ANBERNIC RG 35XXPro徹底レビュー!操作性だけでない魅力と評価

ANBERNIC RG 35XXPro 本体クリアティールが斜めに傾いている。
2025年6月10日、ANBERNICから新たな縦型レトロゲーム機「RG 35XXPro」が発売され、早くもコアなファンの間で大きな話題を呼んでいます 。CPUや画面などの基本性能は前モデル「RG35XX Plus」から引き継がれているにも関わらず、これほどの注目を集めるのはなぜでしょうか 。改めて前モデルの良さを振り返りつつ、ANBERNIC RG 35XXProの魅力にせまってみましょう。

ANBERNIC RG 35XXProの魅力

本機の最大の魅力は、前モデル「RG35XX Plus」が持つレトロゲーム機としての潔いほどの「シンプルさ」と「コストパフォーマンス」という美点を継承しつつ、操作性を劇的に向上させた点にあります 。最近の携帯ゲーム機は高機能化に伴い高額になる傾向がありますが、本機はLinux OSを継続採用することで、公式サイト価格6千円台という驚きの低価格を実現しています 。

RGBライトのような派手な演出こそないものの、基本性能がしっかりしている点も魅力です。3.5インチの高精細なIPSディスプレイ 、約7時間遊び続けられる3200mAhバッテリー 、そして多くのゲームを快適に動作させるAllwinner H700プロセッサー など、レトロゲームを楽しむには十分すぎる性能を備えています。

さらに、ANBERNIC RG 35XXProは新たにデュアルジョイスティックを搭載し、操作性が大幅に向上しました 。これに加え、30種類以上のエミュレーターへの対応 、miniHDMIを活用したテレビへの映像出力 、Wi-Fiを利用したストリーミングプレイ 、音楽や動画を楽しめるメディアプレーヤー機能など、魅力が満載です 。

「ANBERNIC RG 35XXPro」を徹底解剖!

この記事では、話題の最新モデル「ANBERNIC RG 35XXPro」が秘める性能や機能を、実機レビューを通して徹底的に深掘りしていきます。

特に、多くのユーザーが気になっているであろう前モデル「ANBERNIC RG35XX Plus」との違いに焦点を当て、デザイン、性能、操作性といったあらゆる観点から、その進化のポイントを明らかにしていきます 。

この記事で分かること

  1. ANBERNIC RG 35XXProの詳細なスペック
  2. Allwinner H700の性能評価と、どのゲームが快適に動くかの実機レビュー
  3. 前モデル「RG35XX Plus」との違いを徹底比較
  4. デュアルスティックがもたらす詳細な操作性レビュー
  5. ライバル機種(RG40XXV, TRIMUI BRICKなど)との性能・価格比較
  6. 他の携帯ゲーム機と比較したメリット・デメリットの総まとめ
  7. 項目別の5段階評価と総合的な「買い」かどうかの最終判断

この記事を最後まで読むことで、「ANBERNIC RG 35XXPro」が本当に必要か、「買い」の⼀台なのか、その答えがはっきりと見えてくるはずです。購入を悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

この製品の購入はこちら→ AmazonリンクAliExpressリンク

公式ページ:ANBERNIC RG 35XXPro – anbernic

価格をチェック!ANBERNIC RG 35XXProは他の携帯ゲーム機よりも安い?

ANBERNIC RG 35XXProのUI画面

ANBERNIC RG 35XXProはANBERNIC公式サイトで6,749円(64GB)で販売されています。

一方、ECサイトでは、AliExpressで64GBモデルが8,421円(5K Games)、128GBモデルが10,637円(8K Games)、256GBモデルが12,855円(11K Games)で販売されています。

なお、日本のAmazonではまだ販売されていませんが、まもなく入荷すると思われます。

ANBERNIC RG40XXV

2024年8月26日に発売された「ANBERNIC RG40XXV」はAmazonで11,999円で販売中です。こちらは、Allwinner H700プロセッサを搭載した4インチの携帯ゲーム機です。 広視野角で見やすいIPS液晶は、OCAフルラミネーション加工によりクリアな映像を楽しめます。 このモデルの大きな特徴は、1600万色からカスタマイズ可能なRGBジョイスティック照明で、ゲームプレイを華やかに演出します。

さらに、HDMI出力を使えばテレビなどの大画面でプレイでき、Wi-Fi 5とMoolightアプリに対応しているため、PCゲームのストリーミングも可能です。 30種類以上のエミュレーターに対応し、振動モーターや高音質スピーカーも搭載しており、多彩なレトロゲームを臨場感たっぷりに楽しむことができる一台です。

TRIMUI BRICK

2024年11月に発売された「TRIMUI BRICK」はAmazonで12,999円で販売中です。こちらは、こちらは、Allwinner A133Pプロセッサを搭載したタテ型の携帯ゲーム機です。 3.2インチというコンパクトなサイズながら、1024 x 768ピクセルの高解像度IPS液晶(400ppi)を誇り、非常にシャープな映像でゲームを楽しめます。 重量わずか159gと軽量なため、どこへでも気軽に持ち運べるのが魅力です。

また、背面のRGBライトや交換可能なキーキャップにより、自分好みにカスタマイズする楽しみも提供します。100種類以上のエミュレーターに対応し、デュアルステレオスピーカーによる迫力のサウンドも楽しめるなど、小さなボディに多彩な機能が詰め込まれた一台です。

Powkiddy X35S

2024年9月に発売された「Powkiddy X35S」はAliExpressで8,865円で販売中です。こちらは、こちらは、パワフルなRockChip RK3566プロセッサを搭載した3.5インチのタテ型携帯ゲーム機です。 OCAフルフィット技術を採用したIPS液晶は、鮮明でクリアな映像を提供し、快適なゲームプレイをサポートします。 このモデルの最大の魅力は、その拡張性の高さにあります。

HDMI出力に対応しているため、テレビなどの大画面に映像を映し出すことが可能です。 さらに、Bluetoothでワイヤレスゲームパッドを接続すれば、まるで据え置きゲーム機のような感覚でプレイできます。 システム用とゲーム用に分けられたダブルTFカードスロットも搭載し、データ管理がしやすい点も特徴です。

Kinhank K36

2024年8月に発売された「Kinhank K36」はAmazonで7,580円で販売中です。こちらは、こちらは、Rockchip RK3326プロセッサと、4.3インチの大型IPS液晶を搭載したLinux携帯ゲーム機です。 この製品の最大の魅力は、購入後すぐに膨大な数のゲームを楽しめる手軽さです。 付属の64GB TFカードには、40種類以上のエミュレーターと約16,000ものゲームタイトルが予め収録されています。

操作性にもこだわっており、ドリフト現象に強く高耐久なホール効果ジョイスティックレバーを採用。長時間のプレイでも快適な操作感を維持します。さらに、カスタマイズされたキャビティスピーカーが迫力あるサウンドを生み出し、ゲームへの没入感を高めてくれる一台です。

まとめ:価格の比較

今回比較した5つの製品は、すべてLinux OSを搭載したタテ型の携帯ゲーム機です。

価格について、「ANBERNIC RG 35XXPro」は公式サイトの6,749円という価格から、これらの中では最も安価なモデルと言えます。純粋な価格の安さを求めるなら、RG 35XXProが第一候補となるでしょう。一方で、「Kinhank K36」もAmazonで7,580円と手頃な価格でありながら、約16,000ものゲームが収録済みという点を考慮すると、購入後すぐに遊びたい方にとっては非常にコストパフォーマンスが高く、お買い得な一台です。

ゲームプレイを華やかに彩るRGBライトを重視するなら、「ANBERNIC RG40XXV」と「TRIMUI BRICK」の2機種が選択肢となります。ただし、人気の高い「TRIMUI BRICK」にはジョイスティックレバーが搭載されていないため、プレイしたいゲームジャンルによっては操作性をよく確認する必要があります。

デザイン:ANBERNIC RG 35XXPro~所有欲をくすぐる新たなフォルムと機能美~

ANBERNIC RG 35XXProの3色のカラーバリエーション。本体3台が並ぶ。

ここではANBERNIC RG 35XXProのデザインについて、その質感、形状、サイズ感、そして機能的なインターフェースに至るまで、前モデル「ANBERNIC RG35XX Plus」との比較を交えながら、実際に手にした感動を具体的にお伝えしていきます。

新色「クリアティール」が放つ特別な存在感

箱から本体を取り出して最初に感じたのは、その質感の高さでした。特に新色の「クリアティール」は、内部の基板が透けて見えるスケルトン仕様で、他のカラーにはない独特のガジェット感を醸し出しています。 筐体はプラスチック製ですが、安っぽさは一切感じません。

むしろ光沢のある仕上げが施されており、非常に頑丈な印象を受けます。従来のホワイトやブラックも魅力的ですが、このグリーンに近いクリアティールカラーは、他の誰とも違う一台を持ちたいという所有欲を掻き立てる、新鮮な喜びを与えてくれます。

デュアルスティック搭載による、正統進化のフォルム

本機最大の進化点は、なんといってもデュアルアナログスティックの搭載です。 これにより、前モデルの「ANBERNIC RG35XX Plus」と比較して本体の高さが11.7cmから12.8cmへと約1.1cm長くなりました。 この変更は、デザインに新たな可能性をもたらしています。スティックはどちらも下方に配置されており、これは十字キーをメインで使うという設計思想の表れでしょう。ディスプレイと本体ベゼルはOCAフルラミネーション技術によって段差なくフラットに一体化しており 、見た目の美しさと共に、スクリーンへの没入感を高めています。

携帯性とホールド感を両立した絶妙なサイズ

本体の重量は公式スペックで約191gと、スマートフォンを持つような感覚で片手でも楽に扱える軽さです。 実際に計測してみると197.6gほどでしたが、このずっしり感がむしろ心地よく、安定したホールド感につながっています。幅8.1cm、厚さ2.2cmというスリムなサイズ感は健在で 、カバンのポケットにもすっと収まります。通勤中の電車内で『リッジレーサーズ』のようなレースゲームをプレイする際も、この軽さと絶妙なサイズ感が手首の疲れを軽減し、長時間プレイの集中力を維持させてくれました。

美しさと実用性を兼ね備えたインターフェース

ANBERNIC RG 35XXProの側面。

デザインの魅力は見た目だけではありません。上部にはテレビ出力用のHDポート(mini HDMI)、側面にはシステム用とゲームデータ用のデュアルTFカードスロットが機能的に配置されています。 これらのポートは、本体のスリムな形状を損なうことなく、シームレスに統合されています。自宅では大画面でじっくり遊び、外出先では手軽に続きからプレイするといった、様々なプレイスタイルにスマートに対応できる機能美は、このデバイスが単なる携帯ゲーム機ではなく、生活に寄り添うパートナーであることを感じさせます。

まとめ:デザインと外観

  • 新色クリアティール: 内部が透けて見えるスケルトン仕様で、新鮮なガジェットとしての所有欲を満たす。
  • 進化した筐体: ANBERNIC RG35XX Plusより縦に1.1cm長くなり(12.8cm)、新たにデュアルアナログスティックを搭載。
  • 卓越した携帯性: 重量約191gと軽量で、片手で楽に持てるスリムな設計を実現。
  • 機能的なポート配置: HD出力やデュアルTFカードスロットを備え、デザインの美しさと実用性を高いレベルで両立している。

ディスプレイ:レトロゲームの魅力を引き出す3.5インチIPSスクリーン

ANBERNIC RG 35XXProでストリートファイターⅢをプレイしている様子。

ここではANBERNIC RG 35XXProディスプレイについて、その性能がゲーム体験にどう影響するのかを深掘りします。スペックの数字だけでは伝わらない、レトロゲームとの相性の良さや、実際に様々なゲームをプレイして感じた感動を具体的にお伝えします。

ドット絵が蘇る、魔法の解像度とサイズ感

最初に仕様を見たとき、3.5インチという画面サイズは少し小さいのではと感じました 。しかし、実際に電源を入れてみると、その考えはすぐに覆されました。ベゼル(画面の縁)が細く設計されているため、本体サイズ以上に画面が大きく見え、ゲームへの没入感を高めてくれます。そして、640×480という解像度

これこそが、レトロゲームを最も美しく映し出す魔法の数字です。スーパーファミコンなど多くのクラシックゲーム機の解像度を整数倍で拡大できるため、ドットの輪郭がぼやけることなく、デザイナーが意図した通りのシャープで鮮明なグラフィックを再現してくれます。この高品質なスクリーンは、前モデル「ANBERNIC RG35XX Plus」から受け継がれたものであり 、その実力は折り紙付きです。

黄金比率「4:3」がもたらす完璧なゲーム体験

このディスプレイがレトロゲーマーにとって最高の選択肢であるもう一つの理由が、4:3というアスペクト比です 。往年の家庭用ゲーム機やアーケードゲームの多くはこの比率で作られているため、『スーパーマリオワールド』や『ロックマンX』のような横スクロールアクションをプレイしても、キャラクターが不自然に引き伸ばされることなく、完璧な比率で表示されます。

ただし、ゲームボーイアドバンスGBA)のように画面比が3:2のゲームをプレイする際は、上下にわずかな黒帯が表示される点は正直に伝えておきます。しかし、これは些細なことで、大半のゲームで本来の姿を楽しめるメリットは計り知れません。

技術が光る、鮮やかさと見やすさの両立

ANBERNIC RG 35XXProのディスプレイは、「IPS全視野角」と「OCA全面ラミネート」という現代的な技術によって支えられています 。OCAラミネートは、画面のガラスと液晶パネルの間の空気層をなくす技術で、これにより光の反射が大幅に抑えられ、屋外でも視認性が高く、黒が引き締まった非常にクリアな映像を生み出します。

まるで映像がガラスの表面に直接印刷されているかのような感覚です。また、IPSパネルのおかげで、ソファに寝転がって斜めから画面を覗き込んでも、色が白っぽくなることなく鮮やかさを保ちます。もう少しだけ輝度が高ければ完璧でしたが、暗いシーンでの視認性も十分確保されていました。

ゲームジャンルで変わる、スクリーンの表情

実際に様々なゲームをプレイしてみると、このスクリーンの得意なジャンルが見えてきました。例えば、『1943』や『雷電』といった縦スクロールのシューティングゲームでは、縦長の画面を有効に使えるため、敵の弾幕を避けやすく非常に快適です。一方で、『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』のような格闘ゲームでは、左右のスペースがやや窮屈に感じられる場面もありました。

また、一部のRPGではテキストが小さく表示されるため、物語をじっくり追いたい時は少し画面に顔を近づける必要がありましたが、総じてほとんどのレトロゲームを感動的な美しさで楽しめることに疑いの余地はありません。

まとめ:ディスプレイ

  • 解像度とサイズ: 3.5インチ、640×480の解像度がレトロゲームのドット絵を忠実かつシャープに再現する 。
  • アスペクト比: 4:3の比率により、多くのクラシックゲームを開発者の意図した通りの自然な画面比で楽しめる 。
  • 高品質パネル: 反射を抑えるOCAフルラミネーションと、広視野角のIPS技術により、どこから見ても色鮮やかな映像を実現 。
  • ゲームとの相性: 縦シューティングや横スクロールアクションで強みを発揮する一方、一部のRPGではテキストが小さく感じられることも。

パフォーマンス:H700チップセットが支える安定したゲーム体験

ANBERNIC RG 35XXProでDC版ソウルキャリバーをプレイしている様子。

ここではANBERNIC RG 35XXProの「頭脳」にあたるパフォーマンスについて、その性能を徹底的にレビューします。どのようなスペックで、どのくらいのゲームが快適に遊べるのか。前モデルとの比較や、実際に様々なゲームをプレイして確かめた実力をお伝えします。

信頼と実績のH700チップセットを継承

本機には、CPUとして「H700 quad-core ARM Cortex-A53」、GPUに「dual-core G31 MP2」、そしてメインメモリとして「LPDDR4 1GB」が搭載されています 。この構成は、前モデルである「ANBERNIC RG35XX Plus」に搭載されていたものと全く同じです 。つまり、本機のパフォーマンスは、既に多くのユーザーから信頼を得ている前モデルの安定した動作をそのまま受け継いでいると言えます。

ベンチマークアプリ(AnTuTu v10)でのスコアも約12万前後と、このクラスの携帯ゲーム機としては十分な性能を示しており、安心してゲームの世界に没頭できる確かな土台がここにあります。

2Dゲームは完璧、ストレスフリーなプレイを約束

このデバイスが最も輝くのは、やはり2Dグラフィックが中心のゲームをプレイしている時です。実際に試してみたところ、NEOGEOの格闘ゲーム『THE KING OF FIGHTERS ’97』の激しいコンボも、PlayStationの名作アクション『クラッシュ・バンディクー』の軽快なジャンプも、処理落ちや遅延を一切感じることなく、極めてスムーズに動作しました。

さらに、ニンテンドーDSの『メタルスラッグ7』のような描き込みの細かいドット絵のゲームや、ゲームボーイアドバンスの『ドラゴンボール アドバンスアドベンチャー』も完璧に動作し、H700チップセットが持つ確かな実力を見せつけてくれました。

3Dゲームへの挑戦、その実力と限界

ユーザーが最も気になるのは、より高い性能を要求される3Dゲームの動作でしょう。結論から言うと、「驚くほど多くのゲームがプレイ可能だが、万能ではない」というのが正直な感想です。例えば、ドリームキャストの『ソウルキャリバー』や、アーケードの『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』といったタイトルは、フレーム落ちをほとんど感じさせないレベルで動作し、そのパフォーマンスには目を見張るものがありました。

PSPの『ドラゴンボールZ 真武道会 ANOTHER ROAD』も、エフェクトが飛び交う派手な戦闘シーンを十分に楽しめるレベルで動作したのは嬉しい驚きでした。しかし、ニンテンドー64の『悪魔城ドラキュラ黙示録』など、一部のゲームではシーンによってやや遅延を感じる場面があったのも事実です。

将来性への期待と、バランスの取れた現状

メモリがLPDDR4 1GBである点については、正直なところ少し物足りなさを感じました 。もしこれが2GBであれば、より負荷の高いPSPタイトルや、将来登場するかもしれないカスタムファームウェアで、さらに快適な動作が期待できたかもしれません。しかし、それは高望みというものでしょう。

現状でも30種類以上のゲームプラットフォームに対応し 、ファミコンからPlayStation、そして一部の3Dゲームまでを1台でカバーできるパフォーマンスは、価格を考えれば非常にバランスが取れています。幅広い時代のゲームを「これ1台で手軽に楽しむ」という目的において、ANBERNIC RG 35XXProは最高のパートナーとなってくれるはずです。

まとめ:パフォーマンス

  • 処理性能: CPUにH700、GPUにG31 MP2、RAMにLPDDR4 1GBを搭載しています 。
  • 性能の継承: 前モデル「ANBERNIC RG35XX Plus」と同一のチップセットを採用しており、その安定したパフォーマンスを維持しています 。
  • 快適な動作範囲: PlayStationやNEOGEOといった2D主体のゲームは、非常にスムーズな動作が可能です。
  • 3Dゲームへの挑戦: ニンテンドー64、ドリームキャスト、PSPの一部のタイトルもプレイ可能ですが、ゲームによっては遅延が発生する場合があります。

操作性:デュアルスティックが拓く、レトロゲームの新たな境地

ANBERNIC RG 35XXProの操作部。デュアルジョイスティックが見える。

ここでは、ANBERNIC RG 35XXProがProたる所以、その核心である操作性について徹底的に解説します。前モデルから最も大きく進化したデュアルアナログスティックが、ゲーム体験をいかに変えるのか。そして、伝統的な十字キーや各種ボタンの使用感はどうか。実際に様々なゲームをプレイして感じた、指先から伝わる楽しさの神髄に迫ります。

格闘・シューティングで光る、デュアルスティックの完成度

本作を語る上で欠かせないのが、新たに追加されたデュアルアナログスティックです。その実力を確かめるべく、様々なジャンルのゲームを試しました。特に感動したのは格闘ゲームでの使用感です。『ストリートファイター』シリーズの「波動拳」や「昇竜拳」といったコマンドが面白いように決まり、その完成度は比較的高いと感じました。

KOF』や『餓狼伝説』、『鉄拳』といった名作格闘ゲームをプレイする上で、このスティックは間違いなく強力な武器になります。また、『R-TYPE』や『グラディウス』のようなシューティングゲームでも、敵の攻撃を緻密な操作で避ける際に非常に便利でした。ただし、これらはホール効果スティックではないため、RG557のような上位モデルが持つミリ単位の超高精度とまでは言えませんが、価格を考えれば十分すぎる性能です。

十字キーが主役となる、懐かしのゲームたち

素晴らしいスティックが搭載された一方で、ANBERNIC伝統の十字キーABXYボタンの質の高さも健在です。そして、ゲームによっては、こちらのクラシックな操作系の方が遥かに快適な場合も多くありました。例えば、『スーパーマリオブラザーズ』や『ロックマン』、『悪魔城ドラキュラ』といった横スクロールアクションは、指先に伝わる確かなクリック感のある十字キーの方が、ジャンプのタイミングなどが掴みやすく感じます。

同様に、『テトリス』のようなパズルゲームや、『ドラゴンクエスト』、『ファイナルファンタジー』、2Dの『ゼルダの伝説』といったRPGも、十字キーで操作する方がしっくりきました。スティックと十字キー、どちらもが高水準だからこそ、ゲームに合わせて最適な操作を選べる。これは本機の大きな魅力です。

3Dゲームを支える、押しやすいショルダーボタン

ANBERNIC RG 35XXProの背面にあるショルダーボタン

ANBERNIC RG 35XXProが、前モデルの「ANBERNIC RG35XX Plus」を超え、真の3Dゲーム対応機へと進化した背景には、押しやすいショルダーボタンの存在も欠かせません。L1/L2/R1/R2ボタンは指を自然にかけられる大きめの設計で、本体をホールドしたままスムーズに押し込めます。この快適なショルダーボタンと、新たに追加されたデュアルスティックが組み合わさることで、初めて快適な3Dゲーム体験が生まれるのです。

リッジレーサー』シリーズでのアクセルワーク、『メタルギアソリッド』での構え、『ゴールデンアイ 007』のようなFPSでの射撃など、これまで携帯機では難しかった複雑な操作が、驚くほど自然に行えました。

まとめ:操作性

  • 最大の進化点: 前モデルのANBERNIC RG35XX Plusにはないデュアルアナログスティックを搭載し、操作性が飛躍的に向上しました。
  • スティックの得意分野: 格闘ゲームのコマンド入力やシューティングゲームでの精密操作に便利ですが、ホール効果は非搭載のため、精度は上位モデルに一歩譲ります。
  • 3Dゲームへの対応力: 押しやすいショルダーボタンとデュアルスティックの組み合わせにより、『メタルギアソリッド』のような3Dゲームの操作が快適になりました。
  • 伝統の十字キー: 横スクロールアクションやRPG、パズルゲームでは、今なおスティックよりも十字キーの方が快適なプレイが可能です。

OS・エミュレーター・機能:ゲームだけにとどまらない、万能エンターテインメント

ANBERNIC RG 35XXProのエミュレーター画面

ここでは、ANBERNIC RG 35XXProの頭脳であり、その多才さを支えるOSエミュレーター、そして豊富な機能について解説します。軽快な動作と使いやすさ、そしてゲーム機という枠を超えた多彩な才能まで、実際に使って見えてきた本機の魅力に迫ります。

初心者にも優しい、実績のあるLinuxシステム

本機のOSには、軽快な動作で定評のある64-bit Linuxシステムが採用されています 。これは、前モデルの「ANBERNIC RG35XX Plus」から受け継がれた、信頼と実績のあるシステムです 。そのため、操作感は前モデルと変わりなく、初めてこの種のデバイスに触れる人でも、シンプルで直感的なメニュー構成に戸惑うことはないでしょう 。

ゲームを簡単に起動できる「ゲームルーム」と、より詳細な設定が可能なRetroArchベースの「RAゲーム」という2つのメニューが用意されている点も前モデルと同様です 。個人的には、正確な画面比率で遊びたい場合や、少しでも安定した動作を求める際には「RAゲーム」を選択することが多かったです。

30種以上に対応、広大なゲームの世界へ

エミュレーターの種類も前モデルから大きな変更はありませんが、その対応機種の豊富さは圧巻の一言です 。ファミコンやスーパーファミコンといった定番はもちろん、PlayStation、セガサターン、ドリームキャスト、ニンテンドー64、そしてPSPまで、30種類を超えるプラットフォームをサポートしています 。デュアルTFカードスロットを使えば、自分で用意したゲームを簡単に追加できる拡張性の高さも魅力です 。

過去の名作から少しマニアックなアーケードゲームまで、自分だけのゲームライブラリをこの一台に集約できるのは、何物にも代えがたい喜びです。

対応エミュレーター一覧リスト

※RAゲーム(RetroArch)を選択すると、以下のエミュレーターを選択できます。

  • PSP,OPENBOR,DC,SS,PS,CPS1,CPS1,CPS2,CPS3,NEOGEO,FBneo,H.Brew
  • MAME,VARCADE,PICO,POKE,Atari2600,VB,GW,GBA,FC,SFC,MD,MD-cd
  • SEGA32X,SMS,GG,GBC,GB,PCE,PCE-cd,NGPC,WSWAN,MSX,NDS,N64,ATOMISWAVE,NAOMI

オンラインにも繋がる、ポケットの中のメディアハブ

ANBERNIC RG 35XXProの真の価値は、ゲーム以外の機能の豊富さにあります。まず驚かされるのは、優秀なマルチメディア機能です。ビデオプレーヤーはwmv、avi、mkvといった多数の形式に対応し 、音楽プレーヤーでは高音質なロスレス形式であるflacも再生可能でした 。

さらに、本機は単なるオフライン再生にとどまりません。Wi-Fiに接続することで、「WiliWiliオンライン再生機能」を利用できます 。これにより、特定のオンライン動画コンテンツを直接ストリーミングで楽しめるため、エンターテインメントの幅がぐっと広がります。ファイル管理に便利なファイルマネージャーや、txt形式の電子書籍リーダーも搭載しており 、まさに一台で何役もこなす万能デバイスです。

まとめ:OS、エミュレーター、機能

  • OS: 前モデル「ANBERNIC RG35XX Plus」と同じ、初心者にも分かりやすい64-bit Linuxシステムを搭載しています 。
  • エミュレーター: 30種類以上のプラットフォームに対応し、PSPやドリームキャストから懐かしの機種まで幅広くカバーしています 。
  • 多彩なメディア機能: ローカルでの動画・音楽ファイル再生に加え、WiliWili機能によるオンライン動画のストリーミング再生にも対応しています 。
  • 便利なユーティリティ: ファイルマネージャーや電子書籍リーダーといった、あると便利な機能も一通り搭載しています 。

バッテリーと充電:一日中遊び続けられる安心のスタミナ

ここでは、携帯ゲーム機の生命線ともいえるバッテリー性能と、日々の使い勝手に直結する充電仕様について、詳しく解説していきます。外出先でも安心して使えるのか、充電は手軽なのか。実際に使って感じた、ANBERNIC RG 35XXProのスタミナと利便性をお伝えします。

安心して持ち出せる、約7時間持続バッテリー

ANBERNIC RG 35XXProは、3200mAhのポリマーリチウムバッテリーを搭載しており、公称スペックでは約7時間の連続稼働が可能です 。このスタミナは、まさに「一日遊べる」安心感を与えてくれます。実際に朝、満充電の状態でカバンに入れて持ち出し、通勤中や昼休みにプレイするという使い方をしましたが、夕方になってもバッテリー残量には余裕がありました。これなら、充電のことを気にせず、好きな時に好きなだけゲームの世界に没頭できます。

前モデルのANBERNIC RG35XX Plus3300mAhで約8時間稼働だったのと比較すると 、スペック上はわずかに減少していますが、正直なところ、実使用においてその差を感じることはありませんでした。感覚的には前モデルと大きく変わらず、十分なプレイ時間を確保してくれているという印象です。

現代の標準、便利なUSB Type-C充電

日々の使い勝手という点で、USB Type-Cポートの採用は非常に大きなメリットです 。スマートフォンやノートPCなど、他の多くのデバイスと充電ケーブルを共有できるため、旅行や外出の際に余計なケーブルを一本減らすことができます。

さらに、C2C(USB-C to USB-C)ケーブルでの充電にも対応しているため 、最新の充電器やモバイルバッテリーをそのまま使えるのも嬉しいポイント。いつでもどこでも、手軽に充電できるこの利便性は、一度体験すると手放せなくなります。

将来を見据えたメンテナンス性

長く愛用することを考えると、バッテリーのメンテナンス性も気になるところです。本体背面のカバーはネジで固定されており 、これを取り外せばバッテリーにアクセスできる構造になっているようです。頻繁に交換するものではありませんが、万が一バッテリーが劣化した際に自分で交換できる可能性が残されているのは、ユーザーにとって大きな安心材料と言えるでしょう。

まとめ:バッテリーと充電

  • バッテリー容量: 3200mAhのポリマーリチウムバッテリーを搭載しています 。
  • 駆動時間: 約7時間の連続稼働が可能で、一日の外出でも安心して使用できます 。前モデルのRG35XX Plus(3300mAh、8時間) と比較するとスペック上は僅かに減少していますが、実使用感に大きな差はありません。
  • 充電規格: 現代の標準であるUSB Type-Cポートを採用し、C2C充電器にも対応しているため利便性が高いです 。
  • メンテナンス性: 背面のネジ止め式カバーにより、将来的なバッテリー交換の可能性も示唆されています 。

通信と映像出力:遊びの世界を広げる多彩な接続性

ANBERNIC RG 35XXProの底面にあるポート。miniHDMIが見える。

ここでは、ANBERNIC RG 35XXProが持つ、遊びの可能性を無限に広げる通信性能と映像出力機能について深掘りします。Wi-FiやBluetoothがもたらすワイヤレスの自由、そしてテレビ出力による大画面の迫力。これらが、あなたのゲームライフをどう変えるのか、実体験を交えてお伝えします。

大画面で蘇る興奮、遅延なきHD出力

このデバイスの真価の一つは、miniHDMIポートを通じて、携帯機から据え置き機へと瞬時に変身できる点にあります。実際にリビングのテレビに接続し、タイミングが命である対戦格闘ゲーム『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』をプレイしてみました。正直、少しは表示遅延があるだろうと高をくくっていましたが、その心配は杞憂に終わりました。

繰り出す技は指の動きに完璧に追従し、大画面での対戦はアーケードさながらの迫力。手元のRG 35XXProが、まるで高性能な専用コントローラーのように感じられる、素晴らしい体験でした。

Wi-Fiが繋ぐ、時空を超えた対戦とストリーミング

本機に搭載された2.4/5Gの高速Wi-Fiは、単なる飾りではありません。その気になれば、時空を超えた遊び方さえ可能にします。RetroArchに搭載されている「Netplay」機能を使い、遠方に住む友人と『餓狼伝説SPECIAL』でのオンライン対戦に挑戦。正直に言うと、IPアドレスの入力など、その設定はやや複雑で、誰にでも手軽に、とは言えません。

しかし、一度繋がってしまえば通信は安定しており、ラグもほとんど感じませんでした。懐かしのゲームで友と熱い火花を散らす。この体験は、多少の手間をかける価値が十分にあります。

さらに驚くべきは、PCゲームのストリーミング機能です。「Moonlight」というアプリを介して、自宅のゲーミングPCと連携させたところ、本来このデバイスでは到底動かないはずの『エルデンリング』が、手の中で滑らかに動き出したのです。

もちろん、これはPCの性能とネットワーク環境に依存しますが、この小さな一台が最新PCゲームのモニター兼コントローラーになるという事実は、遊びの可能性が無限であることを示しています。Linux OSのため、公式のSteam Linkアプリなどが使えない点は少し残念ですが、Moonlightがその扉を力強く開けてくれました。

ワイヤレスがもたらす、快適なプレイスタイル

テレビに繋いでの大画面プレイを、さらに快適にしてくれるのがBluetooth 4.2の存在です。手持ちの8BitDo社製ワイヤレスコントローラーをペアリングしたところ、あっさりと認識。ソファにゆったりと腰掛け、ケーブルの長さを気にすることなく『スーパーメトロイド』の広大なマップを探索する時間は、まさに至福でした。ただし、このBluetooth機能は前モデルのRG35XX Plusと同様、コントローラー接続がメインのようです。

ワイヤレスイヤホンを接続しようと試みましたが、残念ながら対応していませんでした。しかし、自由なプレイスタイルを確立する上で、ワイヤレスコントローラーが使えるメリットは計り知れません。

まとめ:通信性能と映像出力

  • 大画面出力: miniHDMIポートでテレビに接続可能。『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』のようなタイミングが重要なゲームも遅延なく大画面で楽しめます。
  • オンライン対戦: Wi-FiとRetroArchのNetplay機能を使えば、『餓狼伝説SPECIAL』などで遠くの友人とオンライン対戦が可能です(※設定はやや複雑)。
  • PCストリーミング: Moonlight機能により、『エルデンリング』のような最新のPCゲームをストリーミングでプレイできます。
  • ワイヤレス接続: Bluetoothで8BitDoなどの外部コントローラーを接続し、テレビモードで快適なプレイが可能です(※オーディオ接続は非対応)。

「ANBERNIC RG 35XXPro」と「ANBERNIC RG35XX Plus」の主な違い

ANBERNIC RG 35XXProの本体ブラックとホワイト

ANBERNIC RG 35XXProは、前モデルであるRG35XX PlusとCPUや画面サイズなど多くの基本仕様を共有しつつも、いくつかの重要な点で違いがあります 。ここでは、両モデルの主な相違点を比較します。

カラーバリエーション

  • ANBERNIC RG35XX Plus: 透明ブラック、グレー、ホワイト
  • ANBERNIC RG 35XXPro: ホワイト、ブラック、クリアティール
  • 違い:(※クリアカラーのバリエーションが「クリアブラック」から、緑がかった「クリアティール」に変更されています 。)

デザイン・サイズ

  • ANBERNIC RG35XX Plus: 長さ11.7cm、重量0.186kg、ジョイスティックなし
  • ANBERNIC RG 35XXPro: 長さ12.8cm、重量0.191kg、デュアルジョイスティック搭載
  • 違い:(※RG 35XXProの最大の特徴としてデュアルジョイスティックが追加されました 。これに伴い、本体の長さと重量がわずかに増加しています 。)

バッテリー

  • ANBERNIC RG35XX Plus: 3300mAh、持続時間8時間
  • ANBERNIC RG 35XXPro: 3200mAh、連続稼働7時間
  • 違い:(※RG 35XXProはRG35XX Plusよりバッテリー容量が100mAh少なく、連続稼働時間も1時間短くなっています 。)

対応言語

  • ANBERNIC RG35XX Plus: 5言語(日、英、中、韓、西)
  • ANBERNIC RG 35XXPro: 9言語(上記に加え、露、仏、独、葡)
  • 違い:(※RG 35XXProでは、ロシア語、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語が追加され、対応言語が大幅に増加しました 。)

付属品

  • ANBERNIC RG35XX Plus: スクリーンプロテクターが付属
  • ANBERNIC RG 35XXPro: 付属品リストにスクリーンプロテクターの記載なし
  • 違い:(※RG 35XXProにはスクリーンプロテクターが付属しない可能性があります 。)

共通の主な仕様

両モデルは、画面(3.5インチIPS、640×480)、CPU(H700)、GPU(G31 MP2)、RAM(LPDDR4 1GB)、システム(Linux 64-bit)、Wi-Fi/Bluetooth、スピーカー、充電規格など、多くの主要な仕様を共有しています 。

発売日

  • ANBERNIC RG35XX Plus: 2023年11月
  • ANBERNIC RG 35XXPro: 2025年6月10日
  • 違い:(※RG 35XXProは、RG35XX Plusの約1年半後に発売される後継モデルです 。)

価格

  • ANBERNIC RG35XX Plus: 7,899円
  • ANBERNIC RG 35XXPro: 6,749円
  • 違い:(※後継モデルであるRG 35XXProの方が、価格が安く設定されています 。)

まとめ:ANBERNIC RG 35XXProとRG35XX Plusの違い

ANBERNIC RG 35XXProは、RG35XX Plusの優れた基本性能を引き継ぎながら、価格を抑え、対応言語を増やし、そして最大の変更点としてデュアルジョイスティックを追加したモデルです 。その一方で、バッテリー性能はわずかに低下しており、付属品の内容にも細かな違いが見られます 。

ANBERNIC RG 35XXProのメリット・デメリット

ANBERNIC RG 35XXProのWiliWiliオンライン再生機能

ここでは、ANBERNIC RG 35XXProのメリット(長所)・デメリット(短所)について紹介します。

【メリット】

メリット1:圧倒的なコストパフォーマンス

公式サイト価格6,749円は、今回比較した携帯ゲーム機の中で最安クラスです 。デュアルスティックやWi-Fi機能を搭載しながらこの価格を実現している点は、最大の魅力と言えるでしょう。

メリット2:優れた通信機能

2.4/5GHzのデュアルバンドWi-Fiを内蔵しています。これは、Wi-Fi機能がない「Kinhank K36」や、Wi-Fiドングルが別途必要な「Powkiddy X35S」と比較して、明らかに優れている点です 。

メリット3:バランスの取れた処理性能

搭載されているH700プロセッサは、「Kinhank K36」が採用するRockchip RK3326よりも高性能です 。これにより、より安定したゲームプレイが期待できます。

メリット4:テレビへの映像出力に対応

miniHDMIポートによる映像出力に対応しており、テレビなどの大画面でゲームを楽しめます 。この機能は「TRIMUI BRICK」や「Kinhank K36」には搭載されていません 。

メリット5:多彩なマルチメディア機能

ローカルの動画・音楽再生に加え、Wi-Fiを利用した「WiliWiliオンライン再生機能」にも対応しています 。ゲーム以外のエンターテインメント機能が充実している点も長所です。

【デメリット】

デメリット1:標準的なアナログスティック

アナログスティックは搭載されていますが、「Kinhank K36」が採用している高耐久・高精度なホール効果ジョイスティックではありません 。長時間の使用や激しい操作での信頼性では一歩劣ります。

デメリット2:控えめなディスプレイ

3.5インチの画面は、4.0インチの「ANBERNIC RG40XXV」や4.3インチの「Kinhank K36」と比較すると小さめです 。また、「TRIMUI BRICK」はより高解像度な液晶を搭載しています 。

デメリット3:より高性能なCPUの存在

「Powkiddy X35S」に搭載されているRockChip RK3566プロセッサは、本機のH700よりも処理性能が高いとされています 。より高いエミュレーション性能を求めるユーザーにとっては、弱点となり得ます。

デメリット4:カスタマイズ機能の欠如

「ANBERNIC RG40XXV」や「TRIMUI BRICK」のような、ゲームプレイを華やかに演出するRGBライト機能は搭載されていません 。シンプルなデザインを好むユーザーには問題ありませんが、見た目のカスタマイズ性を重視する場合には物足りなく感じるかもしれません。

ANBERNIC RG 35XXProのスペック(仕様)

  • ディスプレイ: 3.5インチ IPS液晶 (640×480)、OCAフルラミネーション
  • CPU: H700 quad-core ARM Cortex-A53, 1.5GHz
  • GPU: Dual-core G31 MP2
  • RAM(メモリ): LPDDR4 1GB
  • ROM(ストレージ): 64GB TF/MicroSD
  • 外部ストレージ: TFカード(デュアルスロット)、最大512GBまで拡張対応
  • バッテリー: 3200mAh、約7時間連続稼働
  • 充電: 5V/1.5A、C2C充電に対応
  • ワイヤレス通信: 2.4/5G WIFI 802.11a/b/g/n/ac, Bluetooth 4.2
  • ストリーミング: Wi-Fi経由でのストリーミングに対応
  • インターフェース: Type-C、HD出力、TFカードスロットx2、DC/OTG
  • 映像出力: HD出力によるテレビ接続
  • スピーカー: 高音質スピーカー
  • 操作(ボタン): デュアルジョイスティック、十字キー、ゲームボタン、L1/L2/R1/R2、メニュー、セレクト、スタート、リセット、電源、音量+/-
  • 機能: 振動モーター、2.4G無線/有線/Bluetoothコントローラー接続、オンラインマルチプレイ
  • ゲーム: 移植ゲーム、30種類以上のエミュレーターに対応、ゲームダウンローダー(RixelHK)対応
  • マルチメディア: ビデオ/音楽プレーヤー、ファイルマネージャー、電子書籍リーダー、WiliWiliオンライン再生
  • 筐体: プラスチック
  • OS: Linux 64-bit
  • サイズ: 長さ12.8cm x 幅8.1cm x 高さ2.2cm
  • 重量: 0.191kg (実測:197.6g)
  • カラー: ホワイト、ブラック、クリアティール
  • 付属品: 本体、Type-C充電ケーブル、説明書、ギフトボックス

ANBERNIC RG 35XXProの評価

ANBERNIC RG 35XXProでネオジオ版KOF97をプレイしている様子。

7つの基準で「ANBERNIC RG 35XXPro」を5段階で評価してみました。

項目別評価

画面の見やすさ:★★★★☆
レトロゲームのドット絵を忠実に再現する解像度と4:3の画面比率は素晴らしいです。IPS液晶とOCAラミネート加工により、どの角度から見ても鮮明です。

パフォーマンス:★★★★☆
PS1世代までの2Dゲームは完璧に動作し、PSPやDCの一部の3Dゲームも十分に楽しめます。価格を考えれば非常に優秀ですが、性能は前モデルから据え置きです。

操作性: ★★★★★
本作最大の進化点であるデュアルスティックの追加により、3Dゲームの操作性が劇的に向上しました。十字キーや各ボタンの質も高く、操作性に関する不満はほぼありません。

機能性:★★★★☆
豊富なエミュレーター対応に加え、PCストリーミングやメディアプレーヤー機能など、遊びの幅を広げる機能が満載です。Bluetoothが音声非対応な点は惜しまれます。

デザイン:★★★★☆
伝統の縦型デザインにデュアルスティックを違和感なく融合させています。新色クリアティールも魅力的で、所有欲を満たしてくれる一台です。

使いやすさ:★★★☆☆
基本的な操作はシンプルで初心者にも優しいですが、ネット対戦やファームウェア更新など、一歩踏み込んだ設定には知識と手間が必要です。

価格:★★★★☆
公式サイト価格は競合製品の中で最安クラスであり、その機能性を考えると驚異的なコストパフォーマンスを誇ります。

総評:★★★★☆

「Pro」の名にふさわしい、正統進化

ANBERNIC RG 35XXProは、単なるマイナーチェンジではありません。前モデル「RG35XX Plus」の完成された基本性能—美しく見やすいIPSスクリーンや、PS1世代までを快適に動かすH700チップセット—はそのままに、最大の弱点であったアナログスティック非搭載という点を克服した、「正統進化」と呼ぶにふさわしい一台です。

このデュアルスティックの追加により、『メタルギアソリッド』のような3Dステルスアクションや、『リッジレーサー』シリーズのようなレースゲームが、本来の操作感で楽しめるようになりました。これは、プレイできるゲームの幅が質・量ともに飛躍的に向上したことを意味し、まさに「Pro」の名を冠するに値する進化点と言えるでしょう。

圧倒的なコストパフォーマンス

本機の最も注目すべき点は、その圧倒的なコストパフォーマンスにあります。同価格帯の競合製品と比較しても、公式サイト価格は最安クラスでありながら、デュアルスティック、デュアルバンドWi-Fi、HD映像出力、そして多彩なメディアプレーヤー機能まで、搭載されている機能は一切妥協がありません。

もちろん、上位モデルのようなホール効果スティックの搭載や、より大容量のRAMといった点では見劣りする部分もあります。しかし、「1万円以下で、これほど多彩なレトロゲームと機能を、高いレベルで楽しめる」という事実は、他を圧倒する大きな魅力です。初めてレトロゲーム機に触れる方から、既に何台も所有しているヘビーユーザーまで、誰もがその価値を認めざるを得ないでしょう。

ANBERNIC RG 35XXProは「買い」か?

結論から申し上げます。もし「快適なアナログ操作」と「圧倒的なコストパフォーマンス」の二つを天秤にかけているなら、ANBERNIC RG 35XXProは現在市場にある縦型レトロゲーム機の中で、間違いなく最高の選択肢の一つです。

本機の最大の価値は、前モデル「RG35XX Plus」の完成された基本性能はそのままに、デュアルアナログスティックを搭載した点にあります 。これにより、これまで操作が難しかったPlayStationニンテンドー64などの3Dゲームが、驚くほど快適にプレイできるようになりました 。この「Pro」の名にふさわしい進化を遂げながら、公式サイトでの価格は6,749円と、競合製品の中では最も安価なクラスに位置しています 。まさに、性能と価格のスイートスポットを完璧に捉えた一台なのです。

具体的に、こんな人におすすめしたい

このデバイスがもたらす喜びを、特に強く感じていただけるのは、次のような方々です。

アナログ操作の3Dゲームを遊びたい人

これまでの縦型機で「スティックがあれば…」と惜しい思いをしていた方には、まさに待望の一台です。FPS、レース、3Dアクションといった、アナログ操作が必須のゲームジャンルを存分に楽しむことができます 。

コストパフォーマンスを最重要視する人

限られた予算の中で、最大限の機能と性能を手に入れたい賢い消費者にとって、これ以上の選択肢はなかなか見つからないでしょう。デュアルスティック、デュアルバンドWi-Fi、HD映像出力、PCストリーミングといった、本来なら1万円を超えるモデルに搭載されているような機能が、この価格で手に入ります 。

初めて携帯エミュレーター機に挑戦する人

シンプルで分かりやすいOSと、幅広いゲームに対応する安定したパフォーマンスは、レトロゲーム機の入門機として最適です 。購入してすぐに遊べる手軽さと、後からPCストリーミングなどの高度な機能にも挑戦できる奥深さを兼ね備えており、長く付き合えるパートナーとなるはずです。

まとめ:この一台がもたらす満足感

ANBERNIC RG 35XXProは、市場で最もパワフルなデバイスではありません。しかし、多くのユーザーが本当に求めている「ちょうどよさ」— 手の届く価格で、懐かしのゲームを、そのゲームに最適な操作方法で、心ゆくまで楽しめるという体験 — を、完璧なバランスで実現しています。

価格も比較的安く、性能もバランスがとれているので、買って後悔することはないでしょう。タテ型のLinux携帯ゲーム機が欲しい!と思っている人はぜひ購入を検討してみてください。

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ANBERNIC RG 35XXProの価格・購入先

ANBERNIC RG 35XXPro 本体クリアティール 正面

ANBERNIC日本公式サイト

6,749円(64GB)で販売されています。

ANBERNIC日本公式サイトで「ANBERNIC RG 35XXPro」をチェックする

ECサイト

AliExpressで64GBモデルが8,421円、128GBモデルが10,637円、256GBモデルが12,855円、

で販売されています。

Amazonで「ANBERNIC RG 35XXPro」をチェックする

楽天市場で「ANBERNIC RG 35XXPro」をチェックする

ヤフーショッピングで「ANBERNIC RG 35XXPro」をチェックする

AliExpressで「ANBERNIC RG 35XXPro」をチェックする

米国 Amazon.comで「ANBERNIC RG 35XXPro」をチェックする

※AliExpressでの購入方法・支払い方法はこちらのページで紹介しています。
AliExpressで激安ガジェットをお得に購入する方法を徹底 解説

おすすめの類似製品を紹介

ANBERNIC RG 35XXProに似た性能をもつ携帯ゲーム機も販売されています。

ANBERNIC RG40XXV

ANBERNICから発売された4インチの携帯ゲーム機です(2024年8月26日 発売)。

Linux 64bit OS、Allwinner H700、1GB LPDDR4 メモリ、解像度640 x 480 pxのIPS液晶、64GB ストレージ(TFカード)、3200 mAhバッテリー、高音質スピーカーを搭載しています。

また、RGBライト(6種類の調整)、30種類 以上のエミュレーター、HDMI映像出力、ストリーミング プレイ (Moolight アプリ 対応)、振動モーター、ジョイスティックレバー、ショルダーボタン、ダブルTFカードスロット、Type-C x2 (OTG/電源用)、microSDカードスロット x2、miniHDMI、3.5mmイヤホンジャック、Wi-Fi 5、Bluetooth 4.2 に対応しています。

価格は、Amazonで11,999円(税込)、楽天市場で14,150円(送料無料)、ヤフーショッピングで14,560円、AliExpressで9,602円(64GB)、米国 Amazon.comで$84.99、です。

関連記事:「ANBERNIC RG40XXV」とRG35XX Plusの違いを解説

TRIMUI BRICK

TRIMUIから発売されたタテ型のLinux携帯ゲーム機です(2024年11月発売)。

3.2インチ(解像度1024 x 768 px)のIPS液晶、Allwinner A133P、1GB LPDDR3 メモリ、システム用:8GB eMMC、ゲーム用: 64GB TF (最大256GBまで)、3000 mAhバッテリー、Linux ベースのCrossMix OS(TRIMUI Theme)を搭載しています。

また、RGBライト(背面)、キーキャップの交換(R/L)、デュアル ステレオスピーカー、モノラルマイク、シャットダウン充電、100種類以上のエミュレーター(レトロアーチ対応)、ゲームの追加、セーブ機能、USB Type-C (OTG) x2、3.5mmオーディオジャック、Wi-Fi 5 (2.4GHz)、Bluetooth 4.2 (2.1 + EDR)に対応しています。

価格は、Amazonで12,999円、ヤフーショッピングで9,980円(送料別)、AliExpressで8,865円(ゲームROMなし)、米国 Amazon.comで$75.99、です。

関連記事:TRIMUI BRICKをレビュー!ANBERNICより優秀な点は?

Powkiddy X35S

Powkiddyから発売された3.5インチのタテ型 携帯ゲーム機です(2024年9月発売)。

Linux OS、RockChip RK3566、1GB LPDDR4X メモリ、解像度 640 x 480 px のIPS LCD液晶、3500 mAh バッテリー、ダブルTFカードスロットを搭載しています。

また、15種類以上のエミュレーター、HDMI映像出力、ワイヤレスゲームパッドとの接続、最大256GBまでのストレージ拡張、ゲームの追加、セーブ機能、Type-C(OTG)x1、Wi-Fiドングル(アダプター)、Bluetoothに対応しています。

価格は、AliExpressで8,865円(48GB)です。

関連記事:「Powkiddy X35S」とV10、RGB20SXの違いを解説

Kinhank K36

Kinhankから発売された4.3インチのLinux 携帯ゲーム機です(2024年8月 発売)。

Rockchip RK3326 プロセッサと1GB DDR3L メモリ、解像度 640 x 480 px のIPS液晶、TFカードスロット、3500 mAhバッテリー搭載で、

40種類以上のエミュレーター、16000タイトル(64GB TFカードに収録)ホール効果ジョイスティックレバー、ショルダーボタン、カスタマイズされたキャビティスピーカー、ゲームの追加、セーブ機能、Type-C(OTG)、Tyoe-C(DC充電用)、3.5mm ヘッドホンジャックに対応しています。

価格は、Amazonで7,580円(税込)、楽天市場で15,999円(送料無料)、AliExpressで4,570円、米国 Amazon.comで$53.99、です。

関連記事:名作遊び放題「Kinhank K36」ゲーム機のメリット・デメリット

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