2023年11月に発売された携帯型レトロゲーム機「ANBERNIC RG35XX Plus」は、登場から時間が経った今もなお、根強い人気を誇る製品です。派手なRGBライトや最新鋭の機能を搭載しているわけではない、このシンプルなタテ型ゲーム機が、なぜ現代のゲーマーたちを惹きつけ続けるのでしょうか?
「ANBERNIC RG35XX Plus」の魅力
最大の魅力は、多くのレトロゲームファンにとって「定番」といえるゲームボーイ風のタテ型デザインを継承しつつ、その中身が現代的に、そして劇的に進化した点です。
例えば、プロセッサをH700クアッドコアに変更したことでパフォーマンスが飛躍的に向上し、旧モデルでは難しかったPSP、ドリームキャスト、ニンテンドーDSといった世代のゲームまで楽しめるようになりました。
また、新たに搭載されたWi-Fi 5を利用してPCゲームをストリーミングしたり、オンラインで対戦したりできるほか、miniHDMIポートからテレビへ簡単に映像出力し、大画面で懐かしのゲームを堪能することも可能です。
さらに、バッテリーは2600mAhから3300mAhへと大容量化され、最大8時間の連続使用に対応。ネジ一本で簡単にバッテリー交換ができるメンテナンス性の高さも、長く愛用したいユーザーにとっては見逃せないポイントです。
そのほかにも、格段に押しやすくなった人間工学デザインのショルダーボタン、バランスの取れたクリアなサウンドを再生するスピーカー、レトロゲームには十分すぎる1GBのメモリ、そして誰でも直感的に扱えるシンプルなユーザーインターフェースなど、魅力が満載です!
この記事で「ANBERNIC RG35XX Plus」を徹底解剖!
この記事では、そんな魅力あふれる「ANBERNIC RG35XX Plus」の性能や機能を、デザイン、ディスプレイ、パフォーマンス、操作性といった様々な角度から徹底的に深掘りし、その実力に迫ります。
特に、多くのユーザーが気になるであろう旧モデル「ANBERNIC RG35XX」との違いに焦点を当て、スペックや使用感がどのように進化したのかを、具体的な比較を交えながら明らかにしていきます。
【この記事で分かること】
- ANBERNIC RG35XX Plusの総合レビューと5段階評価
- 旧モデルRG35XXとの違いを徹底比較
- エミュレーター性能(PSP・ドリームキャストの動作感)
- デザインや操作性の改善点と注意点
- アナログスティック非搭載による影響と対策
- バッテリー駆動時間と充電、交換の実用性
- Wi-Fi・HDMI出力など追加機能の詳細
- メリット・デメリットの総まとめ
- カスタムファームウェア(CFW)の導入方法
- どんな人におすすめのデバイスか
- 価格と安く買うための方法
この記事を最後まで読むことで、「ANBERNIC RG35XX Plus」が本当に自分にとって必要なのか、「買い」のデバイスなのか、その判断がはっきりと分かるはずです。購入を迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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公式ページ: NEW ANBERNIC RG35XX Plus
デザイン:ANBERNIC RG35XX Plusの洗練されたボディと優れた携帯性
ここでは、ANBERNIC RG35XX Plusのデザイン、サイズ感、そして各インターフェースについて、旧モデルであるANBERNIC RG35XXとの比較を交えながら、実際に手に取って感じた魅力をお伝えしていきます。見た目の美しさだけでなく、実用性がいかに進化したかを詳しく解説します。
旧モデルから再設計された、洗練されたデザイン
初めてRG35XX Plusを手にしたとき、旧モデルであるRG35XXの面影を残しながらも、全体としてより洗練された印象を受けたことに驚きました。特に感心したのは、START/SELECTボタンの配置がわずかに下へ移動し、角度がつけられた点です 。 この細かな調整によって、本体正面の間延びした感じがなくなり、非常にバランスの取れたデザインに仕上がっています。
カラーバリエーションは、旧モデルのラインナップから一部変更され、ノスタルジックな「グレー」、そして新色として加わったクリーンな「ホワイト」と、私が選んだ質感の高い「クリアブラック」の3色展開です 。旧モデルにあったクリアパープルはなくなりましたが、どの色もそれぞれに魅力があります。特に新色のホワイトとクリアブラックは、ABXYボタンの文字が摩耗しにくいボタン内への印字に変更されており 、こうした細かな改良点にも好感が持てます。
このモデルは単なるマイナーチェンジではなく、シェル(外装)そのものが旧型からの流用ではなく、Plus専用に再設計されています 。 このこだわりが、製品全体の完成度を高めていると感じます。今回私が選んだクリアブラックのモデルは、内部の基盤が透けて見えるメカニカルな美しさと、サラサラとしたシボ加工が施されたプラスチックの質感が相まって、所有する喜びを十分に満たしてくれました。 アナログスティックがないスッキリとした見た目も、レトロゲームに特化した潔さを感じさせ、個人的には非常に好印象です。
手に馴染む絶妙なサイズと重量バランス
本体サイズは117×81×22mmで、重量は実測で187gでした 。 旧モデルのRG35XXと比較すると、バッテリー容量の増加に伴い厚みが2mm、重量が約20g増えています 。 最初は重くなったことが気になりましたが、実際に持ってみると、この適度な重量増がむしろ「塊感」や「剛性感」として感じられ、安価な携帯機にありがちなチープさを払拭しています 。
この絶妙なサイズ感のおかげで、通勤中の電車内でポケットからサッと取り出して『ファイナルファンタジータクティクス』のようなじっくり遊べるゲームを楽しむのに最適です。競合機のMiyoo Mini Plusよりも少し縦に長く、しっかりと握り込めるため、長時間のプレイでも疲れにくいのが嬉しいポイントです 。 個人的には、様々な縦型ゲーム機を試してきた中でも、このRG35XX Plusのホールド感が最も手に馴染み、窮屈さを感じさせないベストなサイズだと感じています 。
痒い所に手が届くインターフェースと改善されたスピーカー
インターフェースは、まさに必要十分なものが揃っています。上部にはテレビ出力用のminiHDMIポート、下部には充電用のUSB Type-Cポートと3.5mmイヤホンジャックが配置されています 。 そして右側面には、システム用とゲームデータ保存用の2つのmicroSDカードスロットがあり、OSとゲームを物理的に分けられるため、カスタムファームウェアを試す際などにも安心してデータを管理できるメリットがあります 。
スピーカーも明確な進化点の一つです。旧モデルRG35XXでは、高音がキンキンと耳に刺さる印象がありましたが 、RG35XX Plusでは全体的にマイルドでバランスの取れた音色へと改善されました 。 『ストリートファイターZERO3』をプレイした際も、キャラクターのボイスや効果音がクリアに聞こえ、音量を上げても耳障りにならずに楽しめました。もちろん高級オーディオのような音質ではありませんが、ゲームをプレイする上では十分に満足できるレベルに進化したと言えるでしょう。
まとめ:デザインとインターフェース
- シェルの再設計:旧モデルからシェルが再設計され、START/SELECTボタンの配置が下がり角度がつくなど、よりバランスの取れたデザインに進化した 。
- カラーバリエーション:定番の「グレー」に加え、新色の「ホワイト」と「クリアブラック」の3色展開となり、選択肢が増えた 。
- サイズと重量の変化:バッテリー容量が3300mAhに増加したことに伴い、本体は旧モデルより厚みが2mm、重量が約20g増加したが、これが剛性感や質感の向上に繋がっている 。
- 充実したインターフェース:テレビ出力用のminiHDMI、充電用のUSB-C、イヤホンジャックに加え、OSとゲームデータを分けられるデュアルmicroSDスロットを備えている 。
- スピーカー音質の改善:旧モデルの高音が刺さるような音質から、よりマイルドでバランスの取れた音色へと明確に改善された 。
ディスプレイ:ANBERNIC RG35XX Plusの美しくも実用的な画面
ここでは、ANBERNIC RG35XX Plusが搭載する3.5インチIPSディスプレイについて、その画質や発色、そして旧モデルANBERNIC RG35XXとの違いを、実際にゲームをプレイして感じた視点から詳しくレビューしていきます。
価格以上の満足感、高コントラストなIPS液晶
この価格帯の製品としては驚くほどに高品質な3.5インチIPSディスプレイ(640×480解像度)が搭載されています 。特に素晴らしいのが「OCA全密着(フルラミネーション)」技術の採用です 。これは、画面のガラスと液晶パネルの間の空気層をなくす技術で、光の反射が大幅に抑えられ、映像がまるでガラスの表面に直接描かれているかのようにクリアに見えます 。このおかげで、日中の明るい部屋でも視認性が高く、ゲームへの没入感を高めてくれました。
実際にスーパーファミコンの『クロノ・トリガー』をプレイしてみると、キャラクタードットの鮮やかな色彩や、背景の細やかなグラデーションが見事に再現されていて、思わず見入ってしまいました。視野角も非常に広く、少し斜めから覗き込んでも色味がほとんど変化しないため、楽な姿勢でプレイできるのも嬉しいポイントです 。本体のガラス表面は滑らかなラウンドエッジ加工が施されており、質感も良好です 。
旧モデルから変化した、輝度と画質の特性
旧モデルのRG35XXの画面と比較すると、画質の特性に変化が見られます。旧モデルは「白っぽくかなり明るい」印象で、ピクセルが粒立って見える独特な表示でしたが、RG35XX Plusのディスプレイは輝度が少し落ち着き、より自然で一般的な見え方になりました 。最初は旧モデルの突き抜けるような明るさが恋しく感じた瞬間もありましたが、長時間遊んでいると、Plusの落ち着いた輝度の方が目が疲れにくいことに気づきました。
もちろん、輝度が低いわけではなく、一般的な携帯ゲーム機として十分な明るさは確保されています 。この見え方の変化は、どちらが優れているというよりも「好みの違い」の領域かもしれません。個人的には、長時間のRPGプレイなどを考えると、目に優しいRG35XX Plusのディスプレイの方が最終的な満足度は高いと感じています。
4:3比率の強みと注意点
このディスプレイのアスペクト比は4:3で、これがレトロゲームを遊ぶ上で最大の強みとなっています。スーパーファミコンや初代プレイステーションなど、かつての家庭用ゲーム機の多くはこの比率を採用していたため、画面いっぱいに黒帯なしでゲーム映像を表示できます。特にドリームキャストの『バーチャファイター2』などをプレイした際は、4:3の画面との相性が抜群で、非常に迫力のある美しい映像で楽しむことができました 。
一方で、PSPのような16:9のワイド画面を持つゲーム機をエミュレートする際は、上下に黒帯が表示される点には注意が必要です 。これはハードの仕様上やむを得ない部分です。また、ゲームを起動するランチャーによっては画面が引き伸ばされて表示されることがあるため、正しい比率で楽しみたい場合は、RetroArchベースの「RAゲーム」から起動することをおすすめします。
まとめ:ディスプレイ
- 基本スペック:3.5インチ、解像度640×480のIPS液晶を搭載 。ガラスと液晶の隙間がないOCA全密着技術により、反射が少なくクリアな映像を実現している 。
- 画質の変化:旧モデルの白っぽく明るい独特な表示から、輝度は少し落ち着いたものの、より自然で一般的な見え方のディスプレイに変更された 。
- レトロゲームに最適な4:3比率:画面アスペクト比が4:3であるため、スーパーファミコンやプレイステーション、ドリームキャストといったレトロゲームを画面いっぱいに表示して楽しめる 。
- ワイド画面の表示:一方で、PSPのような16:9比率のゲームは上下に黒帯が表示されるため、購入前に考慮が必要である 。
パフォーマンス:ANBERNIC RG35XX Plusの処理性能が拓く新たなゲーム体験
ここでは、ANBERNIC RG35XX Plusの最も大きな進化点であるパフォーマンスについて掘り下げていきます。旧モデルRG35XXから心臓部であるCPUとメモリがどのように強化され、それが実際のゲームプレイにどれほどの変化をもたらしたのか、感動と驚きを交えてお伝えします。
「天と地ほどの差」を生んだ、処理性能の大幅強化
旧モデルのRG35XXが搭載していたクアッドコアARM Cortex-A9プロセッサと256MBのRAMでも、プレイステーション(PS1)くらいまでのゲームは十分に楽しめました 。しかし、RG35XX Plusの進化は、そのレベルを遥かに超えています。心臓部には新たにH700 quad-core ARM Cortex-A53プロセッサが採用され、RAMはなんと4倍のLPDDR4 1GBに増強されています 。
このスペックアップがもたらすパフォーマンスの向上は、まさに「天と地ほどの差」と表現するにふさわしいものでした 。旧モデルでは少し厳しいと感じていたN64やドリームキャストのゲームの壁を、このRG35XX Plusは軽々と乗り越えてくれたのです。
ついに来た!DreamcastとPSPが手のひらで動く感動
この性能向上によって、ついにドリームキャスト、ニンテンドーDS、そしてPSPといった、より世代の新しいゲーム機のエミュレーションが現実のものとなりました 。特にドリームキャストのタイトルは、本体の4:3ディスプレイとの相性が抜群で、『ソウルキャリバー』や『クレイジータクシー』といった名作たちが、驚くほどスムーズに、そして美しく動作します。このコンパクトな筐体から繰り出されるパワフルな描画には、思わず声が出るほどの感動を覚えました。
また、PSPのエミュレーションも予想を上回る快適さでした 。『リッジレーサーズ』のようなレースゲームや、2Dベースの『悪魔城ドラキュラ Xクロニクル』は、フレームスキップなどの設定を少し調整するだけで、十分にプレイ可能なレベルで動作します 。もちろん、『ゴッド・オブ・ウォー』のような非常に負荷の高い3Dゲームを完璧に動かすほどのパワーはありませんが、手のひらでPSPのゲームがこれだけ動くという事実は、このデバイスのコストパフォーマンスの高さを物語っています 。
パフォーマンスを活かす上での注意点
この素晴らしいパフォーマンスを最大限に活かすには、いくつか知っておくべき点があります。最大の注意点は、本体にアナログスティックが搭載されていないことです。せっかくPSPのゲームが動いても、『モンスターハンターポータブル』シリーズのようなアナログ操作が必須のゲームは、この本体だけでは楽しむことができません 。Bluetoothで外部コントローラーを接続すればプレイは可能ですが、携帯機としての手軽さは少し損なわれてしまいます 。
また、少し残念に感じたのがファームウェアのアップデート方法です。Wi-Fi機能を内蔵しているにもかかわらず、アップデートはPCを使ってmicroSDカードにイメージファイルを直接書き込む必要があり、その際に設定がリセットされてしまいます 。この手間は、せっかくのハードウェアの進化にソフトウェアが追いついていない印象を受けました。
まとめ:パフォーマンス
- 飛躍的な性能向上: CPUは旧モデルのARM Cortex-A9からH700 quad-core ARM Cortex-A53へ、メモリは256MBから4倍の1GB (LPDDR4)へと大幅に強化された 。
- 新たなプレイ体験の実現: この性能向上により、これまで動作が厳しかったドリームキャストやニンテンドーDS、そして一部のPSPタイトルが快適にプレイ可能となり、遊べるゲームの幅が劇的に広がった 。
- PSPエミュレーションの現実: PSPの動作は、2Dゲームや軽量なタイトルは快適に楽しめるものの、『ゴッド・オブ・ウォー』のような高負荷な3Dゲームを動かすにはパワーが足りず、完全な対応ではない 。
- ハードウェアの制約: 高いパフォーマンスを備える一方で、アナログスティックが非搭載であるため、『モンスターハンターポータブル』などアナログ操作が必須のゲームは本体のみではプレイできない 。
- ソフトウェアの課題: Wi-Fiを内蔵しているにもかかわらず、ファームウェアのアップデートはPCを介して手動でmicroSDカードに書き込む必要があり、利便性の面で課題が残る 。
対応ゲーム:ANBERNIC RG35XX Plus
ANBERNIC RG35XX Plusは30種類以上のエミュレーターに対応しています。
対応ゲームは、
PSP、N64(ニンテンドー64)、DC(ドリームキャスト)、GC(ゲームキューブ)、PS1、CPS1/2/3(カプコンアーケード)、
FBA(Final Burn Alpha、ネオジオ)、GBA(ゲームボーイ アドバンス)、GBC(ゲームボーイカラー)、GB(ゲームボーイ)、
SFC(スーパーファミコン)、FC(ファミコン)、MD(メガドライブ)、SMS(セガマスターシステム)、GG(ゲームギア)、
NEOGEO(ネオジオ)、PCE(PCエンジン)、WSC(ワンダースワン)、MSX、Atari(アタリ)、MAME(アーケード)
などです。
レトロアーチ対応なので、エミュレーターを追加したり、吸出しROMのゲームを追加したりすることもできます。
収録ゲームタイトル:ANBERNIC RG35XX Plus
蔵されている収録ゲーム(内蔵ゲーム)タイトルの数は64GBで約5千ほど、128GBで約1万ほどです。
販売先によって収録されているゲーム タイトルの数が異なる場合があるので注意してください。
ドリームキャスト
ドリームキャストのゲームはそれほど多くありません。動作自体にほとんど遅延はなく、快適にプレイできます。
Cosmic Smash、Crazy Taxi、Gauntlet Legends、House of the Dead 2. The、Ikaruga、Mavel vs.Capcom 2、
Power Stone、Power Stone 2、Silent Scoope、SoulCalibur、Virtua tennis Sega Professional
PSP
PSPゲームも多くは収録されていません。鉄拳5 で若干 遅延が生じるものの、他は快適に動作します。
Bloons、Bombarman、Castlevania X、Innocent Lite、Mega Man-Maverick Hunter X
Metal Slug XX、Pac-Man Championship Edition、Parasite Evothe 3rd Birthday
Pro Evolution Soccer 2011、Street Fighter Apha 3 Max、tekken 5
他のゲーム機のゲームタイトルは随時 YouTubeの「Burari Akiba」(秋葉原ぶらりのサブチャンネル)で公開していきます。上のゲームタイトル以外のプレイ動画を観たい人はぜひチェックしてみてください。
操作性:ANBERNIC RG35XX Plusの手に馴染む改良されたコントロール
ここでは、ANBERNIC RG35XX Plusの操作性について、その核心であるボタンの感触、ショルダーボタンの改良点、そしてゲームへの没入感を深める振動機能に至るまで、旧モデルRG35XXと比較しながら、実際にプレイして感じたことを詳しくレビューしていきます。
手に伝わる確かな進化、十字キーとフェイスボタン
RG35XX Plusの操作感は、旧モデルの良さを引き継ぎつつ、あらゆる点で着実な進化を遂げています。ツルッとした光沢仕上げのABXYボタンは指馴染みが良く、しっかりとした硬さと少ない遊びで、コマンド入力が重要な格闘ゲームでも安定した操作が可能です 。旧モデルではシェル(本体)側への印刷だった文字が、Plusではボタン自体への印字に変更されたため、長年使い込んでも文字が削れて消える心配がなくなったのは嬉しい改良点です 。
特に感動したのは十字キーの改善です。旧モデルでは斜め入力が暴発しがちでしたが、Plusではその癖がかなり改善された印象を受けます 。『ストリートファイターZERO3』で波動拳コマンドを試しても、意図しないジャンプをすることなく、狙い通りに技を繰り出せました。
また、電源ボタンの出っ張りが抑えられたり、音量ボタン中央にくぼみが設けられたりと、誤操作を防ぎ、手探りでも扱いやすくするための細やかな配慮が随所に見られ、メーカーの改善に対する真摯な姿勢が伝わってきます 。
ショルダーボタンの功罪と、没入感を深める振動
背面のショルダーボタンは、このデバイスの操作性を語る上で最も大きな変更点です。旧モデルのフラットな配置とは異なり、L2/R2ボタンが緩やかに傾斜するエルゴノミクス形状になりました 。これにより、指を自然に置いた状態からスムーズにL2/R2ボタンを押せるようになり、操作性は格段に向上しています 。これは見た目だけの変更ではなく、極めて実用的な進化だと断言できます 。
ただし、良い点ばかりではありません。このショルダーボタンは遊びが大きく、本体を少し振るだけでカタカタと音が鳴ってしまいます 。プレイ中に気になるほどではありませんが、Miyoo Mini Plusの固定されたボタンの感触を知っていると、ビルドクオリティの面で少し甘さを感じてしまうのは事実です。一方で、内蔵された振動モーターは素晴らしい追加機能です 。
プレイステーションの『リッジレーサータイプ4』でドリフトを決めた瞬間に手元に伝わる振動は、ゲームへの没入感を格段に高めてくれます。
パフォーマンスの代償?アナログスティック非搭載という選択
RG35XX Plusのパフォーマンスは飛躍的に向上しましたが、その一方でアナログスティックは搭載されていません。これにより、デザイン全体がスッキリとまとまっているというメリットはありますが、遊べるゲームに明確な制約が生まれています。例えば、せっかくPSPのゲームが動作するようになっても、『モンスターハンターポータブル』シリーズのようなアナログ操作が必須のタイトルは、この本体だけでは楽しむことができません 。
もちろん、Bluetoothで外部コントローラーを接続すればプレイは可能ですが、それでは携帯機としての手軽さが失われてしまいます 。これは、本機がパワフルでありながらも、あくまで十字キーとボタンで遊ぶレトロゲーム体験に主軸を置いたデバイスであるという、開発者の明確な意思表示なのかもしれません。この割り切りを理解した上で、自分の遊びたいゲームと照らし合わせる必要があります。
まとめ:操作性
- 十字キーとフェイスボタン:旧モデルで指摘された十字キーの誤入力が改善され、ボタンの印字方式も変更されるなど、操作の根幹部分が着実に進化した 。
- ショルダーボタン:L2/R2ボタンに角度がつき、旧モデルより格段に押しやすくなった実用的な改良が施されている 。一方で、振るとカタカタと音が鳴るビルドクオリティの甘さが残る 。
- 振動モーター:プレイステーションなどの対応ゲームで臨場感あふれるフィードバックが得られ、ゲームへの没入感を高めてくれる 。
- アナログスティック非搭載:パフォーマンスが向上しPSPなども動作するようになったが、アナログ操作が必須のゲームは本体だけではプレイできず、遊べるタイトルが制限される 。
OSと機能:ANBERNIC RG35XX Plusのシンプルさと広がる遊びの世界
ここでは、ANBERNIC RG35XX Plusの頭脳であるOS(オペレーティングシステム)と、それによって実現される多彩な機能について、実際に触れて感じた使い勝手や魅力、そして注意点をレビューしていきます。シンプルな操作性の裏に、どれほどの可能性が秘められているのかを詳しく見ていきましょう。
シンプルで直感的、でも少し惜しい独自OS
本機に搭載されているのは、Linuxをベースとした独自のOSです 。アイコンが並ぶシンプルなUIは、この種のデバイスを初めて手にする人でも、説明書を読まずに直感的に操作できる分かりやすさがあります 。日本語表示にも対応していますが、設定メニューなどの要所で「相変わらず日本語がおかしい」と感じる部分が残っているのは少し残念な点です 。
ゲームを起動する方法は2種類用意されています。手軽に始められる「ゲームルーム」と、エミュレーターの詳細設定が可能なRetroArchベースの「RAゲーム」です 。手軽さも魅力ですが、個人的には「RAゲーム」からの起動をおすすめします。「ゲームルーム」だと一部のゲームで画面が引き伸ばされてしまうことがありましたが、「RAゲーム」を使えば、いつでも正しい画面比率で安定したプレイが楽しめました 。
ドリームキャストも動く!エミュレーター性能の飛躍
RG35XX Plusが旧モデルと決定的に違うのは、そのエミュレーション性能です。旧モデルではプレイステーション(PS1)が快適に遊べる上限でしたが、Plusではその壁を軽々と越え、ドリームキャスト、ニンテンドーDS、そして一部のPSPタイトルまでが射程圏内に入りました 。ドリームキャストのタイトルは特にプレイ感が良く、本体の4:3画面との相性も抜群で、非常に美しい映像でスムーズに動作します 。旧モデルとはまさに天と地ほどの差を感じました。
もちろん、すべてのゲームが完璧に動くわけではありません。PSPの『ゴッド・オブ・ウォー』のような極めて負荷の高い3Dゲームは、さすがにパワー不足を感じます。しかし、2D中心のゲームやコレクションタイトルであれば、驚くほど快適に動作します。この小さな筐体で、かつて熱中した携帯ゲーム機のタイトルが再び遊べるという事実は、大きな感動を与えてくれます。ただし、アナログスティックがないため、アナログ操作が必須のゲームはプレイできないという点は忘れてはなりません 。
遊びを深める多彩な機能たち
RG35XX Plusには、ゲーム体験をより豊かにするための機能が詰め込まれています。特に気に入ったのが、本体に内蔵された振動モーターです 。PS1のレースゲームで壁にぶつかった時や、対戦格闘ゲームで大きなダメージを受けた時に、ブルっと手に伝わる振動は、ゲームへの没入感を格段に高めてくれます 。
また、本体右側面にあるデュアルmicroSDカードスロットも非常に実用的です 。1枚をOS(システム)用、もう1枚をゲームデータ用と完全に分けることができるため、将来的にカスタムファームウェア(CFW)を導入する際も、大切なゲームのセーブデータを失う心配がありません 。こうしたユーザー目線の設計は、長くこの一台を遊び尽くしたいと思わせてくれます。
まとめ:OSとエミュレーター、機能
- OSの使い勝手:初心者にも分かりやすいシンプルなUIだが、日本語訳の不自然さや、Wi-Fiがありながら手動で行う必要があるファームウェアアップデートの煩わしさが残る 。
- 2種類のエミュレーター起動方法:「ゲームルーム」とRetroArchベースの「RAゲーム」が用意されており、手軽さか、正しい画面比率での安定したプレイか、好みに合わせて選べる 。
- エミュレーター性能の飛躍:旧モデルでは厳しかったドリームキャストや一部のPSPタイトルまで動作可能になり、遊べるゲームの次元が大きく広がった 。
- 遊びを深める機能:ゲームへの没入感を高める振動モーターや、OSとゲームデータを安全に分離できるデュアルmicroSDカードスロットといった実用的な機能が搭載されている 。
補足:エミュレーターについて
「ANBERNIC RG35XX Plus」は30種類のエミュレーターに対応しています。
PSP,N64,DC,GC,PS1,CPS1/2/3、FBA,GBA,GBC,GB,SFC,FC,MD,SMS,GG,NEOGEO,PCE,WSCなど
また、ホーム画面でゲームルーム、もしくはRAゲーム(レトロアーチ)を選択することで、各エミュレーターにアクセスできるようになっています。
【ゲームルームで表示されるエミュレーター 一覧】
ゲームルームで表示されるエミュレーターは20種類です。
- PS1,Vertical Arcade,CPS1,CPS2,CPS3,NEOGEO,FBneo,MAME,GBA,NES
- SENES,SMS,MD,SEGA32X,GBC,GB,PCE,NGPC,GG,WSC
【RAゲーム(レトロアーチ)で表示されるエミュレーター 一覧】
RAゲーム(レトロアーチ)で表示されるエミュレーターは35種類です。ゲームルームで表示されるエミュレーターとかぶっているものも多数あります。
- PSP,OPENBOR,DC,PS,CPS1,CPS1,CPS2,CPS3,NEOGEO,FBneo,H.Brew
- MAME,VARCADE,PICO,POKE,Atari2600,VB,GW,GBA,FC,SFC,MD,MD-cd
- SEGA32X,SMS,GG,GBC,GB,PCE,PCEcd,NGPC,WSWAN,MSX,ATOMISWAVE、NAOMI
※(PORTS)いくつかのゲームが入っている,(APP)設定項目
バッテリーと充電性能:ANBERNIC RG35XX Plusのスタミナと実用性
携帯ゲーム機にとって、パフォーマンスと同じくらい重要なのがバッテリー性能です。ここでは、ANBERNIC RG35XX Plusがどれほどのスタミナを持っているのか、旧モデルRG35XXからの進化点、そして充電性能やバッテリー交換のしやすさといった実用的な側面を、実際に使ってみた感想を交えて詳しく解説していきます。
駆動時間と携帯性の絶妙なバランス
RG35XX Plusの最も嬉しい進化の一つが、バッテリー容量の増加です。旧モデルの2600mAhから3300mAhへと大幅に増強され、公称では約8時間の連続使用が可能になりました 。実際に私がRPGなどをプレイした際の平均的な駆動時間は5~6時間といったところでしたが、これは一日持ち歩いて遊ぶには十分なスタミナです 。休日に少し遠出する際、往復の電車内でじっくりゲームを楽しむような使い方をしても、バッテリー残量を気にするストレスはありませんでした。
このバッテリー増量に伴い、本体は旧モデルより2mm厚く、約20g重くなっています 。しかし、この変化が携帯性を損なっているとは感じませんでした。むしろ、適度な重量感が本体の剛性を高め、安っぽさを感じさせない質感の向上に繋がっています。ポケットに収まるコンパクトさと、安心して一日遊べるバッテリー寿命のバランスは、まさに絶妙だと感じます 。
いざという時の備え、進化したバッテリー交換
長期的にデバイスを愛用する上で見逃せないのが、メンテナンス性の向上です。RG35XX Plusでは、本体裏面のネジを一本外すだけでバッテリーカバーにアクセスできるようになりました 。旧モデルのように本体を完全に分解する必要がなく、将来的にバッテリーが劣化した際の交換が非常に容易になったのです。
もちろん、バッテリーを頻繁に交換する機会はそうそうないでしょう。また、プラスチック製のツメの耐久性を考えると、何度も開け閉めするのは避けた方が賢明です 。しかし、数年後に「まだまだこの一台で遊びたい」と思った時に、ユーザー自身の手で簡単にリフレッシュできる道が用意されていることは、大きな安心感に繋がります。
現代的なC2C充電に対応
充電性能については、5V/1.5Aの仕様が公表されています 。特筆すべきは、USB-C to USB-C(C2C)ケーブルでの充電に対応している点です 。これにより、スマートフォンの充電器やノートPCのACアダプターなど、手持ちの充電環境をそのまま流用できる機会が増えました。外出時に専用のケーブルを持ち歩く必要がなく、荷物を一つ減らせるこの現代的な仕様は、地味ながらも非常にありがたいポイントです。
まとめ:バッテリーと充電性能
- バッテリー容量の増加:旧モデルの2600mAhから3300mAhへと増量され、公称8時間、実用で5~6時間の十分な駆動時間を実現している 。
- サイズへの影響:容量増に伴い本体が2mm厚く、約20g重くなったが、携帯性を損なうことなく、むしろ剛性感の向上に繋がっている 。
- メンテナンス性の向上:ネジ一本でバッテリーカバーを外せるようになり、将来的なバッテリー交換が容易になった 。
- 充電の互換性:5V/1.5Aの仕様に加え、USB-C to USB-C(C2C)充電器に対応しており、ケーブルの共通化が図れる 。
補足:バッテリーの交換について
「ANBERNIC RG35XX Plus」は裏蓋のネジをプラスドライバーで外すことで、バッテリーを交換することができます。
バッテリーはAliExpressで購入できます。価格は701円でした。
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バッテリーについた白い端子をゲーム機本体にはめ込むだけなので、特に難しくはないです。
価格も安いので、バッテリーが消耗しているのなら交換をおすすめします。
通信性能と映像出力:ANBERNIC RG35XX Plusの可能性を広げる接続性
携帯ゲーム機としての楽しみだけでなく、据え置き機のように遊んだり、PCゲームをストリーミングしたりと、遊びの幅を広げてくれるのが接続機能です。ここでは、旧モデルRG35XXにはなかったWi-FiとBluetooth、そして大画面でゲームを楽しむための映像出力機能について、実際に試して感じた利便性と、少し気になった点をお伝えします。
可能性と課題が同居するWi-Fi・Bluetooth機能
RG35XX Plusの最も大きなハードウェアの進化点が、ワイヤレス通信機能の搭載です 。旧モデルにはなかった2.4G/5GのWi-FiとBluetooth 4.2に対応したことで、このデバイスの可能性は大きく広がりました 。
特に5G Wi-Fiの高速通信を活かした「Moonlight Streaming」機能は素晴らしく、書斎のゲーミングPCで動いているパワフルなゲームを、リビングのソファに寝転がりながらこの小さな本体でリモートプレイする、といった夢のような体験が可能になります 。
しかし、このモダンな機能を持ちながら、少しちぐはぐに感じる部分もあります。システムのアップデートは、Wi-Fi経由でのダウンロードではなく、昔ながらのPCとSDカードを使った手動方式なのです 。この時代に、Wi-Fiがありながらアップデートの度にSDカードを抜き差しするのは、正直なところ少し面倒に感じました 。また、Bluetooth機能はコントローラーの接続にのみ対応しており、ワイヤレスイヤホンなどのオーディオ機器はサポートされていません 。手軽に無線で音を聴きたいと思っていたので、この仕様は少し残念でした。
大画面で蘇る感動、手軽で便利な映像出力
私が本機で最も気に入っている機能の一つが、本体上部に搭載されたMiniHDMIポートによる映像出力です 。この機能のおかげで、普段は手のひらで楽しんでいるレトロゲームを、リビングの大きなテレビに映し出して遊ぶことができます 。操作は驚くほど簡単で、ゲームのプレイ中にHDMIケーブルを差し込むだけで、瞬時に画面がテレビに切り替わります。その際、RG35XX Plus本体がそのままコントローラーとして使えるため、特別な設定は一切不要です。
先日、友人宅にこの一台を持っていき、HDMIケーブル一本でテレビに繋いで『ストリートファイター』で対戦したときは、まるで小さな据え置きゲーム機のように活躍してくれました。この手軽な映像出力機能は、競合機であるMiyoo Mini Plusには搭載されていない、RG35XX Plusの大きなアドバンテージだと感じます 。一人でじっくり遊ぶだけでなく、みんなでワイワイ楽しむツールとしても、この一台は優れたポテンシャルを秘めています。
まとめ:通信性能と映像出力
- Wi-Fi機能の搭載:旧モデルにはなかった2.4G/5G Wi-Fiに対応し、Moonlight StreamingでのPCゲームプレイなど、遊びの幅が広がった 。
- Bluetoothの限定的な用途:Bluetooth 4.2に対応するが、用途はコントローラー接続に限定され、ワイヤレスイヤホンなどのオーディオ機器は接続できない 。
- アップデートの課題:Wi-Fiを搭載しているにも関わらず、ファームウェアのアップデートはPCを使った手動でのSDカード書き込みが必要で、利便性に課題が残る 。
- 手軽な映像出力:本体上部のMiniHDMIポートからテレビやモニターに簡単に出力でき、本体をコントローラーとして大画面でゲームを楽しめる 。
ANBERNIC RG35XX PlusとANBERNIC RG35XXのスペック比較
ANBERNIC RG35XX Plusは、人気を博したRG35XXの性能と機能を大幅に向上させた後継モデルです 。ここでは、両モデルの主なスペックを比較し、その違いと進化点を明確にします 。
CPU、GPU、RAM
- ANBERNIC RG35XX Plus:
CPU: H700 quad-core ARM Cortex-A53 (1.5GHz)
GPU: dual-core G31 MP2
RAM: LPDDR4 1GB - ANBERNIC RG35XX:
CPU: ARM Cortex-A9 (※レビュー情報に基づく)
GPU: Power-VR SGX544MP (※レビュー情報に基づく)
RAM: 256MB (※レビュー情報に基づく) - 違い:(※ここが最も大きな進化点です 。PlusはCPUとGPUが刷新され、RAMは4倍に増強されました 。これにより、旧モデルでは動作が厳しかったドリームキャストやPSPなどのゲームも楽しめるようになり、パフォーマンスが劇的に向上しています 。)
無線通信機能(Wi-Fi / Bluetooth)
- ANBERNIC RG35XX Plus:
Wi-Fi: 2.4G/5G Wi-Fi (802.11a/b/g/n/ac)
Bluetooth: Bluetooth 4.2 (コントローラー接続のみ) - ANBERNIC RG35XX:
非対応 - 違い:(※Plusで新たに追加された機能です 。これにより、PCゲームのリモートプレイやワイヤレスコントローラーの使用が可能になり、遊びの幅が大きく広がりました 。)
バッテリー容量
- ANBERNIC RG35XX Plus: 3300mAh
- ANBERNIC RG35XX: 2600mAh
- 違い:(※Plusはバッテリー容量が増加し、公称の駆動時間が7時間から8時間へと延びました 。実使用でも2時間ほど長く遊べるようになったという評価があります 。)
本体サイズ・重量
- ANBERNIC RG35XX Plus: 11.7cm × 8.1cm × 2.2cm / 186g
- ANBERNIC RG35XX: 11.7cm × 8.1cm × 2.0cm / 165g
- 違い:(※バッテリー増量に伴い、Plusは2mm厚く、約20g重くなっています 。この重量増が、逆に適度な剛性感や質感の向上に繋がっているという意見もあります 。)
ボタンと操作性
- ANBERNIC RG35XX Plus: ショルダーボタンに角度がつき、十字キーの誤入力が改善され、電源ボタンの出っ張りがなくなるなど、細かく改良されています 。
- ANBERNIC RG35XX: ショルダーボタンがフラットで押しにくく、十字キーの誤入力が多いという指摘がありました 。
- 違い:(※Plusでは操作性に関する多くの不満点が改善されています 。特にショルダーボタンと十字キーの改良は、ゲームプレイの快適さに直結する重要な進化です 。)
スピーカー
- ANBERNIC RG35XX Plus: マイルドでバランスの取れた音色と評価されています 。
- ANBERNIC RG35XX: 高音が強く、耳に刺さるような音質と評価されていました 。
- 違い:(※スピーカーの音質も明確に改善されており、Plusの方がより快適なサウンドでゲームを楽しめます 。)
バッテリー交換
- ANBERNIC RG35XX Plus: ネジ一本でバッテリー交換が可能です 。
- ANBERNIC RG35XX: 分解が必要で、交換は比較的容易ではありませんでした。
- 違い:(※メンテナンス性が向上し、将来的にバッテリーが劣化した際もユーザー自身で交換しやすくなりました 。)
まとめ:ANBERNIC RG35XX PlusとANBERNIC RG35XXの違い
ANBERNIC RG35XX Plusは、旧モデルであるRG35XXの基本的なデザインコンセプトを継承しつつ、その中身は全くの別物と言えるほど大幅なアップグレードを遂げています 。
特に、CPU、GPU、RAMの性能向上は目覚ましく、これまで楽しめなかったドリームキャストやPSPといった新しい世代のゲームへの扉を開きました 。さらに、Wi-FiやBluetoothといった現代的な機能の追加や、操作性、音質、メンテナンス性といった細部に至るまでの改善により、全体的な完成度が大きく高まっています 。
ANBERNIC RG35XX Plusのメリット・デメリット
ANBERNIC RG35XX Plusは、旧モデルから大幅な進化を遂げ、多くの魅力を持つ一方で、その進化ゆえに新たな課題や注意点も存在します。ここでは、本機の購入を検討する上で重要なメリットとデメリットを、項目ごとに分かりやすく解説していきます。
【メリット】
メリット1:旧モデルから飛躍的に向上したパフォーマンス
最大の魅力は、その心臓部が大幅に強化されたことです 。CPUはH700クアッドコアプロセッサ、RAMは1GBへと増強され、旧モデルでは動作が厳しかったドリームキャストやニンテンドーDS、さらには一部のPSPタイトルまで快適にプレイ可能になりました 。この性能向上は「天と地ほどの差」と評されるほどです 。
メリット2:洗練されたデザインと優れた携帯性
旧モデルの筐体を流用せず、シェルから再設計されています 。ボタン配置のバランスが見直され、より洗練された外観になりました 。バッテリー増量に伴い少し重くなりましたが、これがむしろ適度な剛性感を生み出し、安っぽさを感じさせません 。ポケットに収まるサイズ感と、しっかり握れるホールド感を両立しています 。
メリット3:高品質なディスプレイと4:3の黄金比
3.5インチのIPS液晶は、ガラスと液晶の隙間がないOCAフルラミネーション加工が施されており、非常にクリアで発色が良いです 。解像度は640×480で、アスペクト比は4:3。この比率がスーパーファミコンやプレイステーション、ドリームキャストといったレトロゲームを、黒帯なしの全画面で楽しむのに最適です 。
メリット4:実用的に進化した操作性と機能
旧モデルで指摘されていた十字キーの誤入力(斜めに入りやすい癖)が改善された印象です 。また、L2/R2ショルダーボタンに角度がつき、格段に押しやすくなりました 。さらに、ゲームへの没入感を高める振動モーターも搭載しており、対応するゲームでは臨場感あふれるプレイが楽しめます 。
メリット5:Wi-Fiと映像出力による拡張性
旧モデルにはなかったWi-Fi機能が搭載され、Moonlight Streaming機能を使えば、PCゲームをリモートでプレイすることも可能です 。また、MiniHDMIポートからテレビやモニターに映像を出力できるため、友人と大画面で対戦するなど、据え置き機のような楽しみ方もできます 。
【デメリット】
デメリット1:アナログスティック非搭載という最大の制約
これだけのパフォーマンスを持ちながら、アナログスティックがありません 。そのため、せっかくPSPのゲームが動いても、『モンスターハンターポータブル』のようなアナログ操作が必須のタイトルは、本体だけではプレイすることができません 。
デメリット2:部分的に見られるビルドクオリティの甘さ
操作性が向上した一方で、ショルダーボタンの作りには甘さが残ります。本体を振るとカタカタと音が鳴るという報告が複数あり、常に気になる点として挙げられています 。細部の詰めの甘さは少し残念なポイントです。
デメリット3:過度な期待は禁物のエミュレーター性能
PSPが動作すると謳われていますが、すべてのゲームが快適に動くわけではありません 。特に『ゴッド・オブ・ウォー』のような高負荷な3Dゲームをプレイするにはパワー不足です 。あくまで「一部の軽量なタイトルが楽しめる」程度と考えるのが妥当です。
デメリット4:利便性に課題が残るOSとアップデート
標準搭載されているOSは非常にシンプルですが、Wi-Fiを内蔵しているにもかかわらず、ファームウェアのアップデートはPCを使って手動でSDカードに書き込む必要があります 。この手間のかかるプロセスは、現代のデバイスとしては少し時代遅れに感じられます 。
デメリット5:限定的なBluetoothの用途
Bluetooth 4.2に対応していますが、その用途はコントローラーの接続のみに限定されています 。ワイヤレスイヤホンなどのオーディオ機器は接続できないため、無線で音声を楽しみたいと考えていたユーザーにとっては、大きなマイナスポイントとなります 。
ANBERNIC RG35XX Plusのスペック(仕様)
- ディスプレイ 3.5インチ、解像度640 x 480 pxのIPS
※OCAフルラミネーション/広視野角 - プロセッサ H700 クアッドコア ARM Cortex-A53, 1.5GHz
- GPU デュアルコア G31 MP2
- RAM(メモリ) 1GB LPDDR4
- ストレージ システム用:64GB TF/MicroSD、ゲーム用:64GB/128GB SD カード
- 拡張ストレージ microSDカードで最大512GBまで拡張可能
- バッテリー 3300 mAh ※取り外し・交換が可能
- 駆動時間 8時間
- 充電 5V/1.5A、C2C充電器をサポート
- カメラ なし
- ワイヤレス通信 Wi-Fi 5 (802.11a/b/g/n/ac, 2.4GHz/5GHz)、Bluetooth 4.2
- インターフェース Type-C x2 (OTG/電源用)、microSDカードスロット x2、miniHDMI、3.5mmイヤホンジャック
- 映像出力 HDMI出力
- ストリーミング 対応 (Moolight アプリ 対応)
- ゲームパッド 2.4GHzワイヤレスゲームパッド、有線ゲームパッドをサポート
- スピーカー Hi-Fi スピーカー
- 振動モーター サポート
- ゲームの追加 対応
- システム言語 日本語、中国語、英語、韓国語、スペイン語
- OS Linux
- サイズ 11.68 x 8.08 x 2.18 cm
- 重量 186 g
- カラー トランスペアレントブラック/グレー/ホワイト
- 付属品 USB充電ケーブル、ユーザーマニュアル、スクリーンプロテクター
カスタムファームウェア(CFW)の導入方法
「ANBERNIC RG35XX Plus」のカスタムファームウェア(CFW)を利用するには、
まずANBERNICの公式サイトにアクセスし、ファイルをダウンロードします。
ファームウェアについて – anbernic https://jp.anbernic.com/pages/firmware
RG35XX 2024版/RG35XX PLUS-V1.1.5-EN16GB-240712
https://we.tl/t-POzxoHOvP4
次にファイルを解凍し、展開します。
それから、ツール「rufus」を使ってSDカードにファームウェアを書き込みます。
「rufus」ダウンロードリンク:
https://drive.google.com/file/d/11ZBW7u1cv3d1CJ9xzbsL3xpZNKiYsMG7/view?usp=drive_link
最後に、ファームウェアを書き込んだmicroSDカードをTF1に挿入し、本体の電源をONにします。
起動すると、最新のファームウェアが実行されます。
ANBERNIC RG35XX Plusの評価
7つの基準で「ANBERNIC RG35XX Plus」を5段階で評価してみました。
【項目別評価】
画面の見やすさ:★★★★☆
OCA全密着IPS液晶は価格以上の美しさ。輝度が旧モデルより少し低いものの、レトロゲームには最適な高品質な画面です。
パフォーマンス:★★★★☆
旧モデルから飛躍的に向上。ドリームキャストやPSPが動作する性能は、この価格帯では驚異的。ただし万能ではありません。
操作性: ★★★☆☆
十字キーやショルダーボタンは旧モデルから改善されましたが、アナログスティック非搭載が大きな制約となっています。
機能性:★★★★☆
Wi-Fi、HDMI出力、デュアルSDスロットなど機能は豊富。ただしBluetoothの用途が限定的なのは残念です。
デザイン:★★★★☆
旧モデルから再設計され、より洗練された印象に。手に馴染むサイズ感と質感の高さが魅力です。
使いやすさ:★★★☆☆
初心者にも直感的なOSで遊びやすいです。しかし、ファームウェア更新の煩わしさが利便性を大きく損なっています。
価格:★★★★★
ドリームキャストまで動作する性能を考えると、驚異的なコストパフォーマンス。この価格でこれだけ遊べるのは素晴らしいです。
総評:★★★★☆
旧モデルから正統進化した、最高の入門機
ANBERNIC RG35XX Plusは、単なるマイナーチェンジではありません。CPUがH700に、RAMが1GBへと大幅に強化されたことで、旧モデルでは難しかったドリームキャストやPSPといった新しい世代のゲームまで楽しめるようになりました。この性能向上は、1万円を切る価格帯の縦型レトロゲーム機としては革命的とも言え、まさに「最高の入門機」であり、旧モデルからの買い替えを検討する価値も十分にある一台です。
高品質なIPS液晶、改善されたボタン類、そしてHDMI出力やWi-Fiといった拡張性も備え、ハードウェアとしての完成度は非常に高いレベルにあります。初めてレトロゲーム機に触れる人が、これ一台で往年の名作のほとんどを快適に楽しめることは間違いありません。
「完璧」を阻むいくつかの妥協点
しかし、このデバイスは「完璧」ではありません。最大の弱点は、これだけのパフォーマンスを手に入れたにもかかわらず、アナログスティックを搭載していない点です。これにより、せっかく動作するようになったPSPやドリームキャストのゲームライブラリの中から、アナログ操作が必須のタイトルを除外せざるを得ません。この「パワーはあるのに操作できない」という状況は、もどかしく感じる場面が多々ありました。
また、振るとカタカタと音が鳴るショルダーボタンや、Wi-Fiがありながら手動で行うしかないファームウェアのアップデートなど、細かな部分で「あと一歩」と感じる点も残っています。これらの妥協点を許容できるかどうかが、本機の評価を大きく左右するでしょう。
結論として、アナログスティックを使わないゲームを中心に、最高のコストパフォーマンスでレトロゲームを楽しみたいユーザーにとって、ANBERNIC RG35XX Plusは現在考えられる最良の選択肢の一つです。いくつかの欠点を理解した上で手に取るならば、価格を遥かに超える満足感と楽しさを得られるでしょう。
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ANBERNIC RG35XX Plusの価格・購入先
ANBERNIC日本公式サイト
7,899円(64GB)で販売されています。
ANBERNIC日本公式サイトで「ANBERNIC RG35XX Plus」をチェックする
ECサイト
- Amazonで9,999円、
- 楽天市場で24,888円(送料無料)、
- ヤフーショッピングで13,380円、
- AliExpressで7,947円、
- 米国 Amazon.comで$64.99、
で販売されています。
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楽天市場で「ANBERNIC RG35XX」をチェックする
ヤフーショッピングで「ANBERNIC RG35XX」をチェックする
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米国 Amazon.comで「ANBERNIC RG35XX Plus」をチェックする
※AliExpressでの購入方法・支払い方法はこちらのページで紹介しています。
AliExpressで激安ガジェットをお得に購入する方法を徹底 解説

おすすめの類似モデルを紹介
「ANBERNIC RG35XX Plus」と似た性能を持つゲーム機も販売されています。
ANBERNIC RG 35XXPro
ANBERNICから発売された3.5インチのLinux携帯ゲーム機です(2025年6月 発売)。
Allwinner H700、LPDDR4 1GB、解像度640 x 480 pxのIPS液晶、3200 mAhバッテリー、Linux OSを搭載しています。
また、デュアル アナログジョイスティックレバー、30種類以上のエミュレーター、HDMI映像出力、ストリーミングプレイ、オンライン対戦、振動効果、メディア再生機能(音楽、動画)、「WiliWiliオンライン再生機能」、無線/有線/Bluetoothコントローラー接続、高音質スピーカー、ゲームの追加、セーブ機能、Type-Cポート(OTG)、Wi-Fi 5、Bluetoothに対応しています。
価格は、AliExpressで64GBモデルが8,421円、128GBモデルが10,637円、256GBモデルが12,855円、です。
関連記事:ANBERNIC RG 35XXPro徹底レビュー!操作性だけでない魅力と評価
ANBERNIC RG40XXV
ANBERNICから発売された4インチの携帯ゲーム機です(2024年8月26日 発売)。
Linux 64bit OS、Allwinner H700、1GB LPDDR4 メモリ、解像度640 x 480 pxのIPS液晶、64GB ストレージ(TFカード)、3200 mAhバッテリー、高音質スピーカーを搭載しています。
また、RGBライト(6種類の調整)、30種類 以上のエミュレーター、HDMI映像出力、ストリーミング プレイ (Moolight アプリ 対応)、振動モーター、ジョイスティックレバー、ショルダーボタン、ダブルTFカードスロット、Type-C x2 (OTG/電源用)、microSDカードスロット x2、miniHDMI、3.5mmイヤホンジャック、Wi-Fi 5、Bluetooth 4.2 に対応しています。
価格は、Amazonで11,999円(税込)、楽天市場で14,150円(送料無料)、ヤフーショッピングで14,560円、AliExpressで9,602円(64GB)、米国 Amazon.comで$84.99、です。
関連記事:「ANBERNIC RG40XXV」とRG35XX Plusの違いを解説
Powkiddy RGB20SX
Powkiddyから発売された4インチのLinux 携帯ゲーム機です。
RockChip RK3566、1GB DDR4メモリ、IPS液晶 (720 x 720 px )、2つのmicroSDカードスロット、10時間駆動できる5000 mAhバッテリー搭載で、
数十種類以上のエミュレーター(N64・DC・PSPゲームを含む)、2つのジョイスティックレバー、Type-Cポート(OTG)、Wi-Fi(5GHz対応)、Bluetooth、ゲームの追加、セーブ機能に対応しています。
価格は、Amazonで14,999円(税込)、AliExpressで9,933円、米国 Amazon.comで$129.99 (10% OFFクーポン付き) です。
関連記事:4型ゲーム機「Powkiddy RGB20SX」の性能を詳細に解説
Kinhank K36
Kinhankから発売された4.3インチのLinux 携帯ゲーム機です(2024年8月 発売)。Rockchip RK3326 プロセッサと1GB DDR3L メモリ、解像度 640 x 480 px のIPS液晶、TFカードスロット、3500 mAhバッテリー搭載で、
40種類以上のエミュレーター、16000タイトル(64GB TFカードに収録)ホール効果ジョイスティックレバー、ショルダーボタン、カスタマイズされたキャビティスピーカー、ゲームの追加、セーブ機能、Type-C(OTG)、Tyoe-C(DC充電用)、3.5mm ヘッドホンジャックに対応しています。
価格は、Amazonで7,580円(税込)、楽天市場で15,999円(送料無料)、AliExpressで4,570円、米国 Amazon.comで$53.99、です。
関連記事:名作遊び放題「Kinhank K36」ゲーム機のメリット・デメリット
Powkiddy V10
Powkiddyから発売された3.5インチのLinux 携帯ゲーム機です。Rockchip RK3326、1GB DDR3L、解像度 480 x 320 px のIPS液晶、3000 mAh バッテリー搭載で、Wi-Fi通信、大音量のキャビティスピーカー、ゲームの追加、セーブ・ロード機能、最大256GBまでのストレージ拡張、Type-C(OTG)x1に対応しています。
価格は、Amazonで8,999円(税込)、AliExpressで6,668円、です。
関連記事:激安でも快適「Powkiddy V10」ゲーム機のメリット・デメリット
GKD Mini Plus
GKDから発売された3.5インチのGMenu OS 搭載のゲーム機です。Rockchip RK3566、3000mAhバッテリ、サイドボタン搭載で、ミニドック、Wi-Fi、外部ゲームパッドに対応しています。
価格は、Amazonで14,999円、AliExpressでUS $99.77 (日本円で約14912円)、米国 Amazon.comで$159.99です。
関連記事:「GKD Mini Plus」はMiyoo以上か? タテ型の携帯ゲーム機と徹底 比較!
Miyoo mini Plus
Miyoo miniから発売された3.5インチのタテ型 携帯ゲーム機です。ARM Cortex A7 1.2GHz、256MB DDR3、3.5インチのIPS液晶、3000 mAhバッテリー、Linux (Retoroarch) OS 搭載で、Wi-Fi通信、振動モーター、ゲームの追加に対応しています。
価格は、Amazonで7,899円(税込・セール価格)、楽天市場で17,945~20,700円、ヤフーショッピングで13,590円、AliExpressで7,491円、米国 Amazon.comで$76.00です。
関連記事:レビュー「Miyoo mini Plus」使って分かったメリット・デメリット
他のANBERNIC ゲーム機と比較
他にもANBERNICのゲーム機が販売されています。2024モデルもあるので、ぜひ比較してみてください。
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