ついに発売された「Surface Laptop 7」。AIに最適化されたことで早くも注目を集めています。しかし、肝心のプロセッサ性能はまだ不明な部分が多く、購入をためらっている人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は「Surface Laptop 7」のプロセッサ性能を5つの観点で詳細に検証してみました。
- CPU
- ベンチマーク
- グラフィック性能
- AIの性能
- 消費電力
また、前モデル「Surface Laptop 5」やAppleのMacBookとの比較も紹介!AIを使って利用できるアプリやサービス、新プロセッサの注意点もあるのでぜひ参考にしてみてください。
「Surface Laptop 7」が発売開始!
2024年6月18日、日本でマイクロソフトの新製品「Surface Laptop 7」(サーフェイス ラップトップ 7)が発売されました。
Snapdragon X Elite / X Plus プロセッサを搭載した13.8型、15型のノートPCです。
マイクロソフトからは2022年10月に第12世代のインテルCore i5 / i7 プロセッサ搭載の「Surface Laptop 5」(サーフェイス ラップトップ 5)が発売されています。
このノートPCは最新世代のIntel Evoプラットフォームに準拠し、「今までの2倍以上 高速だ」、「MacBookより優れている」と評判でした。
新モデルはAIに最適化されたプロセッサを搭載し、AIアシスタント機能「Copilot」(コパイロット)をはじめとした生成AIサービスも快適に使えるようです。
早速どんなノートPCなのか、詳しく見ていきましょう。
新しいCopilot+ PC、Surface Laptop (第 7 世代) の登場 | Microsoft Surface
検証1:Snapdragon X Plus / X Eliteの性能
新モデル「Surface Laptop 7」は13.8インチモデルにSnapdragon X Plus / Snapdragon X Elite プロセッサを、15インチモデルにSnapdragon X Elite プロセッサを搭載しています。
Snapdragon X Plus プロセッサは4nmプロセスで製造された10コア、最大3.4GHzで駆動するCPU「Oryon」を搭載しています。
一方、Snapdragon X Elite プロセッサは4nmプロセスで製造された12コア、最大3.4/3.8GHzで駆動するCPU「Oryon」を搭載しています。
どちらもARMベースのプロセッサで、AI処理に優れたパフォーマンスを発揮できるという特徴を持っています。
具体的には、Snapdragon X Plus プロセッサは、Qualcomm Hexagon NPU を搭載し、ノートPC向けとしては世界最速の45 TOPS に達する処理能力を発揮します。
一方、Snapdragon X Elite プロセッサは、Qualcomm Hexagon NPU 搭載で、130 億のパラメータを超える生成 AI LLM モデルをデバイス上で超高速に実行できるようになっています。
検証2:ベンチマークの結果
Snapdragon X PlusはPassmarkのCPUベンチマークで「24468」、Geekbench 6のシングルコアで約「2400」、マルチコアで約「13000」を記録しています。
Snapdragon X EliteはPassmarkのCPUベンチマークで「27420」、Geekbench 6のシングルコアで約「2400」、マルチコアで約「14000」を記録しています。
X PlusとX EliteはGeekbench 6のシングルコアで同じくらいのスコアになりますが、
マルチコアでは約千前後の差が生じます。
前モデル「Surface Laptop 5」と比較
前モデル「Surface Laptop 5」のCore i5-1235UプロセッサはPassmarkのCPUベンチマークで「13519」、Geekbench 6のシングルコアで「1856」、マルチコアで「5708」を記録していました。
Core i7-1255U プロセッサはPassmarkのCPUベンチマークで「13566」、Geekbench 6のシングルコアで「2136」、マルチコアで「6908」を記録していました。
新モデルは前モデルよりもスコアが高くなっています。PassmarkのCPUでは約1万1千以上上がっていることから、前モデルから飛躍的な進化を遂げたといえます。
AppleのM3 / M4 チップと比較
Apple M3チップはPassmarkのCPUベンチマークで「18942」、Geekbench 6のシングルコアで「3135」、マルチコアで「15623」を記録していました。
Apple M4 チップPassmarkのCPUベンチマークで「25436」、Geekbench 6のシングルコアで「3691」、マルチコアで「13399」を記録していました。
新モデル「Surface Laptop 7」のSnapdragon X EliteはApple M4 チップに近いスコアになっていますが、
Geekbench 6のシングルコアではAppleのM3 / M4 チップの方が高いスコアになっています。
検証3:他のCPUと比較
最新のノートPCに搭載されているプロセッサと新モデル「Surface Laptop 7」のプロセッサをPassmarkのCPUベンチマークで比較してみました。
Ryzen 7 8845HS・・・Passmark:28708
Core Ultra 9 185H・・・Pssmark:28465
Core i9-12900H・・・Passmark:28206
★ Snapdragon X Elite・・・Passmark:27420
Apple M4・・・Passmark:25436
★ Snapdragon X Plus・・・Passmark:24468
Ryzen 7 7735HS・・・Passmark:24225
Core i5-13500H・・・Pssmark:22953
Apple M3・・・Passmark:18942
Core Ultra 7 155U・・・Pssmark:16069
Snapdragon X EliteのスコアはAMD Ryzen 7 8845HSに近くなっています。一方、Snapdragon X PlusはRyzen 7 7735HSのスコアに近くなっています。
検証4: グラフィック性能
新モデル「Surface Laptop 7」のSnapdragon X Plus / X Elite プロセッサはどちらもGPUにQualcomm Adrenoを採用しています。
3DMark Fire Strike [DX11_1920x1080] によるグラフィックスコアは約「6000」前後を記録しています。
Time Spyは1900前後です。
「ファイナルファンタジー:暁月のフィナーレベンチマーク」のスコアは「9880」でした。
前モデルと比較
前モデル「Surface Laptop 5」はGPUにIntel Iris Xeを採用していました。
3DMark Fire Strike [DX11_1920x1080] によるグラフィックスコアは約「4000」前後を記録していました。
Time Spyは「881」でした。
「ファイナルファンタジー14 漆黒のヴィランズ」のスコアは「6117」でした。
AppleのM3 チップと比較
Apple M3チップのGPUは8コア/10コアで、3DMark Fire Strike [DX11_1920x1080] で約「10,000」以上を記録していました。
新モデル「Surface Laptop 7」は前モデル「Surface Laptop 5」よりも高いグラフィック性能を持っており、ゲーミング性能も高そうです。ただし、AppleのM3 チップのグラフィック性能と比べると、かなり低くなります。グラフィック性能を必要とする作業(Adobeのフォトショップやイラストレーターなど)ではMacBook Air M3の方が有利です。
検証5:AIの性能
Geekbench MLはQualcommのNPUに対応していないため、現在 機械学習のベンチマークが測定できなくなっています。
かろうじて見つけたAIのベンマークは「UL Procyon」AI Computer Vision Benchmarkで約「1680」を記録していました。
検証6: 消費電力
Snapdragon X Eliteの消費電力はどのくらいでしょうか? 調べてみると、82.33W – 98.50W でなんと100Wをかろうじて下回る消費電力でした。
「MacBook Air M3」の消費電力は70W以上、前モデル「Surface Laptop 5」は60W 以上です。
IntelのCore Ultra 7 155Hでも約80Wなので、かなり電力を消費するようです。
なお、SKU「X1E80100」だけは52.92Wで消費電力が少ないとのこと。
Snapdragon X EliteのほとんどのSKUでは65WのUSB Type-CのACアダプタで電力不足になりますが、
SKU「X1E80100」だけは電力不足にならずにフルの性能を発揮できるようです。
Snapdragon X で快適に使えるAIアプリ
マイクロソフトは誰でも簡単にAI機能が使えるように5つのアプリを用意しています。
アプリ1:リコール
ユーザーのPC利用を記録し、必要なデータへ導いてくれる機能。過去に使用した履歴がタイムラインで表示され、一覧からアプリを選択できる。
アプリ2:イメージ クリエーター
入力したテキストの説明から多様な画像を生成する機能。DALL-E という強力な AI モデルを利用している。
アプリ3:ライブキャプション
自動文字起こし機能。Windows 11バージョン 22H2 以降で利用できる。
アプリ4:Windows Studio エフェクト
ビデオ通話を快適に使えるようにする機能。背景ぼかし効果、目を補正する効果、自動フレーミング、音声フォーカス(ノイズをミュート)などを使える。
アプリ5:ペイント
イラスト作成、写真編集アプリ。背景除去、レイヤー、ブラシ、描画ツール、Compose(複雑な構成やデザインを簡単に作成)などが使える。
Snapdragon X で利用できる生成AI サービス
Microsoft Copilot(コパイロット)以外にもAIを使ったサービスを利用できます。
例えば、ChatGPT、Stable Diffusion(ステーブル ディフュージョン)、Adobe Firefly(アドビ ファイアフライ)、Google Gemini(ジェミニ)、Meta Llama (ラマ)3などを利用できます。
Snapdragon X の注意点
Snapdragon X には大きく分けて2つの注意点があります。
注意点1:実は4種類ある Snapdragon X Elite
Snapdragon X Eliteには性能が異なる4つのSKUが用意されています。
1.X1E-00-1DE・・・デュアルコア ブースト4.3 GHz
2.X1E-84-100・・・デュアルコア ブースト4.2 GHz
3.X1E-80-100・・・デュアルコア ブースト4.0 GHz
4.X1E-78-100・・・デュアルコア ブースト なし
上位SKUではシングルコア、デュアルコアだけのときに4GHzを超えるクロック周波数で駆動できます。
最下位SKUのX1E-78-100はその機能を利用できません。
注意点2:実は動かないアプリもある
Snapdragon XはARMベースのプロセッサで、x86系のアプリはエミュレーションで動作させることになります。
そこで問題なのが、アプリやソフトウェアがx86対応のものしかなく、ARMに対応したものがない場合です。
例えば、「ATOK」はARM版がないため、使用できません(※Microsoft 365アプリでは動作します。)。また、Google IMEも利用できません。
そのほか、Adobeはx86版のCreative Cloudはすべて利用できますが、Arm版のCreative Cloudは「Photoshop」、「Lightroom」、「Lightroom Classic」、「Fresco」、「Acrobat」のみ動作します。
「InDesign」、「After Effects」、「Illustrator」はこれからArm版Windowsに対応する予定です。
<動作確認済みのアプリ 一覧>
- Teams
- Zoom
- Officeアプリ(Word/Excel/PowerPoint/Outlook)
- Adobe「Premiere Pro」、「Photoshop」、「Lightroom」、「Lightroom Classic」、「Fresco」、「Acrobat」
「Surface Laptop 7」のスペック
- ディスプレイ 13.8インチ:解像度:2304 x 1536 / 15インチ:解像度2496 x 1664 のPixelSense
- プロセッサ 13.8インチ:Snapdragon X Plus (10 コア) / Snapdragon X Elite (12 コア)
15インチ:Snapdragon X Elite (12 コア) - NPU 45 兆回の操作を秒速で実行する Qualcomm Hexagon
- GPU Qualcomm Adreno GPU
- RAM(メモリ)16GB、または 32GB LPDDR5x
- ストレージ SSD 256GB、512GB、または 1TB
- バッテリー 13.8 インチ:54WH / 15インチ:66WH
- 駆動時間 13.8インチ:ローカル ビデオ再生で最大 20 時間 / Web で最大 13 時間
15インチ:ローカル ビデオ再生で最大 22 時間 / Web で最大 15 時間 - カメラ 1080P フル HD カメラ 、自動フレーミング、クリエイティブ フィルター、Windows Hello 顔認証
- ワイヤレス通信 Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4
- インターフェース USB 4.0 x2、USB-A 3.1 x1、3.5mmヘッドフォン ジャック、Surface Connect ポート x1、MicroSDXC カード リーダー(※15インチモデルのみ) x1
- センサー アンビエント ライト センサー
- スピーカー Dolby Atmos対応 Omnisonic スピーカー
- マイク 音声フォーカス搭載 Dual far-field スタジオ マイク
- キーボード メカニカル キー、日本語配列、フル ファンクション キー (F1-F12)、バックライト、Copilot キー、ハプティック タッチパッド
- ソフトウェア Office Home and Business 2021、Xbox Game Pass Ultimate の 30 日試用版
- セキュリティ Microsoft Pluton TPM 2.0、Windows Hello 顔認証、Windows 11 Secured-core PC、Microsoft Defender
- 消費電力 13.8インチ:13.91kWh/年(AAA) / 15インチ:13.31kWh/年(AAA)
- 筐体 ケース:アルマイト
- OS Windows 11 Home
- サイズ 13.8インチ:301 x 220 x 17.5 mm
15インチ:329 x 239 x 18.29 mm - 重量 13.8インチ:1.34kg / 15インチ:1.66kg
- カラー 13.8インチ:サファイア、デューン、ブラック、プラチナ / 15インチ:ブラック、プラチナ
- 付属品 電源アダプター 13.8 インチ: 39W / 15インチ: 65W、クイック スタート ガイド、安全性および保証に関する書類
「Surface Laptop 7」は買うべきか?
新モデル「Surface Laptop 7」が登載するSnapdragon X Plus / X Eliteは確かに高い性能を持っています。
グラフィック性能も高く、これからAIを使ったサービスを使いたい人に最適です。
ただ、「今すぐ必要なのか?」と言われれば、それは少し疑問です。
なぜなら、AIを使った機能やサービスが普及し始めても、
それをどう活かすか?という具体的な方法がないとはっきりとしたメリットが感じられないからです。
例えば自分は記事を書いたり、動画を作ったりしていますが、
画像を生成したり、動画を自動作成したりする機能はまだ使っていません。
というよりも、その必要性すら感じていないレベルです。
おそらくそうした自分と同じレベルの人は多いのではないでしょうか?
しかし、その一方で「将来的にAIの力が必ず必要になる」ということは直感的に感じています。
例えば、近い将来、AIをうまく使って優れた仕事をして大きな成果を収める人がたくさん出てくるはずです(※すでにいるかもしれませんが・・・。)。
AIの登場により、現在のSEOや記事・動画の作成方法も大きく変わり、自分もそれに合わせていかなかればならなくなることも予想できます。
そうしたことを考えると、今から生成AIの機能やサービスを使って慣れておくのは大きな意味があることです。
「先行投資」というわけではありませんが、何事も早め早めに備えておかなければ、今の時代のスピードにはついていけそうにありません。
「Surface Laptop 7」をはじめとしたAIに特化したデバイスは高額ですが、確実に「将来を変えうる力」を持ったノートPCです。
近い未来に大きな成功を収めるかどうかは、やはりそれを手に入れるかどうかにかかっているといえます。
「Surface Laptop 7」の価格・販売先
マイクロソフト公式ストア
13.8インチモデルが207,680円(税込)~、15インチモデルが268,180円(税込)~で販売されています。
マイクロソフト公式ストアで「Surface Laptop 7」をチェックする
※支払い方法はクレジットカード、デビットカード、PayPal です。
ECサイト
楽天市場で207,680円 (税込・ZGJ00020・ポイント10倍あり・送料無料)、
ヤフーショッピングで(税込・ZGJ00020・送料無料)
で販売されています。
Amazonで「Surface Laptop 7」をチェックする
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ヤフーショッピングで「Surface Laptop 7」をチェックする
米国 Amazon.comで「Surface Laptop 7」をチェックする
他のSnapdragon X ノートPCの紹介
「Surface Laptop 7」以外にも他のSnapdragon X プロセッサを搭載したノートPCが販売されています。
レノボ「Yoga Slim 7x」
14.5インチ有機EL液晶、Snapdragon X Elite(X1E-78-100)、32GBメモリ、1TBストレージ搭載です。
価格は249,700円前後(税込)~です。
ASUS「Vivobook S 15 S5507QA」
15.6インチ有機EL液晶、Snapdragon X Elite(X1E-78-100)、32GBメモリ、1TBストレージ搭載です。
価格は249,800円(税込)~です。
HP「OmniBook X 14-fe」
14インチの液晶(2240×1400)、Snapdragon X Elite(X1E-78-100)、16GBメモリ、1TBストレージ搭載です。
価格は249,700円(税込)~です。
デル「XPS 13」
13.4インチの液晶(1920×1200)、Snapdragon X Elite(X1E-80-100)、16GBメモリ、512GBストレージ搭載です。
価格は249,980円(税込)~です。
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