
GMKtec M6(GMKtec NucBox M6)は、AMD Ryzen 5 6600Hプロセッサを搭載し、0.85リットルという驚異的なコンパクトさと、セール時の圧倒的な価格設定で注目を集めているミニPCです。
このレビューでは、GMKtec M6の実力を、上位モデル「GMKtec M7」(Ryzen 7 PRO 6850H)と比較しながら、そのパフォーマンスと実際の使い勝手を徹底的に検証しました。
【先に結論からお伝えしましょう】
GMKtec M6 の長所(Pros):
- 0.85Lという圧倒的なコンパクトさと約528gの軽量デザイン
- デュアル2.5G LANポートとWi-Fi 6Eを搭載する強力なネットワーク性能
- Ryzen 5 6600H(6コア)による快適なCPUパフォーマンス
- セール時の4万円台から購入可能な高いコストパフォーマンス
GMKtec M6 の短所(Cons):
- 内蔵GPU(Radeon 660M)の性能が低く、GMKtec M7(Radeon 680M)に大きく劣る
- 高負荷時に41.7dBに達する、大きめのファンノイズ
- GMKtec M7が搭載するOcuLinkポート(外部GPU接続用)がない
総合評価:
GMKtec M6は、事務作業やWeb閲覧がメインで、設置場所を取らないコンパクトさと強力なネットワーク性能を重視するユーザーにとって、最高のコストパフォーマンスを発揮する一台です。ただし、3Dゲームの性能や高負荷時の静音性を求める場合は、上位モデルのGMKtec M7と比較検討する必要があります。
<この記事で分かること>
- GMKtec M6とGMKtec M7の筐体サイズ、デザイン、ポート類の詳細な比較
- Ryzen 5 6600HとRyzen 7 PRO 6850HのCinebenchや3DMarkでのベンチマーク性能差(CPU性能、グラフィック性能比較)
- 『原神』や『Apex Legends』、『サイバーパンク2077』がどの程度動くかの具体的なゲーム性能(フレームレート)
- 高負荷時のCPU温度と、ファン騒音(冷却性能と静音性)の実測値
- 天板カバーの開け方(分解)と、メモリ・SSDの増設スロット(PCIe 4.0対応)の確認
- デュアル2.5G 有線LANとWi-Fi 6Eの通信性能
- OcuLinkポートの有無が将来性にどう影響するか
- 検証によって判明したメリットとデメリット
- 専門家による5段階評価と詳細な総評
- 最新の価格(※販売終了)と購入先とライバル機種M7との価格比較
この記事を最後まで読むことで、GMKtec M6が本当に必要なミニPCなのか、それとも上位モデルのGMKtec M7を選ぶべきか、その判断がはっきりと分かるはずです。購入に悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
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公式ページ: AMD Ryzen 5 6600U ミニ PC–NucBox M6
デザイン:GMKtec NucBox M6とM7の筐体とポート比較
ここでは、GMKtec NucBox M6とM7のデザイン、サイズ感、そして搭載されている接続ポートについて詳しく比較していきます。
筐体デザインとサイズ感
NucBox M6の筐体は、マットブラックのプラスチック製で、非常にコンパクトなデザインが印象的です。サイズは約12.8 x 12.7 x 4.8 cm、容量は約0.85リットルと、まさに「手のひらサイズ」です。重量も実測で約525gと軽量で、ライムグリーンのアクセントカラーが個性を加えています。
一方、NucBox M7はM6とは異なる新型ケースを採用しています。カラーはグレー基調で、M6のプラスチック筐体とは異なり、冷却効果を高めるために側面には金属素材が使われています。M7の最大の特徴は天板で、内部のファンが透けて見える半透明のアクリル製スケルトン仕様になっており、デザイン性が高められています。
サイズはM7の方がM6より一回り大きく、特に高さがあります。M7の重量は実測で約636gと、M6より約100g重くなっており、ずっしりとした安定感があります。
接続ポート(インターフェース)
NucBox M6とM7は、どちらも非常に豊富なポートを備えていますが、その構成には大きな違いがあります。
NucBox M6のポート構成:
- 前面: 電源ボタン、3.5mmジャック、USB 4.0 (Type-C) x 1 (データ/DP/PD対応)、USB 3.2 Gen2 (Type-A) x 2
- 背面: USB 2.0 (Type-A) x 1、USB 3.2 (Type-A) x 1、DisplayPort (4K@60Hz) x 1、HDMI 2.0 (4K@60Hz) x 1、2.5G LAN x 2、DC IN
NucBox M7のポート構成:
- 前面: OcuLinkポート x 1、USB 4.0 (Type-C) x 1、USB 3.2 Gen2 (Type-A) x 2、3.5mmジャック、電源ボタン
- 背面: USB 2.0 (Type-A) x 2、DisplayPort 2.0 (4K@60Hz) x 1、HDMI 2.1 (8K@60Hz対応) x 1、2.5G LAN x 2、USB 4.0 (Type-C) x 1、DC IN
両モデルともデュアル2.5G LANポートを備えている点は共通していますが、M7はより上位の規格に対応しています。
注目すべきは、M7がM6にはないOcuLinkポートを搭載している点です。これにより、別途eGPUドックと電源を用意すれば、外部の高性能グラフィックカードを接続できます。ミニPCの内蔵GPUでは難しい『サイバーパンク2077』のような重量級ゲームも、デスクトップPC並みの環境でプレイする道が開かれます。
さらに、M7は高性能なUSB4.0ポートを前面と背面に合計2基搭載しています。M6も前面にUSB4.0ポートを1基搭載していますが、M7はこれを2基備えているため、高速なデバイスを複数接続する際の拡張性でアドバンテージがあります。
モニター出力性能もGMKtec M7が明確に上位です。GMKtec M6の3画面出力・最大4K@60Hz に対し、GMKtec M7は4画面出力に対応し、HDMIポートは8K@60Hzという将来性の高い規格を採用しています
付属品とVESAマウント
付属品構成は両モデルでほぼ共通です。本体のほか、電源アダプター、HDMIケーブル、VESAマウント(ブラケットとネジキット)、ユーザーマニュアルが同梱されています。
どちらも120W (19V/6.32A)の電源アダプターが付属しており、PSEマークも確認できました。VESAマウントが標準で付属しているため、別途金具を購入することなく、モニターの背面に取り付けてデスク上を完全にスッキリさせることも可能です。
まとめ:デザイン
- M6のデザイン: マットブラックのプラスチック筐体で、約525gと非常にコンパクトかつ軽量。
- M7のデザイン: グレー基調の金属素材 とスケルトン天板を採用し、約636gとM6より一回り大きく重厚感がある。
- 最大の違い(M7の優位点): M7は外部GPU接続用の「OcuLinkポート」を搭載している。
- ポートの差(M7の優位点): M7はUSB4.0ポートを2基搭載。M6は1基搭載。また、M7はHDMI 2.1 (8K対応) やDP 2.0にも対応。
- モニター出力(M7の優位点): GMKtec M6は4K@60Hzの3画面出力、GMKtec M7はHDMI 2.1 (8K対応) を含む4画面出力に対応。
- 共通点: どちらも高速な2.5G LANポートを2基搭載している。
- 設置の共通点: どちらもVESAマウントが付属しており、モニター裏への設置に対応している。
パフォーマンスとゲーム性能:GMKtec M6の実力をM7と徹底比較
ここでは、GMKtec M6のパフォーマンスとゲーム性能を、GMKtec M7と比較しながら紹介します。
ベンチマーク
GMKtec M6に搭載されているのは、AMD Ryzen 5 6600Hです。これはZen 3+アーキテクチャを採用した6nmプロセスのCPUで、6コア12スレッド、最大4.5GHzで動作します。TDPは45Wです。内蔵GPUはRDNA2ベースのRadeon 660M(6CU)を搭載しており、AV1ハードウェアデコードにも対応しています。
AMD Ryzen 5 6600H
<CPUのベンチマーク結果>
- PassmarkのCPUベンチマークスコア「18596」
- Geekbench 6のシングルコア「1886」、マルチコア「8063」
- Cinebench R23 シングルコア「1504」、マルチコア「10510」
- Cinebench 2024 シングルコア「80」、マルチコア「470」
<GPUのベンチマーク結果・Radeon 660Mグラフィックスコア>
- Fire Strike グラフィックスコアで「5032」(DirectX 11)
- Fire Strike Extreme グラフィックスコアで「2400」
- Time Spy グラフィックスコアで「1559」(DirectX 12)
- 3DMark Night Raidで「19705」(DirectX 12, 低負荷)
- 3DMark Wild Life「16000」(Vulkan/Metal, モバイル向け)
CPU性能を比較
上位モデルGMKtec M7が搭載するRyzen 7 PRO 6850HとCPU性能を比較してみました。
GMKtec M7は、M6と同じZen 3+世代ですが、より上位のAMD Ryzen 7 PRO 6850Hを搭載しています。同じ6nmプロセス、TDP 45Wですが、コア数が8コア16スレッドに増強されています。最大ブーストクロックも4.7GHzと、わずかながらM6を上回っています。
Ryzen 7 PRO 6850H
<CPUのベンチマーク結果>
- PassmarkのCPUベンチマークスコア「23485」
- Geekbench 6のシングルコア「1885」、マルチコア「8887」
- Cinebench R23 シングルコア「1554」、マルチコア「13849」
- Cinebench 2024 シングルコア「91」、マルチコア「777」
<比較からわかること>
ベンチマークスコアを比較すると、両者の特性がはっきりと分かります。Cinebench R23やGeekbench 6のシングルコア性能はほぼ互角で、日常的な操作感やアプリの起動速度では大きな違いを感じにくいかもしれません。しかし、PassmarkやCinebenchのマルチコアスコアでは、8コア16スレッド のM7が、6コア12スレッド のM6を圧倒しています。
Cinebench R23(マルチ)で約32%、Cinebench 2024(マルチ)では約65%も高いスコアを記録しており、動画編集のエンコードや『Davinci Resolve』での書き出し作業など、CPUパワーをフルに使う場面ではM7が明確に有利です。
グラフィック性能を比較
上位モデルGMKtec M7が搭載するRyzen 7 PRO 6850HとGPUのグラフィック性能を比較してみました。
GMKtec M7の内蔵GPUは、CPUと同じくM6より強力なRadeon 680Mを搭載しています。GMKtec M6のRadeon 660M(6CU) と同じRDNA2アーキテクチャですが、コンピュートユニット(CU)が12CUへと倍増しており、動作周波数もM6の1.9GHz から最大2.2GHz~2.4GHzへと引き上げられています。
Ryzen 7 PRO 6850H
<GPUのベンチマーク結果・Radeon 680Mグラフィックスコア>
- Fire Strike グラフィックスコアで「7100」(DirectX 11)
- Fire Strike Extreme グラフィックスコアで「3300」
- Time Spy グラフィックスコアで「2358」(DirectX 12)
- 3DMark Night Raidで「23250」(DirectX 12, 低負荷)
- 3DMark Wild Life「15000」(Vulkan/Metal, モバイル向け)
<比較からわかること>
GMKtec M7は、GPUにRadeon 680Mを搭載し、Radeon 660MよりもCU数が倍増したことで、グラフィック性能はGMKtec M6よりも劇的に向上しています。DirectX 11で計測するFire StrikeではM7がM6を約41%、DirectX 12のTime Spyでは約51%も上回るスコアを記録しました。
これにより、『原神』や『崩壊:スターレイル』といったゲームを、M6よりも高い画質設定で快適に動作させることが期待できます。一方で、Vulkan/Metal APIを使用するWild Lifeテストでは、なぜかM6がM7をわずかに上回る結果となりました。これはテストの誤差やドライバの相性も考えられますが、全体的なゲーミング性能はM7が優位と言えます。
ゲーム性能をレビュー!原神、モンハンなど人気ゲームはどう動くか?
ここでは、M6とM7、この2台のミニPCがどの程度ゲームを動かせるのか、人気のタイトルで実際に試した感覚を具体的にお伝えします。GMKtec M6はRyzen 5 6600H (Radeon 660M)、GMKtec M7はRyzen 7 PRO 6850H (Radeon 680M)を搭載しています。
原神 (Genshin Impact)
美しいグラフィックが特徴のオープンワールドRPG『原神』。M7(Radeon 680M)なら、1920×1080解像度の中設定でも平均60fpsをしっかり維持してくれます。美しいテイワットの世界を滑らかな動きで探索でき、戦闘中のエフェクトが飛び交う場面でもカクつきはほとんど感じませんでした。
一方のM6(Radeon 660M)では、同じ1080p・中設定だと平均40〜50fps程度となり、戦闘中は少し動きが鈍くなる感覚があります。快適に遊ぶなら「低設定」がおすすめ。これなら平均60fps近くまで向上し、デイリークエストもストレスなくこなせました。
モンスターハンターワイルズ (Monster Hunter Wilds)
これは正直、どちらの機種も厳しいと言わざるを得ません。期待の最新作ですが、要求スペックが非常に高く、M7の内蔵GPUをもってしても、1920×1080解像度・最低設定でFSR(アップスケーリング技術)を駆使しても平均30fpsを維持するのは困難でした。これでは狩りどころではないカクつきが発生します。M6では起動するのもやっとというレベルで、残念ながらこれらの内蔵GPUでプレイするのは現実的ではありません。
Apex Legends
スピーディーな撃ち合いが求められるため、設定の妥協は必須です。M7なら、1920×1080解像度・低設定にすることで、射撃訓練場では平均60fps近く出ますが、実際の激しい近距離戦では平均40〜60fpsの間で変動します。カジュアルに楽しむ分には十分可能だと感じました。
M6では、同じ1080p・低設定でも平均30〜40fpsとフレームレートの変動が大きくなります。「撃ち合える」というより「動ける」というレベルで、敵を正確に追うエイムが難しく感じました。解像度をさらに下げないと厳しい戦いになります。
サイバーパンク2077 (Cyberpunk 2077)
最も重いゲームの代表格ですが、M7なら「なんとか動く」レベルには達します。1920×1080解像度・低設定、FSRを「ウルトラパフォーマンス」まで振り切ることで、平均40fps前後を確保できました。負荷の高い場所では30fps台に落ち込みますが、ナイトシティの雰囲気を味わい、物語を追うことは可能です。M6では同じ設定でも平均30fpsを下回る場面が多く、常に動作の重さが付きまといます。戦闘やドライブはストレスが大きく、ゲームの世界に没入するのは難しいと感じました。
Forza Horizon 5
美しいメキシコの景色を楽しむならM7です。1920×1080解像度・低設定にし、FSRを「パフォーマンス」に設定すれば、平均50〜60fpsを維持してくれました。カクつきも少なく、美しいオープンワールドを気持ちよくドライブできます。M6で同じ体験をしようとすると、1080p・最低設定の上、FSRを「ウルトラパフォーマンス」まで下げる必要があり、それでも平均30〜40fps程度。画質もかなり荒くなり、高速で流れる景色にはカクつきが目立ち、快適なレースとは言えませんでした。
ストリートファイター6 (Street Fighter 6)
格闘ゲームは「安定した60fps」が命です。M7で1920×1080解像度・最低画質設定のベンチマークを試したところ、平均52.51fpsという結果でした。これではコンボやシビアな入力が求められる場面でコマ落ちが発生し、対戦では不利になってしまいます。M6ではさらに厳しく、平均30〜40fps程度まで落ち込みます。技がスムーズに出ず、もはや格闘ゲームとして成立させるのは困難でした。
まとめ:ゲーム性能
GMKtec M7とM6のゲーム性能には、搭載されている内蔵GPU(Radeon 680Mと660M)の性能差がそのまま表れました。M7(Radeon 680M)は、『原神』を中設定で滑らかに動かし、『Apex Legends』も設定次第で十分に楽しめるパワーを持っています。
一方のM6(Radeon 660M)は、最新の3Dゲームを動かすには力不足を感じる場面が多く、画質や解像度を大幅に妥協する必要がありました。少しでもゲームを視野に入れるのであれば、CU数(演算ユニット)が倍増しているM7を選ぶのが賢明です。ただし、どちらの機種も『モンスターハンターワイルズ』のような最新の重量級タイトルを快適にプレイする能力はないため、過度な期待は禁物です。
ゲーム以外の動作感:GMKtec M6とGMKtec M7の性能比較
ここでは、オフィス作業やクリエイティブなタスクにおけるGMKtec M6とGMKtec M7の動作感について、ベンチマークや使用感をもとに比較します。
日常操作とレスポンス
Webブラウザでタブを複数開いたり、エクスプローラーを起動したりといった日常的な操作の快適さは、主にCPUのシングルコア性能に左右されます。この点において、GMKtec M6(Ryzen 5 6600H)とGMKtec M7(Ryzen 7 PRO 6850H)の体感差はほとんどありません。Cinebench R23のシングルコアスコアはM6が約1504、M7が約1554と非常に近く、どちらも非常にキビキビと動作します。
ただし、両モデルともに高負荷時の安定性には注意が必要かもしれません。GMKtec M6では4K 60fpsの動画再生時にDPCレイテンシ(音飛びやカクつきの原因)の問題が指摘されていました。GMKtec M7についても、「YouTubeで音楽を聞いているとたまに音が乱れる」「画面が一瞬チカっとする時がある」という報告があり、似た挙動が発生する可能性があります。
オフィスワークとマルチタスク性能
Microsoft 365の『Word』や『Excel』を使った一般的なオフィスワークであれば、GMKtec M6でもGMKtec M7でも性能差を感じることはなく、どちらもオーバースペックと言えるほど快適です。
違いが表れるのは、高負荷なマルチタスクの場面です。GMKtec M7は8コア16スレッドを搭載しているのに対し、GMKtec M6は6コア12スレッドです。例えば、ビデオ会議(『Teams』や『Zoom』)をしながら、大量のデータを扱う『Excel』を操作し、さらにバックグラウンドで複数のブラウザタブを開くような状況では、コア数の多いGMKtec M7の方が処理に余裕があり、安定した動作が期待できます。
クリエイティブ性能(写真・動画編集)
写真編集ソフト『Adobe Photoshop』での作業は、どちらのモデルでも比較的スムーズに行えます。
最も大きな差が出るのは動画編集です。Cinebench R23のマルチコアスコアでGMKtec M7(約13,849) がGMKtec M6(約10,510)を約32%も上回っている通り、8コアCPUのパワーは絶大です。『DaVinci Resolve』や『Adobe Premiere Pro』でのフルHD動画の書き出し(エンコード)作業では、GMKtec M7がM6よりも明らかに速く処理を完了できます。趣味で動画編集を行う場合、この待ち時間の差は非常に大きく感じられるでしょう。
まとめ:ゲーム以外の動作感
- 日常の操作感: GMKtec M6とGMKtec M7の体感差はほぼなく、どちらも非常に高速で快適。
- 安定性: 両モデルとも高負荷な動画再生時(YouTubeなど)に音飛びや画面の乱れが発生する可能性が指摘されている。
- マルチタスク: GMKtec M7が8コア、GMKtec M6が6コア のため、多くのアプリを同時に動かす場合はGMKtec M7が有利。
- クリエイティブ性能: 『DaVinci Resolve』などでの動画エンコード速度は、8コアを搭載するGMKtec M7がGMKtec M6を明確に上回る。
排熱性能と静音性:GMKtec M6とGMKtec M7の冷却力と動作音
ここでは、ミニPCの快適さを左右する重要な要素である排熱性能とファンの動作音について、GMKtec M6とGMKtec M7を比較します。
冷却システムと排熱性能
GMKtec M6とGMKtec M7は、どちらもデュアル冷却ファンシステムを搭載していますが、その構造には違いが見られます。GMKtec M6はCPU用の大型ファンとメモリ/SSD用のミニファンを搭載しています。一方、GMKtec M7は「Hyper Ice Chamber 2.0」と名付けられたアップグレード版のシステムを採用し、CPU用とメモリ/SSD用にそれぞれ大型のファンを上下に配置する構造をとっています。
Cinebench R23のような高負荷なテストを(標準設定の)「Balance」モードで実行すると、両モデルともノートPC並みに高温になります。GMKtec M6(消費電力約48W時)のCPU温度は平均85.6℃〜86.7℃に達します。対してGMKtec M7(消費電力約54W時)は、平均84.7℃でした。
注目すべきは、GMKtec M7の方がより高い消費電力(54W)で動作しているにもかかわらず、GMKtec M6(48W)と同等か、わずかに低い平均温度を維持している点です。これは、GMKtec M7のアップグレードされた冷却システムが、より効率的に熱を処理できていることを示しています。とはいえ、どちらも最大温度は92℃〜93℃に達するため、小型筐体で高性能CPUを冷却する限界も見られます。
静音性(ファンの動作音)
静音性に関しても、両モデルは異なる特徴を持っています。まず、どちらのモデルも高負荷時にはファンの音がはっきりと聞こえ、静かなPCとは言えません。標準の「Balance」モードでの動作音は驚くほど似通っています。GMKtec M6が41.7 dB、GMKtec M7が41.3 dBと、どちらも41dB台で、「うるさい」とまではいかないものの、「シュー」という動作音が常に聞こえるレベルです。
違いが顕著に出るのは、GMKtec M7に搭載されている「Performance」モード(最大70W)です。このモードでは、性能を引き出す代わりにファンの音も最大になり、騒音値は約48dBまで上昇します。これは「かなり大きい」と感じるレベルで、長時間の使用は厳しいかもしれません。
また、使用感として、GMKtec M6は時折「寝ていても目が覚めるぐらい」異常に大きなファン音がすることがあるのに対し、GMKtec M7は購入後しばらくしてファンから「カラカラ」という異音がし始めたという報告もあり、ファンの個体差や耐久性には少し注意が必要かもしれません。両モデルともBIOSから「Quiet」モードを選択でき、その場合は騒音を39dB〜40dB程度に抑えることが可能です。
まとめ:排熱性能と静音性
- 冷却システム: GMKtec M7は「Hyper Ice Chamber 2.0」と呼ばれるアップグレードされたデュアルファンを搭載しています。
- 排熱性能: GMKtec M7は、GMKtec M6より高い消費電力(54W)で動作させても、同等以下のCPU平均温度(約85℃)を維持しており、冷却効率はM7が優れています。
- 標準モードの騒音: 「Balance」モード(標準設定)での騒音値は、GMKtec M6(41.7 dB)とGMKtec M7(41.3 dB)でほぼ同等です。
- 高性能モードの騒音: GMKtec M7の「Performance」モード(70W)は、約48dBと非常に大きな動作音になります。
- 静音モード: 両モデルともBIOSに「Quiet」モードが用意されており、性能と引き換えに騒音を抑えることができます。
- ファンの品質: GMKtec M6は突然の大きなノイズ、GMKtec M7は使用に伴う異音(カラカラ音)の報告があり、ファンの動作には個体差がある可能性があります。
消費電力:GMKtec M6とGMKtec M7の電力効率
ここでは、GMKtec M6とGMKtec M7の消費電力について、アイドル時から高負荷時に至るまでの動作モードと合わせて比較します。
アイドル時と高負荷時の消費電力
GMKtec M6とGMKtec M7は、どちらも高性能なHシリーズプロセッサー(TDP 45W)を搭載しているため、省電力なNシリーズCPUを搭載したミニPCと比較すると消費電力は高めです。両モデルとも、最大120W(19V/6.32A)のACアダプターが付属しています。
アイドル時(デスクトップ画面での待機中)の消費電力は、GMKtec M6が約14W〜19W程度で推移します。GMKtec M7も同等のアイドル消費電力ですが、両モデルともBIOS設定によってさらに消費電力を抑えることが可能です。
高負荷時の消費電力には明確な違いがあります。GMKtec M6でCinebench R23を実行すると、CPU消費電力は最大75W近くまでブーストし、その後は平均48W〜50W前後で安定して動作します。一方、GMKtec M7はBIOS(UEFI)設定が充実しており、標準の「Balance」モードではCPU消費電力が54Wで安定するように設計されています。
BIOSによる電力モードの違い
GMKtec M7の大きな特徴は、BIOSからCPUの電力モード(TDP)を3段階(Quiet/Balance/Performance)に明確に設定できる点です。標準の「Balance」では54Wですが、「Quiet」に設定すれば消費電力を35Wに抑え、静音性を高めることができます。逆に「Performance」モードを選ぶと、最大70Wでの動作が可能になり、より高いパフォーマンスを引き出せます。
GMKtec M6にも「Quietモード」が搭載されており、同様に消費電力を35W程度まで抑えることが可能です。しかし、GMKtec M6は最大でも75W程度のブーストの後、50W弱で安定するのに対し、GMKtec M7は「Performance」モードで継続的に65W〜70Wという高い電力を供給できる設計になっており、持続的なパフォーマンスではGMKtec M7が有利です。
USB PD給電の対応
両モデルともUSB Type-CポートからのUSB PD(Power Delivery)給電に対応しています。GMKtec M7では、100WのPD充電器を使用して「Balance」モード(54W)までは安定した動作が確認できました。しかし、最大70Wを要求する「Performance」モードでは、100Wの供給電力では不足するため、Cinebench R23の実行中に電源が落ちてしまいました。GMKtec M6も同様にPD給電に対応していますが、高負荷時は付属の120Wアダプターを使用するのが最も安全です。
まとめ:消費電力
- ACアダプター: GMKtec M6とGMKtec M7は、どちらも120WのACアダプターが付属。
- アイドル時消費電力: GMKtec M6は約14W〜19W程度で、両モデルとも大きな差はない。
- 高負荷時(標準): GMKtec M6は最大75Wまでブースト後、約48W〜50Wで安定。GMKtec M7は「Balance」モード(標準)で54Wで安定動作する。
- BIOS設定(M7の強み): GMKtec M7は「Quiet (35W)」「Balance (54W)」「Performance (70W)」の3段階でTDPを明確に設定できる。
- USB PD給電: GMKtec M7は100WのPD充電器で「Balance」モードまで動作可能だが、「Performance」モードは電力不足で動作不可。
メモリとストレージ:GMKtec M6とGMKtec M7の内部アクセスと拡張性
ここでは、GMKtec M6とGMKtec M7の内部コンポーネントへのアクセス方法(分解と開け方)と、メモリやSSDの増設といった拡張性について比較します。
分解と開け方(内部アクセス)
どちらのモデルも、メンテナンス性を考慮したトップダウン方式を採用しており、比較的簡単に内部へアクセスできます。
GMKtec M6の開け方は、まず本体天板のプラスチック製カバーを(工具を使わず)手で引き剥がします。すると内蓋を兼ねた冷却ファンユニットが現れるので、四隅のネジを精密ドライバーで外すことで、メモリスロットとM.2スロットにアクセスできます。
GMKtec M7の開け方も似ていますが、デザインが異なるため手順が少し違います。まず、天板の半透明アクリル板を手でひねって(回して)取り外します。その後、GMKtec M6と同様に、内蓋となっているファンユニットのネジを4本外すことで、マザーボード上のスロット類にアクセスできます。どちらもドライバー1本で主要パーツにたどり着けるため、購入後のアップグレードは容易です。
メモリ(RAM)の増設
メモリの仕様は、GMKtec M6とGMKtec M7で共通しています。どちらのモデルもノートPC用のDDR5-4800 SO-DIMMスロットを2基搭載しており、デュアルチャネルに対応しています。標準構成はモデルによって異なりますが(GMKtec M6は32GB、GMKtec M7は16GBや32GBモデルなど)、どちらも最大で64GB(32GB x 2枚)までのメモリを搭載することが可能です。
ストレージ(SSD)の増設
ストレージに関しても、両モデルとも高い拡張性を備えています。GMKtec M6とGMKtec M7は、どちらもM.2 2280規格のSSDスロットを2基搭載しており、最大で合計4TBまでのストレージを内蔵(拡張)できます。
ただし、スロットの規格に違いがあります。GMKtec M6は、標準SSDが搭載されているスロットがPCIe 3.0 x4で、空きスロットがPCIe 4.0 x4に対応しています。標準搭載SSDはLexar NM6A1といったPCIe 3.0のものが多いため、より高速なPCIe 4.0 SSDは2枚目のスロットに増設することになります。
一方、GMKtec M7は、2基あるスロットの両方がPCIe 4.0をサポートしています。これにより、将来的に2枚とも高速なPCIe 4.0 SSDで構成することも可能です。ただし、GMKtec M7の標準搭載SSDもZETTASTONE CP200といったPCIe 3.0のドライブが採用されていることがあり、ポテンシャルを最大限に活かすには換装が必要です。
まとめ:メモリとストレージ
- 分解方法(GMKtec M6): 天板のプラスチックカバーを引き剥がし、内部のファンカバーのネジを外す。
- 分解方法(GMKtec M7): 天板のアクリル板をひねって外し、内部のファンカバーのネジを外す。
- アクセス性: どちらのモデルもドライバー1本で主要パーツ(メモリ・SSD)にアクセス可能で、メンテナンス性は良好。
- メモリスロット(共通): DDR5-4800 SO-DIMMスロットを2基搭載し、最大64GBまで対応。
- ストレージスロット(共通): M.2 2280スロットを2基搭載し、最大合計4TBまで対応。
- スロット規格の違い: GMKtec M6はPCIe 3.0スロットx1とPCIe 4.0スロットx1を搭載。GMKtec M7は2基ともPCIe 4.0をサポート。
- 標準搭載SSD: 両モデルとも、標準搭載されているSSDはPCIe 3.0規格のドライブであることが多い。
- 増設時の注意点: GMKtec M6の空きスロットに厚みのあるヒートシンク付きSSDを増設すると、内蓋と干渉する可能性がある。
ソフトウェアと設定:GMKtec M6とGMKtec M7のOSとBIOS
ここでは、GMKtec M6とGMKtec M7にプリインストールされているOSと、BIOS(UEFI)の設定内容について比較します。
ソフトウェアと初期設定
どちらのモデルもOSには「Windows 11 Pro」(OEM版)がプリインストールされています。ライセンスは正規のOEM版であり、余計なプリインストールアプリも入っていません。
初期設定は標準的なWindows 11のプロセスで、インターネットに接続すればライセンス認証も自動で完了します。ただし、セットアップの過程ではいくつかの注意点があるかもしれません。
GMKtec M6では、使用するキーボードによって109配列(日本語配列)への切り替え設定に少し戸惑う可能性があります。
海外製のミニPCではキーボード設定が「英語配列」になっていることがあるので、この点は注意した方がいいでしょう。この状態を改善するためには、スタートキー →「設定」→「時刻と言語」→「言語と地域」と進み、「日本語」の行の「…」から「言語オプション」を選択。「キーボードレイアウトの変更」で「日本語キーボード(106/109)」を選び、[今すぐ再起動]を押せば修正できます。
なお、GMKtec M7では、最初のWindows Updateに数時間かかる場合があるようです。
BIOS(UEFI)の設定
BIOS(UEFI)画面へのアクセスは、GMKtec M6では電源投入直後に[ESC]キーを連打することで入ることができます([F7]キーでブートメニュー)。GMKtec M7でも同様に[ESC]キー、または[DEL]キーでBIOS設定画面に入ることが可能です。
両モデルのBIOS設定における最大の共通点であり、最も重要な機能が「Power Mode Select」です。GMKtec M6とGMKtec M7は、どちらもCPUの消費電力(TDP)を「Quiet」「Balance」「Performance」の3段階から選択できます。
注目すべきは、GMKtec M7の電力設定がより詳細に定義されている点です。GMKtec M7は、標準の「Balance」モードで54W、性能を最大化する「Performance」モードで65W〜最大70W、静音性を優先する「Quiet」モードで35Wと、TDPを明確に制御できるように設計されています。また、両モデルとも内蔵GPUに割り当てるVRAM(UMA Frame buffer Size)をBIOSから調整する設定項目が用意されています。
まとめ:ソフトウェアと設定
- OS: GMKtec M6とGMKtec M7はどちらもWindows 11 Pro(OEM版)を搭載。
- 初期設定: 余計なアプリはなく標準的だが、キーボード設定(M6)やアップデート(M7)で時間がかかる場合がある。
- BIOSアクセス: GMKtec M6、GMKtec M7ともに[ESC]キー(または[DEL]キーなど)でBIOS画面に入れる。
- 電力設定(共通): 両モデルとも「Quiet」「Balance」「Performance」の3段階の電力モードをBIOSから設定できる。
- 電力設定(M7の強み): GMKtec M7は電力モード(TDP)を35W/54W/70Wと、BIOSから具体的に設定できる。
- 共通の設定: 両モデルともBIOSからVRAM(UMA Frame buffer Size)の割り当て変更が可能。
通信性能:GMKtec M6とGMKtec M7のネットワーク機能
ここでは、GMKtec M6とGMKtec M7の有線・無線LANの通信性能について比較します。
有線LAN(イーサネット)
有線LANに関しては、GMKtec M6とGMKtec M7はどちらも非常に強力な仕様を備えています。両モデルとも、標準的な1Gbps LANの2.5倍の速度を誇る「2.5G LANポート」を2基搭載しています。これにより、高速なインターネット回線の速度を最大限に活かせるだけでなく、NAS(ネットワーク接続ストレージ)へのデータ転送や、2つのネットワークの使い分け(チーミング)など、高度なネットワーク環境を構築することが可能です。
搭載されているチップセットには違いがあり、GMKtec M6はRealtek RTL8125BGチップを採用しているのに対し、GMKtec M7はIntel I226-Vチップを採用しています。GMKtec M7はLANもWi-FiもIntel製で統一されています。
無線LAN(Wi-Fi)とBluetooth
無線通信機能において、GMKtec M6とGMKtec M7は異なるWi-Fiチップを搭載しています。
GMKtec M6は、MediaTek RZ616チップを搭載し、最新規格の「Wi-Fi 6E」に対応しています。これにより、従来の2.4GHz/5GHz帯に加えて、混雑の少ない新しい6GHz帯を利用することが可能です。ただし、Wi-Fi 6Eの6GHz帯で異常に速度が低下し、Wi-Fi 6(5GHz帯)の方が高速であったというパフォーマンス上の問題が報告されている場合もあります。
一方、GMKtec M7は、高い安定性で広く採用されている「Intel Wi-Fi 6 AX200」チップを搭載しています。こちらは「Wi-Fi 6」規格に対応しており、6GHz帯は利用できませんが、信頼性の高い接続が期待できます。
Bluetoothについては、両モデルとも共通して「Bluetooth 5.2」をサポートしています。
まとめ:通信性能
- 有線LAN(共通): GMKtec M6とGMKtec M7は、どちらも高速な2.5G LANポートを2基搭載。
- 有線LAN(違い): GMKtec M6はRealtek RTL8125BGチップ、GMKtec M7はIntel I226-Vチップを採用。
- 無線LAN(M6): Wi-Fi 6E (MediaTek RZ616) に対応し、6GHz帯が利用可能。
- 無線LAN(M7): Wi-Fi 6 (Intel AX200) に対応し、高い安定性を持つ。
- Bluetooth(共通): 両モデルともBluetooth 5.2に対応。
検証してわかったGMKtec M6のメリット・デメリット
ここでは、GMKtec M6を上位モデルのGMKtec M7と比較しながら、実際に使用して感じたメリットとデメリットを詳しく解説します。どちらを選ぶべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
メリット
メリット1:M7を凌駕する圧倒的なコンパクトさ
GMKtec M6の最大のメリットは、そのサイズ感です。約12.8 x 12.7 x 4.8 cm、容量わずか0.85リットルという筐体は、まさに「手のひらサイズ」です。GMKtec M7も小型ですが、冷却性能を高めた新型ケースを採用しているため一回り大きく、GMKtec M6のコンパクトさは際立っています。付属のVESAマウントを使えばモニターの背面に完全に隠すことができ、デスク上を占有しないミニPC環境を手軽に構築できます。
メリット2:価格を考えれば十分すぎるCPU性能とネットワーク
搭載されているRyzen 5 6600Hは6コア12スレッドを誇り、日常的な操作やオフィスワークで性能不足を感じることはまずありません。『Excel』でデータを扱いながら『Teams』で会議をし、ブラウザのタブを大量に開いても動作はキビキビしています。GMKtec M7(8コア16スレッド)と比較すると動画エンコードのようなマルチコア性能では差が出ますが、一般的な用途ではGMKtec M6でも十分高速です。
さらに、この価格帯で高速な2.5G LANポートを2基、そしてUSB4.0ポートも1基搭載している点は非常に優秀です。
メリット3:簡単な内部アクセスと高い拡張性
GMKtec M6はメンテナンス性が非常に良好です。天板のカバーを手で引き剥がし、内部のファンカバーのネジを外すだけで、メモリとSSDスロットに簡単にアクセスできます。DDR5のメモリスロットが2基、M.2 2280 SSDスロットが2基(うち1基はPCIe 4.0対応)用意されており、購入後のメモリ増設やSSDの追加も簡単に行えます。GMKtec M7(M.2スロット2基ともPCIe 4.0対応)には一歩譲りますが、拡張性は十分確保されています。
メリット4:最新規格のWi-Fi 6Eに対応
GMKtec M6は、無線LAN規格として最新の「Wi-Fi 6E」に対応しています。これにより、対応ルーターがあれば従来の2.4GHz/5GHz帯に加え、混雑の少ない6GHz帯での通信が可能です。一方、GMKtec M7は安定性に定評のあるIntel製チップの「Wi-Fi 6」を採用しており、ここは好みが分かれるポイントかもしれません。
デメリット
デメリット1:高負荷時の大きなファンノイズ
GMKtec M6は、そのコンパクトさと引き換えに、高負荷時のファンノイズは大きめです。『Cinebench R23』のようなベンチマークソフトを動作させたり、『原神』のような3Dゲームをプレイしたりすると、ファンは41.7dB程度まで回転数を上げます。これはGMKtec M7の標準モード(41.3dB)とほぼ同じレベルで、決して静かとは言えません。静かな部屋では「シュー」という音がはっきり聞こえますし、「寝ていても目が覚める」ほど突然ファンが高速回転することがあるという報告もあり、音に敏感な方は注意が必要です。
デメリット2:GMKtec M7と比べ明確に劣るGPU性能
GMKtec M6(Radeon 660M)とGMKtec M7(Radeon 680M)の差が最も顕著に出るのがGPU性能です。3DMarkのTime SpyスコアでGMKtec M7がM6の約1.5倍の数値を叩き出す通り、その差は歴然です。『Apex Legends』をプレイしても、GMKtec M7なら1080p・低設定で平均40〜60fpsで遊べますが、GMKtec M6では平均30〜40fpsがやっとで、快適なプレイは望めません。軽いゲームならともかく、3Dゲームのプレイを少しでも考えているなら、この性能差は大きなデメリットとなります。
デメリット3:将来性で劣るポート類
GMKtec M6はUSB4.0を1基、HDMI 2.0を搭載していますが、GMKtec M7はUSB4.0を2基、HDMI 2.1(8K対応)、さらに外部GPUを接続できる「OcuLinkポート」まで備えています。将来的にeGPU(外付けグラフィックボード)を接続してゲーミング性能を強化したいと考えても、GMKtec M6ではそれができません。この拡張性の差は、長期的に見ると大きなデメリットとなり得ます。
デメリット4:高負荷時の動作安定性への懸念
GMKtec M6では、4K 60fpsのような高負荷な動画を再生した際に、DPCレイテンシ(音飛びや映像のカクつき)の問題が発生する可能性が指摘されています。日常的な動画視聴、例えばYouTubeやNetflixの再生でも、快適さを損なう場面が出てくるかもしれません。
まとめ:GMKtec M6のメリット・デメリット
GMKtec M6は、何よりも「コンパクトさ」と「安価ながら十分なCPU・ネットワーク性能」が魅力のミニPCです。オフィスワークやブラウザでの作業がメインであれば、その小さな筐体は大きなメリットとなるでしょう。
しかし、その小ささゆえに高負荷時のファンノイズは大きく、特にGPU性能はGMKtec M7に大きく水をあけられています。ゲームやクリエイティブ作業、将来的なeGPUの拡張性まで視野に入れるならGMKtec M7が優位ですが、「とにかく小さく、安く、事務作業やWeb閲覧が快適なPCが欲しい」というニーズには、GMKtec M6が応えてくれます。
GMKtec NucBox M6のスペック
- プロセッサ: AMD Ryzen 5 6600H (6nm/6コア/12スレッド/最大4.5GHz/TDP 45W)
※M7はAMD Ryzen 7 PRO 6850H(6nm/8コア/16スレッド/最大4.7GHz) - GPU: Radeon 660M 1900 MHz(6CU)
※M7はAMD Radeon 680M (12CU) - RAM(メモリ): 16GB/32GB DDR5 4800MHz
- 拡張メモリ: 最大64GB (SO-DIMM x2)
- ストレージ: 512GB/1TB M.2 NVMe (PCIe 3.0 M.2 2280)
- 拡張ストレージ: 最大4TBまで (PCIe 3.0/4.0 M.2 2280 デュアルスロット)
- 電源: ACアダプター(19V/6.32A)
- ワイヤレス通信: Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2
- 有線LAN: 2.5G ギガビット有線LAN x2、Realtek RTL8125BG
※M7はIntel I226-V (2.5G RJ45 x 2) - インターフェース: USB 4.0 Type-C (DP/PD/DATA) x1、USB3.2 Gen2 x2、USB 3.2 x1、USB 2.0 x1、HDMI 2.0 x1、Displayport (4K@60Hz) x1、2.5G 有線LAN(RJ45) x2、3.5mmヘッドホンジャック x1、電源ボタン、DCポート、ケンジントンロック
※M7はOCuLinkポート x1、USB 4.0 Type-C x2を搭載。 - 映像出力: 4K 3画面出力 (HDMI 2.0 (4K@60Hz)、Displayport (4K@60Hz)、Type-C (USB 4.0 DP))
※M7はHDMI 2.1 (8K@60Hz)搭載で4K 4画面出力に対応 - 冷却システム: デュアル冷却ファン (CPU用大型ファン + DDR/SSD用ミニファン)、ツインターボヒートパイプ
※M7はDDR/SSD用ミニファン冷却ブーストと、上下にデュアル冷却ファンを配置したハイパーアイスチャンバー 2.0設計を採用 - VESAマウント: 対応
- 筐体: プラスチック製
- OS: Windows 11 Pro (インストール済み)、Linux をサポート
- サイズ: 12.8 x 12.7 x 4.8 cm
※M7は12.3 x 11.2 x 4.32 cm - 重量: 528g
※M7は636 g (実測) - カラー: マットブラック
- 付属品: VESA ブラケット x1、ねじキット x1、電源アダプター (19V/6.32A) x1、HDMIケーブル x1、ユーザーマニュアル(説明書) x1
GMKtec M6の評価
8つの評価基準で「GMKtec M6」を5段階で評価してみました。
【項目別評価】
パフォーマンス: ★★★☆☆ (3/5)
CPUは6コア12スレッドで日常使いには高速ですが、GPU性能がGMKtec M7に比べ約50%低く、3Dゲームには向きません。
冷却性能と静音性: ★★☆☆☆ (2/5)
高負荷時は平均85℃を超え、騒音も41.7dBと大きめです。突然ファンが高速回転することもあり、静音性は低いです。
デザイン: ★★★★☆ (4/5)
GMKtec M7より一回り小さい0.85Lの筐体は非常にコンパクトです。プラスチック製ですが、軽量(528g)でVESAマウントにも対応しています。
通信: ★★★★★ (5/5)
デュアル2.5G LANポートと最新規格のWi-Fi 6Eを搭載しており、ネットワーク性能は非常に強力です。
拡張性: ★★★★☆ (4/5)
内部アクセスが容易で、M.2スロットx2、DDR5メモリスロットx2を備え拡張性は十分です。M7が持つOcuLinkには対応していません。
機能: ★★★☆☆ (3/5)
USB 4.0を1基搭載しBIOSの電力設定も可能ですが、GMKtec M7が持つOcuLinkやHDMI 2.1、USB 4.0の2基搭載には及びません。
使いやすさ: ★★★☆☆ (3/5)
コンパクトな筐体とVESA対応で設置は容易です。しかし、高負荷時のファンノイズや4K動画再生時の安定性懸念が快適さを損ねる場合があります。
コストパフォーマンス: ★★★★☆
(4/5) CPUやネットワーク性能を考慮すると、セール時の価格(4万円台)は非常に安価です。ただし、GMKtec M7との価格差以上にGPU性能の差が大きいです。
【総評】 ★★★☆☆ (3/5)
魅力的なポイント:コンパクトさと強力なネットワーク
GMKtec M6の最大の魅力は、0.85Lという非常にコンパクトな筐体に、Ryzen 5 6600Hという6コアの高性能CPU、そしてデュアル2.5G LANとWi-Fi 6Eという強力なネットワーク機能を詰め込んでいる点です。これだけの性能と機能を持ちながら、セール時には4万円台から購入できることもあり、他の大手メーカー製ミニPCと比較しても非常に安価で、圧倒的なコストパフォーマンスを誇ります。
具体的な強み:キビキビ動くCPUと充実の拡張性
CPU性能は高く、オフィスワークやWeb閲覧といった日常的なタスクは非常に快適にこなせます。また、ネットワーク機能は上位のGMKtec M7(Wi-Fi 6)を上回るWi-Fi 6Eに対応し、有線LANも2.5Gポートを2基備えており、通信環境は万全です。GMKtec M7よりも一回り小さい筐体は、デスクの場所を取らず、VESAマウントでモニター裏に設置するのにも最適です。
弱点と注意点:GPU性能とファンの騒音
購入前に注意すべきは、内蔵GPU(Radeon 660M)の性能とファンの騒音です。GPU性能は上位モデルGMKtec M7(Radeon 680M)と比較して明確に劣っており、Time Spyスコアで約51%もの差があります。『Apex Legends』などの3Dゲームは設定を大幅に妥協する必要があります。また、コンパクトな筐体でTDP 45WのCPUを冷やすため、高負荷時のファンノイズは41.7dBと大きめです。
どんな人に最適か
GMKtec M6は、本格的な3Dゲーム(高画質設定)や、高負荷な動画の書き出し(エンコード)を主目的としないユーザーに最適です。Ryzen 5 6600HのCPU性能はオフィスワークやWeb閲覧には十分すぎるほど高速で、『原神』や『VALORANT』のような比較的軽量なゲームも、設定を調整すれば十分にプレイ可能です。
GMKtec M7より一回り小さい0.85Lのコンパクトさを最優先し、事務作業や軽めのマルチメディア用途、そして高速なネットワーク環境を安価に構築したい人に向いています。
GMKtec M6の価格・購入先
※価格は2025/11/11に調査したものです。価格は変動します。
GMKtec公式サイト
GMKtec M6(AMD Ryzen 5 6600H)
※販売を終了しています。かつては、
16GB+512GBモデルが68,757円(17,189 OFF クーポン付き)、ベアボーン モデルが53,130円(15,626円 OFFクーポン付き)で販売されていました。
ECサイト
※販売を終了しています。かつては、
- Amazonで66,985円(税込・10,000円 OFFクーポン付き・16GB+1TBモデル)、
- AliExpressで16GB+512GBモデルが49,362円、ベアボーンモデルが41,400円(送料無料)、
- 米国 Amazon.comで$469.88 ($105 OFFクーポン付き)、
で販売されていました。
Amazonで「GMKtec NucBox M6」をチェックする
楽天市場で「GMKtec NucBox M6」をチェックする
ヤフーショッピングで「GMKtec NucBox」をチェックする
AliExpressで「GMKtec NucBox M6」をチェックする
米国 Amazon.comで「GMKtec NucBox M6」をチェックする
※AliExpressでの購入方法・支払い方法はこちらのページで紹介しています。
AliExpressで激安ガジェットをお得に購入する方法を徹底 解説
GMKtec M7と価格を比較
ここではライバル機種であるGMKtec M7の価格と購入先を紹介します。
GMKtec公式サイト
GMKtec M7
ベアボーン(RAMなし、SSDなし、Windows 11 Pro OSプリインストールなし)モデルで$299.99で販売されています。
GMKtec公式サイトで「GMKtec M7」をチェックする
ECサイト
GMKtec M7(Ryzen 7 PRO 6850H)
- Amazonで60,979円(16GB +512GB)、
- 楽天市場で79,626円(32GB+1TB)、
- ヤフーショッピングで71,006円(16GB+512GB)、
- AliExpressで48,592円(ベアボーン)、
- 米国 Amazon.comで$384.99(32GB +512GB)、
で販売されていました。
Amazonで「GMKtec M7」をチェックする
楽天市場で「GMKtec M7」をチェックする
ヤフーショッピングで「GMKtec M7」をチェックする
AliExpressで「GMKtec M7」をチェックする
米国 Amazon.comで「GMKtec M7」をチェックする
おすすめのライバル機種と価格を比較
「GMKtec NucBox M6」に似た性能を持つミニPCも販売されています。価格の比較もできるので、ぜひ参考にしてみてください。
GMKtec M6 Ultra
GMKtecから発売されたAMD Ryzen™ 5 7640HS 搭載のミニPCです(2025年10月末 発売)。
DDR5 4800 MT/s (SO-DIMM×2, デュアルチャネル, 最大128GB対応)メモリ、M.2 SSD (NVMe PCIe 4.0)ストレージを搭載しています。
また、USB4.0 (フル機能)ポート、最大8K 3画面出力(USB4, DisplayPort, HDMI 2.0)、冷却システム デュアルファン (超伝導銅デュアルタービン+デュアルファン)、VESAマウント、拡張ストレージ M.2 SSDスロット×2 (合計最大8TBまで拡張可能)、USB3.2 Gen2 ×3、USB2.0 ×1、3.5mmオーディオジャック、WiFi 6E (RZ616), Bluetooth 5.2、デュアル2.5G LAN (RJ45)×2にも対応しています。
価格は、Amazonで56,399円(Ryzen 7640HS)、楽天市場で79,499円(Ryzen 5 7640HS)、ヤフーショッピングで79,704円(Ryzen 5 7640HS)、AliExpressで35,082円(ベアボーン)、米国 Amazon.comで$379.99、です。
関連記事:GMKtec M6 UltraとM7 Ultraを比較レビュー!性能の違いは?
Amazonで「GMKtec M6 Ultra」をチェックする
GMKtec M7 Pro
GMKtecから発売されたAMD Ryzen 9 PRO 6950H プロセッサ搭載のミニPCです(2024年8月発売)。Windows 11 Pro、32GB/64GB DDR5 4800メモリ、1TB/2TB M.2 NVMe (PCIe 3.0 M.2 2280) ストレージ、PCIe 4.0 M.2 2280の拡張スロット搭載で、
Oculinkポート(外付けGPUボックスとの接続)、4K 4画面出力(HDMI 2.1、Displayport 2.0、USB4 Type-C x2)、最大96GBまでのメモリ拡張、最大4TBまでのストレージ拡張、冷却システム HYPER ICE CHAMBER 2.0、VESAマウント、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2、2.5G ギガビット有線LAN x2に対応しています。
価格は、楽天市場で79,610円、ヤフーショッピングで71,006円、AliExpressで48,590円(ベアボーン)、米国 Amazon.comで$409.97、です。
関連記事:「GMKtec NucBox M7 Pro」がM6以上に高評価になる理由
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GEEKOM A6
GEEKOMから発売されたAMD Ryzen 6800H 搭載のミニPCです(2025年1月17日 発売)。
32GB DDR5 4800MHzメモリ、1TB M.2 SSDストレージを搭載しています。
また、USB 4 Gen 2 Type-Cポート、4K 4画面出力(USB4,USB 3.2 Gen 2 Type-C,HDMIx2)、冷却システム Ice Blade 2.0、VESAマウント、ストレージ拡張(NVMe x4 Gen 4 or SATA)、2.5インチ SATA HDD 拡張スロット、1 x USB 3.2 Gen 2 Type-C、1 x USB 3.2 Gen 2 Type-A、1 x USB 2.0 Type-A、Wi-Fi 6E, Bluetooth 5.2、2.5G ギガビット有線LANにも対応しています。
価格は、Amazonで68,000円、楽天市場で47,900円(Ryzen 5 7430U・送料無料)、ヤフーショッピングで55,903円(Ryzen7 5825U)、です。
関連記事:GEEKOM A6レビュー!驚きの6万円台!Ryzen 7 6800HミニPC
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Beelink EQ6
Beelinkから発売されたAMD Ryzen 5 6600H / Ryzen 7 7735HS / Ryzen 9 6900HXプロセッサ搭載のミニPCです(2024年8月発売)。
16GB/24GB DDR5 メモリを搭載。500GB/1TB M.2 2280 PCle4x4 ストレージ、ストレージ用の拡張スロット(最大4TB)、電源供給ユニット、HDMI 2.0 (最大4K) x2、Windows 11 Pro、を搭載しています。
また、4K 3画面出力、冷却システム MSC2.0、ACケーブルからの電源供給、最大8TBまでのストレージ拡張、最大64GBまでのメモリ拡張、自動電源ON、USB-C (10Gbps) x1、USB3 (10Gbps) x3、USB2.0 (480Mbps) x1、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、デュアル ギガビット有線LANに対応しています。
価格は、Amazonで71,900円(Ryzen 9 6900HX)、楽天市場で57,250円(送料無料・Ryzen 5 6600U)、米国 Amazon.comで$459.00、です。
関連記事:Ryzenで電源内蔵「Beelink EQ6」のメリット・デメリット
Amazonで「Beelink EQ6」をチェックする
BMAX B5 A Pro
BMAXから発売されたミニPCです(2024年10月発売)。
AMD Ryzen7 5825U、16GB DDR4 メモリ、512GB M.2 NVMe SSDストレージ、拡張スロット(ストレージ用)、Displayport 1.4 x1、HDMI 2.1 x1、Windows 11を搭載しています。
また、4K 3画面出力、最大64GBまでのメモリ拡張、ストレージ拡張(M.2 NVMe、2.5inch HDD)、冷却システム、VESAマウント、Type-C (フル機能) x 1、USB 3.2 x2、USB 2.0 x2、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0、ギガビット有線LANに対応しています。
価格は、Amazonで44,648円(税込・Ryzen7 5825U)、楽天市場で53,489円(Ryzen7 5825U)、ヤフーショッピングで61,727円、です。
関連記事:Ryzenで最安「BMAX B5 A Pro」の性能と評価を解説
Amazonで「BMAX B5 A Pro」をチェックする
他のGMKtec NucBox ミニPCと比較
他にもGMKtec NucBox ミニPCが販売されています。最新のインテル Core プロセッサやAMD Ryzen プロセッサを搭載したモデルも続々と入荷中です。ぜひ比較してみてください。
GMKtec NucBox ミニPCのコスパがヤバすぎた! 最新 機種を比較
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