2022年2月に発売された「GMKtec NucBox5」は、Intel Celeron N5105プロセッサを搭載し、手のひらサイズの筐体に秘められたパフォーマンスで注目を集めるミニPCです。この記事では、NucBox5が日々の作業をどれだけ快適にするのか、その性能、使い勝手、そして限界までを徹底的にレビューします。
【先に結論からお伝えしましょう】
GMKtec NucBox5 の長所(Pros):
- ポケットにも収まる驚異的なコンパクトさと携帯性
- Celeronの常識を覆す、快適な日常使いのパフォーマンス
- 高負荷時でも気にならない優れた静音性
- Wi-Fi 6やデュアル4K出力に対応した豊富なインターフェース
GMKtec NucBox5 の短所(Cons):
- メモリの増設・交換が一切できない
- 本格的なPCゲームや動画編集には全く向かない性能
- 専用アダプターが必須となる特殊な電源仕様
- クリーンインストール時のドライバー入手に手間がかかる
総合評価:
GMKtec NucBox5は、ウェブブラウジング、オフィス作業、動画視聴といったライトな用途に特化した、コストパフォーマンスと省スペース性に優れたミニPCです 。特に、リビング用のメディアPCや、静かで場所を取らない2台目のサブPCを探している方には、最適な一台と言えるでしょう 。
<この記事で分かること>
- GMKtec NucBox5の総合的なレビューと5段階評価
- Celeron N5105のベンチマークスコア(Cinebench/Geekbench等)と実際の性能
- 内蔵GPU(Intel UHD Graphics)のグラフィックス性能の限界
- 人気ゲーム(原神、マインクラフト等)がどの程度動くかの実機検証
- メモリ増設は可能か?SSDのNVMe換装は?といったアップグレードの可否
- メリット・デメリットの詳細な解説
- USBポートの仕様や配置、VESAマウントへの対応状況
- Windows 11のクリーンインストール手順とドライバーのバックアップ・適用方法
- 実際の消費電力、騒音レベル、冷却性能
- どんな人に最適で、どんな人には向かないか
この記事を最後まで読むことで、GMKtec NucBox5が本当に「買い」なのかどうかが、はっきりと分かるはずです 。購入を迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください 。
手のひらに、驚きのパワー。GMKtec NucBox5:Celeronの常識を覆す超小型PC
手のひらサイズの筐体に、想像を超えるパフォーマンスを凝縮。 GMKtec NucBox5は、わずか72mm四方という驚異的なコンパクトさでありながら、日常作業からエンターテイメントまで快適にこなすパワフルなミニPCです 。これまでのCeleronプロセッサのイメージを覆す性能と、優れた静音性を両立。あなたのPCライフをよりスマートで快適なものに変える一台です。
ポケットに収まる究極のコンパクト設計
本体サイズは72×72×44.5mm、重量はわずか204g 。ポケットに入れて持ち運べるほどの携帯性を実現しています 。設置場所を選ばず、デスク上を広々と使えるだけでなく、リビングのテレビに接続したり、外出先に持ち出して使用したりと、利用シーンは無限に広がります。
Celeronと侮るなかれ!Jasper Lake N5105の驚異的パフォーマンス
心臓部には、10nmプロセスで製造されたIntel Celeron N5105プロセッサ(4コア/4スレッド、最大2.90 GHz)を搭載 。旧世代のCPUと比較してパフォーマンスが大幅に向上しており、特にシングルスレッド性能は約1.5倍に、グラフィック性能はベンチマークテストで2倍以上のスコアを記録することもあります 。ウェブブラウジングやOfficeソフトなどの日常的な作業はもちろん、動画視聴もサクサク快適にこなします 。
4Kデュアルディスプレイ出力と次世代Wi-Fi 6に対応
コンパクトながらHDMI 2.0ポートを2基搭載し、4K解像度でのデュアルディスプレイ出力をサポート 。広大な作業領域で、マルチタスクも効率的に行えます。さらに、高速で安定した通信が可能なWi-Fi 6に対応 。大容量データのダウンロードやストリーミング動画の再生もスムーズです。
静かで快適!負荷時も気にならない優れた静音性
冷却システムにはヒートパイプと静音ファンを内蔵 。高負荷な作業中でもファンの回転数が一定に保たれるため、騒音が気になりません 。静かな環境が求められる寝室での利用や、作業への集中を妨げたくないオフィスにも最適です。
豊富なインターフェースで高い拡張性
合計3つのUSB 3.0ポート、有線LANポート、microSDカードスロットなど、コンパクトなボディに豊富なインターフェースを装備 。外付けHDDやキーボード、マウスなど、様々な周辺機器をストレスなく接続できます。
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公式ページ:GMKtec ミニ PC
GMKtec NucBox5のベンチマーク
GMKtec NucBox5が搭載するCeleron N5105 プロセッサは、どのくらいの性能なのでしょうか?ベンチマークで測定してみました。
<CPUのベンチマーク結果・Celeron N5105>
- PassmarkのCPUベンチマークスコア「4038」
- Geekbench 6のシングルコア「503」、マルチコア「1449」
- Cinebench 2023 シングルコア「620」、マルチコア「2200」
- Cinebench 2024 シングルコア「40」、マルチコア「145」
- PCMark 10 スコア「2900」(よく利用されるアプリの使用感を計測)
<CPUのベンチマーク結果から分かること>
Intel Celeron N5105は、性能の高さを追求するのではなく、限られた用途において必要十分なパフォーマンスを低消費電力で実現することに主眼を置いたプロセッサーであると結論付けられます。その性能は、Webサイトの閲覧、YouTubeなどの動画ストリーミング再生、メールの送受信、WordやExcelを用いた軽度な文書作成・表計算といった、いわゆる「ライトユース」に最適化されています。
しかしながら、その性能には明確な上限が存在します。GeekbenchやCinebenchのスコアが示す通り、複数のアプリケーションを同時に駆使するヘビーなマルチタスク、本格的なPCゲームのプレイ、4K動画の編集、RAW画像の現像、プログラミングにおける大規模なコンパイルといった、CPUに高い負荷を継続的にかける作業には全く向いていません。
グラフィック性能
Intel Celeron N5105に内蔵されたIntel UHD Graphics (Jasper Lake)のグラフィックス性能は、どのくらいなのでしょうか?ベンチマークで測定してみました。
<GPUのベンチマーク結果・Intel UHD Graphics (Jasper Lake)
のグラフィックスコア>
- Fire Strike グラフィックスコアで「957」(DirectX 11)
- Fire Strike Extreme グラフィックスコアで「430」
- Time Spy グラフィックスコアで「333」(DirectX 12)
- 3DMark Night Raidで「4388」(DirectX 12, 低負荷)
- 3DMark Wild Life「3200」(Vulkan/Metal, モバイル向け)
<GPUのベンチマーク結果から分かること>
Intel Celeron N5105に内蔵されたIntel UHD Graphics (Jasper Lake)のグラフィックス性能な3Dゲーミングや高度なクリエイティブ作業を目的としたものではなく、あくまでCPUの補助として基本的な画面表示とメディア再生を担うために設計されたGPUであると結論付けられます。
Fire StrikeやTime Spyの低いスコアが示す通り、最新の美麗な3Dゲームをプレイする能力は持っていません。このGPUを搭載したPCでゲームを楽しもうと考える場合、その選択肢は非常に軽量なインディーゲームや、黎明期の3Dゲーム、ブラウザゲームなどに厳しく限定されるでしょう。
しかし、OSのデスクトップ画面やアプリケーションの描画、Webブラウジングといった日常的な操作はスムーズに行えます。そして最も重要な強みは、4K動画再生支援機能です。これにより、消費電力を抑えながら高精細な映像コンテンツを滑らかに再生できるため、小型PCをリビングのテレビに接続してメディアセンター(HTPC)として利用するような用途には最適です。
ゲーム性能
GMKtec NucBox5が搭載するIntel Celeron N5105のゲーム性能について、具体的なゲームタイトルとフレームレート(FPS)を交えて説明します。
原神
美しいグラフィックが特徴のオープンワールド・アクションRPGである原神のプレイは、Celeron N5105のシステムでは極めて困難です。ゲームを起動し、グラフィック設定をすべて「最低」、レンダリング解像度を0.6、解像度を720p(1280×720)まで落としたとしても、安定した動作は望めません。
フィールドを移動している間は20から25 FPS程度で動作するかもしれませんが、複数の敵との戦闘が始まったり、キャラクターのスキルによる派手なエフェクトが発生したりすると、フレームレートは10 FPS台まで激しく落ち込みます。これにより画面は頻繁にカクつき、キャラクターの操作もままならず、ゲーム体験として成立させることは難しいレベルの動作となります。
DOTA 2
世界的な人気を誇る5対5の対戦型戦略ゲーム(MOBA)であるDOTA 2は、設定を大きく下げることで、かろうじてプレイの形にはなります。解像度を720p、グラフィック設定をすべて最低にすることで、対戦序盤のプレイヤーが分散している場面では40から50 FPS程度で動作します。
しかし、ゲームが進行し、10人のプレイヤー全員が入り乱れてスキルを応酬する大規模な集団戦になると、CPUの処理能力とGPUの描画能力の双方が限界に達し、フレームレートは20 FPS前後まで低下します。一瞬の判断が勝敗を分けるこのゲームにおいて、このようなパフォーマンスの低下は致命的であり、競技的なプレイは不可能です。
GRID: Autosport
リアリティとアーケードのバランスが取れたレースゲームであるGRID: Autosportは、リリースから時間が経過しているため、比較的軽い部類に入ります。解像度720p、グラフィック設定を「最低」または「低」に設定した場合、平均して30 FPS前後でのプレイが見込めます。
レーススタート時や複数のAIカーが密集するコーナーでは30 FPSを割り込むこともありますが、単独で走行している場面では40 FPS近くまで達することもあります。滑らかとは言えないものの、レースゲームとして最低限遊べるレベルのパフォーマンスは確保できます。
CS GO
高いフレームレートの維持が勝敗に直結する競技性の高いファーストパーソン・シューター(FPS)、CS GO(Counter-Strike: Global Offensive)では、このシステムの性能不足が顕著になります。解像度を1024×768のような低解像度に設定し、すべてのグラフィックオプションを最低にしても、安定したパフォーマンスを得ることはできません。
平均的なフレームレートは40から60 FPSの間を変動しますが、これはあくまで何もない場所での数値です。スモークグレネードが展開されたり、複数のプレイヤーとの銃撃戦になったりすると、フレームレートは30 FPS台にまで急落します。この不安定な動作では、正確なエイムは望めず、対戦相手に対して著しく不利な状況に置かれます。
Minecraft (マインクラフト)
ブロックで構成された世界で創造と冒険を楽しむサンドボックスゲーム、Minecraftは、設定次第で動作の度合いが大きく変わります。MODなどを一切導入しないバニラ状態のJava版において、描画距離を8チャンク以下に短縮し、パーティクルの表示を減らすなど、各種設定を軽量化することで、30から60 FPSでのプレイが可能です。
広大な平原などでは比較的スムーズですが、複雑な建造物や多くのMOBが存在するエリアではフレームレートが低下します。より最適化されたBedrock版であれば、同等の設定でより安定した動作が期待できます。ただし、影MODに代表されるシェーダーパックを導入すると、GPU性能が全く足りないため、フレームレートは数FPSまで落ち込み、プレイは実質的に不可能な状態になります。
まとめ:ゲーム性能
Intel Celeron N5105と内蔵Intel UHD Graphicsが提供するゲーム性能は、総合的に見て非常に限定的です。ベンチマークスコアが示す通り、このシステムはそもそもゲームプレイを主目的として設計されていません。今回挙げられたゲームタイトルのうち、GRID: AutosportやMinecraft(軽量設定)のような比較的古い、あるいは要求スペックの低いゲームであれば、画質や解像度を大幅に妥協することを前提に「動かす」ことは可能です。しかし、その場合でも「快適なプレイ」とは程遠く、カクつきやフレームレートの低下が常に伴います。
特に原神のようなグラフィカルに要求の高いゲームや、CS GO、DOTA 2のような安定したパフォーマンスが求められる競技性の高いゲームにおいては、性能不足が深刻な問題となり、満足のいくゲーム体験を得ることはできません。
このプロセッサーを搭載したデバイスは、ゲーム以外の用途、すなわち低消費電力を活かした動画視聴、Webサイトの閲覧、オフィスソフトでの軽作業といった分野でその真価を発揮します。もしPCゲームを少しでも楽しみたいのであれば、最低でもIntel Core i3やAMD Ryzen 3以上のCPUと、ディスクリートGPUを搭載したモデルを検討することが不可欠です。Celeron N5105搭載機をゲーム目的で購入することは推奨されません。
GMKtec NucBox5のアップグレード:メモリとストレージ増設の可能性
GMKtec NucBox5は、その超小型の筐体に高い性能を秘めていますが、より快適な環境を求めてメモリやストレージの増設を検討する方もいるでしょう。このミニPCのアップグレードの可否について、内部構造の観点から解説します。
メモリの増設について
GMKtec NucBox5に搭載されている8GBのDDR4メモリは、マザーボードに直接はんだ付けされたオンボード形式です。そのため、一般的なデスクトップPCやノートPCのように、空きスロットにメモリを増設したり、既存のメモリをより大容量のものに交換したりすることはできません。購入後のメモリ容量の変更は不可能なため、ご自身の用途に8GBのメモリで十分かどうかを事前に考慮することが重要です。
ストレージの換装と増設
メモリとは対照的に、ストレージはユーザーによる換装が可能です。本体底面のカバーを外すと、M.2 SSDスロットにアクセスできます。標準ではSATA規格のSSDが搭載されていますが、このスロットはより高速なデータ転送を実現するNVMe規格のSSDにも対応しています。大容量かつ高速なNVMe SSDに換装することで、OSやアプリケーションの起動時間を短縮し、システム全体の応答性を向上させることができます。
また、内蔵SSDの換装に加えて、より手軽なストレージ拡張方法も用意されています。本体の側面にはmicroSDXCカードスロットが配置されており、対応するカードを挿入するだけで簡単にストレージ容量を追加することが可能です。写真や書類といったデータの保存先として活用することで、内蔵SSDの空き容量を確保し、快適な利用環境を維持するのに役立ちます。
GMKtec NucBox5のUSBポートとVESAマウント対応状況
GMKtec NucBox5の拡張性と設置の自由度について、重要な要素であるUSBポートの仕様とVESAマウントへの対応状況を解説します。これらの点は、実際の使用感やデスク周りのレイアウトに大きく影響します。
USBポートの配置と仕様
GMKtec NucBox5は、合計3つのUSB 3.0ポートを備えており、周辺機器との接続に十分な数を確保しています。これらのポートは、本体の前面に2つ、背面に1つと分けて配置されています。この設計により、USBメモリや外付けドライブなど、頻繁に抜き差しする機器はアクセスしやすい前面のポートを使用し、キーボードやマウスといった常時接続する機器は背面のポートに繋ぐことで、ケーブルをすっきりとまとめることが可能です。旧モデルと比較してポート数が増え、利便性が大幅に向上した点も特徴です。なお、背面のUSB Type-Cポートは給電専用です。
VESAマウントへの対応
GMKtec NucBox5は、VESAマウントに対応しており、モニターの背面などに取り付けることで、デスク周りをさらにすっきりとさせることが可能です。ただし、取り付けに必要なマウント用の金具は製品に付属していないため、別途用意する必要があります。もちろん、その超小型で軽量なデザインを活かし、そのままデスク上のわずかなスペースに設置したり、テレビボードに置いたりして使用することもできます。
GMKtec NucBox5のクリーンインストール手順とドライバーの適用方法
GMKtec NucBox5をプリインストールされたアプリケーションなどがない、よりクリーンな状態で使用したい場合、Windowsのクリーンインストールが有効です。ここでは、その具体的な手順と、インストール後に必要となるドライバーの適用方法について、事前の準備から順を追って解説します。
クリーンインストールの前の重要な準備
作業を開始する前に、万が一の事態に備えて2つの重要なバックアップを取ることが強く推奨されます。一つ目はWindowsのプロダクトキーです。PowerShellを起動し、特定のコマンド (Get-WmiObject -query ‘select * from SoftwareLicensingService’).OA3xOriginalProductKey を実行することで、現在のプロダクトキーを確認し、メモ帳などに保存しておきます。
二つ目は、現在PCにインストールされている全ドライバーのバックアップです。これもPowerShellやコマンドプロンプトでDISMコマンド dism /online /export-driver /destination:”[バックアップ先のフォルダパス]” を実行することで、既存のドライバーを一式エクスポートできます。この作業は、後述するドライバーの適用で非常に重要になります。
Windows 11のクリーンインストール手順
準備が完了したら、Microsoftの公式サイトから「Windows 11のインストールメディアを作成する」ツールをダウンロードし、画面の指示に従ってUSBメモリにインストールメディアを作成します。作成したUSBメモリをNucBox5に接続し、PCを再起動させ、UEFI/BIOS画面で起動デバイスをUSBメモリに変更してインストールを開始します。インストールの過程でプロダクトキーの入力を求められますが、「プロダクトコードがありません」を選択して進めることが可能です。その後は画面の指示に従い、Windowsのインストールを完了させます。
ドライバーの適用方法
Windowsのクリーンインストールが完了したら、まずインターネットに接続し、Windows Updateを実行します。多くの場合、これだけで必要なドライバーのほとんどが自動的に検出され、インストールされます。しかし、一部のデバイスは認識されないまま「?」マーク付きでデバイスマネージャーに残ることがあります。
NucBox5の場合、IntelのシリアルI/Oコントローラーなどが該当する可能性があります。その際は、準備段階でバックアップしておいたドライバーの出番です。デバイスマネージャーで未認識のデバイスを右クリックし、「ドライバーの更新」からバックアップ先のフォルダを指定することで、適切なドライバーを手動で適用できます。
公式サイトでのドライバー提供について
GMKtecの公式サイトには、各製品のドライバーをまとめたダウンロードページが存在します。しかし、2025年7月現在、そのリストの中に「NucBox5」専用のドライバーは見当たりません。他のモデル(NucBox G1, G2, G5など)のドライバーは提供されていますが、NucBox5用は個別に用意されていない状況です。このため、クリーンインストールを行う際は、作業前に必ず既存のドライバーをバックアップしておくことが、スムーズな環境再構築のために不可欠と言えます。
GMKtec NucBox5のメリット・デメリット
GMKtec NucBox5は、その超小型な筐体と価格からは想像できない性能で注目を集めるミニPCです。しかし、購入を検討する上では、その長所だけでなく短所や注意点も正確に把握しておくことが重要です。ここでは、NucBox5が持つ様々なメリットと、事前に知っておくべきデメリットを具体的に解説します。
【メリット】
メリット1:驚異的なコンパクトさと携帯性
NucBox5の最大の魅力は、72mm四方、重量約204gという圧倒的なコンパクトさです。手のひらはもちろん、ポケットにも収まるほどのサイズ感で、設置場所を選びません。デスク上をすっきりと保てるだけでなく、リビングのテレビに接続したり、別の場所に持ち運んで使ったりと、その携帯性の高さは多様な利用シーンを可能にします 。
メリット2:Celeronの常識を覆す高いパフォーマンス
プロセッサにはJasper Lake世代のCeleron N5105を搭載し、旧世代のCeleronから性能が飛躍的に向上しています。特にグラフィック性能は目覚ましく、ベンチマークテストでは一世代前のCore i5プロセッサの内蔵GPUを上回るスコアを記録することもあります。ウェブ閲覧や動画再生、オフィスソフトといった日常的な作業は非常に快適で、「期待を超えた」と評価する声もあります 。
メリット3:負荷時も気にならない優れた静音性
冷却システムには静音ファンが採用されており、その動作音は非常に静かです。特筆すべきは、アイドル時から高い負荷がかかった状態までファンの回転数がほぼ変わらず、騒音レベルが一定に保たれる点です。ファンのオンオフが頻繁に繰り返されることによる耳障りなノイズがなく、静かな環境での作業や就寝中の利用にも適しています。
メリット4:小さくても妥協のない豊富なインターフェース
この小さな筐体には、合計3つのUSB 3.0ポート、2つのHDMI 2.0ポート、有線LANポートが詰め込まれています。これにより、4Kデュアルディスプレイ環境を構築しつつ、複数の周辺機器を安定して接続できます。さらに、次世代規格のWi-Fi 6にも対応しており、無線環境でも高速で安定した通信が可能です。
メリット5:省エネで経済的な低消費電力
NucBox5は非常に優れた省エネ性能を誇ります。プロセッサーに高い負荷がかかるベンチマークテスト中でも、最大消費電力は約19.5Wと、20Wに達しません。これは一般的なノートPCと比較しても低い数値であり、常時起動させておくような簡易的なサーバー用途や、日々の電気代を抑えたいユーザーにとって大きなメリットとなります。
【デメリット】
デメリット1:特殊な仕様の電源アダプター
給電にはUSB Type-C端子が採用されていますが、その仕様は12V専用となっています。これはUSBの公式規格とは異なる特殊なもので、一般的なスマートフォンの充電器やUSB PD対応アダプターは使用できません。必ず付属の専用ACアダプターを使う必要があり、アダプターを紛失したり故障したりした際の代替品の入手に注意が必要です。
デメリット2:低速なmicroSDカードリーダー
本体側面には手軽にストレージを拡張できるmicroSDカードスロットがありますが、その転送速度はリード(読み込み)で約19MB/sと非常に低速です。これは先代モデルから性能が大幅に低下した点であり、写真や動画などの大容量ファイルを頻繁にやり取りする用途には不向きです。あくまで簡易的なデータ保存領域として割り切る必要があります。
デメリット3:購入後に変更不可能なメモリ
NucBox5に搭載されている8GBのメモリは、基板に直接はんだ付けされたオンボード形式です。そのため、購入後にユーザー自身でメモリを増設したり、より大容量のものに交換したりすることはできません。動画編集や最新のゲームなど、より多くのメモリを必要とする作業を検討している場合は、この点を十分に考慮する必要があります。
デメリット4:一部で指摘されるWi-Fiの不安定性
多くのユーザーが快適な使用感を報告する一方で、一部のレビューでは「本体が熱を持つとWi-Fi接続が不安定になる」という指摘がなされています 。長時間の連続使用や高負荷な作業を行う際には、同様の症状が発生する可能性も考えられます。安定したネットワーク環境が必須の場合は、有線LAN接続を基本として利用するのが確実です。
デメリット5:クリーンインストール時のドライバー入手の手間
よりクリーンな環境を求めてOSを再インストールする場合、ドライバーの入手に手間がかかる可能性があります。GMKtecの公式サイトにはドライバーのダウンロードページがありますが、2025年7月現在、NucBox5専用のドライバーは提供されていません。そのため、クリーンインストール前には、DISMコマンドなどを用いて既存のドライバーをすべて自身でバックアップしておく作業が不可欠となります。
GMKtec NucBox5のスペック(仕様)一覧
- プロセッサー: Intel Celeron N5105 (4コア/4スレッド 、ベースクロック 2.00 GHz 、最大ターボクロック 2.90 GHz)
- GPU: Intel UHD Graphics (Jasper Lake, 24実行ユニット )
- RAM(メモリ): 8GB DDR4-2933
- ストレージ: 256GBまたは512GB M.2 SATA SSD
- 拡張: M.2スロットはNVMe SSDにも対応 。microSDXCカードスロットを搭載 。
- 電源: 12V/3A ACアダプター(接続端子はUSB Type-C形状)
- ワイヤレス通信: Wi-Fi 6(AMD RZ608) 、Bluetooth 5.2
- 有線LAN: Gigabit Ethernet
- インターフェース: USB 3.0 ×3 、HDMI 2.0 ×2 、USB Type-C(給電用)×1 、microSDXCカードスロット ×1 、3.5mmオーディオジャック ×1 、ケンジントンロック ×1
- 4K映像出力: 対応(デュアルディスプレイ)
- 冷却システム: ヒートパイプと静音ファンを内蔵
- OS: Windows 11 Home
- サイズ: 72 × 72 × 44.5mm
- 重量: 約204g
GMKtec NucBox5の5段階評価
GMKtec NucBox5は、そのサイズからは想像もつかない性能を秘めた魅力的なミニPCです。各項目を評価し、その実力を分析します。
【項目別評価】
スペック:★★★★☆
Celeron N5105は従来の同クラスCPUのイメージを覆す性能で、特にグラフィック性能は秀逸です。ただしメモリ増設が不可能な点は惜しまれます。
デザイン:★★★★★
72mm四方というポケットにも収まる驚異的なコンパクトさは、他の製品にはない圧倒的な魅力であり、この製品の価値を決定づけています。
通信:★★★★☆
次世代規格のWi-Fi 6と有線LANの両方に対応しており、通信環境は万全です。一部で高負荷時のWi-Fiの安定性に懸念があるため星4としました。
機能(拡張性):★★★☆☆
デュアルHDMIや3つのUSBポートなど必要十分な機能は備えています。しかし、メモリ増設不可と低速なSDカードリーダーが拡張性の評価を下げています。
冷却性能:★★★★☆
高負荷時でもファンの騒音がほとんど変わらない静音性は特筆に値します。CPU温度はやや高めになりますが、表面温度は低く保たれ実用上問題ありません。
使いやすさ:★★★☆☆
前面USBポートなど日常的な使い勝手は良好です。一方で、特殊な電源仕様や、OSクリーンインストール時の手間は、初心者にはやや優しくない側面もあります。
価格:★★★★☆
セール時の価格を考慮すれば、この性能とコンパクトさを実現したコストパフォーマンスは非常に高いと言えます。
総評:★★★★☆
「ポケットに入るデスクトップ」という新たな価値
GMKtec NucBox5の最大の功績は、「デスクトップPCは据え置いて使うもの」という固定観念を打ち破った点にあります。手のひらに収まるほどの筐体は、デスクのスペースを全く圧迫せず、モニターの隅に置けばその存在を忘れてしまうほどです。このサイズ感は、単に小さいというだけでなく、リビングのテレビに気軽に接続して大画面で動画を楽しんだり、実家に持ち帰って作業をしたりと、PCの利用シーンそのものを広げる新たな価値を提供してくれます。
Celeronのイメージを塗り替える確かな性能
NucBox5は、Jasper Lake世代のCeleron N5105プロセッサを搭載することで、「低価格ミニPCは動作が遅い」というイメージを払拭しました。ウェブサイトの閲覧、Officeソフトでの書類作成、4K動画の再生といった日常的なタスクにおいて、ストレスを感じる場面はほとんどありません。
特に内蔵グラフィックスの性能向上は目覚ましく、軽めのゲームであれば設定次第でプレイ可能なレベルに達しています。これまで性能面でミニPCを敬遠していた層にも、十分に満足できる実力を備えています。
いくつかの妥協点とユーザーを選ぶ側面
もちろん、この小さな筐体を実現するために、いくつかの点が犠牲になっていることも事実です。購入後にメモリを増設できないこと、高速とは言えないmicroSDカードリーダー、そして専用アダプターが必須となる電源仕様は、購入前に理解しておくべき明確なデメリットです。これらの点から、NucBox5は万人におすすめできる万能機ではありません。
しかし、「メインPCは別にある上での強力なサブ機」や、「動画視聴やウェブ閲覧に特化したリビングPC」といった特定の目的を持つユーザーにとって、そのデメリットを補って余りある魅力を持つ、非常にユニークで価値のある一台と言えるでしょう。
どんな人に最適か
では、具体的にどのようなユーザーにとってNucBox5は最適なのでしょうか。まず、メインPCは別にある前提で、手軽に使える2台目のサブPCを探している方には、この上ない選択肢です。また、その静音性と4Kデュアルディスプレイ出力機能は、リビングのテレビに接続するメディアプレーヤーとしても最適で、家族で動画配信サービスなどを楽しむ用途にぴったりです。
デスク周りを可能な限りシンプルにしたいミニマリストや、設置スペースが限られている方にも強く推奨できます。さらに、低消費電力で有線LANを備えているため、ファイル共有や特定のサービスを動かすための24時間稼働の簡易サーバーとしても十分な性能を発揮します。このように、用途を明確に絞り込むことで、NucBox5は唯一無二のパートナーとなり得るのです。
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GMKtec NucBox5の価格・購入先
※GMKtec NucBox5の販売は終了しました。参考価格として、以下の価格情報を残しておきます。
ECサイト
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