
2025年2月に発売されたMSIから発売された新型ポータブルゲーミングPC「MSI Claw 8 AI+ A2VM」。最新のCore Ultra 7 258VプロセッサとAI機能を搭載し、前モデル「Claw A1M」から「激変」したと噂されていますが、その実力は本物なのでしょうか?
このレビューでは、Claw 8 AI+ A2VMをTDP 30W設定での徹底的なベンチマークや『モンスターハンターワイルズ』などでの実際のゲームプレイで検証。前モデル「Claw A1M」から何が変わり、競合機と比べて本当に「買い」なのか、その実力を詳しく解説します。
【先に結論からお伝えしましょう】
MSI Claw 8 AI+ A2VM の長所(Pros):
- Core Ultra 7 258Vと32GBメモリによる、競合機を上回る新世代のパフォーマンス
- 80Whの大容量バッテリー搭載による、実用的なゲームプレイ時間(AIモードで約3.5時間)
- 高負荷時でも驚くほど静かな、卓越した静音性と冷却性能
- 最大の弱点を克服した「Thunderbolt 4 Type-Cポート ×2基」搭載による高い拡張性
- 8インチ120Hzの大型・高互換性(ネイティブ横向き)ディスプレイ
- ドリフト現象の心配がないホールエフェクトスティックと、改良されたボタン操作感
MSI Claw 8 AI+ A2VM の短所(Cons):
- 約795gという「重さ」。前モデルから120g増加し、長時間のプレイは腕に負担がかかる
- 16万円前後という、ポータブル機として最高クラスの価格設定
- ハードウェアに追いついていない「MSI Center M」ソフトウェアの不安定さ(※アップデートで修正される可能性あり)
- 大音量だが、最大音量付近では音が割れがちなスピーカー
- 映り込みが気になる光沢(グレア)仕上げのディスプレイ
総合評価:
MSI Claw 8 AI+ A2VMは、ハードウェアの観点では「完全版」と呼べる圧倒的な性能を誇ります。8インチの大画面、80Whバッテリー、Thunderbolt 4を2基搭載し、性能と拡張性は最高クラスです。その代償である「重さ」と「価格」を許容できるなら、現時点で最強のポータブルPCを求めるパワーユーザーにとって最高の選択肢となるでしょう。
<この記事で分かること>
- 新世代CPU「Core Ultra 7 258V」とGPU「Arc 140V」のTDP 30W設定時の実力
- 『モンスターハンターワイルズ』や『Apex Legends』など、人気ゲームのフレームレート(FPS)実測値
- 「AIエンジン」と「MSI Center M」による詳しいパフォーマンス設定方法と使い勝手
- 前モデル「Claw A1M」からの具体的なスペックと性能の進化点
- 80Wh大容量バッテリーの実際のゲームプレイでの持続時間
- 高負荷時の「発熱」と「静音性」のリアルなレビュー
- 8インチ120Hzディスプレイの見やすさと、スピーカーの音質
- ホールエフェクトスティックや改良されたボタンの操作性
- Thunderbolt 4ポート2基搭載による拡張性のメリット
- 検証して分かった、本機の詳細なメリットとデメリット
- 専門家による5段階評価と、詳細な総評
- 最新の価格とお得な購入先・ライバル機種との価格比較
この記事を最後まで読むことで、「MSI Claw 8 AI+ A2VM」が本当に必要な一台なのか、買うべきかどうかがはっきりと分かるはず。購入に悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
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公式ページ:MSI ポータブルゲーミングPC Claw 8 AI+ A2VM – インテル Core Ultra プロセッサー(シリーズ 2)
デザインと携帯性:MSI Claw 8 AI+ A2VMの外観と拡張性
ここでは、MSI Claw 8 AI+ A2VMの本体デザイン、前モデルからの変更点、そして使い勝手に直結する接続ポートについて、実際に触れて感じたことをレビューしていきます。
ユニークで目を引くツートンカラー
本機のデザインは、一般的なポータブルPCとは一線を画す、非常にユニークなものだと感じました。本体の基本色はブラックですが、グリップ部分に「ブラック&サンドストーム」と呼ばれる明るい茶色に近いカラーが採用されています。この大胆なツートンカラーはかなり目立つため、カフェなどで取り出すと周囲の目を引くかもしれません。背面も大胆な流線型の凹凸加工が施されており、スポーティな印象を受けます。中央にはMSIの象徴であるドラゴンエンブレムが配置されています。
ゲーミングを彩るRGBバックライト
左右のスティック周りとABXYアクションボタンには、RGBバックライトが内蔵されています。これは「MSI Center M」ソフトウェアから、点灯パターンや色を細かくカスタマイズ可能です。例えば『Apex Legends』をプレイする際は情熱的な赤色に設定し、『Minecraft』でリラックスしたい時は落ち着いた青色にするなど、気分に合わせて光らせることでゲームへの没入感を高めてくれました。
前モデルからの大型化と「重厚感」
前モデル「Claw A1M」は7インチディスプレイで約675gでした。それに対し、このClaw 8 AI+ A2VMは8インチディスプレイの搭載と、53Whから80Whへとバッテリーを大容量化したことに伴い、本体サイズは299 x 126 x 24mm 、重量は約795gへと増加しています。
手に持つと、この約795gという重さは「重厚感」としてずっしりと伝わってきます。携帯性は前モデルに一歩譲りますが、大画面化による視認性の向上とバッテリー持続時間の大幅な延長という、ゲーム体験にとって非常に重要なメリットを得るためのトレードオフだと感じました。
最大の進化点:Thunderbolt 4ポートの増設
外観における最大の進化点であり、最も感動したのは接続ポートです。前モデル「Claw A1M」はThunderbolt 4 Type-Cポートが1基しかなく、充電ケーブルを挿すと全ての拡張性が失われるのが大きな弱点でした。
しかし、Claw 8 AI+ A2VMではThunderbolt 4 Type-Cポートが2基に増設されました。これにより、片方のポートで本体を充電しながら、もう片方のポートにドッキングステーションや外付けモニター、さらには外付けGPUボックスを接続するといった、デスクトップPCのような拡張運用が現実的になりました。これはポータブル機としての利便性を劇的に向上させる、素晴らしい改良点です。
暗闇で役立つ「小さな突起」
インターフェース類はすべて本体上部に集中しています。具体的には、2基のThunderbolt™ 4 Type-Cポート(USB PD対応)、オーディオコンボジャック、microSDカードリーダーが搭載されています。また、音量ボタンと、指紋認証リーダーが一体となった電源ボタンもこの上部に配置されています。
ここで感心したのが、非常に細やかな配慮です。2基のUSB Type-Cポートの上部中央と、microSDカードスロットの上部には、指で触って分かる小さな突起が設けられています。夜、寝室などで暗がりの中で充電ケーブルを挿そうとした際、この突起を手がかりにすることで、ポートの位置を正確に見つけることができ、非常に便利だと感じました。
<MSI Claw 8 AI+ A2VMの付属品一覧>
基本モデル(201JP)の付属品
専用ACアダプタ(※65W出力)
Super Pack(301JP)の付属品
- 専用ACアダプタ(100W)
- 専用ドッキングステーション
- 専用Type-Cケーブル
- 専用ポーチ
- 専用液晶保護ガラスフィルム
- Claw デザイン ストラップ
- 別売オプション
- 専用ポーチ
- 専用液晶保護ガラスフィルム
デザインと携帯性のまとめ
- ブラックとサンドストームのユニークなツートンカラーを採用し、スポーティで目立つデザインです。
- スティックとABXYボタンにはカスタマイズ可能なRGBバックライトを内蔵しています。
- 前モデル(約675g)から約795gに重量は増加していますが、これは8インチ化と80Wh大容量バッテリー搭載のためです。
- 最大の進化点はThunderbolt 4 Type-Cポートが1基から2基に増えたことで、充電しながらの周辺機器接続が可能になりました。
- ポート上部には暗闇でも位置が分かる小さな突起があり、使いやすさが配慮されています。
OSとソフトウェア:MSI Claw 8 AI+ A2VMの使い勝手と設定
ここでは、MSI Claw 8 AI+ A2VMのOSと、快適なゲームプレイを実現するための専用ソフトウェア「MSI Center M」および「MSI Quick Settings」の使い方や設定について書いていきます。
OSとスリープ復帰の安定性
OSにはWindows 11 Homeが搭載されています。WindowsベースのポータブルゲーミングPCでは、スリープからの復帰が不安定な(ゲームがフリーズする、OSごと落ちるなど)機種も存在しますが、このClaw 8 AI+ A2VMではその点がかなり安定している印象を受けました。スリープ復帰時には十数秒ほどの待ち時間が発生しますが、プレイしていたゲームが中断されることなく継続できるのは、非常に大きなメリットです。ただし、稀に復帰後にコントローラーが効かなくなる現象も報告されており、その場合は特定の操作で対処する必要があるようです。
総合管理ソフト「MSI Center M」
本機には、ポータブルゲーミングPC向けに最適化された総合管理ソフトウェア「MSI Center M」がプリインストールされています。このソフトが非常に優秀で、インストールされたゲームのライブラリ管理やクイック起動はもちろん、ハードウェアの細かな設定まで一元管理できます。
具体的には、操作モードを「ゲームパッドモード」と「デスクトップモード」で切り替えたり、各ボタンの割り当てを変更したりできます。背面に搭載されたマクロボタン(M1/M2)への機能割り当てもここで行います。さらに、ドリフトフリー・ホールエフェクトスティックの感度(デッドゾーン)調整やトリガーの入力範囲、バイブレーションの強弱まで、とことん自分好みにカスタマイズ可能です。左右のスティックとABXYボタンのRGBライティング設定(Mystic Light)も、このMSI Center Mから行えます。
AIが自動調整する「パフォーマンスモード」
ゲームの快適性を左右するパフォーマンス設定も「MSI Center M」で行います。注目すべきは「AIエンジン」モードの存在です。これを選んでおけば、起動しているゲームやタスクに応じてPCが自動でパフォーマンス(TDP)を調整してくれます。以前はゲームごとに手動でTDP設定を切り替える必要があったデバイスと比べると、この自動調整機能は非常に便利で快適です。
もちろん、「AIエンジン」以外にも、バッテリー持続時間を優先する「耐久性」モードや、TDPとファン速度を自分で細かく設定できる「手動」モードも用意されています。例えば、『サイバーパンク2077』のような重量級タイトルを遊ぶ際は「手動」でTDPを30Wに設定して最高のパフォーマンスを引き出し、『ペルソナ3 リロード』のような比較的軽いゲームを長時間遊びたい時は「AIエンジン」や「耐久性」モードに任せるといった使い分けが可能です。
ゲーム中に必須の「MSI Quick Settings」
ゲームプレイ中に最も多用するのが、本体右下にある専用ボタンで呼び出せる「MSI Quick Settings」です。この機能はゲーマーが「今すぐやりたいこと」だけを厳選して集約したような、非常にスマートな設計だと感じました。前モデルのClaw A1MからUIが改良され、ゲーム画面を隠さない透過型になったため、設定を変更しながらでもプレイ状況が確認しやすくなっています。
ここでは、輝度や音量の調整、パフォーマンスモードの簡易切り替えはもちろん、ソフトウェアキーボードの呼び出しや、ゲームの強制終了(PCでいうAlt+F4)までワンタッチで行えます。特に秀逸なのが「リアルタイムモニター」機能です。ボタンを押すたびに、「FPSとバッテリー残量のみ」→「CPU/GPU使用率を追加」→「ファン回転数なども追加」と、表示される情報量を段階的に切り替えられるため、画面を過度に専有せずに必要な情報だけを確認できます。
Windows操作も快適な「デスクトップモード」
本機はWindows PCでもあるため、デスクトップ画面での操作性も考慮されています。スタートボタン(Menuボタン)を2秒間長押しするだけで、簡単に「デスクトップモード」へ移行できます。このモードでは、左スティックがマウスカーソルの移動、右スティックが上下スクロール、Aボタンが左クリック、Bボタンが右クリックとして機能します。これにより、タッチ操作がしにくい場面や、少し離れた場所からでもコントローラーだけでWindowsの基本操作が完結します。
ソフトウェアの安定性
これら専用ソフトウェアは非常に高機能で洗練されていますが、一方で、まだ不安定な挙動を見せるとの指摘もあります。使用中に突然コントローラーが反応しなくなりPCコントロールモードに切り替わってしまったり、MSI Center M自体がランダムに不具合を起こしてOSの再起動が必要になったりするケースが一部で報告されています。ソフトウェアの安定性や洗練度という点では、先行する競合他社(ASUSやLenovo)のデバイスに、あと一歩及ばない部分があるかもしれません。このあたりは、今後の継続的なアップデートによる改善を期待したいところです。
OSと設定のまとめ
- OSはWindows 11 Homeを搭載し、ポータブル機で課題となりがちなスリープ復帰も比較的安定しています。
- 「MSI Center M」では、パフォーマンスモード(AIエンジン/手動TDP)、ボタン割り当て、スティック感度など、ハードウェアの詳細な設定が可能です。
- ゲーム中に呼び出す「MSI Quick Settings」が非常に優秀で、輝度調整やFPSモニター、モード切替など必要な機能がコンパクトにまとまっています。
- デスクトップモードへの切り替えも簡単で、コントローラーだけでWindowsの基本操作も快適に行えます。
- 全体的に高機能ですが、一部でソフトウェアの不安定性を指摘する声もあり、今後のアップデートによる更なる改善が期待されます。
パフォーマンスとTDP設定:MSI Claw 8 AI+ A2VMの「Core Ultra 7 258V」実力検証
ここでは、MSI Claw 8 AI+ A2VMの処理性能について、特に「TDP設定」を変更することでパフォーマンスがどう変化するのかを、具体的なベンチマーク結果を交えて書いていきます。
新世代CPU「Core Ultra 7 258V」とGPU「Arc 140V」
本機が搭載する「Intel Core Ultra 7 258V」(開発コード名:Lunar Lake)は、前モデル「Claw A1M」が搭載していたCore Ultra シリーズ1から大幅に進化したプロセッサです。8コア(4P+4E)8スレッド構成で、電力効率が大きく向上しています。
注目すべきは、内蔵GPUが「Intel Arc 140V GPU」にアップグレードされた点です。これはXe2アーキテクチャを採用し、競合のRyzen Z1 Extremeなどに匹敵、あるいはそれを上回る描画性能を発揮します。さらに、高速な32GB LPDDR5XメモリがCPUにオンパッケージで搭載されており、ゲームのロード時間短縮や、メインメモリを多く消費するAAAタイトルのプレイ時に大きなアドバンテージとなります。
「TDP設定」が性能を解放する鍵
本機の真価を引き出すには、前のセクションで説明した「MSI Center M」でのパフォーマンス設定が不可欠です。ここでは、モードごとの性能差をベンチマークで見てみましょう。
- 手動モード (TDP 30W): 本機の最大性能を引き出す設定。
- AIエンジン: 状況に応じてTDPを自動調整する便利なモード。
- 手動モード (TDP 8W): バッテリー持続時間を最優先にする低電力設定。
3Dグラフィックス性能を測る「3DMark Time Spy」のスコアを比較すると、その差は歴然です。TDP 30W設定では約4,139という高いスコアを記録しましたが、TDP 8W設定ではスコアが大幅に低下しました。TDP 30W設定時のスコアは、前モデル「Claw A1M」や競合機(Ryzen Z1 Extreme搭載機)のスコアを上回るもので、Intel製ポータブル機の大幅な進化を感じさせます。
CPU性能を測る「CINEBENCH 2024」では、シングルコア性能が非常に高いスコアを記録しました。一方でマルチコア性能はハイパースレッディング廃止の影響もあり、スコア自体は控えめですが、実際のゲームパフォーマンスにはシングルコア性能の高さが大きく貢献しています。
ゲーム以外の「AI処理性能」も強化
Core Ultra 7 258Vは、最大47TOPSという強力なAI処理性能を持つNPU(Intel AI Boost)を内蔵しています。これは、本機が「Copilot+ PC」として認定されている理由でもあります。
この高いAI性能により、Windows 11の「リコール」機能(※2025年初頭のアップデートで対応予定)などの最新AI機能を利用できます。ゲームプレイだけでなく、画像編集ソフトでAIによる高解像度化を行ったり、動画編集でAIノイズ除去を活用したりといったクリエイティブな作業も、従来のポータブルPCより快適にこなせるようになりました。
パフォーマンスとTDP設定のまとめ
- CPUは「Core Ultra 7 258V」、GPUは「Arc 140V」を搭載し、前モデルや競合機を上回る高いグラフィックス性能を発揮します。
- 性能は「TDP設定」に大きく左右され、「手動(TDP 30W)」モードで最大のパフォーマンスを発揮します。
- TDP 8Wのような低電力設定では、性能は大幅に低下しますが、バッテリー持続時間は向上します。
- 「AIエンジン」モードは、性能と電力効率のバランスを自動で取ってくれるため、普段使いに便利です。
- 最大47TOPSのNPUを搭載し、「Copilot+ PC」として最新のAI機能にも対応しています。
ベンチマーク:Core Ultra 7 258V
インテル Core Ultra 7 258Vの性能はどのくらいなのでしょうか?ベンチマークで測定してみました。
<CPUのベンチマーク結果・Core Ultra 7 258V>
- PassmarkのCPUベンチマークスコア「19452」
- Geekbench 6のシングルコア「2658」、マルチコア「10506」
- Cinebench 2023 シングルコア「1890」、マルチコア「10250」
- Cinebench 2024 シングルコア「120」、マルチコア「610」
<CPUのベンチマーク結果から分かること>
全体的に見ると、Core Ultra 7 258Vはモバイル向けCPUとしてはかなり高い性能を持っていると言えそうです。特に、シングルコア性能の高さが目立ちます。
Passmark: 総合的なCPU性能を示すPassmarkスコアは「19452」と、高水準です。これは、前世代のCore i7-13700H(約17000)を大きく上回るスコアで、デスクトップ向けCPUに匹敵する性能を持っていることを示唆しています。
Geekbench 6: シングルコア「2658」、マルチコア「10506」というスコアも、モバイルCPUとしては非常に優秀です。特にシングルコア性能は、Core i9-13900H(約2100)を凌駕しており、Webブラウジングやオフィスソフトの利用など、日常的な作業を快適に行えることを示しています。
Cinebench: 3Dレンダリング性能を測るCinebenchでは、2023と2024の両方で高いスコアを記録しています。2024のスコアは、特にマルチコア性能が向上していることを示しており、動画編集やCG制作などの負荷の高い作業にも対応できるだけの性能を備えていると考えられます。
まとめ
これらの結果から、Core Ultra 7 258Vは、従来のモバイルCPUの枠を超えた高性能CPUと言えるでしょう。特に、シングルコア性能の高さは特筆すべき点で、日常的な作業はもちろんのこと、クリエイティブな作業にも十分に対応できるだけの性能を備えています。
グラフィック性能
Core Ultra 7 258Vに内蔵されているインテル Arc 140Vのグラフィック性能はどのくらいなのでしょうか?ベンチマークで測定してみました。
<GPUのベンチマーク結果・インテル Arc 140Vのグラフィックスコア>
- Fire Strike グラフィックスコアで「9100」(DirectX 11)
- Fire Strike Extreme グラフィックスコアで「4500」
- Time Spy グラフィックスコアで「4180」(DirectX 12)
- 3DMark Night Raidで「21000」
- 3DMark Wild Life「25300」
- Port Royalで「2040」
- 3DMark Steel Nomadで「870」
- 3DMark Speed Wayで「950」
- ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシーのベンチマーク
FHD解像度で最高品質(ノートPC)設定で「5285」
<GPUのベンチマーク結果から分かること>
全体的に見ると、Intel Arc 140Vは、モバイル向けの内蔵GPUとしては比較的良好な性能を示していると言えます。ただし、最新の高性能な外部GPUと比較すると、性能は限定的です。
Fire Strike / Fire Strike Extreme: DirectX 11ベースのテストで、Fire Strikeは比較的軽い負荷、Fire Strike Extremeはより重い負荷のテストです。9100と4500というスコアは、軽めのゲームであれば快適にプレイできる性能を示しています。
Time Spy: DirectX 12ベースのテストで、4180というスコアは、DirectX 12対応のゲームもある程度プレイできる性能を示しています。
3DMark Night Raid: エントリーレベルのPC向けのテストで、21000というスコアは、比較的軽いゲームや、日常的な作業であれば問題なくこなせる性能を示しています。
3DMark Wild Life / Port Royal / Steel Nomad / Speed Way: それぞれ異なる負荷やAPIに対応したテストです。Wild Lifeのスコアは比較的高く、モバイルゲームなどには十分な性能を示しています。一方、Port Royal(レイトレーシング)やSteel Nomad、Speed Wayのスコアは低めで、高負荷なゲームや最新技術を使ったゲームには向かない可能性があります。
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー: 実際のゲームでのベンチマークで、5285というスコアは、FHD解像度で最高品質設定でも、ある程度快適にプレイできる性能を示しています。
これらの結果から、Intel Arc 140Vは、モバイル向けの内蔵GPUとしては、 エントリーレベルのゲーミングや、日常的な作業、軽いクリエイティブ作業などには十分な性能 を持っていると言えます。しかし、AAAタイトルの最新ゲームを高い設定でプレイしたり、本格的な3D制作などを行うには、性能不足を感じる可能性があります。
ゲーム性能をレビュー:MSI Claw 8 AI+ A2VMでモンハンなどの人気タイトルは快適か?
ここでは、MSI Claw 8 AI+ A2VMで実際に複数のPCゲームをプレイし、最新の「Intel Core Ultra 7 258V」プロセッサと「Arc 140V GPU」がどれほどのゲーム性能を持っているのか、具体的にレビューしていきます。テストの多くは、最大性能を引き出すためパフォーマンスモードを「手動(TDP 30W)」に設定して実行しました。
モンスターハンターワイルズ
まず、非常に高いグラフィックス性能が要求される最新作『モンスターハンターワイルズ』のベンチマークを試してみました。さすがに負荷が重く、ネイティブ解像度での快適動作は難しい印象です。しかし、1920×1080解像度まで調整し、グラフィック設定を「低」、さらにアップスケーリング技術のIntel XeSSを併用することで、平均40~50fpsでの動作を確認できました。
広大なフィールドの探索中は比較的安定していますが、モンスターとの激しい戦闘ではフレームレートが落ち込む場面もあります。ただ、ゲームプレイ自体は十分可能な範囲だと感じました。もし安定性を最優先するなら、解像度を1280×800に落とすのが効果的で、これなら平均60fpsに近い滑らかな動作が期待できます。
原神
次に、人気のオープンワールドRPG『原神』をプレイしてみました。このゲームは比較的負荷が軽いとされていますが、Claw 8 AI+ A2VMでは想像以上に快適な動作に驚きました。ネイティブに近い1920×1200解像度、グラフィック設定「中」の状態でも、フレームレートはほぼ60fpsに張り付いたまま安定しています。テイワットの美しい世界を探索したり、戦闘で元素爆発のエフェクトが飛び交ったりする場面でも、気になるようなカクつきはほとんど感じられず、安定したプレイに没頭できました。
Apex Legends
続いて、フレームレートが勝敗に直結するバトルロイヤルシューター『Apex Legends』です。ここでは「手動(TDP 30W)」モードの性能をフルに活かしてプレイしました。1920×1200解像度、グラフィック設定を「低」に統一したところ、なんと平均94fpsという非常に高いフレームレートを叩き出しました。Claw 8 AI+の120Hz高リフレッシュレートディスプレイと相まって、敵の動きが非常に滑らかに見えます。素早いエイム操作にも画面がしっかり追従してくる感覚があり、ポータブル機でありながら本格的な対戦が楽しめると実感しました。
サイバーパンク2077
ポータブル機でどこまで動くのか最も気になっていたのが、重量級タイトルの代表格『サイバーパンク2077』です。これも「TDP 30W」モードでベンチマークを実行しました。1920×1200解像度、グラフィック設定「低」、さらにIntel XeSSを「自動」に設定したところ、驚いたことに平均60fps前後を記録しました。ナイトシティのドライブや銃撃戦も、大きなカクつきなくプレイでき、内蔵GPUの飛躍的な進化に感動を覚えました。念のため解像度を1280×800に下げてみると、平均81fpsまで向上し、さらに余裕のある滑らかな映像でこの世界に没入できました。
ペルソナ3 リロード
最後に、スタイリッシュな演出が魅力の『ペルソナ3 リロード』を試しました。このタイトルは負荷が軽く、Claw 8 AI+ A2VMの性能を存分に発揮できます。1920×1200解像度の「Low」設定でプレイしましたが、タルタロス探索中も戦闘中も平均82fpsという高いフレームレートを維持し続けます。120Hzディスプレイのおかげで、総攻撃のカットインやスキルのエフェクトが非常に滑らかに表示され、快適そのものでした。
ゲームパフォーマンスのまとめ
MSI Claw 8 AI+ A2VMのゲーム性能は、Core Ultra 7 258VとArc 140V GPUの組み合わせにより、内蔵GPUとは思えないレベルに達していることが確認できました。特に『Apex Legends』や『ペルソナ3 リロード』のようなタイトルでは、120Hzディスプレイの性能を存分に活かせる高いフレームレートを記録し、非常に快適なプレイが可能です。
驚くべきは『サイバーパンク2077』のような重量級タイトルですら、TDP 30W設定とIntel XeSSのアップスケーリング技術を活用することで、平均60fps前後でのプレイが現実的になった点です。もちろん、『モンスターハンターワイルズ』のような最新の高負荷ゲームでは設定や解像度の調整が必要になりますが、それでもプレイの道が開けるだけの十分なポテンシャルを持っていると言えるでしょう。
その他のゲーム性能
<高負荷なゲームタイトルのFPS>
- エルデンリング: 高難易度アクションRPG。低設定、FHDで40-50 FPS。
- 鳴潮 (Wuthering Waves): オープンワールドアクションRPG。低設定、FHDで30-40 FPS。
- 荒野行動: バトルロイヤルシューター。低設定、FHDで40-50 FPS。
- パルワールド: ポケモン風オープンワールドサバイバルクラフトゲーム。低設定、FHDで30-40 FPS。
これらのゲームは、Core Ultra 7 258VとIntel Arc 140Vの組み合わせでは、画質設定を低めに設定する必要があります。それでも、ゲームによっては、スムーズなプレイが難しい場合もあるかもしれません。
<中程度の負荷のゲームタイトルのFPS>
- タワーオブファンタジー: アニメ調のオープンワールドアクションRPG。中設定、FHDで40-50 FPS。
- アーマード・コアVI: メカアクションゲーム。中設定、FHDで50-60 FPS。
- Forza Horizon 5: オープンワールドレーシングゲーム。中設定、FHDで50-60 FPS。
- DOTA 2: チーム対戦型ストラテジー。高設定、FHDで80-90 FPS。
これらのゲームは、設定を調整することで、Core Ultra 7 258VとIntel Arc 140Vの組み合わせでも十分にプレイ可能です。
<軽量なゲームタイトルのFPS>
- League of Legends (LoL): 世界中で人気のMOBA。高設定、FHDで100 FPS以上。
- Valorant: 競技性の高いタクティカルシューター。高設定、FHDで144 FPS以上。
- Counter-Strike: Global Offensive (CS:GO): 定番のFPS。高設定、FHDで100 FPS以上。
- Rocket League: 車でサッカーをするユニークなゲーム。高設定、FHDで144 FPS以上。
- Minecraft: ブロックを積み上げて自由に世界を作るサンドボックスゲーム。高設定、FHDで100 FPS以上。
- 崩壊:スターレイル: miHoYo開発のスペースファンタジーRPG。高設定、FHDで60 FPS以上。
- ストリートファイター6: 対戦格闘ゲームの金字塔。高設定、FHDで60 FPS以上。
これらのゲームは、Core Ultra 7 258VとIntel Arc 140Vの組み合わせで、非常に快適にプレイできます。
メモリとストレージ:MSI Claw 8 AI+ A2VMの大容量と拡張性
ここでは、MSI Claw 8 AI+ A2VMのメモリ(RAM)とストレージ(SSD)の仕様について、前モデル「Claw A1M」との比較や、ユーザーにとって重要な「拡張性」に焦点を当てて書いていきます。
32GBへと倍増した高速メモリ
前モデル「Claw A1M」のメモリ容量は16GBでしたが、Claw 8 AI+ A2VMでは32GB LPDDR5Xへと一気に倍増しました。この32GBという大容量は、実際に使ってみると非常に大きな安心感があります。ポータブルゲーミングPCでは、CPU内蔵GPUがメインメモリの一部をビデオメモリ(VRAM)として共有するため、16GBモデルではメモリ消費の激しい最新AAAタイトルをプレイするとすぐに容量が圧迫されがちでした。
本機では32GBの余裕があるため、例えば『サイバーパンク2077』のようなメモリを大量に消費するゲームを起動しながら、裏でDiscordのボイスチャットやブラウザで攻略情報を開くといったマルチタスクも、動作が重くなることなく快適にこなせました。また、このメモリはCPUにオンパッケージ(統合)されており、CPUと物理的に直結しているため、データ転送が非常に高速です。
標準で1TB搭載の高速NVMe SSD
ストレージには、高速な1TB NVMe M.2 SSDが標準搭載されています。前モデル「Claw A1M」では512GBのモデルもラインナップされていたことを考えると、1TBが標準となったのは嬉しい進化です。近年のゲームはインストールサイズが100GBを超えることも珍しくなく、1TBの容量はもはや必須とも言えます。『ファイナルファンタジーXIV』のようなMMORPGでのエリア移動や、ゲームの初回起動時のロード時間が大幅に短縮され、ストレスを感じる場面が明らかに減りました。
注目すべき「ストレージの拡張性」
1TBの標準容量でも足りないというヘビーユーザーのために、本機は拡張性もしっかり確保されています。まず、本体上部にはmicroSDカードスロットが搭載されており、インディーズゲームや動画ファイルなどを手軽に保存・管理できます。
さらに注目すべきは、内部SSDの換装(アップグレード)に対応している点です。MSIは公認サポート店でのSSD換装サービスを提供しており、将来的に2TBやそれ以上の大容量SSDに交換できる道が公式に用意されています。これにより、増え続けるゲームライブラリを長期間にわたって管理していく上での不安が解消されました。
クリエイティブ作業もこなすポテンシャル
この大容量メモリと高速ストレージは、ゲーム専用機としておくには勿体ないほどの性能です。Thunderbolt 4 Type-Cポートに外部モニターやキーボードを接続すれば、本機は高性能なミニAI PCとしても活躍します。実際に『Adobe Premiere Pro』での動画編集や『Photoshop』での画像処理といったクリエイティブ作業も、ポータブル機とは思えないほどスムーズにこなすことが可能です。
メモリとストレージのまとめ
- メモリは前モデル「Claw A1M」の16GBから、32GB LPDDR5Xへと倍増しました。
- 32GBの大容量により、AAAタイトルと他のアプリ(Discordなど)の同時起動も快適です。
- ストレージは高速な1TB NVMe SSDを標準搭載し 、ゲームのロード時間を大幅に短縮します。
- 拡張性として、microSDカードスロットに加えて、公認サポート店による内部SSDの換装(アップグレード)にも対応しています。
- クリエイティブ作業もこなせる性能を持ち、ミニAI PCとしても活用できます。
ディスプレイとオーディオ:MSI Claw 8 AI+ A2VMの没入感
ここでは、MSI Claw 8 AI+ A2VMのディスプレイとオーディオ品質について、実際にゲームをプレイして感じたことを中心に書いていきます。
8インチに大型化した高精細ディスプレイ
本機を手に取ってすぐに感じるのが、ディスプレイの大型化による恩恵です。前モデル「Claw A1M」は7インチの16:9(1920×1080)ディスプレイでしたが、Claw 8 AI+ A2VMは8インチの16:10(1920×1200)ディスプレイを搭載しています。このわずか1インチの違いが、体感では非常に大きく、PCゲームでありがちな「テキストが小さすぎて読めない」というストレスが大幅に軽減されました。
ディスプレイの品質も高く、最大輝度は500 nitsと明るく、色域もsRGBカバー率100%と広いため、発色が非常に鮮やかです。リフレッシュレートは最大120Hzに対応し、さらに可変リフレッシュレート(VRR)もサポートしています。これにより、『Apex Legends』のようなフレームレートが激しく変動するゲームでも、画面のチラつきやティアリング(映像のズレ)が抑えられ、非常に滑らかな映像でプレイに集中できました。
互換性に優れる「ネイティブランドスケープ」
技術的な点ですが、このディスプレイが「ネイティブランドスケープ(横向き)」設計であることも見逃せないポイントです。一部のポータブルPCは、タブレット用の縦向きパネルをソフトウェアで90度回転させて横向きに表示しているため、古いゲームや一部のエミュレーターで互換性の問題が出ることがあります。その点、本機は標準で横向きに設計されているため、古いPCゲームなども含めて表示トラブルの心配がなく、安心して使用できました。
ただし、パネル表面は光沢(グレア)仕上げです。色彩が鮮やかに見える反面、照明や自分の顔がはっきりと映り込みます。ゲーム中の暗いシーン、例えばロード画面などではこの映り込みが少し気になりました。
驚くほど大音量なステレオスピーカー
オーディオ面では、Hi-Res対応の2Wステレオスピーカーを2基搭載しています。実際に音を鳴らして最も驚いたのが、その音量です。このサイズのポータブル機としては非常にパワフルで、音量を上げれば部屋全体に響き渡るほどの迫力があります。
一方で、音質については「Hi-Res対応」という期待値からすると、もう一歩という印象も受けました。確かにゲームの臨場感を伝えるには十分ですが、音量を上げすぎると高音域がこもったように感じたり、音が割れたりする(ディストーション)傾向が見られました。とはいえ、ポータブル機の内蔵スピーカーとしては十分なレベルであり、特にその大音量は特筆に値します。より高音質なサウンドを求める場合は、Hi-Res対応のヘッドセットをオーディオコンボジャックに接続するのがおすすめです。
ディスプレイとオーディオのまとめ
- ディスプレイは前モデルの7インチ16:9から、8インチ16:10(1920×1200)に大型化しました。
- 8インチになったことで、PCゲームの小さなテキストの視認性が大幅に向上しました。
- 最大120HzのリフレッシュレートとVRR(可変リフレッシュレート)に対応し、滑らかな映像を実現しています。
- ネイティブランドスケープ設計により、古いゲームとの互換性が高い点もメリットです。
- 表面は光沢(グレア)仕上げのため、暗いシーンでは映り込みが気になりました。
- 2Wステレオスピーカーは、ポータブル機とは思えないほど大音量です。
- 音質は、高音域がこもりがちで、最大音量付近では音が割れることもありますが、ポータブル機としては十分なレベルです。
操作性:MSI Claw 8 AI+ A2VMのドリフトフリー設計と操作感
ここでは、MSI Claw 8 AI+ A2VMの操作性について、ゲーマーのフィードバックを元に刷新されたコントローラーの感触やグリップ感を、実際にゲームをプレイしながらレビューしていきます。
人間工学に基づいたグリップと重量感
本体のデザインは人間工学に基づいて設計されており、手に持つと自然に馴染む感覚があります。ただし、本体重量が約795gあり、前モデルの「Claw A1M」が約675gだったのと比べると100g以上重くなっています。この重さのため、ベッドで仰向けになって長時間プレイするのは腕が疲れやすく、ソファや机で腕を支えるプレイスタイルが最適だと感じました。グリップ部の盛り上がりは競合機(Lenovo Legion Goなど)と比較するとやや浅めですが、握りにくいということはありませんでした。
待望の「ホールエフェクトスティック」
操作性の核となる左右のスティックには、待望の「ドリフトフリー・ホールエフェクトスティック」が採用されました。これは、スティックが勝手に動く「ドリフト現象」の心配が不要になる高耐久な設計です。『フォートナイト』や『Apex Legends』のような精密なエイムが求められるシューティングゲームで試したところ、Xboxコントローラーと遜色ない感覚で、微細な照準合わせが可能でした。十字キーも改良されており、操作感が向上しています。
大幅に改良されたボタンとトリガー
ABXYアクションボタン、バンパー(LB/RB)、トリガー(LT/RT)は、前モデル「Claw A1M」から内部構造や形状が大幅に改良されています。ABXYボタンは押した感覚が明確な「クリッキー」な感触で、入力がしっかり認識できました。特にバンパーボタンは、内側ではなく下方向に押し込む設計に再設計され、格段に操作しやすくなったと感じます。『モンスターハンターライズ:サンブレイク』のようなアクションゲームでトリガーやバンパーを多用しましたが、家庭用ゲーム機に近い感覚で違和感なくプレイに没頭できました。
誤爆しにくい背面の「マクロボタン」
本体背面には、自由に機能を割り当てられるマクロボタン(M1/M2)が配置されています。これは前モデルよりもフラットな形状になり、押しやすさが向上しました。何より素晴らしいのは、グリップをしっかり握りこんでも指が誤って触れにくい絶妙な位置に設計されている点です。一部の競合機で感じたような、意図しないボタン誤爆のストレスがなかったのは、大きなメリットだと感じました。
操作性のまとめ
- 左右のスティックには「ドリフトフリー・ホールエフェクトスティック」が採用され、高耐久かつ高精度な入力が可能です。
- バンパーやトリガーの形状・内部構造が大幅に改良され、家庭用ゲーム機に近い快適な操作感を実現しています。
- 本体は約795gと重めですが 、グリップ感は良好で、手に馴染むよう設計されています。
- 背面マクロボタンはフラットな形状で押しやすく、グリップ時に誤爆しにくい位置に配置が改善されました。
バッテリー持続時間・発熱・静音性:MSI Claw 8 AI+ A2VM
ここでは、MSI Claw 8 AI+ A2VMをはじめとしたポータブルゲーミングPCにおいて最も重要な要素である「バッテリー持続時間」、そして長時間のゲームプレイで快適性を左右する「発熱」と「ファンの静音性」について、詳しくレビューしていきます。
大幅に強化されたバッテリー持続時間
前モデル「Claw A1M」の53Whバッテリーから、本機は80Whという大容量バッテリーへと大幅に増強されました。この恩恵は実際のゲームプレイ時間に明確に現れていますが、パフォーマンス設定(TDP)によって大きく変動します。
最高のパフォーマンスを引き出す「手動(TDP 30W)」モードで『サイバーパンク2077』や『Warhammer 40000: Space Marine 2』といった重量級ゲームをプレイすると、バッテリーの消費は非常に速く、およそ1時間30分から2時間程度が限界でした。
一方で、性能と電力効率のバランスが良い「AIエンジン」モードで『Forza Horizon 5』や『メタファー:リファンタジオ』などをプレイしたところ、約3時間から3時間30分ほどの連続プレイが可能でした。これは前モデルから飛躍的な進化であり、外出先でも充電を気にせずじっくり遊べる、実用的な駆動時間だと感じます。なお、ゲーム以外のオフィス作業(PCMark 10 Modern Office)では、15時間以上も持続するという驚異的な結果も出ています。
冷却性能と手触りの良い「発熱」
本機は「ハイパーフロー強冷クーラー」と呼ばれる、デュアルファンと複数のヒートパイプを組み合わせた冷却システムを搭載しています。この冷却性能が非常に優秀で、TDP 30Wで高負荷なベンチマークを回し続けても、CPU温度は安定しており、サーマルスロットリング(熱による性能低下)は発生しませんでした。
何より素晴らしいのは、その熱がプレイヤーの手に伝わらない設計になっている点です。排気口は本体上部と背面上部に巧みに配置されており、ゲームプレイで握るグリップ部分が熱くなることはありませんでした。排気口から出る空気は温かいものの、不快な熱さを感じることはなく、長時間のプレイでも快適性を維持できました。
驚くほど静かな「静音性」
今回のレビューで最も感動したのが、この「静音性」です。TDP 30Wの最大負荷時でさえ、ファンの回転音は非常に静かです。多くの小型デバイスにありがちな「キーン」という甲高いノイズがなく、ゲームのスピーカー音で十分かき消されるレベルです。
『メタファー:リファンタジオ』のプレイ中は、ファンが回っているのか分からないほど静かな瞬間も多くありました。静かな部屋で夜間にプレイしても全く気にならず、多くの薄型ノートPCよりも静かに動作します。この卓越した静音性は、ゲームへの没入感を大きく高めてくれる要素だと感じました。
バッテリー・冷却・静音性のまとめ
- バッテリーは前モデルの53Whから80Whへと大幅に増量されました。
- 実働時間は設定次第で大きく変動し、TDP 30Wの最大負荷時で約1.5~2時間、「AIエンジン」モードでのゲームプレイでは約3~3.5時間と実用的なレベルに達しています。
- 「ハイパーフロー強冷クーラー」は非常に強力で、高負荷時でもグリップ部分に熱が伝わらず快適です。
- 静音性は驚異的で、最大負荷時でもファンの音は非常に静かです。ゲームの邪魔にならず、没入感を高めてくれます。
MSI Claw 8 AI+ A2VM と MSI Claw A1Mの違い
ここでは、新型の「MSI Claw 8 AI+ A2VM」と、前モデルである「MSI Claw A1M」の主なスペックの違いを、比較しながら箇条書きで解説していきます。
OS
- Claw 8 AI+ A2VM: Windows 11 Home (Copilot+ PC対応 )
- Claw A1M: Windows 11 Home
- 違い: どちらもWindows 11ですが、Claw 8 AI+ A2VMはNPU性能が強化された「Core Ultra プロセッサー(シリーズ 2)」を搭載しており、次世代AI機能「Copilot+ PC」に対応しています。
CPU (プロセッサ)
- Claw 8 AI+ A2VM: インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 258V (シリーズ 2)
- Claw A1M: インテル® Core™ Ultra 7 155H または Core Ultra 5 135H (シリーズ 1)
- 違い: 新世代の「シリーズ2 (Lunar Lake)」CPUにアップグレードされました。これにより、グラフィックス処理性能と電力効率が向上し、AI処理性能も大幅に強化されています。
内蔵GPU (グラフィックス)
- Claw 8 AI+ A2VM: インテル® Arc™ 140V GPU
- Claw A1M: インテル® Arc™ グラフィックス (シリーズ 1)
- 違い: CPUの世代交代に伴い、内蔵グラフィックスもより強力な「Arc 140V GPU」へとアップグレードされています。
メモリ (RAM)
- Claw 8 AI+ A2VM: 32GB LPDDR5X (オンパッケージ)
- Claw A1M: 16GB LPDDR5
- 違い: メモリ容量が16GBから32GBへと倍増しました。規格もより高速なLPDDR5Xに変更されており、VRAM消費の多いゲームやマルチタスクに強くなっています。
ディスプレイ
- Claw 8 AI+ A2VM: 8インチ、WUXGA (1,920×1,200)、16:10比率、120Hz
- Claw A1M: 7インチ、FHD (1,920×1,080)、16:9比率、120Hz
- 違い: 画面が7インチから8インチへと大型化しました。また、アスペクト比が16:10のWUXGAになり、縦方向の表示領域が広がっています。
接続ポート (I/O)
- Claw 8 AI+ A2VM: Thunderbolt™ 4 Type-C ×2、オーディオコンボジャック ×1
- Claw A1M: Thunderbolt™ 4 Type-C ×1、オーディオコンボジャック ×1
- 違い: ユーザーからのフィードバックが多かったThunderbolt 4ポートが、1基から2基へと増設されました。これにより、ACアダプタで充電しながらドッキングステーションや外付けモニターを接続できるようになり、利便性が劇的に向上しています。
バッテリー容量
- Claw 8 AI+ A2VM: 80Whr
- Claw A1M: 53Whr
- 違い: バッテリー容量が53Whから80Whへと約51%も大幅に増量されました。これにより、バッテリー駆動でのゲームプレイ時間が大きく伸びています。
サイズ (W×D×H)
- Claw 8 AI+ A2VM: 299×126×24mm
- Claw A1M: 294×117×21.2mm
- 違い: 8インチディスプレイと80Whの大容量バッテリーを搭載するため、フットプリント(横幅・奥行き)と厚みがわずかに増しています。
重量
- Claw 8 AI+ A2VM: 約795g
- Claw A1M: 約675g
- 違い: 大画面化とバッテリー増強に伴い、重量が120g増加しています。
本体カラー
- Claw 8 AI+ A2VM: ブラック&サンドストーム
- Claw A1M: ブラック
- 違い: Claw A1Mはブラック一色でしたが、Claw 8 AI+ A2VMではグリップ部分の色が異なる「ブラック&サンドストーム」のツートンカラーが採用されています。
まとめ
MSI Claw 8 AI+ A2VMは、前モデル「Claw A1M」から寄せられたフィードバックを基に、根本的なアップグレードが施されたモデルであることが明確です。8インチへの大画面化と80Whという大容量バッテリー搭載は、サイズと重量の増加というトレードオフをもたらしましたが、それ以上に大きなゲーム体験の向上を実現しています。
特に、CPU/GPUの次世代化、メモリの倍増、そして最大の弱点であったThunderboltポートが2基に増設された点は、ゲーマーが求める核心的な改良と言えるでしょう。
検証して分かったMSI Claw 8 AI+ A2VMのメリット・デメリット:飛躍的進化の裏にある長所と短所
MSI Claw 8 AI+ A2VMは、前モデル「Claw A1M」から寄せられたフィードバックを基に、多くの点が劇的に改良されています。ここでは、実際にさまざまなゲームやベンチマークを検証して分かった、本機の具体的なメリット(長所)とデメリット(短所)について詳しく解説していきます。
メリット(長所)
メリット1:競合を上回る新世代のパフォーマンス
本機が搭載する「Core Ultra 7 258V」プロセッサと「Arc 140V GPU」 の組み合わせは、非常に強力です。ベンチマークテストでは、競合する「Ryzen Z1 Extreme」搭載機を上回るスコアを記録しました。さらに、32GBの大容量LPDDR5Xメモリを標準搭載しているため、メモリ消費の激しいAAAタイトルでも余裕を持って動作させることができました。
メリット2:大幅に増強された80Whの大容量バッテリー
前モデルの53Whから80Whへと、バッテリー容量が約51%も増強されたのは、最大のメリットの一つです。「AIエンジン」モードで『メタファー:リファンタジオ』をプレイした際は約3時間、PCMarkのゲームバッテリテストでは3時間28分という、実用的な駆動時間を実現していました。
メリット3:驚異的な静音性と強力な冷却性能
「ハイパーフロー強冷クーラー」は「超静音」を謳う通り、TDP 30Wの高負荷時でもファンの音は非常に静かです。ポータブル機にありがちな甲高いノイズがなく、ゲームのスピーカー音で十分かき消されるレベルでした。また、冷却設計が優秀で、長時間プレイしてもグリップ部分に熱が伝わらず快適でした。
メリット4:弱点を克服した「Thunderbolt 4 ×2ポート」
前モデル最大の弱点だったType-Cポートが1基しかない問題が、本機ではThunderbolt 4 Type-Cポートを2基搭載することで完全に解決されました。これにより、ACアダプタで本体を充電しながら、ドッキングステーションや外付けモニター、外付けGPUボックスなどを同時に接続でき、利便性が劇的に向上しています。
メリット5:互換性が高い「8インチ・ネイティブ横向き液晶」
ディスプレイが8インチ(1920×1200)に大型化 したことで、PCゲームの小さなテキストの視認性が向上しました。さらに、このディスプレイは「ネイティブランドスケープ(横向き)」設計を採用しています。これにより、縦向きパネルをソフトウェアで回転させている他の競合機で発生しがちな、古いゲームでの互換性問題を心配する必要がありません。
メリット6:操作感が向上した「ホールエフェクトスティック」
左右のスティックには、高耐久な「ドリフトフリー・ホールエフェクトスティック」が採用されました。バンパーボタンやトリガーボタンも内部構造から改良されており、家庭用ゲーム機に近い感覚で操作できます。また、背面ボタンの形状も見直され、グリップ時に意図せず押してしまう「誤爆」が減ったのも良い改良点です。
メリット7:便利な「AIエンジン」と秀逸な「Quick Settings」
パフォーマンスモードの「AIエンジン」が非常に便利で、ゲームやタスクに応じてTDPを自動調整してくれます。また、ゲーム中に呼び出す「MSI Quick Settings」は、ゲーマーが本当に必要とする機能(輝度調整、FPSモニター、モード切替など)がコンパクトに集約されており、非常に秀逸な設計だと感じました。
デメリット(短所)
デメリット1:約795gという「重さ」
本機最大のデメリットは、その重量です。8インチ化と80Whバッテリー搭載の代償として、本体重量は約795gに達します。前モデル(約675g)と比較して120gも重くなっており、手に持つとずっしりとした重厚感があります。ソファや机で腕を支えずにプレイし続けるのは、腕が疲れやすいと感じました。
デメリット2:不安定さが残る「ソフトウェア」
ハードウェアの進化に比べ、専用ソフトウェア「MSI Center M」の安定性にはまだ課題が残る印象です。使用中に突然コントローラーが反応しなくなりPCコントロールモードに切り替わってしまったり、Center M自体がフリーズしてOSの再起動が必要になったりするケースが報告されています。先行する競合他社のソフトウェアと比べると、洗練度の面で一歩及ばない部分があります。
デメリット3:競合と比べた「価格」
発売時の価格は159,800円(税込)、米国価格で約900ドルと、ポータブルゲーミングPCとしては高価な部類に入ります。性能向上は著しいものの、同じく高性能な競合製品(ASUS ROG Ally Xなど)と同等か、それ以上の価格帯となるため、コストパフォーマンスを重視するユーザーにとっては悩ましい選択肢となります。
デメリット4:「大音量」だが「高音質」ではないスピーカー
内蔵スピーカーは非常に大音量で、部屋全体に響くほどのパワーがあります。しかし、音質については「Hi-Res対応」という期待値ほどではなく、音量を上げすぎると高音域がこもったり、音が割れたりする傾向が見られました。迫力はありますが、クリアな音質を求める場合はヘッドホンの使用が推奨されます。
デメリット5:映り込みが気になる「グレア(光沢)ディスプレイ」
ディスプレイは8インチで非常に美しいのですが、表面が光沢(グレア)仕上げになっています。これにより、色彩が鮮やかに見える反面、照明や自分の顔がはっきりと映り込んでしまいます。ゲーム中の暗いシーンやロード画面では、この映り込みが特に気になりました。
デメリット6:人を選ぶ「グリップ形状」
本体のグリップ(握り部分)は、一部の競合機と比較してやや浅め(薄め)の設計だと感じました。また、本体が8インチサイズと大型化したことで、手の小さい人にとってはボタン配置が全体的に広すぎると感じる可能性があります。
デメリット7:好みが分かれる「背面のデザイン」
これは完全に主観的な意見ですが、本体背面に配置されているMSIのドラゴンエンブレムのロゴが「ダサい」と感じる意見もありました。ツートンカラーの本体はユニークですが、このロゴデザインについては好みが分かれるポイントかもしれません。
MSI Claw 8 AI+ A2VMのスペック(仕様)
- モデル: Claw-8-AI+A2VM-201JP
- ディスプレイ: 8インチ、解像度1920 x 1200 ※WUXGA/16:10/500nit/グレア/フィンガータッチ対応
- リフレッシュレート: 120Hz
- プロセッサ: インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 258V ※8コア(4P+4E)/ 8スレッド
- NPU: Intel AI Boost(最大47TOPS)
- GPU: インテル® Arc™ 140V GPU
- RAM(メモリ): 32GB LPDDR5X オンパッケージ
- ストレージ: 1TB(M.2 NVMe)
- バッテリー: リチウムイオン、80Whr、6セル
- 駆動時間: 最大10時間(JEITA 3.0 動画再生時) / 最大15時間(JEITA 3.0 アイドル時)
- 充電: 専用ACアダプタ(Thunderbolt 4 Type-Cポート経由)
- ワイヤレス通信: Wi-Fi 7(11be)、Bluetooth 5.4
- インターフェース: Thunderbolt™ 4 Type-C(USB PD対応)x2、オーディオコンボジャック x1、microSDカードリーダー(microSDXC対応)
- スピーカー: ステレオ2スピーカー(2W)
- オーディオ: Hi-Res対応
- 冷却システム: ハイパーフロー強冷クーラー(2基のファン、複数のヒートパイプ、大型化された吸排気口)
- 操作: RGBバックライト内蔵スティック(左/右)、RGBバックライト内蔵ABXYアクションボタン、十字キー、LB/RB ボタン、LT/RT トリガー、セレクトボタン(View)、MSI Center M ボタン、スタートボタン(Menu)、クイックセッティングボタン、背面マクロボタン(M1/M2)、音量ボタン、電源ボタン(指紋認証リーダー一体型)
- オプション: 専用液晶保護ガラスフィルム、専用ポーチ
- 生体認証: 指紋認証リーダー(電源ボタン一体型)
- ソフトウェア: MSI Center M
- OS: Windows 11 Home
- サイズ: 299×126×24mm
- 重量: 約795g
- カラー: ブラック&サンドストーム
MSI Claw 8 AI+ A2VMの評価
7つの評価基準で「MSI Claw 8 AI+ A2VM」を5段階で評価してみました。
【項目別評価】
画面の見やすさ: ★★★★☆
8インチ(1920×1200)の大画面は高精細で、120Hz/VRR対応で非常に滑らかです。ただし、光沢(グレア)仕上げのため、暗い場面での映り込みが気になりました。
パフォーマンス: ★★★★★
Core Ultra 7 258Vと32GBメモリを搭載し、TDP 30Wモードでは競合機を凌駕する性能を発揮します。内蔵GPUで『サイバーパンク2077』が設定次第で60fps動作したのは驚きです。
操作性: ★★★★☆
ドリフトフリーのホールエフェクトスティックや改良されたバンパーボタンは、家庭用ゲーム機並みに快適です。しかし、約795gという重量は長時間のプレイでは腕に負担がかかります。
機能性: ★★★★★
Thunderbolt 4ポートが2基に増えたのが最大の功績です。充電しながらの周辺機器接続やeGPUも可能で、拡張性はポータブル機として最高クラスです。Wi-Fi 7にも対応しています。
デザイン: ★★★★☆
ブラック&サンドストームのツートンカラーはユニークで目を引きます。スティックとABXYボタンのRGBライトも搭載し、ゲーミングデバイスとしての所有感を満たしてくれます。
使いやすさ: ★★★☆☆
「Quick Settings」は必要な機能がまとまっており優秀ですが、肝心の管理ソフト「MSI Center M」が不安定なのが最大のネックです。操作不能になり再起動が必要な場面もありました。
価格: ★★☆☆☆
実売159,800円前後と、ポータブルゲーミングPC市場で最も高価な部類に入ります。性能は高いですが、競合と比べてもコストパフォーマンスは低いと言わざるを得ません。
【総評】: ★★★★☆
MSI Claw 8 AI+ A2VMは、前モデル「Claw A1M」の弱点をほぼ全て克服した、ハードウェアの観点では「完全版」とも言えるデバイスです。
飛躍的に進化したハードウェア
前モデルで最大の不満点だった53WhのバッテリーとThunderboltポート1基体制は、本機で80Whの大容量バッテリーとThunderbolt 4ポート2基へと劇的に改善されました。これにより、実用的なゲームプレイ時間(AIエンジンモードで約3時間超)と、充電しながら周辺機器を使える圧倒的な拡張性を両立しています。
パフォーマンスも、Core Ultra 7 258Vと32GBメモリの搭載により、競合のRyzen Z1 Extreme機を上回るベンチマーク結果を記録しました。8インチ120Hzの大型ディスプレイは視認性が高く、驚異的な静音性を誇る冷却ファンは、高負荷時でもゲームの邪魔をしません。
ソフトウェア(設定)のメリット
ソフトウェア面でのメリットも光ります。特にゲーム中に呼び出す「MSI Quick Settings」は、ゲーマーが本当に必要とする機能(輝度調整、FPSモニター、モード切替など)が厳選されており、非常に秀逸な設計です。UIも透過型でゲーム画面を隠しません。また、パフォーマンス設定を自動で行う「AIエンジン」モードは、TDPを手動で切り替える手間を省いてくれる便利な機能です。コントローラーでWindowsを操作する「デスクトップモード」も搭載し、使い勝手への配慮が感じられます。
価格・重さなどの課題
しかし、この強力なハードウェアを手に入れるための代償は小さくありません。最大のデメリットは約795gという「重さ」です。これは競合機と比べても際立っており、長時間の使用は腕の疲れを覚悟する必要があります。
また、16万円近い価格は、ポータブル機として最高価格帯です。そして何より、ハードウェアの完成度にソフトウェアが追いついていません。管理ソフト「MSI Center M」は不安定な挙動を見せることがあり、操作性の快適さを損なう原因となっています(※アップデートで修正される可能性があります)。
どんな人に最適か
このデバイスは、ポータブル機であっても一切の妥協をせず、競合を上回る最高のCPU・GPUパフォーマンスを求める「パワーユーザー」に最適です。「AIエンジン」モードなどを駆使すれば、最高のゲーム体験を味わえることでしょう。
また、Thunderbolt 4ポートが2基必須で、外付けGPUの接続や充電しながらのドッキングステーション利用など、デスクトップPC並みの「拡張性」を重視する人にも強く推奨できます。ゲームだけでなく、趣味や仕事にも利用できる利便性を兼ね備えています。
まとめ
8インチの大画面と80Whの大容量バッテリー、そして驚異的な静音性は、他のデバイスでは得難い大きな魅力です。ただし、その対価として約795gという「重さ」と16万円近い「価格」を受け入れる必要があります。軽さやコストパフォーマンスよりも、純粋な性能と拡張性を最優先するユーザーにとって、本機は最高の選択肢となるでしょう。
MSI Claw 8 AI+ A2VMの価格・購入先
※価格は2025/11/07に調査したものです。価格は変動します。
MSI公式オンラインショップ
- 【2025年モデル】Claw-7-AI+A2VM-202JP; Copilot+ PC Clawシリーズが139,800円(税込)、
- 【2025年モデル】Claw-8-AI+A2VM-201JP; Copilot+ PC Clawシリーズが159,800円(税込)、
で販売されています。
MSI公式オンラインショップで「Claw 8 AI+ A2VM」をチェックする
※支払い方法はクレジットカード、コンビニ決済、分割払い(ショッピングクレジット)、Amazon Payです。
ECサイト
- Amazonで156,000円、
- 楽天市場で159,800円、
- ヤフーショッピングで166,000円、
で販売されています。
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楽天市場で「MSI Claw 8 AI+ A2VM」をチェックする
ヤフーショッピングで「Claw 8 AI+ A2VM」をチェックする
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おすすめのライバル機種と価格を比較
「Claw 8 AI+ A2VM」に似た性能をもつポータブルゲーミングPCも販売されています。価格の比較もできるので、ぜひ参考にしてみてください。
MSI Claw A1M
MSIから発売された7インチのポータブルゲーミングPCです(2024年3月28日 発売)。
インテル Core Ultra 5 135H / Core Ultra 7 155H、インテル Arc グラフィックス、16GB LPDDR5-6400メモリ、フルHDのIPS液晶、512GB SSD / 1TB SSD ストレージ (NVMe PCIe Gen4)、53 WHrバッテリ、Windows 11 Homeを搭載しています。
また、リフレッシュレート 120Hz、65W PD急速充電、2x 2W スピーカー、ハイレゾオーディオ認定、HD ハプティクス、指紋認証、人間工学に基づいたデザイン、管理ソフト「MSI Center M」、ゲームライブラリ「App Player」、Thunderbolt 4 互換のType-Cポート、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4 に対応しています。
価格は、Amazonで87,120円(税込)、楽天市場で93,780円(送料無料)、ヤフーショッピングで89,733円(送料無料)、米国 Amazon.comで$489.98、です。
関連記事:実は不人気じゃない「MSI Claw A1M」のメリット・デメリット
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ROG XBOX ALLY / Ally X
ASUS (ROG) から発売された7.0インチのポータブルゲーミングPCです(2025年10月16日に発売・型番:RC73YA-Z2A16G512/RC73XA-Z2E24G1T)。
7.0型ワイドTFTカラー液晶 (1,920×1,080, 120Hz, FreeSync Premium対応)、AMD Ryzen™ Z2 A (Ally) / AMD Ryzen™ AI Z2 Extreme (Ally X)、LPDDR5X 16GB (Ally) / 24GB (Ally X) メモリ、SSD 512GB (Ally) / 1TB (Ally X) (PCI Express 4.0 x4接続 NVMe/M.2 2280)、60Wh (Ally) / 80Wh (Ally X) バッテリー、Windows 11 Home 64ビットを搭載しています。
また、Xboxアプリ、UI「Xboxフルスクリーンエクスペリエンス」、Xboxボタン(Game Bar)、「Xbox Play Anywhere」、ASUSの管理コンソール「Armoury Crate Special Edition (ACSE)」、AMD Ryzen™ AI (NPU※Ally Xのみ)、モニター出力、内蔵SSDの交換(換装)に対応。
ステレオスピーカー (Dolby Atmos / Hi-Res Audio対応)、アレイマイク、HD振動機能 (Ally Xはインパルストリガー対応)、ROGインテリジェントクーリング (デュアルファン)、ジョイスティック×2(RGBライティング)、マクロボタン×2、バンパー/トリガー、指紋認証センサ (電源ボタン一体型)、USB Type-Cポート (Ally XはUSB4対応)、microSDカードスロット、Wi-Fi 6E、Bluetooth® 5.4にも対応しています。
価格は、Amazonで89,800円(ROG XBOX ALLY / Ally Xは139,800円)、楽天市場で93,980円(中古品・送料無料)、ヤフーショッピングで97,939円、米国 Amazon.comで$599.00、です。
関連記事:ROG XBOX ALLY/Ally X評価レビュー!期待以上の性能・機能か?
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OneXFly F1 Pro
One-Netbook から発売された7インチのポータブルゲーミングPCです(2024年11月下旬に発売)。
AMD Ryzen AI 9 HX 370(Ryzen AI 9 HX 365 / Ryzen 7 8840U)、32GB/64GB LPDDR5Xメモリ、1TB/2TB/4TB M.2 2280 NVMe SSD (PCle 4.0)ストレージ、48.5Wh バッテリーを搭載しています。
また、HAMAN社認証 Indfx デュアル ステレオスピーカー、RGBライト、RGBホールジョイスティック、リニアトリガーボタン、カスタマイズキー、冷却システム、ゲーム一括管理コンソール「OneXconsole」、専用ゲームランチャー「GAME CENTER」、USB4 Type-C x2、USB 3.0 Type-A x1、Wi-Fi 6e、Bluetooth 5.2に対応しています。
価格は、Amazonで148,000円(税込)、楽天市場で139,800円(送料無料)、ヤフーショッピングで139,800円(送料無料)、、です。
関連記事:【OneXFly F1 Pro レビュー】最新AI搭載でROG Ally超え?
Amazonで「OneXFly F1 Pro」をチェックする
ROG Ally X
ASUSから発売された7インチのポータブルゲーミングPCです(2024年7月 発売)。
AMD Ryzen Z1 Extreme、24GB LPDDR5-7500、フルHDのIPS タッチスクリーン、1TB PCIe 4.0 NVMe M.2 SSD (2280)、80WHrsバッテリー、6軸ジャイロセンサー、Windows 11 Homeを搭載しています。
また、デュアル ステレオスピーカー、Dolby Atmos、アレイマイク、AIノイズキャンセリング、HDハプティクス、Microsoft Pluton セキュリティ、指紋認証、AURA SYNC、Gorilla Glass DXC、USB4 Gen2 Type-C x1、USB 3.2 Gen2 Type-C x1、Wi-Fi 6e、Bluetooth 5.2に対応しています。
価格は、楽天市場で127,800円(送料無料)、ヤフーショッピングで127,800円、です。
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Steam Deck OLED
米国 Valve から発売された7.4インチのポータブルゲーミングPCです(2023年11月17日に発売)。
Steam OS 3.0、Zen2ベースのAMD APUと16 GB LPDDR5 メモリ、HD画質のHDR OLED(有機EL)タッチスクリーン、512GB/1TB NVMe SSD、50 Whバッテリー、トラックパッドを搭載しています。
また、リフレッシュレート 90 Hz、HDハプティクス、大型の冷却ファン、DSP内蔵ステレオスピーカー、デュアルアレイマイク、microSDカードでのストレージ拡張、45W急速充電、6軸ジャイロセンサー、Steam Deck ドッキングステーション(別売)、USB3 Gen2 Type-C (DP映像出力/PD充電/データ転送)x1、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3に対応しています。
価格は、Amazonで155,231円、楽天市場で93,680円、ヤフーショッピングで94,700円、です。
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GPD WIN Mini 2025
GPD から発売された7インチのポータブルゲーミングPCです(2025年3月上旬に発売)。
AMD Ryzen AI 9 HX 370 / AMD Ryzen 7 8840U、16GB/32GB LPDDR5xメモリ、1TB/2TB M.2 NVMe 2280 SSDストレージ、44.24Wh バッテリー(最大14時間駆動、利用状況による)、Windows 11 Home (64bit)、microSDカードスロット (最大読込160MB/s、最大書込120MB/s) x1を搭載しています。
また、冷却システム、デュアルスピーカー(独立アンプ内蔵)、DTS:X Ultra対応オーディオ、バックライト付QWERTYキーボード(シザースイッチ)、ホール効果ジョイスティック、L4/R4カスタムキー、タッチパッド (PTP)、アクティブ冷却、デュアルリニアモーターによる振動効果、
6軸ジャイロスコープ、3軸重力センサー、PD急速充電、USB4 (40Gbps) x1、USB 3.2 Gen 2 Type-C x1、USB Type-A x1、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3に対応しています。
価格は、Amazonで142,000円(税込)、楽天市場で219,970円(送料無料)、ヤフーショッピングで258,348円、です。
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