Galaxy Tab A9+徹底レビュー!CPUのAntutu、ゲーム性能は?

Galaxy Tab A9+ 前面の外観
2023年10月23日に発売されたSamsungの「Galaxy Tab A9+」は、3万円台という手頃な価格ながら、11インチの大画面と高速化したCPU性能(Snapdragon 695)で評判のAndroidタブレットです。

このレビューでは、Galaxy Tab A9+が前モデル「Galaxy Tab A8」からどれほど進化したのか、そして上位モデル「Galaxy Tab S9」と比較してどこが違うのか、実際のAntutuベンチマークやゲーム動作などを通じて、使い勝手を徹底的に比較・検証しました。

先に結論からお伝えしましょう

Galaxy Tab A9+ の長所(Pros):

  • 90Hzリフレッシュレートに対応し、画面スクロールが非常に滑らか
  • Snapdragon 695 5G搭載で、前モデルから処理性能が約2倍に向上
  • クアッドスピーカー(Dolby Atmos)による迫力あるサウンド
  • Samsung DeXと3画面分割に対応し、PCのようなマルチタスクが可能
  • 3.5mmイヤホンジャックを搭載(上位機種S9にはない強み)
  • 約480gと軽量で持ち運びやすい

Galaxy Tab A9+ の短所(Cons):

  • Sペン(純正スタイラス)非対応で、本格的なイラスト制作は不可
  • 15W充電にとどまり、満充電までに時間がかかる
  • 防水・防塵非対応で、水回りでの使用には注意が必要
  • 指紋認証センサーなし(顔認証のみ)
  • 重量級3Dゲーム(原神など)は画質を落とす必要がある

総合評価:

Galaxy Tab A9+は、前モデルから倍増した処理性能と90Hz画面により、動画視聴やブラウジングが劇的に快適になった一台です。新たにDeXモードや3画面分割も実用レベルで動作し、Galaxyスマホとの連携もスムーズ。S9ほどの超高性能やSペンは不要だが、安価でも長く安心して使える高品質なタブレットを求めるユーザーにとって、これ以上ない「最適解」であり、間違いなくおすすめできる高コスパ機です。

この記事で分かること

  1. デザインと耐久性: メタルボディの質感、サイズ(11インチ)、重量(軽量化)、ポート配置(3.5mmジャック)、防水防塵(非対応)、付属品
  2. ディスプレイ: 90Hzリフレッシュレート、WUXGA解像度、TFT液晶の発色、画面分割マルチタスク、S9(有機EL)との比較
  3. パフォーマンス: Snapdragon 695 5G、Antutuベンチマークスコア、CPU性能比較(vs A8, S9)、メモリ(RAM 4GB)、仮想メモリ(RAM Plus)、ストレージ(64GB)、SDカード
  4. ゲーム性能: 『原神』『鳴潮』『崩壊:スターレイル』『PUBG MOBILE』『ウマ娘』の実測フレームレート、プレイの快適性
  5. 実用性能: ゲーム以外の動作感(Samsung DeX、マルチウィンドウ)、画像・動画編集の限界、発熱
  6. オーディオ: Dolby Atmos対応クアッドスピーカー、音質(中高音・低音)、イヤホンジャックの利便性
  7. カメラと通信性能: カメラ画質(記録用)、ビデオ会議(インカメラ配置)、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.1、GPS
  8. バッテリーと充電: 7040mAh容量、実使用での持ち時間、15W充電速度、充電器(別売)
  9. ペンとアクセサリー: Sペン非対応の代用案(おすすめのペン)、純正Book Cover、キーボードの選択肢
  10. OSと機能: Android 15 (One UI 7.0)、アップデート保証(サポート期間)、Galaxyエコシステム(Quick Share、デバイス連携)、セキュリティ(Knox)、顔認証
  11. 総評: メリットとデメリットの全まとめ、A8・S9との最終比較、5段階評価
  12. スペック: Galaxy Tab A9+の全スペック詳細
  13. 価格・購入先: Amazon、楽天市場、中古相場、他社ライバル機種との価格比較

この記事を最後まで読むことで、「Galaxy Tab A9+」を購入するべきかどうかがはっきりと分かるはず。購入に悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。

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公式ページ:Samsung Galaxy Tab A9+(ギャラクシータブ A9+)| Samsung Japan 公式

デザインと耐久性:Galaxy Tab A9+のボディと携帯性

Galaxy Tab A9+の背面 外観

ここでは、Galaxy Tab A9+の実機に触れて感じたデザインの質感や持ち運びやすさ、そして前モデルや上位機種との違いについて書いていきます。

上質なメタルボディと洗練された形状

実際に箱を開けてGalaxy Tab A9+を手にした瞬間、その質感の高さに驚きました。背面は滑らかなメタル素材(一部プラスチックとのハイブリッド構成)が採用されており、3万円台で購入できるタブレットとは思えないほどの高級感があります。カラーは「グラファイト」(※海外ではシルバー、ネイビーカラーあり)のみですが、マットな仕上げで指紋が目立ちにくく、サラサラとした触り心地が非常に快適です。

形状はフラットでモダンなデザインに仕上がっており、背面のカメラは単眼ですが、少し出っ張りがあります。机に置くと多少ガタつくため、Amazonなどで販売されているカバーを装着することをおすすめします。

比較:Tab S9より軽く、A8より画面は大きく

Galaxy Tab A9+の背面

サイズと重量に関しては、新旧モデルおよび上位モデルと比較して非常に興味深い結果となりました。Galaxy Tab A9+11.0インチのディスプレイを搭載し、重量は約480gです。まず、前モデルの「Galaxy Tab A8」と比較すると、A8は10.5インチで重量が508gでした。つまり、A9+は画面サイズが約0.5インチ拡大して視認性が向上したにもかかわらず、重量は約28gも軽くなっているのです。

さらに、同じ11.0インチのフラッグシップモデル「Galaxy Tab S9」と比較しても、Tab S9は約498gあるため、実は廉価版であるA9+の方が約18g軽量です。実際に片手で持ってみてもずっしりとした重さを感じにくく、バッグに入れて持ち運ぶ際や、ベッドで仰向けになって動画を見る際の負担が少ないのは大きなメリットだと感じました。

実用性を重視したボタンとポート配置

Galaxy Tab A9+の側面

Galaxy Tab A9+は横向き(ランドスケープモード)での使用が前提とされているようで、インカメラが長辺の中央に配置されています。ボタンやポートの配置も使い勝手がよく考えられています。

ボタン: 横持ちした際の上部側面に電源ボタンと音量ボタンがあり、クリック感もしっかりしています。

スピーカー: 左右の側面に計4つのスピーカー(クアッドスピーカー)が配置されており、手で持っても音が塞がれにくい位置にあります。

接続ポート: 右側面(横持ち時)の中央にUSB Type-Cポート(USB 2.0)があります。

イヤホンジャック: 注目すべきは、右下の角に3.5mmイヤホンジャックが搭載されている点です。有線イヤホン派の私にとっては、遅延を気にせず音ゲーや動画を楽しめる大きなメリットでした。

SDカード: 側面にmicroSDカードスロットがあり、最大1TBまでストレージを拡張可能です。

Galaxy Tab A9+の接続ポート

耐久性と防水性能の注意点

耐久性に関しては、メタルボディによる剛性感があり、多少ラフに扱っても安心感があります。しかし、ここで上位モデルとの決定的な違いがあります。フラッグシップモデルの「Galaxy Tab S9」シリーズや「Galaxy Tab S9 FE」はIP68等級の防水防塵に対応していますが、このGalaxy Tab A9+は防水防塵には非対応です。キッチンでレシピを見たり、お風呂で動画を見たりしたい場合は、水濡れに十分注意するか、防水ケースが必要です。

シンプルな付属品

付属品は非常にシンプルです。箱の中には、USBケーブル(C to C)、SIMピン(イジェクターピン)、取扱説明書のみが入っており、ACアダプター(充電器)は付属していません。15Wの充電に対応しているので、もし手持ちがない場合は別途購入する必要があります。

まとめ:デザインと耐久性

  • 第一印象: メタル素材のマットな仕上げにより、価格以上の高級感と指紋のつきにくさを実現している。
  • サイズと重量: 前モデルGalaxy Tab A8(508g)より軽く、上位モデルGalaxy Tab S9(498g)と比較しても約480gと軽量で携帯性に優れる。
  • 操作性: 横持ちを想定したインカメラ配置に加え、Tab S9にはない3.5mmイヤホンジャックを搭載しており実用的である。
  • 耐久性: ビルドクオリティは高いが、Galaxy Tab S9のようなIP68防水防塵には非対応であるため水場での使用は注意が必要。
  • 付属品: 充電器は同梱されていないため、必要に応じて別途用意する必要がある。

ディスプレイ:Galaxy Tab A9+の鮮やかな大画面と滑らかな操作感

Galaxy Tab A9+の画面

ここでは、Galaxy Tab A9+のディスプレイ性能について、前モデルからの進化点や、上位のフラッグシップモデル「Galaxy Tab S9」との比較を交えてレビューしていきます。

液晶でも美しい11インチの大画面

電源を入れて画面を点灯させた瞬間、11.0インチというサイズの迫力と、期待以上の鮮やかさに目を奪われました。パネルの種類はTFT液晶(LCD)を採用しています。ここで上位モデル「Galaxy Tab S9」と比較すると、あちらは「Dynamic AMOLED 2X(有機EL)」を搭載しており、引き締まった黒色の表現やHDR10+対応によるコントラスト比は圧倒的です。

対してGalaxy Tab A9+は液晶特有のバックライトによる白っぽさをわずかに感じますが、色が不自然ということはなく、むしろ明るく自然な発色です。3万円台という価格を考えれば、動画視聴やブラウジングにおいて十分に満足できるクオリティだと感じました。

比較:A8より大きく、Tab S9より解像度は控えめ

Galaxy Tab A9+のディスプレイ。画面に自然の風景

画面サイズと解像度について比較します。Galaxy Tab A9+11.0インチのWUXGA(1920 x 1200)ディスプレイを搭載しています。前モデルの「Galaxy Tab A8」は10.5インチでしたから、画面サイズが約0.5インチ拡大しました。解像度はA8と同じですが、画面が大きくなったことで、雑誌の細かい文字や電子書籍の見開き表示がより快適になり、没入感が増しています。

一方、同じ11.0インチの「Galaxy Tab S9」は解像度が2560 x 1600 (WQXGA)とさらに高精細です。近くで見比べると文字の滑らかさに差はありますが、動画を見る距離感であればGalaxy Tab A9+の解像度でも粗さは気になりませんでした。アスペクト比は16:10で、映画コンテンツを画面いっぱいに楽しめる点は共通の魅力です。

90Hzの滑らかさがもたらす感動

Galaxy Tab A9+でレースゲームをプレイしている

操作感において最も進化を感じたのは、リフレッシュレートが最大90Hzに対応したことです。 前モデルのGalaxy Tab A8は一般的な60Hz駆動でしたから、この差はブラウザをスクロールした瞬間に指先ではっきりと分かります。ニュースフィードを流し読みする際や、ホーム画面の切り替えにおいて、残像感が減り「ヌルヌル」と動く様子は、一度体験すると60Hzには戻れないほどの快適さです。上位のGalaxy Tab S9はさらに上の120Hzに対応しており、ゲームなどの激しい動きではS9に分がありますが、日常使いにおける滑らかさという点では、A9+の90Hzでも十分な感動を味わえました。

大画面を活かすマルチタスク機能

Galaxy Tab A9+の3画面分割マルチウインドウ

この11インチの大画面を活かす機能として、3画面分割マルチタスクは見逃せません。YouTubeで動画を見ながらブラウザで検索し、さらにメモアプリを開くといった作業が1画面で完結します。さらに、PCライクに使える「Samsung DeX」モードを起動すれば、ウィンドウ形式で複数のアプリを同時に操作でき、作業効率が格段に上がりました。4GBメモリという制約はあるものの、この機能は単なる動画視聴用タブレットの枠を超えた、Galaxyならではの強みです。

ディスプレイの仕様

  • サイズ: 11.0インチ
  • 解像度: 1920 x 1200 (WUXGA)
  • パネル種類: TFT液晶
  • リフレッシュレート: 最大90Hz
  • アスペクト比: 16:10

まとめ:ディスプレイ

  • 第一印象: 上位モデルTab S9の有機ELには及ばないものの、液晶ながら発色は鮮やかで自然である。
  • サイズ比較: 前モデルGalaxy Tab A8(10.5インチ)から11.0インチへサイズアップし、視認性が向上している。
  • 解像度比較: Tab S9の高精細さ(WQXGA)と比較すると控えめだが、実用上十分な解像度(WUXGA)を確保している。
  • 滑らかさ: リフレッシュレートがA8の60Hzから90Hzへ進化し、スクロールの追従性が劇的に良くなっている。
  • 機能性: 3画面分割やDeXモードに対応しており、大画面を活かしたマルチタスクが実用的である。

パフォーマンス:Galaxy Tab A9+のSnapdragon 695性能を徹底検証!

Galaxy Tab A9+の画面

ここでは、Galaxy Tab A9+のAntutuベンチマークやCPU性能比較、ゲーム性能、ゲーム以外の動作感(マルチタスク、画像編集、動画編集)、メモリとストレージについて詳しくレビューします。

Antutuベンチマーク

Galaxy Tab A9+の頭脳には、Qualcomm製の「Snapdragon 695 5G」プロセッサが採用されています。これは6nmプロセスで製造されたミドルレンジ向けのSoCで、高性能コア(2.2GHz)と省電力コア(1.8GHz)を組み合わせたオクタコア構成です。GPUにはAdreno 619を搭載しており、前世代のチップセットと比較してグラフィック処理能力も向上しています。

Antutuベンチマークは以下のようになっています。

例1.Antutu V10 総合で「413206」、CPUで「137612」、GPUで「82744」、MEMで「85206」、UXで「107644」

例2.Antutu V10 総合で「429868」、CPUで「146905」、GPUで「82448」、MEMで「87980」、UXで「112535」

 

投稿者: @akibaburari
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その他のベンチマーク結果

3DMark

  • Wild Life で「1,210」、Wild Life Extremeで 「62」

Geekbench 6

  • シングルコアで「909」、 マルチコアで「1,929」

Geekbench グラフィック性能

  • GPU Vulkanで「1,154」、GPU OpenCLで「1,387」

Octane

  • Score 「27,462」

ベンチマーク結果からわかること

Antutuスコアが41万点を超えていることから、Webブラウジングや動画視聴、SNSの閲覧といった日常的な用途においては、非常に快適に動作することがわかります。Geekbench 6のマルチコアスコアも約1900点あり、3画面分割などのマルチタスクも実用的なレベルでこなせました。

一方で、3DMarkのスコア(Wild Life: 1210)を見ると、グラフィック性能はミドルレンジ相応です。軽量なゲームなら問題ありませんが、「原神」のような重量級の3Dゲームを高画質でプレイするには力不足で、画質設定を下げるなどの工夫が必要だと感じました。

CPU性能を比較

Galaxy Tab A9+が搭載するQualcomm Snapdragon 695 プロセッサは、Antutu V10 ベンチマーク総合で約41万点を記録していました。

これをもとに、他のCPUと比較してみましょう。

Galaxy Tab A8と比較

前モデルの「Galaxy Tab A8」は、UNISOC Tiger T618 プロセッサを搭載し、Antutu V9 ベンチマーク総合で約 20万点を記録していました。

Galaxy Tab A8のAntutuベンチマーク+

Antutu V9.3.0 総合で「207338」、CPUで「71344」、GPUで「42589」、MEMで「42730」、UXで「50675」

これをAntutu V10バージョンに換算すると、総合スコアは約24万点になります。

つまり、Antutu V10 ベンチマーク総合スコアで比較した場合、Galaxy Tab A9+の方が前モデルの「Galaxy Tab A8」よりもスコアが約17万点も高いことがわかります。

Galaxy Tab S9と比較

Galaxy Tab S9のAntutuベンチマーク

上位モデルのGalaxy Tab S9はSnapdragon 8 Gen 2プロセッサを搭載し、Antutu V10 ベンチマーク総合で約158万点を記録していました。

Antutu V10.3.9 総合で「1587640」、CPUで「405220」、GPUで「623979」、MEMで「291683」、UXで「266758」

つまり、Galaxy Tab A9+(Antutu:41万点)は、上位モデルの「Galaxy Tab S9」よりも、Antutu総合スコアが約117万点も低いことになります。

UNISOC Tiger T618性能を比較

Galaxy Tab A9+が搭載するQualcomm Snapdragon 695 プロセッサと、他のCPUの性能をAntutuベンチマークで比較してみました。

Galaxy Tab A9+のグラフ。Antutu比較 Snapdragon 695

CPUランキング

※Antutu V10 ベンチマーク総合スコアで比較したものです。

  1. Exynos 1380 (Galaxy Tab S10 Lite)・・・Antutu:58万
  2. Exynos 1280 (Galaxy Tab S6 Lite 2024)・・・Antutu:43万
  3. Snapdragon 695 (Galaxy Tab A9+)・・・Antutu:41万
  4. MediaTek Helio G100-Ultra (Redmi Pad 2)・・・Antutu:40万
  5. Helio G99 (OPPO Pad Neo)・・・Antutu:40万
  6. Allwinner A733 (Teclast T60 AI)・・・Antutu:32万
  7. Unisoc T615 (Blackview MEGA 2)・・・Antutu:29万
  8. Snapdragon 680 (Redmi Pad SE)・・・Antutu:27万
  9. UNISOC T606 (Headwolf WPad6)・・・Antutu:25万
  10. UNISOC Tiger T618 (Galaxy Tab A8)・・・Antutu:24万

比較から分かること

この比較から、Galaxy Tab A9+は前モデルの「Galaxy Tab A8」から劇的な進化を遂げていることが一目瞭然です。スコアは約2倍に跳ね上がっており、これまで感じていた「もっさり感」の多くが解消されています。また、同価格帯のライバル機(Redmi Pad SEなど)に搭載されるSnapdragon 680(約27万点)と比較しても性能が頭一つ抜けており、人気のHelio G99搭載機と同等のパフォーマンスを持っていることがわかります。

コストパフォーマンスは非常に優秀ですが、ハイエンドのGalaxy Tab S9とは3倍以上のスコア差があるため、「動画やブラウジング中心ならA9+、重いゲームやクリエイティブ作業ならS9」という明確な住み分けが必要だと言えます。

ゲーム性能

Galaxy Tab A9+で原神をプレイ。

ここでは、Galaxy Tab A9+のゲームプレイにおける実力を検証していきます。搭載されている「Snapdragon 695 5G」のGPUスコア(Antutuベンチマーク)は約8.2万点です。この数値が実際のゲーム体験にどう影響するのか、人気の5タイトルを実際にプレイして確かめてみました。

原神

広大なオープンワールドを旅する本作ですが、快適に遊ぶには設定の妥協が必要です。画質は「最低」または「低」に設定し、フレームレート上限を「30FPS」に制限することがプレイの必須条件となります。この設定でフィールド探索を行ったところ、概ね25FPS〜30FPSの間で動作しました。

ただし、元素爆発のエフェクトが重なる激しい戦闘や、スメールやフォンテーヌといった描画負荷の高い都市部に入ると、GPU性能の限界から処理落ちが発生し、画面が明らかにカクつきます。長時間プレイで本体が熱を持つとさらに重くなるため、メイン機としてではなく、デイリークエスト消化などのサブ用途と割り切るのが賢明です。

鳴潮 (Wuthering Waves)

Unreal Engine 4による美麗なグラフィックと高速アクションが売りの本作ですが、正直なところGalaxy Tab A9+には荷が重い印象です。画質設定をすべて「最低」に落としても、30FPSの維持は困難でした。 特に、ジャスト回避やパリィといったシビアなタイミングが求められる戦闘シーンでは、激しいカメラワークと共にフレームレートが20FPS台前半まで低下することがあります。敵の動きを見極める必要があるゲーム性において、このカクつきは操作の快適性を損なう要因となります。ストーリーを追うことは可能ですが、高難易度コンテンツの攻略にはかなりの忍耐が必要です。

崩壊:スターレイル (Honkai: Star Rail)

ターン制バトルの本作は、アクションゲームほどフレームレートに神経質にならなくて済みます。画質設定「低」または「最低」、フレームレート「30FPS」でプレイしてみましたが、戦闘中のコマンド入力には支障がなく、比較的安定して遊べます。 必殺技の演出時にわずかなカクつきは見られますが、許容範囲内です。一方で、仙舟「羅浮」やピノコニーのようなオブジェクトの多い広大なマップを移動する際は、視点移動の滑らかさが失われ、カクつきを感じることが多くなります。戦闘中心のプレイであれば問題ありませんが、探索パートでは少しストレスを感じるかもしれません。

PUBG MOBILE (PUBGモバイル)

Galaxy Tab A9+でPUBG MOBILEをプレイ

リリースから時間が経過し最適化が進んでいるため、今回検証した中では最も快適にプレイできました。画質設定は「スムーズ」、フレームレート設定は「ウルトラ」を選択するのがベストです。この設定であれば、上限である40FPSに張り付く形で非常に安定して動作します。 画質を「HD」に上げるとフレームレート上限が30FPSに制限されてしまうため、撃ち合いでの有利さを優先するなら「スムーズ」一択でしょう。激しい市街戦でも極端なフレームレート低下は少なく、カジュアルにドン勝を狙うには十分なパフォーマンスを発揮してくれます。

ウマ娘 プリティーダービー (Uma Musume Pretty Derby)

2D画面が主体の育成パートは非常にサクサク動き、ストレスフリーです。3Dグラフィックが多用されるレースやウイニングライブについても、画質設定「標準」で問題なく動作しました。 レース中のフレームレートは30FPS前後で安定しており、固有スキルのカットインが入っても大きな遅延は発生しません。ただし、多人数でのライブ映像などエフェクトが過剰になるシーンでは「軽量版」への切り替えを推奨される場合があります。基本的には快適ですが、上位機種と比較すると画面切り替え時のローディング時間が数秒長くかかる点は、スペックなりの挙動と言えます。

まとめ:ゲーム性能

検証の結果、Galaxy Tab A9+のゲーム性能は「タイトルを選ぶ」という結論に至りました。GPUスコアが約8.2万点ということもあり、2D主体のゲームや「PUBG MOBILE」のような軽量・最適化されたタイトルであれば十分に楽しめます。しかし、「原神」や「鳴潮」といった最新の重量級3Dアクションゲームに関しては、画質を最低まで落としても30FPSの維持が精一杯であり、本格的なプレイには力不足を感じる場面が多々あります。重いゲームについては「画質と滑らかさは妥協が必要だが、とりあえず動く」という認識でいるのが良いでしょう。

ゲーム以外の動作感

Galaxy Tab A9+で動画を視聴している

ここでは、Galaxy Tab A9+をゲーム以外の用途で使用した際の動作や、DeXモード、画像・動画編集の実用性、そして気になる発熱について、実際に使用して検証した結果を書いていきます。

3画面分割でも意外と動くマルチタスク

Galaxy Tab A9+の大きな魅力は、11インチの大画面を活かしたマルチタスク機能です。実際に「YouTube」で動画を見ながら「ブラウザ」で調べ物をし、さらに「Samsung Notes」でメモを取るという3画面分割を試してみました。メモリ(RAM)が4GBということで、正直なところ「カクつき」や「モタつき」が出るのではないかと心配していましたが、動作は意外にも安定していました。

アプリを切り替える際に一瞬の間を感じることはありましたが、フリーズするようなことはなく、実用的な範囲で並行作業が可能です。さらに、PCのようにウィンドウ操作ができる「DeXモード」も搭載されており、マウスとキーボードを接続すれば、簡単なレポート作成やメール返信などはPCに迫る快適さで行えました。ただし、アプリを5つも6つも立ち上げすぎるとさすがに動作が重くなるため、RAM 4GBの限界は意識しておく必要があります。

画像編集:軽い加工ならサクサク

次に、画像編集アプリでの挙動を確認しました。「Snapseed」や「Lightroom mobile」を使って、写真の色調整やフィルター適用を行ってみましたが、処理速度はスムーズです。簡単なフィルターをかけたり、トリミングをしたりする程度であれば、ストレスなくサクサクと作業が進みます。

しかし、複数のレイヤーを重ねる本格的なイラスト制作や、高解像度のRAW現像といったプロレベルの作業には、Snapdragon 695の性能ではやはり「力不足」を感じます。レイヤー数が増えるとペンの追従性が落ちることがあるため、あくまでSNSへの投稿用や趣味の範囲での使用に適しています。

動画編集:フルHDのショート動画ならOK

動画編集については、さらに高いスペックが要求されるため慎重に検証しました。アプリ「VLLO」を使用して、数分のフルHD動画を編集してみたところ、カット編集やテロップ入れ程度なら問題なく動作しました。ただし、書き出し(レンダリング)時間については、上位機種と比べると明らかに長くなります。

また、プレビュー画面でエフェクトを多用するとカクつくことがありました。4K動画の編集はスペック的に厳しいため、TikTokやInstagramのリール動画など、短尺かつフルHDまでの動画編集であれば十分に対応できる印象です。

長時間の使用でも気にならない発熱

最後に、発熱についてです。3画面分割でのマルチタスク作業や、1時間の動画編集、そして長時間YouTubeを流し続けるといった負荷のかかるテストを行いましたが、本体背面が「ほんのり温かい」と感じる程度でした。 不快なほどの熱を持つことはなく、アルミボディが効率よく放熱している印象を受けます。長時間の負荷がかかる作業でも、熱による性能低下(サーマルスロットリング)を気にせず安心して使い続けられるのは、日常使いのタブレットとして非常に重要なポイントだと感じました。

まとめ:ゲーム以外の動作感

  • マルチタスク: 3画面分割やDeXモードを使用しても、RAM 4GBながら実用的な範囲で安定して動作する。
  • 画像編集: フィルター適用などの軽い作業はスムーズだが、多層レイヤーなど高負荷な作業には力不足である。
  • 動画編集: フルHDのショート動画編集なら可能だが、レンダリングには時間を要し、高いスペックを要する4K編集は厳しい。
  • 発熱: 長時間の負荷をかけても不快な熱を持つことはなく、放熱性能は優秀である。

メモリとストレージ

Galaxy Tab A9+のメモリとストレージ

ここでは、Galaxy Tab A9+のメモリ(RAM)とストレージ容量、そしてmicroSDカードによる拡張性について、前モデルや上位のフラッグシップモデル「Galaxy Tab S9」との比較を交えながら、実際に使用して感じた限界とメリットを書いていきます。

メモリ4GBとRAM Plusの効果

Galaxy Tab A9+のメモリ(RAM)は4GBを搭載しています。前モデルの「Galaxy Tab A8」はベースモデルが3GBだったため、基礎体力が底上げされたのは嬉しい進化です。実際にブラウザとYouTube、メモアプリを同時に開く3画面分割マルチタスクを試してみましたが、4GBのRAMでも意外と粘り強く動作しました。

しかし、上位モデルの「Galaxy Tab S9」は8GBまたは12GBの大容量メモリを搭載しており、どんなにアプリを切り替えてもスムーズです。それと比較すると、A9+はアプリを頻繁に切り替えた際に読み込み直し(リロード)が発生し、一瞬「モタつき」を感じる場面があります。設定からストレージの一部を仮想メモリとして使用する「RAM Plus」機能を有効にすることで、アプリの強制終了は多少防げている印象ですが、ハードウェアスペックの差は明確に感じました。

ストレージ容量とSDカードの制限

内蔵ストレージは64GBですが、システム領域などを除いた実際の「使用可能ストレージ」は約44.8GBしかありません。これには注意が必要です。上位モデルのGalaxy Tab S9は最低でも128GBのストレージを搭載しているため余裕がありますが、A9+の44.8GBはアプリをいくつか入れ、高画質な写真を保存するとあっという間に埋まってしまいます。

幸い、Galaxy Tab A9+最大1TBのmicroSDカードに対応しており、写真や動画、音楽ファイルの保存場所には困りません。この拡張性は上位モデルと同様に優秀です。しかし、実際に使っていて痛感したデメリットがあります。それは、microSDカードを「内部ストレージ化」してアプリを完全に保存することができない点です。

特にゲームアプリの場合、アプリ本体は移動できたとしても、数GBに及ぶ追加データは内蔵ストレージにしか保存できないケースが多く、ストレージ不足に悩まされました。たくさんのゲームをインストールしたいと考えている方は、この64GBという容量制限を理解しておく必要があります。

まとめ:メモリとストレージ

  • メモリ容量: RAM 4GBを搭載し、前モデルの3GBモデルより余裕があるが、8GB以上を搭載するTab S9と比較するとヘビーなマルチタスクには限界がある。
  • 仮想メモリ: RAM Plus機能により、ある程度の動作安定性は確保されている。
  • ストレージ残量: 64GBのうち実際に使えるのは約44.8GBと少なく、128GB起步のTab S9と比べるとアプリのインストール数に制約が出る。
  • 拡張性: 最大1TBのmicroSDカードに対応しており、メディアファイルの保存には困らない。
  • 注意点: microSDカードにはアプリやゲームの追加データを保存できない場合が多く、内蔵ストレージの節約には限界がある。

オーディオ性能:Galaxy Tab A9+の没入感あるサウンドと接続性

Galaxy Tab A9+のオーディオ性能

ここでは、Galaxy Tab A9+で映画や音楽を楽しんだ際に感じたスピーカーの音質や、イヤホンジャックを含むオーディオ周りの使い勝手について、前モデルや上位のフラッグシップモデル「Galaxy Tab S9」との比較を交えてレビューしていきます。

空間に広がるDolby Atmosとクアッドスピーカー

Galaxy Tab A9+には、本体の左右側面に合計4つのスピーカー(クアッドスピーカー)が搭載されています。実際にNetflixでアクション映画を再生し、「Dolby Atmos」機能をオンにしてみたところ、音の広がりに驚かされました。音が左右に分離して聞こえるだけでなく、自分の周囲を包み込むような立体感を感じます。

Galaxy Tab A9+のスピーカー

音質に関しては、特に中音域から高音にかけての解像感が高く、映画のセリフやアーティストのボーカルが非常に明瞭に聞こえます。低音については、筐体サイズを活かした厚みがあり、スカスカした感じはありませんが、重低音の迫力という点では限界もあります。それでも、最大音量に上げても音が割れることなく、部屋全体に響き渡るパワーを持っています。

比較:A8の良さを継承し、S9とは「端子」で差別化

前モデルの「Galaxy Tab A8」もクアッドスピーカーを搭載しており、価格以上の音質で定評がありましたが、Galaxy Tab A9+でもその良さはしっかりと継承されています。 一方、上位モデルの「Galaxy Tab S9」と比較するとどうでしょうか。Tab S9は「AKGチューニング」のクアッドスピーカーを搭載しており、音の緻密さや低音の深みといった純粋なオーディオ性能ではやはり上位機種に軍配が上がります。しかし、3万円台のTab A9+が放つサウンドも決して安っぽいものではなく、動画視聴における没入感では十分に張り合えるレベルだと感じました。

上位機種にはない「イヤホンジャック」の強み

Galaxy Tab A9+のイヤホンジャック

オーディオ面でGalaxy Tab A9+が上位モデル「Galaxy Tab S9」に勝っていると言える決定的なポイントがあります。それは「3.5mmイヤホンジャック」を搭載していることです。 最近のハイエンドタブレットであるTab S9では廃止されてしまいましたが、Tab A9+ならお気に入りの有線ヘッドホンを変換アダプタなしで直接接続できます。

充電しながらでも高音質で音楽を楽しめますし、音の遅延が許されないリズムゲームをプレイする際には、ワイヤレス接続にはない安心感がありました。もちろんBluetooth 5.1にも対応しており、ワイヤレスイヤホンとの接続も安定していますが、選択肢として有線が残されているのは、Tab S9にはない大きなメリットです。

まとめ:オーディオ

  • スピーカー構成: 4つのスピーカー(クアッドスピーカー)を搭載し、ステレオ感が強く音の広がりがある。
  • 音質特性: Dolby Atmos対応により立体感があり、中音域から高音、ボーカルがクリアに聞こえる。
  • 比較(対 Tab S9): 音質自体はAKGチューニングのTab S9に譲るが、価格を超えた迫力あるサウンドを実現している。
  • 外部出力: Tab S9にはない3.5mmイヤホンジャックを搭載しており、遅延のない有線接続が手軽に利用できる。
  • ワイヤレス接続: Bluetooth 5.1に対応し、ワイヤレスイヤホンも問題なく使用できる。

バッテリー持ちと充電:Galaxy Tab A9+のスタミナと充電速度

Galaxy Tab A9+の背面

ここでは、Galaxy Tab A9+のバッテリー持続時間と充電周りの仕様について、前モデルや上位のフラッグシップモデル「Galaxy Tab S9」との比較を交えながら、実際に使ってみて感じた「持ち」と「充電の手間」について書いていきます。

バッテリー容量と公称駆動時間

Galaxy Tab A9+は、前モデルのGalaxy Tab A8と同じ7,040mAhのバッテリーを搭載しています。画面サイズが11インチに拡大し、リフレッシュレートが90Hzに向上しているにもかかわらず容量が据え置きである点は、スペックだけ見ると少し不安に感じるかもしれません。

また、上位モデルの「Galaxy Tab S9」は8,400mAhの大容量バッテリーを搭載しているため、物理的な容量では劣ります。しかし、Galaxy Tab A9+が搭載するSnapdragon 695プロセッサは省電力性能に優れており、実際のスタミナは決して悪くありません。メーカー公称値や海外のレビューデータを参照しても、動画再生やWebブラウジングといった日常的な使用であれば、十分に一日中使えるスタミナを確保しています。

実際のバッテリー持ち:1日使っても余裕あり

私の体験談として、休日に朝から晩まで動画視聴やSNSチェック、軽いゲームを断続的に行って検証してみました。輝度を半分程度に設定し、Wi-Fiに接続した状態でYouTubeを数時間視聴したり、電子書籍を読んだりしましたが、夜になってもバッテリー残量は30%ほど残っていました。

特にスリープ時のバッテリー消費が非常に少なく、使わない日があっても数日は充電なしで放置できる安心感があります。 ただし、90Hzの高リフレッシュレートを常時オンにしていると、60Hz駆動だった前モデルのGalaxy Tab A8と比較してバッテリー消費が早くなる傾向があるため、長時間の外出時は設定を調整するのも一つの手です。

充電速度:S9との差を痛感する15W充電

Galaxy Tab A9+のUSBケーブル。付属品

充電性能に関しては、上位モデルとの差を最も痛感したポイントです。Galaxy Tab A9+は急速充電に対応していますが、最大出力は15Wにとどまります。前モデルのA8から進化していません。 対して、上位モデルのGalaxy Tab S9は最大45Wの超急速充電に対応しており、短時間でバッテリーを回復できます。A9+の場合、完全にバッテリーが切れた状態から満充電にするまでには、約3時間から4時間近くかかりました。

30分の充電でも20%程度しか回復しないため、「出かける前にサッと充電」という使い方は難しいです。寝ている間に充電しておく運用が基本になるでしょう。また、充電ポートはUSB Type-C(USB 2.0)を採用しており、ワイヤレス充電には対応していません。

充電中の発熱は気にならず

充電中の発熱についても確認しましたが、付属のケーブルと手持ちの充電器を使用しても、本体がほんのり温かくなる程度で、心配になるような熱さは感じませんでした。充電速度が控えめである分、バッテリーへの熱負荷も少なく、長く安心して使える設計になっているとも言えます。なお、本機にはACアダプター(充電器)が付属していないため、15W出力に対応した充電器を別途用意する必要がある点には注意が必要です。

まとめ:バッテリー持ちと充電

  • バッテリー容量: 7,040mAhを搭載。前モデルA8から据え置きだが、省電力SoCによりスタミナは確保されている。
  • 比較(対 Tab S9): 容量はS9(8,400mAh)より少ないが、実際の使用で1日持たないという不安は感じない。
  • 充電速度: 最大15W対応にとどまり、45W対応のTab S9と比較すると充電時間は圧倒的に長い(満充電まで約3〜4時間)。
  • 充電ポート: USB Type-C(USB 2.0)を採用し、ワイヤレス充電には非対応である。
  • 発熱と付属品: 充電中の発熱は穏やかだが、充電器が同梱されていないため別途購入が必要である。

カメラと通信性能:Galaxy Tab A9+のビデオ通話と実用性

Galaxy Tab A9+の背面にあるカメラ

ここでは、Galaxy Tab A9+のカメラを実際に使ってみて感じた用途の限界と、Wi-FiやGPSといった通信機能の使い勝手について、上位モデル「Galaxy Tab S9」との比較を交えてレビューしていきます。

記録用と割り切るべきカメラ性能

まずカメラ性能ですが、背面のアウトカメラは約800万画素前面のインカメラは約500万画素という構成です。実際に室内で写真を撮ってみましたが、光量が十分な場所であればメモ代わりの記録写真としては使えます。しかし、オートフォーカスには対応しているもののフラッシュは非搭載で、薄暗い場所ではノイズが目立ち、全体的にのっぺりとした画質になります。

Galaxy Tab A9+で撮影している様子

比較対象である上位モデル「Galaxy Tab S9」は、背面に約1300万画素のカメラとLEDフラッシュを搭載しており、暗所でも明るく撮影できます。それに比べると、Galaxy Tab A9+は明らかに解像感や明るさの補正において劣ります。「タブレットできれいな写真を撮りたい」という期待はせず、あくまでQRコードの読み取りや書類のスキャンといった「実用ツール」として割り切って使うのが正解だと感じました。

動画撮影最大FHD(1920 x 1080)の30fpsまでで、4K撮影に対応しているGalaxy Tab S9との性能差は歴然です。

ビデオ会議に最適なインカメラ配置

Galaxy Tab A9+のインカメラ

画質には限界がある一方で、使い勝手で感心した点があります。それはインカメラの位置です。Galaxy Tab A9+は横持ち(ランドスケープモード)での使用を前提としており、インカメラが長辺の中央に配置されています。これにより、ZoomやTeamsでのビデオ会議の際に、自分の目線が自然になりやすく、相手に違和感を与えにくいというメリットがありました。

Galaxy Tab S9のインカメラは約1200万画素の超広角レンズを搭載しており、画質や画角の広さでは及びませんが、Galaxy Tab A9+の約500万画素でも顔認証やオンライン会議用としては必要十分な性能を持っています。

必要十分なWi-FiとGPSの利便性

Galaxy Tab A9+の通信を設定している

通信性能に関しては、Wi-Fi 5(802.11ac)に対応しています。Galaxy Tab S9が最新規格の「Wi-Fi 6E」に対応しているのと比較するとスペックは見劣りしますが、実際に自宅のWi-Fiルーターに接続してYouTubeのフルHD動画を再生したり、アプリをダウンロードしたりする分には速度不足を感じることはありませんでした。

Bluetoothはバージョン5.1に対応しており、前モデルのGalaxy Tab A8(Bluetooth 5.0)からわずかに進化しています。ワイヤレスイヤホンを接続して動画を見ても接続は安定しており、途切れなどのストレスはありませんでした。また、NFCは非対応ですが、GPS(Glonass, Beidou, Galileo, QZSS含む)センサーを搭載している点は見逃せません。Wi-Fiモデルであっても位置情報を正確に取得できるため、スマホのテザリングと組み合わせれば、11インチの大画面を活かしたカーナビ代わりや地図閲覧デバイスとしても活用できるのは大きな魅力です。

まとめ:カメラと通信性能

  • カメラ画質: アウトカメラは約800万画素でフラッシュもなく、1300万画素のGalaxy Tab S9と比較すると記録用レベルにとどまる。
  • 動画撮影: 最大FHD@30fpsまでの対応で、Galaxy Tab S9のように4K撮影はできない。
  • インカメラ: 横持ち時に中央に来るよう配置されており、約500万画素ながらビデオ会議での目線が自然になる。
  • Wi-Fi性能: Wi-Fi 5対応で、Galaxy Tab S9(Wi-Fi 6E)には及ばないが、動画視聴などの日常用途では十分な速度が出る。
  • Bluetooth: 前モデルのv5.0からv5.1へ進化しており、周辺機器との接続安定性は良好である。
  • 位置情報: GPSセンサーを搭載しているため、地図アプリなどで正確な位置情報を利用できる。

OSと機能:Galaxy Tab A9+のマルチタスクとGalaxyエコシステム

Galaxy Tab A9+のOne UI

ここでは、Galaxy Tab A9+のOS周りの使い勝手や、Samsungならではの「DeXモード」などの機能について、前モデルや上位のフラッグシップモデル「Galaxy Tab S9」との比較を交えてレビューしていきます。

洗練されたOne UIのデザインと最新OS

Galaxy Tab A9+は、購入時の初期OSとしてAndroid 13を搭載していますが、現在は最新のAndroid 15One UI 7.0)へのアップデートが可能です。

実際に触れてみて印象的だったのは、その洗練されたUIデザインです。Samsung独自の「One UI」は、全体的に丸みを帯びたアイコンやメニューが見やすく配置されており、視覚的にも非常にすっきりとしています。

Galaxy Tab A9+のUI画面。アプリ一覧。

特に、画面下部に常時表示できるタスクバーのデザインは秀逸で、Windowsのデスクトップ画面のような馴染みやすさがあります。設定メニューの階層も分かりやすく整理されており、上位モデルのGalaxy Tab S9と同じUIデザイン言語が採用されているため、安っぽさを全く感じさせない統一感のある美しさが気に入りました。

長く使える安心のアップデート保証

長く使う上で重要なアップデート保証についても、Galaxy Tab A9+は非常に手厚いサポートを提供しています。具体的には、AndroidのOSバージョンアップが3世代、セキュリティアップデートが4年間(2027年秋頃まで)提供される予定です。 前モデルの「Galaxy Tab A8」やすでにサポートが終了している古いタブレットと比較すると、最新のセキュリティ状態で長く使い続けられる安心感は別格です。安価なタブレットはアップデートが1回で終わることも多いため、この長期サポートは本機を選ぶ大きな理由になると感じました。

PCのように使える「DeXモード」の搭載

本機の最大の目玉機能とも言えるのが、「Samsung DeX」モードへの対応です。これは前モデルのGalaxy Tab A8にはなかった機能で、Aシリーズとしては初の搭載となります。DeXモードをオンにすると、画面がWindowsのようなデスクトップ風のUIに切り替わり、複数のアプリをウィンドウ表示で並べて操作できます。

上位モデルのGalaxy Tab S9と比較すると、外部ディスプレイへの映像出力機能には対応していませんが、タブレット単体でもワイヤレスキーボードとマウスを接続すれば、まるで小型のノートPCのようにレポート作成やブラウジングが快適に行えました。ただ、メモリが4GBなので、大量のウィンドウを開くと動作が重くなる点には注意が必要です。

Galaxyエコシステムによるシームレスな連携

Galaxyスマホやウォッチを持っているなら、連携機能の便利さは感動レベルです。「Quick Share」を使えば、スマホで撮った写真を数タップでタブレットに転送でき、画質劣化もなく一瞬で共有完了します。さらに、「他のデバイスでアプリを続行」機能をオンにしておけば、スマホのSamsungブラウザで見ていたWebページを、タブレットを開くだけで自動的に引き継いで閲覧できます。

また、Galaxy Buds(イヤホン)の接続先がスマホとタブレット間で自動的に切り替わる「オートスイッチ」機能も便利で、ペアリングの手間を全く感じさせません。これらの連携機能は上位モデルのTab S9と同等の使い勝手で、Galaxyエコシステムの恩恵をフルに受けられます。

堅牢なセキュリティと顔認証の使い勝手

Galaxy Tab A9+のセキュリティ機能

セキュリティ面では、Samsung独自のセキュリティプラットフォーム「Knox」によって保護されており、ウイルスや不正アクセスへの対策も万全です。重要な写真やファイルを隠せる「セキュリティフォルダ」機能も標準搭載されており、プライバシー管理も安心です。生体認証については、「顔認証」のみに対応しています。

上位モデルのGalaxy Tab S9は画面内指紋認証を搭載していますが、A9+には指紋センサー自体がありません。実際に使ってみると、顔認証の速度はスムーズですが、マスク着用時や暗い場所では認識しづらい場面もあり、指紋認証がない点は少々不便に感じることもありました。

まとめ:OSと機能

  • OSとUI: Android 15(One UI 7.0)に対応し、PCライクなタスクバーなど視認性に優れた美しいデザインを採用している。
  • アップデート: 2027年までの長期アップデート保証があり、前モデルA8と比較しても長く安心して使える。
  • DeXモード: Aシリーズ初搭載。外部出力は非対応だが、単体でのPCライクなウィンドウ操作が可能で生産性が高い。
  • エコシステム: Quick Shareや自動連携機能により、Galaxyスマホやイヤホンとのシームレスなデータ共有・接続が可能。
  • セキュリティと認証: Knoxによる保護はあるが、指紋センサー非搭載のため、Tab S9と比較して生体認証の選択肢が顔認証のみに限られる。

おすすめのペンとカバー:Galaxy Tab A9+の実用性を高める周辺機器

Galaxy Tab A9+にケースを装着している

ここでは、Galaxy Tab A9+をさらに便利に使うためのペンやカバーについて、上位モデルとの決定的な違いである「Sペン非対応」という点に触れつつ、最適なアクセサリー選びについてレビューしていきます。

Sペン非対応という決定的な違い

まず、Galaxy Tab A9+を購入する前に絶対に知っておくべき最大の注意点があります。それは、本機がSamsung純正の高性能スタイラスペン「Sペン」に非対応であるということです。上位モデルの「Galaxy Tab S9」は、筆圧検知や傾き検知に対応したSペンが標準付属しており、まるで紙に書くような滑らかな書き心地でお絵描きや精密なノート取りが可能です。しかし、A9+で同じ体験はできません。イラスト制作や本格的なノート作成を考えている方は、この点において迷わずTab S9を選ぶべきだと痛感しました。

市販のタッチペンなら代用可能

Sペンは使えませんが、諦める必要はありません。市販されている汎用の「タッチペン(スタイラスペン)」であれば問題なく使用できます。実際に市販の「アクティブスタイラス(静電容量式)」を購入して試してみましたが、指で操作する代わりとしてブラウザのリンクをタップしたり、簡単な手書きメモを取ったりする分にはしっかりと反応します。

ただし、手のひらを画面についても反応しない「パームリジェクション機能」は効かないため、文字を書くには画面から手を浮かせる必要があり、長時間の筆記は少し疲れました。また、100円ショップなどで売っている先の丸い「パッシブスタイラス」も試しましたが、こちらは細かい操作が難しいため、画面スクロール用と割り切って使うのが無難です。

純正アクセサリー「Book Cover」の機能性

Galaxy Tab A9+の「Book Cover」

カバーに関しては、別売りの純正「Book Cover」(ブック カバー)が非常に優秀です。磁石でカチッと吸い付くように取り付けられ、動画視聴用の「横置き」と、Web閲覧用の「縦置き」に近い角度の2段階に調整できるため、シーンに合わせて使い分けられました。カバーの開閉に合わせて画面が自動でオン・オフになる「自動スリープ&起動機能」も、電源ボタンを押す手間が省けて地味ながら便利です。外側は頑丈に設計されており、バッグの中に放り込んでも画面を傷から守ってくれる安心感があります。

キーボードはサードパーティ製で代用

一方で、残念なのはキーボードの選択肢です。上位のTab S9や海外モデルには専用のキーボード付きカバーが存在しますが、Galaxy Tab A9+の国内向けラインナップには現状用意されていません。せっかくPCライクな「DeXモード」があるのに勿体ないと感じましたが、私は市販のBluetoothキーボードとマウスを接続して代用しました。ペアリングさえしてしまえば入力遅延もなく快適に使えましたが、一体型のようにスマートに持ち運べない点は、純正キーボードカバーの選択肢があるモデルと比較して少々不便に感じるポイントでした。

まとめ:おすすめのペンとカバー

  • Sペンの対応: Galaxy Tab S9とは異なりSペンには非対応であるため、本格的なイラスト制作や精密な筆記には不向きである。
  • 代用ペンの使用感: 市販のアクティブスタイラスなどは使用可能であり、ブラウザ操作やメモ書き程度なら十分に代用できる。
  • 純正カバー: Book Coverは磁石で着脱でき、2つの角度調整や自動スリープ機能があり、動画視聴や保護性能において実用的である。
  • キーボードオプション: 純正のキーボード付きカバーが国内では販売されていないため、DeXモードなどを活用するには別途Bluetoothキーボードが必要となる。
  • 比較: Sペン付属かつキーボードカバーも選べるGalaxy Tab S9と比較すると、クリエイティブやビジネス用途でのアクセサリー環境は劣る。

検証してわかったGalaxy Tab A9+のメリット・デメリット

Galaxy Tab A9+のディスプレイ

ここでは、実際にGalaxy Tab A9+を使い倒して分かった「強み」と「弱み」を、前モデル「Galaxy Tab A8」および上位モデル「Galaxy Tab S9」との違いを明確にしながら解説します。カタログスペックだけでは見えにくい、実使用に基づいたリアルな評価です。

メリット(長所、利点)

メリット1:リフレッシュレートが90Hzに進化(A8は60Hz)

ディスプレイの滑らかさにおいて、前モデルからの劇的な進化を感じました。Galaxy Tab A8は一般的な60Hz駆動でしたが、A9+は最大90Hzに対応しています。実際にニュースサイトをスクロールしてみると、A8で感じた残像感が消え、文字がくっきりと追従してくる「ヌルヌル感」を体験できました。上位のGalaxy Tab S9(120Hz)には数値上及びませんが、日常使いでの体感差はA8との違いの方が圧倒的に大きく、この価格帯で高リフレッシュレートを実現したのは大きなメリットです。

メリット2:3画面分割マルチタスクが実用的(A8より快適)

11インチの大画面をフル活用できる「3画面分割」機能も大きな魅力です。YouTubeを見ながらブラウザで検索し、メモを取るといった作業が1画面で完結します。前モデルのA8でも分割表示は可能でしたが、処理性能の限界からもたつきを感じることがありました。しかし、SoCが強化されメモリも4GBに増えたA9+では、実用的な速度で動作します。上位のS9と同じマルチタスク機能が、この価格帯のモデルでもしっかり使える点は非常に評価できます。

メリット3:価格を超えたクアッドスピーカー(S9に迫る迫力)

オーディオ性能は、この価格帯では頭一つ抜けています。本体の左右に計4つのスピーカーを搭載し、Dolby Atmosに対応しています。実際に映画を再生すると、スマホのステレオスピーカーとは次元の違う音の厚みと広がりを感じます。上位のGalaxy Tab S9は「AKGチューニング」が施されており繊細さでは及びませんが、音量の大きさや迫力という点ではA9+も負けておらず、A8から引き継いだ強力な武器と言えます。

メリット4:PCモード「Samsung DeX」に対応(A8は非対応)

Aシリーズとして初めて「Samsung DeX」に対応したことは、単なるスペックアップ以上の価値があります。前モデルのA8にはこの機能がなく、単なる大画面Android端末でしたが、A9+はDeXをオンにすることでPCのようなウィンドウ操作が可能になりました。 キーボードとマウスを繋げば、複数のアプリを重ねて表示しながらレポート作成などが可能です。上位のS9と同じ生産性機能が使えるようになった点は、非常に高く評価できます。

メリット5:3.5mmイヤホンジャックを搭載(S9は廃止)

オーディオ面において、あえて上位モデルのGalaxy Tab S9ではなくA9+を選ぶ最大の理由がこれです。S9では廃止されてしまった「3.5mmイヤホンジャック」が、A9+には搭載されています。 変換アダプタを介さずに有線ヘッドホンを直接挿せるため、音ゲーでの遅延や、充電中のイヤホン使用を気にする必要がありません。前モデルA8から引き続き搭載された機能ですが、ハイエンド機が次々と廃止する中で、実用性を重視するユーザーにとっては貴重なメリットです。

メリット6:シリーズ最軽量の約480gを実現(A8、S9よりも軽い)

携帯性については、新旧および上位モデルの中で最も優れています。Galaxy Tab A9+の重量は約480gです。これは前モデルのA8(508g)より軽いのはもちろん、なんと上位モデルのGalaxy Tab S9(約498g)と比較しても軽量です。 画面サイズが11インチに大型化したにもかかわらず軽量化されており、実際にバッグに入れて持ち運んだり、長時間手で持って動画を見たりした際の疲労感が明らかに軽減されました。

メリット7:最大1TBのmicroSDカード対応(S9と同様)

内蔵ストレージは64GBと少なめですが、microSDカードスロットを搭載しており、最大1TBまで拡張可能です。これは上位のGalaxy Tab S9と同等の拡張性です。Amazonプライムビデオなどの映画をSDカードに大量に保存して持ち歩けるため、飛行機移動やWi-Fiのない環境でのエンタメ消費において、本体容量の少なさを十分にカバーできました。A8の頃からある機能ですが、変わらずに搭載されているのは安心点です。

デメリット(短所、欠点)

デメリット1:Sペンでの手書き入力は不可(S9は標準付属)

クリエイティブ用途においては、ここが決定的な妥協点です。上位のGalaxy Tab S9には高性能な「Sペン」が付属し、紙のような書き心地を実現していますが、A9+はSペンに非対応です。 市販のスタイラスペンで代用は可能ですが、筆圧検知やパームリジェクション(画面に手を置いて書く機能)がないため、本格的なイラスト制作や授業のノート取りには不向きです。A8同様、あくまで「閲覧」メインの端末であると割り切る必要があります。

デメリット2:防水・防塵性能なし(S9はIP68対応)

使用場所を選ばないS9との大きな違いが耐久性です。Galaxy Tab S9はIP68等級の完全防水に対応しており、お風呂やキッチンでも気兼ねなく使えますが、A9+は防水非対応です。実際にキッチンでレシピ動画を見ようとした際、水はねが怖くてジップロックに入れる手間が発生しました。水回りでの使用を想定している場合、このスペック差は致命的になり得ます。

デメリット3:充電速度が最大15Wと遅い(S9は45W対応)

バッテリー持ちは優秀ですが、充電速度は前モデルのA8から進化しておらず、最大15Wにとどまります。上位のGalaxy Tab S9が45Wの超急速充電に対応しているのと比較すると、満充電までに約3〜4時間かかるA9+の充電足は明確に遅いです。充電し忘れた朝にリカバリーが効かないため、就寝時の充電習慣が必須であると感じました。

デメリット4:指紋認証センサーが非搭載(S9は画面内認証あり)

セキュリティの利便性でもコストカットを感じます。Galaxy Tab S9は画面内指紋認証を搭載していますが、A9+には指紋センサー自体がありません。顔認証のみに対応していますが、暗い部屋で寝転がって使う際やマスク着用時には認識されず、PINコード入力を求められることが多々ありました。前モデルA8も非搭載でしたが、ここが改善されなかったのは惜しいポイントです。

デメリット5:3Dゲーム性能の限界(S9は快適動作)

Snapdragon 695は普段使いには十分ですが、ゲーミング性能はS9のSnapdragon 8 Gen 2と比べると雲泥の差です。 「原神」や「鳴潮」などの重量級3Dゲームは、画質を最低に落としてもカクつきが発生しました。S9なら最高画質で滑らかに動くタイトルも、A9+ではプレイ自体が厳しい場合があります。A8(Tiger T618)よりは大幅に進化していますが、重いゲーム目的での購入は避けるべきです。

デメリット6:HDMI映像出力には非対応(S9は対応)

DeXモードを搭載していながら非常に惜しいのが、USB Type-Cポートからの映像出力(HDMI出力など)に対応していない点です。上位のGalaxy Tab S9は、ケーブル1本で外部モニターに画面を映し出し、大画面でPCのように作業ができますが、A9+のUSBポートは「USB 2.0」仕様のため、映像出力機能を持っていません。DeXモードはあくまでタブレットの画面内でのみ使用することになります。

デメリット7:純正キーボードカバーが国内未発売(S9はあり)

生産性を高めるための純正アクセサリーの選択肢が少ない点もデメリットです。上位のGalaxy Tab S9には、キーボードとトラックパッドが一体になった純正カバーが用意されており、装着するだけでノートPC化できます。 しかし、Galaxy Tab A9+の日本国内モデル向けには、純正のキーボード付きカバーが販売されていません。PCライクに使いたい場合は、サードパーティ製のBluetoothキーボードを別途用意する必要があります。

まとめ:メリット・デメリット

Galaxy Tab A9+は、前モデルGalaxy Tab A8と比較して「90Hz画面」「DeX対応」「軽量化」という明確なメリットを獲得し、使い勝手が劇的に向上しています。

一方で、上位モデルのGalaxy Tab S9と比較すると、「Sペン」「防水」「指紋認証」といった機能が削ぎ落とされています。しかし、A9+にはS9にはない「イヤホンジャック」があり、何より「軽量」です。イラスト制作や重いゲームをせず、動画視聴やブラウジング、PCライクな軽作業がメインであれば、S9の数分の一の価格で手に入るA9+は、非常に賢い選択肢であると断言できます。

Galaxy Tab A9+のスペック(仕様)

  • 型番: SM-X210NZAAXJP
  • ディスプレイ: 11.0インチ、解像度1920 x 1200ドット (WUXGA) のTFT ※16:10 /約1,600万色 /206 ppi
  • リフレッシュレート: 最大90Hz
  • Widevine L1: 対応(FHD再生対応)
  • プロセッサ: Qualcomm Snapdragon 695 5G ※6nm/64bit/8コア/最大2.2 GHz
  • GPU: Adreno 619
  • RAM(メモリ): 4GB
  • ストレージ: 64GB
  • 外部ストレージ: microSDカードで最大1TBまで
  • バッテリー: 7040 mAh
  • 充電: 15W充電
  • 背面カメラ: 約800万画素 ※AF対応
  • 前面カメラ: 約500万画素
  • ビデオ撮影: FHD (1920 x 1080)@30fps
  • ワイヤレス通信: Wi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac(2.4GHz/5GHz)、 Bluetooth v5.1、GPS (GPS/Glonass/Beidou/Galileo/QZSS)
  • Wi-Fi ダイレクト: 対応
  • インターフェース: USB 2.0 Type-C、3.5mmステレオイヤホンジャック
  • センサー: 加速度センサー、ジャイロセンサー、地磁気センサー、ホールセンサー、照度センサー
  • スピーカー: 1.2Wのクアッドスピーカー
  • オーディオ: Dolby Atmos
  • Sペン: 非対応
  • キーボード: なし(※純正キーボードカバーの国内販売状況は未定/Bluetoothキーボード利用可)
  • 機能: DeXモード(最大3分割の画面表示)、Smart Switch(PC接続・PC版)、クイック共有
  • セキュリティ: 重要データをセキュリティフォルダに保存、プライバシーダッシュボード、Samsung Knox
  • 生体認証: 顔認証
  • OS: Android 13 + One UI 5.1(※Android 15+ One Ui 7.0までアップデート可)
  • サイズ: 168.7 × 257.1 × 6.9 mm
  • 重量: 480g
  • カラー: グラファイト

Galaxy Tab A9+の評価

Galaxy Tab A9+でフォートナイトをプレイ

9つの評価基準で「Galaxy Tab A9+」を5段階で評価してみました。

項目別評価

画面の見やすさ:★★★★☆

11.0インチへ大型化し、リフレッシュレートが90Hzに対応したことで、スクロールの残像感が減り非常に滑らかで見やすいです。

スペック:★★★★☆

Snapdragon 695 5Gを搭載し、Antutuスコアは約41万点を記録。前モデルから約2倍の性能向上を果たし、ミドルレンジとして十分な実力です。

デザイン:★★★★☆

厚さ6.9mmのメタルボディは高級感があり、11インチながら約480gという軽さを実現しており、携帯性は抜群です。

耐久性: ★★★☆☆

メタル筐体で剛性は高いですが、上位モデルのような防水・防塵性能(IP68)には対応していないため、水回りでの使用には注意が必要です。

通信:★★★☆☆

Wi-Fi 5までの対応ですが、GPSを搭載している点は便利です。Bluetoothは5.1に対応し、接続安定性は良好です。

機能:★★★★☆

Aシリーズ初の「Samsung DeX」や3画面分割に対応し、PCライクなマルチタスクが可能。顔認証のみで指紋認証がない点は惜しいです。

拡張性(周辺機器):★★★☆☆

最大1TBのmicroSDカードや3.5mmイヤホンジャックは便利ですが、Sペン非対応や純正キーボードカバーがない点がマイナスです。

使いやすさ:★★★★☆

One UIの洗練されたインターフェースと90Hz画面の組み合わせは快適ですが、RAM 4GBモデルでは重い作業でメモリ不足を感じることがあります。

価格:★★★★★

3万円台(発売時価格)でこの画面サイズ、クアッドスピーカー、DeX機能を実現しており、コストパフォーマンスは最高レベルです。

総評:★★★★☆

A8から倍増した処理性能とゲーム体験

今回最も驚いたのは、前モデルからの飛躍的な性能向上です。CPUにSnapdragon 695 5Gを採用したことで、Antutuベンチマークスコアは前モデル「Galaxy Tab A8」の約24万点から、約41万点へと倍増しました。これにより、A8では厳しかったゲームプレイも現実的になり、「PUBGモバイル」のようなタイトルなら快適に動作します。重量級の「原神」などは画質を落とす必要がありますが、それでも「動く」レベルに到達したことは大きな進化です。

90Hz画面とDex機能で作業効率がアップ!Android 15のアップデートも

ディスプレイのリフレッシュレートが60Hzから90Hzへ進化したメリットは絶大で、WebブラウジングやSNSのスクロールが非常に滑らかになりました。また、PCのように使えるDex機能や3画面分割によるマルチタスク機能を使えるようになり、作業効率が格段に快適になりました。

そのほかにも、OSについては発売時のAndroid 13からアップデートが重ねられ、2025年現在では最新のAndroid 15(One UI 7.0)で使用できるというメリットがあります。

上位機種Tab S9との明確な違い

一方で、上位のフラッグシップモデル「Galaxy Tab S9」との壁は明確です。S9は有機ELディスプレイによる圧倒的な映像美、防水・防塵(IP68)、そして魔法のような書き心地のSペンに対応しています。Tab A9+は液晶パネルであり、防水もSペンも非対応です。クリエイティブな作業や、お風呂場での使用、最高画質でのゲームプレイを求めるなら、迷わずS9を選ぶべきでしょう。

結論:エンタメと軽作業に最適な高コスパ機

Galaxy Tab A9+は、「動画を見る」「ネットサーフィンをする」「音楽を聴く」といった基本用途においては、価格以上の満足度を提供してくれる素晴らしいタブレットです。S9ほどの超高性能は必要ないけれど、安価な中華タブレットでは品質やサポートが不安だというユーザーに最適です。クアッドスピーカーの迫力あるサウンドと、軽量で持ちやすいボディは、日々のリラックスタイムを確実にグレードアップさせてくれるでしょう。間違いなく「買い」の一台です。

Galaxy Tab A9+の価格・購入先

Galaxy Tab A9+ 前面の外観

※価格は2025/11/30に調査したものです。価格は変動します。

サムスン オンラインショップ

※販売を終了しました。かつては、35,799円で販売されていました。

ECサイト

  • Amazonで23,682円(税込・SM-X210NZAAXJP)、
  • 楽天市場で29,850円(送料無料)、
  • ヤフーショッピングで31,500円、

で販売されています。

Amazonで「Galaxy Tab A9+」をチェックする

楽天市場で「Galaxy Tab A9+」をチェックする

ヤフーショッピングで「Galaxy Tab A9+」をチェックする

サムスン公式ショップで「Galaxy Tab A9+」をチェックする

米国 Amazon.comで「Galaxy Tab A9+」をチェックする

おすすめのライバル機種と価格を比較

Galaxy Tab A9+」に似た性能をもつタブレットも販売されています。価格の比較もできるので、ぜひ参考にしてみてください。

Galaxy Tab A11+

Samsungから発売された11インチのタブレットです(2025年11月28日 発売)。

Android 16(One UI 8.0)、MediaTek MT8775、6GBメモリ、1920 x 1200 (WUXGA) TFT液晶(最大90Hz)、128GBストレージ、7,040mAhバッテリー、背面約800万画素(AF対応)カメラ、前面約500万画素カメラを搭載しています。

また、Samsung DeX、3画面分割のマルチウィンドウ、AI機能「Gemini」(サイドボタンから起動)、「かこって検索」、セキュリティ機能「Samsung Knox」、「Auto Blocker」、最大25W 超急速充電、クアッドスピーカー(Dolby Atmos対応)に対応。

リフレッシュレート 最大90Hz、Galaxyデバイス間での連携機能、Smart Switchによる簡単なデータ移行、RAM Plus(仮想メモリ)、顔認証、MicroSDカードによるストレージ拡張(最大2TB)、3.5mmステレオイヤホンジャック、USB 2.0 (Type-C)、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.3、GPS、5G(※5Gモデルのみ)にも対応しています。

価格は、Amazonで37,620円(税込・Wi-Fi版)、楽天市場で37,620円(送料無料・Wi-Fi版)、Samsungオンラインショップで42,570円(5G版)、です。

関連記事:Galaxy Tab A11+を徹底レビュー!A9+からの進化点と欠点は?

Amazonで「Galaxy Tab A11+」をチェックする

Galaxy Tab S10 Lite

Samsungから発売された10.9インチのタブレットです(2025年9月19日 発売)。

Android 15(One UI)、Exynos 1380、6GB メモリ、TFT液晶、128GBストレージ、8,000mAhバッテリー、背面8MPカメラ、前面5MPカメラ、microSDカードスロットを搭載しています。

また、Sペン対応(付属品)、AI機能(Galaxy AIキー、AI消しゴム、かこって検索、数式ソルバー、Bixby、Google Gemini)、最大2TBまでのストレージ拡張、25W 急速充電、デュアルスピーカー(Dolby Atmos対応)に対応。

キーボード(別売・Book Cover Keyboard、Book Cover Keyboard Slim)、リフレッシュレート 最大90Hz、「RAM Plus」機能、DeXモード、フルHDの動画撮影(1920 x 1080 px、@30fps)、USB Type-C (USB 2.0)、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.3、GPSにも対応しています。

価格は、楽天市場で49,830円(送料無料)、ヤフーショッピングで55,470円、米国 Amazon.comで$419.99、です。

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iPad(第11世代)

Appleから発売された11インチのタブレットです(2025年3月12日 発売)。

A16 Bionicチップ、4コア GPU、11インチLiquid Retinaディスプレイ(2,360 x 1,640ピクセル解像度、264ppi)、128GB/256GB/512GBストレージ、28.93Whリチャージャブルリチウムポリマーバッテリー、背面12MP広角カメラ、前面12MPセンターフレームカメラ、iPadOS 18を搭載しています。

また、Apple Pencil(USB-C、第1世代 ※別売)、Magic Keyboard Folio(別売)、Apple Pay、Touch ID(指紋認証)、ステレオスピーカー(横向き) 、デュアルマイク、音声アシスタント Siri、最大5倍のデジタルズーム、

スマートHDR 4、4Kビデオ撮影、1080pスローモーションビデオ、Smart Connector、USB-Cコネクタ、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.3、5G通信(※Wi-Fi + Cellularモデルのみ)に対応しています。

価格は、Amazonで84,800円、楽天市場で57,300円(税込)、ヤフーショッピングで57,000円、です。

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REDMI Pad 2 Pro

シャオミから発売された12.1インチのタブレットです(2025年9月26日 発売)。

Xiaomi HyperOS 2(Android 15ベース)、Qualcomm Snapdragon® 7s Gen 4 モバイルプラットフォーム、6GB または 8GB LPDDR4X メモリ、2.5K クリスタルクリアディスプレイ(※マットガラスもあり)、128GB または 256GB UFS 2.2ストレージ、12000mAhバッテリー、背面800万画素カメラ、前面800万画素カメラを搭載しています。

また、連携機能(Home screen+、共有クリップボード、通話同期、ネットワーク同期)、33W急速充電、最大27Wの有線リバース充電、ウェットタッチテクノロジー、Redmi スマートペン(別売)、REDMI Pad 2 Pro キーボード(別売)に対応。

クアッドスピーカー、Dolby Atmos®対応、顔認証、最大2TBまでのストレージ拡張、TÜV Rheinlandによる各種アイケア認証、USB Type-C (USB 2.0)、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.4、5G通信(※対応モデルのみ)にも対応しています。

価格は、Amazonで32,700円(Wi-Fi・6GB+128GB・税込)、楽天市場で39,980円(送料無料)、ヤフーショッピングで46,980円です。

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OPPO Pad Neo

OPPOから発売された11.4インチのタブレットです(2024年12月12日 発売)。

ColorOS 13 (Android 13ベース)、MediaTek Helio G99、6GB LPDDR4Xメモリ、2.4KのLCD液晶、128GB UFS2.2ストレージ、8000 mAhバッテリー、背面 8MPのメインカメラ、前面 8MPのフロントカメラを搭載しています。

また、33W 急速充電、ジェスチャー操作、タスクバー、クアッドスピーカー、Dolby Atmos、ステレオサウンド、リフレッシュレート 90Hz、タッチサンプリングレート 最大180Hz、Widevine L1 対応、デュアルマイク、顔認証、スマートカバー(別売)、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.2に対応しています。

価格は、Amazonで34,617円(税込)、楽天市場で34,944円(送料無料)、ヤフーショッピングで35,572円、です。

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Lenovo Idea Tab Pro

Lenovoから発売された12.7インチのタブレットです(2025年1月 日本発売)。

Android 14(2回のOSメジャーアップグレード)、MediaTek Dimensity 8300、8GB LPDDR5X メモリ、2944 x 1840 ドットのディスプレイ、256 GB UFS 4.0ストレージ、10200 mAhバッテリー、microSDメディアカードリーダー、背面13MPのメインカメラ、前面8MPのフロントカメラを搭載しています。

また、DP映像出力、4つのJBLスピーカー、Dolby Atmos、Lenovo Tab Pen Plus(付属)、Google GeminiのAI機能(かこって検索、翻訳)、「Easy Jot」、読み上げモード、Lenovo TurboSystem、Lenovo Smart Connect、キーボードパック(別売)、フォリオケース(別売)、USB 3.2 Type-Cポート(DP映像出力に対応)、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.3に対応しています。

価格は、Amazonで46,800円(税込)、楽天市場で51,480円(送料無料)、ヤフーショッピングで51,480円(送料無料)、です。

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他のサムスン タブレットと比較

他にもサムスンのタブレットが販売されています。2024モデルもあるのでぜひ比較してみてください。

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