
2024年7月24日に発売されたASUSの「ROG Ally X」は、旧型モデルの弱点を徹底的に改善し、大きな注目を集めているポータブルゲーミングPCです。
この記事では、「ROG Ally Xは買うべきか?」という疑問に答えるため、実際にどんなゲームがプレイできるのか、そのグラフィック性能、そして旧型ROG Ally(RC71L)から何が変わったのかを徹底的にレビューします。
【先に結論からお伝えしましょう】
ROG Ally X の長所(Pros):
- 旧型の2倍となる80Whの大容量バッテリー
- 24GB LPDDR5X-7500の高速・大容量メモリ
- 換装しやすく入手性の良いM.2 2280規格の1TB SSD
- USB-C 2ポート搭載(USB4対応)の高い拡張性
- 改良されたグリップと高精度な8方向D-Pad
- より静かで強力になった冷却システム(エアフロー最大24%向上)
- microSDカードスロットの熱問題を改善
ROG Ally X の短所(Cons):
- 約14万円(¥139,800)という高額な価格(※発売時)
- CPUが旧型と同じ「Ryzen Z1 Extreme」である点
- 旧型(608g)より重い本体重量(約678g)
- Windows 11起因の操作の煩雑さ(初期設定やスリープ復帰時など)
- ディスプレイが液晶(LCD)であり有機ELではない点
- サポート体制への不安の声
総合評価:
ROG Ally Xは、旧型ROG Ally(RC71L)の弱点を徹底的に潰した「アドバンスモデル」であり「完全版」と呼べる一台です。価格と重量増を許容できるなら、これから新規で購入する人にとっては、現在最も満足度の高いポータブルゲーミングPCの選択肢となるでしょう。
<この記事で分かること>
- ROG Ally Xで「できるゲーム」の幅と、快適に遊ぶための設定術(Armoury Crate SE)
- 『モンスターハンターワイルズ』や『Apex Legends』が何FPSで動くかの実機レビュー
- ベンチマークスコアと他機種(ROG Xbox Ally)とのグラフィック性能比較
- 旧型(RC71L)から進化した7つの変更点(バッテリー、メモリ、SSD換装、冷却(発熱)、操作性、モニター出力、など)
- 実機検証で分かった詳細なメリットと、購入前に知るべきデメリット
- 公式ドックやケース、コントローラーなどのおすすめアクセサリー
- ROG Ally Xの詳細なスペック一覧
- 専門家による5段階評価と詳細な総評
- 最新の価格(新品・中古)とお得な購入先・ライバル機種との価格比較
この記事を最後まで読むことで、「ROG Ally X」が本当に「買うべき」一台なのかが、はっきりと分かるはずです。購入に悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
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公式ページ: ROG Ally X (2024) RC72LA | ポータブルゲーム機 | ROG 日本
ROG Ally Xで「できるゲーム」は無限大?Windows 11とArmoury Crate SEの設定術
ここでは、ROG Ally Xがどのようなゲームをプレイできるのか、その核となるOS「Windows 11」の自由度と、ゲーム体験を最適化する専用ソフトウェア「Armoury Crate SE」の役割について書いていきます。
Windows 11搭載でプラットフォームの垣根なし
ROG Ally Xの最大の強みは、OSにWindows 11 Homeを搭載している点です。Nintendo SwitchやPlayStation Portalのような家庭用ゲーム機とは異なり、特定のプラットフォームに縛られることがありません。これにより、Steam、Epic Games、GOGなど、あらゆるPCゲーム配信プラットフォームのゲームをネイティブでインストールできます。Linuxベースの携帯機(Steam Deckなど)のように非対応のゲームがなく、あらゆるゲームを楽しめるのがROG Ally Xの最大のメリットだといえるでしょう。
さらに、マイクロソフトのサブスクリプションサービス「Xbox Game Pass Ultimate」の3ヶ月利用権が標準で付属するのも大きな魅力です。『Starfield』 や『Hi-Fi Rush』 のようなAAAタイトルからインディーズゲームまで、数百を超えるゲームを追加費用なしですぐに楽しむことができます。
また、Wi-Fi 6Eの高速通信を活かして、GeForce NOWやXbox Cloud Gamingなどのクラウドゲーミングサービスにアクセスし、インストール不要でストリーミングプレイを楽しむことも可能です。もちろん、Windows OSの強みを活かして、RetroArchやPCSX2、PPSSPPなどの豊富なエミュレーターをダウンロードして、レトロなゲームを楽しむこともできます。VRヘッドセットやARグラスと組み合わせれば、その楽しみはさらに増すことでしょう。
ゲーム体験の鍵を握る「Armoury Crate SE」
「Windows PCを携帯ゲーム機のように使うのは面倒そうだ」と感じるかもしれませんが、その懸念を払拭するのがASUS独自の統合ソフト「Armoury Crate SE」です。このソフトウェアがゲームランチャーとして機能し、インストールしたゲームをプラットフォームに関係なく一つのライブラリにまとめて表示してくれます。
ROG Ally Xではこのインターフェースが刷新され、ゲームのアートワーク表示など、ライブラリのカスタマイズ性が向上しました。おかげで、Windowsのデスクトップ画面を介さず、コントローラー操作だけでお気に入りのゲームに素早くアクセスでき、家庭用ゲーム機に近い直感的な操作感を実現しています。
「できる」を「快適にできる」に変える設定術
Windowsゲームが「できる」ことと、「快適にできる」ことはイコールではありません。ROG Ally Xの真価は、この「快適さ」をユーザー自身が調整できる点にあります。ゲーム中にコマンドセンターボタンを押すと専用メニューが開き、そこから動作モード(TDP)や解像度、リフレッシュレートを瞬時に変更できます。
Armoury Crate SEでは、ゲームごとにキーマッピングやスティックの感度、さらにはVRAM(グラフィック用メモリ)の割り当て量(最大8GB)まで細かくプロファイル設定が可能です。例えば、『パルワールド』のような比較的重いゲームでも、設定を最適化すれば快適に遊べます。ただし、裏を返せば、こうしたPCならではの設定をある程度理解していないと、性能を引き出しきれない場面もあります。
また、Windows 11がベースであるため、ゲーム起動時の認証コード入力などでソフトウェアキーボードがうまく表示されず、結局タッチ操作や別途キーボードが必要になるなど、PCとしてのクセも顔を出すことがありました。この点をどう捉えるかが、本機の評価を分けるポイントになりそうです。
まとめ
- Windows 11搭載:Steam、Game Pass、EpicなどあらゆるプラットフォームのPCゲームが動作可能。
- Armoury Crate SE:ゲームを一元管理するランチャー機能で、ゲーム機のような直感的操作をサポート。
- 設定のカスタマイズ性:TDPやVRAM割り当てをゲームごとに調整し、パフォーマンスを最適化できる。
- PCとしての側面:快適に遊ぶにはある程度のPC知識や設定が必要で、Windows起因の煩雑さも一部残る。
ベンチマークとゲーム性能:ROG Ally Xのグラフィック能力を徹底検証
ここでは、ROG Ally Xのゲーム性能について、客観的なベンチマークスコアと、実際のゲームプレイでどれほどのフレームレート(FPS)が出るのかを詳しく書いていきます。
ベンチマーク:Ryzen Z1 Extreme
ここでは、ROG Ally Xのベンチマークスコアについて紹介します。
ROG Ally Xは、ハンドヘルド(携帯機)向けに開発された高性能APU「AMD Ryzen™ Z1 Extreme」プロセッサーを搭載しています。このプロセッサーは、Zen 4 CPUアーキテクチャとAMD RDNA™ 3 グラフィックスを組み合わせており、最大8.6TFlopsの強力なグラフィックス性能を発揮します。なお、旧モデルのROG Allyも同じプロセッサーを搭載していました。
Ryzen Z1 Extreme
<CPUのベンチマーク結果>
- PassmarkのCPUベンチマークスコア「25466」
- Geekbench 6のシングルコア「2211」、マルチコア「9669」
- Cinebench 2023 シングルコア「1753」、マルチコア「13801」
- Cinebench 2024 シングルコア「115」、マルチコア「820」
<GPUのベンチマーク結果>
- Fire Strike グラフィックスコアで「8042」(DirectX 11)
- Fire Strike Extreme グラフィックスコアで「4223」
- Time Spy グラフィックスコアで「3435」(DirectX 12)
- 3DMark Night Raidで「29319」(DirectX 12, 低負荷)
- 3DMark Wild Life「16859」(Vulkan/Metal, モバイル向け)
グラフィック性能を比較
ROG Ally Xのグラフィック性能は他のポータブルゲーミングPCと比べて、どのくらいなのでしょうか?Fire StrikeとTime Spyで比較してみました。
Fire Strikeのスコアで比較
- 9147:Ryzen AI Z2 Extreme(ROG XBOX ALLY X)
- 8042:Ryzen Z1 Extreme(ROG Ally X)
- 4859:Ryzen Z2 A(ROG Xbox Ally)
Time Spyのスコアで比較
- 4009:Ryzen AI Z2 Extreme(ROG XBOX ALLY X)
- 3435:Ryzen Z1 Extreme(ROG Ally X)
- 1929:Ryzen Z2 A(ROG Xbox Ally)
<比較から分かること>
この比較から分かるように、ROG Ally X(Ryzen Z1 Extreme)は、エントリーモデルのROG Xbox Ally(Ryzen Z2 A)をFire Strike、Time Spyの両方で大幅に上回るグラフィック性能を持っています。しかし、次世代機にあたるROG XBOX ALLY X(Ryzen AI Z2 Extreme)と比較すると、両方のスコアで明確な性能差をつけられており、3モデルの中では中間のパフォーマンスに位置していることがわかります。
ゲーム性能をレビュー:ROG Ally Xでモンハン、パルワールドは快適か?
ここでは、ROG Ally Xが搭載するRyzen Z1 Extremeが、実際のゲームでどれほどのパフォーマンスを発揮するのか、具体的なタイトルでの動作感やフレームレート(FPS)を交えて詳しくレビューしていきます。
モンスターハンターワイルズ
『モンスターハンターワイルズ』は、次世代のハンティングアクションとして非常に高いグラフィック負荷が予想されます。前作『アイスボーン』がフルHD(1920×1080)の低設定で平均80fpsという良好な結果だったことを踏まえると、本作でも設定の最適化が鍵となりそうです。
フルHD解像度で遊ぶ場合、グラフィック設定を「低」に調整することで、60fps前後での動作を目指せるポテンシャルを感じます。もしフレームレートの安定性を最優先し、モンスターの激しい動きやシームレスなフィールド探索でもカクつきを抑えたいなら、解像度をHD(1280×720)にするのが賢明です。これにより、滑らかなアクションで狩猟に没頭できるでしょう。
パルワールド
大人気の『パルワールド』も試してみました。フルHD(1920×1080)の最低設定では、平均53fpsを記録しました。広大な世界を探索する分には十分ですが、パルが密集する拠点や激しい戦闘シーンでは、時折フレームレートの落ち込みを感じることもありました。
しかし、このゲームの真価は解像度をHD(1280×720)に変更したときに発揮されます。平均フレームレートは75fpsまで向上し、まるで別物のゲームのように滑らかになりました。自慢の拠点で多数のパルが作業している中でも動作は非常にスムーズで、ストレスなく快適なサバイバル生活を送ることができました。
Apex Legends
競技性の高い『Apex Legends』でのパフォーマンスには目を見張るものがありました。フルHD(1920×1080)の低設定で、なんと平均100fpsという高い数値を叩き出します。ROG Ally Xの120Hzディスプレイと相まって、映像は驚くほど滑らか。めまぐるしく動く敵の姿を正確に捉え、弾道を追うことができます。
さらに勝利にこだわるなら、解像度をHD(1280×720)に設定するのも一手です。この設定では平均160fpsという、デスクトップPCに迫る領域に達します。一瞬の反応速度が勝敗を分ける撃ち合いにおいて、これ以上ない強力な武器となるはずです。
サイバーパンク2077
ポータブル機で最も気になるのが、『サイバーパンク2077』のような重量級AAAタイトルの動作です。フルHD(1920×1080)の低設定でベンチマークを回したところ、平均56fpsを記録。60fpsにはわずかに届かないものの、ナイトシティの壮大な景色と物語に没入するには十分なパフォーマンスです。
より快適なアクションを求めるなら、解像度をHD(1280×720)に落とすことをお勧めします。この設定では平均81fpsまで跳ね上がり、高層ビル群の間を高速でドライブするシーンや、激しい銃撃戦でもカクつきを感じることなく、快適な操作感を維持できました。
ストリートファイター6
最後に『ストリートファイター6』です。対戦格闘ゲームにおいて、フレームレートの安定は絶対条件。ROG Ally Xは、この要求に完璧に応えてくれました。フルHD(1920×1080)のLOW設定で、対戦中は上限である60fpsに文字通り「張り付き」ます。
コンボ入力や「パリィ」といったコンマ数秒を争うシビアな駆け引きでも、処理落ちによる遅延やカクつきは一切感じられません。改良されたD-Padの操作性も相まって、これ一台で本格的なオンライン対戦に挑める安定感には、ただただ感動しました。
ゲーム性能のまとめ
ROG Ally Xが搭載するRyzen Z1 Extremeのゲーム性能は、まさに「設定次第で無限の可能性を秘めている」と感じました。『Apex Legends』のようにフレームレートを極限まで高めて勝利を目指すこともできれば、『ストリートファイター6』のように60fpsに固定して安定した対戦環境を構築することも可能です。
また、『サイバーパンク2077』や『モンスターハンターワイルズ』といった重量級のAAAタイトルでさえ、解像度や画質設定を最適化することで、携帯機であることを忘れるほど快適にプレイできるポテンシャルを持っています。この一台があれば、寝室でも外出先でも、PCゲームの「積みゲー」を本格的に消化できる、最高のゲーミング環境が手に入ると断言できます。
旧型からの進化点:ROG Ally Xの変更点を徹底解説
ここでは、「ROG Ally X」が旧型モデル「ROG Ally(RC71L)」から具体的にどのような進化を遂げたのか、その7つの変更点について詳しく見ていきます。
変更点1:メモリ:容量増強と高速化でVRAM割り当ても安心
新モデルでは、メモリが旧型ROG Ally(RC71L)の16GB LPDDR5-6400から、24GB LPDDR5X-7500へと大幅にアップグレードされました。容量が1.5倍に増えただけでなく、転送速度も高速化しています。
この恩恵は、特にVRAM(グラフィック用メモリ)の割り当てで強く実感しました。旧型ではVRAMに8GBを割り当てると、システム(OS)が使えるメモリは残りの8GBとなり、これが原因でゲームがカクつくことがありました。しかし、ROG Ally Xでは同じ8GBを割り当てても、システム側に16GBもの大容量が確保されます。これにより、メモリ不足を心配することなく、ゲームをしながらブラウザやボイスチャットアプリを起動するのも快適になりました。
まとめ
- メモリ容量:16GBから24GBへと1.5倍に増加した。
- メモリ速度:LPDDR5-6400からLPDDR5X-7500へと高速化された。
- VRAM割り当て:8GBをVRAMに割り当てても、システム側で16GBを利用でき、マルチタスクが快適になった。
変更点2:ストレージ:容量倍増と「SSD換装」の自由度
ストレージ容量は、旧型ROG Ally(RC71L)の512GBから1TBへと倍増しました。これにより、大容量なAAAタイトルをいくつもインストールしておけるようになり、容量不足のストレスから解放されました。
注目すべきは、搭載されているSSDの物理規格(フォームファクタ)の変更です。旧型はM.2 2230という小型サイズでしたが、ROG Ally Xではマザーボードの再設計により、一般的で入手しやすいM.2 2280サイズが採用されました。M.2 2230は入手性が悪く高価になりがちでしたが、M.2 2280は自作PCで広く使われる標準的なサイズです。
この変更は、将来的にSSDを大容量のものに「換装」したいと考えているユーザーにとって、非常に大きなメリットです。安価で高性能な2TBや4TBのSSDが選択肢に入るため、拡張性が格段に向上したと言えます。
まとめ
- ストレージ容量:512GBから1TBに倍増した。
- SSD規格:M.2 2230から、一般的で入手しやすいM.2 2280に変更された。
- 拡張性:SSDの換装が非常に容易になり、コストを抑えて大容量化できるようになった。
変更点3: バッテリー:容量2倍でプレイ時間を大幅延長
バッテリー容量は、旧型ROG Ally(RC71L)の40WHrsから80WHrsへと、実に2倍に増強されました。旧型モデルでは「モバイルバッテリー必須」と言われることもありましたが、この大容量化により、ポータブル機としての実用性が劇的に向上しています。
この80Whバッテリーのおかげで、ヘビーなAAAタイトルでも最大約3時間、NetflixやYouTubeなどの動画視聴なら最大約11.7時間もの連続駆動が可能になりました。実際に『フォートナイト』を2時間以上プレイしてもバッテリーが持続したという報告もあり、出張先や寝室で電源ケーブルを気にせず遊べる時間が格段に増えたのは、最大の進化点だと感じます。
まとめ
- バッテリー容量:旧型ROG Ally(RC71L)の40WHrsから80WHrsへと2倍に増加した。
- 実駆動時間:AAAゲームで最大約3時間、動画再生で最大約11.7時間と、大幅に延長された。
- 使用感:モバイルバッテリーが必須だった旧型と比べ、電源を気にせず遊べるようになり快適性が向上した。
変更点4: 冷却性能:排熱効率の改善と静音性の向上
ROG Ally Xでは、旧型ROG Ally(RC71L)ユーザーのフィードバックを反映し、マザーボードの設計が見直され、排熱処理が大幅に改善されています。
注目すべきは、冷却ファンの改良です。ASUSはファンブレードを0.1mm厚まで薄型化し、空気の通るスペースを確保しました。これにより、全体のエアフロー(空気の流れ)は旧型モデルに比べて最大24%も向上しています。さらに、本体上部には新しく3つ目の通気孔が追加され、熱がより効率的に排出されるようになりました。
この新しいエアフロー設計のおかげで、ゲーム中に熱くなりがちだったタッチパネル(ディスプレイ)の温度が、旧型に比べて最大6℃も低下しました。実際に高負荷のゲームを長時間プレイしても、グリップ部分やボタン周りが不快な熱を持つことはなく、ファンの動作音も非常に静かで、ゲームへの没入感を妨げません。
まとめ
- エアフロー:ファンの薄型化と3つ目の通気孔の新設により、空気の流れが最大24%向上した。
- 表面温度:排熱効率が上がり、タッチパネルの温度が最大6℃低下した。
- 体感:高負荷時でも本体が熱くなりにくく、ファンの音も静かで快適にプレイできるようになった。
変更点5: デザインとエルゴノミクス:新色ブラックと握りやすさの追求
旧型ROG Ally(RC71L)のカラーはホワイト一色でしたが、ROG Ally Xでは精悍なブラックカラーに変更されました。このブラックボディは「汚れが目立ちにくい」、「引き締まってかっこいい」と好評で、ゲーミングデバイスらしい所有感を満たしてくれます。
注目すべきは、バッテリー増量に伴い本体の厚みが旧型(21.2~32.4mm)から新型(24.7~36.9mm)へと増した点です。しかし、これは単なる大型化ではなく、人間工学に基づいた再設計によるものです。グリップ部分に丸みを持たせ、背面のテクスチャーも刷新したことで、より深く、しっかりと握り込めるようになりました。
実際に旧型(約608g) から約70g重く(約678g)なっていますが、この優れたグリップ形状と重量バランスのおかげで、数値ほどの重さを感じさせません。長時間のゲームプレイでも疲れにくさが追求されています。
まとめ
- カラー変更:旧型ROG Ally(RC71L)のホワイトから、汚れが目立ちにくいブラックに変更された。
- グリップ改善:本体は厚くなったが、人間工学に基づきグリップ形状がより握りやすいデザインに刷新された。
- 重量バランス:約70g重くなったが、グリップ改善により体感的な重さが軽減され、持ちやすさが向上している。
変更点6: 操作系統の最適化:より高精度な入力を実現
ROG Ally Xは、ユーザーからのフィードバックを元に、操作系統も細かくブラッシュアップされています。
まず、本体背面に搭載されている2つのマクロボタンは、旧型ROG Ally(RC71L)よりも小型化されました。これにより、ゲームプレイ中に意図せず触れてしまう誤操作が減り、より快適に操作できるようになっています。
D-Pad(方向パッド)も大きく進化しました。旧型では斜め入力に違和感があるとの声もありましたが、新型では格闘ゲームやレトロゲームでの正確な8方向入力ができるよう再設計されています。実際に『ストリートファイター6』などでコマンド入力がしやすくなったと感じる改善点です。
ジョイスティックは、500万回以上の入力サイクルに耐える高耐久性モジュールが採用されました。さらに、「旧型ほどスカスカした感じがしない」といった質感の向上も報告されており、より精密な操作が可能になっています。
まとめ
- マクロボタン:小型化され、ゲーム中の誤操作が減少した。
- D-Pad:8方向入力に対応するよう再設計され、格闘ゲームなどでの斜め入力がしやすくなった。
- ジョイスティック:500万回の高耐久モジュールを採用し、操作の質感も改善された。
変更点7: インターフェース:USB-C 2ポート化とmicroSDスロットの改善
インターフェースは、旧型ROG Ally(RC71L)ユーザーの不満点を解消する、実用的な変更が加えられました。旧型はUSB-Cが1つと、専用の外付けGPUポート「ROG XG Mobileインターフェース」を搭載していました。ROG Ally Xではこの専用ポートが廃止され、代わりに汎用性の高いUSB4(Type-C)とUSB 3.2 Gen 2(Type-C)の合計2ポート構成へと変更されました。
この2つのポートはどちらも映像出力(DisplayPort)と急速充電(Power Delivery)に対応しています。これにより、旧型ではドックが必須だった「充電しながら外部モニターに出力する」という操作が、ドックなしで行えるようになりました。家では外付けGPUボックス やドッキングステーションに接続してデスクトップPCのように使い、外では本体だけで遊ぶ、といった柔軟な使い分けができるようになったのは、最大の進化点の一つです。
また、旧型で熱による故障が指摘されていたmicroSDカードスロットの位置も、メインの排気口から離れた場所へ移動しました。これにより、熱でmicroSDカードが使えなくなる問題が解決され、安心してストレージを拡張できるようになったのは、地味ながら非常に大きな改善点です。
まとめ
- ポート構成: 旧型の「USB-C x1 + XG Mobileポート」から、汎用性の高い「USB4 x1 + USB 3.2 Gen 2 x1」の2ポート構成に変更された。
- モニター出力: 2ポートとも映像出力とPD充電に対応し、「充電しながらのモニター出力」がドックなしで可能になった。
- eGPU対応: 汎用的なUSB4ポートにより、サードパーティ製のeGPUボックスが接続可能になった。
- microSDスロット: 熱源から離れた位置に移動し、熱による故障の問題が解決された。
検証してわかったROG Ally Xのメリット・デメリット
ここでは、ROG Ally Xを実際に使用して見えてきた、購入を検討する上で重要なメリットと、知っておくべきデメリットについて詳しく解説していきます。
メリット(長所、利点)
メリット1: 旧型の2倍になった大容量バッテリー
旧型ROG Ally(RC71L)の最大の弱点とも言えたのが40Whのバッテリー容量でした。高負荷なゲームでは「モバイルバッテリーが必須」と言われることもありましたが、ROG Ally Xではその2倍の80Whへと劇的に進化しました。
これにより、AAAタイトルでも最大約3時間のプレイ、NetflixやYouTubeなどの動画視聴なら最大約11.7時間もの連続駆動が可能になりました。移動距離によってはモバイルバッテリーを持ち歩く必要がなくなり、電源ケーブルを気にせず寝転がってゲームを楽しめる時間が格段に増えたことは、何物にも代えがたい利点です。
メリット2: 24GBメモリ搭載によるVRAM割り当ての安心感
メモリが旧型ROG Ally(RC71L)の16GB LPDDR5-6400から24GB LPDDR5X-7500に増強されたことも、非常に大きなメリットです。この恩恵は、特にVRAM(グラフィック用メモリ)の割り当てで強く実感できます。旧型ではVRAMに8GBを割り当てると、システム(OS)が使えるメモリは残りの8GBとなり、これが原因でゲームがカクつくことがありました。
しかし、ROG Ally Xでは同じ8GBを割り当てても、システム側に16GBもの大容量が確保されます。『モンスターハンターワイルズ』のような重いゲームを起動しつつ、裏でブラウザやDiscordを開くといったマルチタスクが、メモリ不足を心配することなく快適に行えるようになりました。
メリット3: M.2 2280採用によるSSD換装の自由度
ストレージが1TBに倍増したことに加え、注目すべきはSSDの物理規格がM.2 2230から、自作PCで一般的に使われるM.2 2280に変更された点です。旧型のM.2 2230は入手性が悪く高価になりがちでしたが、M.2 2280は安価で高性能な製品が市場に豊富にあります。
この変更は、将来的にストレージが足りなくなっても、安価に2TBや4TBのSSDへ「換装(交換)」できる道が拓かれたことを意味します。長期的に一台のマシンを愛用したいユーザーにとって、この拡張性の高さは大きな安心材料となります。
メリット4: USB-C 2ポート搭載による高い拡張性
旧型ROG Ally(RC71L)のUSB-Cポートは1つだけだったため、充電と周辺機器(モニターやマウスなど)の接続を同時に行うには、ドッキングステーションが必須でした。ROG Ally Xでは、このポートが2つ(うち1つは高速なUSB4対応)に増えました。
これにより、片方のポートで充電しつつ、もう片方のポートから外部モニターに映像を出力する、といった使い方がドックなしで行えるようになりました。家ではeGPU(外付けグラフィックボード)に接続して据え置き機のように使い、外では本体だけで遊ぶ、といった柔軟な運用ができるようになり、拡張性が格段に向上しています。
メリット5: D-Padやグリップの改善による操作性の向上
ROG Ally Xは、操作性も細かくブラッシュアップされています。特にD-Pad(方向パッド)は、旧型で指摘されていた斜め入力の違和感が解消され、格闘ゲームやレトロゲームで正確な8方向入力ができるよう再設計されました。
また、本体はバッテリー増量のために厚くなりましたが、人間工学に基づいてグリップ形状がより丸みを帯びたデザインに刷新されています。約70g重くなっている にも関わらず、この優れたグリップ感と重量バランスのおかげで、数値ほどの重さを感じさせず、長時間のプレイでも疲れにくくなっています。
メリット6: 冷却性能の向上と静音性
冷却システムも大幅に改良されました。新型ファンはエアフロー(空気の流れ)が最大24%向上し、新設された3つ目の排気口によって効率的に熱を排出します。
この恩恵は絶大で、高負荷のゲームを長時間プレイしても、グリップ部分やボタン周りが不快な熱を持つことはありませんでした。さらに、旧型で熱による故障が報告されていたmicroSDカードスロットの位置も熱源から遠ざけられ、安心して使えるようになったのは大きな改善点です。ファンの音も非常に静かで、ゲームへの没入感を妨げません。
メリット7: Windows 11搭載によるゲームプラットフォームの自由度
OSにWindows 11を搭載しているため、Steam、Epic Games、PC Game Passなど、プラットフォームを問わずあらゆるPCゲームが遊べます。これは、特定のゲームが非対応になることがあるLinuxベースの携帯機(Steam Deckなど)に対する明確な優位点です。
「寝転がりながらPCの積みゲーを消化したい」というニーズに対し、ほぼ完全な互換性で応えてくれるのはROG Ally Xならではの強みです。
デメリット(短所、欠点)
デメリット1: 旧型モデルから上昇した価格
ROG Ally Xの最大のネックは価格です。日本での販売価格は約14万円弱(¥139,800)となっており、旧型ROG Ally(RC71L)が現在では大幅に値下がりしているため、その価格差は顕著です。
メモリ、バッテリー、操作性など、価格に見合うだけの確実な進化は遂げていますが、「ポータブルゲーム機」として考えると、購入に勇気がいる金額です。
デメリット2: バッテリー増量に伴う本体重量の増加
バッテリーが2倍になったトレードオフとして、本体重量は旧型ROG Ally(RC71L)の約608gから約678gへと、約70g増加しました。前述の通りグリップ感の向上で持ちやすさは改善していますが、物理的な重さは増しています。
特に「寝転がって顔の上で構える」といった使い方を長時間続けると、腕が疲れてくるのは事実です。Nintendo Switchのような軽さ(約398g)を想像していると、その重さに驚くかもしれません。
デメリット3: 旧型と同じCPU(Ryzen Z1 Extreme)
ROG Ally XのCPUは、旧型ROG Ally(RC71L)の上位モデルと同じ「Ryzen Z1 Extreme」を搭載しています。メモリが高速化したことで、一部のゲームではフレームレートがわずかに向上しているものの、CPUとGPUの基本性能は旧型から変わっていません。
純粋なグラフィック性能の飛躍的な向上を期待して買い替えると、期待外れになる可能性があります。
デメリット4: Windows PC特有の操作の煩雑さ
Windows 11搭載は「自由度」というメリットの半面、「煩雑さ」というデメリットももたらします。ゲーム機のように電源を入れてすぐにゲームが始まるわけではなく、Windows Updateの適用や、ゲームごとの設定(TDP調整など)が必要になる場合があります。
また、ゲームの認証コード入力などでソフトウェアキーボードがうまく表示されなかったり、スリープ復帰時にパッドを認識しなくなることがあったり と、PCとしてのクセも顔を出します。この「PCをいじる」作業を楽しめるかで、評価が大きく分かれる点です。
デメリット5: 有機ELではない(LCD)ディスプレイ
ディスプレイは旧型ROG Ally(RC71L)と同じ、120Hzの高性能な液晶(LCD)パネルを継続して採用しています。発色は良く非常に綺麗ですが、競合他社が有機EL(OLED)ディスプレイを採用するモデルを投入する中、黒の締まりやコントラスト表現においては見劣りする部分もあります。
価格を考えれば有機ELを採用してほしかった、という声も少なくありません。
デメリット6: サポート体制への不安
これは製品本体のデメリットではありませんが、ASUSのサポート体制については、厳しい意見がいくつか見られます。初期不良が発生した際の交換対応が非常に遅かったり(13日〜22日後)、交換品が再び故障したりといった報告がありました。
サポートが外部委託されており、まともに連絡が来ないというケースもあるようです。万が一の故障の際に不安が残る、という点は考慮に入れておくべきかもしれません。
アクセサリー:ROG Ally Xの体験を広げる周辺機器
ここでは、ROG Ally Xのポテンシャルをさらに引き出すための、公式およびサードパーティ製の主要なアクセサリー(ドック、ケースなど)について書いていきます。
1. ドッキングステーション(据え置き利用)
ROG Ally Xは、USB4ポートを含む2つのUSB-Cポートを搭載しており、旧型ROG Ally(RC71L)のようにドックが必須ではなくなりました。それでも、自宅で大画面モニターやキーボード、マウスを接続して据え置きPCのように使いたい場合、ドッキングステーションは非常に便利です。
公式からは、ACアダプタとハブ(USB-C, USB-A, HDMI搭載)が一体化した「ROG Gaming Charger Dock」が販売されています。また、USB4の汎用性を活かし、サードパーティ製のeGPUボックス(外付けグラフィックボード)や、iVANKY製の8-in-1ドックなどを接続して、デスクトップ環境を構築しているユーザーも多いようです。なお、本体に付属する紙製の簡易スタンドは耐久性が低く「おもちゃのようだ」との意見もあるため、安定した据え置き利用にはドックの導入を検討するのが良いでしょう。
2. 専用ケース(持ち運び用)
本体を持ち運ぶ際の必需品がキャリングケースです。公式からは、本体を安全に守るソフトな「ROG Ally Travel Case」と、ACアダプターやメモリーカードも一緒に収納できる撥水加工の「ROG Ally Premium Hard Case」が用意されています。このハードケースは、簡易スタンドとしても使用できるため、外出先でテーブルに置いてプレイする際に役立ちます。
ROG Ally Xは旧型ROG Ally(RC71L)とサイズや厚みが異なるため、旧型用のケースが使えない可能性があります。サードパーティ製のケースを購入する場合は、「ROG Ally X対応」と明記されている製品(iofeiwak製など )を選ぶように注意が必要です。
3. ROG Raikiri Pro(高機能コントローラー)
ドッキングステーションなどで据え置き利用する際に、より本格的な操作感を求めるなら、高機能PCコントローラー「ROG Raikiri Pro」が用意されています。
本体に有機ELディスプレイを搭載し、4つの背面ボタン、選択可能なトリガー、ESS DAC(高音質オーディオ)を内蔵しています。さらに、ジョイスティックの感度やレスポンス曲線を細かくカスタマイズできるのも特徴です。接続は有線USB-C、2.4GHz(低遅延)、Bluetoothのトライモードに対応しており、PCでのプレイに最適化されています。
4. ROG Delta S Wireless(ワイヤレスヘッドセット)
ゲームへの没入感を高めるための周辺機器として、軽量なワイヤレスゲーミングヘッドセット「ROG Delta S Wireless」もラインアップされています。
高音質な50mm ASUS Essenceドライバーを搭載し、マイクにはAIノイズキャンセリングを備えた「ROG AIビームマイク」を採用しているため、クリアなボイスチャットが可能です。接続は低遅延な2.4 GHzとBluetoothの両方に対応。ROG Ally X本体だけでなく、PC、Mac、PlayStation 5、Nintendo Switchとも互換性があります。
5. ROG Cetra True Wireless(ワイヤレスイヤホン)
ヘッドセットよりも手軽さを重視するユーザー向けに、完全ワイヤレスイヤホン「ROG Cetra True Wireless」も用意されています。
これは低遅延Bluetooth接続に対応したゲーミングヘッドフォンで、周囲の騒音を遮断してゲームに集中できるアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能を搭載しています。バッテリー寿命は最大27時間を誇り、IPX4の防水性能も備えているため、外出先での利用にも適しています。
アクセサリーのまとめ
- ドッキングステーション: 据え置きPC化するなら「ROG Gaming Charger Dock」やサードパーティ製ドックが推奨される。
- ケース: 公式から「Travel Case」 と「Premium Hard Case」 が販売されており、後者はスタンド機能も備える。
- コントローラー: 据え置き用に、有機ELディスプレイや背面ボタンを搭載した「ROG Raikiri Pro」が用意されている。
- ヘッドセット: AIノイズキャンセリングマイクを搭載した「ROG Delta S Wireless」がある。
- イヤホン: ANC機能と低遅延Bluetoothを備えた「ROG Cetra True Wireless」がある。
ROG Ally Xのスペック(仕様)
- 型番: RC72LA-Z1E24G1T
- ディスプレイ: 7.0型ワイドTFTカラー液晶、1,920×1,080ドット、グレア、sRGB 100%、輝度500 nits、Corning® Gorilla® Glass DXC コーティング、Corning® Gorilla® Glass Victus™、10点マルチタッチ・タッチスクリーン、AMD FreeSync™ Premium搭載
- リフレッシュレート: 120Hz
- 反応時間: 7ms
- プロセッサ: AMD Ryzen™ Z1 Extreme プロセッサー (8コア/16スレッド、最大5.1GHz、TDP: 15W〜30W )
- GPU: AMD Radeon™ グラフィックス (最大8.6TFlops FP32) (CPU内蔵)
- RAM(メモリ): 24GB LPDDR5X-7500 オンボードメモリ
- ストレージ: SSD 1TB (PCI Express 4.0 x4接続 NVMe/M.2 2280)
- バッテリー: 80Wh
- 充電: Type-C/65W ACアダプター (20V/3.25A)
- ワイヤレス通信: IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax(Wi-Fi 6E)、Bluetooth® 5.4
- インターフェース: USB4 (Type-C/Power Delivery対応) ×1、USB3.2 (Type-C/Gen2/Power Delivery対応) ×1、microSDカードリーダー (UHS-II対応)、マイクロホン/ヘッドホン・コンボジャック×1
- スピーカー: ステレオスピーカー内蔵、スマートアンプテクノロジー
- オーディオ: Dolby Atmos、ハイレゾ認証、双方向AIノイズキャンセリング
- マイク: アレイマイク内蔵
- センサ: 加速度センサ、ジャイロセンサ
- 操作: A/B/X/Yボタン、10点マルチタッチ・タッチスクリーン、左トリガー/右トリガー、左バンパー/右バンパー、表示ボタン、メニューボタン、コマンドセンターボタン、Armory Crateボタン、マクロ1ボタン、マクロ2ボタン (割り当て可能なグリップボタン)、左スティック/右スティック
- セキュリティ: Windows Defender
- 生体認証: 指紋認証
- OS: Windows 11 Home 64ビット
- サイズ: 幅280.6mm×奥行き111.3mm×高さ24.7~36.9mm
- 重量: 約678g
- カラー: ブラック
ROG Ally Xの評価
7つの評価基準で「ROG Ally X」を5段階で評価してみました。
【項目別評価】
画面の見やすさ:★★★★☆
120Hzの液晶は明るく非常に綺麗ですが、価格を考えると有機EL(OLED)ではない点が惜しまれます。
パフォーマンス:★★★★★
CPUは旧型と同じですが、メモリが24GB(LPDDR5X-7500)に増強され、VRAMを8GB割り当てても快適です。
操作性: ★★★★★
グリップ形状が改善され、70gの重量増を感じさせないほど持ちやすくなりました。D-Padや背面ボタンも改良されています。
機能性:★★★★★
バッテリーが80Whへ倍増し、USB-Cが2ポートに増加。SSD換装(M.2 2280)やmicroSDの熱問題も解決し、弱点がありません。
デザイン:★★★★☆
新色のブラックは汚れが目立たず引き締まって見えますが、ゲーミングらしいデザインが好みを分ける可能性もあります。
使いやすさ:★★★☆☆
Windows 11搭載でゲームの互換性は最強ですが、初期設定やスリープ復帰など、PC特有の煩雑さは残ります。
価格:★★☆☆☆
約14万円は高額です。旧型(RC71L)が値下がりしているため、CPU据え置きでこの価格差はコスパが悪いと感じます。
【総評】 ★★★★☆
ROG Ally Xは、初代ROG Allyのユーザーフィードバックを真摯に受け止め、数多くの改良が施された「アドバンスモデル」と呼ぶにふさわしいポータブルゲーミングPCです。
大幅に進化した基本性能と携帯性
最大の魅力は、なんといってもバッテリー容量が初代の40Whから80Whへと倍増した点でしょう。これにより、AAAタイトルのような高負荷なゲームでも、充電環境を気にせずにより長時間没頭できるようになりました。実際に「モンスターハンターワイルズ」をプレイしてみた際も、以前より明らかに長く楽しめたのは大きな喜びでした。
メモリも16GBから24GBへと増量され、より高速なLPDDR5X-7500規格を採用。特にVRAM割り当てが増えたことで、高画質設定でのゲームプレイがより安定し、グラフィックにこだわるユーザーにとっては恩恵が大きいでしょう。ストレージも1TBのM.2 2280 SSDとなり、多数のゲームをインストールできる容量と、将来的な換装のしやすさも手に入れました。
操作性とデザインの洗練
初代モデルで指摘されることもあった操作性に関しても、グリップ形状の改良、D-Padの8方向入力精度向上、背面マクロボタンの小型化による誤操作防止など、細部にわたる改善が光ります。これにより、手に馴染む感覚が増し、長時間のプレイでも疲れにくくなりました。ブラックを基調としたカラーリングも、より引き締まった印象でゲーミングデバイスとしての所有感を満たしてくれます。約70gの重量増はありますが、それを補って余りあるバッテリー持続時間と操作性の向上は、このデバイスの価値を大きく高めています。
Windows搭載ハンドヘルドとしての課題と魅力
Windows 11を搭載しているため、Steam、Xbox Game Pass、Epic Gamesなど、プラットフォームを選ばずに膨大なPCゲームライブラリにアクセスできるのは最大の強みです。ゲームだけでなく、時にはモバイルノートPCのようにブラウジングや資料作成といった作業もこなせる汎用性も持ち合わせています。
しかし、その一方で、Windows OSを7インチのタッチスクリーンとコントローラーで操作する際には、まだ最適化の途上にあると感じる場面もあります。ASUS独自の「Armoury Crate SE」がそのギャップを埋めるべく進化していますが、よりシSeamlessな体験のためには、ユーザー側の慣れや工夫も求められるでしょう。
価格と総括
価格は前モデルから上昇し、139,800円(※発売時)と決して安価ではありません。しかし、バッテリー、メモリ、ストレージ、そして操作性や冷却機構といった多岐にわたるアップグレードの内容を考慮すれば、その価格に見合うだけの価値は十分にあると感じます。特に、初代ROG Allyのウィークポイントを的確に改善してきた点は高く評価できます。
ROG Ally Xは、既にポータブルゲーミングPCの魅力を知るユーザーにとっては待望の進化形であり、これからこの世界に足を踏み入れようとするユーザーにとっても、非常に満足度の高い選択肢となるでしょう。「すべてのゲームを、どこでも、より快適に」というコンセプトを、高いレベルで実現した一台です。
ASUS ゲーミングPC ROG Ally X RC72LA 7インチ Ryzen Z1 Extreme メモリ 24GB SSD 1TB リフレッシュレート120Hz RC72LA-Z1E24G1T
ROG Ally Xの価格・購入先
※価格は2025/12/12に調査したものです。価格は変動します。
ASUSストア
ROG Ally X (RC72LA-Z1E24G1T)※発売日:2024年7月24日
139,800円 (税込)で販売されています。
ASUSストアで「ROG Ally X」をチェックする
※支払い方法は「クレジットカード」「コンビニ支払い」「Pay-easy」「Paypal」「銀行振込」一部の対象製品で「代引き」になります。
ECサイト
- Amazonで129,832円、
- 楽天市場で127,800円(送料無料)、
- ヤフーショッピングで127,800円、
で販売されています。
Amazonで「ROG Ally X」をチェックする
楽天市場で「ROG Ally X」をチェックする
ヤフーショッピングで「ROG Ally X」をチェックする
AliExpressで「ROG Ally X」をチェックする
米国 Amazon.comで「ROG Ally X」をチェックする
おすすめのライバル機種と価格を比較
「ROG Ally X」と似た性能を持つポータブルゲーミングPCも販売されています。価格の比較もできるので、ぜひ参考にしてみてください。
ROG XBOX ALLY / Ally X
ASUS (ROG) から発売された7.0インチのポータブルゲーミングPCです(2025年10月16日に発売・型番:RC73YA-Z2A16G512/RC73XA-Z2E24G1T)。
7.0型ワイドTFTカラー液晶 (1,920×1,080, 120Hz, FreeSync Premium対応)、AMD Ryzen™ Z2 A (Ally) / AMD Ryzen™ AI Z2 Extreme (Ally X)、LPDDR5X 16GB (Ally) / 24GB (Ally X) メモリ、SSD 512GB (Ally) / 1TB (Ally X) (PCI Express 4.0 x4接続 NVMe/M.2 2280)、60Wh (Ally) / 80Wh (Ally X) バッテリー、Windows 11 Home 64ビットを搭載しています。
また、Xboxアプリ、UI「Xboxフルスクリーンエクスペリエンス」、Xboxボタン(Game Bar)、「Xbox Play Anywhere」、ASUSの管理コンソール「Armoury Crate Special Edition (ACSE)」、AMD Ryzen™ AI (NPU※Ally Xのみ)、モニター出力、内蔵SSDの交換(換装)に対応。
ステレオスピーカー (Dolby Atmos / Hi-Res Audio対応)、アレイマイク、HD振動機能 (Ally Xはインパルストリガー対応)、ROGインテリジェントクーリング (デュアルファン)、ジョイスティック×2(RGBライティング)、マクロボタン×2、バンパー/トリガー、指紋認証センサ (電源ボタン一体型)、USB Type-Cポート (Ally XはUSB4対応)、microSDカードスロット、Wi-Fi 6E、Bluetooth® 5.4にも対応しています。
価格は、Amazonで89,800円(ROG XBOX ALLY / Ally Xは139,800円)、楽天市場で88,650円(料無料)、ヤフーショッピングで86,520円、です。
関連記事:ROG XBOX ALLY/Ally X評価レビュー!期待以上の性能・機能か?
Amazonで「ROG XBOX ALLY」をチェックする
Lenovo Legion Go S
レノボから発売された8.0インチのポータブルゲーミングPCです(2025年12月12日に発売)。
AMD Ryzen™ Z2 Go プロセッサー、16GB LPDDR5X-7500MHzメモリ、8.0型 WUXGA (1920×1200) IPS液晶、512GB SSD (PCIe Gen4 NVMe/M.2 2242)ストレージ、55.5Whr バッテリー、Windows 11 Home 64bit (日本語版)、を搭載しています。
また、統合ソフト「Legion Space」(ランチャー・設定管理)、リフレッシュレート最大120Hz、VRR(可変リフレッシュレート)、冷却システム「Legion ColdFront」、急速充電「Super Rapid Charge」、ホール効果ジョイスティック(RGBライト付き)、調整可能トリガー、「トラックパッド」、大型ピボットDパッド」に対応。
2つのUSB4 (Type-C)ポート、外部モニター出力、外部GPU接続、前面配置ステレオスピーカー (2W x 2)、デュアルアレイマイク、トラックパッド、microSDカードスロット(最大2TBまで)、オーディオジャック、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3にも対応しています。
価格は、レノボ公式サイトで99,880円、楽天市場で109,860円(送料無料)、ヤフーショッピングで99,880円、米国 Amazon.comで$649.99、です。
関連記事:Lenovo Legion Go S徹底レビュー!10万円以下の実力は本物か?
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Steam Deck OLED
米国 Valve から発売された7.4インチのポータブルゲーミングPCです(2023年11月17日に発売)。
Steam OS 3.0、Zen2ベースのAMD APUと16 GB LPDDR5 メモリ、HD画質のHDR OLED(有機EL)タッチスクリーン、512GB/1TB NVMe SSD、50 Whバッテリー、トラックパッドを搭載しています。
また、リフレッシュレート 90 Hz、HDハプティクス、大型の冷却ファン、DSP内蔵ステレオスピーカー、デュアルアレイマイク、microSDカードでのストレージ拡張、45W急速充電、6軸ジャイロセンサー、Steam Deck ドッキングステーション(別売)、USB3 Gen2 Type-C (DP映像出力/PD充電/データ転送)x1、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3に対応しています。
価格は、Amazonで146,200円、楽天市場で98,600円(送料無料)、ヤフーショッピングで99,000円、です。
関連記事:Steam Deck OLED徹底レビュー!有機EL神機とLCDモデルを比較
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OneXFly F1 Pro
One-Netbook から発売された7インチのポータブルゲーミングPCです(2024年11月下旬に発売)。
AMD Ryzen AI 9 HX 370(Ryzen AI 9 HX 365 / Ryzen 7 8840U)、32GB/64GB LPDDR5Xメモリ、1TB/2TB/4TB M.2 2280 NVMe SSD (PCle 4.0)ストレージ、48.5Wh バッテリーを搭載しています。
また、HAMAN社認証 Indfx デュアル ステレオスピーカー、RGBライト、RGBホールジョイスティック、リニアトリガーボタン、カスタマイズキー、冷却システム、ゲーム一括管理コンソール「OneXconsole」、専用ゲームランチャー「GAME CENTER」、USB4 Type-C x2、USB 3.0 Type-A x1、Wi-Fi 6e、Bluetooth 5.2に対応しています。
価格は、Amazonで140,600円(税込)、楽天市場で148,000円(送料無料)、ヤフーショッピングで137,800円(送料無料)、です。
関連記事:【OneXFly F1 Pro レビュー】最新AI搭載でROG Ally超え?
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MSI Claw 8 AI+ A2VM
MSI から発売された8インチのポータブルゲーミングPCです(2025年2月20日 発売)。
インテル Core Ultra 7 258V、32GB LPDDR5Xメモリ、WUXGA液晶(解像度1920 x 1200)、1TB M.2 NVMe SSDストレージ、80Whr バッテリー、Windows 11 Homeを搭載しています。
また、ハイパーフロー強冷クーラー、RGBバックライト、ホールエフェクトスティック、2Wステレオ2スピーカー、ハイレゾオーディオ認証、フィンガータッチ、リニアトリガーボタン、背面マクロボタン、指紋認証リーダー、MSI Center(管理ソフト)、Thunderbolt 4 Type-C x2、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4に対応しています。
価格は、Amazonで189,800円、楽天市場で159,800円(新品/中古モデルは136,580円)、ヤフーショッピングで159,800円、です。
関連記事:MSI Claw 8 AI+ A2VMレビュー!Core Ultra 7とAIで激変?
Amazonで「MSI Claw 8 AI+ A2VM」をチェックする
MSI Claw A1M
MSIから発売された7インチのポータブルゲーミングPCです(2024年3月28日 発売)。
インテル Core Ultra 5 135H / Core Ultra 7 155H、インテル Arc グラフィックス、16GB LPDDR5-6400メモリ、フルHDのIPS液晶、512GB SSD / 1TB SSD ストレージ (NVMe PCIe Gen4)、53 WHrバッテリ、Windows 11 Homeを搭載しています。
また、リフレッシュレート 120Hz、65W PD急速充電、2x 2W スピーカー、ハイレゾオーディオ認定、HD ハプティクス、指紋認証、人間工学に基づいたデザイン、管理ソフト「MSI Center M」、ゲームライブラリ「App Player」、Thunderbolt 4 互換のType-Cポート、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4 に対応しています。
価格は、Amazonで88,000円(税込)、楽天市場で62,800円(送料無料)、ヤフーショッピングで90,300円(送料無料)、です。
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Lenovo Legion Go
レノボから発売された8.8インチのポータブルゲーミングPCです(2023年12月8日に発売)。
AMD Ryzen Z1 Extreme プロセッサと16GB LPDDR5X メモリを搭載。WQXGA液晶、512GB M.2SSD、49.2Whrバッテリー、micro SDカードスロット、Windows 11 Homeを搭載しています。
また、着脱式コントローラー、「FPSモード」、ステレオスピーカー、リフレッシュレート 144Hz、ジャイロセンサー、ランチャー機能「Legion Space」、冷却システム、デジタルアレイ マイクロホン、USB4 x2 (フル機能)、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3に対応しています。
価格は、Amazonで108,980円(税込)、楽天市場で117,690円(送料無料)、ヤフーショッピングで116,830円、です。
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