
2024年11月27日に日本で発売された「BOOX Palma 2」は、スマートフォンサイズのコンパクトな筐体にAndroid 13を搭載した、今もっとも注目の電子ペーパー端末です。
このレビューでは、前モデル「BOOX Palma」から何が変わったのか、「小説家になろう」などのWebサイトも快適に読めるのか、高速化したCPU性能や指紋認証の使い勝手の違いを徹底的に比較・検証しました。
【先に結論からお伝えしましょう】
BOOX Palma 2のPros(良い点):
- iPhoneよりも軽い170gの圧倒的な携帯性と持ちやすさ
- 待望の指紋認証搭載で、ロック解除が劇的にスムーズに
- CPU強化とBSR技術による、E Inkとは思えないサクサク動作
- MicroSDカード対応で、ライブラリ容量を安価に拡張可能
BOOX Palma 2のCons(悪い点):
- SIMカード非対応で、単独でのモバイル通信や通話は不可
- 完全防水ではなく「撥水」仕様のため、水没には注意が必要
- ペン入力(スタイラス)には非対応
- カラー表示には非対応で、雑誌や動画もモノクロ再生になる
- カメラ画質は記録用レベルで、スマホの代わりにはならない
総合評価:
BOOX Palma 2は、スマホの利便性と電子ペーパーの快適さを融合させた「読む」ための理想的なデバイスです。指紋認証の追加と処理速度の向上により、前モデルの弱点を完全に克服しました。SIM非対応(LINEも利用不可)という点さえ許容できれば、通勤中や寝る前の読書時間を劇的に変える、最高のパートナーとなるでしょう。
<この記事で分かること>
- デザイン: 170gの軽量ボディ、携帯性、紙のような質感、純正ケース(スタンド機能)、MicroSDカードスロット、付属品、説明書
- ディスプレイと操作性: E Ink Carta 1200、BSRテクノロジー、フロントライト(色温度)、リフレッシュモード設定、ジェスチャー操作
- パフォーマンス: Antutuベンチマーク、CPU性能比較、前モデル「BOOX Palma」との違い
- アプリの動作感: 「小説家になろう」などのWeb小説、Kindle、ブラウザ閲覧、動画再生、発熱
- AI機能: AIアシスタント、スマートボタンのカスタマイズ、、活用例
- カメラ性能: 16MPカメラ、静止画、ドキュメントスキャン (DocScan)、OCR(文字認識)
- オーディオ: デュアルスピーカー、音質、オーディオブック、テキスト読み上げ、録音、Bluetooth接続
- バッテリーと通信: 連続駆動時間、充電速度、Wi-Fi、テザリング、SIM非対応の注意点
- OSとソフトウェア: Android 13、Google Play、アップデート保証、ファームウェア、EinkWise、NeoReader、BOOXDrop機能、フォーマット
- スペック: 詳細仕様
- 評価: メリット・デメリット、5段階、総評、最適なユーザー
- 価格: 購入先、Amazon・楽天での価格、中古市場
この記事を最後まで読むことで、「BOOX Palma 2」を購入するべきかどうかがはっきりと分かるはず。購入に悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
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公式サイト:BOOX Palma 2 | A Potent 6.13” Mobile ePaper for Mindful Living – The Official BOOX Store
デザイン:BOOX Palma 2の洗練されたボディと携帯性
ここでは、BOOX Palma 2の形状や質感、前モデルからの変更点である電源ボタンのデザイン、そして実際の携帯性について詳しく書いていきます。
手に馴染む質感とスマートフォンライクな形状
箱から取り出して「これはまるでスマホのようだ」と感じました。形状は一般的なスマートフォンと同じ縦長のアスペクト比(18:9)を採用しており、片手で自然に握り込むことができます。
筐体の素材はプラスチック製ですが、決して安っぽくはありません。特に背面は「紙のような自然な質感」を目指したザラザラとした加工が施されており、石のような手触りとも表現できます。最近のスマートフォンは背面がガラスでツルツル滑りやすく、指紋がべたべたと残るのが悩みでしたが、BOOX Palma 2はマットな仕上げで指紋が全く目立ちません。しっとりと手に吸い付くようなグリップ感があり、ケースなしでも安心して持ち歩ける安心感がありました。長時間読書をしていても、手汗で滑るような不快感がないのは大きなメリットです。
サイズ・重量・カラー:前モデルとの比較
サイズは高さ159mm、幅80mm、厚さ8.0mm、そして重量は170gです。これは前モデル「BOOX Palma」と全く同じ数値であり、外観上のスペックに変更はありません。カラーバリエーションも同様に、ブラックとホワイトの2色が用意されています。
実際に持ってみると、その軽さに改めて感動します。私が普段使っているiPhoneなどの大型スマートフォンは200gを超えるものが多く、ずっしりと手首に負担がかかりますが、BOOX Palma 2は170gと非常に軽量です。ポケットに入れていても存在を忘れるほどで、携帯性は抜群と言えます。前モデルとの違いを探そうと目を凝らしましたが、筐体の寸法や基本的なデザイン言語は完全に継承されており、パッと見で区別するのは難しいほどでした。しかし、この「変えないこと」こそが、完成された携帯性の証なのかもしれません。
ボタン・ポート配置と指紋認証の追加
インターフェースの配置に関しては、使いやすさが徹底されています。本体右側面には音量ボタンと電源ボタンがあり、左側面にはMicroSDカードスロットと、カスタマイズ可能な「スマートボタン」が配置されています。
ここで注目したいのが、前モデルとの決定的な違いである「電源ボタン」です。BOOX Palma 2では新たに指紋認証機能が搭載されたため、電源ボタンがフラットな形状に変更され、指を当てやすいようにわずかに長くなっています。実際に使ってみると、スリープ解除と同時にロック解除ができるのは非常に快適で、パスコード入力の手間から解放されました。
底面には中央にUSB Type-Cポートがあり、その右側にスピーカー、左側にマイクが配置されています。また、本体上部にもマイクとスピーカーがあり、デュアルスピーカー仕様となっています。横持ちで動画を見る際も、手でスピーカーを塞ぎにくい配置です。
背面左上には16MPのカメラとLEDフラッシュがあり、ドキュメントスキャン用として控えめに配置されています。なお、3.5mmヘッドホンジャックは非搭載ですが、BluetoothやUSB-C経由でのオーディオ出力が可能です。また、MicroSDカードスロット(最大2TB対応)があるため、大量の書籍データをオフラインで持ち運べるのは、読書好きにはたまらない仕様です。
耐久性と機能的な純正ケース
耐久性に関しては「撥水設計」が施されています。お風呂で水没させたり、強い水流を当てたりすることはできませんが、キッチンでレシピを見たり、小雨の中で操作したりする程度なら問題ないという安心感があります。
純正アクセサリーには、用途に合わせて選べる2種類の専用ケースが用意されています。「フリップフォールド保護ケース」は、シルキーな仕上がりとレザーの質感を持つPU素材を採用しており、重量は約88gです。このケースの大きな特徴は、背面を折りたたむことで柔軟なキックスタンドとして機能する点です。デスクに置いて時計やカレンダーとして活用する際や、動画視聴時にハンズフリーで使えるのが大きなメリットです。
一方、携帯性を重視するなら約27gという超軽量な「保護ケース」(シェルケース/マット透明ケース)が適しています。ソフトタッチ仕上げでグリップ感が増し、落下防止にも役立ちます。なお、Palma 2用のケースには、指紋認証機能付き電源ボタンのための専用の穴が開けられており、前モデル用のケースとは形状の細部が異なる点には注意が必要です。
付属品
パッケージには本体のほか、USB-Cケーブル、カードトレイ取り外しツール(イジェクターピン)、クイックスタートガイド、保証書が同梱されています。充電器は付属していないため、手持ちのスマホ用充電器を使うことになります。
まとめ:デザイン
- 第一印象:スマートフォンそのものの形状だが、背面の手触りが優しく、デジタルの冷たさを感じさせない
- 形状:アスペクト比18:9の縦長ボディで、片手操作が容易な6.13インチサイズ
- カラーオプション:ブラックとホワイトの2色展開で、ホワイトは指紋が目立ちにくい
- 仕上げ:背面はザラザラとした紙のようなマット仕上げで、滑りにくく指紋がつかない
- 素材:プラスチック製だが、テクスチャ加工により安っぽさはなく、グリップ感が良い
- 重さ:170gと非常に軽量で、iPhone 16 Pro Maxなどの大型スマホよりも軽い
- 厚さ:8.0mmのスリムボディで、ポケットへの収まりが良い
- ベゼル幅:上下にやや厚みがあるが、誤タッチを防ぐ意味では持ちやすい
- ボタン配置:右側面に音量と指紋認証付き電源ボタン、左側面にスマートボタンがあり、押し心地は良好
- 指紋認証:電源ボタンに内蔵されており、前モデルとの最大の外観上の違いとなっている
- ポート配置:底面中央にUSB Type-Cポートがあり、OTGに対応している
- SDカードスロット:左側面にあり、最大2TBまでのMicroSDXCに対応している
- スピーカー配置:本体上部と底面にデュアルスピーカーを搭載し、ステレオ再生が可能
- 耐久性:撥水設計により、水しぶきや軽い雨程度なら耐えられる(完全防水ではない)
- 比較:サイズ・重量・デザインは前モデル「BOOX Palma」と完全に同一だが、電源ボタンの形状のみ異なる
ディスプレイ:BOOX Palma 2の紙のような視認性と快適な操作感
スマートフォンのようなサイズ感でありながら、目に優しい極上の読書体験を提供するディスプレイと、BOOXならではの柔軟な操作性について解説します。
文字が浮き出るような鮮明なCarta 1200ディスプレイ
画面を点灯させた瞬間、その表示品質の高さに息をのみました。6.13インチのE Inkディスプレイには「Carta 1200」が採用されており、300PPIという高解像度を誇ります。カラーフィルター層を持たない純粋なモノクロ電子ペーパーであるため、文字の輪郭が非常にシャープで、まるで紙に印刷されたインクがガラスの直下にあるかのようにくっきりと見えます。
液晶や有機ELとは異なりバックライトがないため、強い日差しの下でも反射することなく、紙の本と同じように自然に読むことができました。特にテキストベースのコンテンツを表示した際の視認性は抜群で、白黒のコントラストが高く、長時間の読書でも目の疲れをほとんど感じません。背景の白さも適切で、わら半紙のような安っぽさはなく、上質な紙のような白さを保っています。
前モデルと同等のサイズ・解像度とアスペクト比
ディスプレイの基本スペックに関しては、前モデル「BOOX Palma」と比較して数値上の変化はありません。解像度は824×1648ドット(300PPI)、アスペクト比はスマートフォンで一般的な18:9(2:1)を採用しています。この縦長のアスペクト比は、片手で握りやすく、流れるようにテキストを読み進めるのには最適ですが、漫画などの固定レイアウトの書籍を表示すると上下に大きな余白ができてしまう点は前モデルと同様です。
一部の実機比較では、最大輝度にした際に前モデルの方が画面が明るく見えるという報告もありましたが、単体で使用する分には十分な明るさが確保されており、屋内で暗いと感じることはありませんでした。むしろ、このサイズ感で300PPIを維持しているため、文庫本のような密度で情報を摂取できる点は、依然としてこのシリーズの大きな強みです。
暖色と寒色を自在に操れるフロントライト
就寝前の読書タイムに欠かせないのがフロントライト機能です。BOOX Palma 2には暖色(オレンジ系)と寒色(青白系)の2色を調整できるデュアルトーンフロントライト(CTM)が搭載されています。
夜、部屋の明かりを落としてベッドに入った際、暖色ライトを強めに設定すると、キャンドルのような温かみのある光が画面を優しく照らしてくれます。これによりブルーライトを抑えつつ、リラックスして読書に没頭できました。明るさはスライダーで無段階に調整でき、周囲の環境光に合わせて自動で輝度を調整する光センサーも搭載されているため、場所を選ばずに最適な視認性を確保できます。輝度のムラも気にならず、画面の隅々まで均一に照らされている印象を受けました。
残像を抑え滑らかな表示を実現するBSRテクノロジー
電子ペーパーの最大の弱点である「画面の書き換え速度」と「残像」を劇的に改善しているのが、BOOX独自の「BSR(BOOX Super Refresh)」テクノロジーです。
通常、E Ink端末でWebサイトをスクロールすると画面が点滅したり、前の文字が残ったりしてストレスを感じることがありますが、BSRを搭載したPalma 2では驚くほどスムーズに画面が追従します。もちろん液晶のようなヌルヌルとした動きとは異なりますが、スクロール操作に対して画面が即座に反応し、残像も素早く処理されるため、ブラウザでニュース記事を読む際もストレスフリーでした。この技術のおかげで、静的な読書端末としてだけでなく、動的な情報収集ツールとしての実用性が保たれています。
用途に合わせて選べる4つのリフレッシュモード
BSRの効果を最大限に引き出すために、以下の4つのリフレッシュモードが用意されています。
- HDモード:最も高画質で、Kindleなどの電子書籍を読む際に最適です。文字が最も美しく表示され、残像も極小ですが、ページめくり時の反転はわずかにあります。
- バランスモード:画質と速度のバランスが良く、画像を含むドキュメントの閲覧に向いています。
- 高速モード:Webブラウジングなど、スクロールを多用するシーンで威力を発揮します。画質は少し粗くなりますが、動きが滑らかになります。
- 超高速モード:動画視聴やアプリの素早い切り替えに使用します。画質は犠牲になりますが、E Inkとは思えない速度で動作します。
実際に「Kindle」アプリで小説を読むときはHDモード、ブラウザで「Googleニュース」を見るときは高速モードといった具合に使い分けることで、常に最適な表示環境を得ることができました。
自由度の高いボタンカスタマイズとジェスチャー
操作性において注目すべきは、物理ボタンとジェスチャーのカスタマイズ性の高さです。本体左側の「スマートボタン(旧ファンクションボタン)」には、短押し・ダブルクリック・長押しの3つのアクションに好きな機能を割り当てられます。私は短押しに「フルリフレッシュ」を設定し、画面に残像が気になった瞬間にワンプッシュでクリアにする使い方を重宝しています。
また、音量ボタンを「ページめくり」や「スクロール」に割り当てることも可能です。これにより、満員電車の中で片手で吊革を持ちながら、もう片方の手の親指だけでページを送り続けることができ、非常に快適でした。さらに、画面端からのスワイプジェスチャーで「戻る」や「ホーム」操作も可能で、物理ボタンと組み合わせることでスマホ同様の直感的な操作が実現されています。
<スマートボタンに割り当てられる機能 一覧>
- 画面のリフレッシュ(フルリフレッシュ)
- AIアシスタントの呼び出し
- E Inkセンター(リフレッシュモード設定)の呼び出し
- マルチタスク(タスクスイッチャー)の表示
- サードパーティ製アプリの起動(任意のアプリ)
- スクリーンショット
まとめ:ディスプレイ
- 画質:300PPIのCarta 1200ディスプレイにより、文字が印刷物のようにくっきりと鮮明に表示される。
- 比較:画面サイズ(6.13インチ)や解像度は前モデルと同じだが、実機では前モデルの方が若干明るいという声もある。
- 視認性:直射日光下でも反射せず読みやすく、モノクロ表示のコントラストが高い。
- フロントライト:暖色と寒色の調整が可能で、夜間の読書でも目に優しく、光の均一性も高い。
- BSR:独自技術により残像が抑えられ、Webブラウジング時のスクロールもスムーズに行える。
- リフレッシュモード:HD、バランス、高速、超高速の4モードを用途に応じて使い分けることで快適性が向上する。
- ボタン操作:音量ボタンでのページめくりや、スマートボタンへの機能割り当て(リフレッシュなど)が片手操作に最適。
- ジェスチャー:スワイプ操作による戻る・ホーム機能などが利用でき、操作の自由度が高い。
パフォーマンス
ここではBOOX Palma 2のパフォーマンスについて、Antutuベンチマーク、CPU性能比較、アプリの動作感、メモリ・ストレージの4つのセクションにわけて詳細に紹介します。
Antutuベンチマーク
BOOX Palma 2は、SoC(System on Chip)としてアップグレードされたクアルコム製のオクタコアCPUを搭載しています。ハードウェア情報アプリでの判定によると、これは「Snapdragon 750G」であると推測されます。このチップセットは8nmプロセスで製造され、高い処理能力を持つKryo 570コアを採用しています。
また、グラフィックス処理を担うGPUには「Adreno 619」を搭載しており、これがBOOX独自の高速描画技術「BSR(BOOX Super Refresh)」のスムーズな動作を強力に支えています。前モデルに搭載されていたSnapdragon 662(Adreno 610)と比較すると、特にグラフィック性能と処理効率が大幅に強化されています。
Antutuベンチマークは以下のようになっています。
【Antutu V9バージョン】
例: Antutu V9.3.8 総合で「395702」、CPUで「120526」、GPUで「93822」、MEMで「71115」、UXで「110239」
CPU性能を比較
BOOX Palma 2が搭載するQualcomm Snapdragon 750G プロセッサと他のCPUを、Antutuベンチマークで比較してみました。
<CPUランキング>
※Antutu V10総合スコアで比較したものです。
- MediaTek Dimensity 1080 (Bigme HiBreak Pro)・・・Antutu:59万
- Qualcomm Snapdragon 750G (BOOX Palma 2)・・・Antutu:44万
- Snapdragon 680 (BOOX Go 10.3)・・・29万
- Snapdragon 662 (BOOX Palm)・・・Antutu:23万
- MediaTek Helio P35 MT6765 (Bigme HiBreak)・・・17万
<比較からわかること>
この比較表を見ると、BOOX Palma 2のスコア(約44万点)は、前モデルであるBOOX Palma(約23万点)と比較して約1.9倍と、劇的な性能向上を果たしていることがわかります。これは、単なるマイナーチェンジにとどまらず、処理能力において明確なアップグレードがなされたことを示しています。
ランキング内の他機種と比較すると、最上位クラスの処理能力を持つ「Bigme HiBreak Pro(Dimensity 1080)」の約59万点には及びませんが、同じBOOXシリーズの最新タブレットである「BOOX Go 10.3(Snapdragon 680)」の約29万点を大きく上回っています。また、エントリークラスの「Bigme HiBreak(Helio P35)」と比較すると2.5倍以上のスコア差があり、電子ペーパー端末の中ではミドルハイ(中級上位)に位置する高い基本性能を有していると言えます。
アプリの動作感:BOOX Palma 2のサクサク感と実用性を検証
アップグレードされたオクタコアCPUを搭載したBOOX Palma 2は、前モデルと比較してアプリの応答性が飛躍的に向上しています。ここでは、Webブラウジング、電子書籍、動画視聴、画像編集といった具体的なシーンでの動作感や、E Ink特有の遅延・残像の程度について詳しくレビューします。
「小説家になろう」も快適なWebブラウジング
まずはブラウザアプリ「Chrome」を使って、Webサイトの閲覧を試してみました。結論から言うと、テキスト中心のサイト閲覧において、BOOX Palma 2は最強のツールです。
例えば、Web小説投稿サイト「小説家になろう」や、記事投稿サイト「note」を開いてみましたが、表示の速さに驚きました。前モデルでは画像の多いページを開く際に若干のもたつきを感じることがありましたが、Palma 2ではCPU性能の向上により、ページの読み込みから表示までが非常にスムーズです。
注目すべきは、BOOX独自の「BSR技術(BOOX Super Refresh)」と「高速モード」の組み合わせです。スクロール操作を行った際、E Ink特有の画面の書き換えによる遅延(レイテンシ)は最小限に抑えられており、指の動きに画面がしっかりと追従します。スクロール中に文字が少し滲むようなゴースト(残像)が発生することもありますが、指を止めると一瞬でクリアな表示に戻るため、読むリズムを崩されることはありませんでした。さらに、音量ボタンにスクロール機能を割り当てることで、画面に触れずに長文を読み進めることができ、没入感は抜群です。
紙の本を超える電子書籍アプリの操作性
次に、「Kindle」や「Kobo」などの電子書籍アプリを使用しました。これこそが本機の真骨頂と言えるでしょう。
アプリの起動は一瞬で、ライブラリのスクロールも滑らかです。読書中は画質優先の「HDモード」を使用することで、300PPIの高精細な文字がくっきりと表示されます。
特に評価したいのは、遅延(レイテンシ)と残像(ゴースト)の制御です。ページめくりのレスポンスは非常に良く、画面をタップしてから切り替わるまでのタイムラグはほとんど感じられません。BSR技術のおかげで、E Ink特有の「画面全体が白黒反転して切り替わる」ような挙動も抑えられており、スムーズに次のページへ移行します。
残像に関しては、文字中心の小説を読む限り、HDモードでも前のページの文字が透けて見えるようなゴースト現象はほぼ気になりません。マンガなど黒ベタが多いコンテンツを連続して読むとわずかに残像が出ることがありますが、設定で「ページめくりごとのフルリフレッシュ」頻度を調整したり、スマートボタンでの手動リフレッシュを行ったりすることで、即座にクリアな画面を取り戻せます。
動画再生と発熱の検証
「YouTube」で動画再生も試してみました。「超高速モード」に切り替えることで、E Ink端末とは思えないほど滑らかに動画が再生されます。もちろん、白黒表示であり、液晶のような鮮明な画質は期待できませんが、ニュース映像やトーク番組のように「内容さえ分ければ良い」コンテンツであれば十分に実用的です。
気になる発熱についてですが、Wi-Fiストリーミングで高画質動画を30分ほど連続再生してみたところ、背面カメラ付近がほんのりと温かくなりました。しかし、「熱い」と感じるほどではなく、動作が不安定になることもありませんでした。高負荷な処理や連続的なデータ通信を行っても、安定性は保たれている印象です。
画像編集とE Inkの限界
最後に、搭載されている16MPカメラで撮影したドキュメント画像を、画像編集アプリで加工してみました。トリミングや回転といった基本的な編集操作は、オクタコアCPUのパワーのおかげで非常にキビキビと動作します。
ただし、画面がモノクロであるため、色味の調整やフィルター加工といった作業は事実上不可能です。あくまで「ドキュメントスキャン(DocScan)」などで取り込んだ文書の視認性を高めるためのコントラスト調整や、不要な部分の切り取りといった用途に限定されます。画像処理のような高負荷な作業を連続して行うと、動画再生時と同様にわずかな発熱を感じましたが、バッテリーが急激に減るといった挙動は見られませんでした。
まとめ:アプリの動作感
- 応答性:アップグレードされたオクタコアCPUと6GB RAMにより、アプリの起動や切り替えが前モデルより高速化し、キビキビと動作する。
- Web閲覧:「小説家になろう」などのテキストサイトは、BSR技術と高速モードにより遅延(レイテンシ)を感じさせない快適なスクロールが可能。
- 電子書籍:HDモードでの表示は紙のように美しく、ページめくりの遅延も最小限。BSR技術により残像(ゴースト)も気にならず、快適に読み進められる。
- カスタマイズ性:「EinkWise(E-Inkセンター)」により、アプリごとにリフレッシュレートや表示モードを細かく設定できる点が便利。
- 動画再生:超高速モードを使えば視聴可能だが画質は白黒。長時間の視聴や高負荷時には背面がわずかに発熱するが、安定性は高い。
- 画像編集:トリミングなどの操作は軽快だが、モノクロ表示のため色調整などの本格的な編集には不向き。
- 比較:前モデル「BOOX Palma」と比較して、全体的な処理速度の向上により「待ち時間」が減り、スクロールやアプリ切り替え時のストレスが大幅に軽減された。
メモリとストレージ:BOOX Palma 2の十分な容量と拡張性
BOOX Palma 2は、電子書籍リーダーとしては贅沢なメモリとストレージ容量を備えており、大量のコンテンツを持ち運ぶ現代のデジタル書斎として機能します。ここでは、RAMの仕様や保存容量、そしてクラウド連携について詳しくレビューします。
必要十分な6GBメモリと安定した動作
本機には6GBのLPDDR4X RAMが搭載されています。最近のハイスペックなAndroidスマートフォンでは8GBや12GBが当たり前になっていますが、テキスト表示が主体のE Ink端末において、6GBという容量は非常に余裕があります。実際に、Kindleアプリ、ブラウザ、Notionなどを次々と立ち上げて切り替えながら使用してみましたが、アプリが強制終了することなく、マルチタスク環境でも高い安定性を保っていました。
前モデル「BOOX Palma」も同じ6GB RAMを搭載しており、スペック数値上の変化はありません。しかし、CPU性能が底上げされたことで、同じメモリ容量でも体感的な処理効率は向上している印象を受けます。なお、一部のAndroid端末で見られるストレージをメモリとして転用する「仮想メモリ」機能は本機では利用できませんが、実使用においてメモリ不足を感じる場面は皆無でした。
128GBの大容量ストレージと最大2TBの拡張性
内蔵ストレージ(ROM)は128GB(UFS2.1)を搭載しています。OSやシステム領域で一部使用されますが、それでも電子書籍ファイルであれば数万冊、オーディオブックでも相当数を本体に保存できるライブラリ収納力を持っています。前モデルと比較しても容量は据え置きですが、電子書籍リーダーとして見れば依然としてトップクラスの容量です。
さらに大きなメリットは、左側面に備えられたmicroSDカードスロットです。最大2TBまでのmicroSDXCカードに対応しており、手持ちの自炊データ(PDF化した書籍)や音楽ファイルがどれだけ増えても、容量不足に悩まされることはまずありません。Kindle Paperwhiteなどの競合端末にはないこの拡張性は、オフライン環境で大量のデータを持ち歩きたい私のようなユーザーにとって決定的な魅力です。
柔軟なクラウドストレージ連携
データの同期やバックアップには、ONYXアカウントを作成することで利用できる無料の10GBのOnyx Cloudが役立ちます。読書データや手書きメモ(Palma 2はペン非対応ですが、メモアプリでの入力データなど)をクラウドにバックアップし、他のBOOX端末やPCとデータ同期をスムーズに行うことができました。
また、Android 13を搭載している強みとして、Google Drive、Dropbox、OneDrive、Evernote、OneNoteといった汎用的なクラウドサービスの公式アプリがそのまま利用できます。私は「Google Drive」に保存したPDF資料を直接閲覧したり、「OneNote」でタスク管理を行ったりしていますが、専用端末の枠を超えた使い方ができる点は、単なる読書端末にはない大きなアドバンテージです。
まとめ:メモリとストレージ
- 搭載メモリ:6GB LPDDR4X RAMを搭載し、複数のアプリを同時に開いても落ちることなく安定して動作する。
- 比較:メモリ・ストレージ容量ともに前モデル「BOOX Palma」から据え置きだが、電子ペーパー端末としては十分すぎるスペックである。
- 内蔵ストレージ:128GB UFS2.1 ROMを備え、大量の電子書籍やアプリを本体だけで余裕を持って保存できる。
- 拡張性:最大2TB対応のmicroSDXCカードスロットを搭載しており、物理的に容量を無限に近い形で拡張できる実用性が高い。
- クラウド連携:Onyx Cloud(無料10GB)に加え、Google DriveやDropboxなどのサードパーティ製アプリも問題なく利用でき、データ同期が容易である。
AI機能:BOOX Palma 2の知性を拡張するアシスタント
BOOX Palma 2には、新たにシステムレベルで統合されたAIアシスタント機能が搭載されています。ここでは、その具体的な利用方法と、読書や日常使いにおけるメリットについて解説します。
スマートボタンで即座に呼び出すAIアシスタント
BOOX Palma 2の大きな進化点として、AIアシスタント機能の搭載が挙げられます。この機能を利用するためには、Wi-Fiなどのインターネット接続と、ONYXアカウントへのログインが必須となりますが、一度設定してしまえば強力なパートナーとなります。
特に便利なのが、左側面に配置されたスマートボタンへの機能割り当てです。設定で「AIアシスタント」を割り当てておくことで、例えばダブルクリックなどのアクション一つで瞬時にAI画面を呼び出すことができます。前モデル「BOOX Palma」では、これほどスムーズにAI機能を呼び出して活用することはできませんでした。思いついた瞬間にボタンを押してAIにアクセスできるインターフェースは、スマホライクなPalma 2の機動性と相まって非常に実用的です。
NeoReaderとの連携で深まる読書体験
このAI機能が最も輝くのは、純正の読書アプリ「NeoReader」を使用している時です。読書中に難解な用語や、物語の時代背景について疑問が湧いた際、これまではブラウザを開いて検索していましたが、Palma 2ではその手間が不要になりました。
実際に海外の小説を読んでいる際、登場した歴史的な出来事についてAIアシスタントに質問を投げかけてみました。すると、AIエンジンは即座にその背景情報を要約して回答してくれ、応答性も良好でした。単なる辞書的な意味だけでなく、文脈に沿った解説を求めたり、複数の言語へ翻訳を依頼したりすることも可能です。AIのおかげで、読書のリズムを崩すことなく、作品への理解をより深く掘り下げることができました。まさに「知性を拡張する読書」といった感覚です。
アプリを問わず活躍するフローティングウィンドウ
AIアシスタントは単独のアプリとしてだけでなく、他のアプリの上に重ねて表示する「フローティングウィンドウ」としても起動可能です。
例えば、ブラウザでニュース記事を読んでいる最中に、関連情報をAIに尋ねたり、「短い物語を書いて」といったクリエイティブな生成を依頼したりすることも可能です。また、生成されたテキストなどのデータ処理もスムーズで、回答をコピーしてメモアプリに貼り付けたり、再生成を行わせたりといった操作も直感的に行えました。他のアプリを利用していても、常に画面の隅にAIという「相談役」が控えている状態は、マルチタスクを行う上で非常に心強い存在です。
まとめ:AI機能
- 機能の起動:側面のスマートボタン(ダブルクリック等)に割り当てることで、どの画面からでも瞬時にAIアシスタントを起動できる。
- 利用条件:機能の利用にはインターネット接続と、ONYXアカウントへのログインが必須である。
- 読書連携:NeoReaderアプリ内で直接AIを呼び出し、用語の解説や背景情報の調査、翻訳を行うことで、読書体験を中断せずに理解を深められる。
- 処理能力:質問に対するAIエンジンの応答性は良好で、物語の生成や情報の要約など、精度の高い回答が得られる。
- システム活用:フローティングウィンドウとして起動できるため、他のアプリを使用しながら並行してAIを利用できる。
- データ処理:生成された回答のコピーや再生成がスムーズに行え、情報の二次利用が容易である。
- 比較:前モデル「BOOX Palma」にはない新機能として、システムに統合されたAIアシスタントが利用可能になった点が大きな違いである。
カメラ性能:BOOX Palma 2の「記録用」としての実用性と限界
BOOX Palma 2は、背面に16MPのカメラとLEDフラッシュを搭載しています。スマートフォンと同じ位置にカメラがあるため、写真撮影用と思われがちですが、本質的には「デジタルなメモ帳」としての役割に特化しています。ここでは、その実力とE Inkならではの使い心地についてレビューします。
文書記録に特化した16MPカメラとフラッシュ
搭載されているのは16MPリアカメラで、暗所でも撮影を補助するLEDフラッシュを備えています。スペック上の画素数は前モデル「BOOX Palma」と同じであり、ハードウェア構成に大きな変化はありません。
オートフォーカス機能も搭載されており、近距離の文字にもピントが合います。ただし、このカメラの主目的は美しい風景やポートレートを撮ることではなく、書類やホワイトボード、メモなどをデジタル化して記録することにあります。実際に撮影したデータをPCに転送して画質を確認してみると、カラーで記録されており、文字情報は十分に判読できるレベルでしたが、最新のスマートフォンのような鮮明さやダイナミックレンジは期待できません。あくまで情報記録用と割り切るのが正解です。
便利なDocScanと実用的なOCR機能
機能面で最も利用価値が高いのが、標準搭載されている「ドキュメントスキャン(DocScan)」アプリです。このアプリは、撮影した文書の四隅を自動または手動で検出し、台形補正を行って読みやすい平面データに変換してくれます。
実際に、手元の会議資料をDocScanで撮影してみました。文書の認識精度は良好で、背景から紙の領域をしっかりと切り出してくれました。さらに便利だと感じたのが、スキャンと連携するOCR(光学文字認識)機能です。前モデルの初期段階では日本語の認識に難がありましたが、Palma 2(およびアップデート後のPalma)では日本語もサポートされており、スキャンした画像からテキストデータを抽出できます。
精度に関しては完璧とは言えませんが、キーワード検索用のテキストタグとして埋め込む用途には十分な実用性があり、紙の情報をデジタル化して整理する「文書記録」ツールとして重宝しました。また、QRコードの読み取りも可能で、イベント会場などでスマホを取り出さずにサッと対応できるのは地味ながら便利です。
E-Ink特有の「遅延」とフレーミングの難しさ
実際の使用感において、スマートフォンと決定的に異なるのがプレビュー画面の挙動です。カメラを起動して構図を決めようとすると、E-Inkでの表示の遅延が顕著に現れます。
カメラを動かすと、画面の書き換えが追いつかず、映像がカクカクとしたコマ送りのように表示されます。BSR技術を持ってしても、リアルタイムのカメラ映像を滑らかに表示するのは難しく、動作の滑らかさは期待できません。そのため、動いている被写体を撮るのはほぼ不可能です。静止している書類を撮る際も、一度カメラを固定して、画面の表示が追いついてくるのを一呼吸待ってからシャッターを切るという、「撮影の儀式」が必要になります。このフレーミングの難しさは前モデルから変わっておらず、電子ペーパー端末の宿命と言えるでしょう。
注意点:モノクロプレビューと割り切り
撮影時のプレビュー画面はモノクロ(白黒)です。撮影されたデータ自体はカラーですが、撮影中は色の区別がつきません。例えば、赤字の修正箇所を強調して撮りたい場合でも、画面上ではグレーの濃淡でしか確認できないため、少し不安になります。
また、画像編集アプリなどで色味を調整しようとしても、端末上では正しく確認できません。あくまで「情報を記録する」ことに特化したカメラであり、Instagramに投稿するような「映える写真」を撮るためのものではないと理解しておく必要があります。
まとめ:カメラ性能
- 基本スペック:16MPリアカメラとLEDフラッシュを搭載しており、ハードウェア構成は前モデル「BOOX Palma」と同等である。
- 画質:PCで確認するとカラー写真として保存されているが、画質はメモ記録用レベルであり、芸術的な撮影には向かない。
- ドキュメントスキャン:標準アプリ「DocScan」による文書の認識と補正機能は優秀で、書類のデジタル化に役立つ。
- OCR性能:日本語に対応した文字認識機能があり、検索可能なテキストデータを作成できるため実用性が高い。
- 表示の遅延:E-Inkの特性上、プレビュー画面の更新が遅く、フレーミング時の動作はカクカクしており滑らかではない。
- モノクロ表示:撮影中の画面は白黒であるため、色味の確認はできず、スマホカメラのような使い勝手ではない。
- 比較:カメラ性能自体に大きな進化はないが、アプリの安定性やOCRの使い勝手はソフト面で成熟している。
オーディオ性能:BOOX Palma 2で広がる「聴く読書」と記録の可能性
ここでは、BOOX Palma 2が持つスピーカーやマイクの性能、そしてBluetooth接続によるオーディオ体験について、実際の使用感を交えてレビューします。
「聴く」と「録る」を支える充実のハードウェア
BOOX Palma 2は、単なる読書端末の枠を超えた多機能デバイスとしての側面を持っています。本体の上部と下部にはデュアルスピーカーが、さらにデュアルマイクも搭載されており、ステレオ再生やステレオ録音が可能です。
これらにより、テキスト読み上げ機能(TTS)を使った「聴く読書」や、ポッドキャストなどのオーディオコンテンツ再生、ワイヤレスヘッドホンへの接続、そしてボイスレコーダーとしての録音など、多彩な用途に対応します。特に前モデルと比較して、ハードウェア構成自体は大きく変わらないものの、OSやCPUの最適化により、これらの機能がよりスムーズに動作するようになった印象を受けます。
音楽再生:ボーカルは明瞭だが低音は控えめ
まずは内蔵のデュアルスピーカーを使って、音楽ストリーミングアプリ「Spotify」を再生してみました。
ボーカル中心のポップスやアコースティックな曲を流してみると、中高音域は非常にクリアで、歌詞がはっきりと聞き取れます。ステレオ効果により音の広がりも感じられ、BGMとして流す分には十分な音量も確保されています。一方で、ロックやEDMのような楽曲では、筐体サイズの限界もあり低音の響きが弱く、全体的に音が軽く、少し空洞感のある音質に感じられました。音楽に没入するというよりは、作業中にラジオ感覚で流すといった使い方が適しています。
オーディオブックと「青空朗読」での実用性
このスピーカーの特性が最も活きるのは、人の声を中心としたコンテンツです。実際にアプリ「青空朗読」をインストールし、名作文学『銀河鉄道の夜』の朗読を聞いてみましたが、ナレーターの声が驚くほど明瞭に再生され、家事をしながらでも物語の世界観に浸ることができました。
また、Amazonの「Audible」を利用してビジネス書や小説を聴く際も、デュアルスピーカーのおかげで著者の言葉がはっきりと聞き取れます。内蔵のTTS(テキスト読み上げ)機能を使ってKindleの書籍を読み上げさせた際も、機械音声特有の聞き取りづらさが軽減されており、まさに「聴く読書」用として非常に高い実用性を感じました。スマートフォンでバッテリーを消費したくない場面でも、Palma 2があれば長時間のリスニングが可能です。
録音機能と会議での活用
デュアルマイクを活用した録音機能も試してみました。ボイスレコーダーアプリを使って会議の様子を記録してみたところ、発言者の声をしっかりと拾ってくれました。
周囲の雑音が大きい環境では多少ノイズが入りますが、音声入力の感度は良好で、後から聞き返すのに十分な品質です。ふと思いついたアイデアを音声メモとして残す際も、スマホを取り出してロック解除して…という手間なく、側面のスマートボタンからレコーダーを起動(要設定)してサッと録音できるため、思考を逃しません。
ワイヤレス利用時の音質変化
より高音質で楽しみたい場合は、Bluetooth 5.1接続が活躍します。手持ちのワイヤレスイヤホンを接続して音楽を再生したところ、内蔵スピーカーでは感じられなかった低音の厚みや楽器の繊細な響きがしっかりと再現されました。
内蔵スピーカーでは「情報の確認」レベルだった音楽体験が、ワイヤレスイヤホンを通すことで「鑑賞」レベルにまで引き上げられます。特に低音が重要なヒップホップや、臨場感が求められる映画のサントラなどを聴く際は、Bluetooth接続が必須だと感じました。また、底面のUSB-CポートはOTG(On-The-Go)をサポートしているため、USB-C端子の有線イヤホンやDAC(デジタルアナログコンバーター)を接続して、さらに高音質なオーディオ環境を構築することも可能です。
まとめ:オーディオ性能
- スピーカー構成:本体上下にデュアルスピーカーを搭載し、ステレオ再生に対応している。
- 音質評価:中高音域やボーカルは明瞭で聞き取りやすいが、低音は弱く、音楽鑑賞ではやや空洞感を感じるためBGM向きである。
- テキスト読み上げ:「青空朗読」での文学作品や「Audible」でのビジネス書など、人の声を中心としたコンテンツでは声の通りが良く実用的である。
- マイク性能:デュアルマイクを搭載しており、音声メモや会議録音において十分な明瞭さと音声入力感度を持つ。
- ワイヤレス音質:Bluetooth接続を利用することで、内蔵スピーカーでは不足していた低音や細部の表現力が補われ、音楽鑑賞に耐えうる音質となる。
- 有線接続:USB-CポートがOTGに対応しているため、変換アダプタやUSB-Cイヤホンを使用したオーディオ出力が可能である。
バッテリーと通信性能:BOOX Palma 2のスタミナと接続性を徹底検証
大容量バッテリーによる長時間の読書体験と、テザリングを前提とした通信環境の使い勝手についてレビューします。
バッテリー容量と駆動時間の目安
BOOX Palma 2は、3950mAhのLi-ion Polymerバッテリーを搭載しています。これは前モデル「BOOX Palma」と全く同じ容量ですが、電子ペーパー端末としては非常に大きな容量です。一般的な専用電子書籍リーダーが1500mAh程度であることを考えると、Android OSを動かすための十分なパワーを蓄えていると言えます。
公称のバッテリー駆動時間は使用状況に大きく左右されますが、スタンバイ状態であれば数週間持続するとされています。実際のバッテリーテストとして、輝度を50%に設定し、Wi-Fiをオンにした状態でWebブラウジングやアプリ操作を断続的に行ったところ、連続駆動時間として10時間以上の使用が可能でした。
これはBSR技術による高速リフレッシュやバックグラウンド通信が影響しており、Androidスマートフォンのような使い方をした場合の結果です。一方で、Wi-FiとBluetoothをオフにした状態であれば、数日以上バッテリーが持続するという結果も出ています。
実体験:読書メインなら数日は余裕
実際の生活の中で「読書専用機」として使った場合、印象はガラリと変わります。Wi-FiとBluetoothをオフにし、フロントライトを適切な明るさに調整して、オフラインで保存したKindle書籍を読むだけなら、1時間読書してもバッテリー消費率はごくわずかでした。
私の体験では、通勤往復2時間の読書と、寝る前の30分の読書を毎日続けても、充電が必要になるのは5日〜1週間後でした。一方で、BSR技術の「超高速モード」を使用してYouTube動画を見たり、ブラウザで重いサイトを巡回したりすると、目に見えてバッテリーが減っていきます。用途に応じて「スマホ並みの電池持ち」にもなれば、「電子ペーパーらしい長寿命」にもなる、二面性を持ったデバイスだと感じました。
充電速度
充電ポートは底面のUSB Type-Cポートを使用します。急速充電に関する具体的な規格(PDなど)の明記はありませんが、手持ちのUSB充電器を使用して残量20%からフル充電までにかかった時間は約2.5時間でした。最近のスマートフォンのような超急速充電には対応していませんが、就寝中に充電しておけば翌朝には満タンになっているため、実用上の不便さは感じません。
通信性能とテザリングの活用
通信機能はWi-Fi(802.11 b/g/n/ac)とBluetooth 5.1に対応しています。SIMカードスロットは搭載していないため、外出先でインターネットに接続するには、スマートフォンのテザリング機能やモバイルWi-Fiルーターが必須となります。
実際にiPhoneのテザリング機能を使って接続しましたが、Wi-Fiの掴みは良好で、カフェなどの混雑した電波環境でも接続が途切れることはありませんでした。
また、Bluetooth接続に関しては、ワイヤレスイヤホンで音楽を聴きながら読書をする際も、音がプツプツと途切れるようなことはなく、接続安定性は非常に高いと感じました。前モデルと比較しても通信周りの挙動は安定しており、ストレスなくクラウド同期やブラウジングが行えます。
まとめ:バッテリーと通信性能
- 基本仕様:3950mAhの大容量Li-ion Polymerバッテリーを搭載しており、前モデルから据え置きである。
- 連続駆動時間:高負荷な通信・BSR使用時はスマホ並みの消費だが、オフライン読書のみなら長時間駆動が可能。
- バッテリー消費率:Wi-Fiオンでのアクティブな使用では消費が早いが、読書のみなら数%に抑えられる。
- 充電速度:USB-Cポートを使用し、フル充電までは約2.5時間程度かかるため、急速充電とは言えない。
- 通信機能:Wi-FiとBluetoothに対応しているが、SIM非対応のため単体でのモバイル通信はできない。
- テザリング:外出先ではスマホのテザリングが必須だが、接続安定性は高く実用的である。
- 比較:バッテリー容量や通信仕様に大きな変化はないが、Android 13への更新によりバックグラウンド制御などが最適化されている可能性がある。
OSとソフトウェア:BOOX Palma 2のAndroid 13と進化した使い勝手
BOOX Palma 2は、最新のアプリ環境に対応するAndroid 13を搭載し、電子ペーパー端末としての使いやすさを追求した独自の機能を多数備えています。ここではOSの違いや便利な独自機能についてレビューします。
Android 13への刷新とモダンなUIデザイン
本機のOSはAndroid 13を採用しています。前モデル「BOOX Palma」がAndroid 11であったのに対し、2世代分のバージョンアップを果たしました。これにより、最新のサードパーティアプリとの互換性が向上し、セキュリティ面でもより安心して利用できるようになりました。Google Playストアを標準搭載しているため、初期設定さえ済ませれば、普段スマートフォンで使っているアプリをすぐにインストールして使い始められます。
UIデザインも刷新されており、アプリアイコンや設定メニューがよりクリーンでモダンな外観に変更されました。BOOX独自のインターフェースは機能が豊富で、初めて触れる方には少し複雑に感じるかもしれませんが、今回のデザイン変更により視認性が向上しており、直感的な操作がしやすくなったと感じます。
安心の長期ファームウェアアップデート
長く使う上で重要なのがサポート期間ですが、BOOXは製品発売から3年以上のファームウェアアップデート提供を約束しています。OSのメジャーアップデート(例:Android 14への更新)は保証されていませんが、バグ修正や機能追加といったシステム更新が継続的に行われる点は、高価なデバイスを購入する上で大きな安心材料です。
アプリごとに最適化できる「EinkWise」機能
私がBOOX製品を使う最大の理由とも言えるのが、「EinkWise(E-Inkセンター)」機能です。これはアプリごとに画面のリフレッシュレート、コントラスト、色の濃さなどを個別に設定できる機能で、カスタマイズ性が非常に高いのが特徴です。
例えば、文字が薄くて読みづらいニュースアプリでは文字を太く強調し、背景が暗くて見づらいアプリでは「漂白」機能で背景を白く飛ばすといった表示最適化が可能です。実際に使ってみると、この微調整ができるかどうかが、電子ペーパー端末でのアプリ利用の快適さを大きく左右すると実感しました。前モデルよりも設定画面が整理され、必要な項目にアクセスしやすくなっています。
万能な読書アプリ「NeoReader」
標準搭載の読書アプリ「NeoReader」は、単なるPDFビューワーの枠を超えた高機能アプリです。PDFやEPUBをはじめとする主要26フォーマット(MOBI, TXT, DOCXなど)に対応しており、ほぼあらゆる電子書籍ファイルを開くことができます。
特に便利だったのがPDFの閲覧機能です。スマホサイズの画面ではA4サイズのPDFは見づらいことが多いのですが、NeoReaderの「余白カット」や「リフロー」機能を使えば、文字を読みやすいサイズに自動で整形してくれます。自炊した書籍データもストレスなく読むことができ、これ一つあれば他のリーダーアプリは不要と思えるほどの完成度です。
BOOXDropによる手軽なデータ連携
PCやスマートフォンとのデータのやり取りには、内蔵機能の「BOOXDrop」が活躍します。ケーブルを接続することなく、同じWi-Fiネットワーク内であればブラウザ経由で簡単にファイルを転送できます。
まとめ:OSとソフトウェア
- OSバージョン:Android 13を搭載し、前モデル(Android 11)からアップデートされたことで、アプリ互換性とセキュリティが向上している。
- UIデザイン:アプリアイコンやメニュー表示が刷新され、モダンで視認性の高いインターフェースに進化した。
- Google Play:標準搭載されており、特別な設定なしにサードパーティアプリをインストール可能である。
- アップデート:発売から3年以上のファームウェアアップデートが保証されており、長期的に安心して利用できる。
- EinkWise:アプリごとの表示最適化(コントラスト調整やリフレッシュ設定)が可能で、E Inkでの視認性を劇的に改善できる。
- NeoReader:主要26フォーマットに対応した標準リーダーアプリで、PDFの余白カットなどが優秀である。
- データ連携:BOOXDropによるワイヤレス転送が利用でき、ファイル管理が容易である。
- 比較:AndroidのバージョンアップとUIの洗練化により、前モデルよりも現代的で使いやすいソフトウェア環境となっている。
検証してわかったBOOX Palma 2のメリット・デメリット
BOOX Palma 2を実際に使用し、前モデル「BOOX Palma」と比較しながら検証を進める中で、この端末が持つ独自の強みと、購入前に知っておくべき弱点が明確になりました。スマートフォンライクな外観でありながら「スマホではない」という立ち位置を確立している本機の実力を、メリット・デメリットに分けて詳しく解説します。
メリット(長所、利点)
メリット1:スマホ感覚で持ち運べる圧倒的な携帯性
最大のメリットは、6.13インチのスマートフォンサイズでありながら、重量わずか170gという軽さです。最新のiPhoneなどのハイエンドスマホよりも軽く、ポケットに入れても重さを感じません。電車内や待ち時間など、スマホを取り出す感覚でサッと読書を始められるため、「読書をする」という行為のハードルが劇的に下がりました。前モデルと同じサイズ感を維持しつつ、中身が進化している点は高く評価できます。
メリット2:待望の指紋認証搭載でセキュリティと快適性が向上
前モデル「BOOX Palma」からの最大の進化点と言えるのが、電源ボタンへの指紋認証機能の統合です。前モデルでは毎回パスコードを入力する必要がありましたが、Palma 2では画面を点灯させる自然な動作でロック解除が可能です。特に外出先で頻繁にオンオフを繰り返す電子ペーパー端末において、このスムーズさは一度体験すると戻れないほどの快適さをもたらします。
メリット3:BSR技術によるE Inkの枠を超えた高速動作
BOOX独自のBSR(BOOX Super Refresh)技術により、電子ペーパーとは思えないほど画面の書き換えが高速です。Webブラウジングでのスクロールやアプリの切り替えがスムーズで、残像も気にならないレベルに抑えられています。静的な読書だけでなく、情報収集ツールとしても十分に実用的であり、このレスポンスの良さは他社のE Ink端末に対する大きなアドバンテージです。
メリット4:Android 13と強化されたCPUによるサクサク動作
OSがAndroid 13にアップデートされ、CPUもSnapdragon 750G(推定)へと強化されたことで、全体的な動作がキビキビとしています。重い電子書籍アプリの起動やページめくりも高速で、ストレスを感じません。Google Playストアに対応しているため、好みのアプリを自由に追加できる拡張性も健在です。
メリット5:microSDカード対応でライブラリを無限に拡張可能
本体左側面にmicroSDカードスロットを搭載しており、最大2TBまでの容量拡張が可能です。内蔵ストレージも128GBと十分ですが、漫画や自炊したPDFファイルなどを大量に持ち歩くユーザーにとって、物理的に容量を増やせる点は非常に心強いです。クラウドに頼らずオフラインで全てのライブラリにアクセスできる環境を構築できます。
メリット6:カスタマイズ可能な物理ボタンの利便性
側面のスマートボタンや音量ボタンに、ページめくりやリフレッシュ、アプリ起動などの機能を自由に割り当てられます。特に音量ボタンでのページめくりは、片手操作時に画面をタップする必要がなく、指の移動を最小限に抑えられるため、満員電車などの狭い空間での読書に最適です。
デメリット(短所、欠点)
デメリット1:SIMカード非対応でモバイル通信ができない
スマートフォンそっくりの見た目をしていますが、SIMカードスロットはなく、単体でのモバイル通信はできません。外出先でブラウジングやクラウド同期を行うには、Wi-Fi環境かスマートフォンのテザリングが必要です。あくまで「Wi-Fiタブレット」としての運用になるため、スマホの完全な代替機にはなり得ません。
デメリット2:完全防水ではなく「撥水」レベル
耐久性の面で惜しいのが、IPX8などの完全防水仕様ではない点です。公式には「撥水設計」とされており、水しぶき程度なら耐えられますが、お風呂に沈めたりシャワーを浴びたりすることは推奨されていません。Kindle Paperwhiteなどの競合機が完全防水であることを考えると、水回りでの使用には注意が必要です。
デメリット3:ワイヤレス充電は非対応
充電にはUSB Type-Cケーブルを使用する必要があり、ワイヤレス充電(Qi充電)には対応していません。毎日充電する端末ではないため頻度は低いものの、置くだけ充電に慣れていると、ケーブルを挿す手間をわずらわしく感じる場面があるかもしれません。
デメリット4:ペン入力は非対応でメモ書きは不可
BOOXシリーズの中にはペン入力に対応したモデルも多いですが、Palma 2はペン入力用のデジタイザを搭載していません。あくまで「閲覧」に特化した端末であり、スタイラスペンを使って手書きメモを取ったり、PDFに書き込みをしたりすることはできません。
デメリット5:カメラは記録用と割り切りが必要
背面の16MPカメラはドキュメントスキャン用としては優秀ですが、普段使いのスナップカメラとしては力不足です。プレビュー画面がモノクロでカクつくため構図が決めづらく、画質も記録用レベルです。スマホのカメラのような感覚で使うと失望するため、用途を限定して使う必要があります。
デメリット6:カラー表示は非対応で動画や雑誌はモノクロ
本機はモノクロE Ink端末であるため、カラー表示には対応していません。Web閲覧時にリンクの色が判別しにくかったり、カラー版の雑誌や写真集、動画コンテンツを楽しむ際には表現力が不足します。カラー表示が必要な場合は、タブレットや「BOOX Go Color 7」などのカラーE Ink搭載モデルを検討する必要があります。
まとめ:メリット・デメリット
BOOX Palma 2は、スマートフォンのような携帯性とAndroidの拡張性を持ちながら、E Inkによる目に優しい読書体験を提供するユニークなデバイスです。指紋認証の追加や基本性能の向上により、前モデルの弱点を着実に克服しています。
SIM非対応や完全防水ではない点など、割り切りが必要な部分はありますが、「スマホ断ち」をして読書や情報収集に集中したいユーザーにとっては、これ以上ない相棒となるでしょう。特にポケットに入れてどこへでも持ち出せるライブラリとしての価値は、他のどのデバイスにも代えがたい魅力があります。
BOOX Palma 2のスペック(仕様)
- ディスプレイ: 6.13インチ、解像度824 x 1648 pxのCarta1200フラットスクリーン ※18:9/300ppi/静電容量方式タッチ/明るさ自動調整
- フロントライト: CTM付きフロントライト(暖色及び寒色)
- ページめくりボタン: あり(音量ボタン)
- プロセッサ: オクタコア + BSR (BOOX Super Refresh)
- RAM(メモリ): 6GB LPDDR4X
- ストレージ: 128GB UFS2.1
- 外部ストレージ: microSDXCカードで最大2TBまで拡張可
- バッテリー: 3950 mAh
- カメラ: 16MP、LEDフラッシュ付
- ワイヤレス通信: Wi-Fi 802.11 b/g/n/ac、Bluetooth 5.1
- インターフェース: USB-C (OTGサポート)、microSDカードスロット、電源(指紋認証)、音量(ページめくり)、スマートボタン(カスタマイズ可能)
- センサー: Gセンサー(自動回転)、光センサー
- スピーカー: デュアルスピーカー
- マイク: デュアルマイク
- 防滴: 対応(撥水設計)
- カスタムウィジェット: 対応
- スタイラスペン: 専用ペンなし・利用できません
- カバー: 専用フリップフォールドケース、専用保護ケース(別売)
- 生体認証: 指紋認証
- Google Playストア: 対応(サードパーティ製アプリ利用可)
- OS: Android 13 ※OTAアップデート対応
- サイズ: 159 x 80 x 8.0 mm
- 重量: 170g
- カラー: ブラック、ホワイト
- 付属品: USB-C ケーブル x 1、カードトレイ取り出しツール x 1、クイック スタート ガイド x 1、保証書 x 1
- ドキュメント形式: PDF, DJVU, CBR, CBZ, EPUB, AZW3, MOBI, TXT, DOC, DOCX, FB2, CHM, RTF, HTML, ZIP, PRC, PPT, PPTX
- 画像形式: PNG, JPG, BMP, TIFF
- オーディオ形式: WAV, MP3
BOOX Palma 2の評価
10の評価基準で「BOOX Palma 2」を5段階で評価してみました。
【項目別評価】
ディスプレイの見やすさ: ★★★★☆
300PPIの高解像度により文字は非常に鮮明で読みやすいですが、画面サイズが小さいため、漫画などの固定レイアウト書籍には不向きです。
ペンでの描画性能: ★☆☆☆☆
スタイラスペン入力には対応していません。手書きメモ機能を重視する方は、他のBOOX端末(Noteシリーズなど)を検討する必要があります。
パフォーマンス: ★★★★☆
アップグレードされたCPUとBSR技術により、電子ペーパーとは思えないほど高速に動作します。スクロールも快適で、アプリの起動もスムーズです。
機能: ★★★★★
Android 13搭載でGoogle Playストアが使え、指紋認証やカスタマイズ可能な物理ボタンなど、小型ボディに機能が凝縮されています。
通信性能: ★★★☆☆
Wi-FiとBluetoothの接続安定性は高いですが、SIMカードスロットがなく、外出先での単独モバイル通信ができない点が惜しまれます。
バッテリー: ★★★★☆
オフラインでの読書なら数日持ちますが、Wi-Fi接続や動画視聴を行うとスマートフォンのように減るため、使用方法に依存します。
デザイン: ★★★★★
170gと非常に軽量で、紙のような手触りの背面加工が素晴らしいです。片手で長時間持っても疲れず、携帯性は最高レベルです。
オーディオ: ★★★☆☆
デュアルスピーカーで声は聞き取りやすいですが、低音が弱く音楽鑑賞には不向きです。オーディオブックやTTS利用には十分です。
価格: ★★★☆☆
52,800円という価格は、電子書籍リーダーとしては高額な部類に入ります。多機能さをどう評価するかでコスパの印象が変わります。
使いやすさ: ★★★★★ 指紋認証によるスムーズなロック解除と、片手ですべて完結する操作性が抜群です。読書へのアクセスが最も速い端末と言えます。
【総評】 BOOX Palma 2:★★★★☆
「高速化」と「指紋認証」で完成したスマホサイズE Ink
実際に使って最も感動したのは、その圧倒的な処理速度の向上です。前モデルからの進化点は指紋認証の搭載だけではありません。CPU性能はベンチマークスコアで約1.9倍にまで強化されており、電子ペーパー端末にありがちな「操作の待ち時間」が劇的に解消されています。
アプリの起動、Webサイトの読み込み、ページめくりなど、あらゆる動作がキビキビとしており、BOOX独自の高速描画技術「BSR」のポテンシャルを完全に引き出しています。この「高速化」と最新OSによる安心感、そして指紋認証によるシームレスな使い勝手が組み合わさることで、まさにスマホサイズE Ink端末の「完成形」となりました。
また、OSが最新のAndroid 13に刷新されたことで、アプリの互換性とセキュリティが向上しました。発売から3年以上のファームウェアアップデートも保証されており、長く安心して使い続けられる点も見逃せません。
購入前に知っておくべき「割り切り」
購入前に注意すべき点は、「スマホの形をしているがスマホではない」ということです。SIMカード非対応のため通話や単独通信はできず、カメラ画質も記録用レベルです。また、完全防水ではなく撥水仕様であるため、お風呂での使用にはリスクが伴います。
さらに、ペン入力には対応していないため、BOOXシリーズ特有の手書きノート機能は使えません。あくまでモノクロ(白黒)のディスプレイで「読むこと」と「情報収集」に特化した端末であることを理解しておく必要があります。最近、普及し始めたカラーディスプレイに対応していないことにも注意が必要です。
集中力と効率を両立したい人に最適
BOOX Palma 2は、スマホの過剰な通知や光に疲れを感じている人や、通勤時間などのスキマ時間を読書で充実させたい人に最適です。SNSや動画の誘惑から距離を置き、いつでもどこでも「読むこと」に没頭できる環境を提供してくれます。
前モデルからの買い替えは指紋認証の必要性次第ですが、高速化したレスポンスはそれだけでも買い換える価値があります。新規に購入するなら、迷わずこのPalma 2をおすすめします。日常に「静かな集中時間」を取り戻すための、最高のパートナーになるでしょう。
Amazon.co.jp: BOOX Palma 2 ホワイト
BOOX Palma 2の価格・購入先
※価格は2025/12/06に調査したものです。価格は変動します。
SKT NETSHOP
※すでに販売を終了しています。売り切れ、と表示されています。
かつては、47,400円で販売されていました。
ECサイト(Amazon、楽天、ヤフーなど)
- Amazonで39,999円(税込)、
- 楽天市場で47,800円(中古・送料無料)、
- ヤフーショッピングで52,800円(送料無料)、
で販売されています。
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おすすめのライバル機種と価格を比較
「BOOX Palma 2」に似た性能をもつE inkタブレット(電子ペーパータブレット)、電子書籍リーダーも販売されています。
BOOX Palma 2 Pro
Onyx から発売された6.13インチのカラーE inkタブレットです(2025年11月 発売)。
Android 15、Kaleido 3 カラー電子ペーパー(カラー150ppi/モノクロ300ppi)、オクタコアCPU(Snapdragon 750G)、8GBメモリ、128GBストレージ、3950mAhバッテリー、フロントライトを搭載しています。
また、専用スタイラスペン「InkSense Plus」(別売・筆圧4096段階)、データ通信、SIMカード(※eSIMは非対応)、「EinkWise」機能、メモアプリ「Notes」、AI機能、「スマートボタン」、撥水設計、マグネット式2-in-1ケース(別売)に対応。
カメラのスキャン機能(OCR機能・「DocScan」アプリ)、指紋認証センサー、自動回転用Gセンサー、デュアルスピーカー、BSR技術、Google Playストア、サードパーティのアプリ、3年間のアップデート保証、Type-C(OTG)、microSDカード(最大2TB)、Nano SIM(5G対応)、Wi-Fi、Bluetooth 5.1に対応しています。
価格は、Amazonで69,800円(税込)、楽天市場で69,800円(送料無料)、ヤフーショッピングで69,800円、米国 Amazon.comで$399.99、です。
関連記事:BOOX Palma 2 Pro徹底レビュー!先代からの進化点とBigme比較
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BOOX Palma
Onyxから発売された6.13インチのE inkタブレットです(2023年9月19日に発売)。
Android 11、Qualcomm 8コアプロセッサ、4GB LPDDR4Xメモリ、18:9のCarta1200フラットスクリーン、3950mAhバッテリー、128GB UFS2.1ストレージ、Gセンサー、スピーカー、マイク、microSDカードスロットを搭載しています。
また、16MPカメラ(LEDフラッシュ付)、ページめくりボタン、ファンクションボタン、カスタムウィジェット、防滴、BOOX Super Refresh、最大2TBまでのストレージ拡張、2色フロントライト、OTAアップデート、Google Playストア、専用ソフトケース(別売)、USB-C (OTG)、Wi-Fi 5のデュアルバンド、Bluetooth 5.0に対応しています。
価格は、Amazonで39,800円 (税込)、楽天市場で46,800円(送料無料)、ヤフーショッピングで43,874円、です。
関連記事:スマホサイズ「BOOX Palma」のできること、機能、評価を解説
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Bigme HiBreak Pro
Bigmeから発売された6.13インチのE Ink 5Gスマートフォンです(2025年4月発売)。
Android 14、MediaTek Dimensity 1080 オクタコアプロセッサ (2.4GHz)、ARM Mali-G68 MC4 GPU、8GBメモリ、824×1648ピクセルの6.13インチHD E Ink 白黒ディスプレイ (300PPI、フリッカー・ブルーライトなし)、256GBストレージ、4500mAhバッテリー (18W急速充電対応)、背面20MPカメラ (写真テキスト認識OCR機能付き)、前面5MPカメラ、ジャイロスコープセンサーを搭載しています。
また、調整可能な36レベルの暖色・寒色フロントライト、Bigme “SSS”Super Refresh技術およびxRapid refresh algorithmによる高速リフレッシュレート (21 F/S)、自動ゴースト除去機能 (Auto Ghosting removal / Mininum Ghosting)、無料の音声テキスト変換、BigmeGPT 4.0、xReaderアプリによるテキスト翻訳、内蔵のテキスト読み上げ (TTS)に対応。
Google Play ストア、ハイライトと注釈機能、柔軟なレイアウト設定、指紋認証によるロック解除、NFC、指紋認証ボタン、リフレッシュボタン、USB Type-C(OTG)、5G/4G通信、Wi-Fi、Bluetooth 5.2、高精度GPSに対応しています。
価格は、Amazonで62,799円(税込)、楽天市場で74,458円(送料無料)、AliExpressで62,204円、です。
関連記事:最強Einkスマホ?Bigme HiBreak Pro徹底レビュー&評価
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BOOX Go 6
Onyxから発売された6インチのE inkタブレットです(2024年8月26日発売)。Android 12、Qualcomm 2.0GHz オクタコア プロセッサ、2GB LPDDR4X メモリ、HD Carta 1300 ガラス スクリーン、32GB eMMC ストレージ、1500 mAhバッテリー、microSDカードスロット、マイク搭載で、
ストレージ拡張、マグネットカバー(別売)、2色フロントライト、Google Playストア(サードパーティ製アプリの追加)、10GBのOnyxクラウドストレージ(無料)、USB Type-C (OTG/オーディオ ジャックとして使用可)、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0に対応しています。
価格は、Amazonで27,800円、楽天市場で27,800円(送料無料)、ヤフーショッピングで27,800円、です。
関連記事:「BOOX Go 6」とPoke5、Page、Go Colorの違いを解説
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Meebook M6
Boyueから発売されたAndroid 11の6.0型 E inkタブレットです(2023年4月発売)。300ppiのHD E Inkスクリーン、クアッドコア 1.8GHzプロセッサ、3GBメモリ、32GBストレージ、2200 mAhバッテリー搭載で、
最大1TBまでストレージ拡張、2色フロントライト(24段階・暖色と寒色)、Google Playストア(電子書籍アプリおよびサードパーティ製アプリの追加)辞書(翻訳)、読書モード(ダーク色)、ZReaderアプリ、オリジナルレザーケース(付属)、USB Type-C (OTG)、Wi-Fiデュアルバンド、Bluetooth 5.0に対応しています。
価格は、AliExpressで21,808円です。
関連記事:最大1TBの「Meebook M6」と6型E inkタブレットを比較
Amazonで「Meebook M6」をチェックする
Kindle (2024)
Amazonから発売された6インチの電子書籍リーダーです(2024年10月16日 発売)。
解像度300ppiのAmazon 反射抑制ディスプレイ、LED 4個のフロントライト、16GBストレージ、最大6週間 駆動するバッテリーを搭載しています。
高速なページめくり、明るさ調整(フロントライト・手動)、クラウド保存、純正ファブリックカバー(別売)、16階調グレースケール、フォント最適化技術、USB-C、Wi-Fi (2.4GHz) 、Kindleストアに対応しています。
価格は、Amazonで19,980円(税込・広告なし)、楽天市場で19,980円(送料無料)、ヤフーショッピングで15,900円、です。
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BOOX Go Color 7
Onyxから発売されたAndroid 12搭載のカラー対応 7型 E inkタブレットです(2024年6月6日発売)。2.4GHzオクタコア プロセッサ、4GB LPDDR4X メモリ、Kaleido 3 (Carta 1200)液晶、64GB UFS2.2 ストレージ、2300 mAhバッテリー、microSDカードスロット搭載で、
ページめくりボタン、ストレージ拡張、スピーカー、マイク、BOOX スーパーリフレッシュテクノロジー、Gセンサー(自動回転)、撥水設計(水をはじく加工)、2色フロントライト、磁気ケース「Go Color 7 マグネットケース」(別売)、サードパーティ製アプリの追加、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0に対応しています。
価格は、Amazonで44,800円、楽天市場で44,800円、ヤフーショッピングで44,800円、です。
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他のBOOXタブレットと比較
他にもBOOXのE inkタブレットが販売されています。2024モデルもあるので、ぜひ比較してみてください。
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