
2025年11月18日に発売されたカラー対応「BOOX Palma 2 Pro」(Onyx)は、スマートフォンのようなポケットサイズで「気軽に読書もメモもできる」電子ペーパータブレットとして評判です。
このレビューでは、前モデルであるモノクロ版「BOOX Palma 2」からの劇的な進化点や、ライバル機「Bigme HiBreak Pro」との違いを実機で比較・検証し、その使い勝手や使用感を徹底解説しました。
【先に結論からお伝えしましょう】
BOOX Palma 2 Proの長所(Pros):
- カラー電子ペーパー (Kaleido 3) と BSR技術 による、視認性の高さとスマホ並みの高速レスポンス
- スタイラスペン(別売)対応 により、このサイズ感で手書きメモやPDF注釈が可能
- Android 15 & Google Playストア搭載 で、Kindleや楽天Koboなど好きなアプリが自由に使える
- モバイルデータ通信 & GPS対応 により、Wi-Fi環境がない屋外でも単独でネットや地図が使える
BOOX Palma 2 Proの短所(Cons):
- 音声通話とSMSが利用不可(データ通信専用のため、メインスマホの完全な代わりにはならない)
- フロントカメラ非搭載 のため、顔認証ロック解除や自撮りはできない
- ペンの収納場所が本体になく、持ち運びに工夫が必要
- カラー化の影響で画面の地色が暗く、屋内では フロントライトの点灯がほぼ必須
総合評価:
BOOX Palma 2 Proは、スマホの通知やエンタメから距離を置きつつ、読書や調べ物、メモ書きに集中したい人にとって理想的な「持ち歩けるデジタル書斎」です。通話機能がないためメイン機の代替にはなりませんが、ポケットに入るサイズでカラー表示とペン入力を両立したサブ機としては、現時点で最高峰の完成度を誇ります。Android端末でも「通知やブルーライトなどをなくして、読書やメモに集中したい。」という人におすすめです。
<この記事で分かること>
- デザイン:サイズ、重量、マットな質感、指紋認証、撥水(防水性能)、耐久性、ボタン配置、携帯性
- ディスプレイと操作性:Kaleido 3 カラー電子ペーパー、BSRテクノロジー、フロントライト(色温度調整)、解像度
- 通信性能:SIMフリー、SIM(データ専用で通話不可)、eSIM(非対応)、LINE、SMSの制限、GPS(A-GPS)、Wi-Fi、Bluetooth
- スタイラスペン:InkSense Plus、手書き、筆圧感知(4096段階)、メモアプリ「Notes」、傾き検知、書き心地
- パフォーマンス:Snapdragon 750G、Antutuベンチマーク、メモリ(8GB RAM)、ストレージ(128GB)、アプリの動作、遅延と残像
- カメラ性能:16MPリアカメラ、ドキュメントスキャン(DocScan)、OCR(文字認識)、記録用
- バッテリー持ちと充電:3950mAhバッテリー、連続駆動時間、USB-C充電、消費電力
- AI機能:AIアシスタント、スマートボタン、文章作成、計算
- オーディオ:デュアルスピーカー、音質、Bluetoothオーディオ、マイク
- OSとソフトウェア:Android 15、Google Playストア、EinkWise、NeoReader、アップデート、BOOXDrop
- スペック:詳細仕様一覧、BOOX Palma 2(モノクロ)、Bigme HiBreak Proとの違い
- 評価:メリット・デメリット、星評価、Bigme HiBreak Pro比較、、おすすめユーザー
- 価格:販売価格、購入先(Amazon、楽天、ライバル機種との価格比較、中古)
この記事を最後まで読むことで、「BOOX Palma 2 Pro」を購入するべきかどうかがはっきりと分かるはず。購入に悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
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公式ページ:BOOX Palma 2 Pro | 6.13” Color Mobile ePaper with 5G Data Support – The Official BOOX Store
デザイン:BOOX Palma 2 Pro スマホ感覚のサイズと独自の質感
ここでは、BOOX Palma 2 Proのデザインや質感、実際に手にして感じた携帯性について詳しく書いていきます。
独自の背面加工と実用的な形状
箱から取り出して最初に手に取ったとき、プラスチック筐体でありながら、決して安っぽさを感じさせない実用的なビルドクオリティに驚きました。特に背面の質感が秀逸です。まるで岩や砂岩のような、あるいはトラックの荷台のライナー塗装のようなざらついたテクスチャ加工が施されており、手に吸い付くようなグリップ感があります。
最近のスマートフォンはガラス素材でツルツル滑ることが多いですが、本機はケースなしでも安心して握っていられます。また、このマットな仕上げのおかげで、指紋が全く目立たないのも大きなメリットです。背面左上には16MPカメラとLEDフラッシュがありますが、突起はわずかで、机に置いてもガタつきは気になりません。形状は角が少し丸みを帯びており、手のひらに優しくフィットします。
スマホサイズで携帯性抜群、重量とサイズの比較
サイズは159 × 80 × 8.8 mm、重量は約175gです。カラーはブラックとホワイトの2色が用意されています。実際にジーンズのポケットに入れて散歩に出かけてみましたが、違和感なく収まり、まさにスマホ感覚で持ち運べる「文庫本」といった印象でした。
ここで比較対象となる前モデルや競合機と数値を比べてみましょう。前モデルの「BOOX Palma 2」は厚さ8.0mm、重量170gでしたので、Pro版は0.8mm厚くなり、5g重くなっています。持った感覚としての差はわずかですが、数値上はサイズアップしています。一方、競合の「Bigme HiBreak Pro」は厚さ8.9mm、重量180gですので、これと比較するとBOOX Palma 2 Proの方が薄く、軽いです。高性能を詰め込みながら、競合よりもコンパクトに抑えている点は評価できます。
操作性を高めるボタン配置と拡張性
ボタンやポート類の配置は非常に考えられています。右側面には電源ボタンがあり、ここには指紋認証センサーが統合されています。指を添えるだけでロック解除できるのは便利ですが、ボタン自体が少し平らになっており、手探りでも位置がわかります。左側面には音量ボタンと、カスタマイズ可能な「スマートボタン」があります。このスマートボタンには「画面リフレッシュ」などを割り当てられるため、読書中の操作が非常に快適でした。
底面にはUSB-Cポートと、スピーカー、そしてSIMカードトレイがあります。このトレイはハイブリッド仕様で、microSDカード(最大2TB)を入れてストレージを拡張できるのが非常に心強いです。電子書籍データを大量に持ち歩く私にとって、SDカード対応は必須機能です。スピーカーは上部にも配置されており、デュアルスピーカー仕様ですが、横持ちで動画を見る際などは手で塞がないよう注意が必要だと感じました。
一つ残念だったのが、スタイラスペン「InkSense Plus」の収納場所がないことです。本体には磁石でくっつかず、付属のケースにもペンホルダーがありません。ペンを使いたい場合は別途持ち歩く必要があり、携帯性が損なわれると感じる場面がありました。
撥水性能とユニークなケース
耐久性に関しては、撥水設計(Water-repellent)が施されています。IP等級のような完全防水ではないため、お風呂での使用は躊躇われますが、カフェで少し水しぶきがかかったり、小雨の中で地図を確認したりする程度なら安心です。
付属品として同梱される「マグネット式2-in-1ケース」は非常にユニークです。カバー部分がマグネットで着脱可能になっており、読書中はカバーを外して軽量な本体だけで使い、持ち運ぶときはカバーをつけて画面を保護するといった使い分けができます。このギミックは実用的で、読書への没入感を高めてくれました。
付属品
基本的な付属品として、USB-Cケーブル、カードトレイ取り外しツール(SIMピン)、クイックスタートガイドなどが同梱されています。充電器は付属していないため、手持ちのものを使用しました。
まとめ:デザイン
- 第一印象:プラスチック製だが、背面のざらついた加工が上質で安っぽさは感じない
- グリップ感:滑りにくく指紋が目立たないため、ケースなしでも運用しやすい
- サイズ:159 × 80 × 8.8 mm。前モデルより0.8mm厚いが、競合Bigmeよりは薄い
- 重量:約175g。前モデルより5g増、競合Bigmeより5g軽量
- ボタン配置:右に指紋認証付き電源ボタン、左に音量とスマートボタンがあり操作性は良好
- 拡張性:底面のトレイでmicroSDカード(最大2TB)が利用可能
- スタイラス:本体やケースに収納・吸着できず、持ち運びに難あり
- 耐久性:撥水設計だが完全防水ではないため、水没には注意が必要
ディスプレイと操作性:BOOX Palma 2 ProのカラーE InkとBSRの実力
ここでは、BOOX Palma 2 Proの最大の特徴であるカラーディスプレイの視認性と、独自技術による操作感について書いていきます。
カラー化された画面の第一印象と特性
電源を入れて画面が表示された瞬間、スマートフォンのようなサイズ感の中に、落ち着いた色合いのカラー画面が浮かび上がる様子に新鮮な驚きを覚えました。採用されているのは6.13インチの「Kaleido 3」カラー電子ペーパーです。
実際にKindleアプリで漫画を表示してみると、淡いパステルカラーのような発色で、液晶のような鮮烈さはありませんが、情報の判別には十分な彩度が確保されています。ただ、カラーフィルターを通している影響で、画面の地の色(背景の白)は、再生紙やわら半紙のようにかなり暗いグレーに見えます。
モノクロ専用の前モデル「BOOX Palma 2」がスッキリとした白さを持っていたのに対し、本機は「少し暗い部屋で新聞を読んでいる」ような感覚に近いです。それでも、ポケットから取り出してサッとカラーの図版やコミックの表紙を確認できる体験は、このサイズ感ならではの喜びがありました。
解像度と他機種との比較
ディスプレイのスペックを詳しく見ていくと、モノクロ表示時の解像度は300ppi、カラー表示時は150ppiとなっています。これは競合となる「Bigme HiBreak Pro(カラーモデル)」と同等のスペックです。
文字の表示に関しては、モノクロ300ppiのおかげで輪郭がシャープで、ルビなどの細かい文字も潰れずに読むことができます。一方で、カラー150ppiの表示エリアでは、目を凝らすと特有のザラつきや粒状感(網点のような模様)が見受けられます。特にアメコミのようなフルカラーの漫画を表示すると、ディテールが少し粗く感じる場面もありました。
比較対象である前モデル「BOOX Palma 2」はモノクロ専用のCarta 1200パネルを採用しており、文字を読むことだけに特化するなら、背景が白くコントラストが高い前モデルの方が読みやすいと感じるのが正直なところです。しかし、2:1という縦長のアスペクト比はスマホと同じ感覚で情報を閲覧でき、Webブラウジングでリンクの色などが判別できるProのメリットは、情報収集端末として非常に大きいと感じました。
必須となるフロントライトの品質
先述の通り、Kaleido 3特有の画面の暗さを補うため、屋内での使用時はフロントライトの点灯がほぼ必須となります。
実際に使用してみると、ライトの品質は非常に高く、画面全体を均一に照らしてくれます。最大輝度にすれば直射日光下のような明るい場所でも負けない視認性を確保でき、逆に就寝前の暗い寝室では、最小輝度まで絞ることで眩しさを感じずに読書ができました。
特に気に入ったのが色温度調整機能(CTM)です。昼間は白い寒色系の光でスッキリと文字を読み、夜はオレンジ色の暖色系の光に切り替えることで、ブルーライトを抑えたリラックスした読書体験が得られます。競合のBigme端末も調整機能を備えていますが、BOOXのライトは調整の幅が広く、より自然な紙の質感に近い色味を作れると感じました。このライト機能のおかげで、画面の暗さという弱点は実用上かなりカバーできています。
BSRによるスマホ並みの操作体験
操作性において注目すべきは、BOOX独自の画面高速化技術「BSR(BOOX Super Refresh)」です。電子ペーパーは画面の書き換えが遅いのが欠点ですが、BSRを搭載した本機は驚くほどキビキビと動きます。
実際にGoogle Chromeでニュースサイトを閲覧し、縦にスクロールしてみましたが、「高速モード」に設定すると、液晶スマホに近い感覚で滑らかに画面が追従します。もちろん、スクロール中は画質が少し粗くなり、文字の残像(ゴースト)が薄く残ることがありますが、指を離すと一瞬で綺麗な表示にリフレッシュされるため、ストレスはほとんど感じません。
「バランスモード」や「HDモード」など、用途に合わせてモードを切り替えられるのも便利です。Bigme HiBreak Proも高速化技術を持っていますが、アプリごとにリフレッシュ設定を細かく最適化できる「EinkWise」などのソフトウェア面での作り込みは、BOOXの方が一日の長があると感じました。WebブラウジングやSNSのタイムライン確認など、「動き」のあるコンテンツをここまで快適にこなせるのは、BSR搭載機ならではの強みです。
まとめ:ディスプレイと操作性
- 画質特性:カラーはパステル調で視認性は十分だが、背景色は「BOOX Palma 2」より明らかに暗いグレーである
- 解像度:モノクロ300ppiで文字は鮮明だが、カラー150ppiでは特有の粒状感が見られる
- フロントライト:画面の暗さを補うために必須であり、暖色・寒色の調整機能が目の疲れ軽減に役立つ
- 操作性(BSR):BSR技術によりスクロール操作が非常に滑らかで、Web閲覧も実用的なレベルでこなせる
- 競合比較:Bigmeと比較しても、アプリごとのリフレッシュ設定の柔軟性やライトの質感が優れていると感じた
通信性能:BOOX Palma 2 Proの実力検証!待望のモバイル通信対応とGPSの使い心地
前モデルのBOOX Palma 2はWi-Fi専用機だったため、外出先でWeb小説を読んだりクラウドのデータを同期したりするには、スマートフォンのテザリングやポケットWi-Fiが必須でした。しかし、このBOOX Palma 2 Proはついにモバイルデータ通信に対応し、単独でネットにつながる自由を手に入れました。ここでは、実際にSIMカードを挿して分かった通信性能の実力と、競合機種との決定的な違いについて詳しく書いていきます。
ハイブリッドSIMスロットとデータ通信の快適さ
本体底面のトレイを引き出すと、そこには「ハイブリッドSIMスロット」が現れます。これは、2枚のnanoSIMカード(※eSIMには非対応)を入れるか、あるいは1枚のSIMカードと1枚のmicroSDカード(最大2TB)を入れるかを選べる仕様です。私は自炊した書籍データを大量に持ち歩きたいので、迷わずSIM+microSDカードの構成を選びました。
実際にソフトバンク回線のSIMカードを挿入してみたところ、APN設定に手こずることなくスムーズに4G/5Gネットワークに接続されました。発売時点(2025年11月)ではソフトバンクおよびワイモバイル回線のみのサポートとなっている点は注意が必要ですが、今後アップデートで他キャリアのAPN設定も開放される予定とのことです。
Wi-Fi環境がない電車内やカフェでも、スマホを取り出すことなくサッと調べ物ができるのは、前モデル「BOOX Palma 2」にはなかった大きなメリットです。一方で、競合機の「Bigme HiBreak Pro」は完全なスマートフォンとして設計されており、どのキャリアでも柔軟に使える点が異なります。
通話機能の制限と「スマホ」との決定的な違い
ここで明確にしておかなければならないのが、BOOX Palma 2 Proは「通話ができない」という点です。形状はスマートフォンそのものですが、電話アプリを開いてもダイヤル画面は機能せず、090/080番号を使った音声通話やSMSの送受信はできません。実際にSIMカードの電話番号にかけてみましたが、着信反応はありませんでした。
これは、VoLTE通話やSMSが可能な「Bigme HiBreak Pro」との最大の違いです。Palma 2 Proはあくまで「タブレット」という位置付けなのです。SMSが使えないため、電話番号認証が必要な一部のアプリ(例えば、新規のLINEアカウント作成や特定の決済アプリの登録など)では、認証コードを受け取れずに躓く可能性があります。ただし、データ通信は通っているので、既存のアカウントを使ったLINE通話やZoom、TeamsなどのVoIPアプリによる通話は問題なく利用できました。
A-GPS搭載で実用性が増した地図利用
前モデルからの地味ながら大きな進化点が、A-GPSの搭載です。前モデルではWi-Fi測位に頼らざるを得ず、屋外での位置情報は不安定でしたが、Proでは現在地が正確に表示されます。
試しにGoogleマップを開いてナビゲーションを使ってみました。BSR(BOOX Super Refresh)技術のおかげで地図のスクロールや現在地の追従もスムーズで、カラー画面により道路や建物の識別もしやすくなっています。直射日光下でも画面が見やすい電子ペーパーの特性とGPSの組み合わせは強力で、街歩きの際に非常に役立ちました。Bigme HiBreak ProもGPSを搭載していますが、BOOX特有のリフレッシュ技術による描画の滑らかさは、地図アプリの操作性において一日の長があると感じました。
Wi-FiでのダウンロードとBluetooth接続性
自宅や職場ではデュアルバンド対応のWi-Fi(2.4GHz/5GHz)を利用しました。KindleストアやGoogle Playブックスでの書籍購入を試しましたが、画像が多い雑誌やコミックのダウンロードも非常に高速で、途中で接続が途切れるようなことはありませんでした。Webサイトの閲覧に関しても、Wi-Fiの安定性と高速な描画処理が相まって、画像読み込み待ちのストレスを感じることなく快適にブラウジングできます。
Bluetooth 5.1の接続性についても検証しました。手持ちのワイヤレスイヤホン(Sony WF-1000XM5)とポータブルスピーカー(Anker Soundcore)をペアリングしてみましたが、どちらも瞬時に認識され、接続は非常に安定しています。通勤中に本体をポケットに入れたまま、Audibleなどのオーディオブックをワイヤレスイヤホンで聴く際も、音飛びや切断は一度も発生しませんでした。キーボードなどの入力デバイスも問題なく繋がり、周辺機器との連携もスムーズです。
まとめ:通信性能
- SIMカード:ハイブリッドスロット採用で、データSIMとmicroSDカード(最大2TB)の同時利用が可能。eSIMに非対応。
- 対応ネットワーク:発売時はソフトバンク・ワイモバイル回線に最適化されており、5Gデータ通信も快適。
- 通話・SMS:携帯電話番号による通話やSMS送受信は不可。Bigme HiBreak Proとの決定的な違い。
- 位置情報:A-GPS搭載により、Googleマップなどの地図アプリが屋外でも正確に利用可能に進化した。
- Wi-Fi:デュアルバンドWi-Fiにより、電子書籍ストアでの大量ダウンロードやWeb閲覧も高速で快適。
- Bluetooth:Bluetooth 5.1に対応し、ワイヤレスイヤホンやポータブルスピーカーとの接続も安定している。
スタイラスペン:BOOX Palma 2 Proのペン入力対応とその実用性
ここでは、BOOX Palma 2 Proで新たに追加されたスタイラスペン機能について、書き心地や実用性を中心に書いていきます。
ペン入力対応こそがProの証、他機種との決定的な違い
BOOX Palma 2 Proの最大のアピールポイントの一つが、スタイラスペンによる手書き入力に対応したことです。前モデル「BOOX Palma 2」はペン入力に非対応でしたし、競合機種である「Bigme HiBreak Pro」も指でのタッチ操作のみでペンには対応していません。つまり、スマホサイズの電子ペーパー端末で「手書きメモ」を取りたいなら、現時点ではこのPalma 2 Proが唯一無二の選択肢となります。
進化した専用ペン「InkSense Plus」の実力
使用するには、別売りの専用スタイラス「InkSense Plus」が必要です。このペンは「InkSenseスタイラス」の後継機であり、直径9mm、重さ約15.3gと適度な重量感があります。4096段階の筆圧感知に加え、傾き検知にも対応しているため、ペンの角度によって線のニュアンスを変えるような描画も可能です。
注目すべきはペン先の改良です。前モデルのペンに見られた硬い書き味とは異なり、柔らかい素材のペン先に交換可能となったことで、画面への当たりがソフトになりました。実際に書いてみると、カツカツという不快な接触音が抑えられ、静かな図書館やカフェでも周囲を気にせず使えそうです。ペン先直径は0.6mmと極細で、細かい文字を書く際も視認性が抜群です。
紙に近い書き心地と、画面サイズゆえの使い所
純正のメモアプリ「Notes」を起動し、実際に文字を書いてみました。ペン先が画面に触れた瞬間、適度な摩擦感があり、ツルツル滑ることなく紙に鉛筆で書いているような心地よいフィードバックが得られます。
描画の遅延(レイテンシ)については、素早く線を引くとペン先からわずかに遅れて線が追従してくる感覚がありますが、文字を書く分には許容範囲内です。ただし、EMR(電磁誘導方式)を採用している上位機種に比べると、構造上ペン先と描画位置にわずかな視差(ズレ)を感じる場面もありました。
6.13インチという画面サイズは、長文のノートを取るにはやはり狭いです。ガッツリと議事録を取るというよりは、TODOリストを作成したり、PDFの資料にサッと注釈を入れたり、買い物リストを書き留めたりといった「デジタルメモパッド」としての使い方が最も輝くと感じました。パームリジェクション機能も搭載されており、画面に手を置いて書いても誤動作することはほとんどありませんでしたが、画面端では稀に反応が鈍くなることがありました。
<ペンの設定画面>
ペンは設定画面で種類、太さ、カラーなどを変更できる。
機能性とバッテリー管理、収納の課題
このペンはUSB-C端子による充電が必要なアクティブスタイラスです。80mAhのリチウムポリマー電池を内蔵しており、ペン本体には充電状況インジケーターも搭載されています。面白い機能として、デバイスに装着(接続)すると画面上でペンのバッテリー残量を確認できるほか、Gセンサーによる「オートウェイク(自動スリープ解除)」機能も備えています。
サードパーティ製アプリ「Microsoft OneNote」での動作も確認しました。サイドにあるショートカットボタンを押しながら書くことで消しゴム機能が動作し、PCやタブレットで作成したOneNoteのメモを手軽に修正できるのは非常に便利です。
機能面では満足度が高い一方で、物理的な仕様には不満も残ります。最大の課題は「収納場所がない」ことです。本体にも付属ケースにもペンを収納するホルダーやマグネット吸着機能がありません。ペンを使いたい場合は別途ペンケースなどで持ち歩く必要があり、高い携帯性が少し損なわれると感じました。
まとめ:スタイラスペン
- 対応機種:前モデル「BOOX Palma 2」や競合「Bigme HiBreak Pro」はペン非対応であり、手書き機能はProだけの特権である。
- ペン仕様:別売りの「InkSense Plus」が必要。4096段階の筆圧感知と傾き検知に対応し、ペン先は0.6mmと極細。
- 書き心地:柔らかいペン先により摩擦感が向上し、接触音も静か。紙に近い書き味を実現している。
- 機能:サイドボタン、オートウェイク、USB-C充電、画面上でのバッテリー残量表示に対応。
- 遅延:文字を書くには問題ないレベルだが、構造上わずかな視差や、高速描画時の遅れを感じる場合がある。
- 用途:画面サイズが小さいため、メモやPDFへの注釈、TODOリスト作成に向いている。
- 利便性:本体やケースに収納場所がないため、持ち運びに工夫が必要である。
パフォーマンス
ここではBOOX Palma 2 Proのパフォーマンスについて、Antutuベンチマーク、アプリの動作感、メモリ・ストレージの3つのセクションにわけて詳細に紹介します。
Antutuベンチマーク
BOOX Palma 2 Proには、Qualcomm製の「Snapdragon 750G」というプロセッサが搭載されています。これは、同時に発売されたモノクロ版の「BOOX Palma 2」や、Samsungのスマートフォン「Galaxy M23 5G」に採用されているものと同じチップです。
750Gは、8nmプロセスで製造されたオクタコアCPU(Kryo 570)と、グラフィック処理を行うGPU(Adreno 619)を組み合わせており、いわゆる「ミドルレンジ(中級機)」に位置する性能を持っています。最新のハイエンドスマホには及びませんが、電子ペーパー端末としては非常に高性能な部類に入り、独自の画面高速化技術「BSR(BOOX Super Refresh)」をスムーズに動かすための重要な動力を担っています。
Antutuベンチマークは以下の通りです。
【Antutu V9バージョン】
例: Antutu V9.3.8 総合で「395702」、CPUで「120526」、GPUで「93822」、MEMで「71115」、UXで「110239」
これをAntutu V10 ベンチマークに換算すると、約44万点になります。※CPUは「約 135,000」、GPUは「約 100,000」
CPU性能を比較
BOOX Palma 2 Proが搭載するQualcomm Snapdragon 750Gプロセッサと他のCPUをAntutuベンチマークで比較してみました。
初代BOOX Palmaと比較
BOOX PalmaはSnapdragon 662 プロセッサを搭載し、Antutu V9総合で約19万点を記録していました。
例: Antutu V9.3.0 総合で「190494」、CPUで「67003」、GPUで「33404」、MEMで「42290」、UXで「47797」
※Antutu V10 換算で総合「約23万点」、CPU性能「約8万点」、GPU性能「4万点」
Antutu V9でBOOX Palma 2 Pro(39万)と比較すると、約20万点の差があり、BOOX Palma 2 Proの方が圧倒的に高速であることが分かります。
Bigme HiBreak Proと比較
Bigme HiBreak Proが搭載するMediaTek Dimensity 1080 プロセッサは、
例: Antutu V9.5.6 総合で「511667」、CPUで「141854」、GPUで「129228」、MEMで「101239」、UXで「139346」
※Antutu V10 換算で総合「約59万点」、CPU性能「約18万点」、GPU性能「13万点」
Antutu V9でBOOX Palma 2 Pro(39万)と比較すると、12万点の差があり、Bigme HiBreak ProのCPUの方が性能が高いことがわかります。
<ベンチマーク結果の比較からわかること>
ベンチマーク結果の比較から、初代Palmaに対する進化は劇的であることがわかります。スコアは約2倍に伸びており、これは体感速度に直結する大きな差となって現れます。アプリの起動や切り替え、Webブラウジングの快適さは、まさに別次元のレベルに達しています。
対してBigme HiBreak Proとの比較では、数値上でBigmeが約12万点上回っており、重いPDFの処理やマルチタスク、ゲームアプリの挙動においてはBigmeに分があると言えます。
しかし、電子ペーパー端末においては画面の描画速度自体がボトルネックとなりやすいため、40万点台のPalma 2 Proと50万点台のBigmeの差を、読書やテキスト入力といった日常的な用途で強烈に感じる場面は少ないかもしれません。
総じて、搭載されているSnapdragon 750Gは、独自の高速化技術BSRを快適に駆動させ、ストレスなく使用するための「必要十分な高性能」ラインに達していると評価できます。
アプリの動作感:BOOX Palma 2 Proの実機検証!ブラウザや電子書籍の快適度
ここでは、日常的に使用するブラウザやSNS、電子書籍アプリなどがBOOX Palma 2 Proで実際にどの程度快適に動くのか、遅延や残像(ゴースト)の程度に焦点を当てて書いていきます。
ブラウザやSNSでのスクロールと残像
まず、最も頻繁に使用するGoogle ChromeでのWebブラウジングについてです。8GBの大容量メモリを搭載しているおかげで、複数のタブを開いていても動作が重くなることはありません。注目すべきはスクロールの滑らかさです。縦に長いWebページを素早くスクロールしても、画面の書き換えが追いつかないようなカクつきはほとんど感じられません。
X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSアプリでも同様に、タイムラインをスムーズに流し見ることができます。ただし、スクロール中は画像や文字の輪郭が一時的に少し粗くなり、前の画面の残像(ゴースト)がうっすらと残ることがあります。とはいえ、指を止めれば一瞬でクリアな表示に戻るため、テキスト中心の投稿を読む分には全く支障がありません。
電子書籍アプリのページめくりと遅延
Kindleや楽天Koboといった電子書籍アプリでの動作も検証しました。テキスト主体の小説やビジネス書では、ページめくりの遅延はほとんど感じられず、サクサクと読み進めることができます。
一方で、写真や図版が多い雑誌や、書き込み密度の高いマンガを表示する場合、ページをめくった直後に前のページの絵柄が薄く残る「ゴースト」が発生することがあります。これはカラー電子ペーパーの特性上避けられない部分ですが、アプリの設定でページめくりごとのリフレッシュ頻度を調整することで軽減可能です。マンガの吹き出し内の文字などは鮮明で読みやすく、遅延によるストレスは感じませんでした。
Microsoft OneNoteなどでの入力遅延
次に、ビジネス用途で人気の「Microsoft OneNote」の動作を確認しました。スタイラスペンを使った手書き入力は可能ですが、純正の「Notes」アプリに比べると、筆跡の追従にわずかな遅延(レイテンシ)を感じます。ペン先を動かした後に、一瞬遅れて線が描画される感覚です。
それでも、筆圧感知や消しゴム機能はしっかりと動作するため、簡単なメモ書きやPDFへの注釈程度なら実用範囲内です。ただし、高速で文字を書くと遅れが目立つようになるため、本格的なノート取りには純正アプリの利用をおすすめします。
高負荷時の発熱
YouTubeアプリでの動画再生や、大量のアプリ更新といった高負荷な作業を続けても、端末が不快なほど熱くなることはありませんでした。背面のカメラ付近がほんのりと温かくなる程度で、熱によるアプリの強制終了などもなく、安定して動作しています。
まとめ:アプリの動作感
- 基本動作:8GB RAMによりアプリの起動や切り替えがスムーズで、マルチタスクも快適である。
- Web閲覧:Google Chromeなどのブラウザでのスクロールは滑らかで、ストレスなく閲覧できる。
- 電子書籍:小説などのテキストコンテンツは遅延なく快適。マンガなどは若干のゴーストが発生する場合がある。
- SNS:X(旧Twitter)などのタイムラインもスムーズに流せるが、スクロール中は若干の残像が発生する。
- OneNote:手書き入力は可能だが、純正アプリに比べて描画にわずかな遅延(レイテンシ)がある。
- 発熱:動画再生などの高負荷時でも発熱は穏やかで、動作は安定的である。
メモリとストレージ:BOOX Palma 2 Proの実力検証!大容量RAMと拡張性がもたらす快適さ
ここでは、BOOX Palma 2 Proのメモリ(RAM)とストレージ(ROM)性能について、実際の使用感を交えながら、競合機種との比較を明確にして解説していきます。
8GB RAMによる余裕のあるマルチタスク性能
BOOX Palma 2 Proは、メモリ(RAM)に8GBを搭載しています。前モデルの「BOOX Palma 2」が6GBであったのに対し、2GB増量されました。たかが2GBの違いと思うかもしれませんが、Android OSを搭載する端末において、この差は安定性に直結します(※仮想メモリ機能は利用できません)。
実際に、Kindleで読書をしながら、気になった単語をChromeで検索し、さらにNotesアプリでメモを取る、といったマルチタスクを行ってみました。アプリを次々と切り替えても動作がもたつくことはなく、バックグラウンドのアプリが勝手に落ちてしまうこともありませんでした。競合の「Bigme HiBreak Pro」も同じ8GB RAMを搭載していますが、Palma 2 Proもそれに並ぶスペックを持ち、複数のアプリを同時に立ち上げても余裕のある動作を実現しています。
128GBの内蔵ストレージと決定的な拡張性の違い
内蔵ストレージ(ROM)は128GBを搭載しています。システム領域を除いても100GB以上が自由に使えるため、テキストベースの書籍なら数千冊、一般的なコミックでも数百冊は余裕で保存できます。実際に私が普段読んでいるマンガアプリのデータをすべてダウンロードし、さらに仕事用のPDF資料を大量に入れても、まだ容量には十分な空きがありました。
しかし、ストレージに関して最も注目すべき点は、ハイブリッドSIMスロットを利用したmicroSDXCカードによる拡張機能です。最大2TBまでのカードに対応しているため、実質的に「無限」に近いライブラリを持ち運ぶことができます。
ここで競合機種との決定的な違いが生まれます。「Bigme HiBreak Pro」は内蔵ストレージこそ256GBとPalma 2 Proの倍ですが、microSDカードスロットを搭載していません。自炊した書籍データや高解像度のPDF、オーディオブックなど、数百GB単位のデータを管理したい私のようなユーザーにとって、SDカードで物理的に容量を増やせるPalma 2 Proの方が、圧倒的に運用が楽だと感じました。
Onyx Cloudによるデータ同期の利便性
物理的なストレージに加えて、BOOXユーザーには無料で10GBの「Onyx Cloud」ストレージが提供されます。
私は主に、手書きのメモ(Notesアプリ)やカレンダーの予定を同期するために利用しています。設定画面でアカウントにログインしておけば、Wi-Fiに繋がったタイミングで自動的にバックアップが取られるため、万が一端末を紛失してもデータが守られるという安心感があります。PCのブラウザからOnyx Cloudにアクセスし、Palma 2 Proで書いた手書きメモをPCの大画面で確認するといった連携もスムーズに行えました。
まとめ:メモリとストレージ
- 搭載メモリ:8GB RAMを搭載し、前モデル(6GB)よりもマルチタスク性能と安定性が向上している。
- 内蔵ストレージ:128GB ROMを搭載しており、一般的な利用であれば十分なライブラリ収納力を持つ。
- 拡張性:ハイブリッドSIMスロットで最大2TBのmicroSDXCカードが利用可能。SDスロット非搭載のBigme HiBreak Proに対する最大の優位点である。
- クラウド連携:10GB無料のOnyx Cloudを利用でき、手書きメモなどのデータ同期がスムーズに行える。
カメラ性能:BOOX Palma 2 Proの撮影機能とスキャン活用の実態
ここでは、BOOX Palma 2 Proに搭載されたカメラのハードウェア構成、利用可能な撮影モードやスキャン機能、そして実際に撮影して感じた独特の使用感について、競合機との違いも交えて詳しく書いていきます。
フロントカメラ非搭載の割り切ったカメラ構成
ハードウェア構成としては、背面に1600万画素(16MP)のリアカメラとLEDフラッシュを搭載しています。搭載されているイメージセンサー自体は、SonyやSamsungなどの一般的なスマートフォンに採用されているものと同じタイプであり、記録される写真データそのものはカラーです。
重要な点として、この端末にはフロントカメラが一切搭載されていません。そのため、自撮りはもちろん、顔認証によるロック解除も不可能です。競合機種である「Bigme HiBreak Pro」は背面に20MP、前面に5MPのカメラを備えており、ビデオ通話や自撮りが可能である点と比較すると、Palma 2 Proはあくまで「記録・スキャン」に特化した割り切った構成と言えます。
ドキュメントスキャンとOCRを中心としたカメラ機能
搭載されているカメラ機能は、単に写真を撮るだけではありません。標準のカメラアプリには「プロモード」が用意されており、ISO感度、ホワイトバランス、フォーカス、露出などを手動で細かく調整することが可能です。また、動画撮影機能やデジタルズーム機能も備えており、機能面ではスマホに近いことができます。
しかし、このカメラの主役はプリインストールされている「DocScan(ドキュメントスキャン)」アプリです。このアプリは書類のデジタル化に特化しており、撮影した文書の四隅を認識して補正する機能や、画像内の文字をテキストデータに変換するOCR(光学文字認識)機能を備えています。撮影したデータをそのままPDFとしてエクスポートしたり、テキストデータとしてコピーしたりできるため、アナログ情報をデジタルのワークフローに組み込むための入り口として機能します。
プレビュー画面の違和感と高い実用性
実際に静止画を撮影してみると、E Ink端末ならではの独特な体験に直面します。ファインダーとなるプレビュー画面は、E Inkの特性上、白黒で表示されるうえにリフレッシュレートが低く、映像がカクカクと動きます。そのため、細かいピント合わせや色味の確認はその場では難しく、構図を決めるだけでも少し慣れが必要だと感じました。しかし、撮影後にデータをPCや他のスマホに移して確認してみると、一般的なスマホで撮ったような鮮明なカラー写真が記録されており、画面上の見た目と実際の画質とのギャップに驚かされます。
ドキュメントスキャン機能の使用感は非常に優秀です。会議の資料やメモを撮影すると、DocScanアプリが自動的に文書の範囲を認識し、多少斜めから撮っても綺麗な長方形に補正してくれます。OCR機能も試してみましたが、日本語の文書でも高い精度で認識され、そのままテキストメモとして保存できるのは非常に便利でした。スナップ写真用としてはプレビューの荒さが気になりますが、資料の「記録」や「テキスト化」という目的においては、LEDフラッシュのおかげで暗い場所でも影を飛ばして撮影でき、非常に実用性の高いツールだと感じました。
まとめ:カメラ性能
- ハードウェア構成:1600万画素(16MP)のリアカメラとLEDフラッシュを搭載し、データ自体はカラーで記録される。
- フロントカメラ:非搭載のため、自撮りや顔認証は不可であり、ここがBigme HiBreak Proとの大きな違いである。
- 撮影機能:プロモードによるマニュアル撮影や動画撮影(デジタルズーム)など、標準的な撮影機能を備えている。
- スキャン機能:「DocScan」アプリにより、文書の自動認識や台形補正が可能である。
- OCR性能:画像から文字を抽出するOCR機能の精度が高く、紙資料のテキストデータ化に役立つ。
- 撮影体験:プレビュー画面は白黒でカクつくため構図決めは難しいが、記録される画像の画質は実用レベルで良好である。
バッテリー持ちと充電:BOOX Palma 2 Proの驚異的なスタミナと充電速度
ここでは、BOOX Palma 2 Proのバッテリー性能について、公称スペックから実際の使用環境での持続時間、そして充電速度に至るまで、詳細に検証した結果を書いていきます。
バッテリー容量と公称スペック、テスト結果
搭載されているバッテリーは3950mAhのリチウムイオンポリマー電池です。6.13インチという電子ペーパー端末としては十分な大きさであり、競合の「Bigme HiBreak Pro」の4500mAhには及びませんが、本体の軽量化とのバランスが取れた適切な容量と言えます。公称スペックでは、電子ペーパーの特性上、待機時間は非常に長く、使い方によっては数週間持つとされています。
実際の駆動時間を検証するため、Wi-Fiをオンにし、フロントライトを常時点灯(中輝度)させた状態で使用テストを行いました。その結果、連続使用で約20時間の駆動が可能でした。単純計算ですが、読書のみ(ライトなし)であれば1時間あたりのバッテリー消費は約1%に留まるため、理論上は100時間近い連続読書が可能ということになります。
実際の使用で感じた「1週間」のスタミナ
私の実際の利用シーンでは、通勤の往復2時間でWebニュースの閲覧や読書、休憩時間の30分でメモ取り、帰宅後に1時間ほどの読書というルーティンを毎日繰り返しました。この頻度で使用しても、バッテリーが切れるまでに約5~6日間は持ちました。Wi-FiやBluetoothを常時オンにし、フロントライトも多用するかなりアクティブな使い方でしたが、それでも週に1回の充電で済むというのは驚異的です。
Android端末でありながら、ここまでのロングバッテリーを実現しているのは、やはり電子ペーパーディスプレイの省電力性と、必要な時だけ画面を高速駆動させるBSR技術の恩恵が大きいと感じます。一方で、週末に旅行へ持ち出した際、GPSを使いながら地図アプリを頻繁に起動し、テザリングも併用したところ、さすがにバッテリーの減りは早くなり、2日目の夜には充電が必要になりました。高負荷なタスクや通信を多用する場合は、モバイルバッテリーがあると安心です。
USB-Cによる充電と速度
充電インターフェースは底面のUSB Type-Cポートを使用します。製品には充電器が付属していないため、手持ちの急速充電器(65W出力)を使用して充電時間を計測してみました。
バッテリー残量が20%の状態から充電を開始したところ、約2.5時間でフル充電(100%)に達しました。競合の「Bigme HiBreak Pro」が18Wの急速充電に対応しているのに対し、BOOX Palma 2 Proはそこまでの高速充電には対応していないようで、充電速度ではBigmeに一歩譲ります。しかし、最近のスマートフォンのような超急速充電ではないものの、週に1回程度の充電頻度で済む本機の特性を考えれば、夜寝る前にケーブルを挿しておくだけで十分運用可能であり、大きなデメリットとは感じませんでした。
まとめ:バッテリー持ちと充電
- 基本仕様:3950mAhのバッテリーを搭載し、電子ペーパー端末としては軽量さと容量のバランスが良い。
- テスト結果:フロントライト常時点灯の実測テストで約20時間の連続駆動を記録した。
- 消費率:読書のみなら1時間あたり約1%、メモ取りで約4%と非常に省電力である。
- 連続駆動時間:1日3時間程度の使用でも5~6日は持ち、週に1回の充電サイクルで運用可能。
- 充電速度:USB-Cポートを使用し、一般的な急速充電器でフル充電まで約2.5時間かかる。
- 競合比較:容量と充電速度(18W対応)ではBigme HiBreak Proに劣るが、BSRや省電力設計により実用上の持ちは優秀である。
AI機能:BOOX Palma 2 Proのスマートボタンで呼び出すAIアシスタントの利便性
ここでは、BOOX Palma 2 Proに搭載されたAI機能と、それを瞬時に呼び出せるスマートボタンの使い勝手、そして競合機種との違いについて書いていきます。
指先一つで呼び出すAIアシスタント
BOOX Palma 2 Proを使っていて最も未来的だと感じたのは、左側面に配置された「スマートボタン」とAI機能のシームレスな連携です。このボタンはカスタマイズ可能ですが、初期設定ではダブルクリックするだけで、どの画面からでも即座に「AIアシスタント」を起動できます。スマートフォンでAIを使おうとすると、ロックを解除してアプリを探して起動するという手順が必要ですが、本機なら読書中でもブラウジング中でも、物理ボタンをカチカチと2回押すだけでAIが待機状態になるため、思考を中断させません。
具体的で実用的な利用シーン
実際にAIアシスタントをいくつかの場面で試してみました。例えば、少し複雑な計算が必要になった際に「この方程式を解いて」と入力すると、バックエンドのAIエンジンが即座に計算過程と答えを提示してくれました。
また、休憩がてらに「木にとまった鳥についての物語を書いて」とリクエストしたところ、数秒でそれらしい物語が生成されました。応答性は非常に高く、待たされるストレスはほとんどありません。生成されたテキストデータは、その場でコピーしてメモアプリ「Notes」に貼り付けたり、気に入らなければ再生成させたりと、データ処理もスムーズに行えます。
競合機種との違いとアカウント連携
この機能を利用するにはOnyxアカウントへのログインが必要ですが、一度ログインしてしまえばいつでも呼び出せます。比較対象の「BOOX Palma 2」も同様の機能を備えていますが、Pro版は処理能力の高いSnapdragon 750Gを搭載しているためか、呼び出しから回答生成までの挙動がよりキビキビとしている印象を受けました。
また、競合の「Bigme HiBreak Pro」もAI機能を搭載していますが、BOOXのように物理ボタンのカスタマイズとAI呼び出しがこれほど直感的に統合されている点は、Palma 2 Proの大きなアドバンテージです。物理ボタンでAIを呼び出すという体験は、一度慣れると手放せなくなる快適さがありました。
まとめ:AI機能
- 機能の起動:側面のスマートボタンをダブルクリックすることで、即座にAIアシスタントを起動可能。
- インターフェース:Onyxアカウントにログインするだけで利用でき、シンプルで使いやすいUIを採用している。
- 利用例:「物語を書いて」や「方程式を解いて」といった指示に対し、AIエンジンが高い精度で迅速に応答する。
- データ処理:AIが生成した回答はコピー、削除、再生成が可能で、他のアプリへの共有もスムーズに行える。
- 比較優位性:物理ボタンによる即時起動は、アプリ操作が必要なスマホや、ボタン割り当てが異なるBigme HiBreak Proに対する明確なメリットである。
オーディオ性能:BOOX Palma 2 Proの音質検証とワイヤレス接続の実力
ここでは、BOOX Palma 2 Proの内蔵スピーカーやマイクの品質、そして読書体験を拡張するBluetoothオーディオの実用性について、実際に音楽やオーディオブックを再生して検証した結果を書いていきます。
デュアルスピーカーの仕様
本体の構成を見てみると、上部と底面にそれぞれスピーカーが配置されたデュアルスピーカー仕様となっています。また、マイクもデュアル構成となっており、ボイスレコーダーや音声入力にも対応しています。一見するとスマートフォンと同じような配置ですが、実際に音を出してみるとその特性ははっきりとしていました。
「声」に特化した音質特性
Spotifyで音楽を再生してみたところ、正直なところ音楽鑑賞用としては力不足を感じました。ドラムやベースなどの低音域は深みがなく、全体的に軽く、いわゆる「空洞感」のある音質です。また、音量を50%以上に上げると、高音域でシャリシャリとした歪みが目立ち始めます。しかし、このスピーカーの真価は「人の声」の再生にありました。中音域の解像度は意外に高く、ボーカルの声やニュースのナレーションは非常に明瞭に聞こえます。
実際にAudibleで小説の朗読を聴いてみたところ、ナレーターの声がくっきりと浮かび上がり、BGMとして流しておく分には快適でした。前モデル「BOOX Palma 2」も同様の傾向でしたが、音楽を楽しむための「Bigme HiBreak Pro」のようなマルチメディア端末というよりは、あくまで読書や学習を補助するための「実用的なスピーカー」として割り切った設計になっていると感じました。
マイク性能と音声入力の実用性
内蔵のデュアルマイクを使って、Googleの音声入力でメモを取ったり、通話アプリを試したりしました。音質は特に高品質というわけではありませんが、ディクテーションや簡単な音声メモ、ビデオ通話には十分な性能を持っています。私の声はしっかりと認識され、会議の議事録作成の補助や、ふと思いついたアイデアを声で記録するボイスレコーダーとしての用途には十分に役立ちました。
Bluetooth接続で化ける音楽体験
内蔵スピーカーは「声」に特化していましたが、Bluetooth接続を行うとその評価は一変します。愛用しているワイヤレスイヤホンを接続して同じプレイリストを再生してみたところ、内蔵スピーカーでは欠けていた重低音や繊細な高音がしっかりと再現され、リッチな音楽体験が可能になりました。
Bluetooth 5.1に対応しているため、コーデックによる音質の劣化も感じにくく、お気に入りのヘッドホンを使えばスマホと同等のクオリティで音楽やポッドキャストに没頭できます。この端末で音楽を本格的に楽しむなら、Bluetooth接続は必須と言えるでしょう。また、USB Type-CポートはOTGに対応しているため、有線のType-CイヤホンやDACを接続して、さらに高音質を追求することも可能です。
まとめ:オーディオ性能
- スピーカー構成:本体上下に配置されたデュアルスピーカー仕様であり、ステレオ再生に対応している。
- 音質(音楽):内蔵スピーカーは低音の響きが弱く、音量を上げると歪みやすいため、本格的な音楽鑑賞には不向きである。
- 音質(声):中音域は明瞭で、オーディオブックやポッドキャスト、語学学習の音声再生には最適である。
- マイク性能:デュアルマイクによる音声入力は実用レベルで、ディクテーションや音声メモに十分使える。
- Bluetooth音質:ワイヤレスイヤホンを接続することで内蔵スピーカーの弱点が解消され、音楽鑑賞に十分な音質が得られる。
- 拡張性:USB-CポートはOTGに対応しており、有線イヤホンの接続も可能である。
- 実用性:単体では「聴く読書」や「メモ」の補助ツールとして優秀であり、音楽を楽しむなら外部機器との接続が推奨される。
OSとソフトウェア:BOOX Palma 2 ProのAndroid 15と独自機能の使い心地
ここでは、BOOX Palma 2 Proに搭載された最新のAndroid 15 OSと、電子ペーパーの特性を最大限に活かすための独自ソフトウェア群について、実際の使い勝手や競合機種との比較を交えて書いていきます。
Android 15搭載の強みと独特なUIデザイン
本機の大きな魅力の一つは、最新のOSであるAndroid 15を搭載していることです。前モデルの「BOOX Palma 2」はAndroid 13、競合の「Bigme HiBreak Pro」はAndroid 14を採用しているため、OSの鮮度という点でPalma 2 Proは頭一つ抜けています。これにより、最新のサードパーティアプリとの互換性が高く、セキュリティ面でも安心して長く使えるというメリットがあります。
Google Playストアも標準搭載されており、ログインするだけで普段使っているKindleや楽天Kobo、Notionなどのアプリをすぐにインストールできました。ユーザーインターフェース(UI)はBOOX独自のカスタムが施されており、一般的なスマホとは少し操作感が異なります。機能が非常に豊富なため、設定項目が多く、最初はどこに何があるか戸惑うこともありました。しかし、慣れてくるとウィジェットの配置やジェスチャー操作などが理にかなっていることに気づきます。UIデザイン自体は以前よりもアイコンなどが洗練され、クリーンでモダンな印象を受けました。
3年間のアップデート保証という安心感
長く使う上で非常に心強いのが、発売日から3年以上にわたる無料ファームウェアアップデートの提供が約束されている点です。Android端末、特にニッチな電子ペーパー端末ではOSアップデートが放置されることも珍しくありません。競合のBigme HiBreak Proには同様の長期保証に関する明確なアナウンスが見当たらないため、セキュリティや新機能を継続的に受け取れるPalma 2 Proのサポート体制は、購入を決める大きな動機になると感じました。
電子ペーパーを最適化する「EinkWise」
カラー電子ペーパーを快適に使うための要となるのが「EinkWise」機能です。これはアプリごとに画面のリフレッシュモード、カラーの濃さ、コントラストなどを個別に設定できる機能です。
実際に使ってみて便利だったのは、アプリごとに設定を自動で切り替えてくれる点です。例えば、小説を読むアプリでは残像を抑える「HDモード」で文字をくっきり表示させ、Instagramを見る時は「超高速モード」でスクロールを滑らかにしつつ、カラーの彩度を上げて写真を鮮やかにするといった調整が可能です。最初こそ設定に手間取りますが、一度自分好みの表示を作ってしまえば、どのアプリも快適に閲覧できるようになります。
万能な読書アプリ「NeoReader」と対応フォーマット
標準搭載のPDFリーダーアプリ「NeoReader」は、非常に高機能です。PDFやEPUB、MOBIなど、主要な26種類のデジタルフォーマットに対応しており、ファイル形式を気にせず放り込める懐の深さがあります。
自炊したPDFの技術書を読んでみましたが、余白のカット機能やコントラスト調整機能が優秀で、小さな画面でも文字を最大限大きくして読むことができました。また、分からない単語を長押しして翻訳したり、AIアシスタントに要約させたりといった連携もスムーズです。サードパーティ製のリーダーアプリを入れる必要性を感じないほど、完成度の高いアプリだと感じました。
BOOXDropによるデータ連携
PCやスマホとのデータ連携には「BOOXDrop」機能が役立ちます。BOOXDropを使えば、同じWi-Fiネットワーク内にあるPCからブラウザ経由でファイルをドラッグ&ドロップするだけで転送が完了します。ケーブルを繋ぐ手間がなく、読み終わった書籍データを入れ替える作業が非常にスムーズでした。また、Onyx Cloud経由での読書データ同期もシームレスで、手書きの注釈などが自動でバックアップされるため、複数デバイス間での連携も容易です。
まとめ:OSとソフトウェア
- OS:Android 15を搭載。Palma 2(Android 13)やBigme HiBreak Pro(Android 14)よりも新しく、アプリ互換性と将来性に優れる。
- Google Playストア:標準対応しており、サードパーティアプリの導入が容易である。
- UIデザイン:多機能ゆえに学習曲線はあるが、モダンで洗練されたデザインに進化している。
- アップデート:3年以上のファームウェアアップデートが保証されており、長期利用への安心感がある。
- EinkWise:アプリごとに表示最適化やカラー調整が可能で、カスタマイズ性が非常に高い。
- NeoReader:26種類のフォーマットに対応する標準リーダーアプリで、PDF閲覧や学習機能が充実している。
- データ連携:BOOXDropやOnyx Cloudにより、ワイヤレスでのファイル転送やデータ同期がスムーズに行える。
検証してわかったBOOX Palma 2 Proのメリット・デメリット
ここでは、実際にBOOX Palma 2 Proを使用して分かったメリットとデメリットを、前モデル「BOOX Palma 2」や競合機種「Bigme HiBreak Pro」との比較を交えながら詳しく解説していきます。ポケットサイズの電子ペーパー端末として完成度は非常に高いものの、スマホ形状でありながら「できないこと」も明確に存在します。購入前に知っておくべきポイントを整理しました。
メリット(長所、利点)
メリット1:スタイラスペン対応による手書き入力(他2機種は非対応)
最大のメリットは、このサイズ感で筆圧感知対応のスタイラスペンが使えることです。前モデルの「BOOX Palma 2」や競合の「Bigme HiBreak Pro」はペン入力に対応しておらず、指でのタッチ操作しかできません。
実際に使ってみると、別売りのInkSense Plusペンによる書き心地は非常に滑らかで、紙のメモ帳を取り出す感覚でサッとアイデアを書き留められます。6.13インチという画面サイズは長文の執筆には向きませんが、TODOリストの作成やPDF資料へのちょっとした注釈入れには最適です。この「書ける」という体験が、単なるビューワーである他機種とPalma 2 Proを分ける決定的な違いだと感じました。
メリット2:microSDカードによるストレージ拡張(Bigmeは非対応)
BOOX Palma 2 Proは、ハイブリッドSIMスロットを採用しており、最大2TBまでのmicroSDXCカードを利用できます。内蔵ストレージ(128GB)だけでも十分な容量がありますが、自炊したPDFファイルやオーディオブックを大量に持ち歩くヘビーユーザーにとって、物理的に容量を増やせる安心感は絶大です。
競合の「Bigme HiBreak Pro」は内蔵ストレージこそ256GBと大きいものの、SDカードスロットを搭載していません。デバイスを買い替えてもSDカードを差し替えるだけでライブラリを移行できる利便性は、BOOX Palmaシリーズの大きな強みです。
メリット3:BSR技術による滑らかなWebブラウジング
BOOX独自の画面高速化技術「BSR(BOOX Super Refresh)」の恩恵は非常に大きいです。電子ペーパー特有の画面書き換えの遅さを劇的に改善しており、Google ChromeでのWebブラウジングやSNSのタイムラインスクロールが、スマホに近い感覚で滑らかに行えます。
「Bigme HiBreak Pro」も高速化技術を持っていますが、BOOXの方が残像処理とスクロール速度のバランスが良く、目の疲れにくい自然な挙動を実現していると感じました。特に「高速モード」や「超高速モード」を使えば、画質を少し落とす代わりに動画視聴すら可能になる柔軟性は、情報収集ツールとしての実用性を大きく高めています。
メリット4:Android 15搭載と長期アップデート保証
OSに最新のAndroid 15を搭載している点も大きなメリットです。前モデルのPalma 2はAndroid 13、Bigme HiBreak ProはAndroid 14を採用しているため、OSの鮮度とアプリ互換性においてPalma 2 Proが最も優れています。
さらに、発売日から3年以上のファームウェアアップデートが保証されている点も見逃せません。セキュリティパッチや新機能が継続的に提供される安心感は、長く愛用するデバイスとして非常に重要です。Google Playストアも標準搭載されており、特別な設定なしに好きなアプリを自由にインストールできる導入の敷居の低さも魅力です。
メリット5:モバイルデータ通信と正確なGPS(Palma 2は非対応)
前モデル「BOOX Palma 2」はWi-Fi専用機でしたが、Pro版はSIMカードによるモバイルデータ通信に対応しました。これにより、Wi-Fiがない場所でも単独でWeb検索やクラウド同期が可能になり、機動力が格段に向上しています。
また、A-GPSを搭載したことで、屋外での地図アプリの精度が実用レベルになりました。BSR技術によるスムーズな地図描画と合わせることで、ナビゲーション端末としても十分に機能します。スマホのバッテリーを温存したい旅行中などに、サブ機として地図や調べ物を任せられるのは非常に頼もしいです。
デメリット(短所、欠点)
デメリット1:音声通話とSMSが利用不可(Bigmeは対応)
形状はスマートフォンそのものですが、BOOX Palma 2 Proは「通話」ができません。データ通信専用SIMにのみ対応しており、090などの電話番号を使った音声通話やSMSの送受信は不可能です。
対して競合の「Bigme HiBreak Pro」は完全なスマートフォンとして設計されており、VoLTE通話やSMS認証が可能です。Palma 2 Proでは、SMS認証が必要なアプリ(LINEの新規登録など)のセットアップで躓く可能性があるため、あくまで「通信ができるタブレット」として割り切る必要があります。既存のアカウントを使ったLINE通話やZoomなどのデータ通信による通話は可能です。
デメリット2:カラー化による画面の暗さ(Palma 2の方が明るい)
Kaleido 3カラー電子ペーパーを採用した代償として、画面の地の色(背景)が暗くなっています。モノクロ専用の前モデル「BOOX Palma 2」と比較すると、その差は歴然です。Palma 2の画面が「白い紙」だとすれば、Palma 2 Proは「再生紙」や「わら半紙」のようなグレーがかった色味です。
そのため、屋内での使用時はフロントライトの点灯がほぼ必須となります。ライトを点ければ視認性は確保されますが、紙のような自然な反射光だけで読書を楽しみたいという「E Inkピュアリスト」の方には、モノクロ版の方が満足度が高いかもしれません。
デメリット3:フロントカメラ非搭載(Bigmeは搭載)
BOOX Palma 2 Proには、自撮り用のフロントカメラが搭載されていません。そのため、ビデオ通話で自分の顔を映したり、顔認証でロックを解除したりすることは不可能です。
競合の「Bigme HiBreak Pro」はフロントカメラを搭載しており、双方向のビデオ通話が可能です。Palma 2 Proは背面のリアカメラでドキュメントスキャンなどの「記録」は得意ですが、コミュニケーションツールとしてのカメラ機能は削ぎ落とされています。
デメリット4:スタイラスペンの収納場所がない
せっかくペン入力に対応したにもかかわらず、本体にも付属ケースにもスタイラスペンを収納する場所がありません。Galaxy S24 Ultraのように本体に内蔵できるわけでも、iPadのように磁石で吸着するわけでもないため、ペンを持ち歩くには別途ペンケースを用意するか、胸ポケットに挿すなどの工夫が必要です。ポケットサイズの携帯性が魅力の端末だけに、ペンと一緒に持ち運ぶ際のスマートさに欠ける点は非常に惜しいと感じました。
まとめ:メリット・デメリット
今回の検証を通じて、BOOX Palma 2 Proは「読む」「書く」「調べる」というインプット・アウトプット作業に特化した、非常に完成度の高いAndroid端末であることが分かりました。前モデルからの進化点であるカラー画面、ペン入力、データ通信対応は、実用性を大きく広げています。
一方で、通話機能やフロントカメラの欠如、ペンの収納問題など、スマホや競合のBigme HiBreak Proと比較して明確な弱点も存在します。これらを「不要な機能の断捨離」と捉えられるユーザーにとっては、集中力を高める最高のパートナーになるでしょう。逆に、1台でスマホの代わりをさせたいと考えるなら、Bigmeや他の選択肢を検討すべきです。
BOOX Palma 2 Proのスペック(仕様)
- ディスプレイ: 6.13インチ Kaleido 3 カラー電子ペーパー (解像度 B&W 300ppi / Color 150ppi)
- フロントライト: CTM付きフロントライト (暖色・寒色調整可能)
- プロセッサ: オクタコアCPU (Qualcomm Snapdragon 750G)
- GPU: Adreno 619 (BOOX Super Refreshテクノロジー搭載)
- RAM (メモリ): 8GB
- ストレージ: 128GB (microSDXCで最大2TBまで拡張可能)
- バッテリー: 3950mAh リチウムイオンポリマー
- 充電: USB Type-C
- ワイヤレス通信: Wi-Fi (2.4GHz/5GHz), Bluetooth 5.1
- インターフェース: USB-C (OTGサポート), microSDXC / Nano SIMハイブリッドスロット
- センサー: 指紋認証センサー, 光センサー, Gセンサー (自動回転), A-GPS
- スピーカー: デュアルスピーカー
- マイク: デュアルマイク
- スタイラスペン: InkSense Plus対応 (4096段階筆圧検知 / 別売)
- キーボード: ソフトウェアキーボード (Android標準またはサードパーティ製)
- ケース: マグネット式2-in-1ケース (別売 / 本体に付属する場合もあり)
- 機能: 指紋ロック解除, BSR, EinkWise, ドキュメントスキャン, OCR, TTS
- アプリ: NeoReader, DocScan, Google Playストア
- 耐久性: 撥水設計 (Water-repellent) ※IP等級なし
- OS: Android 15
- サイズ: 159 × 80 × 8.8 mm
- 重量: 約175g
- カラー: ブラック, ホワイト
- 付属品: 日本語初期設定マニュアル, 保証書, SIMピン, USBケーブル
- ドキュメント形式: PDF, EPUB, MOBI, TXT, DOC, DOCXなど全26種
- 画像フォーマット: PNG, JPG, BMP, TIFF
- オーディオ形式: WAV, MP3
- SIMカード: ハイブリッドSIMスロット (Nano SIM ×2 または Nano SIM + microSD)※eSIMに非対応
- 対応バンド: 5G (Sub6), 4G LTE (FDD/TDD), WCDMA, GSM (ソフトバンク系回線推奨)
BOOX Palma 2 Proの評価
10の評価基準で「BOOX Palma 2 Pro」を5段階で評価してみました。
【項目別評価】
ディスプレイの見やすさ: ★★★★☆
カラー電子ペーパーにより図版やWeb閲覧の情報量が増えましたが、モノクロ専用機に比べると画面地色が暗く、屋内ではフロントライトが必須となります。
ペンでの描画性能: ★★★★☆
4096段階の筆圧感知と適度な摩擦感で書き心地は良好ですが、本体にペンの収納場所がなく、持ち運びに工夫が必要な点が惜しまれます。
パフォーマンス: ★★★★★
Snapdragon 750Gと8GBメモリ、そしてBSR技術の組み合わせにより、スクロールやアプリの切り替えが非常にスムーズで、電子ペーパー端末としては最高峰の動作速度です。
機能: ★★★★☆
指紋認証、スマートボタン、ドキュメントスキャン、AIアシスタントなど機能は充実していますが、フロントカメラ非搭載のため顔認証や自撮りはできません。
通信性能: ★★★★☆
待望のモバイルデータ通信とGPSに対応し、Wi-Fiがない場所でも単独で使えますが、音声通話やSMSが利用できない点には注意が必要です。
バッテリー: ★★★★☆
読書やメモ中心なら週に1回の充電で済む驚異的なスタミナを持ちますが、GPSやデータ通信を多用すると消費は早まります。
デザイン: ★★★★☆
スマホサイズでポケットに収まる携帯性と、背面のマットな質感が素晴らしいです。ただし、やはりペンの収納ギミックが欲しかったところです。
オーディオ: ★★★☆☆
内蔵スピーカーは「声」の聞き取りには適していますが、音楽鑑賞には低音が不足しています。高音質を求めるならBluetooth接続が必須です。
価格: ★★★☆☆
約7万円という価格は、スマホの代替機として考えると安価ですが、電子書籍リーダーとして見ると高額な部類に入ります。
使いやすさ: ★★★★☆
Android 15搭載で好きなアプリを自由に使える自由度の高さと、アプリごとに表示を最適化できるEinkWise機能が便利です。
総評:★★★★☆
先代BOOX Palma 2からの劇的な進化
先代モデル「BOOX Palma 2」からの進化点は、単なるスペックアップに留まりません。最大の違いは「カラー画面化」「ペン入力対応」「モバイルデータ通信・GPS搭載」の3点です。モノクロで読むだけだった端末が、カラーで情報をインプットし、ペンでアイデアをアウトプットし、さらに屋外でも単独で通信できるデバイスへと変貌しました。
特にBSR技術とSnapdragon 750Gによる高速動作は、カラー画面でのWebブラウジングを実用的なものにしており、情報収集ツールとしての完成度は飛躍的に向上しています。読書専用機から、多機能なデジタル手帳へと進化したと言えるでしょう。
Bigme HiBreak Proとの比較と購入前の注意点
競合となる「Bigme HiBreak Pro」と比較した場合、BOOX Palma 2 Proの明確なデメリットは「通話機能」と「フロントカメラ」がないことです。Bigmeは完全なスマホとして通話や自撮りが可能ですが、Palma 2 Proはあくまで「通信できるタブレット」であり、090番号での通話やSMS認証はできません。LINEの新規登録などで躓く可能性があるため、メインスマホの完全な代替にはなり得ない点に注意が必要です。
一方で、Bigmeにはない「microSDカードスロット(最大2TB)」を備えている点は、自炊データや大量の資料を持ち歩くユーザーにとって大きなアドバンテージとなります。また、アプリごとの表示設定の細かさやUIの洗練度においても、BOOXに一日の長があります。
「読む・書く・調べる」を一台で完結させたい人に最適
BOOX Palma 2 Proは、スマホの通知やエンタメから距離を置きつつも、必要な調べ物や連絡、読書、メモ書きを一台で完結させたい人に最適です。ポケットに入るサイズでこれだけの機能を詰め込んだ端末は他になく、デジタルデトックスと生産性を両立させたい現代人にとって、極めて魅力的な選択肢となるでしょう。通話は不要で、とにかく「持ち歩ける書斎」が欲しいという方に、自信を持っておすすめできる一台です。
BOOX Palma2 Pro Mobile ePaper eBook Reader 8G 128G 150PPI in Color Mode
BOOX Palma 2 Proの価格・購入先
※価格は2025/12/05に調査したものです。価格は変動します。
SKTNETSHOP
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おすすめのライバル機種と価格を比較
「BOOX Palma 2 Pro」に似た性能をもつEinkタブレット(電子ペーパータブレット)も販売されています。ぜひ比較してみてください。
BOOX Palma 2
Onyx から発売されたスマートフォン風デザインの6.13型E-inkタブレットです(2024年10月24日 発売)。
Android 13、オクタコア プロセッサ、6GB LPDDR4X メモリ、18:9のCarta1200フラットスクリーン、128GB UFS2.1 ストレージ、3950 mAhバッテリー、16MPのスキャンカメラを搭載しています。
指紋認証、スマートボタン(AIアシスタントの起動を含む)、デュアルスピーカー、デュアルマイク、専用フリップフォールドケース(別売)、2色フロントライト、明るさ自動調整、
最大2TBまでのストレージ拡張、10GBのOnyxクラウドストレージ(無料)、防滴、カスタムウィジェット、BOOX スーパーリフレッシュ、Gセンサー(自動回転)、USB-C (OTGサポート)、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0に対応しています。
価格は、Amazonで39,999円(税込)、楽天市場で47,800円(中古・送料無料)、ヤフーショッピングで52,800円(送料無料)、です。
関連記事:高速化した「BOOX Palma 2」とBOOX Palmaの違いを解説
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Bigme HiBreak Pro
Bigmeから発売された6.13インチのE Ink 5Gスマートフォンです(2025年4月発売)。
Android 14、MediaTek Dimensity 1080 オクタコアプロセッサ (2.4GHz)、ARM Mali-G68 MC4 GPU、8GBメモリ、824×1648ピクセルの6.13インチHD E Ink 白黒ディスプレイ (300PPI、フリッカー・ブルーライトなし)、256GBストレージ、4500mAhバッテリー (18W急速充電対応)、背面20MPカメラ (写真テキスト認識OCR機能付き)、前面5MPカメラ、ジャイロスコープセンサーを搭載しています。
また、調整可能な36レベルの暖色・寒色フロントライト、Bigme “SSS”Super Refresh技術およびxRapid refresh algorithmによる高速リフレッシュレート (21 F/S)、自動ゴースト除去機能 (Auto Ghosting removal / Mininum Ghosting)、無料の音声テキスト変換、BigmeGPT 4.0、xReaderアプリによるテキスト翻訳、内蔵のテキスト読み上げ (TTS)に対応。
Google Play ストア、ハイライトと注釈機能、柔軟なレイアウト設定、指紋認証によるロック解除、NFC、指紋認証ボタン、リフレッシュボタン、USB Type-C(OTG)、5G/4G通信、Wi-Fi、Bluetooth 5.2、高精度GPSに対応しています。
価格は、Amazonで62,799円(税込)、楽天市場で74,458円(送料無料)、AliExpressで62,204円、です。
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BOOX Palma
Onyxから発売された6.13インチのE inkタブレットです(2023年9月19日に発売)。
Android 11、Qualcomm 8コアプロセッサ、4GB LPDDR4Xメモリ、18:9のCarta1200フラットスクリーン、3950mAhバッテリー、128GB UFS2.1ストレージ、Gセンサー、スピーカー、マイク、microSDカードスロットを搭載しています。
また、16MPカメラ(LEDフラッシュ付)、ページめくりボタン、ファンクションボタン、カスタムウィジェット、防滴、BOOX Super Refresh、最大2TBまでのストレージ拡張、2色フロントライト、OTAアップデート、Google Playストア、専用ソフトケース(別売)、USB-C (OTG)、Wi-Fi 5のデュアルバンド、Bluetooth 5.0に対応しています。
価格は、Amazonで39,800円 (税込)、楽天市場で46,800円(送料無料)、ヤフーショッピングで43,874円、です。
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Meebook M8C
Boyueから発売された7.8インチのカラー対応E inkタブレットです(2025年1月 発売)。
Android 14、オクタコア 2.2GHz、4GBメモリ、64GBストレージ、3200 mAhバッテリー、microSDカードスロット、フロントライト(2色)、を搭載しています。
また、専用デジタルペン(筆圧感知)、デュアル スピーカー、デュアル マイク、5つのリフレッシュモード、ノート機能、アプリケーション管理機能、フォントの変更、色調整機能、EPUBドキュメントの表示最適化機能、メモ帳機能、ジェスチャーコントロール機能、Google Playストア、USB Type-C (OTG対応)、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2に対応しています。
価格は、Amazonで50,349円(税込)、楽天市場で42929円、米国 Amazon.comで$339.00、です。
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他のBOOXタブレットと比較
他にもBOOXのE inkタブレットが販売されています。2024モデルもあるので、ぜひ比較してみてください。
BOOXのE-inkタブレット 全機種を比較! 最新のカラー、超大型あり
その他のおすすめタブレットは?
その他のおすすめタブレットは以下のページにまとめてあります。ぜひ比較してみてください。
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