2022年6月に発売されたソニーの「Xperia Ace III」は、エントリーモデルながら5Gに対応したコンパクトスマートフォンです。前モデル「Xperia Ace II」から基本性能を大幅に向上させ、その実用性で注目を集めてきました。
このレビューでは、Xperia Ace IIIが日常のスマートフォン体験をどれだけ快適にするのか、また前モデル「Xperia Ace II」と比べて何が劇的に進化したのか、その性能と使い勝手を徹底的に検証しました。
【先に結論からお伝えしましょう】
Xperia Ace III の長所(Pros):
- 4500mAhの大容量バッテリーによる圧倒的な電池持ち
- 片手操作に最適な軽量コンパクトなボディ
- 高耐久ガラス「Gorilla Glass Victus」採用と高い防水防塵性能
- おサイフケータイ、イヤホンジャック、microSDカードスロットを網羅
- 前モデル(Ace II)から飛躍的に向上したCPU性能
- 高音質コーデック「LDAC」に対応
Xperia Ace III の短所(Cons):
- 4GBのメモリ不足による深刻なマルチタスク性能の低さ(アプリの再起動が頻発)
- 輝度が低く、日中の屋外では非常に見えにくいディスプレイ
- 「記録用」と割り切るべきカメラ性能(暗所が苦手・QRコードのピントが合いにくい)
- Xperia独自機能「サイドセンス」の非搭載
- 不安定さが指摘されるWi-Fiや電波の受信感度
総合評価:
Xperia Ace IIIは、卓越したバッテリー持ちと耐久性、必須機能(おサイフケータイ、イヤホンジャック)を網羅した、実用性に優れる一台です。しかし、深刻なメモリ不足と屋外で見えない暗いディスプレイという明確な弱点を抱えており、メイン機として使うには強い割り切りが必要です。
<この記事で分かること>
- 指紋が目立たないマットなデザインとコンパクトなサイズ感
- 高耐久ガラス「Gorilla Glass Victus」とIPX8/IP6X防水防塵性能の実力
- 屋外でのディスプレイの視認性(輝度)
- Snapdragon 480 5Gの処理性能と「Antutu」ベンチマークスコア
- 前モデル「Xperia Ace II」からの性能比較
- 4GBメモリがマルチタスク(アプリ切り替え)に与える実際の影響
- 『原神』『ウマ娘』『ポケモンGO』など人気ゲームの動作検証とフレームレート
- シングルカメラの画質と「オートHDR」の実力(夜景・動画の弱点)
- 4500mAhバッテリーの実際の持続時間と充電速度
- 3.5mmイヤホンジャックやLDAC対応などのオーディオ性能
- 「かんたんホーム」の使い勝手と「サイドセンス」非搭載の影響
- おサイフケータイ(FeliCa)や指紋認証センサーの精度
- 購入前に知っておきたいメリット・デメリット
- 専門家による5段階評価と詳細な総評
- 最新の価格とお得な購入先
この記事を最後まで読むことで、「Xperia Ace III」を購入するべきかどうかがはっきりと分かるはず。購入に悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
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デザインと耐久性:Xperia Ace III 日常に溶け込むコンパクトさと安心感
ここでは、Xperia Ace IIIのデザイン、携帯性、そして毎日使う上で重要な耐久性について、実際に使って感じた点をレビューしていきます。
手に馴染む質感とフラットなデザイン
Xperia Ace IIIを初めて手に取った印象は、「シンプルで実用的」というものでした。ボディはプラスチック素材ですが、背面にはマット仕上げのテクスチャ加工(ザラザラした質感)が施されています。この加工が非常に優秀で、指紋や細かな傷がほとんど目立ちません。質感については「上品」と感じるか、「価格相応でチープ」と感じるか好みが分かれるところですが、私はこのザラザラ感が滑り止めとして機能し、グリップ感を高めてくれる点で気に入りました。
注目すべきは背面のデザインです。前モデル「Xperia Ace II」のデュアルカメラとは異なり、本機はシングルカメラを採用し、そのレンズ部分が出っ張りのない完全なフラット設計になっています。カフェのテーブルなどに置いた際もガタつくことが一切なく、この地味ながらもストレスフリーな設計は非常に好印象でした。
圧倒的な携帯性を誇るコンパクトボディ
本機最大の魅力は、その圧倒的なコンパクトさです。本体サイズは約140mm(高さ)×69mm(幅)、重量も約162g と軽量です。4500mAhの大容量バッテリーを搭載する5Gスマートフォンとしては、発表当時世界最小サイズを実現していました。このサイズ感は、前モデル「Xperia Ace II」とほぼ変わらない大きさを維持しています。
実際に使ってみると、ジーンズのポケットにもすっぽりと収まり、どこへでも気軽に持ち運べます。特に感動したのは片手での操作性で、『LINE』や『X (旧Twitter)』のタイムライン確認、親指だけでのフリック入力が、スマートフォンを持ち替えることなく完結します。AppleのiPhone SE(第3世代)と近いサイズ感であり、近年大型化が進む中で、このコンパクトさを求める人にとっては本当に貴重な選択肢だと感じました。
実用性を追求したポートとボタン配置
エントリーモデルでありながら、日常使いで重宝するインターフェースが惜しみなく搭載されています。本体上部には、今やハイエンドモデルでは見かけることが少なくなった3.5mmオーディオジャックをしっかりと搭載。手持ちの有線イヤホンをそのまま接続でき、『Spotify』などの音楽配信サービスを遅延や音切れの心配なく楽しめるのは大きな喜びでした。
本体下部にはUSB Type-Cポートとモノラルスピーカーが配置されています。右側面には音量ボタンと、電源ボタンと一体化した指紋認証センサーがあります。このセンサーは反応も良く、マスク生活では欠かせない機能です。左側面にはSIMスロットがあり、microSDカードにも対応しています。このスロットはSIMピンが不要なタイプで、爪先で簡単に引き出せる手軽さも便利でした。
日常の「うっかり」を防ぐ高い耐久性
Xperia Ace IIIは、毎日気兼ねなく使える「タフさ」も備えています。ディスプレイには、多くのハイエンドモデルで採用実績のある高耐久ガラス「Corning Gorilla Glass Victus」が使われています。カバンの中で鍵と擦れても傷ひとつ付かず、うっかり落としそうになった時も「このガラスなら大丈夫」という精神的な安心感がありました。
さらに、IPX5/IPX8の防水性能とIP6Xの防塵性能に対応している点も心強いです。キッチンでレシピ動画を見ながら料理をしたり、アウトドアシーンで急な雨に降られたりしても慌てる必要がありません。USB Type-Cポートがキャップレス防水に対応しているため、充電のたびにカバーを開閉する手間がないのも、日常使いにおいて非常に優れたポイントだと感じました。
まとめ:デザイン
- 質感:マットなテクスチャ加工で指紋や傷が目立ちにくいが、質感の好みは分かれる
- 携帯性:約140mm×69mm、約162gのコンパクトボディは片手操作に最適
- カメラデザイン:背面カメラは出っ張りのないフラット設計で、机に置いてもガタつかない
- ポート類:3.5mmイヤホンジャック搭載は大きな利点 。SIMピン不要のスロットも便利
- 耐久性:高耐久ガラス「Gorilla Glass Victus」採用で画面が傷つきにくい
- 防水・防塵:IPX5/IPX8・IP6X対応で、水回りや雨の日でも安心して使える
ディスプレイ:Xperia Ace III 日常使いでの実力と屋外での注意点
ここでは、Xperia Ace IIIのディスプレイについて、その表示品質や日常での使い勝手を、実際に様々なシーンで使ってみた感想を交えながらレビューしていきます。
ナチュラルな発色とコンパクトボディいっぱいの画面
Xperia Ace IIIが搭載するのは、約5.5インチの液晶ディスプレイです。コンパクトな本体サイズに対して画面占有率が高く、ベゼルが比較的細いため、動画やWebサイトを閲覧する際に没入感があります。発色については、有機ELディスプレイのような鮮やかさや高いコントラストはありませんが、全体的にナチュラルで落ち着いた色合いです。長時間『X (旧Twitter)』やニュースサイトを見ていても目が疲れにくく、日常的に情報をチェックする用途には非常に適していると感じました。
色の表現については評価が分かれるかもしれませんが、ギラギラした派手な色合いが苦手な私にとっては、この自然な発色は好印象でした。前モデル「Xperia Ace II」から画面サイズ、解像度共に変更はありませんが、必要十分な表示品質を維持しています。
日常使いには十分な解像度と少し気になる点
ディスプレイの解像度はHD+(1496×720)です。最近のスマートフォンでは標準的となったフルHD以上の解像度ではないため、高画質な映像コンテンツを重視する方には物足りなさを感じるかもしれません。実際に『YouTube』で4K画質の風景動画を再生してみたところ、細部の精細さにおいてはハイエンドモデルに及ばない印象でした。
しかし、SNSで友人の写真を見たり、ウェブで調べ物をしたりといった日常的な使い方では、解像度の粗さが気になることはほとんどありませんでした。画面に表示される文字がぼやけることもなく、快適にコンテンツを楽しむことができます。動画視聴がメインでなく、コミュニケーションや情報収集を中心にスマートフォンを利用するユーザーであれば、大きな不満は感じないでしょう。
屋外での視認性には注意が必要な輝度
ディスプレイ性能で最も注意すべき点が、画面の明るさ(輝度)です。リフレッシュレートは60Hzで、スクロール操作は標準的ですが、輝度の低さは利用シーンによっては明確な弱点となります。室内で利用している限りは全く問題ありませんが、一度屋外に持ち出すと、その評価は一変します。
先日、晴れた日の昼間に公園のベンチで『Google マップ』を使ってルートを確認しようとした際、太陽光が反射してしまい画面がほとんど見えませんでした。輝度を最大にしても視認性の改善は限定的で、最終的に手で影を作ってようやく内容を把握できた、という体験をしました。屋外での作業や、外出先で頻繁にスマートフォンを確認する方にとっては、この点は大きなストレスになる可能性があります。
<Xperia Ace IIIのディスプレイ仕様>
- サイズ: 約5.5インチ
- 種類: 液晶ディスプレイ (TFT)
- 解像度: HD+ (1496×720)
- リフレッシュレート: 60Hz
- 保護ガラス: Corning Gorilla Glass Victus
まとめ:ディスプレイ
- 表示品質: SNSやWebサイトの閲覧には十分な解像度だが、フルHD以上のモデルと比べると精細さで見劣りする
- 発色: コントラストは控えめでナチュラルな色合いのため、長時間の閲覧でも目が疲れにくい
- 屋外視認性: 輝度が低く、特に直射日光下では画面が非常に見えにくい点が最大の弱点
- 耐久性: ハイエンド機にも採用される高耐久ガラス「Corning Gorilla Glass Victus」により、傷や衝撃への安心感は高い
パフォーマンス:Xperia Ace III エントリーモデルの常識を覆すCPUと悩ましいメモリ
ここでは、Xperia Ace IIIのパフォーマンスについて、CPUやメモリの性能、実際の操作感、発熱などを詳しくレビューしていきます。
エントリーの常識を変えるCPU性能
Xperia Ace IIIの動作性能を担うのは「Snapdragon 480 5G」です。これは8nmプロセスで製造されており、前モデル「Xperia Ace II」に搭載されていた「Helio P35」とは比較にならないほど大幅に性能が向上しています。Helio P35はエントリーモデルの中でも動作のもたつきが指摘されていましたが、Snapdragon 480 5GはCPUコア構成(Kryo 460)と動作周波数(最大2.0GHz)が強化され、体感速度が劇的に改善しました。
注目すべきはGPU性能も同様で、「Adreno 619」を統合しています。Geekbench 5のベンチマークスコアでは、Snapdragon 730(ミドルレンジSoC)と同等レベルを記録しており、従来のSnapdragon 400番台のイメージを覆す、日常使いには十分すぎる処理能力を持っていることがわかります。
快適な操作感と「4GBメモリ」という最大の壁
このCPU性能の向上は、日常のあらゆる操作で実感できます。『Chrome』でのWebブラウジングや『X』(旧Twitter)のスクロールは、前モデルで見られたような引っかかりが減り、非常にスムーズになりました。また、カメラアプリの反応も良く、シャッターボタンを押してから保存までの待機時間が短い点も快適です。
しかし、この快適なCPU性能の足を引っ張っているのが、わずか4GBの搭載メモリ(RAM)です。この容量不足は、特にアプリの切り替え(マルチタスク)において深刻なストレスを生みます。実際に『Chrome』で情報を検索しながら『Twitter』を確認し、また『Chrome』に戻るといった単純な操作でも、アプリが再起動(タスクキル)されることが多々ありました。
このメモリ不足は、画像編集のような少し負荷のかかる作業で顕著になります。例えば『Adobe Lightroom』のようなアプリで高解像度のRAW画像を読み込んだり、複数のレイヤーや複雑な補正を重ねるような操作では、動作が極端に重くなりました。動画編集に至っては、素材を読み込むだけでフリーズすることもあり、この端末でのクリエイティブな作業は非現実的だと感じました。
安定した発熱管理
発熱に関しては、非常に優秀だと感じました。8nmプロセスの恩恵か、長時間『YouTube』で動画を再生し続けても、本体が不快なほど熱くなることはありません。負荷がかかるアプリを15分間動作させた検証でも、本体温度は40℃を大きく下回っており、冷却性能は安定しています。ただし、一部では夏場の使用時にかなりの高温になったという報告もあるため、使用環境によっては注意が必要かもしれません。
拡張性に救われるストレージ事情
メモリは4GBのLPDDR4X を搭載しています。前述の通り、この容量が最大のボトルネックであり、開発者オプションで確認すると常にメモリ使用率が90%を超えている状態でした。仮想メモリ機能も搭載されていないため、物理メモリの少なさを補う手段がなく、動作の快適さを大きく損ねています。
内蔵ストレージ(ROM)は64GBです。この容量自体はエントリーモデルとしては標準的ですが、OSやプリインストールアプリで約20GBが最初から使用されています。しかし、Xperia Ace IIIの大きな救いとなっているのが、最大1TBのmicroSDXCカードに対応している点です。『Apple Music』や『Spotify』の楽曲データを大量にダウンロードしたり、撮影した写真や動画をすべてSDカードに保存したりできるため、本体ストレージの少なさを効果的にカバーできます。
<Xperia Ace IIIのパフォーマンス仕様>
- SoC: Qualcomm Snapdragon 480 5G Mobile Platform
- CPU: 8コア Kryo 460、最大2.0GHz
- GPU: Adreno 619
- プロセス: 8nm
- メモリ(RAM): 4GB LPDDR4X
- ストレージ(ROM): 64GB
- 外部ストレージ: microSDXC(最大1TB)対応
まとめ:パフォーマンス
- CPU性能:前モデル(Ace II)から飛躍的に向上し、日常使い(SNS、Web閲覧)では快適に動作する
- GPU性能:Adreno 619を搭載し、エントリーモデルとしては十分な描画能力を持つ
- メモリ(RAM):4GBと非常に少なく、最大のボトルネック。アプリの再起動が頻発しマルチタスクは困難
- ストレージ(ROM):64GB(実質空き容量は約40GB)と少ないが、最大1TBのmicroSDカードで補完可能
- 発熱:負荷時でも温度上昇が抑えられており、冷却性能は優秀
Antutuベンチマーク
Xperia Ace IIIが搭載するQualcomm Snapdragon 480 5G プロセッサは、Antutu V9総合で約29万点以上を記録すると言われています。
実際に測定してみると、約29万点を記録していました。
例: Antutu V9.3.9 総合で「298637」、CPUで「98786」、GPUで「65873」、MEMで「62741」、UXで「71237」
一方、前モデルの「Xperia Ace II」(エクスペリア エース ツー)は、MediaTek Helio P35 プロセッサを搭載し、Antutu V9 総合で約11万点を記録していました。
例: Antutu V9.0.10-OB 総合で「113765」、CPUで「33252」、GPUで「17512」、MEMで「28334」、UXで「34667」
Xperia Ace IIIは前モデルの「Xperia Ace II」よりもスコアが18万点向上しています。
ゲーム性能:Xperia Ace III ~人気タイトルの動作を徹底検証~
Xperia Ace IIIが搭載する「Snapdragon 480 5G」は、日常使いでは快適なパフォーマンスを発揮しますが、ゲームではどの程度の実力を見せるのでしょうか。ここでは、人気のゲームタイトルを実際にプレイし、その動作感やフレームレート(FPS)を具体的にレビューしていきます。
原神
まず、非常に高いグラフィック性能が求められるオープンワールドRPG『原神』です。画質設定を「低」、フレームレートを「30」に設定してプレイしてみました。広大なフィールドを探索したり、素材を集めたりする場面では、フレームレートは30FPS近くを維持しており、ストーリーを進める分には問題なく楽しむことができました。
しかし、複数の敵との戦闘が始まったり、キャラクターが派手なエフェクトの元素爆発を使ったりすると、処理が追いつかずにカクつき、動きが目に見えて遅くなる場面が頻繁にありました。高難易度のコンテンツを快適にプレイするのは難しいですが、自分のペースで世界観に浸るような遊び方なら十分に楽しめるでしょう。
PUBG MOBILE LITE
次に、低スペックの端末でも快適に動作するよう設計された『PUBG MOBILE LITE』です。こちらは非常に快適なプレイフィールで、画質設定を高くしても、フレームレートはほぼ常に60FPSを維持していました。建物が密集したエリアでの銃撃戦でもカクつくことはなく、敵の動きが滑らかに表示されるため、エイムも非常に合わせやすかったです。このゲームであれば、性能不足を感じることはまずないでしょう。
ウマ娘 プリティーダービー
キャラクターの育成とレースが魅力の『ウマ娘 プリティーダービー』では、日常の育成パートは全くストレスなくサクサクと進行します。最も負荷のかかるレースシーンや、豪華なウイニングライブにおいても、標準の画質設定でフレームレートは安定して30FPSを保っていました。多数のキャラクターが一斉に動く場面で、もしわずかな引っかかりが気になる場合は、ゲーム内の描画設定を簡易にすることで、さらに滑らかな動作が期待できます。
マリオカート ツアー
人気レースゲームのスマートフォン版、『マリオカート ツアー』も試しました。標準的な画質設定でプレイしたところ、レース中はほぼ常に60FPSの滑らかな描画を維持し、非常に快適でした。アイテムが飛び交ったり、画面が賑やかになるフィーバーモードに突入したりしても、処理落ちを感じることはありません。カーブでのドリフト操作も指の動きにしっかり追従し、ストレスなくレースに集中できました。
ポケモンGO
現実世界と連動する『ポケモンGO』の動作も確認しました。マップ上の移動やポケモンの捕獲、ジムバトルといった一連の操作はスムーズです。ゲーム内の設定で「ネイティブ等のリフレッシュレート」を有効にすると、多くの場面で60FPSの滑らかな描画となり、より快適に楽しめます。大勢のプレイヤーが参加するレイドバトルでは、通信環境に左右される多少のカクつきはありますが、端末の処理能力が原因でプレイに支障が出ることはありませんでした。
マインクラフト
最後に、サンドボックスゲームの代表作『マインクラフト』です。初期設定の描画距離であれば、フレームレートは60FPS近くで安定し、非常に滑らかに動作します。ブロックの破壊や設置、素早い視点移動もスムーズで、ストレスなく建築や冒険に没頭できました。ただし、描画距離を最大に設定したり、TNTを大量に爆発させたりといった極端に高い負荷をかけると、一時的にフレームレートは低下します。一般的なプレイスタイルであれば、全く問題ない快適さです。
まとめ:ゲーム性能
- 総合評価: Snapdragon 480 5Gは、多くの一般的なゲームを標準設定で快適にプレイできる実力を持つ
- 重量級ゲーム: 『原神』のような高負荷なゲームは、画質設定を最低まで落とすことで、探索中心ならプレイ可能
- 軽量・中量級ゲーム: 『PUBG LITE』や『マリオカート』、『ポケモンGO』などは、60FPSでの滑らかなプレイが楽しめる
- 結論: 最新の3Dゲームを最高画質で楽しみたいヘビーゲーマーには不向きだが、暇つぶしに人気ゲームをプレイするライトな使い方であれば十分満足できる性能
カメラ性能:Xperia Ace III 記録用と割り切れば使える、賢いオート機能が魅力
ここでは、Xperia Ace IIIのカメラ性能について、日中や夜間など様々なシーンで撮影した実際の体験を基に、その実力を正直にレビューしていきます。
割り切りが必要なシングルカメラ構成
Xperia Ace IIIの背面カメラは、約1300万画素(F値1.8)の広角レンズ一つという、非常にシンプルなシングルカメラ構成です。注目すべきは、前モデルの「Xperia Ace II」に搭載されていた背景のぼかしを補助する深度センサーが廃止された点です。これにより、ハードウェア的にはさらにシンプルな構成となりました。
フロントカメラは約500万画素(F値2.2)となっており、こちらも前モデルから画素数が減少しています。また、光学式手ブレ補正(OIS)は搭載されておらず、スペックシート上は価格を抑えるための割り切りが強く感じられる構成です。
賢いオート機能が撮影をサポート
ハードウェアはシンプルですが、ソフトウェア面では撮影を助けてくれる賢い機能が搭載されています。被写体やシーンを自動で判別して最適な設定で撮影してくれる「プレミアムおまかせオート」は健在で、カメラを向けるだけで「料理」や「人物」などを認識してくれます。
さらに、本機から新たに「オートHDR撮影機能」が追加されました。これにより、逆光のような明暗差の激しいシーンでも、カメラが自動で白飛びや黒つぶれを抑え、自然な明るさの写真を撮影してくれます。ただし、専用の「夜景モード」や、細かい設定が可能な「マニュアルモード」は搭載されていません。
日常スナップは得意、でも解像感には不満も
実際に様々なシーンで撮影してみて感じたのは、「光が十分にある環境であれば、そこそこ使える」ということです。晴れた日に公園の風景を撮影した際、「オートHDR」が効果的に働き、空の青さと日陰になった木々の両方をきれいに写し出してくれました。シャッターラグも少なく、テンポよく撮影できる点は快適でした。
しかし、撮影した写真を拡大してみると、全体的に解像感が低く、ディテールが甘い印象は否めません。風景の木々の葉や建物の壁などが少しぼんやりとしており、『Instagram』への投稿や友人との『LINE』での写真共有といった用途には十分ですが、美しい作品として残したい場合には力不足を感じます。まさに「記録用」と割り切って使うのが最適なカメラだと感じました。
動画撮影は手ブレとの戦い
動画撮影の性能は、正直なところ厳しい評価にならざるを得ません。光学式手ブレ補正がないため、歩きながら撮影すると画面がガタガタと大きく揺れ、非常に見づらい映像になってしまいます。三脚に固定したり、机に置いたりして完全に静止した状態でないと、安定した動画を撮影するのは困難でした。
また、実用面でストレスを感じたのがQRコードの読み取りです。カフェでQRコード決済をしようとした際、何度カメラをかざしてもなかなかピントが合わず、最終的に数秒間じっと動かずに待って、ようやく認識させることができました。日常のふとした瞬間に使う機能だからこそ、このピント合わせの遅さは大きなマイナスポイントです。
<Xperia Ace IIIのカメラ仕様、機能 一覧>
- メインカメラ(背面):
- 画素数:約1300万画素
- F値:1.8
- 構成:シングルカメラ(広角)
- フロントカメラ(前面):
- 画素数:約500万画素
- F値:2.2
- 主な機能:
- プレミアムおまかせオート
- オートHDR撮影機能
- ボケ撮影機能
- 動画撮影: 1080p / 30fps
まとめ:カメラ性能
- 画質:日中の撮影では十分だが、全体的に解像感が低く「記録用」のレベル
- 暗所性能:専用の夜景モードがなく、暗い場所での撮影はノイズが多くて苦手
- 機能:オートHDRは優秀で、逆光でも白飛びや黒つぶれを抑えてくれる
- 弱点:QRコードのピントが合いにくく、動画撮影時の手ブレが非常に大きい
- 総評:「Xperia」ブランドに期待する高画質ではなく、価格相応の性能と割り切りが必要
バッテリー持ちと充電:Xperia Ace III 期待を裏切らない圧倒的なスタミナ
ここでは、Xperia Ace IIIの最大の強みであるバッテリー性能に焦点を当てます。大容量バッテリーが実際の使用でどの程度持続するのか、そして充電性能やバッテリーケア機能について詳しくレビューしていきます。
4500mAhの大容量と驚異的な持続力
Xperia Ace IIIは、4500mAhという大容量バッテリーを搭載しています。これは前モデル「Xperia Ace II」の容量を維持しつつ、発表当時はこのバッテリー容量を搭載する5Gスマートフォンとして世界最小サイズを実現したことも注目されました。公式スペックでは、連続待受時間(4G)が約610時間、連続通話時間が約1780分とされており、エントリーモデルながら非常に高いスタミナが期待できます。
実際のバッテリー消費を検証するため、いくつかのテストを行いました。『YouTube』の動画をWi-Fi環境でストリーミング再生し続けたところ、1時間後のバッテリー消費はわずか4%でした。別のテストでは3時間再生し続けても残量は84%を維持しており、単純計算でも20時間近い連続動画再生が可能なスタミナです。また、負荷が高いとされる3Dゲーム(『PUBG Mobile』)を30分間プレイした際の消費も約6%に留まり、バッテリーの持ちは非常に優秀だと感じました。
テスト結果以上に感動したのは、日常でのバッテリー持ちです。私は通勤中に『Spotify』で音楽を聴き、休憩中にSNSやニュースサイトをチェック、帰宅後に少し動画を見るという使い方ですが、丸一日使用してもバッテリー残量は58%も残っていました。これなら丸2日は充電なしでも安心して使えそうです。STAMINAモードを併用すれば、ライトユーザーなら3日間持つというのも頷ける、まさに「抜群の電池持ち」です。
3年後も安心のバッテリーケア機能
Xperia Ace IIIは、ただバッテリーが持つだけでなく、長く使えるように設計されています。Xperia独自の「いたわり充電」と充電最適化技術により、充電時のバッテリーへの負荷を軽減。これにより、3年間使い続けてもバッテリーが劣化しにくいと謳われている点は、一つの端末を長く愛用したいユーザーにとって非常に大きな安心材料となります。
日常使いに十分な充電性能
充電性能については、急速充電(USB PD)に対応しています。ただし、ワイヤレス充電には対応していません。実際の充電速度は、バッテリー残量ゼロの状態から30分間で約35%まで回復しました。フル充電までは約145分(約2時間25分)と平均的ですが、これだけのバッテリー持ちがあれば十分でしょう。購入時に充電器は同梱されていないため、急速充電の恩恵を受けるには、30W以上のUSB PD対応充電器を別途用意することをおすすめします。
<Xperia Ace IIIのバッテリー・充電 仕様>
- バッテリー容量:4500mAh
- 急速充電:USB PD対応
- ワイヤレス充電:非対応
- バッテリーケア機能:いたわり充電 , STAMINAモード
まとめ:バッテリー
- バッテリー容量:コンパクトながら4500mAhの大容量バッテリーを搭載
- 実使用時間:日常的な使用でも丸1日使って50%以上残る圧倒的な持続力。ライトな使い方なら2〜3日持つことも可能
- 長寿命設計:「いたわり充電」機能により3年後も劣化しにくいバッテリーを実現
- 充電性能:急速充電(USB PD)に対応し30分で35%まで充電可能
- 注意点:充電器は非同梱で、急速充電には30W以上のPD対応充電器が別途必要
オーディオと通信性能:Xperia Ace III 音楽好きに響く機能と、不安定な通信
ここでは、Xperia Ace IIIのオーディオ品質や、5G・Wi-Fiなどの通信性能、GPSの精度について、実際に使って感じた点をレビューしていきます。
エントリーモデルらしからぬ「音」へのこだわり
本体下部に搭載されているスピーカーはモノラル仕様で、音質は正直「無難」というレベルです。『Spotify』で音楽を流してみましたが、音に厚みや広がりはなく、ソニーのラジオのような低音寄りの音に感じられました。動画鑑賞や音楽鑑賞には迫力が足りませんが、ラジオを聴く程度なら問題ありません。また、音量を上げると音が外にダダ漏れする印象もあり、静かな場所での使用には少し気を使いました。
注目すべきは、エントリーモデルながらオーディオ機能が充実している点です。本体上部には3.5mmイヤホンジャックが搭載されており、有線のイヤホンを愛用している私にとっては大きな喜びでした。ハイレゾ音源の再生にも対応しており、さらにBluetoothでは高音質コーデック「LDAC」もサポートしています。これにより、対応するワイヤレスイヤホンで高音質な音楽体験が可能です。ただし、有線イヤホン接続時の音量がやや小さく感じられた点や、ソニー独自の高音質化技術「DSEE」が非搭載である点は、少し残念なポイントでした。
5G対応と、個体差の大きい通信安定性
Xperia Ace IIIは5G(Sub-6)に対応しており、将来的な通信環境の変化にも備えられます。Bluetooth 5.1にも対応し、ワイヤレスイヤホンとの接続は安定していました。しかし、私が使用した個体では、通信の安定性に大きな課題を感じました。自宅のWi-Fiルーター(2階に設置)から離れた1階の寝室で利用すると、他のスマートフォンでは問題ない状況でも、本機だけWi-Fiの電波が著しく弱くなり、接続が切れることが多々ありました。
モバイルデータ通信についても同様で、電波の掴みが悪く、場所によっては圏外になりやすい印象を受けました。ただし、これは個体差や環境によるものかもしれません。他のユーザーからは「Pixel 7よりも電波受信感度が良かった」という肯定的な意見もあり、評価が分かれる部分のようです。
日常使いには十分なGPS性能
GPS性能については、Snapdragon 480 5GがQZSS(みちびき)を含む7つの衛星測位システムに対応しています。『ポケモンGO』をプレイしてみましたが、GPS感度に大きな問題はなく、キャラクターが漂流することもなく普通に遊べました。
しかし、一度『Google マップ』と他の位置情報ゲームを同時に起動した際、片方のアプリの動作が不安定になる現象も経験しました。また、ディスプレイの輝度が低い(屋外で見にくい)こともあり、日中の明るい時間帯に『Google マップ』をカーナビとして使うのは難しいと感じました。
<Xperia Ace IIIのオーディオ・通信性能 仕様>
- スピーカー: モノラルスピーカー
- イヤホンジャック: 3.5mmオーディオジャック搭載
- オーディオ機能: ハイレゾ音源再生対応(有線・無線)
- Bluetooth: Ver.5.1 、LDAC対応
- サウンドエンハンサー: DSEE、Dolby Atmos非搭載
- Wi-Fi: IEEE802.11a/b/g/n/ac
- 5G通信: Sub-6対応
- GPS: GPS、GLONASS、Beidou、Galileo、QZSSなどに対応
まとめ:オーディオ・通信性能
- オーディオ(利点):3.5mmイヤホンジャック搭載とLDAC対応は、音楽好きにとって大きな魅力
- オーディオ(弱点):スピーカーはモノラルで音質は平凡。有線イヤホン時の音量がやや小さい
- 5G通信:エントリーモデルながら5Gに対応し、将来性も確保
- 通信安定性:Wi-Fiやモバイルデータ通信の電波感度が悪いという報告が複数あり、環境や個体差によっては不安定になる可能性
- GPS:日常のマップ利用や『ポケモンGO』程度なら問題なく動作する精度
OSと機能:Xperia Ace III シンプルさと必須機能の賢い両立
ここでは、Xperia Ace IIIのソフトウェアの使い勝手や、おサイフケータイ、指紋認証といった日常に欠かせない機能について、詳しくレビューしていきます。
シンプルさを極めたUIと、少し寂しいXperiaらしさ
Xperia Ace IIIは、発売時のOSとしてAndroid 12を搭載しており、その後Android 14までのアップデートが提供されました。ユーザーインターフェース(UI)は、メーカー独自のカスタマイズが少ない、いわゆる「ピュアAndroid」に近い設計です。そのため、Androidスマートフォンに慣れている方であれば、設定画面なども直感的で迷うことなく操作できるでしょう。
しかし、Xperiaシリーズの長年のファンとして少し残念だったのは、独自の便利機能「サイドセンス」が搭載されていない点です。前モデルの「Xperia Ace II」にはあったこの機能は、画面の端をダブルタップするだけでアプリのショートカットを呼び出せるため、片手操作の快適さを格段に向上させていました。この機能がなくなったことで、マルチウィンドウ(2画面表示)を使う際は、アプリ履歴画面から操作する必要があり、やや手間が増えた印象です。
初心者も安心の「かんたんホーム」
本機が多くのユーザー層に支持される理由の一つが、「かんたんホーム」機能の存在です。このモードに切り替えると、ホーム画面のアイコンや文字が大きく表示され、レイアウトも非常にシンプルになります。スマートフォンを初めて使う方や、シニア世代の方でも視覚的に分かりやすく、操作に迷うことがありません。
特に便利なのが、家族や友人など、よく電話をかける相手をショートカットとしてホーム画面に登録できる機能です。ワンタッチで発信できるため、連絡帳を探す手間が省けます。実際に私の親がこの機能を使っていますが、『LINE』のアイコンと並べて孫の連絡先を登録しており、「これなら間違えずに電話できる」と大変喜んでいました。
長く使うためのOSアップデート
OSのアップデート保証について、ソニーから明確な年数は公表されていませんが、本機はAndroid 12から14まで、2回のメジャーOSアップデートが提供された実績があります。エントリーモデルとしては十分なサポートと言えるでしょう。「いたわり充電」によるバッテリーの長寿命化設計と合わせ、一つの端末を長く使い続けたいというニーズに応える思想が感じられます。セキュリティアップデートも定期的に提供されており、安心して使い続けることができます。
必須機能はフル装備、ただし生体認証には一長一短も
Xperia Ace IIIは、エントリーモデルながら日本市場で求められる必須機能を網羅しています。まず、おサイフケータイ(FeliCa)に対応している点は最大の魅力です。駅の改札で『Suica』をかざしたり、コンビニで『iD』を使って支払いを済ませたりといったキャッシュレス決済が、この一台で完結します。
生体認証は、本体右側面の電源ボタンと一体化した指紋認証センサーを搭載しています。顔認証には対応していません。この指紋センサーは、マスクをしたままでも素早くロック解除できるため非常に便利です。しかし、センサーの幅が細いためか、指が少し汗ばんでいたり、濡れていたりすると認証に失敗することがありました。何度か試してようやく解除できる場面も経験し、認証精度にはやや不安定さを感じました。
<Xperia Ace IIIのOS・機能 仕様>
- OS: Android 12 (Android 14までアップデート対応)
- UI: Xperiaホーム, かんたんホーム
- 独自機能: サイドセンス非搭載
- おサイフケータイ: FeliCa搭載
- 生体認証: 側面電源ボタン一体型指紋認証 (顔認証は非対応)
- SIM仕様: nanoSIM (au版、ワイモバイル版はeSIM対応のデュアルSIM仕様)
まとめ:OSと機能
- UIデザイン:メーカーのクセが少ないシンプルなAndroid体験が可能だが、Xperia独自の「サイドセンス」は非搭載
- かんたんホーム:アイコンや文字が大きく表示され、スマホ初心者やシニア層でも直感的に操作できる
- OSサポート:Android 12から14まで2回のメジャーアップデート実績があり、長く使える安心感がある
- おサイフケータイ:FeliCaを搭載し、主要なキャッシュレス決済に対応
- 指紋認証:マスク時でも便利な側面指紋認証だが、センサーの幅が細く、指の状態によっては認証精度が不安定になることも
Xperia Ace IIIのメリット・デメリット
「Xperia Ace III」は、そのコンパクトなサイズと手頃な価格で注目されるエントリーモデルです。しかし、実際に使用してみると、非常に優れた点と、価格以上に妥協が必要な点が明確に分かれる機種でもありました。ここでは、そのメリットとデメリットを詳しく解説します。
【メリット】
メリット1:圧倒的なコンパクトさと携帯性
最大の魅力は、そのサイズ感です。高さ約140mm、幅約69mmというコンパクトなボディは、手の小さな女性でも片手で操作しやすいサイズです。4500mAhのバッテリーを搭載する5Gスマートフォンとしては世界最小サイズ(2022年5月時点)を実現しており、ポケットにもすっぽり収まる携帯性は、大型スマホが苦手な人にとって貴重な選択肢です。
メリット2:大容量バッテリーと長寿命設計
コンパクトなボディに4500mAhの大容量バッテリーを搭載しています。実際の使用感でもバッテリー持ちは非常に良いという評価が多く、ライトユーザーであれば2日充電なしでも使えるとの声もあります。さらに、Xperia独自の「いたわり充電」技術により、バッテリーの劣化を抑え、3年使い続けても劣化しにくい長寿命設計が施されています。
メリット3:エントリーモデル屈指の耐久性
価格を考えると非常に高い耐久性を備えています。ディスプレイには、ハイエンドモデルで採用されることが多い高耐久ガラス「Corning Gorilla Glass Victus」が使われており、落としても割れにくく、傷にも強い設計です。また、IPX5/IPX8の防水性能とIP6Xの防塵性能にも対応し、キッチンなどの水回りや雨の日でも安心して使用できます。
メリット4:必須機能(おサイフケータイ・イヤホンジャック)の搭載
エントリーモデルでありながら、日本市場で重視される機能が省略されていません。キャッシュレス決済に必須のおサイフケータイ(FeliCa)を搭載しています。さらに、近年では珍しくなった3.5mmオーディオジャックも搭載しており、手持ちの有線イヤホンで遅延なく音楽や動画を楽しめるのは大きな利点です。
メリット5:microSDカードによるストレージ拡張
内蔵ストレージは64GBと少なめですが、microSDカードスロットを搭載しています。最大1TBまでのmicroSDXCカードに対応しており、写真や動画、音楽データを大量に保存できるため、本体容量の少なさを十分にカバーできます。
メリット6:前モデル(Ace II)からの飛躍的な性能向上
前モデル「Xperia Ace II」のCPU(Helio P35)は動作のもたつきが指摘されていましたが、本機は「Snapdragon 480 5G」を搭載したことで性能が飛躍的に向上しました。ベンチマークスコアは約3倍近く向上しており、「スナドラ400番台とは思えないほど快適になった」との声もあるほど、日常使いのレスポンスが改善されています。
メリット7:高音質コーデック「LDAC」に対応
イヤホンジャック搭載に加え、ワイヤレスオーディオにも配慮されています。ソニー独自の高音質コーデック「LDAC」に対応しているため、対応するワイヤレスイヤホンやヘッドホンを持っていれば、ハイレゾ相当の高音質で音楽を楽しむことが可能です。
【デメリット】
デメリット1:深刻なメモリ(RAM)不足
本機の最大の弱点は、4GBしか搭載されていないメモリ(RAM)です。これにより、複数のアプリを切り替えると、前に使っていたアプリがすぐに再起動(タスクキル)してしまいます。『Chrome』と『Twitter』を行き来するだけで読み込み直しが発生することもあり、日常的な操作でかなりのストレスを感じる原因となっています。
デメリット2:屋外では見えない暗いディスプレイ
ディスプレイの輝度(明るさ)が低い点は、多くのレビューで指摘されています。室内での使用は問題ありませんが、日中の屋外、特に直射日光の下では画面がほとんど見えなくなってしまいます。地図アプリの確認やカーナビ代わりに使用するには不向きです。
デメリット3:価格相応以下のカメラ性能
カメラ性能への評価は非常に厳しく、「クラス最低かも」との声もあります。前モデルにあった深度センサーが廃止され、シングルカメラになりました。特に暗所での撮影はノイズが多くて苦手で、QRコードの読み取り時にピントが合いにくいという実用面での問題も報告されています。
デメリット4:モノラルスピーカーと機能削減
スピーカーは本体下部にあるモノラル仕様です。音質は「ラジオのよう」とも評され、動画鑑賞などでの迫力には欠けます。また、ソニー独自の高音質化技術「DSEE」が非搭載である点も、音楽再生に期待するユーザーにとっては残念なポイントです。
デメリット5:ワイヤレス充電に非対応
エントリーモデルであるため、ワイヤレス充電には対応していません。充電はUSB Type-Cポート経由でのみ行う必要があります。
デメリット6:不安定な通信(Wi-Fi・電波)の報告
一部のユーザーからは、Wi-Fiの電波を掴む力が弱い、または接続が切れやすいという報告が寄せられています。モバイルデータ通信についても同様に「電波が激弱」との指摘があり、通信の安定性に不安が残る可能性があります(ただし、個体差や環境による可能性もあります)。
デメリット7:Xperia独自機能「サイドセンス」の非搭載
ソフトウェア面では、Xperiaシリーズの便利な独自機能「サイドセンス」が非搭載となりました。前モデル「Xperia Ace II」には搭載されていた機能だけに、操作性を重視するユーザーからは残念がる声が上がっています。
Xperia Ace IIIのスペック(仕様)一覧
- ディスプレイ: 約5.5インチ 液晶ディスプレイ、HD+(1496×720)、リフレッシュレート60Hz
- CPU: Qualcomm Snapdragon 480 5G Mobile Platform
- GPU: Adreno 619
- RAM(メモリ): 4GB
- ストレージ: 64GB (※microSDXC 最大1TB対応)
- バッテリー: 4500mAh
- 駆動時間: 連続待受け時間(4G)約610時間
- 充電: USB PD対応 (※ワイヤレス充電 非対応)
- 背面カメラ: 約1300万画素 (F値1.8) シングルカメラ
- 前面カメラ: 約500万画素 (F値2.2)
- ワイヤレス通信: Wi-Fi: IEEE802.11a/b/g/n/ac 、Bluetooth: ver.5.1
- GPS: 〇 (GPS、GLONASS、Beidou、Galileo、QZSS、NavICなど7衛星対応)
- NFC: 〇 (おサイフケータイ対応)
- インターフェース: USB Type-C 、3.5mmオーディオジャック
- 防水防塵: 防水(IPX5/IPX8)、防塵(IP6X)
- 生体認証: 指紋認証 (側面電源ボタン一体型)
- OS: Android 12 (初期OS)
- サイズ: 約69mm×約140mm×約8.9mm
- 重量: 約162g
- カラー: ブラック、グレー、ブリックオレンジ、ブルー (※キャリアにより取扱いが異なります)
- モバイル通信(5G/4G/3G): 5G (Sub-6) 対応
- SIMカード: nanoSIM (※au版 、ワイモバイル版 はeSIM対応)
- 対応バンド:
5G: n78/79 (ドコモ版) 、n3/28/77/78 (au版)、n3/28/77 (ワイモバイル版)
4G: B1/3/5/12/19 (ドコモ版) B1/3/18 (au版)、B1/3/8/12/41 (ワイモバイル版)
Xperia Ace IIIの評価
8つの評価基準で「Xperia Ace III」を5段階で評価してみました。
【項目別評価】
画面の見やすさ:★★☆☆☆
室内では十分ですが、多くのレビューで「日中の屋外では暗くて見えない」と指摘されており、HD+解像度も物足りません。
スペック:★★★☆☆
Snapdragon 480 5Gは前モデルから飛躍的に向上しましたが、4GBのRAMが深刻なボトルネックで、アプリの再起動が頻発します。
耐久性: ★★★★★
エントリーモデルながら高耐久の「Gorilla Glass Victus」を採用し、防水防塵(IPX5/8, IP6X)性能も万全で非常に優秀です。
デザイン:★★★★☆
軽量コンパクトなサイズ感と、指紋が目立たないマットな質感、カメラが出っ張らないフラットな背面が実用的で高く評価されています。
通信:★★☆☆☆
5Gに対応したのは良い点ですが、「Wi-Fiの掴みが弱い」「電波感度が悪い」といった安定性に関する厳しい意見が目立ちます。
機能:★★★★☆
おサイフケータイ、イヤホンジャック、microSDカード対応と、日本市場で求められる必須機能がしっかり搭載されています。
使いやすさ:★★☆☆☆
「かんたんホーム」は良いですが、RAM不足によるアプリの再起動や、精度の低い指紋認証が日常のストレスになっています。
価格:★★★★☆
発売当初の定価は競合より高めでしたが、キャリアの乗り換え(MNP)などで、非常に入手しやすい価格設定が魅力です。
【総評】 ★★★☆☆
メリットとデメリットが極端な一台
Xperia Ace IIIは、「日常使いに十分な性能」と「価格を大きく超える耐久性」、そして「深刻な使い勝手の問題」が混在する、非常に評価が難しいスマートフォンです。CPUが前モデル「Xperia Ace II」のHelio P35からSnapdragon 480 5Gへと飛躍的に進化したことで、基本的な動作感は改善しました。しかし、その性能の足を引っ張るのが、わずか4GBのRAMです。
深刻なRAM不足と不安定な基本機能
実際に使ってみると、この4GBのメモリ不足は想像以上に深刻です。『Chrome』で調べ物をして『LINE』で返信し、また『Chrome』に戻るといった日常的な操作でさえ、アプリが再起動してしまい、イライラが募ります。また、画面が日中の屋外で非常に見にくい点、Wi-Fiやモバイル電波の感度が悪いという報告が多数ある点、指紋認証の精度が低くロック解除に失敗しやすい点など、スマートフォンの「基本機能」とも言える部分に多くの不満が集中しています。
割り切って使う「サブ機」または「初心者機」として
一方で、本機が持つ魅力も明確です。エントリーモデルでありながら、ハイエンド機にも採用される高耐久ガラス「Gorilla Glass Victus」を搭載し、防水防塵性能も万全です。さらに、おサイフケータイ、3.5mmイヤホンジャック、microSDカードスロットという「三種の神器」を全て搭載しており、機能面での妥協はありません。
結論として、この端末はメイン機としてバリバリ使う人には全くお勧めできません。しかし、その圧倒的な耐久性と必須機能を活かし、音楽プレーヤーや決済用と割り切った「サブ機」として、あるいは「かんたんホーム」を使い、アプリを複数起動しないと割り切れる「スマートフォン初心者」向けとしては、非常に強力な選択肢となるでしょう。
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Xperia Ace IIIの価格・購入先
※価格は2025/10/21に調査したものです。価格は変動します。
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他のソニーXperia スマホと比較
他にもソニーXperiaスマホが販売されています。2025年、2024年モデルや低価格なモデルもあるので、ぜひ比較してみてください。
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