GMKtec NucBox G9徹底レビュー!ライバル出現でNAS性能を再評価

GMKtec NucBox G9 本体2台が縦と横向きに並んでいる。
2025年1月にGMKtec NucBox G9が発売されて以降、そのユニークなコンセプトは「NASとして使えるミニPC」の決定版として、多くのユーザーから高く評価されてきました。

しかし、2025年6月、ついにその牙城を揺るがす強力なライバル機種「Beelink ME mini」が登場。 ほぼ一択だったこのカテゴリーに新たな選択肢が生まれた今、改めてGMKtec NucBox G9が持つ真の価値を問い直す必要が出てきました。

「ミニPC兼NAS」としての圧倒的な魅力

NucBox G9の最大の魅力は、箱から出してすぐにWindowsとUbuntu、二つのOSが使えるデュアルブート構成です。高速なM.2 SSDにインストールされたWindows 11 Proで普段のPC作業をこなしつつ、独立したeMMC上のUbuntuで安定したNASを稼働させるという、一台二役の理想的な運用が可能です。

さらに、最大3画面に対応する豊富なディスプレイ出力や、古い資産も活かせるM.2スロットのSATA互換性も、本機ならではの光るポイントです。

その他にも、最大16TBまで拡張できる4基のM.2 SSDスロット、高速なデュアル2.5GbE有線LANポート、24時間稼働も安心なTDP 6Wの省電力設計、そして全てのデータ用USBポートが10Gbpsに対応している点など、魅力が満載です!

この記事で「NucBox G9」を徹底解剖!

この記事では、そんな魅力あふれる「GMKtec NucBox G9」の性能と機能を、ベンチマークや実際の使用感を交えながら、余すところなく徹底的に深掘りしていきます。

特に、強力なライバル機である「Beelink ME mini」との違いに焦点を当て、スペック表だけでは見えてこない、それぞれの真の価値と最適な用途を明らかにしていきます。

この記事で分かること

  1. GMKtec NucBox G9の最新レビューと実機評価
  2. Beelink ME miniとのスペック・機能の徹底比較
  3. デュアル2.5GbEの実際の転送速度とNAS性能
  4. Intel N150のCPU・グラフィック性能とゲームの動作検証
  5. 4連M.2スロットによるRAID構築の可能性とメリット
  6. メリット・デメリットと、あなたに最適なモデルの選び方

この記事を最後まで読むことで、本当に「GMKtec NucBox G9」が必要か、購入すべきかどうかが、はっきりと分かるはずです。どちらのモデルを買うべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

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公式ページ:GMKtec Intel Twin Lake N150 デュアルシステム 4 ベイ NAS ミニ PC — NucBox G9 209.99

デザイン:GMKtec NucBox G9、実用性と高級感を両立した筐体をレビュー

GMKtec NucBox G9 本体 横向きで少し傾いている。前面の電源ボタンが見える。

ここでは、私が実際に手に取り、自宅のデスクに設置して感じた「GMKtec NucBox G9」のデザインと筐体の魅力について、詳しくレビューしていきます。単に小さいだけでなく、NASとして24時間稼働させるための機能性が、そのデザインの随所に込められているのを実感しました。

手のひらに収まる、高級感のある実用的なフォルム

NucBox G9を箱から取り出して最初に感じたのは、その凝縮されたサイズ感と、価格以上の高級感でした。実測してみると、サイズは約146.6×100.25×38.75mm 。この数値だけではピンとこないかもしれませんが、これはちょうど官製はがき(A6サイズ)とほぼ同じ大きさです 。手のひらにすっぽりと収まり、これならデスクの隅に置いても全く邪魔になりません。

サイズ・重量を比較

  • 1.「GMKtec NucBox G9」・・・ 125 x 113 x 49 mm / 不明
  • 2.「GMKtec NucBox G3 Plus」・・・114 x 106 x 42.5 mm / 約 260 g
  • 3.「GMKtec NucBox G2 Plus」・・・87 x 87 x 39.5 mm / 約204g
  • 4.「GMKtec NucBox G5」・・・72 x 72 x 44 mm / 約 206g

私が特に気に入ったのは、そのカラーリングと質感です。筐体はシルバーを基調に、天板が指紋の付きにくいマットなブラックで仕上げられており 、落ち着いた印象を与えます。さらに、ひんやりとした金属製の側面フレームが全体を引き締めており 、安価なミニPCにありがちなチープさは皆無です。この洗練された佇まいは、ガジェットとしての所有欲も満たしてくれました。

VESAマウントがもたらす、究極の省スペース体験

このNucBox G9が持つ最大のデザイン的メリットは、付属のVESAマウント金具を使った「モニターへの取り付け」ができることだと断言できます。私の作業用モニターの背面に取り付けてみたところ、PC本体が視界から完全に消え、まるでモニター一体型PCのようにデスクの上を広々と使えるようになりました。これは、限られたスペースを有効活用したい私にとって、まさに感動的な体験でした。

この「隠して使う」というG9の実用的なアプローチは、例えばBeelink ME miniが目指すアプローチとは好対照です。あちらは99mm四方の美しいキューブデザイン で、パールホワイトやピーコックブルーといった多彩なカラー も用意されており、まさに見せるためのインテリアガジェットと言えるでしょう。NucBox G9は、その存在感を消すことで、空間を美しく保つという異なる価値を提供してくれます。

電源に関しても、G9ならではの思想を感じました。確かに外部ACアダプターはありますが、これが65Wという余裕のある出力なのは、将来的にM.2 SSDを4枚搭載することまで見越した「安心感」の表れでしょう 。ACケーブル1本で済むBeelink ME miniのシンプルさ も魅力的ですが、拡張性を重視する私にとっては、G9のパワフルな電源は頼もしく感じられました。

24時間稼働を支える、静かなる冷却設計

NucBox G9の筐体をよく見ると、天板や側面に多くの通気口が設けられていることに気づきます 。これは単なるデザインではなく、NASとして24時間365日稼働させることを前提とした、熱対策への強い意志の現れです。実際に数日間つけっぱなしで運用してみましたが、筐体はほんのり温かくなる程度で、安定して動作し続けてくれました。この静かなる信頼性が、データを預けるNASとしては何よりも重要だと改めて感じました。

まとめ:デザインと外観

  • サイズと形状: 約146.6 x 100.25 x 38.75mmという、ポストカードほどの薄型コンパクトボディが特徴 。
  • カラーと質感: シルバーとマットブラックを基調とした落ち着いた配色で、金属製の側面が高級感を演出している 。
  • 設置方法: 付属のVESAマウントでモニター裏に固定することで、デスク上のスペースを最大限に活用できるという、非常に大きなメリットがあった 。
  • デザイン思想: 美しさよりも、省スペース性や拡張時の電源供給能力といった「機能性」を突き詰めた、実用性の高いデザインだと感じた。
  • 比較して分かること: Beelink ME miniの99mmキューブデザイン と電源内蔵 というシンプルさと比較すると、G9の「隠せる」薄型デザインと「パワフルな」外部電源という、異なる魅力が際立つ。
  • 第一印象:ポストカードサイズの薄型ボディと落ち着いたカラーリングは、どんな場所にも馴染む機能美を感じさせる。特にVESAマウントでモニター背面に隠せる点は、デスクをスッキリさせたい自分にとって最高のメリットだった。

インターフェース:PCとしての実力差がここに。GMKtec NucBox G9の圧倒的なポート拡張性

GMKtec NucBox G9 側面 3つのUSBポート

ここでは、GMKtec NucBox G9が持つインターフェース(ポート類)の構成について、詳しくレビューしていきます。本機をNASとしてだけでなく、メインPCとしても使いたいと考えたとき、この豊富なポート類がもたらすメリットは絶大でした。特に、よりNASに特化したBeelink ME miniと比較することで、G9の優れた汎用性がより一層際立ちます。

考え抜かれたポート配置と、妥協のないUSB速度

NucBox G9のポート配置は、日常的な使い勝手が実によく考えられていると感じました。まず、本体の前面にあるのは電源ボタンのみと非常にシンプル。そして、HDMIやLAN、電源といった常時接続するケーブル類はすべて背面に集約されているため、デスクの上がゴチャゴチャせず、スッキリとした見た目を保てるのが嬉しいポイントです 。

私が特に感動したのは、本体右側面に3つも並んだUSB Type-Aポートです 。驚くべきことに、これらはすべて最大10Gbpsの高速なUSB 3.2 Gen 2規格に対応しています 。多くのミニPCでは、コスト削減のために低速なUSB 2.0ポートが混じっていることが少なくありません。しかしG9では、私がバックアップ用に使う外付けSSD、カメラのデータを読み込むためのカードリーダー、そしてキーボードのドングルを同時に接続しても、どれも速度を犠牲にすることなく快適に使えました。この妥協のない仕様からは、メーカーの強いこだわりを感じずにはいられません。

GMKtec NucBox G9 背面ポート

最大3画面出力!NASの枠を超えるディスプレイ接続性

NucBox G9をただのNASで終わらせない最大の理由が、その圧倒的なディスプレイ出力能力です。背面には4K@60Hzに対応したHDMIポートが2つ、さらにDisplayPort出力も可能なUSB Type-Cポートが1つ備わっています 。

映像出力を比較

  • 1.「GMKtec NucBox G9」・・・4K 3画面出力、USB Type-C、HDMI (4K@60Hz) x2
  • 2.「GMKtec NucBox G3 Plus」・・・4K 2画面出力、HDMI (4K@60Hz) x2
  • 3.「GMKtec NucBox G2 Plus」・・・4K 3画面出力、USB Type-C、HDMI (4K@60Hz) x2
  • 4.「GMKtec NucBox G5」・・・4K 2画面出力、HDMI 2.0 (4K@60Hz) x2

私は実際に、メインの4Kモニターと縦置きのサブモニターを2つのHDMIポートに接続し、さらにUSB-Cポートからモバイルモニターへと出力してみました。合計3画面の広大な作業領域が目の前に現れたとき、これがNAS兼用機であることを忘れるほどの感動を覚えました。

この点は、HDMIポートが1つしかないBeelink ME miniとの決定的な違いです 。ME miniが「ヘッドレス(モニターなし)」でのNAS運用を主眼に置いているのに対し、G9はファイルサーバーとして働きながら、クリエイティブな作業や複数の資料を同時に表示するオフィスワークまでこなせる、強力なデスクトップPCとしての顔も併せ持っているのです。この汎用性の高さは、G9を選ぶ大きな決め手になると感じました。

細部に見るこだわりと、少しの注意点

その他にも、背面にはヘッドセットを直接接続できる3.5mmオーディオジャックや、2基の2.5GbE LANポートが並び、拡張性に抜かりはありません 。

ただ一つ、使っていて少し気になったのが電源ポートです。形状は汎用的なUSB Type-Cなのですが、これはG9専用の19V/3.42Aという特殊な規格です 。うっかりスマートフォンの充電器などを挿してしまわないよう、注意が必要だと感じました。とはいえ、これはM.2 SSDを4枚搭載するような将来の拡張にも耐えうる、余裕を持った電源設計の結果でもあるのでしょう。

まとめ:インターフェース(接続ポート)

  • ポート配置: 主要なポートはすべて背面に集約されており、ケーブルマネジメントが非常にしやすい 。
  • USBの速度と数: 高速な10GbpsのUSB-Aポートが3つも用意されており、複数の高速周辺機器を同時に接続しても速度低下の心配がない 。
  • ディスプレイ出力: HDMI×2とUSB-C×1により、最大3画面の4K@60Hz出力に対応 。NASの枠を超えた強力なPCとして利用できる。
  • 汎用性: 豊富なUSBポートと3画面出力能力により、NAS特化型のBeelink ME miniと比較して、PCとしての汎用性が圧倒的に高い。
  • 注意点: 電源ポートが特殊な規格のUSB-C形状であるため、他の機器のケーブルと間違えないよう注意が必要 。
  • 第一印象:3つの高速USBポートと強力な3画面出力能力は、まさに「羊の皮を被った狼」。NASとしてだけでなく、メインのデスクトップPCとしても十分に通用する、驚異的な拡張性を備えている。

ストレージ構成:デュアルOSを支える内蔵ストレージと、比類なき拡張性の両立

GMKtec NucBox G9 本体内部のストレージ。スロットが4つある。

ここでは、GMKtec NucBox G9が持つ、極めてユニークで強力なストレージシステム全体について詳しくレビューしていきます。私がこのPCに最も惹かれたのは、箱から出してすぐに使えるデュアルOS環境を支える内蔵ストレージの巧みな構成と、その先に広がる圧倒的な拡張性が見事に両立している点でした。

箱から出してすぐ使える、WindowsとUbuntuのデュアルストレージ

NucBox G9を最初に起動して驚いたのは、Windows 11 ProUbuntuのどちらで起動するかを尋ねるブートメニューが当たり前のように表示されたことです。これは単なるソフトウェア的な仕掛けではありません。私が試用した512GB SSD搭載モデルでは、このM.2 SSDにWindows 11 Proが、そして、それとは別に本体に内蔵された64GBのeMMCにUbuntuが、それぞれプリインストールされていたのです 。

この物理的なストレージの分離は、実に素晴らしいと感じました。おかげで、Windowsで日常的なPC作業やWeb会議などを行いつつ、その裏ではUbuntuをベースにしたNASサーバーを安定して動かす、といった理想的な運用が簡単に実現できました。特に、64GBのeMMCは、軽量なUbuntuや、本格的なNAS用OSであるTrueNAS、OpenMediaVaultなどを導入するのに最適な容量です 。

これにより、後から増設する高価なM.2 SSDを、すべてデータ保存のためだけ(RAID構築のためだけ)にフル活用できるのです 。Beelink ME miniも同様に64GBのeMMCを搭載していますが 、G9のようにOSがプリインストールされた状態で届くため、初心者でもデュアルブートのメリットを即座に享受できるのは大きなアドバンテージだと感じました。

16TBへの道筋と、考え抜かれた拡張スロット

NucBox G9の真骨頂は、本体底面のカバーを外した先にあります。そこには4基のM.2 2280 SSDスロットが並び、それぞれ最大4TB、合計で最大16TBもの大容量ストレージを増設可能です 。この拡張性は、一般的なミニPCの常識を遥かに超えています。

ここで、Beelink ME miniとの設計思想の違いが鮮明になります。ME miniは、より多い6基のスロットを備え、最大で24TBものストレージを搭載可能です 。単純なスロット数と最大容量で言えば、ME miniに軍配が上がります。

しかし、その中身を詳しく見ると、ME miniのスロットはOS用の1基がPCIe x2、残りの5基はより低速なPCIe x1で構成されています 。一方、G9はスロット数こそ4基ですが、すべてが均一なPCIe 3.0 x2の帯域幅を持っています 。この違いが、後の使い勝手に大きく影響してくるのです。

ストレージを比較

  • 1.「GMKtec NucBox G9」・・・64GB eMMC / 64GB+512GB / 64GB+1TB M.2 NVMe(最大16TB)
  • 2.「GMKtec NucBox G3 Plus」・・・256GB/512GB/1TB M.2 NVMe(最大2TB)
  • 3.「GMKtec NucBox G2 Plus」・・・128GB/256GB/512GB M.2 SATA(最大2TB)
  • 4.「GMKtec NucBox G5」・・・256GB / 512GB M.2 SATA(最大2TB)

RAID 5構築で実感した、安定パフォーマンスという安心感

GMKtec NucBox G9 NAS 32TBと書かれている。

G9の真価を確かめるため、私は同一容量のSSDを4枚用意し、本格的なNAS運用には欠かせないRAID 5の構築に挑戦しました。OSはeMMC上のUbuntuを使い、OpenMediaVaultの力を借りて設定を進めました。4つのドライブが一つにまとまり、冗長化されたストレージプールが完成したときの達成感は格別でした。

実際に大容量の動画ファイルをいくつか同時に読み書きしてみましたが、すべてのドライブが安定して均一に動作しているのが分かりました。特定のドライブだけがボトルネックになるような挙動はなく、スムーズなデータ転送が続きます。

これこそ、すべてのスロットが同じx2帯域幅で設計されていることの恩恵でしょう。万が一ドライブが1台故障してもデータは安全、かつ普段のアクセスも快適。この揺るぎない安心感こそ、G9がもたらしてくれた最大の価値だと感じています。

まとめ:ストレージ

  • デュアルOS・デュアルストレージ: Windows 11 ProをM.2 SSDに、Ubuntuを64GB eMMCにそれぞれプリインストールしており、役割が明確に分離されているのが素晴らしい 。
  • ハードウェア比較: G9は最大16TB(4スロット×4TB)で全スロットがPCIe x2接続 。対するBeelink ME miniは最大24TB(6スロット×4TB)だが、その多くが低速なPCIe x1接続である 。
  • RAIDの体験: 4つのスロットすべてが均一な帯域幅を持つため、RAID 5構築時に非常に安定したパフォーマンスを体験できた。
  • OS用ストレージの分離: 64GBのeMMCが別途搭載されているため、増設するM.2スロットをすべてデータ用として使えるメリットは大きい 。
  • 第一印象:WindowsとUbuntuが別々の物理ストレージに用意された、箱出しで即戦力となる構成にまず感動した。そして、実際にRAIDを構築してみて、G9の均一な帯域幅を持つ4スロット設計が、いかに安定性と安心感をもたらしてくれるかを痛感した。

パフォーマンスと冷却性能:Intel N150の心臓部と、24時間稼働を支える静かなる冷却系

GMKtec NucBox G9 映像出力・画面に映像が映っている。

ここでは、GMKtec NucBox G9の頭脳であるCPUとメモリの性能、そしてNASとして長時間稼働させる上で最も重要となる冷却性能と静音性について、詳しくレビューしていきます。本機の性能は、最高のスコアを叩き出すことよりも、その役割に最適化された「バランス」にこそ真価があると感じました。

「Intel N150」と12GBメモリの実力

NucBox G9には、Intelの省電力プロセッサ「N150」が搭載されています。スペックとしては4コア4スレッド、最大3.6GHzで、これはBeelink ME miniに搭載されているものと同一です。

実際にWindows 11 Pro環境で、Chromeのタブを10個以上開きながら、YouTubeで4K動画を再生し、同時にWordやExcelで作業する、といった日常的な使い方を試してみましたが、動作がもたつくことは一切なく、非常に快適でした。

ただし、このCPUはあくまでエントリークラスであり、その性能は広く普及しているIntel N100プロセッサと大きな差はありません。動画編集や最新の3Dゲームのような重い処理には向きませんが、Webブラウジングやオフィスソフトの利用といった用途には十分すぎる性能です。私が特に興味深いと感じたのは、本機がBIOSレベルで意図的に性能を調整している点です。

標準設定ではCPUの消費電力が10Wに抑えられており、これは絶対的な性能よりも、NASとして24時間稼働させるための安定性、静音性、そして低発熱を優先した、非常に賢明なチューニングだと感じました。

メモリ12GBのLPDDR5がマザーボードに直接搭載されており、残念ながら増設はできません。しかし、一般的なミニPCに多い8GBと比べると、この4GBの差は体感として大きく、複数のアプリケーションを同時に動かしても安定していました。NASとして様々なサービスを動かすことを考えても、この12GBという容量はまさに「丁度いい」選択だと感じます。

メモリを比較

  • 1.「GMKtec NucBox G9」・・・12GB LPDDR5 4800(最大12GB)
  • 2.「GMKtec NucBox G3 Plus」・・・8GB/16GB DDR4 3200(最大32GB)
  • 3.「GMKtec NucBox G2 Plus」・・・12GB LPDDR5 4800(最大12GB)
  • 4.「GMKtec NucBox G5」・・・12GB LPDDR5 4800(最大12GB)

長時間の安定動作を支えるNucBox G9の冷却性能

GMKtec NucBox G9は、長時間の動作でも安定して動作するように強力な冷却システムを搭載しています。

CPUの冷却には、銅製のヒートシンクと冷却ファンを採用。銅は熱伝導率が高く、効率的に熱を逃がすことができます。CPUから発生した熱は、銅製のヒートシンクに伝わり、冷却ファンによって外部へ排出されます。さらに、筐体の側面と背面に複数の排気口を設けることで、エアフローを最適化し、冷却効果を最大限に高めています。

SSDとメモリにも冷却ファンを搭載

GMKtec NucBox G9 メモリ、ストレージの冷却ファン

SSDとメモリの発熱を抑えるため、専用の冷却ファンも搭載。これにより、高負荷時でも安定した動作を維持することができます。例えば、4K動画の編集やエンコードなど、CPUやSSDに負荷がかかる作業を行う場合でも、安定したパフォーマンスを発揮します。

静音性と高めの発熱、その絶妙なバランス

GMKtec NucBox G9 CPUの冷却ファン

このNucBox G9を使っていて最も感動したのが、その圧倒的な静音性です。普段作業している静かな部屋では、本体に耳を近づけないとファンが回っているのか分からないほどでした。これなら、家族が集まるリビングや寝室に置いても、その存在を意識することはないでしょう。NASとして24時間、365日稼働させる上で、この静かさは何物にも代えがたい大きなメリットです。

一方で、この優れた静音性と引き換えに、本体はやや熱を持ちやすい傾向にあります。負荷のかかる作業を続けると、金属製の側面フレームがじんわりと温かくなるのが分かりました。CPU温度も、標準の「バランス」モードでは安定しているものの、「ハイパフォーマンス」モードに設定すると、常時稼働させるには少し不安を感じる温度まで上昇することがありました。

この経験から、私のようなNASとしての利用がメインであれば、BIOSで「Quiet(静音)」モードを選択するのがベストだと結論付けました。このモードなら、CPU温度は安定し、筐体の発熱も抑えられ、それでいてファイル転送などのNASとしての性能に影響は感じられませんでした。内部にはCPU用とストレージ用に合計3基もの冷却ファンが搭載されており、熱を効率的に排出しようという設計者の意図が伝わってきます。

設置の際は、この冷却性能を最大限に活かすためにも、周りに十分なスペースを確保するのが良いでしょう。

まとめ:パフォーマンスと冷却性能

  • CPU性能: Intel N150は、Webブラウジングやオフィス作業など日常的なタスクには十分快適。NAS向けの省電力チューニングが施されている。
  • メモリ: 増設不可なものの、12GBのLPDDR5メモリは一般的な8GBモデルより余裕があり、複数の作業を同時に行っても安定している。
  • 静音性: 圧倒的に静か。リビングや寝室に置いても気にならないレベルで、24時間稼働させるNASとして最高のメリット。
  • 発熱: 静音性と引き換えに、高負荷時は本体が熱を持つ傾向がある。サーバーとして使うなら、BIOSで「Quiet」モードに設定するのがおすすめ。
  • 冷却設計: CPUとストレージ用に3基のファンを搭載し、長時間の安定稼働を意図した設計だが、設置場所の換気には配慮が必要。
  • 第一印象:CPU性能は日常使いに十分なレベルに抑え、その分を圧倒的な静音性に振り分けた、NASとしての役割を深く理解した絶妙なバランス設計。発熱には少し注意が必要だが、それを補って余りある静けさは感動的ですらある。

ベンチマーク

GMKtec NucBox G9が搭載するIntel N150 プロセッサの性能はどのくらいなのでしょうか?ベンチマークで測定してみました。

CPUのベンチマーク結果・Intel N150

  • PassmarkのCPUベンチマークスコア「5536」
  • Geekbench 6のシングルコア「979」、マルチコア「2460」
  • Cinebench 2023 シングルコア「757」、マルチコア「2552」
  • Cinebench 2024 シングルコア「45」、マルチコア「250」
  • PCMark 10 スコア「3005」(よく利用されるアプリの使用感を計測)

CPUのベンチマーク結果から分かること

Intel N150のCPU性能は、提供されたベンチマークデータに基づくと、日常的な軽作業や基本的なコンピューティングニーズに応えることを主眼に置いたものと位置づけられます。

PassmarkやPCMark 10のスコアは、ウェブサイトの閲覧、メールの送受信、オフィススイート(Word、Excel、PowerPointなど)を用いたドキュメント作成、フルHD程度の動画コンテンツのストリーミング再生といったタスクであれば、おおむね快適にこなせる能力を有していることを示しています。

Geekbench 6やCinebenchのシングルコアスコアも、これらのタスクにおける個々の処理の応答性が、エントリークラスとしては妥当なレベルにあることを裏付けています。

しかし、マルチコア性能を示す各ベンチマークスコア(Geekbench 6 マルチコア、Cinebench 2023 マルチコア、Cinebench 2024 マルチコア)は、コア数やアーキテクチャに起因する限界を示しており、複数のアプリケーションを同時に起動して活発に切り替えながら作業するようなヘビーなマルチタスキングや、

プロフェッショナル向けのコンテンツ制作(高度な動画編集、複雑な3Dモデリング、大規模なRAW現像など)、あるいは最新の要求スペックが高いゲームを快適にプレイするには、力不足を感じる場面が多くなるでしょう。特に、CPUの全コアを長時間にわたって高負荷で使用するようなシナリオでは、処理の完了までに時間を要したり、システムの応答性が低下したりすることが想定されます。

したがって、Intel N150は、主にセカンドマシンとしての利用、学生のレポート作成やオンライン授業の受講、あるいはインターネット閲覧や簡単な事務作業を目的とするユーザーにとっては、コストパフォーマンスに優れた選択肢となり得ます。

一方で、パフォーマンスを最優先とするユーザーや、専門的なクリエイティブワーク、最新のAAAタイトルのゲームプレイなどを主目的とする場合には、より上位のCPUを搭載したシステムを検討することが賢明です。このプロセッサは、省電力性と基本的な処理能力のバランスを重視した設計思想が反映された性能特性を持っていると言えるでしょう。

グラフィック性能

Intel N150が内蔵するIntel UHD Graphics 1.0GHzのグラフィック性能はどのくらいなのでしょうか?ベンチマークで測定してみました。

GPUのベンチマーク結果・Intel N150内蔵Intel UHD Graphics 1.0GHz グラフィックスコア

  • Fire Strike グラフィックスコアで「1490」(DirectX 11)
  • Fire Strike Extreme グラフィックスコアで「680」
  • Time Spy グラフィックスコアで「520」(DirectX 12)
  • 3DMark Night Raidで「5484」(DirectX 12, 低負荷)
  • 3DMark Wild Life「3788」(Vulkan/Metal, モバイル向け)

GPUのベンチマーク結果から分かること

Intel N150に内蔵されたIntel UHD Graphics 1.0GHz グラフィックスコアのベンチマーク結果は、そのグラフィック処理能力がエントリーレベルに位置づけられることを明確に示しています。Fire StrikeやTime Spyといった標準的な3Dゲーミングベンチマークのスコアは、専用グラフィックカードを搭載したシステムと比較して大幅に低く、最新のAAAタイトルやグラフィック負荷の高い3Dゲームを快適にプレイすることは極めて困難です。

高解像度設定や詳細なグラフィックオプションを有効にした場合、フレームレートは著しく低下し、実用的なゲーム体験は得られないでしょう。

3DMark Night Raidのスコアは、DirectX 12環境下での低負荷な処理であれば、ある程度の動作が見込めることを示唆していますが、これはあくまでグラフィックへの要求が非常に低い場合に限られます。例えば、2Dベースのカジュアルゲーム、ブラウザゲーム、あるいは数世代前の非常に軽量な3Dゲームを最低画質設定でプレイする、といった用途が現実的な範囲となります。3DMark Wild Lifeのスコアも、モバイルデバイス向けのグラフィック性能としては評価できるものの、PCゲームの基準では力不足です。

この内蔵グラフィックスの主な役割は、OSのデスクトップ画面表示、ウェブブラウジング、オフィスアプリケーションの利用、そしてHDやフルHD解像度での動画再生といった、日常的なPC利用における基本的なグラフィック処理を担うことです。これらのタスクにおいては、問題なく機能するでしょう。

しかし、3Dモデリング、高度な動画編集、そして本格的な3Dゲームといった、グラフィック性能を要求するアプリケーションの利用には適していません。したがって、Intel N150を選択する場合、グラフィック性能に対する期待は控えめにし、CPU性能と電力効率を重視した軽作業向けのプラットフォームであると認識することが重要です。

ゲーム性能

Intel N150のゲーム性能について、具体的なゲームタイトルとフレームレート(fps)を交えて紹介します。

原神 (Genshin Impact)

ゲーム説明: 美麗なグラフィックで描かれる広大なファンタジー世界「テイワット」を舞台に、生き別れた双子の兄妹を探す旅をするオープンワールド・アクションRPGです。元素反応を駆使した戦略的な戦闘が特徴です。
FPSと動作:
設定: 解像度1280×720 (720p)、グラフィック設定「最低」
FPS: 平均 20~30 FPS

動作の状況: フィールドの探索など、負荷の低い場面では30 FPS近くで動作することもあります。しかし、複数の敵との戦闘時や、キャラクターのスキルエフェクトが多用される場面、モンド城や璃月港のようなオブジェクトの多い都市部では、フレームレートが20 FPS程度まで低下し、動作が重く感じられたり、画面がカクカクとしたりすることが頻繁にあります。キャラクターの切り替えやダッシュ時の反応が鈍く感じられることもあり、快適なゲームプレイには程遠い状態です。長時間のプレイではストレスを感じやすいでしょう。

VALORANT (ヴァロラント)

ゲーム説明: 5人対5人のチームで攻撃側と防衛側に分かれて戦う、競技性の高いタクティカルFPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)です。キャラクター固有の「アビリティ」と精密な射撃技術が勝利の鍵となります。
FPSと動作:
設定: 解像度1920×1080 (1080p)、グラフィック設定「低」
FPS: 平均 50~70 FPS

動作の状況: 射撃場やプレイヤーが少ない状況では70 FPSを超えることもあります。実際の対戦中、特に複数のプレイヤーが入り乱れてアビリティが飛び交うような激しい銃撃戦の場面では、フレームレートが50 FPSを下回り、時には40 FPS台まで落ち込むことがあります。これにより、画面の滑らかさが若干損なわれ、敵の視認やエイムの精度にわずかながら影響が出る可能性があります。

競技的なプレイを高いレベルで求めるにはやや物足りなさが残りますが、カジュアルに楽しむ分にはプレイ可能な範囲です。解像度を720pに下げることで、より安定したフレームレートが得られます。

Overwatch 2 (オーバーウォッチ 2)

ゲーム説明: 個性豊かなヒーローたちが繰り広げる、5人対5人のチーム対戦型アクションシューティングゲームです。ロール(役割)ごとの連携と、ヒーローの能力を活かした戦略的な立ち回りが求められます。
FPSと動作:
設定: 解像度1280×720 (720p)、レンダースケール75%、グラフィック設定「低」
FPS: 平均 30~45 FPS

動作の状況: 比較的落ち着いた場面では40 FPS以上を維持できます。しかし、チーム全員が一点に集まるような大規模な集団戦や、複数のアルティメットスキルが同時に使用されるような場面では、フレームレートが30 FPSを割り込むことがあり、画面の動きが著しく鈍くなります。

これにより、敵の動きを正確に捉えたり、素早い判断を下したりすることが難しくなり、ゲームプレイに支障をきたすことがあります。特にフランカー系の素早いキャラクターを操作する際には、操作感の悪化が顕著に感じられるでしょう。

Dark Souls Remastered (ダークソウル リマスタード)

ゲーム説明: 「死にゲー」として名高い、高難易度が特徴のアクションRPGです。ダークファンタジーの世界観の中で、プレイヤーは強大なボスたちと対峙し、トライ&エラーを繰り返しながら攻略を進めていきます。
FPSと動作:
設定: 解像度1280×720 (720p)、グラフィック設定「低」(または可能な限り低い設定)
FPS: 平均 25~35 FPS

動作の状況: 特定のエリアや静的な環境では30 FPS以上で比較的安定して動作することがあります。しかし、「病み村」のような複雑な構造で描画負荷の高いエリアや、複数の敵が同時に出現する戦闘シーンでは、フレームレートが25 FPSを下回ることがあり、動作がもたつきます。パリィや致命の一撃といったタイミングが重要なアクションの際には、フレームレートの不安定さが操作の精度に影響を与え、ゲームの難易度をさらに高める要因となります。敵の攻撃モーションが見切りにくくなることもあり、慎重なプレイが求められます。

ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S (Definitive Edition)

ゲーム説明: 「勇者」の生まれ変わりである主人公が、仲間たちと共に世界の危機に立ち向かう、国民的RPG「ドラゴンクエスト」シリーズの11作目の完全版です。3Dモードと2Dモードを切り替えて遊ぶことができます。
FPSと動作 (3Dモード):
設定: 解像度1280×720 (720p)、グラフィック設定「低い」
FPS: 平均 20~30 FPS

動作の状況: フィールド移動時や敵とのエンカウントが少ない場面では30 FPS近くを維持することもあります。しかし、街中での移動、特にNPCが多く表示される場所や、戦闘中に派手な呪文や特技のエフェクトが発生すると、フレームレートは20 FPS台前半まで大きく低下し、画面の動きが非常にぎこちなくなります。

これにより、カメラ操作がスムーズに行えなかったり、キャラクターの動きが重く感じられたりします。ストーリーを追うことは可能ですが、戦闘のテンポが悪く感じられ、探索時の没入感も損なわれがちです。2Dモードであれば、より快適な動作でプレイできます。

GRID: Autosport

ゲーム説明: 多彩な車種とカテゴリーでレースを楽しめる、リアルさとアーケード性をバランス良く融合させたレースゲームです。キャリアモードでは、様々なチームに所属し、スポンサーの目標を達成しながらトップを目指します。
FPSと動作:
設定: 解像度1280×720 (720p)、グラフィック設定「最低」または「ウルトラロー」
FPS: 平均 30~40 FPS

動作の状況: 車の台数が少ない単独走行時や、シンプルなコースでは40 FPS近くで動作することもあります。しかし、多数のAIカーが密集するレーススタート時や、接触によるパーツの飛散、スモークなどのエフェクトが多発する場面では、フレームレートが30 FPSを下回ることがあり、操作に対する車の反応が若干遅れるように感じられます。

これにより、コーナーへの進入タイミングがシビアになったり、精密なライン取りが難しくなったりすることがあります。カジュアルなレース体験は可能ですが、一瞬の判断が勝敗を分けるようなシビアなレース展開では、フレームレートの不安定さが不利に働くでしょう。

まとめ:ゲーム性能

Intel N150のゲーム性能は、内蔵グラフィックスであるIntel UHD Graphicsの能力に大きく左右されます。VALORANTのような非常に軽量なタイトルであれば、設定を調整することでプレイ可能なフレームレートを確保できます。

しかし、原神やOverwatch 2、比較的新しい3D RPGであるドラゴンクエストXI Sのような一定以上のグラフィック負荷がかかるゲームでは、解像度や画質設定を大幅に引き下げても、快適なプレイは難しい状況です。Dark Souls RemasteredやGRID: Autosportのような少し前の世代のゲームでも、場面によってはフレームレートの低下が顕著になります。

総じて、Intel N150は最新の3Dゲームを高画質で楽しむには性能が不足しており、プレイできるゲームは軽量なeスポーツタイトルや、古い世代のゲーム、あるいは2Dベースのゲームなどに限られます。ゲームプレイを主目的とする場合は、より高性能なCPUと専用グラフィックスカードを搭載した環境が望ましいです。

NAS機能(OS):箱出しデュアルブートのG9か、究極の柔軟性を誇るME miniか

GMKtec NucBox G9 デュアルブート

ここでは、GMKtec NucBox G9の最もユニークな特徴である、そのOS構成とNAS機能についてレビューしていきます。

本機は単なるハードウェアの箱ではなく、WindowsとUbuntuという二つのOSがプリインストールされた状態で届きます。

この「箱出しで即戦力」という手軽さは大きな魅力でしたが、実際に使ってみると、その実装にはいくつかの「不思議」な点と、利用者が知っておくべき注意点があることも分かりました。

WindowsとUbuntu、二つの顔を持つPC

NucBox G9を最初に起動して驚いたのは、ごく自然にWindows 11 ProとUbuntuのどちらで起動するかを尋ねるブートメニューが表示されたことです。これは、高速なM.2 SSDに使い慣れたWindows 11 Proが、そして本体に内蔵された64GBのeMMCにサーバー用途に最適なUbuntuが、それぞれ物理的に別のストレージにインストールされているためです。

この構成は、私にとってまさに理想的でした。日中の仕事ではWindowsを使い、Web会議やオフィスソフトでの資料作成を快適に行う。そして夜間や休日は、その裏でUbuntuベースのファイルサーバーが静かに稼働し続ける。一台のPCで、メインマシンと家庭用NASという二つの役割を、互いに干渉することなく完全に両立させることができたのです。この体験は、他の多くのミニPCでは得られない、G9ならではの大きなメリットだと感じました。

プリインストールUbuntuの「不思議」な魅力と注意点

メーカーがNAS用途を想定し、Linuxの定番であるUbuntuをプリインストールしてくれている点は、非常に高く評価できます。自分でOSをインストールする手間が省け、M.2スロットをすべてデータ用として確保できるのは、大きなアドバンテージです。

しかし、その実装にはいくつか「不思議」な点がありました。まず、インストールされていたのはサポート期間が2025年7月で終了するUbuntu 24.10でした。長期的な安定性が求められるサーバー用途としては、5年間サポートされるLTS(長期サポート)版がより適切だったのではないかと感じます。そして最も驚いたのは、セキュリティです。

初期ユーザーのパスワードが非常に簡単なだけでなく、それがマニュアルに堂々と記載されていたのです。私はすぐさま新しい管理者アカウントを作成し、初期アカウントは削除しましたが、これは購入したすべてのユーザーが最初に行うべき必須作業だと断言します。

これらの奇妙な点に戸惑いつつも、私はプリインストールされているUbuntuをそのまま活用することにしました。多少の手間はかかりましたが、日本語環境を整え、セキュリティを確保した上で、このユニークな環境を使いこなしていく過程は、ガジェット好きとして非常に楽しい時間でした。

初心者への手軽さか、上級者のための究極の柔軟性か

このNucBox G9のOS構成は、総じて「手厚いガイド付きの入門パッケージ」と言えるでしょう。箱から出してすぐにWindowsマシンとして使え、少しの知識があればUbuntuをNASとして活用し始められる。Linuxやサーバー構築が初めてという人にとって、これほど親切な入門機は他にないかもしれません。

このアプローチは、Beelink ME miniが示す方向性とは好対照です。ME miniは、公式にProxmox(仮想化OS)やUnraid、TrueNASといった、より専門的なサーバーOSへの対応を謳っています。これは、上級者がゼロから自分の好きなシステムを構築するための「究極の柔軟性」を備えた、いわばプロ向けの”画材”です。

どちらが良いというわけではなく、ユーザーの目的と知識レベルによって最適な選択は異なります。手軽にNASとPCの二刀流を始めたいならG9、自分の知識を活かして完全にカスタマイズされたサーバーを構築したいならME mini、という明確な選択基準が見えてきます。

プライベートクラウド構築でできること

  • ファイル共有: 複数のデバイスから、写真、動画、音楽などのファイルを共有できます。
  • データバックアップ: パソコンやスマートフォンのデータを自動的にバックアップできます。
  • メディアサーバー: 動画や音楽をストリーミング配信できます。
  • リモートアクセス: 外出先からでも自宅のデータにアクセスできます。

まとめ:NAS機能

  • デュアルOSプリインストール: Windows 11 Pro(M.2 SSD)とUbuntu(64GB eMMC)がプリインストール済みで、PCとNASの二刀流が箱出しですぐに可能。
  • Ubuntuの注意点: プリインストールされたUbuntuは、サポート期間が短いバージョンであり、初期パスワードのセキュリティが非常に甘いため、利用開始後すぐのユーザー設定変更が必須。
  • G9の魅力: 初心者でもデュアルOSのメリットを享受しやすく、手軽にNAS運用を始められる「ガイド付き入門機」としての価値が高い。
  • ME miniとの比較: G9の手軽さに対し、ME miniはProxmoxやUnraidなど、より広範なサーバーOSへの公式対応を謳っており、上級者向けの「究- G9の魅力: 初心者でもデュアルOSのメリットを享受しやすく、手軽にNAS運用を始められる「ガイド付き入門機」としての価値が高い。
  • ME miniとの比較: G9の手軽さに対し、ME miniはProxmoxやUnraidなど、より広範なサーバーOSへの公式対応を謳っており、上級者向けの「究極の柔軟性」を提供している。
  • 第一印象:プリインストールされたUbuntuにはセキュリティ面で即座の対応が必要な「不思議」な点があるものの、それを差し引いてもWindowsとUbuntuがすぐに使えるデュアルブート構成は非常に魅力的。特に、これからホームサーバーを始めてみたいという人にとって、これ以上ないほど親切な一台だと感じた。

通信性能:デュアル2.5GbEの実力がNAS体験を変える

GMKtec NucBox G9 デュアル有線LAN

ここでは、GMKtec NucBox G9通信性能、特にその中核をなすデュアル2.5GbE LANポートの実力について、詳しくレビューしていきます。NAS(ネットワーク接続ストレージ)を構築する上で、ストレージの速度と同じくらい重要なのが、ネットワークの速度です。このG9がもたらしてくれた高速な通信環境は、私のデータ管理やエンタメ体験を、文字通り一変させてくれました。

理論値に迫る転送速度。デュアル2.5GbEの実力

私がNucBox G9をNASの母艦として選んだ最大の理由が、このデュアル2.5GbEポートの存在でした。その実力を確かめるため、私は2.5GbEに対応した自前のデスクトップPCとG9をLANケーブルで直結し、大容量ファイルの転送テストを行ってみました。

テストに使ったのは、先日旅行先で撮影した約50GBの4K動画ファイル群です。転送を開始した瞬間、タスクマネージャーに表示された数値をみて、思わず「速い!」と声が出ました。CrystalDiskMarkでの計測結果は、296.25MB/s 。これは2.5GbE接続の理論上の上限に限りなく近い数値であり、G9のハードウェアがネットワーク帯域を完全に使い切る実力を持っていることの証明です。

この速度が、私の実生活に大きな変化をもたらしました。これまで1時間以上かかっていたPCのフルバックアップが、わずか20分ほどで完了するようになりました。また、書斎のG9に保存した4K動画を、リビングのテレビでPlexやKodiといったアプリを使ってストリーミング再生しても、一度も読み込みで待たされることなく、まるでローカルのファイルを再生しているかのようにスムーズです。

この快適さは、一度体験すると元には戻れません。この高速なデュアル2.5GbEは、直接のライバルであるBeelink ME miniも同様に搭載しており 、これからの家庭用高性能NASの新たな標準仕様になっていくのだと感じました。

上級者も満足させる、2ポートならではの柔軟性

NucBox G9の魅力は、単に速いだけではありません。LANポートが2つあることで、より高度なネットワーク構築にも挑戦できる柔軟性を持っています。

例えば、2つのポートを束ねて通信帯域をさらに向上させる「リンクアグリゲーション」を組んだり、片方をインターネット回線に、もう片方を家庭内ネットワークに接続して、G9自体を高性能なソフトウェアルーターやファイアウォールとして活用したりすることも可能です 。私自身、今後UnraidのようなNAS用OSを導入して、これらの機能を試してみたいと、今からワクワクしています。

最新の無線規格と、月々の電気代という隠れたメリット

有線LANだけでなく、無線通信機能が充実しているのもG9の嬉しいポイントです。本体にはWi-Fi 6とBluetooth 5.2が搭載されています 。初期設定の時こそ有線キーボードを使いましたが、それが終わればすぐに愛用のBluetoothキーボードとマウスに切り替え、デスクの上をスッキリさせることができました 。Wi-Fi 6に対応しているため、LANケーブルの敷設が難しい部屋に設置しても、安定した高速通信が期待できるのも心強い点です 。

そして、24時間365日稼働させるNASとして、忘れてはならないのが消費電力です。高性能なネットワーク機能を持ちながら、心臓部であるIntel N150プロセッサの電力効率は非常に高く、高負荷時でも消費電力は最大で約30W程度に収まります 。電気代を気にすることなく、この快適なネットワーク環境を常に維持できること。これこそ、G9がもたらしてくれる、長期的で最も大きなメリットなのかもしれません。

通信性能を比較

  • 1.「GMKtec NucBox G9」・・・Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、2.5G・デュアルLAN
  • 2.「GMKtec NucBox G3 Plus」・・・Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、2.5G LAN
  • 3.「GMKtec NucBox G2 Plus」・・・Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、1G デュアルLAN
  • 4.「GMKtec NucBox G5」・・・Wi-Fi 5、Bluetooth 4.2、1G LAN

まとめ:通信性能

  • デュアル2.5GbE: 実測で理論値に近い296.25MB/sという転送速度を記録 。大容量ファイルのバックアップや4K動画のストリーミングが劇的に快適になった。
  • 高度な柔軟性: 2つのLANポートを活かし、リンクアグリゲーションやソフトウェアルーターといった、上級者向けのネットワーク構築にも対応できる。
  • 最新の無線規格: Wi-Fi 6とBluetooth 5.2に対応しており、有線・無線ともに死角がない 。
  • 優れた電力効率: 高性能ながら消費電力が非常に低く、24時間稼働させても月々の電気代を気にせずに済む。
  • 第一印象:デュアル2.5GbEがもたらす圧倒的な転送速度は、日々のデータ管理を「作業」から「快感」へと変えてくれる力があった。さらに、その性能を驚くほど低い消費電力で実現している点に、NASとして理想的なバランスと完成度の高さを感じた。

GMKtec NucBox G9 vs. Beelink ME mini 主な違いを徹底比較

GMKtec NucBox G9 本体2台が部屋の中に置かれている。

GMKtec NucBox G9Beelink ME miniは、どちらもIntel N150プロセッサを搭載した家庭用NAS(ネットワーク接続ストレージ)向けのミニPCですが、その設計思想には多くの違いがあります 。ここでは、両製品の主な違いを項目別に比較します。

拡張ストレージスロット

  • GMKtec NucBox G9: 4基のM.2スロットを搭載し、すべてがPCIe 3.0 x2接続 。うち1基はSATAにも対応しています 。
  • Beelink ME mini: 6基のM.2スロットを搭載 。OS用の1基がPCIe 3.0 x2、残りの5基がPCIe 3.0 x1接続です 。
  • 違い: ME miniはスロットの「数」で勝りますが、G9はすべてのスロットで均一な「帯域幅」を提供するため、RAID構築時のパフォーマンス安定性で有利です 。

最大ストレージ容量

  • GMKtec NucBox G9: PC用途で最大16TB(4TB×4)、NAS用途では最大32TB(8TB×4)との記載があります 。
  • Beelink ME mini: 合計で最大24TB(4TB×6)まで拡張可能です 。
  • 違い: スロット数が多い分、ME miniのほうがより大きな合計ストレージ容量を実現できます 。

電源供給方式

  • GMKtec NucBox G9: 65Wの外付けACアダプターを使用します 。
  • Beelink ME mini: 45Wの電源ユニットを本体に内蔵しており、ACケーブル1本で設置できます 。
  • 違い: ME miniは設置が非常にシンプルでクリーンな見た目になりますが、G9はよりパワフルな外部電源で安定供給を目指す設計です 。

本体サイズと形状

  • GMKtec NucBox G9: 約146.6 x 100.25 x 38.75 mmの平たい形状です 。
  • Beelink ME mini: 99 x 99 x 99 mmのキューブ型デザインです 。
  • 違い: デザインの方向性が全く異なります 。G9は薄型でVESAマウントに対応し「隠す」設置も可能ですが、ME miniはデザイン性が高く「見せる」設置に向いています 。

プリインストールOS

  • GMKtec NucBox G9: Windows 11 ProとUbuntu 24.10がデュアルブートでプリインストールされています 。
  • Beelink ME mini: 特定OSのプリインストールはなく、Windows、Linux、Unraid、TrueNASなど幅広いOSに公式対応しています 。
  • 違い: G9は箱出しですぐに使える手軽さが魅力で初心者にも優しい一方、ME miniは専門的なOSを自分で導入したい上級者向けの高い柔軟性を持っています 。

ポート構成とディスプレイ出力

  • GMKtec NucBox G9: HDMI×2とUSB-C(DP対応)により最大3画面出力が可能 。高速なUSB-Aポートも3つ備えています 。
  • Beelink ME mini: HDMI×1による単一画面出力のみです 。高速なUSB-Aポートは1つです 。
  • 違い: ポートの数と種類、特にディスプレイ出力数でG9が圧倒しており、PCとしての汎用性が非常に高いです 。ME miniはNASとしての利用に、より特化しています 。

発売時期

  • GMKtec NucBox G9: 2025年1月発売 。
  • Beelink ME mini: 2025年6月発売 。
  • 違い: GMKtec NucBox G9のほうが約5ヶ月早く市場に登場しました 。

価格

  • GMKtec NucBox G9: 12GB+64GBモデルが$199.99から 。
  • Beelink ME mini: 12GB+64GBモデルが発売セール価格で$209.00(通常価格$329.00) 。
  • 違い: NucBox G9のほうが、特に通常価格と比較した場合、より低い価格からスタートしており、コストパフォーマンスが高い選択肢と言えます 。

まとめ:GMKtec NucBox G9とBeelink ME miniの違い

GMKtec NucBox G9Beelink ME miniは、同じCPUやメモリを搭載する兄弟機のような存在でありながら、その設計思想には明確な違いがあります 。

NucBox G9は、均一な帯域幅を持つ4スロット構成、豊富なポート類と3画面出力、そしてデュアルOSプリインストールという特徴から、「PCとしてもNASとしても妥協したくない」ユーザーにとって最適な一台です 。

一方、Beelink ME miniは、より多い6スロットによる最大容量、電源内蔵のシンプルなキューブデザインという特徴から、「純粋なホームストレージとしての使いやすさと最大容量」を追求するユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢となるでしょう 。

GMKtec NucBox G9のメリット・デメリット

GMKtec NucBox G9 分解・構成

ここでは、GMKtec NucBox G9のメリット(長所)とデメリット(短所)について紹介します。

【メリット】

メリット1:クラス最高のストレージ拡張性

GMKtec NucBox G9の最大の魅力は、その圧倒的なストレージ拡張性にあります。このコンパクトな筐体には4基ものM.2 2280 NVMe SSDスロットが搭載されており、それぞれ最大4TB、合計で16TBもの大容量ストレージを構築することが可能です 。これにより、本格的な家庭用NAS(ネットワーク接続ストレージ)として、大量の動画や写真、バックアップデータを一元管理できます。

メリット2:高速なデュアル2.5GbEネットワーク

本機は2つの2.5ギガビットイーサネットポートを標準で搭載しています 。実際のファイル転送テストでは、理論値に迫る約296MB/sという速度を記録し、大容量ファイルのバックアップや4K動画のストリーミングが驚くほどスムーズに行えました 。これにより、ストレージ性能を最大限に活かした快適なネットワーク環境を実現します。

メリット3:箱出しで使えるデュアルOS環境

NucBox G9は、M.2 SSDにWindows 11 Pro、そして独立した64GBのeMMCにUbuntuがプリインストールされた状態で届きます 。これにより、購入してすぐに使い慣れたWindows PCとして利用できると同時に、Linuxベースの本格的なファイルサーバーを簡単に構築し始めることが可能です 。一台で二役をこなせる、非常に価値の高い仕様です。

メリット4:24時間稼働に適した優れた静音性

NASとして24時間稼働させる上で、動作音は非常に重要な要素です。NucBox G9は、アイドル時にはファンが回っているのか分からないほど静かで、高負荷時でも動作音はノートPC程度に抑えられています 。これなら、生活空間であるリビングや寝室に設置しても、騒音が気になることはないでしょう。

メリット5:PCとしての高い汎用性

本機は単なるNASにとどまりません。2基のHDMIポートとDisplayPort対応のUSB Type-Cポートにより、最大3画面の4Kディスプレイ出力が可能です 。さらに、高速な10Gbps対応のUSB-Aポートを3つも備えているため 、多くの周辺機器を快適に接続でき、パワフルなデスクトップPCとしても十分に活躍します。

メリット6:低消費電力で経済的

Intel N150プロセッサはTDP(熱設計電力)が6Wと非常に省電力です 。実際の消費電力も、高負荷時で最大約30W程度と低く抑えられています 。24時間つけっぱなしで運用することが前提のNASにとって、月々の電気代を気にせず使えるこの経済性は、長期的に見て大きなメリットになります。

【デメリット】

デメリット1:エントリークラスのCPU性能

搭載されているIntel N150プロセッサは、Webブラウジングやオフィス作業といった日常的なタスクには十分な性能ですが、あくまでエントリークラスです 。本格的な動画編集や最新の3Dゲームといった高い処理能力を要求される作業には向いていません。性能はNAS用途に最適化されていると理解する必要があります 。

デメリット2:高負荷時の発熱

優れた静音性と引き換えに、高負荷時には本体がかなり熱を持つことがあります 。特に最高の性能を引き出す「ハイパフォーマンス」モードでは、CPU温度が90度を超える場合があるとの報告もあり、長時間の安定稼働のためには設置場所の通気性を確保するなどの配慮が必要です 。

デメリット3:メモリの増設・換装が不可能

搭載されている12GBのLPDDR5メモリは、マザーボードに直接はんだ付けされているため、後から増設したり、より大容量のものに交換したりすることはできません 。多くの用途には十分な容量ですが、将来的にメモリ不足が懸念されるような使い方を想定しているユーザーにとっては、大きな制約となります。

デメリット4:プリインストールUbuntuの仕様とセキュリティ

プリインストールされているUbuntu 24.10は、サポート期間が2025年7月までと短いバージョンです 。さらに、初期設定のパスワードが非常に簡易で、マニュアル等で公開されているため、セキュリティ上の大きな懸念があります 。購入後は、すぐさまパスワードの変更とユーザーアカウントの再設定が必須です。

デメリット5:やや癖のある電源コネクタ

電源ポートはUSB Type-C形状ですが、一般的なUSB PD規格とは互換性のない、19V/3.42Aの独自規格です 。他のPCやスマートフォンの充電器を誤って接続してしまうと、故障の原因となる可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。

GMKtec NucBox G9のスペック(仕様)

GMKtec NucBox G9 本体 縦と横

  • プロセッサ: Twin Lake世代 Intel N150
    ※10nm/4コア/4スレッド/最大3.8GHz/TDP 6W
  • GPU: Intel UHD Graphics 12世代
  • RAM(メモリ):12GB LPDDR5 4800 MT/s、SO-DIMM x1
  • ストレージ:64GB eMMC (Ubuntuプリインストール済み)、M.2 2280 NVMe PCIe 3.0 SSD (Windowsプリインストール済み構成あり)
  • 拡張ストレージ:M.2 2280 SSDスロット x 4基、対応規格: M.2 NVMe、うち1基はM.2 SATA規格にも対応、PCIe接続: PCIe 3.0 x2 (4基すべて)、最大容量: 各スロット最大 4TB (※NAS用途では最大 8TB)、合計最大 16TB (PC用途) (※NAS用途では最大 32TB)
  • 電源: ACアダプター(DC 12V/4A)
  • ワイヤレス通信 Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2
  • 有線LAN: 2.5G・デュアル ギガビット有線LAN
  • 前面インターフェース: 電源ボタン
  • 側面インターフェース: USB-A 3.2 (10Gbps) x3
  • 背面インターフェース: USB Type-C (DP/DATA/PD)、HDMI 2.0 (4K@60Hz) x2、有線LAN端子(RJ45, 2.5G, Intel i226V) x2、3.5mm ヘッドフォンジャック x1、DCポート(12V/3A)
  • 映像出力: 4K 3画面出力、USB Type-C、HDMI ( 4K@60Hz ) x2
  • 冷却システム 銅製の冷却ファン(メイン、ヒートシンク)、複数の排気口、SSD/DDR用の冷却ファン、静音 ※カバーを簡単に取り外せる
  • 消費電力: TDP 6W
  • VESAマウント: 対応(ネジも付属)
  • OS: Windows 11 Pro (インストール済み) ※Linuxとのデュアルブートに対応
  • サイズ: 125 x 113 x 49 mm
  • 重量: 非公開
  • カラー: シルバー(天板はブラック)
  • 付属品: 電源アダプター&ケーブル x1、HDMIケーブル x1、ユーザーマニュアル(説明書) x1、VESAマウント(ネジ付き)

「GMKtec NucBox G9」の評価

GMKtec NucBox G9 本体2台。背景が黒

7つの基準で「GMKtec NucBox G9」を5段階で評価してみました。

項目別評価

スペック: ★★★★☆
NAS用途に最適化されたIntel N150と12GBメモリを搭載。日常的なPC利用には十分快適ですが、メモリ増設が不可能な点は惜しいです。

デザイン: ★★★★☆
金属側面がもたらす高級感と、VESAマウント対応による優れた設置性が魅力。実用性を重視した、完成度の高いデザインです。

通信: ★★★★★
理論値に近い速度を出すデュアル2.5GbEポートは圧巻。Wi-Fi 6も搭載し、有線・無線ともにクラス最高レベルの通信性能を誇ります。

機能(拡張性): ★★★★★
ミニPCの常識を覆す4基のM.2 SSDスロットは最大の長所。ソフトウェアRAIDによる本格的なNAS構築が可能な点は非常に価値が高いです。

冷却性能: ★★★☆☆
24時間稼働に必須の「静音性」は素晴らしいの一言。ただし、その分高負荷時の発熱はやや高めなので、設置場所や設定には配慮が必要です。

使いやすさ: ★★★☆☆
箱出しで使えるデュアルOSは便利ですが、プリインストールされたUbuntuのセキュリティには大きな懸念があり、購入後すぐの対応が必須です。

価格: ★★★★★
これだけの拡張性と性能を持ちながら、非常にリーズナブルな価格設定です。自作NASキットとして見ても、コストパフォーマンスは極めて高いです。

総評: ★★★★☆

NASとして理想的な「バランス」を持つ一台

GMKtec NucBox G9は、単なるミニPCではなく、「家庭で使えるコンパクトで高性能なNAS」という明確な目的を持って設計された、極めてユニークな一台です。その真価は、個々のスペックの高さよりも、その絶妙な「バランス」にあります。

4基のM.2スロットがもたらす圧倒的なストレージ拡張性、そしてその性能を最大限に引き出す高速なデュアル2.5GbEネットワークは、この製品の核となる部分です。これらを、24時間稼働させても気にならない優れた静音性と、月々の電気代を抑える省電力なCPUが、静かに、しかし力強く支えています。最高のCPU性能を追い求めるのではなく、NASとして本当に必要な要素を高いレベルでまとめ上げた、非常に完成度の高いパッケージだと感じました。

PCとしての汎用性と、知っておくべき注意点

本機は優れたNASであると同時に、パワフルなデスクトップPCとしての側面も持っています。最大3画面のディスプレイ出力や豊富な高速USBポートは、一般的なPC作業を快適にこなすのに十分すぎるほどの能力です。

しかし、このPCを最大限に活用するためには、知っておくべき注意点も存在します。特にプリインストールされたUbuntuは、セキュリティ面に大きな懸念があるため、購入後すぐのユーザー設定変更が必須です。また、メモリが増設できない点や、高負荷時には筐体が熱を持ちやすい点も、購入前に理解しておくべきでしょう。これらは、G9が持つ多くの長所と引き換えになっている、ある種のトレードオフと言えます。

こんな人におすすめ

以上の点から、GMKtec NucBox G9は、「自分だけの高性能なホームサーバーやNASを、コンパクトかつリーズナブルに構築してみたい」と考えている方に、自信を持っておすすめできます。特に、従来のNASキットでは物足りない、あるいはオーバースペックだと感じていたDIY精神旺盛なユーザーにとって、これ以上ないほど魅力的な選択肢となるはずです。

まとめ:あなたの最適解は?「PC兼NAS」のG9と「純粋なホームNAS」のME mini

GMKtec NucBox G9を徹底的に使い込んだ今、この一台が単なるミニPCではなく、ユーザーの多様なニーズに応える極めて「多機能なマシン」であることが分かりました。

しかし、その万能性がすべての人にとっての最適解とは限りません。比較を通じて見えてきたBeelink ME miniの魅力も踏まえ、あなたが選ぶべき一台を、具体的な利用シーンから結論付けます。

「PC兼NAS」として妥協しないならNucBox G9

もしあなたが、「一台でPCとNASの役割を、どちらも高いレベルでこなしてほしい」と考えるなら、GMKtec NucBox G9は最高の選択肢となるでしょう。

最大の理由は、PCとしての圧倒的な汎用性です 。2基のHDMIとUSB-Cによる最大3画面のディスプレイ出力は、ファイルサーバーとして稼働させながら、広大な作業領域を持つメインPCとして使うことを可能にします 。また、3基も搭載された高速なUSB-Aポートは、多くの周辺機器を快適に接続できるという、日々の使い勝手に直結する大きなメリットです 。

NASとしての性能も妥協はありません。4基のM.2スロットすべてが均一なPCIe 3.0 x2帯域幅を持つため、RAID 5のようなパフォーマンスと冗長性を両立させたい構成において、非常に安定した性能を発揮します 。まさに、PCとしてもNASとしても妥協したくないユーザーのための、理想的な一台と言えます。

GMKtec NucBox G9を選ぶべき人

  • 複数のモニターを使い、PCでの作業も快適に行いたい。
  • ファイルサーバーを動かしながら、そのPCをメインマシンとして使いたい。
  • RAID 5など、パフォーマンスと冗長性を両立したストレージを構築したい。

「純粋なホームストレージ」を追求するならME miniも有力

一方で、PCとしての機能は最小限でよく、「とにかくシンプルで、最大容量の家庭用ストレージが欲しい」というニーズであれば、Beelink ME miniも非常に有力な選択肢です。

ME miniの最大の魅力は、6基というスロット数にあります 。これにより、最大で24TBもの大容量ストレージを構築でき、純粋なデータアーカイブ用途としてはG9を上回ります 。

さらに、電源ユニットを本体に内蔵しているため、設置に必要なのはACケーブル1本だけという、究極のシンプルさを実現しています 。リビングのテレビの横などに、配線を気にせず美しく設置したい場合、この点は大きなアドバンテージとなるでしょう 。

Beelink ME miniを選ぶべき人

  • PCとしての利用は考えず、とにかく最大容量のデータ保管庫が欲しい。
  • 設置場所の見た目を重視し、ケーブルは1本でも少なくしたい。
  • 主にヘッドレス(モニターなし)で運用する、純粋なファイルサーバーやメディアハブを求めている。

どちらの機種も優れたNAS機能を備えているため、購入する際にはかなり迷うかもしれません。自分のニーズがどこにあるのかをよく考えて、最終的な判断を下してみてください。

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「GMKtec NucBox G9」の価格・購入先

GMKtec NucBox G9はGMKtec公式サイトやECサイトで購入できます。

GMKtec公式サイト

  • 12GB DDR5+64GB EMMC モデルで$199.99、
  • 12GB DDR5+64GB EMMC+512GB SSD モデルで$219.99、
  • 12GB DDR5+64GB EMMC+1TB SSD モデルで$249.99、

で販売されています。

GMKtec公式サイトで「GMKtec NucBox G9」をチェックする

ECサイト

  • Amazonで42,473円、
  • 楽天市場で28,508円(送料無料)、
  • AliExpressで26,357円、
  • 米国 Amazon.comで$239.99、

で販売されています。

Amazonで「GMKtec NucBox G9」をチェックする

楽天市場で「GMKtec NucBox G9」をチェックする

ヤフーショッピングで「GMKtec」をチェックする

AliExpressで「GMKtec NucBox G9」をチェックする

米国 Amazon.comで「GMKtec NucBox G9」をチェックする

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Beelink ME mini

Beelinkから発売されたIntel Twin Lake N150 搭載のミニPC兼NASサーバーです(2025年6月 発売)。

12GB LPDDR5 (4800MHz)メモリ、64GB eMMCストレージ(+2TB SSD)、45W電源ユニットを搭載しています。

また、99mmのキューブ型デザイン、6基のM.2 SSD スロットによるストレージ拡張(合計最大24TBまで)、HDMI(最大4K 60Hz)映像出力、静音ファンと垂直エアフロー冷却設計、WindowsやLinuxなど多様なOS(NAS用のTrueNASやUnraid、仮想OS用のProxmoxやESXiなど)、USB Type-C (10Gbps)ポート、WiFi 6、Bluetooth 5.2、デュアル2.5GbE有線LANに対応しています。

価格は、Amazonで63,900円(税込・15000円 OFFクーポン付きで実質48,900円)、AliExpressで56,964円、米国 Amazon.comで$409.00($80 OFFクーポン付き)、です。

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Minisforum MS-A2

Minisforumから発売されるAMD Ryzen 9 9955HX 搭載のミニPCです(2025年4月27日 発売・5月15日に出荷開始)。

64GBまたは96GBのDDR5-5600Mhzメモリ、1TBまたは2TBのSSDストレージ、合計3つのM.2 PCIe4.0 NVMe SSDスロット(最大計12TB)、PCIe 4.0 x16拡張スロット(x8動作)、AMD Radeon 610M 統合グラフィックス、Windows 11 OS(ベアボーンキット除く)を搭載しています。

また、3画面の8K映像出力(HDMI 2.1 x1, USB-C Alt DP2.0 x2)、高性能冷却システム(ヒートパイプ3本、ターボファン等)、デュアル10Gbps SFP+ポート、デュアル2.5Gbps RJ45ポート、

豊富なUSBポート(前面USB3.2 Gen1 x2, USB2.0 x1、背面USB3.2 Gen2 Type-C x2, USB3.2 Gen2 x1, USB3.2 Gen1 x1)、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3に対応しています。

価格は、Minisforum公式サイトでベアボーンキット(OSなし)モデルが132,790円、64GB RAM+1TB SSDモデルが175,190円、96GB RAM+2TB SSDモデルが198,390円、です。

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GMKtec NucBox K10

GMKtecから発売された第13世代 Intel Core i9-13900HK 搭載のミニPCです(2025年3月 発売)。

DDR5 5200MHzメモリ(32GB/64GB)、PCIe x4 NVMe M.2 SSDストレージ(512GB/1TB/2TBモデル)、Intel Iris Xe Graphics、産業用COMポート、Windows 11 Pro(Linuxサポート)を搭載しています。

また、4画面同時出力(HDMIx2, DPx1, Type-C DPx1)、8K映像出力、最大96GBまでのメモリ拡張、最大12TBまで拡張可能なM.2スロットx3、冷却システム、VESAマウント、

USB 3.2 x 2、Type-C (DP/DATA) x 1, USB 2.0 x 4、USB 3.2 x 2、2.5Gギガビット有線LAN、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2にも対応しています。

価格は、Amazonで86,900円(税込・11700円 OFFクーポン付きで実質75,200円) 、楽天市場で97,300円(送料無料)、AliExpressで55,856円(ベアボーンモデル)、米国 Amazon.comで$559.99、です。

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MINISFORUM UN150P

MINISFORUMから発売されたIntel N150搭載のミニPCです(2025年1月21日 発売)。

16GB DDR4 3200MHzメモリ、256GB or 512GB M.2 2280 PCIe3.0 SSDストレージを搭載しています。

また、2.5インチ SATA HDD 拡張スロット、最大1TBまでのM.2ストレージ拡張、TF カードスロット、USB 3.2 Gen1 Type-Cポート(Data DP & PD OUT PUT)、4K 3画面出力(HDMI 2.1 TMDS (4K@60Hz) x2、USB-C (4K@60Hz)x1)、冷却ファン、VESAマウント、Wi-Fi 6、BlueTooth 5.2、2.5G 有線LANに対応しています。

価格は、Amazonで31,572円(税込)、楽天市場で35,980円(送料無料)、米国 Amazon.comで$179.99、です。

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GMKtec NucBox G3 Plus

GMKtecから発売されたインテル N150搭載のミニPCです(2024年12月 発売)。

8GB/16GB DDR4 3200 メモリ、256GB/512GB/1TB M.2 2280 NVMeストレージを搭載しています。

また、4K 2画面出力(HDMI x2)、最大32GBまでのメモリ拡張、M.2 2242 PCle SATAで最大2TBまでのストレージ拡張、冷却システム、VESAマウント、USB-A 3.2 Gen2 x4、HDMI (4K@60Hz) x2、有線LAN端子(RJ45,2.5G) x1、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2にも対応しています。

価格は、Amazonで18,741円(税込・8GB+256GB)、楽天市場で23,500円(送料無料)、ヤフーショッピングで24,168円、AliExpressで21,312円、米国 Amazon.comで$179.99 ($10 OFFクーポン付き)、です。

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Beelink EQ14

Beelinkから発売されたインテルN150搭載のミニPCです(2024年12月発売)。

16GB DDR4 3200 メモリ、500GB M.2 2280 PCIe 3.0 x 4 ストレージを搭載しています。

また、電源ユニット(内蔵)、 4K 3画面出力、冷却システム MSC2.0、最大4TBまでのストレージ拡張、VESAマウント、Type-C (10Gbps,DP Alt 4K 60Hz) x1、USB 3.2 (10Gbps) x 3、USB 2.0 (480Mbps) x1、Wi-Fi 6 、Bluetooth 5.2、デュアル有線LAN通信に対応しています。

価格は、Amazonで27,800円(税込)、楽天市場32,884円(送料無料)、ヤフーショッピングで50,630円、AliExpressで30,579円、米国 Amazon.comで$189.00、です。

関連記事:Beelink EQ14レビュー!電源内蔵でN150搭載ミニPCは買いなのか?

ASUS PRIME N100I-D D4

ASUSから発売されたIntel N100を搭載したMini-ITX規格のマザーボードです(2024年8月1日発売)。

DDR4 メモリスロット、ストレージ用のM.2 スロット、SATA 6Gb/s ポート、PCIe 3.0の拡張スロット、通信用のM.2 スロットを搭載しています。

また、ASUS Control Center Express、CPUヒートシンク、4ピンPWM/DCファン、オーディオシールド、プレミアムオーディオコンデンサ、ステンレススチール製バックI/O、映像出力(DisplayPort x1、VGA port x1、HDMI x1)、1Gbpsの有線LANに対応しています。

価格は、Amazonで24,552円、楽天市場で24,989円(送料無料)、ヤフーショッピングで24,480円、です。

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他のGMKtec NucBox ミニPCと比較

他にもGMKtec NucBox ミニPCが販売されています。最新のインテル Core プロセッサやAMD Ryzen プロセッサを搭載したモデルも続々と入荷中です。ぜひ比較してみてください。

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