iPad Pro M5 徹底レビュー 新チップの進化点、M4との違いを評価

iPad Pro M5 スペースブラック 背面 11インチの外観
2025年10月22日に発売されたAppleの最新フラッグシップタブレット「iPad Pro M5」(11インチ/13インチ)は、前モデルM4で確立された驚異的な薄型デザインと最高峰のディスプレイを継承しつつ、内部性能をさらなる高みへと引き上げた注目のデバイスです。

このレビューでは、iPad Pro M5が日々のクリエイティブワークやエンターテインメント体験をどのように変えるのか、そして前モデル「iPad Pro M4」から具体的に何が進化したのかを、実機を用いた詳細な比較・検証を通じて明らかにしていきます。

先に結論からお伝えしましょう

iPad Pro M5 の長所(Pros):

  • M5チップによる圧倒的なパフォーマンス: 特にAI処理能力がM4から飛躍的に向上し、あらゆるタスクが高速化。
  • 強化された基本性能: ベースモデル(256/512GB)のRAMが12GBに増強され、ストレージ読み書き速度もM4比最大2倍に高速化。
  • 次世代ワイヤレス: Apple N1チップ搭載により、Wi-Fi 7とBluetooth 6に対応。
  • 待望の高速充電: 60W以上の別売りアダプタ使用で約30分で50%充電が可能に。
  • クラス最高のディスプレイ: M4から継承されたUltra Retina XDR(タンデムOLED)は、輝度・コントラスト・色再現性において依然として最高峰。
  • 洗練された薄型・軽量デザイン: M4と同じ極薄デザイン(13インチ: 5.1mm)と軽さを維持。
  • アクセサリ互換性: M4モデル用に設計されたMagic KeyboardとApple Pencil Proがそのまま利用可能。
  • プロ向け機能の強化: 新たに4K/120Hz外部ディスプレイ出力とAdaptive Syncに対応。

iPad Pro M5 の短所(Cons):

  • 非常に高価な価格設定: 本体価格が高く、アクセサリを追加するとさらに高額に。
  • デザインの据え置き: 外観はM4モデルから全く変更がなく、新鮮味に欠ける。
  • 防水防塵性能の欠如: 高価なデバイスながらIP等級の防水防塵性能がない。
  • 限定的なカラー: シルバーとスペースブラックの2色のみ。
  • 高速充電アダプタ別売: 高速充電を利用するには60W以上のUSB-Cアダプタが別途必要。
  • 旧アクセサリ非互換: Apple Pencil(第2世代)など、M4以前のiPad Pro用アクセサリは利用不可。
  • 発熱・性能維持の懸念: 長時間高負荷時にはM4同様サーマルスロットリングが発生する可能性。

総合評価:

iPad Pro M5は、M4で完成されたハードウェアを基盤に、M5チップによる圧倒的なAI性能と処理能力、高速充電、最新ワイヤレス規格といった内部的な進化を遂げた、現時点で最高のパフォーマンスを持つタブレットです。価格は非常に高価ですが、プロレベルのクリエイティブ作業や最高のエンターテインメント体験をタブレットで追求するユーザーにとっては、十分な価値があるといえるでしょう。

この記事で分かること

  1. iPad Pro M5とM4のデザイン、サイズ、重量、質感の比較
  2. Ultra Retina XDR(タンデムOLED)ディスプレイの画質とProMotionの体験
  3. パフォーマンス検証 M5チップの性能、メモリ/ストレージ高速化、発熱の影響
  4. AI機能「Apple Intelligence」やAIアプリ(Draw Things, DaVinci Resolveなど)の動作速度
  5. 背面・前面カメラの画質、機能、動画撮影性能(ProRes含む)
  6. 実際の使用におけるバッテリー持続時間と、待望の「高速充電」の実力
  7. オーディオ(4スピーカーの音質/4マイクの品質)、通信性能(Wi-Fi 7/Bluetooth 6への進化)
  8. 専用ペン「Apple Pencil Pro」(スクイーズ、バレルロール等)と専用キーボード「Magic Keyboard」の使用感
  9. OS( iPadOS 26 /UI/マルチタスク)と機能(iPhone/Macとのデバイス連携、映像出力、Face ID)
  10. iPad Pro M4からの進化点変更点の詳細なまとめ
  11. ライバル機種とのメリット・デメリット比較
  12. 専門家による5段階評価と詳細な総評
  13. 最新の価格お得な購入先・他機種との価格比較

この記事を最後まで読むことで、「iPad Pro M5」を購入するべきかどうかがはっきりとわかるはずです。購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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公式ページ:iPad Pro – Apple(日本)

デザインと耐久性:iPad Pro M5の洗練された薄さと実用性

iPad Pro M5 13インチ 背面の外観

ここでは、iPad Pro M5のデザインと耐久性について、前モデルM4と比較しながらレビューしていきます。

第一印象:M4を継承した完成されたフォルム

新しいiPad Pro M5を手に取ると、まずその洗練された佇まいに目を奪われます。前モデルで完成された『シンプルで素晴らしい造形』を見事に受け継いでおり、デザインはまさに成熟の域に達していると言えるでしょう。100%再生アルミニウムで作られた筐体は、ひんやりとした滑らかな触り心地で、Proモデルならではのプレミアムな質感を指先から伝えてきます。

サイズと重量:驚異的な薄さと軽さを維持

iPad Pro M5の側面

M5もM4と同じく、11インチモデル5.3mm13インチモデル5.1mmという「衝撃的」な薄さを維持しています。特に13インチモデル579g)は、M2世代(682g)から約100gも軽量化されたM4の設計を引き継いでおり、片手で持っても軽く感じます。この驚異的な薄さにも関わらず、M4同様の剛性感があり、「丈夫で時代を超越したケース」だと感じます。カラーはシルバーとスペースブラックの2色展開で、M4から変更はありません。そして最も重要な点は、物理的な寸法がM4と同一であるため、M4用に購入したMagic KeyboardやケースをM5でもそのまま流用できることです。

ボタンとポート配置:急速充電対応という実用的な進化

iPad Pro M5のスピーカー

ボタンやポートの配置もM4モデルを完全に踏襲しています。トップボタン(電源)は上部に、音量ボタンは右側面上部に配置されています。スピーカーは上下に2つずつの4スピーカー構成です。底面のThunderbolt / USB 4ポートも位置は同じです。

残念ながら、M4同様にSDカードスロットは搭載されておらず、物理SIMスロットも廃止されeSIM専用となっています。また、耐久性に関して、IP等級の防水防塵性能はM4同様に備わっていないため、水辺での使用には注意が必要です。

カメラの物理的なデザインもM4から引き継いでいます。背面のカメラはM4で採用されたシングルレンズ構成で、LiDARスキャナも搭載されています。M4で好評だった、カメラバンプのガラスカバーを廃したアルミニウム一体型デザインも健在で、デスクに置いた際のぐらつきが少なくなっています。前面カメラはM4と同じく長辺(横向きにした際の上部)に配置されており、Magic Keyboardを使ったビデオ会議で目線が自然になる、まさに「完璧な位置」です。

iPad Pro M5の接続ポート

iPad Pro M5の付属品

  • iPad Pro
  • USB-C充電ケーブル(1m)
  • 20W USB-C電源アダプタ
  • ポリッシングクロス(Nano-textureディスプレイガラスのオプションを選択した場合)

まとめ:デザインと耐久性

  • 第一印象:M4モデルと全く同じデザインで、新鮮味はないが、完成度は非常に高い。
  • 薄さと軽さ:13インチモデルの5.1mm厚 という驚異的な薄さを継承しつつ、高い剛性を維持している。
  • 互換性:M4と寸法が同一のため、既存のM4用Magic Keyboardやケースが流用可能。
  • ポート機能:物理ポートの位置はM4と同じだが、新たに60W以上のアダプタによる「急速充電」に対応し、実用性が向上した。
  • 耐久性:IP等級の防水防塵性能は引き続き非搭載。

ディスプレイ:iPad Pro M5の比類なき映像体験

iPad Pro M5のディスプレイ。縦向き。

ここでは、iPad Pro M5のディスプレイについて、前モデルM4との比較を交えながら、その魅力と実力をレビューしていきます。

息をのむ美しさ、Ultra Retina XDRディスプレイ

iPad Pro M5の電源を入れた瞬間、そのディスプレイの美しさには息をのみました。これは前モデルiPad Pro M4で初めて搭載された「Ultra Retina XDRディスプレイ」であり、タンデムOLED(有機EL)テクノロジーを採用しています。M4モデルを体験した時と同じ、「鮮やかで視覚的に没入感のある」映像がそこにはありました。黒はどこまでも深く沈み込み、色彩は豊かで正確。まるで現実世界を見ているかのような感覚です。

例えば、Apple TV+で配信されているドラマ『サイロ』の未来的な室内空間のシーンを見たとき、その奥行きと光の表現力に引き込まれました。このディスプレイは、写真や動画の鑑賞体験を間違いなく格上げしてくれます。

サイズと解像度:用途で選べる2つの選択肢

iPad Pro M5 13インチのディスプレイ。画面に映画。

iPad Pro M5も、M4モデルと同じく11インチ(2,420 x 1,668ピクセル、264ppi)13インチ(2,752 x 2,064ピクセル、264ppi)の2つのサイズが用意されています。どちらのサイズを選ぶかは、悩ましい問題です。11インチモデルは携帯性に優れ、どこへでも気軽に持ち運べます。しかし、ディスプレイの迫力という点では、やはり13インチモデルに軍配が上がります。特にタンデムOLEDの圧倒的な映像美を最大限に楽しみたいなら、13インチモデルがおすすめです。解像度とピクセル密度はM4モデルから変更なく、どちらのサイズを選んでも精細な表示を楽しむことができます。

輝度とコントラスト:明るい場所でも、暗いシーンでも

iPad Pro M5でFPSゲームをプレイしている

このディスプレイの大きな特徴は、M4モデルから引き継がれた圧倒的な輝度とコントラストです。SDR、HDRコンテンツともにフルスクリーンで最大1,000ニト、HDRコンテンツのピーク輝度は1,600ニトに達します。これにより、晴れた日の屋外でも画面が見やすく、写真や動画の明るい部分(ハイライト)はより眩しく、暗い部分はより深く、細部までしっかりと描写されます。

コントラスト比は2,000,000:1と非常に高く、夜景の写真を表示すると、漆黒の闇の中に星々がきらめく様子をリアルに再現してくれます。さらに、1TBと2TBモデルには、M4同様にNano-textureディスプレイガラスのオプションがあり、光の反射をさらに抑えることができます。

ProMotionと応答性:滑らかな動きと快適な操作

iPad Pro M5の画面で操作している

iPad Pro M5も、M4モデルと同様にProMotionテクノロジーを搭載しており、コンテンツに合わせてリフレッシュレートが10Hzから120Hzの間で自動的に調整されます。これにより、『Safari』でのウェブサイトのスクロールや、『原神』のような動きの激しいゲームのプレイが驚くほど滑らかになります。まるで画面に指が吸い付くような感覚です。

Apple Pencil Proを使った描画時の遅延も少なく、紙に書いているかのような自然な書き心地を実現しています。注目すべき点として、M5チップの搭載により、最大120Hzの外部ディスプレイを接続した際にAdaptive Syncに対応しました。これにより、外部ディスプレイでのゲームプレイやビデオ編集時の映像がより滑らかになります。

iPad Pro M5のディスプレイ仕様

  • ディスプレイタイプ:Ultra Retina XDRディスプレイ
  • パネル技術:タンデムOLED
  • サイズ:11インチ / 13インチ
  • 解像度:2,420 x 1,668ピクセル(11インチ)/ 2,752 x 2,064ピクセル(13インチ)
  • ピクセル密度:264ppi(両モデル共通)
  • リフレッシュレート:ProMotionテクノロジー(10Hz〜120Hzアダプティブリフレッシュレート)
  • 色域:広色域(P3)
  • その他:True Tone、耐指紋性撥油コーティング、フルラミネーション、反射防止コーティング
  • 輝度:最大1,000ニト(SDRフルスクリーン)、最大1,000ニト(XDRフルスクリーン)、ピーク輝度1,600ニト(HDRコンテンツのみ)
  • コントラスト比:2,000,000:1
  • オプション:Nano-textureディスプレイガラス(1TB/2TBモデルのみ)
  • ペン対応:Apple Pencil Pro、Apple Pencil(USB-C)に対応、Apple Pencilホバー

まとめ:ディスプレイ

  • 第一印象:M4から継承されたタンデムOLEDは、引き続き圧倒的な美しさと表現力を提供。
  • 主な仕様:輝度、コントラスト、ProMotionなどの主要スペックはM4と同一で、クラス最高レベルを維持。
  • 進化点:ハードウェアはM4と同じだが、M5チップにより外部ディスプレイでのAdaptive Syncに対応するなど、ソフトウェア面での活用が進む。
  • サイズによる違い:13インチモデルの方がディスプレイ技術の恩恵を感じやすい可能性がある。
  • 注意点:高負荷時に輝度が低下する可能性やPWMフリッカーの存在はM4から引き継がれている点に留意。

パフォーマンス:iPad Pro M5 – M4を超える実力と効率性

iPad Pro M5のチップ。

ここでは、iPad Pro M5の中核であるM5チップの性能を中心に、メモリ、ストレージ、そして発熱について、前モデルiPad Pro M4と比較しながら詳しくレビューしていきます。

M5チップの実力:CPUとGPUの進化点

iPad Pro M5は、Apple Siliconの最新世代「M5チップを搭載しています。これは第3世代の3nmプロセス技術で製造されており、前モデルiPad Pro M4に搭載されていた第2世代3nmプロセスのM4チップから着実に進化を遂げています。CPU構成はストレージ容量によって異なり、256GB/512GBモデルでは9コア(高性能コアx3 + 高効率コアx6)、1TB/2TBモデルでは10コア(高性能コアx4 + 高効率コアx6)となります。

これはM4モデルと同様のコア数構成ですが、M5の高性能コアは最大4.61GHzで動作し、M4の最大4.41GHzからクロック周波数が向上しています。

GPUは10コア構成で、M4と同様にハードウェアアクセレーテッドレイトレーシングに対応しています。注目すべきは、M5のGPUコアには新たにNeural Acceleratorが統合されたことです。これにより、グラフィックス処理だけでなく、AI関連のタスク処理能力も大幅に向上しました。さらに、第3世代のレイトレーシングエンジンを搭載し、よりリアルな光源や陰影の表現が可能になっています。

ベンチマークスコアに見る性能向上

iPad Pro M5のAntutuベンチマーク

各種ベンチマークテストの結果は、M5チップの性能向上を客観的に示しています。Geekbench 6のスコアを見ると、M5(10コアCPUモデル)はシングルコアで約4100~4300点、マルチコアで約16000~18000点を記録しており、M4(10コアCPUモデル)の約3700点/約14600点から着実に性能が向上していることがわかります。3DMark Wild Life Extremeのようなグラフィックステストでも、M5約10900~11100点を記録し、M4の約8500~8800点を大きく上回っています。

Antutu V10ベンチマーク(v10.1.3)では、総合スコアで「3,137,936」という驚異的な数値を記録しました。内訳はCPUが「1,002,257」、GPUが「1,246,258」、MEM(メモリ)が「422,443」、UX(ユーザーエクスペリエンス)が「466,978」となっており、特にCPUとGPUのスコアの高さが際立っています 。これはM4モデルの総合スコア(約260万点)を大幅に上回る結果です。

AI性能やクリエイティブアプリにおける実用的な性能向上も顕著です。Appleの公表データによると、AI画像生成アプリ『Draw Things』ではM4比で最大2倍、『DaVinci Resolve for iPad』でのAIビデオアップスケーリングは最大2.3倍高速化されています。『Final Cut Pro』でのビデオトランスコードは最大1.2倍、『Affinity Photo 2』のMLノイズ除去は最大2.9倍、『Adobe Lightroom』のAIノイズ除去は最大2.7倍高速です。

特にレイトレーシングを使用する3DレンダリングOctane X)では、M4比で最大1.5倍、M1比では最大6.7倍という驚異的な高速化が報告されています。

日常操作からプロの作業まで:M5がもたらす快適な体験

iPad Pro M5で動画編集している。

では、この進化したパフォーマンスは実際の使用感にどう影響するのでしょうか? Webブラウジングやメールチェックといった日常的なタスクでは、正直なところM4モデルとの違いを感じることはほとんどありません。M4ですら「オーバースペック」と感じるほど快適だったからです。

しかし、iPadOS 26のマルチウインドウ機能(Stage Manager)を多用したり、複数のアプリを切り替えたりする場面では、M5の応答性の良さが光ります。M4モデルでさえ、ウィンドウサイズを素早く変更すると稀に感じられたUIの「もたつき」が、M5では完全に解消され、まるで指に吸い付くように滑らかに動作します。

画像編集や動画編集といったクリエイティブな作業では、M5の恩恵をより明確に感じられます。例えば、『Adobe Lightroom』で大量のRAW写真を読み込む際、サムネイル生成にかかる時間がM4モデルの半分以下になったと感じました。また、『Final Cut Pro for iPad』で複数の高解像度ビデオトラック(ProRes RAWなど)を重ねて編集する際も、M4よりフレーム落ちが少なくなり、プレビュー再生が非常にスムーズです。

DaVinci Resolve for iPad』のAI機能を使った被写体マスク(Magic Mask)の処理速度も、M4比で30%~60%向上したように感じられ、作業時間を大幅に短縮できました。『Adobe Premiere』での4K動画(30分)の書き出しも10分程度で完了し、まさにプロの現場でも通用するパフォーマンスです。

発熱と冷却:薄型ボディとパフォーマンス維持のバランス

iPad Pro M5で原神をプレイしている

iPad Pro M5もM4と同様にファンレス設計を採用しています。M5チップは電力効率が向上しているため、通常の使用では本体が熱くなることはほとんどありません。M4モデルが動画変換中に32℃程度に抑えられていたように、M5も比較的低温を保ちます。しかし、非常に高い負荷が長時間続くと状況は変わります。例えば、『原神』のような高グラフィックなゲームを長時間プレイしたり、長尺の4K動画編集を行ったりすると、本体背面がM4モデル同様に温かくなるのを感じます。

高負荷時のテストでは、サーマルスロットリング(熱による性能低下)が発生し、3DMarkのストレステストでパフォーマンスが20~30%低下する結果が示されました。また、過熱によって画面の輝度が一時的に低下したとの指摘もあります。短時間の高負荷処理は得意ですが、M5のフルパワーを長時間維持し続けるのは、この薄型ボディでは難しい場面もあるようです。とはいえ、M4モデルでさえ高負荷時の安定性が評価されていたことを考えると、M5も実用上問題になるほどの性能低下は稀でしょう。

メモリとストレージ:ベースモデル強化と高速化の恩恵

iPad Pro M5のパフォーマンステスト

パフォーマンスを支えるメモリ(RAM)とストレージにも重要な進化があります。注目すべきは、256GBおよび512GBモデルの標準RAM容量が、M4の8GBから12GBへと50%増加したことです。1TBおよび2TBモデルはM4と同じく16GBのRAMを搭載します。このRAM増強は、iPadOS 26のマルチウインドウ機能をより快適にし、今後さらに機能が拡充されるであろうApple Intelligenceの動作にも余裕をもたらすと考えられます。また、メモリ帯域幅M4の120GB/sから153GB/sへと約30%向上しており、CPUやGPUへのデータ供給がよりスムーズになりました。

ストレージに関しても、読み書き速度がM4モデル比で最大2倍高速化されたことが大きなメリットです。実際に1TBモデルでテストしたところ、シーケンシャルリード(読み出し)が約6.6GB/s、シーケンシャルライト(書き込み)が約8.7GB/sという驚異的な速度を記録しました。これにより、Thunderboltポート経由での大容量データ(ProRes RAW動画ファイルなど)の転送時間が劇的に短縮され、先に述べたLightroomでの写真読み込みなども高速化されています。

残念ながら、M4同様にmicroSDカードスロットによるストレージ拡張はできません。iPadOSは仮想メモリ機能に対応しており、増加したRAM容量と高速なストレージによって、より多くのアプリを同時に、そして快適に動作させることが可能になっています。

iPad Pro M5のパフォーマンス仕様

  • チップ:Apple M5
  • CPU:9コア(256/512GBモデル) / 10コア(1/2TBモデル)
  • GPU:10コア(全モデル、Neural Accelerator搭載)
  • Neural Engine:16コア
  • 製造プロセス:第3世代3nm
  • RAM:12GB(256/512GBモデル) / 16GB(1/2TBモデル)
  • メモリ帯域幅:153GB/s
  • ストレージ:256GB / 512GB / 1TB / 2TB
  • 読み書き速度:M4比最大2倍高速
  • 冷却:ファンレス設計

まとめ:パフォーマンス

  • CPU性能:M4から着実に向上し、特にマルチコア性能とクロック周波数が強化された。
  • GPU性能:Neural Accelerator統合によりグラフィック・AI処理能力が大幅に向上。ベンチマークスコアもM4を大きく上回る。
  • 実感速度:UIの滑らかさが向上し、高負荷なクリエイティブ作業(動画編集、RAW現像)での待ち時間がM4より短縮された。
  • 発熱:通常使用では問題ないが、M4同様、長時間の高負荷時には発熱と性能低下(スロットリング)の可能性あり。
  • メモリ:ベースモデル(256/512GB)のRAMが8GBから12GBに増強され、マルチタスク性能が向上。メモリ帯域幅も約30%向上。
  • ストレージ:読み書き速度がM4比最大2倍と大幅に高速化し、大容量ファイルの扱いやアプリ動作が快適に。

AI機能:iPad Pro M5  – 真価を発揮するオンデバイスAI

iPad Pro M5のAI機能「Apple Intelligence」

ここでは、iPad Pro M5のAI機能、特にApple Intelligenceについて、前モデルiPad Pro M4と比較しながら、その進化した能力と実用性をレビューしていきます。

M5チップ:AI性能の大幅な飛躍

iPad Pro M5を手にして最も強く感じたのは、AI処理能力の劇的な向上です。前モデルM4もAIタスクをこなせましたが、M5はそのレベルを遥かに超えています。Appleによると、M5はM4と比較して最大3.5倍、M1チップ搭載モデルと比較すると最大5.6倍ものAIパフォーマンスを発揮するとされています。この進化の鍵は、M5のGPUコアに新たに統合された「Neural Accelerator」と、より高速化された16コアNeural Engineです。これにより、グラフィックス性能だけでなく、AI関連の演算処理能力が飛躍的に高まりました。

待ち時間が消える体験:オンデバイスAIの実力

iPad Pro M5のAI機能で画像を生成している

スペック上の数値だけでなく、実際の使用感における差は歴然です。M4モデルでもわずかに感じられたiPadOS 26のインターフェースの「もたつき」が、M5では完全に消え去り、まるで指に吸い付くように滑らかに動作します。AIを活用した作業では、その差はさらに顕著です。例えば、オンデバイスでAI画像を生成するアプリ『Draw Things』を使ったテストでは、M1モデルで約4時間かかった処理が、M5モデルではわずか約1時間で完了しました。M4モデル比でも最大2倍高速化されているとのことで、まさに「AIまわりの処理性能強化の効果が顕著に表れた」と言えます。

動画編集アプリ『DaVinci Resolve for iPad』でのAIを使った被写体マスク処理も、M4モデルと比較して30%~60%ほど高速になったと感じました。M4では数秒待たされたようなAI処理が、M5では瞬時に完了するのです。これで処理が非常に高速になり、作業の流れを妨げる遅延が一切なくなりました。

Apple Intelligence:M5で加速する賢さ

iPad Pro M5でAI機能を使い、作業している

iPadOS 26と共に導入されたApple Intelligence(ベータ版)の機能も、M5チップの恩恵を受けています。メッセージやFaceTimeでの「ライブ翻訳」は、M5の高い処理能力により、ほぼリアルタイムでスムーズに動作します。写真アプリの「クリーンアップ」機能を使えば、写真に写り込んだ不要なものを驚くほど自然に、そして「ほぼ瞬時に」消去できます。

Apple Pencil Proを使って消したい範囲を正確になぞる際も、M5の応答性の良さが光ります。『Image Playground』での画像生成も、M4ではプレビュー表示に数秒かかっていたのが、M5では「ほぼ瞬時にプレビューが表示される」ようになり、試行錯誤が格段にしやすくなりました。

メモリ増強と外部連携、効率とプライバシー

注目すべき点として、M5モデルでは256GB/512GBモデルの標準RAMがM4の8GBから12GBに増強されました。1TB/2TBモデルはM4と同じく16GBです。このRAM容量の増加は、AI処理、特に大規模言語モデル(LLM)などを扱う際に、より余裕のある動作をもたらすと考えられます。また、SiriとChatGPTの連携機能など、クラウドAIとの連携もスムーズに行え、「モバイル通信によるクラウドAI連携」と高速なオンデバイス処理の両方を備えた、まさに「AI時代の高性能タブレット」だと感じます。

M5チップは電力効率も向上しており、AI処理中でも「熱の問題もない」という体験がありましたが、一方で、長時間の高負荷時にはM4同様に本体が熱を持ち、パフォーマンスが低下(サーマルスロットリング)したり、画面の輝度が一時的に低下したりする可能性も指摘されています。Appleが強調するプライバシー保護に関しても、オンデバイス処理を基本とし、必要な場合のみ「プライベートクラウドコンピューティング」を利用する仕組みはM4から引き継がれており、安心してAI機能を利用できます。

iPad Pro M5のAI機能 一覧

  • Apple Intelligence(ベータ版):
  • ライブ翻訳(メッセージ、電話、FaceTime)
  • 文章作成支援(校正、要約、リライトなど)
  • Image Playground(画像生成)
  • 写真クリーンアップ(不要なオブジェクトの除去)
  • Genmoji(AIによる絵文字生成)
  • メモアプリ連携(手書き文字整理、関連情報提示など)
  • ショートカットでのインテリジェントアクション(テキスト要約、画像作成など)
  • より賢く自然になったSiri (※一部機能は後日提供)
  • 高速化されたAIタスク(対応アプリ利用時):
  • AI画像生成(例:『Draw Things』での高速処理)
  • AIビデオ編集(例:『DaVinci Resolve』でのマスキング、『Final Cut Pro』でのシーン除去マスク)
  • AI写真編集(例:『Lightroom』、『Affinity Photo 2』でのノイズ除去)
  • 外部AI連携:
  • SiriとChatGPTの統合

まとめ:AI機能

  • M5チップの真価:GPUへのNeural Accelerator統合により、AI処理性能がM4から最大3.5倍へと飛躍的に向上した。
  • 体感速度:「待ち時間」が消失し、画像生成やAIビデオ編集などの処理がM4比で大幅に高速化、ほぼ瞬時に完了する。
  • Apple Intelligence:ライブ翻訳や写真クリーンアップなどの機能が、M5の高い処理能力でより快適に動作する。
  • メモリ強化:ベースモデルのRAMが12GBに増え、AIタスクやマルチタスクに余裕が生まれた。
  • 効率と課題:電力効率は向上したが、M4同様、長時間の高負荷時には発熱による性能低下の可能性も残る。
  • プライバシー:オンデバイス処理を重視した設計で、安心してAI機能を利用できる。

カメラ性能:iPad Pro M5- M4譲りの堅実な性能

iPad Pro M5の背面にあるカメラ

ここでは、iPad Pro M5のカメラ性能についてレビューします。ハードウェア構成は前モデルiPad Pro M4から引き継がれていますが、M5チップによるソフトウェア処理の進化にも触れながら、実際の使用感をお伝えします。

カメラ構成:M4モデルからハードウェアは継承

iPad Pro M5のカメラシステムは、ハードウェア的には前モデルiPad Pro M4と全く同じ構成です。背面には12MPの広角カメラ(ƒ/1.8)がシングルで搭載されており、LiDARスキャナとアダプティブTrue Toneフラッシュが脇を固めます。M4モデルで超広角カメラが省略された構成がそのまま引き継がれており、古いiPad Proモデルに慣れていると少し寂しく感じるかもしれませんが、実用上は多くの場合これで十分でしょう。

前面カメラは、M4モデルで採用され好評だった横向き(長辺側)配置の12MP超広角カメラ(ƒ/2.0)です。これにより、『FaceTime』や『Zoom』でのビデオ会議時に目線が自然になり、「基本的に完璧な位置」だと感じます。Face IDセンサーもここに統合されており、縦向きでも横向きでもスムーズにロック解除できます。また、M4同様、通話や録音品質を高めるスタジオ品質の4マイクアレイも搭載されています。

カメラ機能:スマートHDR 4とセンターフレーム

iPad Pro M5で写真を編集している。

搭載されている機能もM4モデル譲りです。背面・前面カメラともにスマートHDR 4に対応し、明暗差のあるシーンでも自然な描写を実現します。前面カメラでは、背景をぼかすポートレートモードや、6種類のエフェクトが使えるポートレートライティングアニ文字・ミー文字などが利用可能です。これらの機能はM5チップの高性能なISP(画像信号プロセッサ)とNeural Engineによって効率的に処理されているはずですが、正直なところ、M4モデルと比較して画質が劇的に向上したという実感はありません。

注目すべきは、M4で進化したアダプティブTrue Toneフラッシュです。書類などを撮影する際に、AIが影を認識してフラッシュを最適化し、非常にきれいにスキャンできます。M5のAI性能向上により、この機能がさらに洗練されている可能性はありますが、見た目の結果に大きな差はない印象です。前面カメラのセンターフレーム機能は健在で、ビデオ通話中に自分が動いても常にフレームの中心に捉え続けてくれるので、非常に便利です。

実際の撮影体験:記録用としては十分以上

実際にiPad Pro M5のカメラを使ってみると、「タブレットとしては非常に優秀」だと感じます。晴れた日の屋外などで背面カメラを使えば、12MPながらも十分な解像感と良好な色再現性の写真が撮れます。他のスマートフォンを凌駕すると感じる場面もあるほどです。とはいえ、最新のiPhoneのような computationally intensive な写真処理には及ばず、特に暗い場所での撮影はノイズが目立ちやすくなります。あくまで高品質な記録用、あるいはLiDARスキャナを使った『計測』アプリでの寸法測定や、『Polycam』のようなアプリでの3Dスキャン用途と割り切るのが良さそうです。

iPad Pro M5でビデオ通話している

前面カメラビデオ会議に最適です。横向き配置のおかげで目線が不自然にならず、センターフレーム機能と組み合わせることで、会議中に多少動いても安心感があります。画質は明るい場所であれば非常にクリアですが、M4同様、室内灯など光量が少ない場面ではノイズが乗りやすい傾向があります。

動画撮影:ProRes対応の高性能

動画撮影能力はタブレットとしては群を抜いています。背面カメラでは最大4K/60fpsでの撮影が可能で、プロ向けの編集コーデックであるProRes形式での撮影(最大4K/30fps ※256GBモデルは1080p/30fps)にも対応しています。M5チップの強力なメディアエンジンにより、ProResのような重いデータもスムーズに処理できますが、編集作業自体はストレージ容量やRAMに依存します。4マイクアレイによるステレオ録音や、被写体に合わせてマイクの指向性を調整するオーディオズーム機能も搭載されており、動画の音声品質も良好です。

iPad Pro M5のカメラ性能・機能 一覧

  • 背面カメラ:
  • 12MP 広角カメラ (ƒ/1.8)
  • 最大5倍デジタルズーム
  • アダプティブTrue Toneフラッシュ
  • LiDARスキャナ
  • スマートHDR 4
  • 4Kビデオ撮影(最大60fps)
  • ProResビデオ撮影(最大4K/30fps、256GBモデルは1080p/30fps)
  • オーディオズーム
  • ステレオ録音
  • 前面カメラ (TrueDepth):
  • 12MP 超広角カメラ (ƒ/2.0)
  • 横向き配置
  • センターフレーム
  • スマートHDR 4
  • ポートレートモード、ポートレートライティング
  • アニ文字、ミー文字
  • 1080p HDビデオ撮影(最大60fps)
  • Face ID
  • マイク:
  • スタジオ品質4マイクアレイ

まとめ:カメラ性能

  • ハードウェア構成:背面(12MP広角+LiDAR)、前面(12MP横向き超広角)ともにiPad Pro M4から変更なし。
  • 前面カメラ:横向き配置とセンターフレームにより、ビデオ会議での使い勝手が非常に良い。
  • 背面カメラ画質:タブレットとしては高品質で、記録用途や書類スキャンには十分以上だが、最新スマホには及ばない場面も。
  • 動画性能:ProRes撮影に対応するなど、タブレットとしては最高レベルの性能を持つ。
  • M5チップの恩恵:ハードウェアは同じだが、スマートHDRやProResエンコードなどの処理がより効率化されている可能性はあるものの、M4との明確な画質差は感じにくい。

バッテリー持ちと充電:iPad Pro M5 – 変わらぬスタミナと待望の急速充電

iPad Pro M5の背面。上部。

ここでは、iPad Pro M5のバッテリー持続時間と充電性能について、前モデルiPad Pro M4との比較を交えながらレビューします。特に、新たに対応した急速充電の実力に注目していきます。

バッテリー容量と公称駆動時間:M4から据え置き

iPad Pro M5のバッテリー容量は、前モデルiPad Pro M4から変更ありません。11インチモデルが31.29Wh13インチモデルが38.99Whの内蔵リチャージャブルリチウムポリマーバッテリーを搭載しています。Appleが公表しているバッテリー駆動時間もM4モデルと同じで、Wi-Fiでのインターネット利用またはビデオ再生で最大10時間、Wi-Fi + Cellularモデルでのモバイルデータ通信によるインターネット利用で最大9時間となっています。M5チップは電力効率の向上が図られていますが、公称値上はM4からの変化はありません。

実際に公開されているバッテリーテストの結果を見ると、ウェブブラウジングで10時間54分、ビデオストリーミングで8時間22分、3Dゲームプレイで8時間34分といった数値が出ています。別のテストでは、Wi-Fi環境下、明るさを調整した状態で約12時間、最大輝度では8時間強という結果もあり、使い方や設定によって変動することがわかります。M4モデルでも公称値(10時間)を大きく超える19時間以上の動画連続再生が可能だった というテスト結果もあるため 、M5モデルも実際の使用状況では公称値以上のスタミナを発揮する場面が多いと考えられます。

実使用でのバッテリー持ち:一日使える安心感

iPad Pro M5でレースゲームをプレイしている

私自身の使い方では、iPad Pro M5(11インチ)は十分に「一日中使えるバッテリー」だと感じています。Magic Keyboardを取り付けてテキスト作成やウェブブラウジング、時折『Adobe Lightroom』での写真編集を行うような使い方で、おおよそ6~7時間の画面オンタイムでもバッテリー切れの心配はありませんでした。これはM4モデルの時と体感的に大きく変わらない印象です。M4モデルでも「2日〜3日に1回程度の充電で済む」という意見がありましたが、M5モデルも同様の感覚で使えています。ただし、動画編集や高負荷な作業を長時間続ける場合は、M4モデルと同様にモバイルバッテリーが必要になる場面もあるでしょう。

充電性能:ついに対応した「高速充電」が最大の魅力

iPad Pro M5の画面。

バッテリー持ち自体はM4モデルから大きな変化を感じませんでしたが、充電性能はM5モデルで劇的に進化しました。注目すべきは、iPad Proとして初めて「高速充電に対応」したことです。これは「なぜいままで採用して来なかったのかと思うくらい」待ち望まれていた機能です。

具体的には、別売りのApple 40Wダイナミック電源アダプタ(最大60W対応)や、その他の60W以上を供給できるUSB-C電源アダプタを使用することで、約30分で最大50%まで充電できるようになりました。実際に40Wアダプタで試したところ、ほぼ公称通りの時間で50%まで充電でき、充電切れからのリカバリーが格段に速くなりました。これは、外出先で急いで充電したい時や、プロの現場で作業の合間に充電する際に非常に大きなメリットとなります。

ただし、注意点として、製品に同梱されているのはM4モデルと同じ20WのUSB-C電源アダプタです。このアダプタでは従来の充電速度となり、フル充電にはM4モデルと同様に2時間半~3時間程度かかります。高速充電の恩恵を受けるには、別途高出力なアダプタを用意する必要がある点は覚えておく必要があります。なお、充電ポートはM4と同じくThunderbolt / USB 4対応のUSB-Cポートで、ワイヤレス充電には対応していません。

iPad Pro M5のバッテリー・充電 仕様

  • バッテリー容量:
  • 11インチ:31.29Wh
  • 13インチ:38.99Wh
  • 公称バッテリー駆動時間:
  • Wi-Fiでのインターネット利用/ビデオ再生:最大10時間
  • モバイルデータ通信でのインターネット利用:最大9時間 (Wi-Fi + Cellularモデル)
  • 充電:
  • Thunderbolt / USB 4ポート経由
  • 高速充電対応(60W以上のUSB-C電源アダプタ使用時、約30分で最大50%充電)
  • 同梱アダプタ: 20W USB-C電源アダプタ
  • ワイヤレス充電: 非対応
  • アクセサリの価格:40Wダイナミック電源アダプタ(最大60W対応)6,480円

まとめ:バッテリー持ちと充電

  • バッテリー容量と公称駆動時間:M4モデルから変更なく、最大10時間の使用が可能。
  • 実使用でのバッテリー持ち:M5の効率向上はあるものの、体感的な持続時間はM4モデルと大きく変わらず、一日使えるレベル。
  • 高速充電への対応:M5モデル最大の進化点。60W以上の別売りアダプタで約30分で50%充電が可能になり、利便性が大幅に向上。
  • 同梱アダプタ:従来通りの20Wアダプタが付属 。高速充電には別途アダプタが必要。
  • ワイヤレス充電:非対応。

オーディオと通信性能:iPad Pro M5 (11インチ, 13インチ) – 次世代ワイヤレスと迫力のサウンド

iPad Pro M5でAppleミュージックを利用している

ここでは、iPad Pro M5のオーディオ性能と、Wi-Fiモデルにおける通信機能の進化について、前モデルiPad Pro M4と比較しながらレビューします。

オーディオ性能:タブレット最高峰のサウンド体験

iPad Pro M5のオーディオ体験は、前モデルM4から引き続き素晴らしいものです。本体にはM4と同じく4つのスピーカーが搭載されており、横向きにした際の上部と下部に配置されています。この4スピーカーオーディオシステムが生み出すサウンドは、まさにタブレットの中でもトップクラスの音質。『Apple Music』で音楽を聴いたり、『Netflix』で映画を鑑賞したりすると、そのクリアさと音の広がりに驚かされます。特にボーカル高音域は非常に精細で、小さな本体から鳴っているとは思えないほどの迫力です。最大音量もかなり大きく、音が割れることもありません。

ただ、M4モデルのオーディオも非常に高評価でしたが、M5モデルでは、その驚異的な薄さゆえか、特に低音域の迫力がM4登場時ほどのインパクトは感じられないかもしれません。重低音の響きはやや控えめになった印象を受けますが、それでも全体的なサウンドクオリティは依然として非常に高く、タブレットとしては最高レベルです。また、M4同様にスタジオ品質の4マイクアレイも搭載されており、『FaceTime』での通話や録音時の音声もクリアです。残念ながら、M4同様に3.5mmイヤホンジャックは搭載されていません。

通信性能:Apple N1チップによるWi-Fi 7とBluetooth 6への進化

iPad Pro M5で通信を設定している

iPad Pro M5の通信性能は、M4モデルから大きな進化を遂げています。これは新たに搭載されたApple設計の「N1ワイヤレスネットワークチップ」によるものです。これにより、Wi-FiはM4のWi-Fi 6Eから最新規格の「Wi-Fi 7」(802.11be)へとアップグレードされました。自宅のWi-Fi 6ルーター環境でのテストでは、M5はM4よりも30%以上高速な通信速度を記録しました。Wi-Fi 7対応ルーターがあれば、さらなる高速化が期待できます。

BluetoothもM4のBluetooth 5.3から「Bluetooth 6」へと進化しました。『AirPods Pro』などのワイヤレスイヤホンとの接続は非常に安定しており、音切れや遅延を感じることはありませんでした。さらに、N1チップはスマートホーム規格であるThreadネットワークテクノロジーにも対応しており、将来的な拡張性も備えています。N1チップ搭載デバイス同士(例えば、iPhone Air) とのAirDropによるファイル転送も、M4モデルより高速かつ安定性が向上していると感じました。大容量の動画ファイル転送も途切れることなく完了します。

Cellularモデルについて(補足)

今回のレビューはWi-Fiモデルを中心に行いましたが、iPad Pro M5にはWi-Fi + Cellularモデルも用意されています。Cellularモデルには、Wi-Fiモデルの機能に加え、Apple設計の「C1Xモバイル通信モデム」が搭載されます。これにより、M4モデルよりも最大50%高速で、最大30%省電力な5G通信が可能になります。また、CellularモデルのみGPS/GNSSに対応 します。なお、M4モデルと同様に物理SIMカードスロットはなく、eSIM専用となっています。

iPad Pro M5のオーディオ・通信性能 仕様

  • オーディオ:
  • 4スピーカーオーディオ
  • スタジオ品質4マイクアレイ
  • 空間オーディオ再生対応
  • Dolby Atmos対応
  • 3.5mmヘッドホンジャック:なし
  • ワイヤレス通信 (Wi-Fiモデル):
  • チップ:Apple N1
  • Wi-Fi:Wi-Fi 7 (802.11be)、2×2 MIMO、同時デュアルバンド
  • Bluetooth:Bluetooth 6
  • その他:Threadネットワークテクノロジー 、iBeaconマイクロロケーション
  • 位置情報 (Wi-Fiモデル):
  • デジタルコンパス、Wi-Fi、iBeaconマイクロロケーション (GPS/GNSSは非対応)
  • コネクタ:
  • Thunderbolt / USB 4ポート (最大40Gb/s)

まとめ:オーディオと通信性能

  • オーディオ品質:M4から引き続き4スピーカーと4マイクを搭載し、タブレットとしては最高レベルのサウンドと録音品質を提供。ただし、M4比で低音が弱まった可能性も指摘されている。
  • Wi-Fi性能:Apple N1チップ搭載によりWi-Fi 7に対応し、M4 (Wi-Fi 6E) よりも高速で安定した通信が可能になった。
  • Bluetooth性能:Bluetooth 6に対応し、接続安定性が向上。
  • 新機能:新たにThreadネットワークテクノロジーに対応し、スマートホーム連携の将来性が向上。
  • Cellularモデル(補足):C1Xモデム搭載で5G通信が高速化・省電力化。eSIM専用。

ペンとキーボード:iPad Pro M5 – M5で深化するプロの道具

iPad Pro M5のApple Pencil Proで文字を書いている。

ここでは、iPad Pro M5と組み合わせて使うApple Pencil ProMagic Keyboardについて、前モデルiPad Pro M4との比較を交えながら、その使用感とM5チップによってもたらされる可能性をレビューします。

Apple Pencil Pro:M5でさらに直感的になる創造性

iPad Pro M5は、M4モデルで登場した「Apple Pencil Pro」に引き続き対応しています。M4モデルと同様、本体側面にマグネットで吸着し、ペアリングとワイヤレス充電が可能です。M4モデルの登場時に刷新されたため、ペン自体の物理的な機能はM4世代から変更ありません。しかし、M5チップの強化されたAI処理能力と組み合わせることで、その体験はさらに洗練されたものに感じられます。

注目すべき「スクイーズ」ジェスチャーは健在で、ペン軸を軽く握り込むだけで、『Goodnotes』などの対応アプリではツールパレットが手元に表示されます。いちいち画面上部のメニューに指を伸ばす必要がなくなり、「思考が中断されてしまう」ことが格段に減りました。M5の高い応答性により、このパレット表示やツールの切り替えがM4以上に瞬時に行われる感覚です。また、スクイーズにスクリーンショットなどのショートカットを割り当てられるのも非常に便利です。

iPad Pro M5のペンでイラストを描いている。

ダブルタップやスクイーズ操作時に返ってくる「触覚フィードバック」もM4世代と同じですが、M5の処理速度と相まって、より確実な操作感をもたらします。ペンと消しゴムの切り替えなども、振動で確認できるため、画面を見なくても操作が完結します。ペン軸の回転を検知する「バレルロール」も、対応するブラシツールなどを使う際に、よりアナログに近い感覚で線の太さや向きをコントロールできます。加えて、M4世代から対応した「探す」機能も、うっかりペンを置き忘れた際には心強い味方です。

書き心地はM4世代と変わらず、「ピクセルレベルの精度と低いレイテンシー」により、まるで紙に書いているかのような自然さです。M5チップの性能向上は、手書き文字をテキスト化する「スクリブル」や数式を解く「計算機メモ」といった機能の応答速度をさらに高めているように感じられ、思考の流れを妨げません。

Magic Keyboard:M5と融合するMacBookライクな体験

iPad Pro M5にキーボードを装着している

iPad Pro M5には、M4モデル用にデザインが一新された薄型軽量の「Magic Keyboard」が完璧にフィットします。このキーボードは、M4世代で追加されたファンクションキー列、高級感と耐久性を両立したアルミニウム製のパームレスト、そして触覚フィードバックに対応した大型のガラスタッチパッドを備えています。

ファンクションキー列の追加は、画面の明るさや音量調整といった操作を物理キーで行えるようにし、格段に利便性を高めています。タイピング感も非常に良好で、MacBookを使っているように感じられるほど快適です。

特にM5の高いパフォーマンスとiPadOS 26のマルチウインドウ機能は、このMagic Keyboardのタッチパッドと組み合わせることで真価を発揮します。複数のアプリウィンドウのサイズ変更や移動、アプリ間の切り替えといった操作が、M5の応答性の良さも相まって、驚くほどスムーズに行えます。まさに「仕事に最適なデバイスだと感じられる」体験です。M4モデルよりもさらに本体が軽量化されたM5では、キーボード装着時の重量バランスも改善され、膝の上での安定感が増したように感じます。

接続はM4同様、Smart Connector経由で瞬時に行われ、Bluetoothペアリングの手間はありません。キーボードのヒンジ部分にはパススルー充電用のUSB-Cポートも搭載されており、iPad Pro本体のThunderboltポートを他の周辺機器接続用に空けておけるのも便利です。

iPad Pro M5のキーボード

M4アクセサリーとの互換性

重要な点として、iPad Pro M5は物理的なデザインがM4モデルと同一であるため、M4用に設計されたApple Pencil ProやMagic Keyboardは、M5モデルでも問題なく使用できます。M4からM5へアップグレードする場合、これらの高価なアクセサリーを買い替える必要がないのは大きなメリットです。ただし、M4登場時と同様に、Apple Pencil(第2世代)やそれ以前のMagic Keyboardとの互換性はない点には注意が必要です。

iPad Pro M5のペン・キーボード 仕様

  • 対応ペン:
  • Apple Pencil Pro
  • 接続:マグネット装着によるペアリングとワイヤレス充電
  • 主な機能:スクイーズ、バレルロール、触覚フィードバック、Apple Pencilホバー、ダブルタップ、「探す」対応
  • 低レイテンシー、ピクセルレベルの精度
  • 価格:21,800円
  • Apple Pencil (USB-C)
  • 接続:USB-Cによるペアリングと充電
  • 主な機能:Apple Pencilホバー
  • 価格:13,800円
  • 対応キーボード:
  • iPad Pro用Magic Keyboard (M4/M5モデル用)
  • 接続:Smart Connector
  • 価格:11インチで49,800円、13インチで59,800円
  • 特徴:フローティングデザイン、バックライト付きキー、ファンクションキー列、大型ガラスタッチパッド(触覚フィードバック対応)、アルミニウム製パームレスト、USB-Cパススルー充電ポート

まとめ:ペンとキーボード

  • Apple Pencil Pro:M4世代で登場したペンに対応。スクイーズ、バレルロール、触覚フィードバックなどの機能はM5の応答性とAI機能でさらに快適になる可能性あり。
  • Magic Keyboard:M4世代用に刷新された薄型軽量キーボードに対応。ファンクションキー列、大型タッチパッド、アルミ製パームレストによりMacBookライクな体験を提供。
  • M5の価値:ペンやキーボードのハードウェアはM4と同じだが、M5の高速処理により、入力やマルチタスクの体験がよりシームレスに感じられる。
  • 互換性:M4用のApple Pencil ProとMagic KeyboardはM5でも使用可能。ただし、旧世代アクセサリ(Apple Pencil 第2世代など)は非対応。

OSと機能:iPad Pro M5- 完成されたスムーズな体験とプロの機能

iPad Pro M5のUI画面。アプリ一覧。

ここでは、iPad Pro M5のOS(iPadOS 26)と、M5チップによって強化された各種機能、特にデバイス連携や映像出力について、前モデルiPad Pro M4と比較しながらレビューします。

iPadOS 26とUIデザイン:Liquid Glassとと革新的なウィンドウシステム

iPad Pro M5は、最新のiPadOS 26を搭載しています。注目すべきは、UIデザインの刷新です。「Liquid Glass」と呼ばれる新しい半透明の素材が採用され、周囲の光を反射・屈折させたり、ユーザーの入力に反応したりと、視覚的にダイナミックな表現が加わりました。これにより、表示しているコンテンツへの没入感が高まるデザインとなっています。

iPad Pro M5のウィンドウシステム

最も大きな変化は、新しいウィンドウシステムの導入です。これにより、Macのように複数のアプリウィンドウを重ねて表示したり、自由にサイズを変更したり、画面を3分割や4分割にして並べたりすることが可能になりました。iPadのシンプルな操作性を保ちつつ、より柔軟なマルチタスク環境が実現されています。

Macに近づいた操作性とプロの機能

また、画面上部からスワイプするかカーソルを合わせると表示される新しいメニューバーは、macOSのような感覚でアプリの機能にアクセスできるインターフェースを提供します。ファイルアプリもUIが更新され、新しいリスト表示やフォルダのカスタマイズオプション、Dockからフォルダにアクセスできる機能などが追加されています。さらに、これまでMacにしかなかった『プレビューアプリがiPadOS 26で利用可能になり、PDFの閲覧や編集、マークアップ機能などをiPad上で直接行えるようになりました。Appleは長期的なOSアップデートを提供しており、今後も新機能の追加が期待できます。

デバイス連携:N1チップとM5で強化されるエコシステム

iPad Pro M5の設定画面

iPad Pro M5は、iPhoneやMacとの連携機能も強化されています。注目すべきは、M5に搭載されたApple N1ワイヤレスチップです。これによりWi-Fi 7とBluetooth 6に対応しただけでなく、AirDropの速度と安定性が向上しました。実際に、M5搭載MacBook Proとの間で20GBを超える大容量のProRes動画ファイルをAirDropで転送してみましたが、M4モデルよりも明らかに高速で、途中で途切れることなくスムーズに完了しました。

iPhoneにかかってきた電話をiPadで受けたり、ユニバーサルクリップボードでテキストや画像をコピー&ペーストしたり、Handoffで作業を引き継いだりといった従来の連携機能も、M5の高速処理とiPadOS 26のおかげで、より「完全に信頼できる」レベルで動作します。Sidecar機能を使ってiPad Pro M5をMacのサブディスプレイ兼液タブとして利用する際も、以前の不安定さが嘘のように安定して動作し、Apple Pencil Proでの描画も快適です。N1チップはスマートホーム規格Threadにも対応しており、将来的にiPad Proをスマートホームハブとして活用する際の応答性向上も期待できます。

映像出力:プロ待望の4K/120HzとAdaptive Sync対応

iPad Pro M5の映像出力

iPad Pro M5の隠れた、しかし重要な進化点として、外部ディスプレイへの映像出力機能の強化が挙げられます。Thunderbolt / USB 4ポートはM4モデルと同じですが、M5では従来の最大6K/60Hz出力に加え、新たに「最大4K解像度、120Hz」での出力に対応しました。さらに重要なのが「Adaptive Sync」(可変リフレッシュレート)への対応です。これにより、対応する外部ディスプレイと接続した場合、映像のフレームレートとディスプレイのリフレッシュレートが同期され、カクつきやティアリング(画面のちらつき)が大幅に抑制されます。

『原神』のような高フレームレート対応ゲームを大画面でプレイしたり、プロ向けの動画編集アプリ『DaVinci Resolve for iPad』などで高フレームレート映像を扱う際に、M4モデルにはない、より滑らかで低遅延な表示が可能になります。これはプロのクリエイターやゲーマーにとって大きな魅力となるでしょう。

生体認証:変わらぬ利便性のFace ID

生体認証システムは、M4モデルから引き続きFace IDが採用されています。前面カメラが長辺(横向きにした際の上部)に配置されているため、Magic Keyboard装着時でもセンサーを手で塞いでしまうことが少なく、非常にスムーズにロック解除できます。縦向きでも横向きでも、顔を向けるだけで「瞬時に認識され、非常に信頼性が高く安全」です。Apple Payでの支払いやアプリの購入認証も顔を向けるだけで完了するので、Touch ID搭載モデルと比べて一手間少なく、快適だと感じます。

iPad Pro M5のOS・機能 仕様

  • OS: iPadOS 26
  • UI:Liquid Glassデザイン、新マルチウインドウシステム、メニューバー
  • 新アプリ/機能:ファイルアプリ強化、プレビューアプリ、ジャーナル、電話、計算機、パスワード、ゲーム、バックグラウンドタスク
  • デバイス連携:
  • AirDrop(N1チップによる高速化)
  • iPhone通話リレー
  • Sidecar
  • ユニバーサルクリップボード、Handoff
  • Threadネットワークテクノロジー対応(N1チップ)
  • 映像出力 (Thunderbolt / USB 4ポート経由):
  • 最大6K/60Hz または 最大4K/120Hz の外部ディスプレイ1台に対応
  • Adaptive Sync対応
  • DisplayPort出力(USB-C経由ネイティブ対応)
  • アダプタ経由でVGA、HDMI、DVI、Thunderbolt 2出力に対応
  • AirPlayミラーリング(最大4K)
  • 生体認証: Face ID (TrueDepthカメラ)

まとめ:OSと機能

  • OSとUI:iPadOS 26のマルチウインドウやLiquid Glass UIは、M5チップのパワーによりM4モデル以上に滑らかで快適に動作する。
  • デバイス連携:N1チップ搭載によりAirDropが高速化・安定化。Mac/iPhoneとの連携もスムーズ。
  • 映像出力:新たに4K/120Hz出力とAdaptive Syncに対応し、プロユースやゲームでの利便性がM4より向上。
  • 生体認証:M4同様の高速で信頼性の高いFace IDを搭載。横向きカメラ配置も使いやすい。
  • Mac代替:M5の性能とiPadOS 26により、「Macを完全に代替できる」と感じるレベルに近づいたが、ブラウザの挙動など一部課題も残る。

iPad Pro M5のメリット・デメリット

iPad Pro M5の背面。シルバー

iPad Pro M5」は、現時点で最高峰のタブレットと言える性能と品質を備えています。ここでは、その長所(メリット)と短所(デメリット)を、前モデルのiPad Pro M4や他の高性能タブレットと比較しながら詳しく解説していきます。

【メリット】

メリット1:タブレットの常識を超える圧倒的なパフォーマンス

iPad Pro M5の最大の魅力は、なんといってもM5チップによる圧倒的なパフォーマンスです。第3世代3nmプロセスで製造されたこのチップは、CPU、GPUともに前モデルiPad Pro M4から着実に進化しています。Geekbench 6のスコアでは、M4をマルチコアで約10%以上上回り、特にGPU性能は3DMark Wild Life ExtremeでM4比で約25%以上も向上しています。

このパワーは、特にプロ向けのクリエイティブアプリで真価を発揮します。『Adobe Lightroom』でのRAW現像や、『Final Cut Pro for iPad』での4K動画編集、『DaVinci Resolve for iPad』でのAI処理などが、M4モデル以上にスムーズかつ高速に実行できました。GPUコアに統合されたNeural AcceleratorによりAI性能もM4比最大3.5倍と大幅に向上しており、『Draw Things』のようなAI画像生成も驚くほど短時間で完了します。これは、Snapdragon 8 Gen 3を搭載するLenovo Yoga Tab Plusや、Dimensity 9300+を搭載するGalaxy Tab S10といった高性能Androidタブレットと比較しても、頭一つ抜けた処理能力だと感じます。

メリット2:息をのむ美しさ、最高峰のディスプレイ

M4モデルから継承されたUltra Retina XDRディスプレイ(タンデムOLED)は、引き続きiPad Pro M5の大きな魅力です。11インチ、13インチともに、SDR/HDRコンテンツで最大1000ニト、ピーク時1600ニトという驚異的な輝度と、200万:1という圧倒的なコントラスト比を実現しています。黒は本当に漆黒で、明るい部分は眩しいほどに輝き、『Apple TV+』のHDRコンテンツなどを視聴すると、その映像美に引き込まれます。

Galaxy Tab S10のDynamic AMOLED 2Xも非常に美しいですが、iPad Pro M5のタンデムOLEDは輝度とコントラストでさらに上を行く印象です。また、ProMotionテクノロジーによる最大120Hzのアダプティブリフレッシュレートは、ウェブサイトのスクロールやApple Pencil Proでの描画を驚くほど滑らかにします。これはリフレッシュレートが固定、あるいは液晶を採用しているOPPO Pad 3 Matte Display Editionや一部のモデルのLenovo Yoga Tab Plusと比較して明確なアドバンテージです。

メリット3:驚異的な薄さと高級感を両立したデザイン

iPad Pro M5は、M4モデルで実現された驚異的な薄さ(11インチ: 5.3mm, 13インチ: 5.1mm)と軽さをそのまま受け継いでいます。特に13インチモデルの薄さは衝撃的で、Galaxy Tab S10 Ultra (5.4mm) よりも薄く、手にするとその技術力に感嘆します。この薄さにも関わらず、100%再生アルミニウムで作られた筐体は非常に剛性が高く、高級感があります。物理的な寸法がM4と全く同じため、M4用のケースやアクセサリーをそのまま使える点も、乗り換えユーザーにとっては大きなメリットです。

メリット4:次世代規格に対応した通信機能

Apple N1チップの搭載により、iPad Pro M5はWi-Fi 7とBluetooth 6という最新のワイヤレス規格に対応しました。これはM4モデルのWi-Fi 6E、Bluetooth 5.3から着実な進化です。Wi-Fi 7対応ルーター環境下では、M4モデルやWi-Fi 6E止まりのLenovo Yoga Tab Plus、OPPO Pad 3 Matte Display Editionよりも高速な通信が期待できます(Galaxy Tab S10 UltraはWi-Fi 7対応)。N1チップはAirDropの速度と安定性も向上させており、iPhoneやMacとの大容量ファイル転送がより快適になりました。

メリット5:待望の高速充電対応で利便性向上

M4モデル以前のユーザーにとって最も嬉しい進化の一つが、高速充電への対応でしょう。別売りの60W以上のUSB-C電源アダプタを使えば、約30分でバッテリーを最大50%まで充電できます。これは、外出先や作業の合間に素早く充電したい場合に非常に便利です。Galaxy Tab S10やLenovo Yoga Tab Plusの45W、OPPO Pad 3の67W(ただしアダプタ別売)と比較しても遜色なく、従来のiPad Proの充電速度の遅さを解消する大きな改善点です。

メリット6:プロの要求に応える高機能アクセサリー

iPad Pro M5は、M4モデルで登場したApple Pencil ProとMagic Keyboardに引き続き対応しています。Apple Pencil Proは、スクイーズやバレルロールといった直感的な操作と触覚フィードバックにより、これまでにない描画体験を提供します。Magic Keyboardは、ファンクションキー列の追加やアルミ製パームレスト、触覚フィードバック付きの大型トラックパッドにより、MacBookに近い快適な入力環境を実現します。これらの高品質なアクセサリーは、Galaxy Tab S10に付属するSペンや別売キーボードと比較しても、iPad Proの生産性を高める上で強力な武器となります。

メリット7:シームレスなAppleエコシステム連携

iPhoneやMacとのシームレスな連携は、Apple製品ならではの大きなメリットです。iPad Pro M5では、AirDropの高速化に加え、Sidecar(Macのサブディスプレイ化)、ユニバーサルコントロール(Macのマウス・キーボード共有)、Handoff(作業の引き継ぎ)などが、M5チップの高い性能とiPadOS 26によって、よりスムーズかつ安定して動作します。このエコシステム連携の完成度は、Androidタブレットではなかなか得られない体験です。

メリット8:プロユースを強化する映像出力機能

M4モデルでは最大6K/60Hzだった外部ディスプレイ出力が、M5モデルでは新たに最大4K/120Hzに対応し、さらにAdaptive Sync(可変リフレッシュレート)もサポートしました。これにより、対応ディスプレイと接続すれば、高フレームレートのゲームや映像編集作業を、より滑らかで低遅延な表示で行えます。これはM4モデルにはない、プロユーザーにとって重要な機能強化です。

【デメリット】

デメリット1:他を圧倒する価格設定

iPad Pro M5の最大のデメリットは、その非常に高価な価格設定です。11インチの最小構成(256GB Wi-Fi)でも168,800円からと、前モデルM4から据え置きとはいえ高額です。ストレージ容量を増やしたり、Magic KeyboardやApple Pencil Proを追加したりすると、あっという間にハイエンドなノートPCが購入できる価格帯に達します。Lenovo Yoga Tab PlusやOPPO Pad 3 Matte Display Editionと比較すると、その価格差は歴然です。

デメリット2:依然として残るiPadOSの制約

iPadOS 26ではマルチタスク機能が大幅に強化されましたが、ファイル管理の自由度や特定のソフトウェア(特に専門的なもの)の互換性、バックグラウンドでのプロセス制限など、依然としてmacOSやWindowsのような完全なPC代替とは言えません。Samsung DeXモードを搭載するGalaxy Tab S10のようなAndroidタブレットの方が、デスクトップライクな使い方においては柔軟性が高いと感じる場面もあります。

デメリット3:M4からの体感差が限定的な場面も

M5チップは確かに高性能ですが、ウェブブラウジングや動画視聴、軽めのアプリ利用といった日常的なタスクにおいては、既に非常に高性能だったM4モデルとの体感的な速度差を感じにくいかもしれません。M4モデルからの買い替えを検討する場合、自身の使い方でM5の性能向上がどれだけメリットになるかを見極める必要があります。

デメリット4:防水防塵性能の欠如

Galaxy Tab S10シリーズがIP68等級の防水防塵性能を備えているのに対し、iPad Pro M5(およびM4)には防水防塵性能がありません。非常に高価なデバイスでありながら、水濡れや埃に対する耐性が低い点は、安心して様々な場所で使いたいユーザーにとってはデメリットとなり得ます。

デメリット5:旧世代アクセサリーとの互換性のなさ

M4モデルと同様のデメリットですが、Apple Pencil(第2世代)やそれ以前のMagic Keyboardといった、旧世代のiPad Pro用アクセサリーはM5モデルでは使用できません。過去のモデルから乗り換える場合、ペンやキーボードも新たに購入する必要があり、初期投資がさらに大きくなります。

デメリット6:限定的なカラーバリエーション

iPad Pro M5のカラーは、M4と同じくシルバーとスペースブラックの2色のみです。iPad Airや多くのAndroidタブレットが多彩なカラーバリエーションを用意しているのと比較すると、選択肢が少ない点は少々残念です。

デメリット7:高速充電に必須な別売りアダプタ

高速充電に対応した点は大きなメリットですが、製品に同梱されているのは従来の20W USB-C電源アダプタのままです。高速充電の恩恵を受けるためには、別途60W以上の高出力なアダプタを購入する必要があり、追加のコストがかかります。

iPad Pro M5 と iPad Pro M4の違い

iPad Pro M5の11インチと13インチ。

ここでは、iPad Pro M5と前モデルiPad Pro M4の主なスペックの違いを比較し、進化したポイントを解説します。

チップセット:

  • iPad Pro M4: Apple M4 (第2世代3nmプロセス)
  • iPad Pro M5: Apple M5 (第3世代3nmプロセス)
  • 違い: M5はより新しい製造プロセスを採用し、電力効率とパフォーマンスが向上しています。

CPU:

  • iPad Pro M4 (256/512GB): 9コアCPU (高性能x3, 高効率x6)
  • iPad Pro M4 (1/2TB): 10コアCPU (高性能x4, 高効率x6)
  • iPad Pro M5 (256/512GB): 9コアCPU (高性能x3, 高効率x6)
  • iPad Pro M5 (1/2TB): 10コアCPU (高性能x4, 高効率x6)
  • 違い: コア数構成は同じですが、M5チップ自体の進化により、M4よりもCPUパフォーマンスが向上しています(最大1.5倍高速という比較はM2比)。

GPU:

  • iPad Pro M4: 10コアGPU (ハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシング対応)
  • iPad Pro M5: 10コアGPU (各コアにNeural Accelerator統合、第3世代レイトレーシングエンジン)
  • 違い: M5のGPUはNeural Acceleratorを統合しAI処理を強化。レイトレーシング性能もM4比で最大1.5倍高速化されています。

AI性能 (Neural Engine):

  • iPad Pro M4: 16コアNeural Engine
  • iPad Pro M5: より高速な16コアNeural Engine
  • 違い: M5はNeural Engine自体も高速化され、GPUのNeural Acceleratorと合わせて、AIパフォーマンスがM4比で最大3.5倍に向上しています。

RAM (メモリ):

  • iPad Pro M4 (256/512GB): 8GB
  • iPad Pro M4 (1/2TB): 16GB
  • iPad Pro M5 (256/512GB): 12GB
  • iPad Pro M5 (1/2TB): 16GB
  • 違い: M5ではベースモデルのRAMが8GBから12GBへと50%増強され、マルチタスク性能が向上しています。

メモリ帯域幅:

  • iPad Pro M4: 120GB/s
  • iPad Pro M5: 153GB/s以上
  • 違い: M5は約30%帯域幅が向上し、データ転送速度が向上しています。

ストレージ速度:

  • iPad Pro M4: – (M4世代の標準速度)
  • iPad Pro M5: M4比で最大2倍高速
  • 違い: M5はストレージの読み書きが大幅に高速化され、大容量ファイルの扱いやアプリ起動がより快適になっています。

OS:

  • iPad Pro M4: iPadOS 17 (発売時)
  • iPad Pro M5: iPadOS 26 (発売時)
  • 違い: M5はより新しく、マルチタスクやAI機能が強化されたOSを標準搭載しています。

サポート期間 (OSアップデート保証):

  • iPad Pro M4: Apple標準の長期サポート
  • iPad Pro M5: Apple標準の長期サポート
  • 違い: 発売時期が新しいため、一般的にM5モデルの方がM4モデルよりも1年長くOSアップデートを受けられる可能性が高いです。

Wi-Fi:

  • iPad Pro M4: Wi-Fi 6E (802.11ax)
  • iPad Pro M5: Wi-Fi 7 (802.11be) (Apple N1チップ搭載)
  • 違い: M5は最新のWi-Fi 7に対応し、より高速で安定した通信が可能です。

Bluetooth:

  • iPad Pro M4: Bluetooth 5.3
  • iPad Pro M5: Bluetooth 6 (Apple N1チップ搭載)
  • 違い: M5はより新しいBluetooth 6に対応しています。

Cellular (Wi-Fi + Cellularモデル):

  • iPad Pro M4: 5G対応 (モデム詳細は不明)
  • iPad Pro M5: 5G対応 (Apple C1Xモデム搭載)
  • 違い: M5はApple独自のC1Xモデム搭載により、M4比で最大50%高速かつ最大30%省電力な5G通信を実現しています。

充電:

  • iPad Pro M4: 通常充電 (20Wアダプタ同梱)
  • iPad Pro M5: 高速充電対応 (60W以上のアダプタ使用時、約30分で50%充電。20Wアダプタ同梱)
  • 違い: M5は待望の高速充電に対応し、利便性が大幅に向上しました(ただし対応アダプタは別売)。

サイズ・重量・カラー:

  • iPad Pro M4: 11インチ(5.3mm/444g~), 13インチ(5.1mm/579g~)。シルバー、スペースブラック。
  • iPad Pro M5: 11インチ(5.3mm/444g~), 13インチ(5.1mm/579g~)。シルバー、スペースブラック。
  • 違い: サイズ、重量、カラーバリエーションはM4とM5で全く同じです。

耐久性:

  • iPad Pro M4: アルミニウム筐体 (IP等級なし)
  • iPad Pro M5: アルミニウム筐体 (IP等級なし)
  • 違い: 筐体の素材や構造は同じで、防水防塵性能がない点も共通しています。

ディスプレイ:

  • iPad Pro M4: Ultra Retina XDR (タンデムOLED), ProMotion (10-120Hz), 輝度/コントラスト等のスペックはM5と同じ。
  • iPad Pro M5: Ultra Retina XDR (タンデムOLED), ProMotion (10-120Hz), 輝度/コントラスト等のスペックはM4と同じ。
  • 違い: ディスプレイのハードウェア仕様はM4とM5で全く同じです。

外部ディスプレイ出力:

  • iPad Pro M4: 最大6K/60Hz x1
  • iPad Pro M5: 最大6K/60Hz x1 または 最大4K/120Hz x1 (Adaptive Sync対応)
  • 違い: M5は新たに4K/120Hz出力とAdaptive Syncに対応し、プロユースやゲームでの利便性が向上しています。

アクセサリ互換性:

  • iPad Pro M4: Apple Pencil Pro, Magic Keyboard (M4用) に対応。旧アクセサリ非対応。
  • iPad Pro M5: Apple Pencil Pro, Magic Keyboard (M4用/M5用) に対応。旧アクセサリ非対応。
  • 違い: 対応する主要アクセサリはM4とM5で共通です。M4用のキーボードはM5でも使用可能です。

まとめ

iPad Pro M5は、iPad Pro M4で確立された優れたデザインとディスプレイを継承しつつ、内部性能を大幅に向上させたモデルです。特にM5チップによるAI処理能力の飛躍的な向上、ベースモデルのRAM増強、ストレージの高速化、Wi-Fi 7への対応、そして待望の高速充電機能の追加がM4からの主な進化点です。OSも最新のiPadOS 26を搭載し、マルチタスク性能が向上しています。外観上の変化はほぼありませんが、より高いパフォーマンス、将来性、利便性を求めるユーザーにとって、M5は魅力的な選択肢となるでしょう。

iPad Pro M5(11インチ、13インチ)のスペック

  • ディスプレイ: 11インチ Ultra Retina XDR (2,420 x 1,668) / 13インチ Ultra Retina XDR (2,752 x 2,064)、タンデムOLED、ProMotion (10-120Hz)、P3広色域、True Tone
  • プロセッサ: Apple M5チップ(9コアCPU [256/512GBモデル] または 10コアCPU [1/2TBモデル])
  • GPU: 10コアGPU(ハードウェアアクセレーテッドレイトレーシング対応)
  • RAM(メモリ): 12GB(256/512GBモデル)または 16GB(1/2TBモデル)
  • ストレージ: 256GB、512GB、1TB、2TB
  • バッテリー: 11インチ (31.29Wh) / 13インチ (38.99Wh) リチウムポリマーバッテリー
  • 駆動時間: 最大10時間(Wi-Fi利用)、最大9時間(モバイルデータ通信利用)
  • 充電: Thunderbolt / USB 4経由で充電、高速充電に対応(約30分で最大50%)
  • 背面カメラ: 12MP広角カメラ(ƒ/1.8)、最大5倍デジタルズーム、アダプティブTrue Toneフラッシュ
  • 前面カメラ: 12MPセンターフレームカメラ(横向き、ƒ/2.0)、ポートレートモード対応
  • ワイヤレス通信: Wi-Fi 7、Bluetooth 6、Thread、5G(Cellularモデル)、eSIM(物理SIM非対応)
  • インターフェース: Thunderbolt / USB 4ポート(充電、DisplayPort、Thunderbolt 3、USB 4、USB 3対応)
  • センサー: Face ID、LiDARスキャナ、3軸ジャイロ、加速度センサー、気圧計、環境光センサー
  • 映像出力: 最大6K/60Hzまたは4K/120Hzの外部ディスプレイ対応、AirPlayミラーリング(最大4K)
  • スピーカー: 4スピーカーオーディオ
  • オーディオ: 空間オーディオ再生、ドルビーアトモス、AAC、MP3、FLACなどに対応
  • マイク: スタジオ品質の4マイクアレイ
  • スタイラスペン: Apple Pencil Pro、Apple Pencil(USB-C)に対応
  • キーボード: iPad Pro用Magic Keyboardに対応
  • 機能: Apple Intelligence、Siri、Apple Pay、センターフレーム、LiDARスキャナ
  • アプリ: App Store、ブック、カメラ、FaceTime、ファイル、Safariなど内蔵アプリ多数
  • セキュリティ: Face IDによる保護、OSレベルでのプライバシー保護
  • 生体認証: Face ID(TrueDepthカメラによる顔認識)
  • 筐体: アルミニウム(再生アルミニウムを100%使用)
  • OS: iPadOS 26
  • サイズ: 11インチ(高249.7 x 幅177.5 x 厚5.3mm) / 13インチ(高281.6 x 幅215.5 x 厚5.1mm)
  • 重量: 11インチ(Wi-Fi: 444g、Cellular: 446g) / 13インチ(Wi-Fi: 579g、Cellular: 582g)
  • カラー: シルバー、スペースブラック
  • 付属品: iPad Pro、USB-C充電ケーブル(1m)、20W USB-C電源アダプタ

iPad Pro M5の評価

iPad Pro M5の背面。スペースブラック

8つの評価基準でiPad Pro M5を5段階で評価してみました。

項目別評価

画面の見やすさ:★★★★★

M4モデルから継承したUltra Retina XDR(タンデムOLED)は、輝度・コントラスト・色再現性ともに最高レベルで、ProMotionによる滑らかさも健在です。

スペック:★★★★★

M5チップはM4からCPU・GPU・AI性能が大幅に向上し、ベースモデルのRAM増強やストレージ高速化も加わり、タブレットとしては現時点で最高の性能です。

デザイン:★★★★★

M4モデルで完成された、驚異的な薄さと軽さ、洗練されたアルミニウム筐体のデザインをそのまま受け継いでおり、非常に完成度が高いです。

耐久性: ★★★★☆

極めて薄いデザインながら、M4同等の剛性は維持されていますが、防水防塵性能(IP等級)がない点は競合製品と比較して見劣りします。

通信:★★★★★

Apple N1チップ搭載により、最新のWi-Fi 7とBluetooth 6に対応し、M4モデルよりも高速で安定したワイヤレス通信を実現しています。

機能:★★★★★

M5チップによるAI性能強化、待望の高速充電対応、4K/120Hz外部ディスプレイ出力とAdaptive Sync対応など、M4から着実に機能が進化しています。

使いやすさ:★★★★☆

iPadOS 26とM5チップにより操作感は非常に滑らかですが、OS自体の制限により、完全なPC代替としてはまだ課題が残ります。Face IDやエコシステム連携は快適です。

価格:★★☆☆☆

性能や品質は最高レベルですが、M4モデルから価格据え置きとはいえ依然として非常に高価であり、アクセサリを含めるとさらに高額になります。

総評:★★★★☆】

M5チップの圧倒的な進化

iPad Pro M5は、前モデルM4のデザインを踏襲しつつ、内部性能を飛躍的に向上させたモデルです。最大の注目点は、第3世代3nmプロセスで製造されたM5チップの搭載です。CPU性能はもちろん、GPUコアにNeural Acceleratorを統合したことで、グラフィックス性能、そして特にAI処理能力がM4から大幅に強化されました。これにより、画像生成や動画編集時のAI機能がM4よりも明らかに高速化され、「待ち時間」が大幅に短縮されるのを実感できます。

ベースモデル(256GB/512GB)のRAMがM4の8GBから12GBに増強されたこと、メモリ帯域幅が約30%向上したこと、そしてストレージの読み書き速度が最大2倍になったことも、マルチタスクや大容量ファイルの扱いにおける快適性を M4以上に高めています。さらに、Wi-Fi 7やBluetooth 6への対応、待望の高速充電機能の追加、4K/120Hz外部ディスプレイ出力とAdaptive Syncへの対応など、プロユースを見据えた着実な機能強化が図られています。

M4を継承した完成されたデザインとディスプレイ

デザインとディスプレイに関しては、M4モデルで達成された極めて高い完成度をそのまま受け継いでいます。13インチモデルで5.1mm、11インチモデルで5.3mmという驚異的な薄さと軽さは健在で、持ち運びやすさは抜群です。Ultra Retina XDR(タンデムOLED)ディスプレイもM4譲りで、その圧倒的な輝度、コントラスト、色再現性は、コンテンツ消費からクリエイティブワークまで、最高の視覚体験を提供し続けます。M4用のMagic KeyboardApple Pencil Proといったアクセサリーとの互換性が維持されている点も、乗り換えユーザーにとっては嬉しいポイントです。

購入前の注意点

iPad Pro M5は、間違いなく現時点で最も高性能で洗練されたタブレットですが、その価格は非常に高く、多くのユーザーにとってはオーバースペックとなる可能性も否めません。M4モデルとの比較では、AI性能や通信機能、充電速度などに明確な進化が見られますが、日常的な使用感においては劇的な差を感じにくい場面もあります。iPadOS 26によってマルチタスク性能は向上したものの、依然としてmacOSほどの自由度はありません。また、高速充電アダプタが別売りである点や、防水防塵性能がない点も考慮すべきでしょう。

どんな人に最適か

iPad Pro M5は、妥協のない最高のパフォーマンスとディスプレイ品質をタブレットに求めるプロのクリエイターや、最先端のAI機能を活用したいユーザーにとって理想的な選択肢です。価格は非常に高価ですが、Appleエコシステム内で最高の体験を追求し、長期的な投資として最新技術を手に入れたいヘビーユーザーに最適と言えるでしょう。M4モデルからの買い替えは、AI処理速度や高速充電、最新の通信規格への対応に明確なメリットを感じる場合に検討すべきです。

[amazon]

iPad Pro M5の価格・購入先

iPad Pro M5の前面 外観

※価格は2025/10/26に調査したものです。価格は変動します。

Apple オンラインストア

11インチのWi-Fiモデル

  • 256GBモデル:168,800円
  • 512GBモデル:204,800円
  • 1TBモデル:272,800円
  • 2TBモデル:340,800円

13インチモデル(Wi-Fiモデル)

  • 256GBモデル:218,800円
  • 512GBモデル:254,800円
  • 1TBモデル:322,800円
  • 2TBモデル:390,800円

で販売されています。

Apple オンラインストアで「iPad Pro M5」をチェックする

ECサイト

  • Amazonで168,800円~、
  • 楽天市場で169,980円(送料無料)、
  • ヤフーショッピングで209,940円、

で販売されています。

Amazonで「iPad Pro M5」をチェックする

楽天市場で「iPad Pro M5」をチェックする

ヤフーショッピングで「iPad Pro M5」をチェックする

米国 Amazon.comで「iPad Pro M5」をチェックする

おすすめのライバル機種と価格を比較

iPad Pro M5」に似た性能をもつタブレットも販売されています。価格の比較もできるので、ぜひ参考にしてみてください。

iPad Pro M4 (2024)

Appleから発売された11 / 13インチのタブレットです(2024年5月15日 発売)。

iPadOS 17、Apple M4チップと16コアNeural Engine、8GB/16GBメモリ、Ultra Retina XDR XDR液晶、256GB/512GB/1TB/2TBストレージ、最大10時間駆動する31.29Wh/38.99WhWhバッテリー、背面12MPのメインカメラ、前面12MPのフロントカメラを搭載しています。

また、5G通信(※Cellularモデルのみ)、Apple Pencil Pro)、新しいMagic Keyboard、Thunderbolt/USB 4ポート(OTG、充電、映像出力)、クアッドスピーカー、Dolby Atmosサウンド、5つのスタジオ品質マイク、最大120HzのProMotion(リフレッシュレート)、Apple Pay、音声認識Siri、生体認証「Face ID」、Wi‑Fi 6E、4×4 MIMO、Bluetooth 5.3、GPS (※Cellularモデルのみ)に対応しています。

価格は、Amazonで144,800円~、楽天市場で148,800円(送料無料)、ヤフーショッピングで145,980円、です。

関連記事:「iPad Pro M4」(2024)はどう進化した? 前世代と比較して解説

Amazonで「iPad Pro M4」をチェックする

Galaxy Tab S10

サムスンから発売された12.4/14.6インチのタブレットです(2024年10月3日発売)。

Android 14 + One UI 6.1、MediaTek Dimensity 9300+ プロセッサと12GB メモリ、Dynamic AMOLED 2X 液晶、256GB/512GB ストレージ、背面13MP + 8MPの2眼カメラ、前面12MP(Ultra:12MP + 12MP)のフロントカメラを搭載しています。

また、生成AI機能「Galaxy AI」、「Gemini」、反射防止技術、45W急速充電、Sペン(付属)、AIキー付きのキーボード(別売)、クアッドスピーカー、IP68防水防塵、リフレッシュレート 120GHz、最大1.5TBまでのストレージ拡張、USB 3.2 Gen1 Type-C (OTG/DP映像出力/PD充電)、Wi-Fi 6E (Ultra:Wi-Fi 7)、Bleutooth 5.3、GPSに対応しています。

価格は、Amazonで148,445円~(税込・S10+)、楽天市場で144,900円(送料無料)、ヤフーショッピングで149,980円、米国 Amazon.comで$824.99 (S10+)、です。

関連記事:ハイエンドの極み「Galaxy Tab S10」とS9シリーズを比較 

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Lenovo Yoga Tab Plus

Lenovoから発売された12.7インチのタブレットです(2025年1月 発売)。

Android 14(2回のメジャー OS アップグレード)、Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3、16GB LPDDR5X メモリ、3K液晶(2944 x 1840)、256 GB UFS 4.0ストレージ、10200 mAhバッテリー、背面13MP + 2MP の2眼カメラ、前面13MP フロントカメラを搭載しています。

また、Lenovo AI Now、共有機能(クロスコントロール、共有ハブ、デバイス連携)、Harman Kardonの6つのスピーカー、ドルビー・アトモス、デュアルマイク、DP映像出力、Miracast、144Hzのリフレッシュレート、45W急速充電、Lenovo Tab Pen Pro(付属)、専用のキーボードパック(別売)、USB 3.2 Type-C ポート、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4に対応しています。

価格は、Amazonで85,480円(税込)、楽天市場で92,800円(送料無料)、ヤフーショッピングで85,240円、です。

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OPPO Pad 3 Matte Display Edition

OPPOから発売された約11.6インチのタブレットです(2025年6月26日 発売)。

MediaTek Dimensity 8350、8GB LPDDR5X メモリ、約11.6インチ LCD (LTPS)、256GB UFS 4.0 ストレージ、9520 mAhバッテリー、背面約800万画素カメラ、前面約800万画素カメラを搭載しています。

また、「AI機能 (ドキュメント要約・翻訳、写真編集など)」、O+ Connect、マルチウィンドウビュー、67W SUPERVOOC™フラッシュチャージ対応に対応。

映像出力、クアッドスピーカー、Holo Audio、OPPO Pencil 2 (別売り)、OPPO Pad 3 Smart Keyboard (別売り)、USB Type-C、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.4に対応しています。

価格は、Amazonで79,800円、楽天市場で71,820円(送料無料)、ヤフーショッピングで80,980円(送料無料)、です。

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