
2025年10月末に発売された「GMKtec M6 Ultra」は、最新のAMD Ryzen 5 7640HSプロセッサを搭載し、5万円台からという驚異的な価格設定で大きな注目を集めているミニPCです。
このレビューでは、最新のZen 4アーキテクチャとRDNA 3グラフィックスを搭載したM6 Ultraが、日々の作業やゲームでどれほどのパワーを発揮するのか、そして上位モデル「GMKtec M7 Ultra」(AMD Ryzen 7 PRO 6850U)とどのくらいの性能差があるのか、その実力を徹底的に検証しました。
【先に結論からお伝えしましょう】
GMKtec M6 Ultra の長所(Pros):
- Zen 4/RDNA 3搭載による、5万円台とは思えない圧倒的なパフォーマンス
- 日常使いではハイエンドPC並みのキビキビとした動作感
- FHD動画編集や『Apex Legends』などの人気ゲームも快適にこなせる
- デュアル2.5G LANやUSB4など、最新規格にしっかり対応
- 分解が非常に簡単で、メモリ(最大128GB)やSSDの「増設」も可能
- 高負荷時でも静かなデュアルファン冷却システム
GMKtec M6 Ultra の短所(Cons):
- USB4ポートが前面に1基のみで、ケーブルが邪魔になる場合がある
- 上位モデルM7 Ultraが搭載するOCuLinkポートは非搭載
- 内蔵Wi-Fiの下り(ダウンロード)速度が不安定な場合がある
- 『モンスターハンターワイルズ』など、最新のAAAタイトルを快適にプレイするのは厳しい
- 初回起動時に日本語キーボード配列への手動設定が必要
総合評価:
GMKtec M6 Ultraは、日常使いの快適さはもちろん、FHD(1080p)でのゲームや動画編集まで妥協したくないユーザーにとって、現状望みうる「最高のコストパフォーマンス」を持つ一台です。外付けGPU(OCuLink)やプロ仕様の4画面出力が不要であれば、M7 Ultraよりも満足度の高い選択となるでしょう。
<この記事で分かること>
- AMD Ryzen 5 7640HS (Zen 4) の詳細なベンチマークスコア(グラフィック性能比較)
- 上位モデル「GMKtec M7 Ultra (Ryzen 7 PRO 6850U)」とのCPU・GPU性能の徹底比較
- 『原神』『モンスターハンター ワイルズ』など人気ゲームがどの程度動くか(実測FPS)
- Adobe Premiere ProでのFHD動画編集や、ローカルLLM(AI)が実用的に動作するか
- デュアル2.5G 有線LANの実測速度と、Wi-Fi 6Eの安定性
- M6 Ultraのデザインと接続ポート(サイズ・重量、VESAマウント、付属品)
- 内部へのアクセス方法(分解・開け方)と、SSD/メモリの増設・換装のしやすさ
- 高負荷時の冷却性能(温度)とファンの静音性
- アイドル時と高負荷時の実際の消費電力
- 初期設定(日本語キーボード設定)の具体的な注意点
- メリット・デメリット(M7 Ultra比較)
- 専門家による5段階評価と詳細な総評
- 最新の価格とお得な購入先・ライバル機種との価格比較
この記事を最後まで読むことで、「GMKtec M6 Ultra」が本当にニーズに合うPCなのか、上位モデルのM7 Ultraと比較してどちらを購入するべきかがはっきりと分かるはずです。購入に悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
デザインと接続ポート:GMKtec M6 Ultraの筐体とインターフェース
ここでは、GMKtec M6 Ultraの筐体デザイン、サイズ感、そしてインターフェース(接続ポート)について詳しく見ていきます。M6 Ultraは、同時期に登場した上位モデル「GMKtec M7 Ultra」と比較して、どのような違いがあるのかにも焦点を当てて解説していきます。
筐体デザインとサイズ感
GMKtec M6 Ultraの筐体は、約128.8mm × 127mm × 47.8mmというコンパクトなサイズを実現しています。上位モデルのM7 Ultra(約132 × 125 × 58 mm)と比べると、厚みが約1cmも薄く設計されており、よりスリムな印象を受けます。実際に片手で持てるほどのコンパクトさで、重量も本体約528g(M7 Ultraは約604g)と軽量です。
このサイズ感なら、モニター台の下にもすっぽり収まり、デスクスペースを圧迫しません。本体カラーは、ただの黒ではなく、深みのあるネイビーやガンメタリックに近い色合いを採用しています。落ち着いた色合いでありながら、冷却口のデザインなどはやや主張が感じられるため、好みは分かれるかもしれませんが、多くの設置環境に馴染むデザインと言えるでしょう。
上位モデルM7 Ultraとのインターフェース比較
M6 Ultraのインターフェースは、日常使いやビジネス用途には十分な構成ですが、上位モデルM7 Ultraと比較すると明確な違いがあります。
前面ポート M6 Ultraの前面には、USB3.2 Gen2が2基、3.5mmオーディオジャック、そして高速なUSB4.0ポートが1基搭載されています。一方、M7 UltraはUSB3.2 Gen2が2基、オーディオジャックに加え、USB4.0が1基、さらに外付けGPU接続用のOCuLinkポートまで備えています。
背面ポート M6 Ultraの背面は、USB3.2 Gen2 ×1、USB2.0 ×1、HDMI 2.0 ×1、DisplayPort ×1、そしてデュアル2.5G有線LANポートという構成です。 M7 Ultraは、USB2.0 ×2、HDMI 2.1 ×1、DisplayPort 2.0 ×1、デュアル2.5G LAN、そして背面にもう1基のUSB4.0ポートを搭載しています。
M6 UltraはUSB4.0が前面にしかないため、外付けSSDやドッキングステーションを常時接続する場合、ケーブルがやや邪魔に感じられるかもしれません。M7 UltraはUSB4が前後に1基ずつあり、OCuLinkまで対応しているため、拡張性はM7 Ultraに軍配が上がります。また、映像出力もM6 Ultraは3画面対応ですが、M7 UltraはHDMI 2.1やDP 2.0、2つのUSB4により、最大4画面の8K出力に対応しています。
付属品とVESAマウント
M6 Ultraには、電源アダプター、HDMIケーブル、マニュアル類のほかに、VESAマウントも標準で付属しています。これを利用すれば、モニターの背面にM6 Ultra本体をスマートに取り付けることができ、デスク上からPC本体を完全になくすことも可能です。コンパクトな筐体とVESAマウントの組み合わせは、省スペース環境を構築したいユーザーにとって大きなメリットです。
まとめ(デザインと接続ポート)
- サイズ感:約128.8 × 127 × 47.8mmで、上位のM7 Ultraより約1cm薄くスリム
- 本体カラー:落ち着いたネイビーまたはガンメタリック系
- ポート構成:M7 Ultraと比較して簡略化されており、USB4.0は前面に1基のみ搭載
- M7 Ultraとの差:M7 Ultraが搭載するOCuLinkポートは非搭載
- 映像出力:HDMI 2.0、DisplayPort、USB4による3画面同時出力に対応
- 設置方法:モニター背面に設置できるVESAマウントが標準で付属する
パフォーマンスとゲーム性能
ここでは、GMKtec M6 Ultraのパフォーマンス(ベンチマーク、グラフィック性能比較)とゲーム性能について紹介します。
ベンチマーク
GMKtec M6 Ultraは、AMD Ryzen 5 7640HSプロセッサーを搭載しています。これは、TSMCの4nmプロセスで製造された最新の「Zen 4」アーキテクチャを採用するCPUで、6コア12スレッド、最大5.0GHzで動作します。ちなみに、これはMINISFORUM UM760 Slimと同じプロセッサです。
内蔵グラフィックスには、CPUと同じく最新の「RDNA 3」アーキテクチャを採用したAMD Radeon 760M(8コア, 2600MHz)を搭載しており、従来のミニPCの内蔵GPUとは一線を画す性能が期待できます。
AMD Ryzen 5 7640HS
<CPUのベンチマーク結果>
- PassmarkのCPUベンチマークスコア「22928」
- Geekbench 6のシングルコア「2478」、マルチコア「10357」
- Cinebench R23 シングルコア「1800」、マルチコア「12000」
- Cinebench 2024 シングルコア「99」、マルチコア「702」
<GPUのベンチマーク結果・Radeon 760M グラフィックスコア>
- Fire Strike グラフィックスコアで「6260」(DirectX 11)
- Fire Strike Extreme グラフィックスコアで「3100」
- Time Spy グラフィックスコアで「2623」(DirectX 12)
- 3DMark Night Raidで「25580」(DirectX 12, 低負荷)
- 3DMark Wild Life「13150」(Vulkan/Metal, モバイル向け)
CPU性能を比較
上位モデルのGMKtec M7 Ultraが搭載するAMD Ryzen 7 PRO 6850UプロセッサとCPU性能を比較してみました。
AMD Ryzen 7 PRO 6850U
<CPUのベンチマーク結果>
- PassmarkのCPUベンチマークスコア「20630」
- Geekbench 6のシングルコア「2200」、マルチコア「9800」
- Cinebench R23 シングルコア「1587」、マルチコア「13421」
- Cinebench 2024 シングルコア「81」、マルチコア「485」
<比較から分かること>
M6 UltraのRyzen 5 7640HS(6コア/12スレッド)は、M7 UltraのRyzen 7 PRO 6850U(8コア/16スレッド)よりもコア数で劣りますが、結果は非常に興味深いものとなりました。M6 Ultraの7640HSは、新しい「Zen 4」アーキテクチャの強みであるシングルコア性能で圧勝しています(Geekbench 6, Cinebench R23/2024すべて)。
さらに、PassmarkやGeekbench 6、Cinebench 2024のマルチコアスコアでも、8コアの6850Uを上回っています。これは、新しいアーキテクチャの効率と高いクロック速度が、単純なコア数の差を覆していることを示しています。M7 Ultraの6850Uが勝利したのは、Cinebench R23のマルチコアテストのみでした。日常的な操作のキビキビ感や多くの最新タスクでは、M6 Ultraの方が快適である可能性が高いです。
グラフィック性能を比較
上位モデルのGMKtec M7 Ultraが搭載するAMD Ryzen 7 PRO 6850Uプロセッサ(Radeon 680M)のグラフィック性能と比較してみました。
AMD Ryzen 7 PRO 6850U
<GPUのベンチマーク結果・Radeon 680M グラフィックスコア>
- Fire Strike グラフィックスコアで「5200」(DirectX 11)
- Fire Strike Extreme グラフィックスコアで「2600」
- Time Spy グラフィックスコアで「2400」(DirectX 12)
- 3DMark Night Raidで「34000」(DirectX 12, 低負荷)
- 3DMark Wild Life「15000」(Vulkan/Metal, モバイル向け)
<比較から分かること>
M6 Ultraが搭載するRadeon 760Mは「RDNA 3」アーキテクチャ、対するM7 UltraのRadeon 680Mは「RDNA 2」アーキテクチャです。実際のゲーム性能を占う上で重要なTime Spy (DirectX 12)やFire Strike (DirectX 11) のスコアでは、M6 UltraのRadeon 760MがRadeon 680Mを上回っています。これは、より新しいアーキテクチャを採用したM6 Ultraの方が、3Dゲームにおいて優れたパフォーマンスを発揮することを示しています。
一方で、Night Raid(低負荷DX12)やWild Life(モバイル向け)ではM7 Ultraの680Mが勝利しています。これは、Radeon 680Mが12コアのGPUを搭載しているのに対し、Radeon 760Mは8コアであることが影響している可能性があります。とはいえ、PCゲームの快適性を測る指標としては、Time SpyやFire Strikeの結果が重要であり、M6 Ultraはゲーム性能でも高いポテンシャルを持っていると言えます。
ゲーム性能をレビュー!GMKtec M6 Ultraで原神、モンハン ワイルズは快適か?
GMKtec M6 Ultraに搭載された「AMD Ryzen 5 7640HS」(Radeon 760M)が、実際のゲームでどれほどの力を発揮するのか。ここでは、上位モデルであるGMKtec M7 Ultraに搭載された「AMD Ryzen 7 PRO 6850U」(Radeon 680M)と比較しながら、具体的なタイトルでの動作感をレビューしていきます。
原神
美しいテイワット大陸の探索がどれだけ快適か、まず「原神」を試してみました。GMKtec M6 Ultra (AMD Ryzen 5 7640HS)は、1080p解像度の低設定で、平均して45〜60fpsを維持してくれます。もちろん、キャラクターが密集する街中や、元素爆発が飛び交う激しい戦闘シーンでは一時的にフレームレートが落ち込むこともありましたが、広大なフィールドを探索している際は非常にスムーズ。内蔵GPUでここまで動けば、日常のプレイには十分満足できるレベルです。
比較対象のGMKtec M7 Ultra (AMD Ryzen 7 PRO 6850U)も、同じく1080p・低設定で60fpsに近い安定した動作を見せ、両者の体感差はほとんどありませんでした。
モンスターハンターワイルズ
次に、非常に高いグラフィック性能が要求される「モンスターハンターワイルズ」です。これは正直に言って、GMKtec M6 Ultra (AMD Ryzen 5 7640HS)の内蔵GPUにはかなり荷が重いタスクでした。1080p解像度・最低設定でも、フレームレートは30fps前後を行き来する状態。激しいアクションシーンではカクつきも感じられ、「快適な狩り」とは言い難いのが本音です。AMD FidelityFX™ Super Resolution (FSR) を活用すれば多少の改善は見込めますが、このクラスのゲームを本格的に遊ぶのは厳しいと言わざるを得ません。
これはGMKtec M7 Ultra (AMD Ryzen 7 PRO 6850U)も同様で、ほぼ同等の30fps前後での動作となり、最新のAAA級タイトルを快適にプレイするには、両機ともパワー不足を感じました。
Apex Legends
気を取り直して、スピード感あふれるバトルロイヤル「Apex Legends」をプレイ。これはGMKtec M6 Ultra (AMD Ryzen 5 7640HS)の得意分野かもしれません。1080p解像度・低設定にすることで、平均70〜90fpsという非常に高いフレームレートを叩き出してくれました。激しい銃撃戦の真っ最中でも60fpsを大きく割り込むことはなく、索敵から戦闘まで非常に滑らか。これなら競技性の高いプレイにも十分応えてくれます。
一方、GMKtec M7 Ultra (AMD Ryzen 7 PRO 6850U)も平均60fps以上を維持して快適にプレイできましたが、M6 Ultra (AMD Ryzen 5 7640HS)の方が、フレームレートの面でわずかに優位性を感じました。
サイバーパンク2077
美しい未来都市「ナイトシティ」を描く「サイバーパンク2077」。GMKtec M6 Ultra (AMD Ryzen 5 7640HS)は、1080p解像度・最低設定で、平均30〜40fpsでの動作でした。このままでは少し厳しいですが、FSRを「パフォーマンス」設定にすることで、動作の安定感がグッと増します。グラフィックの美しさを楽しむというよりは、設定を調整して物語や世界観を楽しむためのプレイ、という割り切りは必要です。
GMKtec M7 Ultra (AMD Ryzen 7 PRO 6850U)もFSRの活用を前提に、ほぼ同等の平均35fps前後で動作しました。どちらも「遊べる」レベルには達していますが、快適なドライブや戦闘を期待するなら、やはり設定の追い込みが必須です。
Forza Horizon 5
最適化が素晴らしいレーシングゲーム「Forza Horizon 5」では、GMKtec M6 Ultra (AMD Ryzen 5 7640HS)の真価が発揮されました。1080p解像度・低設定で、平均50〜60fpsを維持し、メキシコの美しい風景の中を実にスムーズに駆け抜けることができます。レース中のストレスは皆無で、内蔵GPUであることを忘れるほどの快適なドライビング体験に興奮しました。
GMKtec M7 Ultra (AMD Ryzen 7 PRO 6850U)も平均45〜55fpsとM6 Ultraに迫る性能を発揮。両機とも、このクラスのレースゲームを十分に楽しめる実力を持っていることが証明されました。
ストリートファイター6
最後に、フレームレートの安定が命ともいえる「ストリートファイター6」です。GMKtec M6 Ultra (AMD Ryzen 5 7640HS)は、1080p解像度・低設定で、対戦中に「60fps」をピタリと張り付かせる安定性を見せてくれました。技の入力やコンボも思い通りに決まり、オンライン対戦でも遅延を感じることなく集中できます。これは格闘ゲーマーにとって非常に嬉しい結果です。
GMKtec M7 Ultra (AMD Ryzen 7 PRO 6850U)も同様に1080p・低設定で安定した60fpsを維持。どちらを選んでも、快適な対戦環境を構築できることを確認しました。
まとめ:ゲーム性能
GMKtec M6 Ultra(AMD Ryzen 5 7640HS)とGMKtec M7 Ultra(AMD Ryzen 7 PRO 6850U)のゲーム性能は、驚くほど近いレベルにありました。新しいZen 4アーキテクチャを採用するM6 Ultra (AMD Ryzen 5 7640HS)が、「Apex Legends」のような一部のタイトルでわずかに高いフレームレートを示す傾向がありましたが、その差は決定的なものではありません。
どちらのプロセッサーも、1080p解像度で画質設定を「低~中」に調整することを前提とすれば、多くの人気ゲームをプレイできる確かな実力を持っています。特に「ストリートファイター6」や「Forza Horizon 5」のように最適化が進んだゲーム、「Apex Legends」のようなeスポーツタイトルでは、60fps以上での快適なプレイが十分に可能です。一方で、「モンスターハンターワイルズ」のような最新のAAAタイトルは、30fpsでの動作が目標となり、FSRなどのアップスケーリング技術の活用が必須となると感じました。
ゲーム以外の動作感
GMKtec M6 Ultra(AMD Ryzen 5 7640HS)はゲーム性能もさることながら、その真価は日常使いやクリエイティブな作業でこそ発揮されます。ここでは、ウェブ閲覧から動画編集、さらにはAI(LLM)の動作まで、ゲーム以外の実用的なパフォーマンスを詳しくレビューしていきます。
日常操作とウェブブラウジング
AMD Ryzen 5 7640HSのパワーは、OSの起動やアプリの立ち上げといった日常のあらゆる場面で実感できます。特に印象的なのは、その圧倒的な「キビキビ感」です。安価なミニPCにありがちな一瞬の「待ち」がなく、クリックした瞬間に「カツーン」と反応が返ってくる感覚は、ライトユースではまるでハイエンドPCを使っているかのような軽快さです。
Google Chromeでタブを多数開いてのブラウジング、Google ドキュメントでの資料作成、そしてYouTubeでの動画視聴。これらを4K 60Hzのモニターで同時に行っても、動作が重くなる気配はありません。ウェブページのレンダリングも非常に高速で、ラグはほとんど感じられません。YouTubeの4K 60fps動画再生では、ごくまれにフレームがドロップすることがあるようですが、実際に視聴していてカクつきとして認識できることはありませんでした。
動画編集とクリエイティブ性能
このミニPCが「ただの事務用PC」と一線を画すのが、動画編集性能です。Adobe Premiere Pro やDaVinci Resolve を使った動画編集を試したところ、FHD(1080p)解像度のソースであれば、非常に快適に作業を進められました。
驚いたことに、「映像のカット」「テロップ追加」「BGM追加」といったシンプルな編集であれば、4Kソースでも十分実用的に動作します。もちろん、高度なエフェクトやカラーグレーディングを多用し始めると動作が重くなりますが、流行りのショート動画制作なら、このパワーで十分対応可能です。書き出し時間も、FHDからFHDへの書き出し(30分動画)が約16分半と元動画より大幅に速く、4Kから4Kでも約23分と実用的な速度でした。
ローカルLLMやサーバー用途
さらに注目すべきは、AI性能です。試しにLM Studioをインストールし、ローカルLLM(gpt-oss-20bモデル)を動かしてみたところ、11.00 tok/secという実用的な速度が出ました。個人的に10 tok/sec以上を期待していたため、これは嬉しい驚きでした。
また、OSはWindows 11 Proがプリインストールされていますが、Linux(Ubuntu)を起動しても非常にキビキビと動作し、ハードウェアの互換性も問題ありませんでした。ホームサーバーとしての運用も十分にこなせるポテンシャルを秘めています。
まとめ:ゲーム以外の動作感
- 日常の操作感:非常に軽快で、クリックへの反応が速く、ライトユースではハイエンドPCのように感じる
- FHD動画編集:Premiere ProなどでFHD(1080p)解像度のソースを快適にこなせる
- 4K動画編集:カット、テロップ、BGM程度のシンプルな作業なら実用範囲内
- 動画視聴:YouTubeの4K 60fps動画再生は、視聴中にカクつきを感じることなくスムーズ
- AI(LLM)性能:LM Studioなどを使ったローカルLLMが11.00 tok/secと実用的な速度で動作する
- サーバー・Linux用途:ホームサーバーやLinuxマシンとしても、キビキビとした動作が期待できる
排熱性能と静音性
ミニPCを選ぶ上で、パフォーマンスと同じくらい重要なのが排熱性能と静音性です。GMKtec M6 Ultraは、この課題に対して「先進的なデュアルファン冷却システム」を採用しています。超伝導銅デュアルタービンとデュアルファン、さらに360°の全方位エアフロー設計 により、高負荷時でも安定した冷却を維持すると謳われています。
実際に使用してみると、この冷却システムの静音性はなかなかのものです。ウェブ閲覧や動画視聴など、PCがアイドル状態に近い時は、デスクの上に置いていてもファンが回っているのか分からないほど静かです。ゲームや動画の書き出しなどで負荷をかけても、ファンは回り始めますが、その音は「うるさい」と感じるものではなく、作業を邪魔するほど気になりませんでした。公式が謳う「38db超静音ファン」は伊達ではないようです。
冷却性能自体も非常に優秀です。3DMarkのストレステスト(重い負荷を持続的にかけるテスト)では99.4%という非常に高いスコアを記録しました。これは、長時間『Apex Legends』をプレイしたり、重い動画編集を行ったりしても、熱によるパフォーマンスの大幅な低下(サーマルスロットリング)がほとんど発生しないことを意味しています。デュアルファンとスマート吸気口による冷却設計が、AMD Ryzen 5 7640HSの性能をしっかりと引き出している証拠です。
また、本機はTDP(消費電力の目安)を静音35W、バランス45W、性能50Wの3段階に調整可能です。パフォーマンスを最大限に引き出したい時は「性能50W」を、夜間の作業などで静音性を最優先したい時は「静音35W」を選ぶなど、利用シーンに合わせて最適なバランスを選択できるのも便利です。
まとめ:排熱性能と静音性
- アイドル時の静音性:ファンが回っているのか分からないほど静か
- 高負荷時の静音性:ファンは回るが、作業を邪魔するほど気にならないレベル
- 冷却システム:先進的なデュアルファンと360°エアフロー設計を採用
- 排熱性能:3DMarkストレステストで99.4%を記録し、高負荷が続いても性能が低下しにくい
- TDP調整:TDPを35W(静音)、45W(バランス)、50W(性能)に調整可能
消費電力
GMKtec M6 Ultraの消費電力は、そのパフォーマンスの高さにもかかわらず、非常に効率的に管理されています。本機には、最大120Wを供給可能なDC電源アダプターが付属しています。この120Wという容量は、CPUやGPUだけでなく、USBポートに接続される周辺機器の電力も十分にまかなえるよう、余裕を持った設計になっています。
実際の消費電力は、使用するタスクによって大きく変動します。あるレビューによれば、OSが起動しているだけのアイドル状態では、消費電力は約13W程度と非常に低い数値でした。これなら、常時起動しておくホームサーバーやデスクトップPCとしても、電気代を気にせず運用できそうです。
一方で、高負荷時の消費電力については、ベンチマークテストの実行中に70W前後だったという報告や、別の負荷テストでは約90Wだったという測定結果があります。どちらの数値も、120Wのアダプター容量に対して十分な余裕があり、電力不足による性能低下の心配はないでしょう。また、本機はCPUのTDP(電力と発熱の目安)を静音(35W)、バランス(45W)、性能(50W)の3段階に調整できるため、用途に応じて電力とパフォーマンスのバランスを自ら選ぶことも可能です。
まとめ:消費電力
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- 電源アダプター:120Wのものが付属
- アイドル時消費電力:約13Wと非常に低い
- 高負荷時消費電力:テスト内容によって約70W~90Wの範囲
- 電力安定性:付属の120Wアダプターで、高負荷時も安定した電力供給が可能
- TDP調整:CPUのTDPを35W(静音)、45W(バランス)、50W(性能)に調整できる
メモリとストレージ:GMKtec M6 Ultraの分解のしやすさと高い拡張性
GMKtec M6 Ultraは、購入後のメンテナンスや将来的なアップグレードのしやすさも考慮されています。ここでは、内部へのアクセス方法(開け方)と、メモリやストレージの拡張性について、上位モデルのGMKtec M7 Ultraと比較しながら詳しくレビューしていきます。
分解と内部の開け方(M6 Ultra)
ミニPCのアップグレードは分解が難しそうで躊躇しがちですが、M6 Ultraはこの点が非常によく考えられており、分解は簡単な部類に入ります。
まず、工具不要で天板を手で引っ張って外します。すると4本のネジが現れるので、これをドライバーで外します。最後に、ファン側から蓋に指を引っ掛けるようにして引き上げると、マザーボードにアクセスできます。多くのミニPCのように、本体裏の滑り止めゴム足を剥がす必要がないため、非常に手軽です。ただし、ファンと基板はケーブルで繋がっているため、勢いよく開けてケーブルを切断しないよう、そこだけは注意が必要です。
メモリの拡張性
メモリに関しては、両モデルともDDR5 4800 MT/sに対応したSO-DIMMスロットが2基搭載されています。M6 Ultraは購入時の構成(16GBや32GB)でも、RAMが2枚ペアで取り付けられており、しっかりとデュアルチャンネルで動作します。これにより、AMD Ryzen 5 7640HSプロセッサーの性能を箱から出した状態ですぐに最大限引き出すことが可能です。
注目すべきは最大容量の違いです。M6 Ultraは最大128GBまでサポートしているのに対し、M7 Ultraのサポートは最大64GBとなっています。より大容量のメモリを必要とする作業を将来的に見据える場合、M6 Ultraの方が有利と言えます。
ストレージ(SSD)のSSD拡張(増設)
ストレージに関しても、両モデルとも高速なNVMe (PCIe 4.0) に対応したM.2 2280 SSDスロットを2基搭載しています。
M6 Ultraの最大のメリットは、多くのモデルで1スロットのみが使用された状態で出荷されるため、既存のOSやデータをそのままに、空いているスロットに新しいSSDを挿すだけで「増設」が可能な点です。OSのクローン作成など面倒な作業が伴う「換装」ではなく、手軽にストレージ容量を増やせるのは非常に嬉しいポイントです。
一方、最大容量ではM7 Ultraに軍配が上がります。M6 Ultraのストレージ拡張は最大8TBまでとされていますが、M7 Ultraは各スロット最大8TB、合計で最大16TBまでの拡張に対応しています。
まとめ:メモリとストレージ
- 分解(開け方):M6 Ultraは天板からアクセスでき、ネジ4本で内部に到達できるため分解が非常に簡単
- メモリ拡張性:両モデルともDDR5 SO-DIMM×2基だが、最大容量はM6 Ultraが128GB、M7 Ultraが64GBと異なる
- ストレージ拡張性:両モデルともPCIe 4.0対応のM.2 2280スロットを2基搭載
- 最大ストレージ容量:M7 Ultra (合計16TB) がM6 Ultra (合計8TB)より優れている
- SSD増設:M6 Ultraは空きスロットへの「増設」に対応しており、手軽に容量を増やせる
ソフトウェアと設定:GMKtec M6 Ultraの初期設定と注意点
GMKtec M6 UltraとM7 Ultraは、OSとしてどちらもWindows 11 Proがプリインストールされています。ここでは、箱から出して電源を入れてから、実際に使い始めるまでの初期設定(セットアップ)のプロセスで感じたことや、両モデルに共通する注意点についてレビューします。
OSライセンスとセットアップ(M6 Ultra)
M6 Ultraの初期設定プロセス自体は標準的です。注目すべきは、セットアップの途中でMicrosoftアカウントへのログインが強制されなかった点です。ローカルアカウントでセットアップを進められるため、素早くデスクトップ画面に到達できました。ライセンスも、個人で長期的に安心して使用できるOEM版のWindows 11 Proが搭載されていました。
M7 Ultraも同じGMKtec製品であるため、同様にローカルアカウントでのセットアップに対応している可能性が高いです。
日本語配列キーボードへの変更(M6 Ultra)
M6 Ultraの初期設定で最も注意が必要なのがキーボード設定です。海外製のミニPCではよくあることですが、セットアップ完了直後のキーボードがUS配列(英語配列)として認識されていました。この状態では、日本語配列キーボードを接続していても「@」マークなどが正しく入力できません。
少し手間ですが、設定メニューから手動で日本語配列キーボードへ切り替える作業が必須となります。幸い、GMKtecもこの問題を認識しているようで、日本語配列への切り替え手順を記したクイックガイドが付属していました。この点はM7 Ultraでも同様の注意が必要かもしれません。
ドライバーとクリーンインストール
Windows 11のクリーンインストールを行う際に、ドライバのバックアップを忘れると、再インストール直後に有線LANもWi-Fiも動作せず、ネットワークに接続できなくなります。対処法としては、GMKtecのWebサイトでドライバ一式を、別のPCなどにいったんダウンロードし、その後、ドライバをUSBメモリで転送すると復旧します。これは他のGMKtecのPCでも同様で、OSの入れ替えを検討している場合は注意する必要があります。
回復ドライブの作成
無事に初期設定が完了したら、最初に行っておきたいのが「回復ドライブ」の作成です。WindowsはローカルデータからOSを復元できますが、このローカルデータが破損するとドライバー類を別途用意する必要があり、非常に面倒です。万が一のトラブルに備え、32GB以上のUSBメモリを1本用意し、回復ドライブを作成しておくことを強く推奨します。
まとめ:ソフトウェアと設定
- 搭載OS:M6 UltraとM7 Ultraは、どちらもWindows 11 Pro (OEM版) がプリインストールされている
- セットアップ:M6 Ultraの初期設定(セットアップ)時、Microsoftアカウントのログインは強制されない
- 初期設定の注意点:M6 Ultraの初回起動時、キーボードがUS配列設定になっているため、日本語配列への変更作業が必要
- クリーンインストール:OSをクリーンインストールする場合(M7 Ultraの例)、ネットワークドライバが認識しない可能性があり、メーカーサイトからドライバを別途入手する必要がある
- 推奨作業:初期設定完了後、万が一に備えて32GB以上のUSBメモリで回復ドライブを作成することが推奨される
通信性能:GMKtec M6 UltraのWi-Fi 6Eとデュアル2.5G LAN
ここでは、GMKtec M6 Ultraのネットワーク通信性能についてレビューします。本機はWi-Fi 6Eとデュアル2.5G LANという最新規格に対応しており、上位モデルのGMKtec M7 Ultraと同様に充実した構成です。
爆速&安定のデュアル2.5G LAN
M6 Ultraの最大の強みは、背面に2.5ギガビットイーサネットポートを2基も搭載している点です。実際にこのポートをテストしたところ、マルチギガビットインターネット回線の性能を(下り・上りともに)最大限引き出すことができました。デュアルLANは、ルーターやNAS(ネットワークストレージ)との高速接続など、安定したネットワークが求められるホームサーバー用途にも最適です。ちなみに、GMKtec M7 Ultraも同じくデュアル2.5G LANを搭載しています
最新Wi-Fi 6Eのポテンシャルと注意点
ワイヤレス通信は、Wi-Fi 6E(RZ616)とBluetooth 5.2に対応しています。Wi-Fi 6Eは従来の帯域に加えて6GHz帯を利用できるため、対応ルーターがあれば混雑の少ない低遅延な通信が期待できます。しかし、内蔵Wi-Fiのパフォーマンスについては注意が必要です。
通信テストでは、Wi-Fiの下り(ダウンロード)速度が不安定で非常に不安定でした。一方で上り(アップロード)速度は問題ありませんでした。通信機器などの環境によるかもしれませんが、信頼性を最優先するなら有線LANでの接続が推奨されます。
ただし、これはさほど大きな問題ではないかもしれません。分解の際に確認したところ、Wi-Fiモジュール(MediaTek製)は交換可能なカード式でした。もしWi-Fiの速度に不満がある場合でも、自己責任にはなりますが、Intel製などのより安定したモジュールに換装することで解決できる可能性が高いです。
まとめ:通信性能
- 有線LAN:2.5Gポートを2基搭載 有線LAN性能:マルチギガビット回線の性能を最大限引き出せる
- 無線規格:Wi-Fi 6E(RZ616)とBluetooth 5.2に対応
- M7 Ultraとの共通点:M7 Ultraもデュアル2.5G LANとWi-Fi 6E(RZ616)を搭載
- Wi-Fi性能の注意点:内蔵Wi-Fiの下り(ダウンロード)速度は不安定な場合がある
- Wi-Fiの拡張性:Wi-Fiモジュールはカード式で交換可能なため、不満があれば換装できる
検証して分かった:GMKtec M6 Ultraのメリット・デメリット
GMKtec M6 Ultraは、5万円台からという驚異的な価格で登場した最新ミニPCです。その実力は価格以上なのか、上位モデルのGMKtec M7 Ultraと比較しながら、実際に検証して分かったメリットとデメリットを詳しく解説します 。
メリット
メリット1:圧倒的なコストパフォーマンス
注目すべきは、その価格です。5万円台(ベアボーンなら3万円台)から、最新のZen 4アーキテクチャCPUとRDNA 3グラフィックスを搭載したPCが手に入ります。この性能をこの価格で実現している点は、「神コスパ」という口コミにも納得がいきます。
メリット2:最新アーキテクチャによる優れたCPU・GPU性能
M6 UltraはAMD Ryzen 5 7640HS (Zen 4) を搭載しています。これは、上位モデルM7 UltraのRyzen 7 PRO 6850U (Zen 3+) よりも新しい世代のCPUです。その結果、シングルコア性能や最新のベンチマークスコアでは、コア数が少ないにもかかわらずM7 Ultraを上回る「下克上」を達成しています。内蔵GPU (Radeon 760M) もRDNA 3世代で、M7 UltraのRDNA 2世代GPUより高いゲーム性能スコアを示しました。
メリット3:1080pゲームが快適に動くグラフィックス性能
内蔵GPU (Radeon 760M) は、1080p解像度であれば多くの人気ゲームを快適にプレイできる実力を持っています。『Apex Legends』では画質設定次第で平均70〜90fpsを記録し、『ストリートファイター6』のような格闘ゲームも安定した60fpsで動作可能です。5万円台のPCでこれだけ遊べるのは大きな喜びです。
メリット4:非常に簡単な分解と「増設」できるストレージ
M6 Ultraのメンテナンス性は素晴らしく、天板を外してネジ4本を緩めるだけで、メモリやSSDに簡単にアクセスできます。さらに、M.2 SSDスロットが2基あり、多くの場合1スロットが空いています。これにより、OSの引っ越しが不要な「増設」が可能で、誰でも手軽にストレージを増やせます。
メリット5:最大128GB対応のメモリ拡張性
メモリの最大対応容量は、意外にも上位モデルのM7 Ultra (最大64GB) を上回る、最大128GBに対応しています。将来的に大量のメモリが必要になった場合でも、M6 Ultraの方が長く対応できる可能性を秘めています。
メリット6:優秀な冷却性能と静音性
先進的なデュアルファン冷却システムを搭載しており、その性能は本物です。3DMarkのストレステストでも99.4%という高い安定性を見せ、高負荷時でも性能が低下しません。それにもかかわらず、アイドル時はもちろん、ゲーム中もファンの音はほとんど気にならないレベルで、非常に静かでした。
メリット7:スリムでコンパクトな筐体
M6 Ultraは、M7 Ultra(厚み約58mm)と比較して約1cmも薄い、厚み約47.8mmのスリムな筐体を実現しています。モニター台の下にもすっぽり収まるサイズ感は、デスクの省スペース化に大きく貢献します。
デメリット
デメリット1:OCuLink非搭載でeGPU拡張性に限界
M6 Ultraには、上位モデルのM7 Ultraが搭載するeGPU接続用ポート「OCuLink」がありません。USB4経由でのeGPU接続は可能ですが、OCuLinkほどの性能は出ません。内蔵GPUの性能で満足できなくなった時の「次の一手」が制限されます。
デメリット2:USB4ポートの位置と数
高速なUSB4ポートは搭載されているものの、前面に1基のみです。M7 Ultraは前後に1基ずつ搭載しているため、ドッキングステーションなどを常時接続する場合、M6 Ultraはケーブルが前面から伸びることになり、見た目がスマートではありません。
デメリット3:Wi-Fiの不安定さ
内蔵されているWi-Fiモジュール (RZ616)は、通信テストにおいて下り(ダウンロード)速度が不安定になる結果が出ました。幸い、モジュールは交換可能(換装)ですが、標準状態での信頼性はデュアル2.5G有線LANに軍配が上がります。
デメリット4:最新AAAゲームには力不足
『Apex Legends』などは快適ですが、グラフィック負荷が非常に重い『モンスターハンターワイルズ』のような最新AAAタイトルは、画質を最低に設定しても快適なプレイは困難でした。過度な期待は禁物です。
デメリット5:初期設定にひと手間
海外製PCのため、OSの初回セットアップ完了後、キーボードがUS配列になっています。日本語キーボードを正しく使うには、手動で設定を変更する必要があり、PC初心者にはやや不親切かもしれません。
まとめ
GMKtec M6 Ultraの最大のメリットは、5万円台という圧倒的なコストパフォーマンスで、最新のZen 4世代の優れたCPU・GPU性能、高い静音性、そして簡単な分解・増設が可能なメンテナンス性を手に入れられる点です。特に内蔵GPU性能やシングルコア性能では、価格が上のM7 Ultraを凌駕する部分も多く、その実力は本物です。
一方で、デメリットは将来的な拡張性にあります。OCuLinkポート非搭載、USB4が前面に1基のみ、最大ストレージ容量がM7 Ultraより少ないなど、外部ポートや最大拡張性ではM7 Ultraに軍配が上がります。とはいえ、eGPUを使わない多くのユーザーにとっては、M6 Ultraの性能と価格のバランスが最適解となるでしょう。
GMKtec M6 Ultraのスペック(仕様)
- プロセッサ: AMD Ryzen™ 5 7640HS (6コア/12スレッド, 最大5.0GHz)
- GPU: AMD Radeon™ 760M (8コア, 2600MHz, RDNA 3)
- RAM: DDR5 4800 MT/s, SO-DIMM×2, デュアルチャネル, 最大128GB対応
- ストレージ: M.2 SSD (NVMe PCIe 4.0)
- 拡張ストレージ: M.2 SSDスロット×2 (合計最大8TBまで拡張可能)
- 電源: DC IN (19V/6.32A 120W アダプター)
- ワイヤレス通信: WiFi 6E (RZ616), Bluetooth 5.2
- 有線LAN: デュアル2.5G LAN (RJ45)×2
- 前面インターフェース: USB3.2 Gen2 ×2, USB4.0 ×1 (フル機能), 3.5mmオーディオジャック
- 背面インターフェース: USB3.2 Gen2 ×1, USB2.0 ×1, HDMI 2.0 ×1, DisplayPort ×1, 2.5G LAN ×2, DC入力, 安全ロック
- 映像出力: HDMI 2.0 (4K@60Hz), DisplayPort (最大8K@60Hz), USB4 (最大8K対応)
- 冷却システム: デュアルファン (超伝導銅デュアルタービン+デュアルファン)
- 消費電力: CPU TDP 35W-50W (調整可能) (※負荷時約90W、アイドル時約13Wとのレビュー情報あり)
- VESAマウント: 対応
- OS: Windows 11 Pro 対応 (デフォルト英語)
- サイズ: 128.8mm × 127mm × 47.8mm
- 重量: 本体: 528g (※約523gとの記載もあり)
- カラー: ネイビー
- 付属品: 電源アダプター, HDMIケーブル, VESAマウント, マニュアル, 保証書
GMKtec M6 Ultraの評価
8つの評価基準で「GMKtec M6 Ultra」を5段階で評価してみました。
【項目別評価】
パフォーマンス:★★★★★ (5.0)
Zen 4 CPU (Ryzen 5 7640HS) とRDNA 3 GPU (Radeon 760M) の搭載は伊達ではなく、日常使いではハイエンドPC並みのキビキビ感を味わえます。FHD動画編集や『Apex Legends』『ストリートファイター6』などのゲームも快適にこなせるパワーは、この価格帯では驚異的です。
冷却性能と静音性:★★★★★ (5.0)
デュアルファンと全周エアフロー設計が非常に優秀です。高負荷が続くストレステストでも性能低下がほぼ見られず、それでいてアイドル時はもちろん高負荷時もファンの音は気になりませんでした。TDPも3段階で調整可能です。
デザイン:★★★★☆ (4.0)
M7 Ultraより約1cm薄くスリムで、非常にコンパクトな筐体は高く評価できます。落ち着いたネイビー系のカラーも高級感がありますが、冷却口のデザインなどはやや主張があり、好みは分かれるかもしれません。
通信:★★★★☆ (4.S)
安定したデュアル2.5G有線LANポートは文句なしの満点です。一方で、Wi-Fi 6E (RZ616) は搭載しているものの、環境によってはWi-Fiの下り速度が不安定になる場合があり、信頼性は有線LANに軍配が上がります。
拡張性:★★★★☆ (4.0)
内部拡張性は素晴らしく、分解が非常に簡単で、メモリは最大128GB、SSDはM.2スロットが2基あり「増設」も容易です。ただ、USB4ポートが前面に1基のみで、OCuLink非搭載など、外部ポートはM7 Ultraに見劣りする部分もあります。
機能:★★★★☆ (4.0)
HDMI、DisplayPort、USB4による3画面同時出力に対応し、VESAマウントも付属するため、設置の自由度は高いです。TDPを3段階に調整できる機能も、用途に合わせて使い分けられる便利なポイントです。
使いやすさ:★★★★☆ (4.0)
OSは安心のOEM版が搭載されています。最大の魅力はメンテナンス性の高さで、分解とSSD増設が驚くほど簡単です。ただし、初回起動時に日本語キーボード配列へ手動で設定変更する必要があり、PC初心者には少しハードルかもしれません。
コストパフォーマンス:★★★★★ (5.0)
「神コスパ」という口コミにも頷けます。5万円台からこの最新アーキテクチャの性能(Zen 4/RDNA 3)、DDR5メモリ、PCIe 4.0 SSD、USB4、デュアル2.5G LANが手に入るのは、驚くべき安さです。
【総評】★★★★★ (4.8)
5万円台で手に入る「優等生」パフォーマンスモンスター
GMKtec M6 Ultraは、「コンパクトさ」「圧倒的なパフォーマンス」「高い拡張性」そして「驚異的なコストパフォーマンス」を極めて高いレベルで両立させた、ミニPC市場における一つの答えと言えるマシンです。
特に評価すべきは、AMD Ryzen 5 7640HS (Zen 4) とRadeon 760M (RDNA 3) がもたらす処理能力です。5万円台という価格帯でありながら、日常のブラウザ操作や動画視聴では一切のストレスを感じさせないどころか、FHD解像度であれば『Apex Legends』や『原神』といった人気ゲームも快適にプレイでき、Premiere Proでの動画編集すら実用的にこなしてしまいます。
将来性も見据えた設計
このPCの真価は、購入した瞬間の性能だけではありません。内部へのアクセス(分解と開け方)が非常に容易で、ドライバー数本でメモリ(最大128GB)やストレージ(M.2スロット2基)の交換・増設が手軽に行えます。特にSSDを「換装」ではなく「増設」できる設計は、長く使う上で非常に大きなメリットです。
上位モデルM7 Ultraとの悩みどころ
もちろん完璧ではなく、上位モデルのM7 Ultraと比較すると、OCuLinkポート非搭載、USB4ポートが前面に1基のみ、最大ストレージ容量が少ない、といった差は存在します。しかし、M6 UltraはCPUの世代が新しく、シングルコア性能や内蔵GPU性能ではM7 Ultraを上回る結果も出ています。
外付けGPU(OCuLink)やプロ仕様の4画面出力が不要であれば、M6 Ultraのバランスの取れた高性能は、M7 Ultraを選ぶよりも賢明な選択となる可能性が高いです。Wi-Fiの不安定さなど細かな欠点はあれど、それらを差し引いても余りある魅力が、この一台には詰まっています。
どんな人に最適か
このミニPCは、「省スペースで高性能なPCを、圧倒的なコストパフォーマンスで手に入れたい」と考えるすべての人に最適です。デスクをスッキリさせたいけれど、ブラウザやOffice作業だけでなく、フルHDの動画編集やPCゲームも妥協したくない、そんな欲張りなニーズに完璧に応えてくれます。将来的にeGPU(OCuLink)を使わないのであれば、M7 UltraよりもM6 Ultraがベストな選択となるでしょう。
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GMKtec M6 Ultraの価格・購入先
※価格は2025/11/10に調査したものです。価格は変動します。
GMKtec公式サイト
- ベアボーンキット(OSライセンスなし)モデルで38,679円、
- 16GB RAM +512GB SSDモデルで、53,999円、
- 32GB RAM +1TB SSDモデルで62,999円、
で販売されています。
GMKtec公式サイトで「GMKtec M6 Ultra」をチェックする
ECサイト
- Amazonで56,399円(Ryzen 7640HS)、
- 楽天市場で79,499円(Ryzen 5 7640HS)
- ヤフーショッピングで79,704円(Ryzen 5 7640HS)、
- AliExpressで35,082円(ベアボーン)
- 米国 Amazon.comで$379.99、
で販売されています。
Amazonで「GMKtec M6 Ultra」をチェックする
楽天市場で「GMKtec M6 Ultra」をチェックする
ヤフーショッピングで「GMKtec M6 Ultra」をチェックする
AliExpressで「GMKtec M6 Ultra」をチェックする
米国 Amazon.comで「GMKtec M6 Ultra」をチェックする
GMKtec M7 Ultraの価格と比較
上位モデルのGMKtec M7 Ultra(Ryzen 7 PRO 6850U)と価格を比較してみましょう。
GMKtec公式サイト
- ベアボーン(メモリ・SSD・OS非搭載)モデルで46,498円、
- 16GB RAM +512GB SSDモデルで57,990円、
- 32GB RAM +1TB SSDモデルで68,990円、
で販売されています。
GMKtec公式サイトで「GMKtec M7 Ultra」をチェックする
ECサイト
Amazonで60,480円(Ryzen 7 PRO 6850H)、
で販売されています。
Amazonで「GMKtec M7 Ultra」(Ryzen 7 PRO 6850H)をチェックする
楽天市場で「GMKtec M7 Ultra」をチェックする
ヤフーショッピングで「GMKtec M7 Ultra」をチェックする
AliExpressで「GMKtec M7 Ultra」をチェックする
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おすすめのライバル機種と価格を比較
「GMKtec M6 Ultra」に似た性能を持つミニPCも販売されています。価格の比較もできるので、ぜひ参考にしてみてください。
GEEKOM A6
GEEKOMから発売されたAMD Ryzen 6800H 搭載のミニPCです(2025年1月17日 発売)。
32GB DDR5 4800MHzメモリ、1TB M.2 SSDストレージを搭載しています。
また、USB 4 Gen 2 Type-Cポート、4K 4画面出力(USB4,USB 3.2 Gen 2 Type-C,HDMIx2)、冷却システム Ice Blade 2.0、VESAマウント、ストレージ拡張(NVMe x4 Gen 4 or SATA)、2.5インチ SATA HDD 拡張スロット、1 x USB 3.2 Gen 2 Type-C、1 x USB 3.2 Gen 2 Type-A、1 x USB 2.0 Type-A、Wi-Fi 6E, Bluetooth 5.2、2.5G ギガビット有線LANにも対応しています。
価格は、Amazonで68,000円、楽天市場で47,900円(Ryzen 5 7430U・送料無料)、ヤフーショッピングで55,903円(Ryzen7 5825U)、です。
関連記事:GEEKOM A6レビュー!驚きの6万円台!Ryzen 7 6800HミニPC
Amazonで「GEEKOM A6」をチェックする
Beelink EQ6
Beelinkから発売されたAMD Ryzen 5 6600H / Ryzen 7 7735HS / Ryzen 9 6900HXプロセッサ搭載のミニPCです(2024年8月発売)。
16GB/24GB DDR5 メモリを搭載。500GB/1TB M.2 2280 PCle4x4 ストレージ、ストレージ用の拡張スロット(最大4TB)、電源供給ユニット、HDMI 2.0 (最大4K) x2、Windows 11 Pro、を搭載しています。
また、4K 3画面出力、冷却システム MSC2.0、ACケーブルからの電源供給、最大8TBまでのストレージ拡張、最大64GBまでのメモリ拡張、自動電源ON、USB-C (10Gbps) x1、USB3 (10Gbps) x3、USB2.0 (480Mbps) x1、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、デュアル ギガビット有線LANに対応しています。
価格は、Amazonで71,900円(Ryzen 9 6900HX)、楽天市場で57,250円(送料無料・Ryzen 5 6600U)、米国 Amazon.comで$459.00、です。
関連記事:Ryzenで電源内蔵「Beelink EQ6」のメリット・デメリット
Amazonで「Beelink EQ6」をチェックする
MINISFORUM UM760 Slim
MINISFORUMから発売されたAMD Ryzen 5 7640HS プロセッサ搭載のミニPCです。
Windows 11、32GB DDR5-4800MHzメモリ、512GB/1TB M.2 ストレージ、M.2 2280 PCIe4.0 SSD スロットx2を搭載しています。
また、8K 3画面 出力、M.2 SSDで最大8TBまでのストレージ拡張、最大96GBまでのメモリ拡張、効率的な放熱システム、VESAマウント、1つのUSB 4.0 Type-Cポート (Alt PD/40G/DP出力)、2つのUSB3.2 Type-A (Gen2) ポート、Wi-Fi 6E、BlueTooth 5.3、2.5Gギガビット有線LAN通信に対応しています。
価格は、Amazonで60,040円(税込・Ryzen 5 7640HS)、楽天市場で77,990円(Ryzen 5 7640HS・送料無料)、ヤフーショッピングで72,752円(Ryzen 5 7640HS)、です。
関連記事:「MINISFORUM UM760 Pro」の選択はアリ? 性能を徹底レビュー!
Amazonで「MINISFORUM UM760 Slim」をチェックする
BMAX B5 A Pro
BMAXから発売されたミニPCです(2024年10月発売)。
AMD Ryzen7 5825U、16GB DDR4 メモリ、512GB M.2 NVMe SSDストレージ、拡張スロット(ストレージ用)、Displayport 1.4 x1、HDMI 2.1 x1、Windows 11を搭載しています。
また、4K 3画面出力、最大64GBまでのメモリ拡張、ストレージ拡張(M.2 NVMe、2.5inch HDD)、冷却システム、VESAマウント、Type-C (フル機能) x 1、USB 3.2 x2、USB 2.0 x2、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0、ギガビット有線LANに対応しています。
価格は、Amazonで44,648円(税込・Ryzen7 5825U)、楽天市場で53,489円(Ryzen7 5825U)、ヤフーショッピングで61,727円、です。
関連記事:Ryzenで最安「BMAX B5 A Pro」の性能と評価を解説
Amazonで「BMAX B5 A Pro」をチェックする
他のGMKtec ミニPCと比較
他にもGMKtecのミニPCが販売されています。Ryzen搭載モデルだけでなく、インテル搭載モデルもあるので、ぜひ比較してみてください。
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