2024年11月に発売されて以降、多くのレトロゲームファンから高い人気を維持し続けている「TRIMUI BRICK」。現代の携帯ゲーム機としては珍しく、アナログ操作を担うジョイスティックレバーを搭載していません 。なぜ、この割り切った仕様のデバイスが、これほどまでに多くの人々を魅了するのでしょうか。
TRIMUI BRICKの魅力
最大の魅力は、堅牢で質の高さを感じさせる圧倒的なビルドクオリティと、遊び心にあふれるカスタマイズ性です。ABS樹脂製のボディは、背面に金属製プレートを採用することで、手に持つとずっしりとした高級感と剛性感を感じさせます 。このミニマルな筐体を、設定変更可能なLEDボタンやライトバーが鮮やかに彩り、ゲームをよりいっそう盛り立ててくれます。
さらに操作系は十字キーとABXYボタンによる、シンプルながらも快適な操作性を実現 。ユーザーの好みに合わせて形状や高さを選択できる、交換可能なショルダーボタンが3種類も付属する点は大きな魅力です。
また、Allwinner A133P CPU(1.8GHz)プロセッサと1GB LPDDR3 RAMを搭載。色鮮やかな3.2インチIPSディスプレイ上で、PSP、ニンテンドーDS、NINTENDO64、ドリームキャストをはじめとした豊富なレトロゲームをプレイできます 。
そのほかにも、CPUパフォーマンスの変更、画面の明るさ調整、連射機能などをカスタマイズできる2つのファンクションボタンを搭載。約5時間駆動が可能な3000mAhのリチウムポリマーバッテリー 、Wi-Fi通信によるストリーミングプレイ 、Bluetoothによる外部コントローラーの接続など 、魅力が満載です!
この記事で「TRIMUI BRICK」を徹底解剖!
この記事では、そんな魅力あふれる「TRIMUI BRICK」が持つ性能、そして多彩な機能を、レビューを交えながら徹底的に深掘りしていきます。
特に、同じくタテ型のLinux携帯ゲーム機として人気の高い「ANBERNIC RG40XXV」との違いに焦点を当て、スペック、操作性、そしてデバイスとしての思想の違いまでを明らかにしていきます。
【この記事で分かること】
- TRIMUI BRICKの最新のスペック(仕様)とエミュレーター性能
- デザインや画面、操作性の詳細なレビュー
- ANBERNIC RG40XXVとの徹底比較
- メリット・デメリットと5段階評価
- 最新の価格とおすすめの購入先
この記事を最後まで読むことで、「TRIMUI BRICK」が本当に「買い」のデバイスなのかが、はっきりと分かるはずです。購入を悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
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公式販売サイト:Trimui Brick Handheld Game Console – Powkiddy official store
デザイン:TRIMUI BRICKの第一印象と携帯性
ここでは、TRIMUI BRICKのデザインと外観について、その第一印象から携帯性、そして細部のインターフェースまでを詳しくレビューしていきます。ポケットに忍ばせてどこへでも持ち出したくなるような、その魅力の秘密に迫ります。
凝縮された所有感、まさに「レンガ」のような堅牢性
「TRIMUI BRICK」を初めて手に取ったとき、その名が体を表していることにすぐ気づかされます。単なるプラスチックの箱ではなく、中身がギュッと詰まったような密度感があり、これが「Brick(レンガ)」という名の由来なのだと直感しました 。
筐体はマットな質感のABS樹脂で、指紋や皮脂が付きにくいのが嬉しいポイントです 。さらに、背面上部には金属製のプレートが採用されており、これがひんやりとした感触とともに、剛性を高める重要なアクセントになっています 。安っぽさは微塵も感じられず、所有欲をしっかりと満たしてくれるビルドクオリティです 。
絶妙なサイズ感と優れた携帯性
本体サイズは、約110 x 73 x 20mm、重さは実測で159gと、非常にコンパクトかつ軽量です 。比較対象の「ANBERNIC RG40XXV」が4インチ画面を搭載し、一回り大きなサイズ(約139 x 92 x 22mm)であるのに対し、TRIMUI BRICKは3.2インチ画面ゆえの小型ボディが際立ちます 。
大きすぎず、小さすぎないこの絶妙なサイズ感は、まさに「ちょうど良い」の一言。休日にふらっと出かける際、ジーンズのポケットに滑り込ませても邪魔にならず、いつでもどこでもレトロゲームの世界に浸れる手軽さは、この上ないメリットだと感じました 。
<サイズ・重量を比較>
- 1.「TRIMUI BRICK」・・・109.9 x 73.2 x 19.9 mm / 159g
- 2.「TRIMUI SMART PRO」・・・ 188 x 80 x 17 mm / 231g
- 3.「TRIMUI SMART」・・・ 110 x 58 x 15 mm / 100g
- 4.「TRIMUI MODEL S」・・・105 x 55 x 9.5mm / 66g
ミニマルな佇まいと、個性が光るカラーバリエーション
デザインは、Analogue Pocketを彷彿とさせる、無駄を削ぎ落としたミニマルなものです 。この洗練されたデザインを基盤に、個性の異なるカラーバリエーションが用意されている点が大きな魅力です。私が特に惹かれた「ホワイト」モデルは、真っ白な筐体にグレーのボタンが配置され、清潔感のあるツートンカラーが目を引きます 。派手さはありませんが、そのクリーンな佇まいはどんなシーンにも馴染みます。
一方で、ブラック、レッド、パープルのモデルは、青いファンクションボタンがアクセントとなり、遊び心を感じさせるデザインです 。これは、本体とボタンの色を同色で統一し、一体感を重視した「ANBERNIC RG40XXV」のカラー戦略とは明確に異なります 。RG40XXVがソリッドな塊感を表現しているのに対し、TRIMUI BRICKはベースのシンプルさを活かしつつ、巧みな差し色で個性を演出するという、より繊細なアプローチを取っており、新鮮に映りました 。
遊び心と実用性を両立したインターフェース
このミニマルなボディには、使うのが楽しくなるような仕掛けが満載です。本体上部のライトバーやボタンに内蔵されたLEDは、設定で自分好みにカスタマイズでき、シンプルな筐体に彩りを添えてくれます 。
<RGBライトのカスタマイズ項目>
- 発光パターン・・・呼吸、点滅、常時点灯など、複数の発光パターンから選択できます。
- 色・・・好みに合わせて、RGBライトの色を自由に設定できます。プリセットカラーも用意されているので、手軽に色を変更することも可能です。
- 明るさ・・・ライトの明るさを調整できます。
- 速度・・・発光パターンの速度を調整できます。
<RGBライト対応を比較>
- 1.「TRIMUI BRICK」・・・RGBライトに対応する(背面)
- 2.「TRIMUI SMART PRO」・・・RGBライトに対応する(ジョイスティック周辺)
- 3.「TRIMUI SMART」・・・RGBライトに対応しない
- 4.「TRIMUI MODEL S」・・・RGBライトに対応しない
特に気に入ったのは、工具なしで簡単に交換できる背面のショルダーボタンです 。自分のプレイスタイルに合わせてパーツを交換できるという発想は、ユーザーの「わかってる感」をくすぐる素晴らしいアイデアだと思います。
実用面で特筆すべきは、本体下部に配置されたデュアルステレオスピーカーです 。シングルスピーカーのANBERNIC RG40XXVと比べ、音の広がりは明らかです 。『ファイナルファンタジータクティクス』の壮大なBGMを聴いたとき、この小さな筐体から奏でられているとは思えないほどの臨場感に感動しました。
ポート類も充実しており、充電用のUSB-Cポート(下部)とは別に、コントローラーなどを接続できるUSB-Cホストポート(上部)を備えている点も拡張性が高く評価できます 。
まとめ:デザインと外観
- 第一印象: 「Brick」の名にふさわしい、中身の詰まった高い剛性感と、指紋が付きにくいマットな質感が特徴。背面の金属プレートが高級感を演出している 。
- 携帯性: 小型軽量でポケットに収まる絶妙なサイズ感。より大きなANBERNIC RG40XXVと比較して、持ち運びの手軽さで優位に立つ 。
- デザインとカラー: Analogue Pocketを思わせるミニマルなデザイン 。ホワイトモデルはグレーのボタンが映え、他のカラーはアクセントカラーが特徴的 。同色で統一感を持たせたRG40XXVとは異なるアプローチが新鮮 。
- インターフェース: カスタマイズ可能なLEDライトや、工具不要で交換できる背面ボタンなど遊び心にあふれる。実用面では、クリアな音を再生するデュアルステレオスピーカーが最大の魅力 。
ディスプレイ:小さなボディに宿る、圧倒的な高精細スクリーン
ここでは、TRIMUI BRICKのディスプレイが持つ魅力について、その驚異的なスペックから実際の使用感までを詳しくレビューしていきます。多くのライバル機と一線を画す、このスクリーンの実力に焦点を当てます。
スペックの数字を超える、驚きの鮮明さ
TRIMUI BRICKのディスプレイは、3.2インチというコンパクトなサイズに、1024×768ピクセルという驚異的な解像度を詰め込んでいます 。一見すると、ANBERNIC RG40XXVの4インチスクリーンのほうが大きく、魅力的に感じるかもしれません。しかし、実際に両者でゲームを起動してみると、その印象は一変します。RG40XXVの解像度が640×480であるのに対し 、TRIMUI BRICKのピクセル密度は400PPIにも達し 、「フラッグシップスマートフォン級の鮮明さ」と評されるのも納得の美しさです 。
<タテ型携帯ゲーム機とディスプレイサイズと解像度を比較>
- TRIMUI BRICK・・・3.2インチ、解像度1024×768 pxのIPS
- ANBERNIC RG40XXV・・・4.0インチ、解像度640 x 480 pxのIPS
- Powkiddy RGB20SX・・・4.0インチ、解像度 720 x 720 px のIPS
<TRIMUIゲーム機でディスプレイを比較>
- 1.「TRIMUI BRICK」・・・3.2インチ、解像度1024 x 768 pxのIPS
- 2.「TRIMUI SMART PRO」・・・4.96インチ、解像度1280 x 720 pxのIPS
- 3.「TRIMUI SMART」・・・3.5インチ、解像度640 x 480 pxのIPS
- 4.「TRIMUI MODEL S」・・・2.0インチ、解像度320 x 240 pxのIPS
レトロゲーム体験を格上げする映像美
この高精細スクリーンは、特にドット絵で描かれたクラシックゲームの魅力を最大限に引き出してくれます。例えば、『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』をプレイした際 、キャラクターの細かいアニメーションや背景の緻密な描き込みが、一つ一つのピクセルまでくっきりと見え、まるで初めてプレイしたかのような新鮮な感動を覚えました。4:3というアスペクト比は、これらのレトロゲームを画面いっぱいに表示するのに最適です 。ただし、PSPのような16:9のゲームでは上下に大きな黒帯が表示されるため、この点は用途を選ぶかもしれません 。
日光の下でも負けない、圧倒的な輝度
このディスプレイの真価は、屋外に持ち出したときにこそ発揮されます。最大輝度は実測で655nitを記録しており 、これはANBERNIC RG40XXVが「屋外では見にくい」と評されるレベルを遥かに凌駕します 。天気の良い日に公園のベンチで遊んでみましたが、画面の視認性は十分に確保され、ストレスなくゲームに集中できました。思わず「ニッコリしてしまうほどの明るさ」という他のユーザーの意見にも、心から共感できます 。この視認性の高さは、携帯ゲーム機としての価値を大きく高める要素です。
没入感を深める、シームレスなデザイン
ディスプレイの品質は、その物理的な作り込みにも表れています。ガラスと液晶の間に隙間のない「フルラミネーションディスプレイ」を採用しているため 、外光の反射が少なく、映像がまるでガラスの表面に浮かんでいるかのように見えます。さらに、ベゼル(額縁)が非常に薄く、本体とディスプレイが一体化した「ツライチ」設計になっていることで 、ゲーム画面への没入感が格段に向上しています。この洗練されたデザインが、TRIMUI BRICKに特別なプレミアム感を与えているのです 。
まとめ:ディスプレイ
- 解像度と鮮明さ: 3.2インチの小型画面に1024×768の高解像度を搭載 。400PPIのピクセル密度が、レトロゲームのドット絵や文字を驚くほどシャープに映し出す 。
- 輝度と視認性: 最大655nitという圧倒的な明るさを誇り、ANBERNIC RG40XXVが苦手とする日光の下でも快適なプレイを実現する 。
- アスペクト比と適合性: 4:3の比率はレトロゲームに最適だが 、PSPなどの16:9コンテンツでは黒帯が大きく表示されるため不向き 。
- デザイン品質: フルラミネーション加工と極薄ベゼルが、反射の少ないクリアな表示と高い没入感を提供し、デバイスのプレミアム感を高めている 。
パフォーマンス:見た目以上の実力、レトロゲームの快適動作を検証
ここでは、TRIMUI BRICKの中核であるCPUとメモリの性能に焦点を当て、どの時代のゲームまで快適に楽しめるのか、そのパフォーマンスの実力を詳しく検証していきます。この小さなボディに秘められた、見た目以上のパワーに迫ります。
バランスの取れたエントリークラスの処理性能
TRIMUI BRICKは、CPUにAllwinner A133P(4コア 1.8GHz)、GPUにPowerVR GE8300、そして1GBのRAMを搭載しています 。これはエントリークラスの構成ですが、レトロゲームを遊ぶには十分なスペックです 。
ANBERNIC RG40XXVが搭載するAllwinner H700(1.5GHz)と同じくARM Cortex-A53コアをベースにしており、パフォーマンスの目標は近いものの、TRIMUI BRICKのほうがCPUのクロック周波数がわずかに高く設定されています。この差が、実際のゲームプレイでどう影響するのか、非常に興味深い点です。
<プロセッサとメモリを比較>
- 1.「TRIMUI BRICK」・・・Allwinner A133P + 1GB LPDDR3
- 2.「TRIMUI SMART PRO」・・・Allwinner A133 plus + 1GB LPDDR4
- 3.「TRIMUI SMART」・・・Allwinner S3 + 128MB DDR3
- 4.「TRIMUI MODEL S」・・・Ingenic JZ4770 + 512MB DDR2
得意領域はプレイステーション(PS1)世代まで
このデバイスが最も輝くのは、やはり8ビットから32ビットの世代です。スーパーファミコンやメガドライブはもちろんのこと、プレイステーション(PS1)のゲームまで、驚くほど快適に動作します 。実際に『ファイナルファンタジーVII』の壮大な召喚獣の演出や、『クラッシュ・バンディクー』の目まぐるしいステージをプレイしてみましたが、処理落ちなどを感じることなく、スムーズなゲーム体験に没頭できました。この時代のゲームを遊び尽くしたいという目的であれば、TRIMUI BRICKの性能は完璧と言っていいでしょう 。
設定次第で広がる、PSPやドリームキャストの世界
さらに上の世代にも挑戦してみました。携帯ゲーム機ながら、PSPのゲームがこの小さな筐体で想像以上にきびきびと動いたことには、素直に感動しました 。例えば『リッジレーサーズ』のようなレースゲームも、フレームスキップを適切に設定することで、十分にプレイ可能なレベルで楽しめます 。ドリームキャストやニンテンドウ64も同様に、ゲームによっては設定を詰めることで動作します 。
ただし、これらのゲームの多くはアナログ操作を前提としているため、アナログスティック非搭載のTRIMUI BRICKでは、その魅力を完全に引き出すのは難しいかもしれません。これは、アナログスティックを備えるANBERNIC RG40XXVとの大きな違いです。
限界を知り、ポテンシャルを引き出す
一方で、明確な性能の限界も存在します。特にセガサターンのエミュレーションは動作が厳しく、快適なプレイは推奨されていません 。この潔い線引きは、購入前に知っておくべき重要なポイントです。また、本体のFnキーでパフォーマンスモードに切り替えられますが、効果は限定的です 。
しかし、このデバイスの真価は、カスタムファームウェア(CFW)を導入することでさらに引き出せます。標準のOSでも十分楽しめますが、より高いパフォーマンスを求めるなら、CrossMixOSなどを導入することで、このハードウェアが秘めたポテンシャルを解放できるでしょう 。
まとめ:パフォーマンス(CPU性能とメモリ)
- 基本性能: Allwinner A133P(1.8GHz)を搭載 。ANBERNIC RG40XXV(1.5GHz)と同クラスのCPUですが、クロック周波数では僅かに上回ります。
- 得意な領域: プレイステーション(PS1)までの8〜32ビット世代のゲームは、ほぼ完璧で快適な動作を期待できます 。
- 挑戦的な領域: PSPやドリームキャストは、フレームスキップなどの設定次第でプレイ可能です 。ただし、アナログスティック非搭載のため、一部のゲームでは操作性に制約があります。
- 限界と将来性: セガサターンの動作は困難です 。カスタムファームウェアの導入により、パフォーマンスがさらに向上する可能性を秘めています 。
操作性:思想が異なる二つの入力体験、TRIMUI BRICK対RG40XXV
ここでは、TRIMUI BRICKの操作性に焦点を当て、その独特のボタンの感触から、ANBERNIC RG40XXVとの思想的な違いまで、実際にゲームをプレイして感じたことを徹底的に比較レビューしていきます。どちらが自分のプレイスタイルに合うのか、その答えが見つかるはずです。
設計思想の激突:デジタル特化か、柔軟なハイブリッドか
この二つのデバイスの操作性を比較したとき、最大の違いはアナログスティックの有無に集約されます 。TRIMUI BRICKは、アナログスティックを完全に排除し、「8ビットから32ビット時代のゲーム体験」にすべてを捧げたデジタル特化機です。
<操作性を比較>
- 1.「TRIMUI BRICK」・・・十字キー、ABXYボタン、ショルダーボタン
- 2.「TRIMUI SMART PRO」・・・ジョイスティック、十字キー、ABXYボタン、ショルダーボタン
- 3.「TRIMUI SMART」・・・十字キー、ABXYボタン
- 4.「TRIMUI MODEL S」・・・十字キー、ABXYボタン
一方、ANBERNIC RG40XXVは、高品質な十字キーに加え、RGBで光るアナログスティックを1本搭載したハイブリッド機です 。これにより、RG40XXVは擬似操作では厳しいゲームも柔軟にこなせますが 、TRIMUI BRICKはその潔さゆえに、ターゲットを明確に絞っているのです。
ボタンの感触:瞬発力のBRICKか、確実性のRG40XXVか
この思想の違いは、十字キーとフェイスボタンの感触にも明確に表れています。TRIMUI BRICKは、Joy-Conのような「プチプチ」とした小気味よいドームスイッチを採用しています。ストロークが0.7mmと浅く、瞬時の入力に極めて高い応答性で応えてくれます。実際に『ストリートファイターZERO3』をプレイすると、このクリック感がコンボの入力タイミングを小気味よく知らせてくれ、まさに格闘ゲームに最適だと感じました。
対照的に、ANBERNIC RG40XXVは、ストロークが1.2mmと深く、しっかりとした押し心地のメンブレン方式です 。こちらは「ツルッとした質感で、硬めのラバー」を押し込む感覚があり、一つの入力を確実に行ったという手応えがあります 。どちらが優れているというわけではなく、瞬発的な反応速度を求めるならTRIMUI BRICK、一つ一つの入力をじっくり確実に行いたいならANBERNIC RG40XXVと、好みが分かれるでしょう。
持ちやすさとホールド感:軽快な「つまみ持ち」か、安定の「握り込み」か
本体の形状とサイズも、操作感に大きく影響します。小型軽量なTRIMUI BRICKは、指先で軽快に操作する「つまみ持ち」に最適です。コンパクトながら中身が詰まった密度感があり、安っぽさは感じません。対して、一回り大きなANBERNIC RG40XXVは、手のひら全体でしっかりと握り込むことができます 。35XXシリーズでは小さいと感じていた手にも馴染む安定感は、特に長時間のプレイで疲労度の差として現れるかもしれません 。
ショルダーボタンの個性:究極のカスタマイズ性か、洗練された形状か
ショルダーボタンにも、両者の個性は色濃く反映されています。ANBERNIC RG40XXVは、刷新されたアーチ状のボタンが指に馴染み、非常に押しやすい形状をしています 。ただし、押し心地は「ポコポコ」とした感触で、内部で音が響く感じが少しチープに感じることもありました 。
一方、TRIMUI BRICKの初期ボタンはやや物足りないものの、その真価は工具不要で簡単にパーツを交換できる究極のカスタマイズ性にあります。付属のパーツに交換するだけで、自分だけの最高の押し心地を追求できる楽しみは、TRIMUI BRICKならではの大きな魅力です。
まとめ:操作性
- コンセプトの違い: TRIMUI BRICKはD-pad時代のゲームに特化したデジタル純粋機。ANBERNIC RG40XXVはアナログスティックを備え、より広い世代に対応するハイブリッド機です。
- ボタンの感触: TRIMUI BRICKは「プチプチ」とした感触の浅いドームスイッチで、応答性に優れます。対するRG40XXVは、深くしっかりとした押し心地のメンブレン方式です 。
- エルゴノミクス: 小型なTRIMUI BRICKは軽快な「つまみ持ち」に、大型のRG40XXVは安定した「握り込み」に適しており、手の大きさやプレイ時間によって好みが分かれます 。
- ショルダーボタン: TRIMUI BRICKはユーザーが交換できる究極のカスタマイズ性が光る一方、RG40XXVは初期状態で優れた形状を持ちますが、押し心地がややチープであると感じます。
OSとエミュレーター・機能:シンプルさの裏に隠された、豊富なカスタマイズ性
ここでは、TRIMUI BRICKのOS(オペレーティングシステム)と、その多彩な機能について詳しくレビューしていきます。標準OSの具体的な構成から、このデバイスの真価を引き出すカスタムファームウェア、そしてライバル機にはないユニークな機能まで、その魅力と注意点を掘り下げます。
分かりやすい標準OSと、その先に広がる可能性
TRIMUI BRICKは、Linuxベースの独自OS(Tina)を搭載しており、そのユーザーインターフェースは非常に分かりやすく整理されています 。メインメニューは、エミュレーターを管理する『Games』、対応PCゲーム用の『Ports』、各種ツールが集約された『Apps』、そして本体設定を行う『Settings』といった項目で構成されており、初めて触る人でも迷うことはないでしょう 。
しかし、このシンプルさの裏で、付属のmicroSDカードにはいわゆる「ジャンクROM」が多数含まれている点には注意が必要です。快適なゲームライフのためには、まず手持ちのゲームコレクションを整理し、信頼性の高いブランドのSDカードに入れ替えることを強くお勧めします 。また、標準OSは機能的ですが、いくつかの不安定な挙動も見られるため、このデバイスの真価を体験するには、MinUIやCrossMixOSといったカスタムファームウェア(CFW)の導入が有効な選択肢となります 。
豊富なエミュレーターに対応
TRIMUI BRICKは100種類以上のエミュレーターに対応しています。具体的にはPSP、ドリームキャスト、ニンテンドー64をはじめ、
ネオジオ、PCエンジン、スーパーファミコン、ゲームボーイ(アドバンス、カラーを含む)、メガドライブ、セガ マスターシステム、カプコンアーケード、MEMEなど、豊富なレトロゲームをプレイできます。
一方、「ANBERNIC RG40XXV」は30種類 以上のエミュレーターに対応していましたが、TRIMUI BRICKはカスタマイズすることでより多くのゲームをプレイできるのが魅力です。
また、セーブ機能やゲームの追加(吸出しROMの追加・レトロアーチの設定も利用可)に対応。
収録ゲームはmicroSDカードに数千タイトルが収録され、現在は64GB、256GBの2種類が用意されています。
なお、ユーザーインターフェースはシンプルで分かりやすい「TRIMUI Theme」で、コントロール(操作)やパフォーマンスなど、様々な設定をカスタマイズすることが可能です。
「CrossMix OS」はGit Hubで公開されており、自分でインストールすることもできます。
cizia64/CrossMix-OS: Enhanced OS for the TrimUI Smart Pro
<対応エミュレーター数を比較>
- TRIMUI BRICK・・・100種類以上に対応
- ANBERNIC RG40XXV・・・30種類 以上に対応
ゲーム体験の核となるエミュレーター性能
本機のパフォーマンスは、Miyoo MiniやANBERNIC RG35XXを上回り、RG353シリーズに迫る実力を持っています 。この性能により、スーパーファミコンやプレイステーション(PS1)までのゲームは驚くほど快適に動作します 。実際にPS1のゲームをいくつかプレイしましたが、処理落ちなどを感じることなく、スムーズな体験に没頭できました 。
さらに上の世代であるPSPやニンテンドウ64も、ゲームによっては設定を詰めることでプレイ可能です 。ただし、これらのシステムではパフォーマンスにばらつきがあり 、特にセガサターンのような高負荷なシステムのプレイは推奨されていません 。このデバイスは、PS1以前の膨大なライブラリを遊び尽くすための最適なマシンと言えるでしょう 。
ライバル機を凌駕する、光と音の演出
TRIMUI BRICKがANBERNIC RG40XXVのようなライバル機と一線を画すのは、そのユニークなハードウェア機能です。まず、本体各所に散りばめられたLEDライトは、メニュー項目やエミュレーターごとに色が変わるなど、単なる装飾以上の役割を果たします 。ANBERNIC RG40XXVがアナログスティック周りの単一のリングライトなのに対し、TRIMUI BRICKは背面上部のバーや前面のファンクションキーまで連動して光り、視覚的な楽しさを演出してくれます 。
そして、最大の魅力は、本体前面に搭載されたデュアルステレオスピーカーです 。『クロノ・クロス』の美しいサウンドトラックを聴いたとき、シングルスピーカーのRG40XXVでは味わえない、左右に広がる豊かな音響空間に深く感動しました。この優れた音響体験は、ゲームへの没入感を格段に高めてくれます。
痒い所に手が届く、強力なファンクションキー
操作性を飛躍的に向上させているのが、自由に機能を割り当てられる物理ファンクションキーの存在です 。『Apps』内の『Fnkey setting』から、CPUパフォーマンスの変更、LEDのオン・オフ、さらには連射機能といった多彩な設定を割り当てることが可能です 。ゲーム中に設定画面を開くことなく、ワンタッチで機能を呼び出せるこの仕組みは、一度使うと手放せなくなるほど便利です。
まとめ:OSと機能(エミュレーター)
- OSとUI: LinuxベースのOSは「Games」「Apps」など分かりやすい項目で構成されていますが 、真の性能と安定性を引き出すにはCFWの導入が推奨されます 。
- エミュレーター性能: RG353シリーズに近い性能を持ち、PS1までは快適な動作が可能です 。PSPやN64は設定次第で動作します 。
- ライティングとサウンド: RG40XXVの単一ライトとは異なり、メニュー毎に変化もする豊富なLEDが特徴です 。デュアルステレオスピーカーは、シングルスピーカーのライバル機を凌駕する大きな利点です 。
- 独自の機能性: 物理FNキーにCPU性能変更や連射機能などを自由に割り当て可能で 、その高いカスタマイズ性が魅力です。
バッテリー性能:優秀な持続時間と、少しの我慢が必要な充電
ここでは、TRIMUI BRICKのバッテリー性能と充電について、実際の使用感に基づきレビューします。長時間のプレイを支えるスタミナと、そのエネルギーを補給する際の注意点まで、詳しく見ていきましょう。
外出先でも安心、信頼できるバッテリー持続時間
TRIMUI BRICKは3000mAhのバッテリーを搭載しており、公称通り約5時間の連続プレイが可能です 。実際に休日に持ち出して遊んでみましたが、この持続時間は外出先でのゲームセッションには十分な長さだと感じました。
<バッテリー容量を比較>
- 1.「TRIMUI BRICK」・・・3000 mAh
- 2.「TRIMUI SMART PRO」・・・5000 mAh
- 3.「TRIMUI SMART」・・・1200 mAh
- 4.「TRIMUI MODEL S」・・・600 mAh
一方、ANBERNIC RG40XXVは、やや大きい3200mAhのバッテリーで約6時間の駆動時間となっており、スペック上は僅かに上回っていますが、実用上、TRIMUI BRICKのスタミナに不満を感じることはありませんでした 。むしろ、これだけコンパクトな筐体で5時間も遊べることに満足感を覚えます。
このデバイス真の魅力、卓越したスタンバイ性能
このデバイスで私が最も感動したのは、その卓越したスリープ(スタンバイ)性能です。他の携帯ゲーム機の中には、スリープ中にもじわじわとバッテリーを消費してしまうものがありますが、TRIMUI BRICKはスリープ中の電力消費が最小限に抑えられています 。
例えば、通勤中に15分ほどプレイしてスリープさせ、数日後にカバンから取り出しても、ほとんどバッテリーが減っていないのです。これにより、充電のことをあまり気にせず、生活の隙間時間に「少しだけプレイする」というスタイルを気兼ねなく楽しむことができます。
計画性が求められる充電スピード
一方で、唯一「我慢が必要」だと感じたのが充電性能です。充電ポートは最新のUSB Type-Cを採用しているものの、急速充電には対応していません 。そのため、バッテリーを空の状態から満充電にするには、相応の時間がかかります 。就寝前に充電をセットし忘れると、翌朝に「少しだけ充電して持ち出す」という使い方は難しいでしょう。長時間の旅行や外出の際には、前夜からの計画的な充電が不可欠です。この点は、購入前に留意しておくべきポイントと言えます。
まとめ:バッテリーと充電
- 持続時間: 3000mAhのバッテリーを搭載し、公称通り約5時間の連続プレイが可能です 。ANBERNIC RG40XXV(3200mAhで約6時間)よりわずかに短いものの、実用上十分なスタミナを持っています 。
- スタンバイ性能: スリープ中のバッテリー消費が非常に少なく、数日間放置しても安心できます 。断続的なプレイスタイルに最適です。
- 充電速度: USB-Cポートを搭載しているものの、急速充電には非対応です 。充電には時間がかかるため、計画的な充電が必要となります 。
- その他: 本体各所のLEDライトを点灯させると、バッテリー消費は若干早まる傾向にあります 。
通信と拡張性:ストリーミングの可能性と、割り切られた外部出力
ここでは、TRIMUI BRICKの通信性能と拡張性、そして外部への映像出力についてレビューします。このデバイスがどのような使い方で輝き、どのような場面では不向きなのか、その設計思想に迫ります。
Wi-Fiで広がる、PCゲームストリーミングの世界
TRIMUI BRICKはWi-Fi 4 (802.11 b/g/n) とBluetoothに対応しており、ワイヤレスイヤホンを接続したり、ネットワーク機能を利用したりすることが可能です 。このWi-Fi機能の最大の魅力は、PCゲームストリーミングアプリ「Moonlight」に対応している点です 。実際に試してみると、書斎にある私のゲーミングPCで起動した『ELDEN RING』を、リビングのソファに寝転がりながらTRIMUI BRICKで快適にプレイするという、夢のような体験ができました。
ただし、ANBERNIC RG40XXVは、より高速で安定した5GHz帯も利用できるWi-Fi 5に対応しています 。通信環境が混雑しがちな場所では、RG40XXVのほうがストリーミング体験において有利になる可能性があるでしょう。
便利な専用USBホストポートによる拡張性
TRIMUI BRICKのユニークな点として、本体上部、ショルダーボタンの間に配置されたUSB-Cホストポートが挙げられます 。これは充電用のポートとは別に、有線コントローラーなどの周辺機器を直接接続するためのものです 。友人が遊びに来た際に、このポートに手持ちのUSBコントローラーを接続したところ、すぐに2人での協力プレイが可能になりました。変換アダプターを必要としないこの手軽さは、非常にスマートで便利な機能だと感じました。
割り切られた思想、非搭載の映像出力
このデバイスを評価する上で、最も重要な点が映像出力機能です。結論から言うと、TRIMUI BRICKにはHDMIなどの外部映像出力端子が一切搭載されていません 。これは、mini HDMIポートを備え、テレビへの大画面出力を手軽に実現できるANBERNIC RG40XXVとの決定的な違いです 。
この仕様は、TRIMUI BRICKが「単体で完結する、純粋なポータブル機」であるという、開発者の強いメッセージだと私は解釈しました。もし、あなたが携帯ゲーム機を家庭用ゲーム機のようにテレビに繋いで遊びたいと考えているのであれば、迷わずANBERNIC RG40XXVを選ぶべきです。TRIMUI BRICKは、あくまでその美しい3.2インチの画面の中で、すべてのゲーム体験が完結するように設計されているのです。
まとめ:通信性能と拡張性
- ワイヤレス通信: Wi-Fi 4とBluetoothに対応し、MoonlightによるPCゲームストリーミングが可能です 。ただし、より高速なWi-Fi 5対応のRG40XXVに比べ、通信環境によっては不利な場合があります 。
- 有線拡張性: 本体上部に専用のUSB-Cホストポートを搭載しており、アダプターなしで有線コントローラーなどを接続できる利便性があります 。
- 映像出力: HDMIなどの映像出力機能は非搭載です 。テレビなどへの外部出力を重視する場合は、mini HDMIポートを持つANBERNIC RG40XXVが適しています 。
- 設計思想: 本体の機能は、あくまで単体で完結する「ポータブル機」としての体験に特化しています。
「TRIMUI BRICK」と「ANBERNIC RG40XXV」の主な違い
ここでは、2024年に登場した注目のタテ型携帯ゲーム機、「TRIMUI BRICK」と「ANBERNIC RG40XXV」の主な仕様と特徴を比較し、それぞれの違いを分かりやすく解説します。
ディスプレイ
- TRIMUI BRICK: 3.2インチ 、解像度1024×768 、400 PPI 、最大輝度655nit
- ANBERNIC RG40XXV: 4.0インチ 、解像度640×480 、最大輝度339nit
- 違い: TRIMUI BRICKは画面サイズこそ小さいものの、解像度と輝度でRG40XXVを圧倒しており、より高精細で屋外でも見やすいディスプレイを搭載しています 。一方、RG40XXVは物理的な画面の大きさを重視しています 。
本体サイズと携帯性
- TRIMUI BRICK: 159g 、高さ109.9mm × 幅73.2mm
- ANBERNIC RG40XXV: 216g 、長さ13.9 cm × 幅9.2 cm
- 違い: TRIMUI BRICKの方が大幅に小型・軽量で、ポケットに入れて持ち運ぶ際の携帯性に優れています 。
アナログスティック
- TRIMUI BRICK: 非搭載
- ANBERNIC RG40XXV: 1本搭載(RGBライト付き)
- 違い: RG40XXVはアナログスティックを備えるため、N64やPSPなどの3Dゲームにも対応しやすい汎用性があります 。TRIMUI BRICKは十字キー操作が中心の、よりクラシックなゲームに特化した設計です 。
外部映像出力
- TRIMUI BRICK: 非搭載
- ANBERNIC RG40XXV: ミニHDMIポート搭載
- 違い: RG40XXVはテレビやモニターに接続して大画面でプレイできますが、TRIMUI BRICKはその機能を持ちません 。これはデバイスのコンセプトの根本的な違いを示しています。
スピーカー
- TRIMUI BRICK: ステレオスピーカー(2基)搭載
- ANBERNIC RG40XXV: シングルスピーカー(1基)搭載
- 違い: TRIMUI BRICKは左右に配置されたステレオスピーカーにより、より臨場感のあるサウンド体験が可能です 。
カスタマイズ性
- TRIMUI BRICK: 豊富なLEDライト 、交換可能なショルダーボタン(3種類付属)
- ANBERNIC RG40XXV: ジョイスティック部のRGBライトのみ
- 違い: TRIMUI BRICKは、物理的なパーツ交換を含め、ユーザーが外観をカスタマイズして楽しむ要素が豊富に盛り込まれています 。
CPUとメモリ
- TRIMUI BRICK: Allwinner A133P (1.8GHz) , 1GB LPDDR3 RAM
- ANBERNIC RG40XXV: H700 (1.5GHz) , 1GB LPDDR4 RAM
- 違い: TRIMUI BRICKはCPUのクロック周波数が高い一方、RG40XXVはより新しい規格のLPDDR4メモリを採用しており、一長一短があります 。
Wi-Fi性能
- TRIMUI BRICK: Wi-Fi 4 (802.11 b/g/n)
- ANBERNIC RG40XXV: Wi-Fi 5 (802.11 a/b/g/n/ac)
- 違い: RG40XXVはより高速で安定したWi-Fi 5に対応しており、ストリーミングなどの通信機能において有利です 。
まとめ:TRIMUI BRICKとANBERNIC RG40XXVの違い
「ANBERNIC RG40XXV」は、4インチの大型画面、アナログスティック、HDMI出力を備え、幅広い用途に対応できる汎用性の高いモデルです 。
一方、「TRIMUI BRICK」は、アナログスティックや映像出力を割り切り、その分を圧倒的な高精細ディスプレイ、優れた携帯性、高いカスタマイズ性に注力した、より尖ったコンセプトのデバイスと言えるでしょう 。どちらを選ぶかは、ユーザーが携帯ゲーム機に何を最も重視するかによって決まります。
TRIMUI BRICKのメリット・デメリット
「TRIMUI BRICK」は、特定の用途において非常に高い満足感を提供する一方で、いくつかの明確な弱点も抱えています。ここでは、その長所と短所を、競合する携帯ゲーム機と比較しながら詳しく解説します。
【メリット】
メリット1:圧倒的な画面解像度と輝度
3.2インチというコンパクトな画面に、1024×768ピクセルという高解像度を搭載しています 。これにより、ピクセル密度は400PPIを超え、レトロゲームのドット絵やテキストが驚くほど鮮明に表示されます 。また、最大655nitという高い輝度を誇り、ANBERNIC RG40XXVが苦手とする日光の下でも、優れた視認性を確保します 。
メリット2:高いビルドクオリティと優れたデザイン性
その名の通り「レンガ」のような、中身が詰まった高い剛性感が特徴です 。背面に金属製プレートを採用することで、安っぽさを感じさせず、所有する喜びを与えてくれます 。Analogue Pocketを彷彿とさせるミニマルで洗練されたデザインも、他の多くの携帯ゲーム機と一線を画す魅力です 。
メリット3:優れたサウンドと豊富なカスタマイズ機能
本体前面に配置されたデュアルステレオスピーカーは、シングルスピーカーのANBERNIC RG40XXVを明らかに凌駕する、広がりのあるクリアなサウンドを提供します 。また、工具なしで交換可能なショルダーボタンや、本体各所のLEDライトなど、ユーザーが自分好みにカスタマイズできる豊富な機能も大きな長所です 。
メリット4:快適な操作感のボタンと十字キー
主要なボタンと十字キーには、小気味よいクリック感が特徴のドームスイッチが採用されています 。応答性が高く、入力精度も優れているため、精密な操作が求められるアクションゲームや格闘ゲームも快適にプレイできます 。
メリット5:優秀なスタンバイ性能
スリープ中のバッテリー消費が非常に少ない点も、特筆すべきメリットです 。数日間カバンに入れて放置しても、バッテリー残量を気にすることなく、中断したところからすぐにゲームを再開できます 。この仕様は、生活の隙間時間に少しずつプレイするスタイルに最適です。
【デメリット】
デメリット1:ジョイスティックレバーで操作できない
「TRIMUI BRICK」はジョイスティックレバー(アナログスティック)を搭載していません 。そのため、アナログ操作が前提となるニンテンドウ64やPSPの一部のゲームでは、その魅力を十分に活かせません。特にシューティングゲームや格闘ゲームでの微妙な動きや高速な移動に関する操作は、十字キーだけではやや不便です。一方、ANBERNIC RG40XXVや前モデル「Trimui Smart Pro」はアナログスティックを搭載しています 。
デメリット2:外部への映像出力ができない
本体にはHDMIなどの映像出力端子が搭載されていません 。そのため、テレビやモニターに接続して大画面でゲームを楽しむことはできません。手軽に外部出力が可能なmini HDMIポートを持つANBERNIC RG40XXVと比較すると、これは明確な弱点です 。あくまで単体で完結するポータブル機と割り切る必要があります。
デメリット3:充電速度が遅い
USB Type-Cポートを搭載しているものの、急速充電には対応していません 。バッテリーが空の状態から満充電になるまでには時間がかかるため、長時間の外出前には計画的な充電が必須となります 。
デメリット4:メモリの規格がやや古いDDR3規格
「TRIMUI BRICK」は1GBのLPDDR3メモリを搭載しています 。DDR3規格は最大転送速度が2133 MT/s(メガトランスファー/秒)で、より新しいDDR4メモリの最大転送速度3200 MT/s以上に比べるとやや遅くなります。一方、前モデル「Trimui Smart Pro」は1GBのDDR4メモリを搭載していました。
デメリット5:標準OSの完成度と初期設定
標準でインストールされているOSは、初心者にも分かりやすい一方で、いくつかのバグや不安定な挙動が報告されています 。また、付属のSDカードには整理されていない「ジャンクROM」が多く含まれているため、ユーザー自身での環境整備が推奨されます 。最高の体験を得るには、カスタムファームウェアの導入を検討するのが良いでしょう。
TRIMUI BRICKのスペック(仕様)
- ディスプレイ 3.2インチ、解像度1024 x 768 pxのIPS
※OCAフルフィット/400ppi - プロセッサ Allwinner A133P
※28mm/64bit/4コア/最大1.8GHz - GPU PowerVR SGX 540 / PowerVR GE8300 660MHz
- RAM(メモリ) 1GB LPDDR3
- ストレージ システム用:8GB eMMC、ゲーム用: 64GB TF (最大256GBまで)
- 外部ストレージ microSDカードで最大256GBまで
- バッテリー 3000 mAh
- 駆動時間 5時間
- 充電 Type-C (5V/2A) ※シャットダウン充電対応
- ワイヤレス通信 Wi-Fi 5 (2.4GHz)、Bluetooth 4.2 (2.1 + EDR)
- インターフェース USB Type-C (OTG) x2、TFカードスロット、3.5mmオーディオジャック
- スピーカー デュアル ステレオスピーカー 1W x2
- マイク モノラルマイク
- 操作 ジョイスティック x2 (RGBライト付き)、十字キー、A/B/X/Y、R1/R2/L1/L2トリガーボタン、カスタムスイッチ
- ライト 右電源ボタンと充電インジケータライト、RGBトップ雰囲気ライトバー、L1/L2/R1/R2ファンクションキーライト、F1/F2 RGBインジケータライト
- ファンクションキー カスタム FN スイッチ、フロントパネル F1/F2 ショートカットキー
- バイブレーション シングルチャンネル振動モーター
- セーブ機能 9つまで保存可
- ゲームの追加 対応(microSDカード経由)
- システム言語 英語、中国語
- 筐体 BSプラスチック、ガラス
- UI TRIMUI Theme
- OS Linux ベースのCrossMix OS (Specially customized systems)※OTAアップグレード対応
- サイズ 109.9 x 73.2 x 19.9 mm
- 重量 159g
- カラー ホワイト、ブラック、レッド、パープル
- 付属品 説明書 x1、電源ケーブル x1、ケース x1、キーキャップ x1
TRIMUI BRICKの評価
7つの基準で「TRIMUI BRICK」を5段階で評価してみました。
【項目別評価】
画面の見やすさ:★★★★★
3.2インチながら高解像度・高輝度で、レトロゲームのドット絵を驚くほど鮮明に表示します。屋外での視認性も非常に高いです。
パフォーマンス:★★★★☆
PS1世代までのゲームは快適に動作します。PSPなども一部動作しますが、より高性能を求めるなら上位機種が選択肢となります。
操作性:★★★☆☆
十字キーとフェイスボタンの感触は素晴らしいですが、アナログスティック非搭載のため、プレイできるゲームが限定されるのが大きなマイナス点です。
機能性:★★★★☆
デュアルスピーカーや豊富なLED、便利なFNキーなどユニークな機能が満載です。ただし、映像出力機能がない点が悔やまれます。
デザイン:★★★★★
高密度で堅牢な造りと、ミニマルで洗練された外観は、所有欲を満たす最高の仕上がりです。
使いやすさ:★★★☆☆
スリープからの復帰は快適ですが、標準OSの不安定さや充電速度の遅さなど、ユーザー側での工夫や我慢が必要な場面もあります。
価格:★★★★☆
競合より少し高価な場合もありますが、その価格を十分に正当化できる高品質な画面とビルドクオリティを備えています。
【総評:★★★★☆】
最高のポータブル体験と、TRIMUIならではの独自性
TRIMUI BRICKは、単なる高性能な携帯ゲーム機ではなく、「最高のポータブル体験」とは何かを開発者が深く追求し、具現化した一台です。
その核心は、3.2インチというコンパクトな筐体に凝縮された、圧倒的な品質のディスプレイとビルドクオリティにあります。スマートフォン並みの解像度と輝度は、いつでもどこでもレトロゲームの世界に最高の没入感で浸ることを可能にします。
そして、本作はTRIMUI初のタテ型携帯ゲーム機として、他のメーカーとは一線を画す強い独自性を放っています。特に、背面のショルダーボタンのキーキャップをユーザーが自由に交換できるというアイデアは、ANBERNICやPowkiddyといった競合がまだ手掛けていない革新的な試みです。加えて、背面がライトで光るギミックも、単なる装飾に留まらず、ゲームを盛り上げる「サービス精神」の表れであり、このデバイスが持つ遊び心を象徴しています。
性能と機能の「選択と集中」
本機は、前モデル「TRIMUI SMART PRO」と比較すると、メモリ規格の違いなどから性能面ではわずかに譲る部分があります。しかし、それは全てのリソースを「ポータブル体験の質」に注力するための、巧みな「選択と集中」の結果と言えるでしょう。アナログスティックと映像出力という二つの機能を潔く「割り切り」、その分を圧倒的な画面品質や、他に類を見ないカスタマイズ機能に振り分けているのです。
これにより、競合機である「ANBERNIC RG40XXV」とは明確な棲み分けがなされています。RG40XXVがアナログスティックとHDMI出力による「万能性」を提供するのに対し、TRIMUI BRICKは、最高の画面と操作感で「手の中だけで完結する、最も贅沢な時間」を提供することに特化しています。
こんな人におすすめ:他とは違うタテ型を求める人へ
TRIMUI BRICKは、独自のユーザーインターフェース「TRIMUI Theme」の完成度も高く、ANBERNIC製品に匹敵するほど直感的で優れた「使いやすさ」を実現しています。
もし、ANBERNICやPowkiddyの携帯ゲーム機とは一味違う、強い個性を持ったタテ型の携帯ゲーム機を探しているなら、TRIMUI BRICKは最高の選択肢となり得ます。最高の画面品質と所有欲を満たすビルドクオリティ、そして自分だけのマシンに育て上げる楽しさを何よりも重視するユーザーにとって、この「小さな巨人」は、価格以上の感動をもたらしてくれることでしょう。この機会にぜひ購入を検討してみてください。
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TRIMUI BRICKの価格・購入先
Powkiddy 公式ストア
-
- ゲームROMなしで$64.99 USD、
- 64GBで$69.99 USD、
- 128GBで$79.99 USD、
で販売されています。
Powkiddy 公式ストアで「TRIMUI BRICK」をチェックする
※支払い方法はクレジットカード、Paypal、デビットカード、Alipayです。
ECサイト
- Amazonで12,999円、
- ヤフーショッピングで9,980円(送料別)、
- AliExpressで8,865円(ゲームROMなし)、
- 米国 Amazon.comで$75.99、
で販売されています。
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楽天市場で「TRIMUI」をチェックする
ヤフーショッピングで「TRIMUI」をチェックする
AliExpressで「TRIMUI BRICK」をチェックする
米国 Amazon.comで「TRIMUI BRICK」をチェックする
※AliExpressでの購入方法・支払い方法はこちらのページで紹介しています。
AliExpressで激安ガジェットをお得に購入する方法を徹底 解説

おすすめの類似製品を紹介
「TRIMUI BRICK」に似た性能をもつスマートフォンも販売されています。
ANBERNIC RG 35XXPro
ANBERNICから発売された3.5インチのLinux携帯ゲーム機です(2025年6月 発売)。
Allwinner H700、LPDDR4 1GB、解像度640 x 480 pxのIPS液晶、3200 mAhバッテリー、Linux OSを搭載しています。
また、デュアル アナログジョイスティックレバー、30種類以上のエミュレーター、HDMI映像出力、ストリーミングプレイ、オンライン対戦、振動効果、メディア再生機能(音楽、動画)、「WiliWiliオンライン再生機能」、無線/有線/Bluetoothコントローラー接続、高音質スピーカー、ゲームの追加、セーブ機能、Type-Cポート(OTG)、Wi-Fi 5、Bluetoothに対応しています。
価格は、AliExpressで64GBモデルが8,421円、128GBモデルが10,637円、256GBモデルが12,855円、です。
関連記事:ANBERNIC RG 35XXPro徹底レビュー!操作性だけでない魅力と評価
Retroid Pocket Classic
Retroidから発売された3.92インチのタテ型 Android携帯ゲーム機です(2025年4月 発売)。
Android 14、Qualcomm Snapdragon G1 Gen 2、4GBまたは6GB LPDDR4x RAM、AMOLED液晶(有機EL・1240 x 1080 px)、5000 mAhバッテリー、TFカードスロットを搭載しています。
また、アクティブ冷却システム、異なるボタンレイアウトのCLASSIC 6 (X, Y, Z, A, B, C) と CLASSIC 4 (X, Y, B, A) の2つのモデル、ストリーミング機能、ゲームアシスタント機能、Google Playストア、OTAアップデート、Androidのエミュレーター、ゲームROMの追加、USB Type-Cポート (OTG)、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.1に対応しています。
価格は、AliExpressで22,424円、です。
関連記事:Retroid Pocket Classicレビュー!性能をRG406Vと比較
POWKIDDY V20
Powkiddyから発売された最新の携帯ゲーム機です(2025年2月発売)。
LinuxベースのBATOCERA OS、3.5インチのIPSディスプレイ、Allwinner 133P-ARM、1GBのDDR3メモリ、2つのTFカードスロット (16GB-256GB)、8時間動作する5000 mAhバッテリーを搭載しています。
また、50種類以上のエミュレーター、ステッカー(2枚のデザインシール付属)、2つのジョイスティックレバー、フラットなトリガーボタン(L1/L2/R1/R2)、
急速充電(2.5時間)、ゲームの追加、セーブ機能 、外部コントローラーの接続(有線)、2つのType-C (充電, OTG)ポートに対応しています。
価格は、AliExpressで$54.99 USD (日本円で約8205円)、です。
関連記事:POWKIDDY V20 レビュー!BATOCERA搭載でPSPも快適に遊べる携帯ゲーム機
ANBERNIC RG40XXV
ANBERNICから発売された4インチの携帯ゲーム機です。Linux 64bit OS、Allwinner H700、1GB LPDDR4 メモリ、解像度640 x 480 pxのIPS液晶、64GB ストレージ(TFカード)、3200 mAhバッテリー、高音質スピーカーを搭載しています。
また、RGBライト(6種類の調整)、30種類 以上のエミュレーター、HDMI映像出力、ストリーミング プレイ (Moolight アプリ 対応)、振動モーター、ジョイスティックレバー、ショルダーボタン、ダブルTFカードスロット、Type-C x2 (OTG/電源用)、microSDカードスロット x2、miniHDMI、3.5mmイヤホンジャック、Wi-Fi 5、Bluetooth 4.2 に対応しています。
価格は、Amazonで11,999円(税込)、楽天市場で14,150円(送料無料)、ヤフーショッピングで14,560円、AliExpressで9,602円(64GB)、米国 Amazon.comで$84.99、です。
関連記事:「ANBERNIC RG40XXV」とRG35XX Plusの違いを解説
Powkiddy RGB20SX
Powkiddyから発売された4インチのLinux 携帯ゲーム機です。
RockChip RK3566、1GB DDR4メモリ、IPS液晶 (720 x 720 px )、2つのmicroSDカードスロット、10時間駆動できる5000 mAhバッテリー搭載で、
数十種類以上のエミュレーター(N64・DC・PSPゲームを含む)、2つのジョイスティックレバー、Type-Cポート(OTG)、Wi-Fi(5GHz対応)、Bluetooth、ゲームの追加、セーブ機能に対応しています。
価格は、Amazonで13,599円(税込)、AliExpressで9,647円、米国 Amazon.comで$129.99、です。
関連記事:4型ゲーム機「Powkiddy RGB20SX」の性能を詳細に解説
Kinhank K36
Kinhankから発売された4.3インチのLinux 携帯ゲーム機です。Rockchip RK3326 プロセッサと1GB DDR3L メモリ、解像度 640 x 480 px のIPS液晶、TFカードスロット、3500 mAhバッテリー搭載で、
40種類以上のエミュレーター、16000タイトル(64GB TFカードに収録)ホール効果ジョイスティックレバー、ショルダーボタン、カスタマイズされたキャビティスピーカー、ゲームの追加、セーブ機能、Type-C(OTG)、Tyoe-C(DC充電用)、3.5mm ヘッドホンジャックに対応しています。
価格は、Amazonで7,580円(税込)、楽天市場で15,999円(送料無料)、AliExpressで4,570円、米国 Amazon.comで$53.99、です。
関連記事:名作遊び放題「Kinhank K36」ゲーム機のメリット・デメリット
Miyoo mini Plus
Miyoo miniから発売されたタテ型の携帯ゲーム機です。
3.5インチのIPS液晶、256MB DDR3 メモリ、3000 mAhバッテリー、TFカードスロット、Linux OS (Retoroarch)を搭載しています。
また、13種類のエミュレーター、バイブレーション、バッテリーの交換、セーブ機能、ゲームの追加、レトロアーチ(RetoroArch)、USB Type-C (OTG)、Wi-Fi通信に対応しています。
価格は、Amazonで9,999円(税込・1500円OFF)、ヤフーショッピングで11,274円、AliExpressで5,200円、米国 Amazon.comで5,200円($12.77 OFFクーポン付き)、です。
関連記事:レビュー「Miyoo mini Plus」使って分かったメリット・デメリット
他のANBERNIC ゲーム機と比較
他にもANBERNIC のゲーム機が販売されています。2025、2024モデルもあるので、ぜひチェックしてみてください。
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