Magic Drawing Padレビュー!Androidでクリスタも快適

Magic Drawing Pad 本体 外観
2024年2月28日にXPPenから発売された「Magic Drawing Pad」は、Android OSを搭載し、PC不要で使える自立型の液晶ペンタブレットです。その最大の特徴である「紙のような描き心地」のディスプレイと高性能なペンにより、デジタルイラストレーターたちの間で大きな注目を集めています。

このレビューでは、Magic Drawing Padが日々の創作活動をどれだけ快適にするのか、その真の実力に迫ります。ライバル機種である「Galaxy Tab S6 Lite 2024」と比較しながら、パフォーマンスや使い勝手を徹底的に検証しました。

先に結論からお伝えしましょう

Magic Drawing Pad の長所(Pros):

  • AG加工ディスプレイによる、フィルム不要の「紙のような描き心地」
  • 充電不要で16,384段階の筆圧検知に対応した高性能な「X3 Pro Pencil」
  • RAM 8GB、ストレージ256GBという、同価格帯では群を抜く大容量
  • ケースや替え芯、グローブまで揃った充実の付属品

Magic Drawing Pad の短所(Cons):

  • プロセッサー性能が限定的で、高負荷な作業では動作がもたつく
  • OSがAndroid 12と古く、将来のアップデート保証がない
  • ペンの傾き検知に非対応なため、一部の描画表現に制限がある
  • ディスプレイの色再現性は、プロの求める正確性には及ばない

総合評価:

Magic Drawing Padは、一般的な用途や汎用性よりも「描くことの心地よさ」を最優先するクリエイターにとって、最高のデジタルスケッチブックです。特に、PCとは別に、どこでも気軽にアイデア出しやラフ制作ができるサブ機を探している方には、価格以上の価値を提供してくれる一台と言えるでしょう。

この記事で分かること

  1. 上品なネイビーカラーの質感とデザインの詳細
  2. 12.2インチ、3:2アスペクト比のディスプレイがもたらす描きやすさ
  3. AG加工「X-Paperディスプレイ」のリアルな描き心地と反射の少なさ
  4. 16,384段階筆圧「X3 Pro Pencil」の性能と、傾き検知非対応の注意点
  5. CLIP STUDIO PAINTやibis Paint Xなど、主要お絵かきアプリとの相性
  6. プロセッサー「MT8771」の処理性能、Antutuベンチマークと、実際の作業で感じるレスポンス
  7. 8000mAhバッテリーの持続時間(電池もち)と、便利な逆充電機能
  8. Galaxy Tab S6 Lite 2024とのスペック・機能の徹底比較
  9. メリット・デメリットと、専門家の5段階評価
  10. 最新の価格とライバル機種との比較

この記事を最後まで読むことで、「Magic Drawing Pad」を購入するべきかどうかがはっきりと分かるはずです。購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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公式ページ:仕事・趣味・子ども用お絵かきタブレット、Android OS搭載 | XPPen公式ストア

デザイン:Magic Drawing Pad の第一印象と使いやすさ

Magic Drawing Padを両手で持つ。画面はAndroidを起動したところ

ここでは、XPPenの「Magic Drawing Pad」のデザインについて、実際に手に取って感じた質感や携帯性、そしてクリエイティブな作業に直接影響するボタンやポートの配置がどうなのかを、Galaxy Tab S6 Lite 2024と比較しながら詳しくレビューしていきます。

手にした瞬間の印象と質感

Magic Drawing Padを初めて手に取ったときの印象は、実用的でありながらも落ち着いた品格を感じさせるものでした。iPadのような洗練されたデザインとは少し方向性が異なりますが、重厚感のあるネイビーカラーは安っぽさを感じさせず、全体として上品にまとまっていると感じます 。背面はサラサラとしたマット仕上げになっており、指紋がほとんど目立たないのが嬉しいポイントです。カフェなどでさっと取り出してスケッチを始めるときも、指紋を気にして拭き取る必要がありません。

比較対象のGalaxy Tab S6 Lite 2024もオールメタルの筐体で高級感がありますが 、あちらがよりスタイリッシュさを追求しているのに対し、Magic Drawing Padは「創作のための道具」としての落ち着きと存在感があります。どちらも魅力的なデザインですが、華やかさより実用性を重んじるクリエイターには、Magic Drawing Padのデザインがしっくりくるかもしれません。

Magic Drawing Padの背面 正面

カラーバリエーションについては、Magic Drawing Padは現在、落ち着いたネイビーの1色のみの展開です。この選択は、プロフェッショナルな道具としての個性を際立たせているように感じます。一方で、Galaxy Tab S6 Lite (2024) はシフォンピンク、ミント、オックスフォードグレーといった複数のカラーから選べるため、より個性を表現したいユーザーにとっては魅力的な選択肢となるでしょう。

もし、多彩なカラーから選びたいのであればGalaxy Tab S6 Lite (2024)が優位ですが、Magic Drawing Padの潔い単色展開は、そのコンセプトへの自信の表れとも受け取れます。

カラーの違い

  • Magic Drawing Pad:ネイビー
  • Galaxy Tab S6 Lite 2024:オックスフォードグレー、シフォンピンク、ミント

サイズ感と携帯性

Magic Drawing Padの側面

注目すべきは、その絶妙なサイズ感です。12.2インチというディスプレイサイズは、本格的なイラスト制作には少し物足りなさを感じるかもしれませんが、アイデアスケッチやラフ作成には十分すぎるほどの広さです 。本体は薄さ6.9mm、重量599g 。対するGalaxy Tab S6 Lite 2024は10.4インチで465g なので、数字の上ではMagic Drawing Padの方が大きく重いです。

実際に持ってみると、確かにずっしりとした重みを感じます。電車の中で立ったまま長時間使うのは少し厳しいかもしれません 。しかし、この重さが逆に安定感につながり、膝の上や机で描く際にはどっしりと構えてくれる安心感がありました。画面のアスペクト比が3:2のため、一般的なタブレットより縦に広く、細長いメッセンジャーバッグなどに入れる際は少し窮屈に感じるかもしれない点は注意が必要です。

サイズ・重量の違い

  • Magic Drawing Pad:約279 x 192 x 6.9 mm、重量約599g
  • Galaxy Tab S6 Lite 2024:約244.5 x 154.3 x 7.0 mm、重量約465g

ボタンとポートの配置 – 絵描きの視点から

Magic Drawing Padの底面。接続ポート。

クリエイターにとって、ボタンやポートの配置は作業効率を左右する重要な要素です。Magic Drawing Padを横置きにしてイラストを描くことを想定すると、その配置には少し考えるべき点がありました。左右の側面にスピーカーが1基ずつ、USB Type-Cポートは右側面に配置されています。このため、充電しながら作業すると、ケーブルが利き手と逆側にあっても、机の上のスペースや体勢によっては少し邪魔に感じることがありました。

また、最近のタブレットでは珍しくなった3.5mmヘッドホンジャックは搭載されていません。Galaxy Tab S6 Lite 2024には搭載されているので 、お気に入りの有線ヘッドホンで集中して作業したいと考えている方は、USB-Cからの変換アダプタを準備する必要があります。一方で、最大512GBまで対応するmicroSDカードスロットが搭載されている点は大きなメリットです。256GBの内蔵ストレージと合わせれば、高解像度の作品データや参考資料を容量の心配なく保存できます。

カメラの形状と付属ケースの工夫

背面のカメラは少し出っ張っているデザインですが、これは付属の専用ケースを装着することで完全に解消されます。このケースは、一部ではチープだという意見も見られますが 、ペンホルダー部分が盛り上がることでカメラレンズをしっかりと保護してくれる設計は、非常に合理的で安心感がありました。

さらに、このペンホルダーの盛り上がりのおかげで、タブレットを机に置くと自然な傾斜が生まれます。本格的なスタンドほどではありませんが、このわずかな角度が、平置きの時よりも格段に描きやすさを向上させてくれる、地味ながらも嬉しい発見でした。

Magic Drawing Padの付属品

Magic Drawing Padの付属品

  • タブレット本体 x 1
  • スタイラスペン (X3 Pro Pencil) x 1
  • 保護ケース x 1
  • 電源アダプター x 1 (※一部地域では付属しない場合があります)
  • 充電ケーブル x 1
  • 替え芯 x 8
  • 芯抜き x 1
  • グローブ x 1
  • クイックガイド x 1
  • 保証書 x 1

まとめ:デザイン

  • 第一印象:iPadとは異なる実用性を重視したデザインで、重厚感のあるカラーが上品な印象を与える。
  • 質感と携帯性:マット仕上げで指紋が付きにくいのは良いが、599gとやや重く、長時間の片手持ちでの作業は厳しい。
  • ポート配置:横置きで描画する際に、左右両側面にあるUSB-Cポートやスピーカーの位置が作業の妨げになる可能性がある。
  • 拡張性:大容量のデータも安心なmicroSDカードスロットを搭載している。
  • 付属品:追加購入の必要がないほど付属品が充実しており、特に専用ケースはカメラ保護と傾斜作成の役割を果たす。
  • 比較:Galaxy Tab S6 Lite 2024より大きく重いが画面も広い。一方、有線イヤホン派には嬉しい3.5mmヘッドホンジャックは搭載していない。

ディスプレイ:Magic Drawing Pad の紙のような描き心地と映像体験

Magic Drawing Padのディスプレイ

ここでは、イラスト制作者にとって最も重要な要素であるMagic Drawing Padのディスプレイについて、その描き心地や発色、応答性などを、Galaxy Tab S6 Lite 2024と比較しながら、実際に使って感じた感動や少し気になった点をお伝えします。

X-Paperディスプレイ:まるで紙に描いているかのような体験

Magic Drawing Padの最大の特徴は、何と言ってもこの「X-Paper」と名付けられたディスプレイです 。表面にAG(反射防止)エッチング技術が施されたガラスは、一般的なタブレットの光沢のある画面とは全くの別物です 。実際にペンを滑らせてみると、まるで上質な画用紙の上を走らせているかのような、心地よい摩擦と抵抗を感じました 。別途ペーパーライクフィルムを貼る必要がなく、箱から出してすぐにこの素晴らしい描き心地を味わえるのは、大きな喜びです。

この特殊な加工のおかげで、部屋の照明や窓からの光の反射がほとんど気になりません。プリインストールされている「ibis Paint X」で線画を描いているときも、画面に自分の顔が映り込んで集中を妨げられることがなく、作品制作に没頭できました 。Galaxy Tab S6 Lite 2024も悪くはないのですが、あちらは一般的な液晶ディスプレイなので、本格的な描き心地を求めるなら、Magic Drawing Padのこの感触は唯一無二の魅力と言えるでしょう。

Magic Drawing Padのディスプレイにペンで描く様子。

サイズ、解像度、そして色:広大なキャンバスの注意点

Magic Drawing Padのディスプレイは12.2インチで、アスペクト比は3:2です 。これは一般的な16:9のタブレットよりも縦に広く、作業領域が18.5%も増加しています 。この広さが、窮屈さを感じさせずにのびのびとストロークできる快適さにつながっていました。一方、Galaxy Tab S6 Lite 2024は10.4インチ、アスペクト比5:3なので、並べてみるとMagic Drawing Padのキャンバスの広さが際立ちます。解像度は2160 x 1440と高く、描いた線がぼやけることなく、非常にシャープに表示される点も満足度が高いです 。

ディスプレイサイズ、解像度、タイプ、アスペクト比の違い

  • Magic Drawing Pad:12.2インチ、2160 x 1440のTFT-LCD (IPS)、3:2
  • Galaxy Tab S6 Lite 2024:10.4インチ、2000 x 1200 (WUXGA+)のTFT液晶、5:3

ただし、色再現性については注意が必要です。仕様上はsRGB比109%と広色域を謳っていますが、実際にiPhoneやPCのモニターと見比べると、全体的に青みがかって表示される傾向がありました 。特に暖色系の色は本来の色味との差を感じやすく、SNSなどで作品を公開する際には、他のデバイスで色味の再確認が必要になるかもしれません 。趣味でのお絵描きや動画鑑賞では鮮やかに感じられますが、厳密な色が求められるプロの現場では少し不向きだと感じました 。

リフレッシュレートの応答性

Magic Drawing Padのディスプレイをスクロールさせている様子。

本機のディスプレイが持つ60Hzのリフレッシュレートは、日常的な使用において十分な性能ですが、特定の場面ではその限界が感じられます。例えば、文字情報が多いニュースサイトや、画像が連続するSNSのタイムラインを指で勢いよく上下にスクロールすると、映像の更新が追いつかずに若干の残像が生じ、動きがカクついて見えることがあります。これは、アプリ一覧を素早くスワイプする際にも同様です。

ただし、あくまで高速な操作に限った話であり、YouTubeなどの動画鑑賞や、一枚ずつページをめくる電子書籍の閲覧といった用途では、滑らかさに不満を感じることはほとんどありません。

Magic Drawing Padのディスプレイ仕様

  • サイズ:12.2インチ
  • アスペクト比:3:2
  • 解像度:2160 x 1440
  • ディスプレイ技術:TFT-LCD (IPS)
  • 表面技術:AG(反射防止) + AF(指紋防止)
  • 色域:109% sRGB
  • 輝度:360 nit
  • リフレッシュレート:60 Hz
  • コントラスト比:1200:1

まとめ:ディスプレイ

  • 描き心地:AGエッチング技術による紙のような質感が最大の特徴で、フィルム不要で快適な描画体験を提供してくれる。
  • 画面品質:反射防止と指紋防止加工により、創作への集中を妨げない。
  • サイズと解像度:12.2インチ、3:2の広大なキャンバスと高解像度で、作業領域が広く快適。
  • 色再現性:青みがかった表示傾向があり、正確な色が求められる作業には不向きな可能性がある。
  • 応答性:リフレッシュレートは60Hzだが、視差が少なくペンの追従性は良好。
  • 機能制限:ペン先の傾き検知に非対応なため、表現の幅に制限がある。

ペン性能と手書き機能:Magic Drawing Pad の真価、X3 Pro Pencilの実力

Magic Drawing Padの専用ペン「X3 Pro Pencil」

ここでは、Magic Drawing Padのレビューで最も重要なペン性能と手書き機能について、実際にイラストを描いたりメモを取ったりして感じた感動的な描き心地や、便利な機能、そして少し気になった点まで、Galaxy Tab S6 Lite 2024と比較しながら深く掘り下げていきます。

驚異の16384段階筆圧検知と充電不要の自由さ

Magic Drawing Padに付属する「X3 Pro Pencil」は、まさにこのタブレットの性能を最大限に引き出すための専用ツールです。注目すべきは、一般的なペンタブレットの2倍にあたる16384段階という驚異的な筆圧検知レベル。さらに、EMR(電磁共鳴)技術を採用しているため、ペンの充電やBluetoothのペアリングが一切不要です。インスピレーションが湧いた瞬間に、手に取ってすぐに描き始められるこの自由さは、何物にも代えがたい大きなメリットだと感じました。

比較対象のGalaxy Tab S6 Lite 2024Sペンも充電不要で非常に便利ですが、描き心地という点ではMagic Drawing Padに軍配が上がります。あちらは画面が光沢仕上げのため、どうしてもペン先が滑る感覚がありましたが、Magic Drawing Padのまるでアナログのような描き味は、一度体験すると手放せなくなる魅力があります。ただし、ペンの傾き検知機能は非搭載のため、鉛筆を寝かせて塗るような表現ができない点は、少し残念なポイントでした。

まるで紙と鉛筆。感動的な描き心地の体験談

Magic Drawing Padで描いている様子。ペンで線を描く。

実際に「CLIP STUDIO PAINT」でイラストを描き始めて、まず感動したのはその描き心地でした。X-Paperディスプレイの適度な摩擦感と、X3 Pro Pencilの組み合わせは、まさに上質な紙に鉛筆を走らせている感覚そのものです。ペン先がツルツルと滑りすぎず、かといって引っかかりすぎることもなく、「止め」や「はらい」が思いのままに決まります。特に、軽い力で描いた繊細な線から、グッと力を込めた力強い線まで、筆圧がリニアに反映される感覚は、これまで使ってきたどのタブレットよりも優れていると感じました。

集中を途切れさせない手書き機能

制作に集中していると、手のひらが画面に触れて誤作動を起こしてしまうことがよくありますが、Magic Drawing Padパームリジェクション機能は非常に優秀でした。描画中に手のひらを画面にべったりとつけても、ペン先だけを正確に認識してくれるため、ストレスなく作業に没頭できます。さらに、クイック設定から「手書きタッチ」をオフにすれば、完全にペン操作のみを受け付けるモードになり、より一層集中したい場面で重宝しました。

表現の限界:傾き検知は非対応

しかし、アーティストにとって大きな欠点となるのが、ペン先の傾き検知機能が非対応であることです。これにより、鉛筆ツールを寝かせて広い面を塗ったり、筆の角度で線の質感を変化させたりといった、アナログらしい表現はできません。この点は、Galaxy Tab S6 Lite 2024のSペンも同様の制限を持つため直接の比較では差がありませんが、より高度で多彩な表現を求めるプロのクリエイターにとっては、物足りなさを感じる部分でしょう。

Magic Drawing Padのペン仕様、手書き機能

  • ペン名称:X3 Pro Pencil
  • テクノロジー:IC&EMR(電磁共鳴)方式
  • 筆圧レベル:16,384段階
  • 充電・ペアリング:不要
  • ショートカットキー:1つ(カスタマイズ可能)
  • 傾き検知:非対応
  • パームリジェクション:対応
  • その他:替え芯8本付属(標準タイプ、フェルトタイプ)

まとめ:ペン性能と手書き機能

  • 描き心地:X-Paperディスプレイとの組み合わせで、他のタブレットとは一線を画す紙のような描き心地を実現している。
  • 筆圧検知:16384段階の筆圧検知は非常に高精度で、繊細なタッチから力強い線まで思いのままに表現できる。
  • ペンの利便性:充電もペアリングも不要なため、いつでもすぐに描き始められる自由さが最大の魅力。
  • 機能の限界:傾き検知に非対応なため、表現の幅に制限がある点は注意が必要。
  • 比較:Galaxy Tab S6 Lite 2024と比べて、純粋な「描く」という行為の心地よさにおいて、明らかに優位性がある。

プリインストールソフトウェア:Magic Drawing Pad は箱から出してすぐにアトリエになる

Magic Drawing Padの画面でアプリを選択するところ。

ここでは、Magic Drawing Padを箱から出して電源を入れた瞬間から、どのようなクリエイティブ体験が待っているのか、プリインストールされているソフトウェア(アプリ)に焦点を当ててレビューします。Galaxy Tab S6 Lite 2024が持つ独自のソフトウェアエコシステムと比較しながら、その魅力と注意点を詳しく解説していきます。

すぐに始められる喜び:ibis Paint XとMediBang Paint

Magic Drawing Padが他のタブレットと一線を画すのは、開封してすぐに本格的なお絵描きが始められる点です。特に、世界中の多くのクリエイターに愛用されている「ibis Paint X」がプリインストールされているのは大きな魅力です 。実際に起動してみると、購入者特典として3ヶ月間の無料メンバーシップが利用でき、普段は有料の高度なブラシや機能をすぐに試すことができました。このおかげで、セットアップの煩わしさなく、インスピレーションをそのままキャンバスにぶつけることができました。

さらに、「メディバンペイント」もプリインストールされており、こちらは6ヶ月間の無料トライアルが付属します 。この2つの人気アプリが追加費用なしで長期間試せるのは、これからデジタルイラストを始めたい初心者にとって、この上ないプレゼントだと感じます。

CLIP STUDIO PAINTの体験談:光と影

Magic Drawing PadでCLIP STUDIO PAINTを使用

もちろん、Google Playストアから他のアプリも自由にダウンロードできます。私が普段から愛用している「CLIP STUDIO PAINT」をインストールして使ってみたところ、その使用感には二面性がありました。シンプルな線画やレイヤー数の少ないイラストを描いている間は、気になるほどの遅延もなく快適に作業ができました。3D素材の読み込みや操作も、想像以上にスムーズで驚きました。

しかし、レイヤーを何枚も重ね、複雑な処理を要する太いブラシや選択範囲ツールを多用し始めると、動作が少し「もっさり」してくるのを感じました 。特に、作業中に資料を探すためにブラウザに切り替え、しばらくしてからクリスタに戻ると、メモリが解放されて開いていたはずの他のタブが閉じてしまう現象には少し悩まされました 。この点は、PCでの作業に慣れていると、少し煩わしく感じるかもしれません。

ソフトウェア体験の比較:描画特化か、万能生産性か

Magic Drawing Padの手書き用アプリ画面。

Magic Drawing Padのソフトウェア構成は、まさしく「お絵描きに特化」したものです。対するGalaxy Tab S6 Lite 2024は、より広範なユーザー体験を提供してくれます。あちらの最大の武器は、手書きメモアプリ「Samsung Notes」の圧倒的な完成度の高さと、タブレットをPCのように使える「Samsung DeX」モードの存在です。

Magic Drawing Padでも画面を2分割するダブルウインドウ機能は使えますが 、自由にウィンドウを配置できるDeXモードほどの柔軟性はありません。純粋に「描く」ことを追求するならMagic Drawing Padは最高の相棒ですが、メモ取り、資料作成、動画鑑賞といった多様な使い方を一台で完結させたいなら、Galaxy Tab S6 Lite 2024の持つソフトウェアエコシステムに大きな魅力を感じるでしょう。

Magic Drawing Padのアプリ

  • ibis Paint X:プリインストール済み、3ヶ月の無料メンバーシップ付き。
  • MediBang Paint:プリインストール済み、6ヶ月の無料トライアル付き(クラウドストレージ20GB含む)。
  • Concepts:プリインストール済み 。
  • その他:Google PlayストアからCLIP STUDIO PAINT、Sketchbookなど多数のお絵描きアプリをダウンロード可能。

まとめ:プリインストールソフトウェア

  • 初期体験:ibis Paint Xとメディバンペイントがプリインストールされ、長期間の無料特典が付くため、箱から出してすぐに本格的なお絵描きが始められる。
  • アプリの相性:ibis Paint Xとの相性は特に良く、ラフから仕上げまで快適にこなせる。
  • CLIP STUDIO PAINT:軽作業なら問題ないが、レイヤーを多用する複雑な作業ではSoCの性能不足から動作が重くなることがある。
  • 機能:手による誤操作を防ぐ「手書きタッチ」のオンオフ機能など、お絵描きに便利な機能が搭載されている。
  • 比較:描画アプリとの連携ではMagic Drawing Padが優れているが、Samsung DeXのようなPCライクな作業や、完成度の高い純正メモアプリといった多機能性ではGalaxy Tab S6 Lite 2024に軍配が上がる。
  • OSの懸念:OSがAndroid 12で、将来的なアップデートの保証がない点は長期利用を考えると注意が必要。

処理性能とレスポンス:Magic Drawing Pad のプロセッサ、その実力に迫る

Magic Drawing Padでアプリを使い描いている様子。

ここでは、Magic Drawing Padの動作の快適さを左右するプロセッサー(SoC)の性能や、メモリ、ストレージの仕様について、Galaxy Tab S6 Lite 2024と比較しながら、実際の使用感に基づいたレビューをお届けします。お絵描きタブレットとしての実力が、スペックにどう結びついているのかを詳しく見ていきましょう。

プロセッサーの性能:ミドルレンジSoC「MT8771」の実力

Magic Drawing Padの頭脳となるSoC(System-on-a-Chip)には、MediaTek社の「MT8771」が搭載されています。これは、高性能なCortex-A76コア(2.4GHz)を2つと、電力効率に優れたCortex-A55コア(2.0GHz)を6つ組み合わせた、合計8つのコアを持つオクタコアプロセッサーです。アーキテクチャとしては、数年前のミドルレンジスマートフォンに採用されていたものに近く、日常的なタブレット操作には十分な性能を持っています。

グラフィックス処理を担うGPUには「ARM G57 MC2」が統合されています。これにより、Webサイトの閲覧や動画再生はスムーズに行えます。Geekbench 6のスコアはシングルコアで753点、マルチコアで1,917点となっており、タブレットとしての基本的な性能は確保されていることがわかります。しかし、3D性能を測る3DMark Wild Life Extremeのスコアは331点と、比較対象のGalaxy Tab S6 Lite 2024(Exynos 1280搭載、同スコア641点)と比べると、グラフィック処理能力には大きな差があります。この差が、後述するクリエイティブ作業での体験に影響してきます。

実作業でのレスポンス:軽快さと「もっさり感」の共存

実際にMagic Drawing Padを使ってみると、そのレスポンスは「作業内容による」というのが正直な感想です。ホーム画面の操作や、ブラウザで複数のタブを開いて調べ物をするといった日常的な使い方では、非常にキビキビと動作し、ストレスを感じることはありませんでした。YouTubeやAmazon Prime Videoでの動画鑑賞も快適そのものです。

しかし、このタブレットの本領であるお絵描き作業に足を踏み入れると、その表情は一変します。プリインストールされている「ibis Paint X」や、シンプルな描画アプリ「コンセプト」を使っている間は、ペンの遅延もほとんど感じず、まさに「神機」と呼びたくなるほどの快適さです。ところが、プロの現場でも多用される「CLIP STUDIO PAINT」で、レイヤーを10枚、20枚と重ね、インク量の多いブラシで彩色を始めると、途端に動作が「もっさり」としてきます。これは明らかにプロセッサーの処理能力が追いついていない証拠で、PCでの作業に慣れていると、この遅延がもどかしく感じられる場面が何度かありました。動画編集や3Dモデルを多用するような作業には、残念ながら向いていないでしょう。

大容量メモリとストレージ:クリエイターに嬉しい余裕

Magic Drawing Padの側面にmicroSDカードスロットがある

Magic Drawing Padが持つ大きなアドバンテージは、そのメモリとストレージの容量にあります。RAMは8GB、内蔵ストレージは256GBと、この価格帯のタブレットとしては非常に余裕のある構成です。比較対象のGalaxy Tab S6 Lite 2024がRAM 4GB、ストレージ64GBであることを考えると、この差は歴然です。

この8GBという大容量RAMのおかげで、複数のアプリを切り替えながらの作業でも、アプリが強制終了することは少なくなっています。ストレージには高速なUFS規格が採用されており、アプリの起動や大容量のイラストデータの読み込みもスムーズです。さらに、最大512GBのmicroSDカードに対応しているため、容量を気にすることなく、たくさんの作品や資料、動画などを保存しておけるのは、クリエイターにとって心強い限りです。

Magic Drawing PadのCPU仕様、メモリ、ストレージ仕様

  • CPU:MediaTek MT8771 (オクタコア: 2 x A76 2.4GHz, 6 x A55 2.0GHz)
  • GPU:ARM G57 MC2
  • RAM(メモリ):8GB
  • ストレージ:256GB (UFS)
  • 外部ストレージ:microSDカードで最大512GBまで拡張可能

まとめ:処理性能とレスポンス

  • プロセッサー性能:日常的な使用には十分なミドルレンジSoCを搭載しているが、グラフィック性能はGalaxy Tab S6 Lite 2024に劣る。
  • 実使用感:Web閲覧や動画鑑賞は軽快だが、CLIP STUDIO PAINTなどでの複雑な描画作業では処理能力の限界から動作のもたつきを感じる。
  • メモリとストレージ:RAM 8GB、ストレージ256GBという大容量構成は大きな魅力で、microSDカードによる拡張性も高い。
  • 得意なこと:軽めのイラスト制作、ラフスケッチ、アイデア出し、動画鑑賞。
  • 苦手なこと:高解像度・多重レイヤーでの本格的なイラスト制作、動画編集、3Dモデリング。
  • 比較:Galaxy Tab S6 Lite 2024と比較して、メモリとストレージ容量では圧倒的に優位だが、純粋なプロセッサーの処理能力、特にGPU性能では見劣りする。

Antutu ベンチマーク:MT8771

Magic Drawing Padが搭載するMediatek MT8771プロセッサは、Antutu V9 ベンチマーク総合で約 44万(440134)を記録しています。

例: Antutu V9.0.3-B 総合で「440134」、CPUで「133637」、GPUで「145520」、MEMで「81672」、UXで「71217」

※Antutu V10 ベンチマーク総合に換算すると、約46万8千点になります。

→ 推定: Antutu V10 総合で「468,000」、CPUで「143,000」、GPUで「119,000」、MEMで「91,000」、UXで「115,000」

 

投稿者: @akibaburari
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一方、サムスンの「Galaxy Tab S6 Lite 2024」はAntutu V9 総合で約 41万5千点(415.000)を記録していました(※Antutu V10換算で約45万点)。

Magic Drawing Pad」はサムスンの「Galaxy Tab S6 Lite 2024」よりも約2万5千点スコアが高くなっていますが、その差はあまり大きくはありません。

MT8771 性能を比較

Magic Drawing Padが搭載するMediatek MT8771プロセッサは、他のCPUと比べて、どのくらいの性能なのでしょうか?Antutuベンチマークで比較してみました。

CPUランキング

Antutu V10 ベンチマーク総合スコアで比較したものです。

  1. Snapdragon 7s Gen 2 (Redmi Pad Pro/POCO Pad)・・・Antutu:62万
  2. UNISOC T760 (nubia Pad SE)・・・Antutu:50万
  3. Mediatek MT8771 (Magic Drawing Pad)・・・Antutu:46万
  4. Exynos 1280 (Galaxy Tab S6 Lite 2024)・・・Antutu:45万
  5. MediaTek Helio G100-Ultra (Redmi Pad 2)・・・Antutu:40万
  6. Helio G99 (Wacom MovinkPad 11)・・・Antutu:40万
  7. Allwinner A733 (TECLAST P50AI)・・・Antutu:32万
  8. Unisoc T620 (DOOGEE T36/ Teclast T50 Plus)・・・Antutu:30万
  9. Unisoc T615 (Blackview MEGA 2)・・・Antutu:29万
  10. Snapdragon 680 (Redmi Pad SE)・・・Antutu:27万

比較して分かること

Mediatek MT8771はミドルレンジ市場において強力な競争力を持つプロセッサです。Antutu V10で46万点というスコアは、ハイミドルクラスのSnapdragon 7s Gen 2(62万点)には届かないものの、一般的なミドルレンジプロセッサの指標とされるHelio G99(40万点)を大きく凌駕し、競合製品であるExynos 1280(45万点)と肩を並べる、あるいはわずかに上回る優れた性能を示しています。

ウェブサイトの閲覧、高画質な動画のストリーミング再生、電子書籍の読書、SNSの利用といった日常的な操作では、動作が遅くなったり、カクついたりすることはほとんどないでしょう。また、オフィススイートアプリを用いた資料作成や、ある程度の画像編集といった軽めのクリエイティブ作業もスムーズにこなせる性能を備えています。

バッテリー:Magic Drawing Pad のスタミナと充電性能

Magic Drawing Padを手に歩く様子。

ここでは、持ち運んで使うことが多いお絵描きタブレットにとって生命線とも言える、Magic Drawing Padのバッテリー性能に焦点を当てます。大容量バッテリーがもたらす安心感や実際の駆動時間、そして充電に関する便利な機能まで、Galaxy Tab S6 Lite 2024と比較しながら、その実力を詳しくレビューしていきます。

大容量8000mAhバッテリーがもたらす安心感

Magic Drawing Padは、8000mAhという大容量のバッテリーを搭載しています。これは、比較対象であるGalaxy Tab S6 Lite 2024の7040mAhと比べても大きく、まずこのスペック自体が長時間の創作活動における大きな安心感につながります。公式では最大13時間の駆動が可能とされていますが、実際にこの安心感がどれほどのものか、カフェに持ち込んで試してみました。

満充電の状態でスケッチを始め、Wi-Fiで資料を探したり、Spotifyで音楽を流したりしながら約3時間集中して作業しましたが、バッテリー残量はまだ60%以上を保っていました。残量を気にしてヒヤヒヤする「バッテリー不安」を感じることなく、心ゆくまで創作に没頭できたのは、この大容量バッテリーのおかげだと実感しました。

実使用でのスタミナ検証:一日中使える頼れる相棒

公称値だけでなく、実際の使用シーンでどれくらい持つのかは最も気になるところです。そこで、ディスプレイの輝度を中程度に設定し、YouTubeで動画を連続再生し続けるテストを行ったところ、約7時間50分という結果になりました。これは、同価格帯のタブレットの中には5時間も持たない製品があることを考えると、非常に優れたスタミナだと言えます。

この結果は、例えば「朝から大学の講義でノートを取り、午後は公園でスケッチ、帰りの電車でAmazon Prime Videoの映画『デューン 砂の惑星 PART2』を1本観る」といった、丸一日のヘビーな使い方にも十分耐えうることを意味します。もちろん、毎日これほど酷使するわけではないので、普段使いであれば2日に一度の充電でも問題なく運用できるでしょう。この頼もしさは、まさにクリエイターの頼れる相棒です。

充電性能と逆充電という隠れた魅力

充電はUSB Type-Cポートから行い、18Wの急速充電に対応しています。バッテリー残量が少ない状態から満充電になるまで、付属の充電器を使って約4時間かかりました。最新のスマートフォンのような超高速充電ではありませんが、寝る前にセットしておけば翌朝には満タンになっているので、実用上は十分です。なお、Galaxy Tab S6 Lite 2024は15W充電なので、充電速度の面ではMagic Drawing Padがわずかに優れています。

そして、このタブレットには特に注目すべき隠れた魅力があります。それは、スマートフォンなどの他のデバイスを充電できる「逆充電機能」です。外出先でスマートフォンのバッテリーがピンチになった時、Magic Drawing Padに接続することで、まるでモバイルバッテリーのように緊急充電ができました。これは、荷物を少しでも減らしたいクリエイターにとって、非常に心強い機能です。なお、ワイヤレス充電にはどちらのモデルも対応していません。

Magic Drawing Padのバッテリー仕様

  • バッテリー容量: 8000mAh
  • 公称駆動時間: 最大13時間(ディスプレイ輝度30%設定時)
  • 充電方式: USB Type-C
  • 充電速度: 18W急速充電対応
  • ワイヤレス充電: 非対応
  • その他: スマートフォンなどへの逆充電機能に対応

まとめ:バッテリー

  • バッテリー容量: 8000mAhと大容量で、長時間の創作活動でも安心感がある。
  • 実使用時間: 連続した動画再生で約7時間50分と、一日中使える十分なスタミナを誇る。
  • 充電性能: 18Wの急速充電に対応しているが、満充電には数時間かかる。
  • 独自機能: スマートフォンなどを充電できる逆充電機能は、外出先で非常に便利。
  • 比較: Galaxy Tab S6 Lite 2024よりもバッテリー容量が大きく、いざという時の逆充電機能も備えている点で優位。

カメラ性能:Magic Drawing Pad は創作の「目」となりうるか

Magic Drawing Padのカメラの形状

ここでは、お絵描きタブレットであるMagic Drawing Padに搭載されたカメラの性能について、単なるスペック紹介に留まらず、クリエイターの視点から「このカメラは創作活動にどう活かせるのか」を、Galaxy Tab S6 Lite 2024と比較しながら、実際の撮影体験を交えてレビューしていきます。

クリエイターの補助ツールとしてのカメラ構成

Magic Drawing Padは、背面に1300万画素のメインカメラ前面に800万画素のインカメラを搭載しています。画素数だけを見れば、比較対象であるGalaxy Tab S6 Lite 2024の背面800万画素、前面500万画素を上回っており、この点はMagic Drawing Padの明確なアドバンテージです。特に興味深いのは、前面カメラが2つ搭載されている点。現在は中央のカメラのみが機能していますが、将来的にはもう一方のカメラもソフトウェアアップデートで活用される可能性があるとのことで、今後の進化に期待が持てます。

カメラの機能とクリエイティブな活用法

このタブレットのカメラは、スマートフォンのカメラのように美しい風景や人物を撮影するためのものではなく、あくまで「クリエイターの補助ツール」と捉えるのが正解だと感じました。例えば、散歩中に見つけた面白いテクスチャの壁や、特徴的な形の植物をサッと撮影し、それを資料としてすぐにイラストに取り込む、といった使い方が非常に便利です。

実際に、公園で見つけた古木の質感を撮影し、それをブラシのテクスチャとして「CLIP STUDIO PAINT」で使ってみたところ、作品に深みとリアリティを加えることができました。オートフォーカスは少し迷うことがあり、手ぶれ補正も強力ではありませんが、資料として記録するには十分な性能です。

実際の撮影体験:記録用としての割り切りとビデオ通話での強み

Magic Drawing Padで撮影している様子。

正直なところ、撮影した写真の画質そのものは、最新のスマートフォンには遠く及びません。色が実際よりも鮮やかになりすぎたり、少し暗い場所ではピントが合いにくかったりといった点は否めません。これは、Galaxy Tab S6 Lite 2024も同様で、あちらはシャッターラグやアプリの動作の遅さが指摘されており、どちらのタブレットも「思い出を綺麗に残す」という目的には不向きです。

しかし、Magic Drawing Padのカメラが輝きを放つ場面がありました。それは、オンラインでのビデオ通話です。800万画素の前面カメラは、Galaxy Tab S6 Lite 2024の500万画素カメラよりも明らかに高精細で、クライアントとのオンライン打ち合わせで使ってみたところ、相手からは「表情がはっきり見えてコミュニケーションが取りやすい」と好評でした。創作活動のリモート化が進む現代において、これは見逃せないメリットです。

動画撮影性能:アイデアスケッチの記録に

動画撮影については、簡単な記録用途であれば問題なくこなせます。例えば、自分の手の動きを撮影してデッサンの参考にしたり、思いついたキャラクターのポーズを短い動画で記録しておいたりするのに役立ちました。ただし、こちらも画質や手ぶれ補正はスマートフォンに及ばないため、本格的な映像作品の撮影には向いていません。あくまで、創作の過程を記録するためのツールと割り切るのが良いでしょう。

Magic Drawing Padのカメラ仕様

  • リアカメラ:1300万画素
  • インカメラ:800万画素
  • フラッシュ:非搭載
  • オートフォーカス:対応
  • 動画撮影:対応

まとめ:カメラ性能

  • 画素数:背面13MP、前面8MPと、Galaxy Tab S6 Lite 2024を上回るスペックを持つ。
  • 画質:スマートフォンのカメラには及ばず、色の鮮やかさが強調されすぎるなど、あくまで記録用と割り切る必要がある。
  • クリエイター用途:資料の撮影や、アイデアのトレース元として活用することで、創作の幅を広げる補助ツールとなりうる。
  • ビデオ通話:高画素な前面カメラにより、オンラインでの打ち合わせやコミュニケーションでクリアな映像を提供できる。
  • 比較:静止画の画質では両機とも限定的だが、ビデオ通話の快適さという点ではMagic Drawing Padに明確な優位性がある。

OSと機能:Magic Drawing Pad のクリエイティブを支える多彩な能力

Magic Drawing PadのUI画面。アプリ一覧。

ここでは、Magic Drawing Padの使い勝手の核となるOSや、創作活動を豊かにするオーディオ、通信機能、そして日々の利用で便利な機能について、Galaxy Tab S6 Lite 2024と比較しながら、その実用性と少し気になる点までをレビューしていきます。

OSとUI:絵描きのためのシンプルさと将来への懸念

Magic Drawing Padは、OSにAndroid 12を搭載しています。UIはカスタマイズが少ない素のAndroidに近く、直感的でシンプルな操作感が好印象でした。ロック画面から直接「ibis Paint X」や「メディバンペイント」を起動できるショートカットが設定されており、思いついたアイデアをすぐに描き始められるのは、クリエイターにとって嬉しい配慮です。

しかし、長期的な視点で見ると、このOSには大きな懸念点があります。それは、将来的なOSアップデートの保証が現時点で明言されていないことです。Android 12は最新のバージョンではなく、セキュリティや新機能の面で不安が残ります。一方、比較対象のGalaxy Tab S6 Lite 2024はAndroid 14を搭載し、さらに長期のOS・セキュリティアップデートが約束されています。長く安心して使いたいと考えるなら、Samsungのこの手厚いサポート体制は非常に大きな魅力と言えるでしょう。

オーディオと通信:没入感と少しの割り切り

本機は、本体の上下に2つずつ、合計4つのスピーカーを搭載しています。このクアッドスピーカーが奏でるサウンドは、モバイル端末とは思えないほど豊かで広がりのあるものでした。実際に、作業用BGMとしてSpotifyでLofi Girlのプレイリストを流しながらイラストを描いていると、音が空間を包み込むような感覚で、非常に高い没入感を得られました。

通信機能はWi-Fi 5とBluetooth 5.1に対応しており、自宅のWi-Fi環境では安定した接続を保てました。ただし、動画ストリーミングサービスの画質を決めるWidevineセキュリティレベルが「L3」である点は注意が必要です。これにより、Netflixなどで高画質再生ができない場合があります。映画鑑賞も楽しみたいという方は、この点を考慮する必要があります。Galaxy Tab S6 Lite 2024もWi-Fi 5対応ですが、こちらは3.5mmイヤホンジャックを搭載しているため、有線イヤホン派には嬉しいポイントです。

セキュリティと便利な機能:スピーディーな顔認証とクリエイター向け機能

セキュリティに関しては、指紋認証は非搭載で、顔認証のみに対応しています。この顔認証は、電源ボタンを押した瞬間にロックが解除されるほどスピーディーで、日中の明るい場所では非常に快適でした。ただし、暗い場所では認識精度が落ちることがありました。これは指紋認証非搭載のGalaxy Tab S6 Lite 2024も同様の課題を抱えています。

機能面では、画面を2つに分割して使える「ダブルウインドウ機能」が便利です。左側に参考資料を表示し、右側の「CLIP STUDIO PAINT」で絵を描くといった使い方ができ、作業効率が格段に上がりました。また、Android標準の「Quick Share」機能を使えば、完成したイラストをスマートフォンやPCへワイヤレスで簡単に転送できます。ただし、Galaxy Tab S6 Lite 2024が持つ、タブレットをPCのセカンドモニターのように使える「Samsung DeX」のような高度な連携機能は搭載されていません。あくまで、この一台で完結するクリエイティブツールという位置づけです。

Magic Drawing Padの主な機能

  • OS:Android 12
  • オーディオ:クアッドスピーカー搭載
  • 通信:Wi-Fi 5 (802.11ac), Bluetooth 5.1
  • 生体認証:顔認証
  • マルチタスク:ダブルウインドウ機能
  • ファイル共有:Quick Share機能

まとめ:OSと機能

  • OSとUI:Android 12を搭載し操作はシンプルだが、将来のアップデート保証がない点が大きな懸念材料。
  • オーディオ性能:4基のスピーカーによるサウンドは豊かで没入感が高いが、3.5mmイヤホンジャックは非搭載。
  • 通信性能:Wi-Fi 5に対応し接続は安定しているが、Widevine L3のため動画配信サービスで高画質再生ができない場合がある。
  • セキュリティ:顔認証は高速で便利だが、指紋認証には対応していない。
  • 機能性:画面分割機能は便利だが、GalaxyのDeXモードのような高度なPC連携機能はない。
  • 比較:OSのサポート期間や多機能性ではGalaxy Tab S6 Lite 2024が優位だが、オーディオの迫力ではMagic Drawing Padに軍配が上がる。

Magic Drawing PadとGalaxy Tab S6 Lite 2024の主な違い

Magic Drawing Pad 正面に画面 ペンで描く様子

Magic Drawing PadGalaxy Tab S6 Lite 2024は、どちらもペンが使える便利なAndroidタブレットですが、その中身を詳しく見ていくと、コンセプトや得意なことに大きな違いがあります。ここでは、両者のスペックや特徴を項目別に比較し、それぞれの違いを分かりやすく解説します。

OSとサポート期間

  • Magic Drawing Pad: Android 12
  • Galaxy Tab S6 Lite 2024: Android 14
  • 違い: Magic Drawing PadのAndroid 12はアップデート保証がなく長期利用に懸念があるのに対し、Galaxy Tab S6 Lite 2024は新しいAndroid 14を搭載し、サムスンによる長期アップデートが約束されているため安心して長く使えます。

ディスプレイ

  • Magic Drawing Pad: 12.2インチ / 2160 x 1440 (QHD) / X-Paperディスプレイ (AG加工)
  • Galaxy Tab S6 Lite 2024: 10.4インチ / 2000 x 1200 (WUXGA+) / TFT液晶
  • 違い: Magic Drawing Padは12.2インチの高解像度な画面に、紙のような描き心地を提供するAG加工が施されているのが最大の特徴です。一方、Galaxy Tab S6 Lite 2024は一回り小さい10.4インチの一般的な光沢液晶で、携帯性に優れます。

スタイラスペン

  • Magic Drawing Pad: X3 Pro Pencil (16,384段階筆圧 / 傾き検知なし)
  • Galaxy Tab S6 Lite 2024: Sペン (筆圧検知対応 / 傾き検知なし)
  • 違い: Magic Drawing Padのペンは業界最高クラスの16,384段階筆圧検知を誇りますが、GalaxyのSペンは筆圧レベルが非公表です。どちらも充電不要で便利ですが、傾き検知には対応していません。

パフォーマンス (CPU / RAM)

  • Magic Drawing Pad: MediaTek MT8771 / 8GB RAM
  • Galaxy Tab S6 Lite 2024: Exynos 1280 / 4GB RAM
  • 違い: Magic Drawing Padは8GBの大容量RAMを搭載しマルチタスクに強い一方、Galaxy Tab S6 Lite 2024は半分の4GB RAMのため、多くのアプリを同時に開くと動作が不安定になる可能性があります。

ストレージ

  • Magic Drawing Pad: 256GB (microSDで最大512GB)
  • Galaxy Tab S6 Lite 2024: 64GB (microSDで最大1TB)
  • 違い: Magic Drawing Padは256GBと大容量の内蔵ストレージを備えますが、Galaxy Tab S6 Lite 2024は64GBと少ないです。ただし、microSDカードでの拡張はGalaxyが最大1TBまで対応しており、メディア保存には有利です。

サイズ・重量・カラー

  • Magic Drawing Pad: 279 x 192 x 6.9 mm / 599g / ネイビー
  • Galaxy Tab S6 Lite 2024: 244.5 x 154.3 x 7.0 mm / 465g / グレー、ミント、シフォンピンク
  • 違い: Magic Drawing Padは画面が大きい分、重厚感のあるネイビー1色展開です。対するGalaxy Tab S6 Lite 2024はよりコンパクトかつ軽量で、3色の豊富なカラーバリエーションから選べる楽しさがあります。

耐久性

  • Magic Drawing Pad: 保護ケース付属
  • Galaxy Tab S6 Lite 2024: アルミニウム筐体
  • 違い: Magic Drawing Padは購入時に保護ケースが付属するのですぐに安心して使えますが、Galaxy Tab S6 Lite 2024は堅牢なアルミニウム筐体そのものが特徴です(ただしIP等級の防水防塵性能はありません)。

独自機能

  • Magic Drawing Pad: 逆充電機能 / クアッドスピーカー
  • Galaxy Tab S6 Lite 2024: Samsung DeX / Galaxyエコシステム連携
  • 違い: Magic Drawing Padは逆充電機能や4基のスピーカーといったハードウェア面の機能が充実しています。一方、Galaxy Tab S6 Lite 2024はPCのように使える「Samsung DeX」やGalaxyスマホとの連携機能など、ソフトウェアエコシステムが強力です。

まとめ:Magic Drawing PadとGalaxy Tab S6 Lite 2024

Magic Drawing PadとGalaxy Tab S6 Lite 2024は、似ているようで全く異なるコンセプトを持つタブレットです。Magic Drawing Padは、OSの古さや処理性能にいくつかの妥協点はあるものの、そのすべてを「最高の描き心地」という一点に注ぎ込んだ、クリエイター向けの特化型モデルです。

一方、Galaxy Tab S6 Lite 2024は、スペックは控えめながらも、長期的なOSサポートとSamsung独自の便利な機能(DeX、エコシステム連携)を備えた、日常使いでの汎用性とコストパフォーマンスに優れたモデルと言えるでしょう。どちらを選ぶかは、あなたがタブレットに「創作の道具」としての専門性を求めるか、それとも「日々のパートナー」としてのバランスの良さを求めるかによって決まります。

Magic Drawing Padのメリット・デメリット

Magic Drawing PadのX-Paperディスプレイ

XPPenの「Magic Drawing Pad」は、デジタルでのお絵描きに特化したユニークなAndroidタブレットです。ここでは、その強みと弱みを、同じくペン入力に対応した「Galaxy Tab S6 Lite 2024」と比較しながら、詳しく解説していきます。

【メリット】

メリット1:紙のような描き心地を実現した「X-Paperディスプレイ」

Magic Drawing Pad最大の魅力は、AG(アンチグレア)加工が施された「X-Paperディスプレイ」です。これにより、まるで本物の紙に描いているかのような、適度な摩擦と抵抗感が得られます。光の反射や指紋が付きにくいため、画面への映り込みを気にせず、イラスト制作に集中できるのは大きな利点です。一般的な光沢ディスプレイを採用しているGalaxy Tab S6 Lite 2024と比べ、この描き心地は「明らかに良い」と感じるほどで、デジタルイラストを本格的に楽しみたいユーザーにとっては、何物にも代えがたいメリットと言えるでしょう。

メリット2:充電不要で16,384段階の筆圧検知に対応した「X3 Pro Pencil」

付属の「X3 Pro Pencil」は、充電もペアリングも一切不要なEMR(電磁共鳴)方式を採用しています。インスピレーションが湧いた瞬間に、すぐに描き始められる手軽さは非常に快適です。さらに、16,384段階という驚異的な筆圧検知レベルに対応しており、ごく軽いタッチから強い筆圧まで、繊細な線の強弱を忠実に再現してくれます。Galaxy Tab S6 Lite 2024のSペンも充電不要で便利ですが、筆圧レベルと描き味の繊細さにおいては、Magic Drawing Padに軍配が上がります。

メリット3:大容量メモリとストレージによる余裕

Magic Drawing Padは、8GBのRAM(メモリ)と256GBの内蔵ストレージを搭載しています。これは、Galaxy Tab S6 Lite 2024の4GB RAM、64GBストレージと比較して、圧倒的に余裕のあるスペックです。複数のアプリを切り替えたり、レイヤーを何枚も重ねるような複雑なイラストを描いたりする際に、この大容量メモリが動作の安定に貢献します。また、microSDカードにも対応しており、最大512GBまでストレージを拡張できるため、容量の心配なく作品データを保存できます。

メリット4:クリエイターに嬉しい充実の付属品

Magic Drawing Padには、スタイラスペンや保護ケースはもちろん、描き心地の違う替え芯(フェルト芯含む)や、誤動作を防ぐ2本指グローブまで、購入してすぐに創作活動を始められるための付属品が一通り揃っています。特に、描き心地を大きく左右する替え芯が複数種類用意されている点は、液タブメーカーならではの心遣いと言えるでしょう。一方、Galaxy Tab S6 Lite 2024はSペンは付属しますが、ケースや保護フィルムは別途購入する必要があります。

【デメリット】

デメリット1:限定的な処理性能(SoC)

Magic Drawing Padのプロセッサー(SoC)は、日常的な使用には十分な性能ですが、最新のハイエンドモデルと比較すると見劣りします。特に、CLIP STUDIO PAINTのような高機能なアプリで、処理の重いブラシを使ったり、多数のレイヤーを扱ったりすると、動作がもっさりすることがあります。Galaxy Tab S6 Lite 2024も同様にミドルレンジのSoCを搭載しており、どちらも本格的な3Dゲームや動画編集には向いていません。

デメリット2:OSアップデートの懸念

搭載されているOSがAndroid 12であり、今後のメジャーアップデートの保証がない点は、長期的な利用を考えると大きなデメリットです。最新の機能やセキュリティアップデートが受けられなくなる可能性があるため、常に最新の環境でタブレットを使いたいユーザーにとっては不安要素となります。その点、Galaxy Tab S6 Lite 2024は、より新しいAndroid 14を搭載し、Samsungによる長期的なアップデートサポートが期待できるため、安心感が大きいと言えます。

デメリット3:ペンの傾き検知に非対応

X3 Pro Pencilは高精度な筆圧検知を誇る一方で、ペンの傾きを検知する機能には対応していません。これにより、鉛筆を寝かせて広い範囲を塗ったり、筆の角度で線の表情を変えたりといった、アナログらしい表現が難しくなります。趣味でのお絵描きでは大きな問題にならないかもしれませんが、より高度で多彩な表現を求めるプロのクリエイターにとっては、物足りなさを感じる部分でしょう。

デメリット4:ワイヤレス充電に非対応

Magic Drawing Pad、Galaxy Tab S6 Lite 2024ともに、ワイヤレス充電には対応していません。充電はUSB Type-Cケーブルで行う必要があります。Magic Drawing Padは、スマートフォンなどを充電できる「逆充電機能」というユニークな機能を備えていますが、置くだけで充電できる手軽さを求めるユーザーにとっては、少し不便に感じるかもしれません。

Magic Drawing Padのスペック(仕様)一覧

  • ディスプレイ: 12.2インチ、解像度2160 x 1440 pxのTFT-LCD (IPS)
    ※3:2アスペクト比、輝度360 nit、コントラスト比 1200:1、AG(反射防止) + AF(指紋防止)加工、視野角178°、テュフ・ラインランド認証ブルーライト軽減
  • : 16.77万色、77% NTSC、109% sRGB、82% Adobe RGB
  • リフレッシュレート: 60 Hz
  • プロセッサ: オクタコアMT8771
    ※8コア、64bit対応、最大2.4GHz
  • CPU: 2 x A76 2.4GHz、6 x A55 2.0GHz
  • GPU: ARM G57 MC2
  • RAM(メモリ): 8GB
  • ストレージ: 256GB
  • 拡張ストレージ: microSDカードで最大512GBまで拡張可能
  • バッテリー: 8000mAh
  • 駆動時間: 最大13時間(※ディスプレイ輝度30%設定時)
  • 充電: Type-C、9V = 2A または 5V = 3A
  • 背面カメラ: 13MP
  • 前面カメラ: 8MP
  • ワイヤレス通信: Wi-Fi 5 (802.11 a/b/g/n/ac, 2×2)、Bluetooth 5.1
  • インターフェース: USB Type-C (OTG対応)、microSDカードスロット
  • スピーカー: クアッドスピーカー(4基)
  • マイク: デュアルマイク(2基)
  • スタイラスペン: 筆圧レベル:16,384、読取高さ:10~20 mm、精度:±0.5 mm(中央)・±1.5 mm(コーナー)、解像度:2540 LPI
  • 機能: ダブルウインドウ機能(画面分割)、読書モード
  • プリインストールアプリ: ibis Paint X、MediBang Paint、Conceptsなど
  • OS: Android 12
  • サイズ: 279 x 192 x 6.9 mm
  • 重量: 599 g
  • カラー: ネイビー
  • 付属品: スタイラスペン x1、保護ケース x1、電源アダプター x1(※一部地域では付属しません)、充電ケーブル x1、替え芯 x8、芯抜き x1、グローブ x1、クイックガイド x1、保証書 x1

Magic Drawing Padの評価

Magic Drawing Padの本体。ディスプレイ。

8つの基準で「Magic Drawing Pad」を5段階で評価してみました。

項目別評価

画面の見やすさ:★★★★☆
AG加工されたディスプレイは反射が少なく、紙のような質感で描きやすさは抜群です。ただし、色の再現性、特に青みがかって見える点は、正確な色を求める作業では注意が必要です。

スペック:★★★☆☆
RAM 8GB、ストレージ256GBは優秀ですが、プロセッサーの処理能力がやや控えめです。軽快な描画は可能ですが、高負荷な作業では動作のもたつきを感じることがありました。

デザイン:★★★☆☆
薄型で実用的なデザインですが、iPadなどの洗練されたデザインと比較すると、質感やポートの配置に好みが分かれる部分があります。

耐久性:★★★☆☆
本体の作りはしっかりしており、付属の保護ケースを使えば日常的な持ち運びには問題ありません。ただし、防水・防塵性能(IP等級)には対応していません。

通信:★★☆☆☆
Wi-Fi 5やBluetooth 5.1など基本的な通信機能は備えていますが、最新規格のWi-Fi 6や5Gには非対応です。動画配信サービスで画質が制限される場合があるのも残念な点です。

機能:★★★☆☆
充電不要の高性能ペンや、他のデバイスを充電できる逆充電機能は魅力的です。しかし、ペンの傾き検知に非対応な点と、OSが古い点は大きなマイナスポイントです。

使いやすさ:★★★★☆
箱から出してすぐに紙のような感覚で描ける手軽さと、充実した付属品は高く評価できます。お絵描きに特化したタブレットとしての使いやすさは非常に優れています。

価格:★★★★☆
高性能なペンやケースが全て同梱されていることを考慮すると、コストパフォーマンスは高いです。お絵描きを始めるための初期投資を抑えたいユーザーにとって良い選択肢です。

総評:★★★★☆

お絵描き体験に特化した唯一無二のAndroidタブレット

Magic Drawing Padは、一般的なAndroidタブレットとは一線を画す、「描く」という行為に極めて特化したデバイスです。その評価の核となるのは、間違いなく「X-Paperディスプレイ」と「X3 Pro Pencil」がもたらす、まるで紙と鉛筆で描いているかのような唯一無二の描き心地にあります。このアナログに近い感覚は、高価なiPadとApple Pencilの組み合わせでも得難いものであり、デジタルで描くことの楽しさを再発見させてくれるほどの魅力を持っています。

紙のような描き心地と充実の創作環境

最大の特徴であるAG加工が施されたディスプレイは、光の反射や指紋の付着を劇的に抑え、常にクリアな画面で創作に集中できます。充電不要で16,384段階もの筆圧を検知するペンは、軽いタッチから力強いストロークまで、思いのままの線を表現させてくれます。さらに、購入してすぐに「ibis Paint X」などの人気お絵かきアプリを特典付きで始められるため、初心者でも迷うことなくデジタルイラストの世界に飛び込める環境が整っています。

購入前の注意点

しかし、その素晴らしい描き心地と引き換えに、いくつかのトレードオフが存在します。最大の懸念点は、OSがAndroid 12で止まっており、将来的なアップデートの保証がないことです。これにより、長期的なセキュリティや新機能への対応に不安が残ります。また、プロセッサーの性能も最新のハイエンド機には及ばず、プロ向けの複雑なイラスト制作では力不足を感じる場面がありました。

どんな人に最適か

このタブレットは「多機能な万能タブレット」を求める人には向きません。しかし、「最高の描き心地を持つデジタルスケッチブック」を求めているクリエイターにとっては、これ以上ないほど魅力的な選択肢です。性能やOSの古さといった弱点を理解した上で、その唯一無二の描き味に価値を見出せるのであれば、価格以上の満足感を得られる一台となるでしょう。

[amazon]

Magic Drawing Padの価格・購入先

Magic Drawing Pad 本体 正面

※価格は2025/08/12に調査したものです。価格は変動します。

XPPen公式サイト

67,920円で販売されています。

XPPen公式サイトで「Magic Drawing Pad」をチェックする

※支払い方法は、Paypal、クレジットカード、デビットカード、銀行振込、コンビニ、Pay-easy(ペイジー)です。

ECサイト

  • Amazonで66,560円(税込)、
  • 楽天市場で67,920円(送料無料)、
  • ヤフーショッピングで55,980円(未使用品)、
  • AliExpressで70,721円、
  • 米国 Amazon.comで $449.99、

で販売されています。

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おすすめのライバル機種と価格を比較

Magic Drawing Pad」のように手書きに強いタブレットや液晶ペンタブレットも販売されています。価格の比較もできるので、ぜひ参考にしてみてください。

TECLAST ArtPad Pro

Teclastから発売された12.7インチのタブレットです(2025年8月1日 発売)。

ArtOS (Android 15ベース)、MediaTek Helio G99、8GBメモリ、2176×1600解像度のIPS液晶、256GB UFSストレージ、10000mAhバッテリー、背面13MPカメラ(補助レンズ付き)、前面8MPカメラを搭載しています。

また、Teclast T-Pen(4096段階筆圧検知)、カスタマイズ可能なスマートボタン、ノートアプリ「Art Note」、「Artスペース」(Inkモード、パステルモード)、クアッドスピーカー(ステレオ)、Symphonyオーディオシステム、Art Tuneオーディオアルゴリズム、AIハイパーオーディオに対応。

合計 最大20GBまでのメモリ拡張、MicroSDカードによるストレージ拡張、30W 超高速充電、顔認証、4G LTE通信、GPS、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.2にも対応しています。

価格は、Amazonで42,900円(税込・7000 OFFクーポン付きで実質35,900円)、楽天市場で51,522〜55,362円(送料無料)、AliExpressで53,592円、です。

関連記事:TECLAST ArtPad Pro 徹底レビュー!Slate 13比較と欠点

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Wacom MovinkPad 11

Wacomから発売された11.45インチのタブレットです(2025年7月31日 発売)。

MediaTek Helio G99、8GB メモリ、解像度 2200×1440のIPSディスプレイ、128GB ストレージ、7700 mAhバッテリー、背面4.7Mピクセルカメラ、前面5Mピクセルカメラを搭載しています。

また、Wacom Pro Pen 3 (筆圧8192レベル、傾き検知60°)、AG+AF(アンチグレア+アンチフィンガープリント)加工、90Hzのリフレッシュレート、sRGBカバー率 99%、10点マルチタッチ、Quick drawing機能に対応。

「Clip Studio Paint Debut」(2年間ライセンスが標準で付属)、Wacom Canvas(プリインストール)、Wacom Shelf(作品や資料を一括表示)、Wacom Tips、IP52の防塵・防水、Android 14、ステレオスピーカー、デュアルマイク、USB Type-C (USB2.0)、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.2にも対応しています。

価格は、Amazonで69,080円(税込)、楽天市場で69,080円(送料無料)、です。

関連記事:Wacom MovinkPad 11 レビュー!Magic Note比較と評価

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HUION Kamvas Slate 11/13

HUIONから発売されたAndroidタブレットです(2025年4月21日 発売)。Kamvas Slate 11は10.95インチ(1920×1200)、Kamvas Slate 13は12.7インチ(2176×1600)のIPS液晶を搭載しています。

また、MediaTek Helio G99プロセッサ、8GB RAM、128GB(Slate 11)/ 256GB(Slate 13)ストレージ(MicroSDで最大1TB拡張可能)、8000mAh(Slate 11)/ 10000mAh(Slate 13)バッテリー、背面13MPカメラ、前面8MPカメラ、ジャイロセンサー、デュアルマイク、Android 14を搭載。

90Hzリフレッシュレート、4096段階筆圧検知・傾き検知対応のH-Pencil(付属)、クアッドスピーカー、Micro SDカードスロット、レザーケース(付属)、Google Playストア、プリインストールアプリ(HiPaint、ibisPaint、Clip Studio Paintなど(※一部体験版)、USB Type-Cポート(OTG)、Wi-Fi 5、Bluetoothに対応しています。

価格は、Amazonで44,999円(10.95インチ・12.7インチは67,499円)、AliExpressで52,804円、米国 Amazon.comで$329.00($30 OFFクーポン付き)、です。

関連記事:HUION Kamvas Slate 11/13 レビュー!お絵描き性能と評価

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Magic Note Pad

XPPenから発売された10.3インチのタブレットです(2025年3月19日 発売)。

Android 14、MediaTek MT8781 (Helio G99) 、6GB メモリ、3-in-1 X-Paperディスプレイ、128GB ROM、8000 mAhバッテリー、前面1300万画素カメラを搭載しています。

また、3つのカラーモード(ネイチャーカラーモード、ライトカラーモード、インクペーパーモード)、3カラーモード切替、X3 Pro Pencil 2(筆圧感知16384レベル, 充電・ペアリング不要, ソフトペン先, 磁気吸着)、

「XPPen Notesアプリ」(手書き文字変換, 録音, 音声テキスト化, PDF編集)、「カスタマイズ可能ショートカットキー」、「画面分割」、Google Playストア、WPS Office(プリインストール)、マグネット式ケース(付属)、PD/5V充電 (20Wアダプター付属)、デュアルスピーカー、デュアルマイク、USB-C (OTG)、Wi-Fi (2.4/5GHz)、Bluetoothに対応しています。

価格は、Amazonで59,905円(税込)、楽天市場で67,920円(送料無料)、ヤフーショッピングで55,980円(未使用品)、AliExpressで70,653円、です。

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Galaxy Tab S10 FE / S10 FE+

Samsungから発売されたタブレットです(2025年4月18日 発売)。

約10.9インチ(FE)、約13.1インチのLCDディスプレイ(FE+)、Exynos 1580 オクタコアプロセッサ、8GBメモリ、128GBストレージ、8000mAh(FE)または10090mAh(FE+)バッテリー、背面約1300万画素広角カメラ、前面約1200万画素超広角カメラ、Android 15(2032年4月末までの長期サポート)を搭載しています。

また、Galaxy AI機能(「かこって検索」や「AI消しゴム」など)、付属のSペンでの操作(Bluetooth非対応)、リフレッシュレート最大90Hz、最大45Wの急速充電(USB PD)、最大2TBまでのmicroSDカードによるストレージ拡張、IP68等級の防水防塵(本体・Sペン)に対応しています。

さらに、デュアルスピーカー、電源ボタン一体型指紋認証、Book Cover Keyboard(AIキー搭載モデルあり・別売)、USB 2.0 Type-C (OTG)、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.3に対応しています。

価格は、Amazonで83,820円(税込・FEモデル・FE+版は109,010円・国内正規品|SM-X620NZAAXJP)、楽天市場で92,210円(送料無料)、米国 Amazon.comで$499.99、です。

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Xiaomi Pad 7

Xiaomiから発売された11.2インチのタブレットです(2025年3月13日 発売)。

Xiaomi HyperOS 2(Android 15ベース)、Snapdragon 7+ Gen 3 Mobile Platform、8GB LPDDR5X メモリ、3.2Kの11.2インチ 液晶(3200×2136)、128GB/256GB UFS 3.1/4.0ストレージ、8850 mAhバッテリー、背面1300万画素カメラ、前面800万画素カメラを搭載しています。

また、Xiaomi HyperAI(AI音声/アート/電卓/文章生成)、Google Gemini連携、Xiaomi HyperConnect、ワークステーションモード、最大144Hz 可変リフレッシュレート、45W ターボチャージ、クアッドスピーカー(200%音量アップ)、Dolby Atmosサウンド、Miracast対応映像出力、

Xiaomi フォーカスペン対応 (低遅延, 8192段階筆圧感知, 別売)、Xiaomi Pad 7/7 Pro フォーカスキーボード対応 (フローティング, ヒンジ, 無段階調整, バックライト, タッチパッド, 別売)、USB Type-C 3.2 Gen 1、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.4、に対応しています。

価格は、Amazonで54,980円(税込・5000円OFFクーポン付きで実質49,980円)、楽天市場で54,980円(送料無料・Pro版は67,980~84,980円)、ヤフーショッピングで64,980円、AliExpressで53,901円、です。

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Lenovo Yoga Tab Plus

Lenovoから発売された12.7インチのタブレットです(2025年1月 発売)。

Android 14(2回のメジャー OS アップグレード)、Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3、16GB LPDDR5X メモリ、3K液晶(2944 x 1840)、256 GB UFS 4.0ストレージ、10200 mAhバッテリー、背面13MP + 2MP の2眼カメラ、前面13MP フロントカメラを搭載しています。

また、Lenovo AI Now、共有機能(クロスコントロール、共有ハブ、デバイス連携)、Harman Kardonの6つのスピーカー、ドルビー・アトモス、デュアルマイク、DP映像出力、Miracast、144Hzのリフレッシュレート、45W急速充電、Lenovo Tab Pen Pro(付属)、専用のキーボードパック(別売)、USB 3.2 Type-C ポート、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4に対応しています。

価格は、Amazonで89,980円(税込)、楽天市場で94,800円(送料無料・8,618ポイント付き)、ヤフーショッピングで94,800円、レノボ公式サイトで89,980円、です。

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Galaxy Tab S6 Lite 2024

サムスンから発売されたAndroid 14 + One UI 6.1を搭載した手書き用の10.4型タブレットです。Exynos 1280 プロセッサと4GB メモリを搭載。5:3のWUXGA+液晶、64GBストレージ、7040 mAhバッテリー、背面8MPのメインカメラ、前面5MPのフロントカメラ搭載で、

Sペン(付属)、15W急速充電、AKG デュアルスピーカー、ドルビーアトモス、Quick Share、DeXモード、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.3、GPSに対応しています。

価格は、Amazonで53,570円(税込)、楽天市場で59,251円(送料無料)、ヤフーショッピングで51,980円(未使用品)、です。

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iPad(第11世代)

Appleから発売された11インチのタブレットです(2025年3月12日 発売)。

A16 Bionicチップ、4コア GPU、11インチLiquid Retinaディスプレイ(2,360 x 1,640ピクセル解像度、264ppi)、128GB/256GB/512GBストレージ、28.93Whリチャージャブルリチウムポリマーバッテリー、背面12MP広角カメラ、前面12MPセンターフレームカメラ、iPadOS 18を搭載しています。

また、Apple Pencil(USB-C、第1世代 ※別売)、Magic Keyboard Folio(別売)、Apple Pay、Touch ID(指紋認証)、ステレオスピーカー(横向き) 、デュアルマイク、音声アシスタント Siri、最大5倍のデジタルズーム、スマートHDR 4、4Kビデオ撮影、1080pスローモーションビデオ、Smart Connector、USB-Cコネクタ、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.3、5G通信(※Wi-Fi + Cellularモデルのみ)に対応しています。

価格は、Amazonで58,800円(税込)、楽天市場で58,000円(送料無料)、ヤフーショッピングで57,980円、Appleストアで58,800円~、です。

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