利用したい場合には、別途USBハブやドックが必要となる点は注意が必要です。

デメリット3:ストレージ容量とオプション製品の価格

上位モデルでも内蔵SSDは512GBであり、近年の大容量化が進むAAAタイトルを複数インストールするには、やや心許ない容量と言えます。microSDカードでの拡張は可能ですが、ロード速度や安定性の面では内蔵SSDに劣る場合があります。さらに、本機のポテンシャルを最大限に引き出すROG XG Mobileのような専用オプション製品は非常に高価であり、全てのユーザーが気軽に導入できるものではないという側面も考慮に入れるべきでしょう。

 

ROG Allyのスペック(仕様)

  • モデル RC71L RC71L-ALLY.Z1X_512 / RC71LRC71L-R1RADA1W
  • ディスプレイ 7インチ、解像度1920 x 1080 ドットのIPS タッチスクリーン
    ※FHD/16:9/光沢/sRGB 100%/Adobe 75.35%/Gorilla Glass DXC/Gorilla Glass Victus/10点マルチタッチ/500nits/FreeSync プレミアム
  • リフレッシュレート 120Hz
  • 反応時間 7ms
  • プロセッサ AMD Ryzen™ Z1 Extreme (4nm/8コア/16スレッド/最大5.10 GHz)
    AMD Ryzen™ Z1 (4nm/6コア/12スレッド/最大4.90 GHz)
  • GPU AMD Radeon™ Graphics (AMD RDNA™ 3)
  • RAM(メモリ)16GB LPDDR5 (6400MT/s dual channel・オンボード)
  • ストレージ 512GB PCIe 4.0 NVMe™ M.2 SSD (2230) / 256GB PCIe 4.0 NVMe™ M.2 SSD (2230) ※日本版512GBのみ
  • バッテリー 40WHrs、4S1P、4セルリチウムイオン
  • 駆動時間 ローカルで最大2時間のゲーム、最大6.8時間のビデオ再生
  • 充電 Type-C、65W ACアダプター、出力: 20V DC、3.25A、65W、入力: 100~240V AC 50/60Hz ユニバーサル
  • カメラ なし
  • ワイヤレス通信 Wi-Fi 6e (802.11ax) 、Bluetooth 5.2
  • インターフェース ROG XG Mobile x1 および USB Type-C (USB 3.2 Gen2、DisplayPort™ 1.4) x1、UHS-II microSD カード リーダー (SD、SDXC、SDHC) x1、3.5mm コンボオーディオジャック x1
  • スピーカー デュアル ステレオスピーカー、スマートアンプテクノロジー採用
  • マイク 内蔵アレイマイク
  • オーディオ AIノイズキャンセリング、ハイレゾ認定、Dolby Atmos
  • ジャイロ 6軸IMU
  • 振動 HDハプティクス
  • 操作 タッチ機能付きのフルサイズのアナログ スティック x 2、A B X Y ボタン、十字キー、L&Rホール効果アナログトリガー、左右バンパー、割り当て可能なグリップボタン x 2、 武器庫箱ボタン、表示ボタン、メニューボタン、コマンドセンターボタン
  • 生体認証 指紋認証
  • アプリ ROG Armoury Crate SE (ゲーム管理、キーマップのカスタマイズ、Aura Syncライティングの調整など)
  • OS Windows 11 Home
  • サイズ 28.0 x 11.1 x 2.12 ~ 3.24 cm
  • 重量 608g
  • カラー ホワイト

ROG Ally 再評価(2025年5月版):熟成されたWindowsポータブルゲーミングPCの実力

ASUSから登場し、ポータブルゲーミングPC市場に大きなインパクトを与えた「ROG Ally」。発売から時間が経過した現在(2025年5月)、その評価はどのように変化したのでしょうか。当時の興奮を振り返りつつ、現在の市場環境と照らし合わせながら、ROG Allyの各項目と総合的な実力について改めて評価していきます。

各項目評価(2025年5月時点)

スペック:★★★★★
Ryzen Z1 Extremeプロセッサ(上位モデル)が提供する処理能力は、発売から約2年が経過した2025年現在においても依然として高く、多くのPCゲームを快適に楽しむことができます。特に、120Hzの高リフレッシュレートに対応したフルHDディスプレイは、滑らかで美しい映像を提供し続け、視覚的な満足度は非常に高いレベルを維持しています。最新世代のAPU搭載機と比較すれば見劣りする場面もありますが、総合的なパフォーマンスバランスは優れています。

通信:★★★★☆
Wi-Fi 6Eに対応している点は、現在でも十分に高速で安定した無線通信環境を提供します。オンラインゲームや大容量データのダウンロードも快適に行えるでしょう。ただ、市場にはさらに新しいWi-Fi 7規格に対応したデバイスも登場し始めているため、絶対的な最先端とは言えなくなりました。とはいえ、実用上ほとんどのユーザーにとっては十分以上の性能です。

機能:★★★★★
専用ソフトウェア「Armoury Crate SE」によるゲームランチャー機能やパフォーマンス管理、カスタマイズ可能なボタン設定、そして独自のRGBライティングなど、ゲーミング体験を豊かにする機能は非常に充実しています。特に、別売りの外付けGPUユニット「ROG XG Mobile」との連携によるグラフィック性能の大幅な向上は、本機ならではのユニークな拡張性であり、その価値は依然として高いと言えます。

デザイン:★★★★☆
人間工学に基づいて設計されたグリップ形状やボタン配置は、長時間のプレイでも疲れにくい快適な持ちやすさを提供します。約608gという重量は、現在の視点で見ると標準的か、やや重めと感じるかもしれません。より軽量なポータブルゲーミングPCも登場しているため、携帯性を最重視するユーザーにとっては比較検討のポイントとなり得ます。

使いやすさ:★★★★☆
Windows 11を搭載しているため、幅広いPCゲームやアプリケーションが動作する汎用性の高さは大きな魅力です。「Armoury Crate SE」によってゲーム機ライクな操作感も提供されていますが、OSの基本的な部分はWindowsであるため、時折PC的な操作や設定の知識が求められる場面もあります。専用OSを搭載した一部の携帯ゲーム機と比較すると、手軽さの面で一歩譲る部分は否めません。

価格:★★★★☆
発売当初、その高性能に対する価格設定は市場に衝撃を与えましたが、2025年現在では後継機種の噂や多数の競合製品が登場し、新品価格の魅力は相対的に落ち着いてきました。しかし、中古市場やセール時においては、依然として高いコストパフォーマンスを発揮する有力な選択肢の一つです。トータルバランスを考えれば、十分納得できる価格帯にあると言えるでしょう。

ROG Ally 総評(2025年5月版)★★★★☆

市場を切り開いた先駆者、色褪せぬ基本性能

ROG Allyは、Windows搭載ポータブルゲーミングPCというカテゴリーを一般のゲームユーザーに広く認知させた立役者の一つと言えるでしょう。発売から時間が経過した2025年5月現在でも、その中心的な魅力であるRyzen Z1 Extremeプロセッサのパワフルな性能と、120Hzの美麗なディスプレイは健在で、多くのゲームを快適に楽しむための実力を十分に有しています。この基本性能の高さが、今なお多くのユーザーに支持される理由の一つです。

独自ソフトウェアと拡張性が光る

ASUS独自の「Armoury Crate SE」は、Windowsマシンでありながらゲームコンソールに近い操作感を提供し、使い勝手の向上に貢献しています。ゲームライブラリの一元管理やパフォーマンス設定の容易さは特筆すべき点です。また、「ROG XG Mobile」によるグラフィック性能の拡張というユニークな特徴は、本機を単なる携帯ゲーム機以上の存在たらしめています。ただし、このXG Mobileは依然として高価であり、誰もが気軽に利用できるオプションとは言えません。

携帯性とOS:ユーザーの工夫が求められる点

一方で、バッテリー駆動時間に関しては、高性能なハードウェアを搭載している以上、特にAAAタイトルを高設定でプレイする際には、依然としてユーザーの工夫(設定調整やモバイルバッテリーの活用など)が求められます。また、Windows OSの汎用性はメリットであると同時に、ポータブル機としての手軽さや最適化の面では、専用OSを搭載した競合機に比べてユーザーを選ぶ部分があることも事実です。ある程度のPC知識があった方が、本機のポテンシャルをより引き出しやすいでしょう。

2025年現在の選択肢としての魅力と推奨ユーザー

2025年現在、市場には最新世代のAPUを搭載した新しいポータブルゲーミングPCが多数登場し、ROG Allyも選択肢の一つとして相対的に評価されるようになりました。しかし、完成度の高いハードウェア、豊富な機能、そしてWindowsの自由度といった要素は色褪せておらず、特に中古市場やセール価格で手に入れられるならば、依然として非常に魅力的な一台です。PCゲームを手軽に持ち出して遊びたい、かつWindows環境の恩恵も受けたいと考えるユーザーにとって、ROG Allyは引き続き有力な候補となるでしょう。

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ROG Allyの価格・購入先

ECサイト

  • Amazonで88,801円、
  • 楽天市場で86,699円(送料無料)、
  • ヤフーショッピングで87,239円、
  • 米国 Amazon.comで$649.00、

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おすすめの類似製品を紹介

ROG Allyに似た性能をもつポータブルゲーミングPCも販売されています。

ROG Ally X

ASUSから発売された7インチのポータブルゲーミングPCです(2024年7月 発売)。

AMD Ryzen Z1 Extreme、24GB LPDDR5-7500、フルHDののIPS タッチスクリーン、1TB PCIe 4.0 NVMe M.2 SSD (2280)、80WHrsバッテリー、6軸ジャイロセンサー、Windows 11 Homeを搭載しています。

また、デュアル ステレオスピーカー、Dolby Atmos、アレイマイク、AIノイズキャンセリング、HDハプティクス、Microsoft Pluton セキュリティ、指紋認証、AURA SYNC、Gorilla Glass DXC、USB4 Gen2 Type-C x1、USB 3.2 Gen2 Type-C x1、Wi-Fi 6e、Bluetooth 5.2に対応しています。

価格は、Amazonで138,000円(税込)、楽天市場で136,125円(送料無料)、ヤフーショッピングで134,625円、AliExpressで147,797円、です。

関連記事:「ROG Ally X」に買い替えは必要か? 変更点を詳細に調べてみた

TENKU LUNA

TENKUから発売される7インチのポータブルゲーミングPCです(2025年5月30日に発売)。

AMD Ryzen 7 7840U、AMD Radeon™ 780M GPU グラフィックス(内蔵, RDNA 3, 12CU, 最大8.6TFLOPS)、32GB LPDDR5(6400/6500MHz)メモリ、7インチ フルHD (1920×1080) LCD IPSディスプレイ(タッチ対応・輝度450nits, sRGB 100%)、PCIe 4.0×4 M.2 2280 SSD 1TB/2TBストレージ、50.04Wh バッテリー、Windows 11 Home 64bitを搭載しています。

また、専用アプリ「GameAssistant」、TDP切替 (15W/28W)、クイックボタン(GameAssistant起動)、ホームボタン(Xbox Game Bar起動)リフレッシュレート120Hz、PD急速充電(65W ACアダプター付属・USB4経由)に対応。

デュアルステレオスピーカー (フロント)、デュアルマイク、6軸ジャイロセンサー、デュアルリニア振動モーター、効率の良い放熱システム (吸気孔拡大)、microSD 4.0、指紋認証 (電源ボタン一体型)、専用ケース(付属・先行予約特典)、国内サポート(一年間の保証付き)、USB4 Type-C x2 (充電/DP/eGPU接続)、Wi-Fi 6E (Intel AX210)、Bluetooth 5.3にも対応しています。

価格は、Amazonで32GB+1TBモデルが79,800円、32GB+2TBモデルが89,800円、です。

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Steam Deck OLED

米国 Valve から発売された7.4インチのポータブルゲーミングPCです(2023年11月17日に発売)。

Steam OS 3.0、Zen2ベースのAMD APUと16 GB LPDDR5 メモリ、HD画質のHDR OLED(有機EL)タッチスクリーン、512GB/1TB NVMe SSD、50 Whバッテリー、トラックパッドを搭載しています。

また、リフレッシュレート 90 Hz、HDハプティクス、大型の冷却ファン、DSP内蔵ステレオスピーカー、デュアルアレイマイク、microSDカードでのストレージ拡張、45W急速充電、6軸ジャイロセンサー、Steam Deck ドッキングステーション(別売)、USB3 Gen2 Type-C (DP映像出力/PD充電/データ転送)x1、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3に対応しています。

価格は、Amazonで122,100円、楽天市場で91,300円(送料無料)、ヤフーショッピングで94,111円、AliExpressで80,726円、米国 Amazon.comで$720.00、です。

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MSI Claw A1M

MSIから発売された7インチのポータブルゲーミングPCです(2024年3月28日 発売)。

インテル Core Ultra 5 135H / Core Ultra 7 155H、インテル Arc グラフィックス、16GB LPDDR5-6400メモリ、フルHDのIPS液晶、512GB SSD / 1TB SSD ストレージ (NVMe PCIe Gen4)、53 WHrバッテリ、Windows 11 Homeを搭載しています。

また、リフレッシュレート 120Hz、65W PD急速充電、2x 2W スピーカー、ハイレゾオーディオ認定、HD ハプティクス、指紋認証、人間工学に基づいたデザイン、管理ソフト「MSI Center M」、ゲームライブラリ「App Player」、Thunderbolt 4 互換のType-Cポート、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4 に対応しています。

価格は、Amazonで89,800円(税込・CoreUltra5/16GB/SSD1TB)、楽天市場で67,930円(送料無料・中古Aランク)、ヤフーショッピングで83,320円円(送料無料)、米国 Amazon.comで$519.95、です。

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