Kindleで新聞が読めない?! 日本の新聞各社・端末メーカーに望むこと

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米国のAmazonがワシントン・ポストの記事を元にしたコンテンツを無料配信し始めた。

対象となるのは、Amazonの独自タブレット「Kidle Fire」シリーズ(上位機種のみ)。無料期間は6カ月間だが、有料化されても価格は月3~5ドル程度だという。

ワシントン・ポストのコンテンツを有料化したのは、売れなくなった「Kidle Fire」のテコ入れしたいという思惑のためだろう。

たしかに新聞購読料を無料にすることで、「Kidle Fire」の魅力は大きなものになる。もともと端末価格が安いうえに新聞購読料が無料になる。

参考までにWall Street Journal価格を調べてみると、印刷版が月額29.08ドル、Web版が同15.12ドルかかる。

ただし、アメリカでは長期期間の契約の場合、割引サービスが適用されるらしく、「Wall Street Journal」だと、年間99ドルで済むらしい(※一年契約の場合)。

最新の「Kindle Fire HDX 7」の価格は、$179.00だから、99ドルを差し引くと、端末代が実質80ドルしかかからないことになる。

そしてもう一年同じ端末を使用した場合は、おつりがくるほどお得な端末になってしまう。

追記:日本では電子ペーパーを採用したKindle端末で新聞購読ができません。しかし、Kindle以外の電子書籍リーダー(Android搭載の電子書籍リーダー)を使うことで、電子ディスプレイで日本の新聞を読むことができます。

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Amazonが日本で新聞無料サービスを始めたらどうなるか?

もしも、このサービスを日本で始めたらどうなるだろうか。

現在、朝日新聞の新聞購読料は月額4,037円(朝夕セット)。これに千円をプラスことでデジタル版が閲覧可能。そして、紙媒体の新聞を取らないでデジタル版のみを利用したい場合は、なんと3,800円もかかる。その場合、紙媒体の新聞と比べて200円しか安くなっていないのだ。

日経新聞の場合は、月額4,509円(朝夕セット)。プラス千円で電子版が閲覧可能になる。紙媒体を利用しないで、電子版のみを閲覧の場合は、無料になる。ただし、有料会員限定記事を10本しか読めないという制限があり、実質何の役にも立たない。

毎日新聞の場合は、月額4,037円(朝夕セット)。愛読者会員に登録すると、紙面をPCやスマホ、タブレットで閲覧することができる。追加の料金などは不要。

つまり、デジタルで新聞を購読しようとすると、アサヒ、日経、毎日の三紙は、どれも月額4千円以上、年額では4万8千円以上かかることになる。

日本では端末代込みの安い月額料金で売る「格安スマホ」が流行っているが、実は端末代はそれほど高くない。日本の新聞購読料の高さを考慮すると、端末代はかかっても新聞購読料をタダにしてもらった方が圧倒的にお得になるのだ。

日本で米国のAmazonのように新聞のコンテンツを無料配信するサービスが始まれば、「格安スマホ」ブームはすぐに廃れてしまうにちがいない。

電子書籍がイマイチ盛り上がらない理由

米国に比べて日本では電子書籍市場があまり盛り上がっていない。たしかに以前よりも電子書籍数が増え、利用者数も伸びているが、AppleのiPhoneのように大きな盛り上がりを見せることはない。

その理由の一つには、新聞記事が割安で読めるサービスがないということがあるように思う。

米国のkindleではThe New York Times ( Daily Edition for Kindle)やUSA Today,(Paid No-Ads Daily Edition)が19.99ドルで読むことができる。

Reuters やLos Angeles Timesなら9.9ドルで済む。

それに対して日本では電子ペーパーを採用したKindleでは新聞購読ができない。これはもちろん、日本の新聞に限った話だが、Sony Readerや楽天のKoboでも対応せず、どうやっても日本の新聞を購読することができないのである。

電子書籍の魅力は、新聞代が格安で済むというところにあったのに、それができないとなると電子書籍リーダーを買う気が失せてしまう。

電子書籍市場がイマイチ盛り上がりに欠けているのは、新聞が格安で読めないところに一因があるのではないだろうか。

kindle paperwhite では、日経新聞電子版は読めない。日経新聞電子版が対応しているのは、Android端末とiOS端末だけである。

一応、kindleのメールアドレスを利用して日経新聞電子版を配信させる方法があるが、読めるのは短縮された記事だけで、ほとんど読むに値する記事はない。

日本の新聞社・各メーカーに取り組んでほしいこと

新聞の購読者数が年々減っているのは、新聞記事そのものの質が下がっているからではない。それよりも「紙」という媒体そのものが飽きられているのだ。

新聞各社はそれならばデジタルで販売すればいいと考えて取り組んだようだが、iPadを始めフルカラーのタブレットでは目に大きな負担がかかってしまい、長時間読むのに適してはいない。

やはり新聞記事は目の負担が少ない電子ペーパーが最もふさわしいのだ。そのことをよく考えたうえで、新聞のデジタル化に取り組んでもらいたい。

また、タブレット端末を開発しているメーカーは、一度新聞各社と提携することを考えてみたらどうだろうか。

新聞購読料を無料、もしくは格安に設定できれば、自社の端末を目当てに購入する客層も増えるのではないか。

特にスマホ、タブレット市場で苦戦を強いられているソニーは本気で新聞無料サービスを考えてみる必要があるように思う。

Sony Readerが生き残るためにも、電子書籍市場を盛り上げるためにも、それが最善の策であるように私は思う。