MeLE Quieter3Q 購入ガイド:増設から電力消費、BIOSまで解説

MeLE Quieter3Q 本体を手で持っている。
2022年に登場して以来、その完全な静音性とポケットに収まるほどのサイズで、一部のユーザーから絶大な支持を得ている「MeLE Quieter3Q」。このユニークなファンレスミニPCが、日々の作業や特定の趣味の領域でどれほどの価値を提供してくれるのか、その実力を徹底的に検証しました。

先に結論からお伝えしましょう

MeLE Quieter3Q の長所(Pros):

  • ファンレス設計による完全な静粛性
  • どこにでも置ける究極の省スペース・軽量デザイン
  • 24時間稼働も安心な優れた省電力性能
  • 日常使いには十分なパフォーマンス
  • M.2 SSDによるストレージ拡張が可能
  • Windows 11 Proを標準搭載した高いコストパフォーマンス

MeLE Quieter3Q の短所(Cons):

  • 高負荷時に本体天板がかなり熱くなる
  • 現代的な3Dゲームのプレイはほぼ不可能
  • 電源用のUSB-Cポートが特殊仕様で、誤使用のリスクがある
  • 購入後にメモリの増設・交換はできない

総合評価:

MeLE Quieter3Qは、静音性、省スペース、省電力を最優先するニッチな要求に完璧に応える一台です。一般的な用途をすべて快適にこなせるPCではありませんが、その価値を理解するユーザーにとっては、最高の相棒となるでしょう。

この記事で分かること

  1. MeLE Quieter3Qの総合的なレビューと5段階評価
  2. Celeron N5105のCPU・グラフィック性能(各種ベンチマークスコア)
  3. 「原神」や「CS GO」など、人気ゲームがどの程度動作するかの検証(FPS)
  4. ファンレス設計のメリットと、高負荷時の発熱に関する具体的な注意点
  5. アイドル時と高負荷時のリアルな消費電力
  6. メモリ・ストレージ(M.2 NVMe SSD)の増設・換装ガイドと注意点
  7. USBポートの性能と、最も注意すべき電源(USB-C)ポートの仕様
  8. BIOSで設定できる便利な機能(Wake on LAN, Auto Power onなど)
  9. 7つのメリットと5つのデメリットの徹底比較
  10. 公式サイトやAmazonなど、最新の価格と購入先情報
  11. どんな人に最適か、具体的な使用例(HTPC、ホームサーバー、天体写真撮影など)

この記事を最後まで読むことで、「MeLE Quieter3Q」を購入するべきかどうかが、はっきりと分かるはずです。購入を迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

手のひらサイズの静かな巨人、MeLE Quieter3Q – 無音でパワフルな万能ミニPC

MeLE Quieter3Q 本体。縦に配置。

静かで、コンパクトで、驚くほど高性能。 そんな夢のようなデスクトップPCが「MeLE Quieter3Q」です。ポケットに収まるほどの極小サイズでありながら 、日々の作業からエンターテイメント、専門的な趣味の領域まで、多彩なニーズに応える実力を秘めています。ファンレス設計による完全無音動作は、あなたのPC体験を新たな次元へと引き上げます。

1. 静寂をもたらす完全ファンレス設計

MeLE Quieter3Qの最大の特徴は、一切の騒音を発しないファンレス設計です 。CPUの熱は、スリットが刻まれた金属製のボディ全体で効率的に放熱されます。これにより、ホコリの侵入による故障リスクも低減。実際に、ホコリや小麦粉が舞うパン屋さんでの業務用途でも高く評価されています 。書斎での集中作業、寝室でのメディア鑑賞、静けさが求められるオーディオストリーミング など、あらゆるシーンでその静音性が光ります。

2. 見た目を裏切るパワフルなプロセッサ

本機には、Intelの第11世代Jasper Lake世代プロセッサ「Celeron N5105」を搭載 。4コア4スレッド、最大2.90GHzで動作するこのCPUは 、ウェブブラウジングやOfficeソフトなどの日常的なタスクを軽快にこなします 。

  • CPU: Intel Celeron N5105 (4コア/4スレッド, 2.00GHz-2.90GHz)
  • メモリ: 8GB または 16GB LPDDR4
  • OS: Windows 11 Pro プリインストール

ベンチマークテストでもその実力は証明されており、PCの総合性能を測る「PCMark 10」では、快適な作業の目安とされるスコア2000を上回る「2230」を記録。Cinebench R23のマルチコアスコアは「2175」に達し 、このサイズからは想像できないほどの処理能力を示します。

3. 小さくても妥協しない、驚きの拡張性

このコンパクトなボディには、デスクトップPCに匹敵する豊富なポート類が凝縮されています。

  • USBポート: 合計4つのUSB3.0ポートを搭載し、ハブを使わずに複数の周辺機器を接続できます 。
  • 映像出力: 2つのHDMIポートを備え、4K@60Hzのデュアルディスプレイ環境を構築可能です 。デジタルサイネージやマルチタスク作業に最適です。
  • ストレージ: eMMCストレージに加え、最大5TBまでのM.2 NVMe SSDを増設できるスロットを搭載 。大容量データを扱うユーザーも安心です。
  • ネットワーク: 次世代規格のWi-Fi 6とギガビット有線LANポートを両方搭載 。安定した高速通信を実現します。

4. あらゆる用途に応える多様性

MeLE Quieter3Qは、その静音性、省電力性、そして意外なほどの性能から、様々な分野で活躍が期待できます。

  • ホームシアターPC (HTPC): ファンレス無音なので、映画や音楽の世界に没頭できます。Kodiや各種ストリーミングサービスもスムーズに動作します 。
  • ホームサーバー/常時稼働PC: 低消費電力設計のため、ファイルサーバーやダウンロードマシンとして24時間稼働させるのに最適です 。
  • 専門的な趣味: 12V電源で動作するため、屋外での天体写真撮影の制御PCとして絶大な支持を得ています 。
  • ビジネス・事務作業: Windows 11 Proを搭載し、リモートデスクトップサーバーなどビジネス用途にも対応 。VESAマウントでモニターの背面に取り付ければ、究極の省スペースPCが完成します 。

ご注意いただきたい点

多くの魅力を持つ一方で、いくつかの注意点も存在します。

  • 本体の発熱: ファンレス設計のため、ゲームなど高い負荷をかけ続けると天板がかなり熱くなります 。小さなお子様がいる環境では設置場所に注意が必要です。
  • 電源ポート: 電源用のポートはUSB Type-C形状ですが、付属の12V/2A専用アダプタ以外は使用できません。一般的なUSB PD充電器を接続すると故障の原因となる可能性があります。
  • ゲーム性能: Vampire Survivorsのような軽量な2Dゲームはプレイ可能ですが、3Dゲームの快適なプレイは困難です 。

まとめ

MeLE Quieter3Qは、「小さいから性能は低い」という常識を覆すミニPCです。完全無音の快適なPC環境を求めるユーザー、設置スペースが限られているユーザー、そしてHTPCやサーバー、趣味の専用機など、特定の目的を持ったユーザーにとって、これ以上ないほど魅力的な選択肢となるでしょう。この小さなボディに秘められた無限の可能性を、ぜひ体験してください。

公式ページ:MeLE Quieter 3Q – Fanless Mini PC N5105

MeLE Quieter3Qのベンチマーク

MeLE Quieter3Q 本体 縦向き。Windowsのロゴが見える。

MeLE Quieter3Qが搭載するCeleron N5105 プロセッサはどのくらいの性能なのでしょうか?ベンチマークで測定してみました。

CPUのベンチマーク結果・Celeron N5105

  • PassmarkのCPUベンチマークスコア「4025」
  • Geekbench 6のシングルコア「910」、マルチコア「2350」
  • Geekbench 5のシングルコア「667」、マルチコア「2074」
  • Cinebench 2023 シングルコア「618」、マルチコア「2175」
  • Cinebench 2024 シングルコア「38」、マルチコア「125」
  • PCMark 10 スコア「2230」(よく利用されるアプリの使用感を計測)

CPUのベンチマーク結果から分かること

Celeron N5105のベンチマークスコアが示す性能は、「基本的なPC作業を快適に行うための、省電力に特化したエントリーCPU」という位置づけを明確にしています。PassmarkやPCMark 10のスコアが示すように、インターネットの閲覧、メールの送受信、Officeソフトを使った書類作成、YouTubeなどの動画コンテンツの視聴といった、多くの人が日常的に行う軽作業においては十分なパフォーマンスを発揮します。

一方で、Cinebenchのスコアが示す通り、プロフェッショナルな動画編集、高解像度の画像処理、最新の3Dゲームのプレイといった、高い演算能力を要求されるタスクには全く対応できません。

グラフィック性能

Celeron N5105が内蔵するIntel UHD Graphics (Jasper Lake)のグラフィック性能はどのくらいなのでしょうか?ベンチマークで測定してみました。

GPUのベンチマーク結果・Intel UHD Graphics (Jasper Lake)のグラフィックスコア

  • Fire Strike グラフィックスコアで「1150」(DirectX 11)
  • Fire Strike Extreme グラフィックスコアで「500」
  • Time Spy グラフィックスコアで「400」(DirectX 12)
  • 3DMark Night Raidで「3478」(DirectX 12, 低負荷)
  • 3DMark Wild Life「2336」(Vulkan/Metal, モバイル向け)

GPUのベンチマーク結果から分かること

Celeron N5105に内蔵されたIntel UHD Graphicsの性能は、そのCPUの性格と完全に一致しており、「省電力な日常利用」に最適化されています。高解像度の動画コンテンツをCPUに大きな負荷をかけることなくスムーズに再生したり、ウェブブラウジング中に表示される様々なグラフィック要素を滑らかに描画したり、ビデオ会議の映像を送受信したりといった、現代のPCに不可欠な基本的なグラフィックス処理を、低消費電力で確実にこなすことが可能です。

ゲーム性能

MeLE Quieter3Qが搭載するCeleron N5105プロセッサのゲーム性能について、具体的なゲームタイトルとフレームレート(FPS)を交えて説明します。

原神

アニメ調の美しいグラフィックが特徴のオープンワールド・アクションRPGです。元々モバイルデバイスでも動作するため、Celeron N5105でも起動はします。しかし、PC版で快適なプレイは望めません。解像度を1280×720 (720p)に設定し、グラフィック品質を「最低」まで落とした状態でも、フレームレートは平均して20から30 FPSの間を推移します。

特にモンドや璃月といった都市部や、複数の敵との戦闘で元素爆発が飛び交う場面では、フレームレートは20 FPSを割り込み、画面が著しくカクつきます。滑らかなキャラクター操作が難しくなるため、広大な世界を探索することはできても、このゲームの魅力である爽快なアクションを十分に味わうことは困難です。

DOTA 2

5対5のチームで戦う、世界的に人気の高いMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)です。このゲームは比較的古いエンジンで動作し、要求スペックが低いため、Celeron N5105でもプレイの可能性があります。

解像度を720p、すべてのグラフィック設定を最低にすることで、レーン戦などの静かな場面では平均して40から50 FPS程度を維持します。しかし、試合の勝敗を分ける終盤の集団戦では、多数のヒーローのスキルエフェクトが重なり、フレームレートは30 FPSを下回ることがあります。一瞬の判断と操作が求められる場面で動作が重くなるため、カジュアルなプレイは可能ですが、ランクマッチなど競技性の高いレベルで戦うには安定性が不足しています。

GRID: Autosport

リアルな挙動とグラフィックを特徴とするレーシングゲームです。Fire Strikeのスコアが示す通り、このような写実的な3Dグラフィックスの処理はIntel UHD Graphicsにとって非常に重い負荷となります。解像度を720p、グラフィック設定をすべて「ウルトラロー(最低)」にしても、フレームレートは25から35 FPSの範囲にとどまります。

特に多数のライバル車が密集するスタート直後や、高速でコーナーに進入する場面ではフレームレートが落ち込み、車のコントロールが難しくなります。レースゲームに求められるスピード感や滑らかな操作感を体験することはできず、プレイは厳しいものとなります。

CS GO (Counter-Strike: Global Offensive)

高い競技性を誇る5対5のチームベースのファーストパーソン・シューター(FPS)です。このタイトルはGPU負荷が比較的軽く、CPU性能に依存する部分が大きいため、設定次第で動作します。解像度を1024×768のような低解像度に設定し、グラフィック項目をすべて「低」にすることで、平均60 FPS以上でプレイすることが可能です。

しかし、これはあくまで理想的な状況であり、スモークグレネードが展開されたり、複数のプレイヤーが交戦したりする場面では、フレームレートは40 FPS台まで落ち込むことがあります。コンマ1秒の反応速度が勝敗を分けるこのゲームにおいて、フレームレートの不安定さは致命的であり、真剣な対戦には向いていません。

ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S (Definitive Edition)

広大な3Dの世界を冒険する国民的RPGです。Time Spyのスコアが400と極めて低いことから、このゲームの3Dモードでのプレイは非常に困難です。720p解像度、最低設定にした上で、さらにゲーム内の解像度スケールを50%まで下げ、ようやく20から25 FPS程度で動作するレベルです。

常に画面はカクつき、キャラクターの動きもぎこちなくなります。ストーリーを追うことはできますが、美しい世界を冒険する没入感は大きく損なわれます。このゲームをプレイする場合、3Dモードではなく、グラフィックス負荷が皆無な「2Dモード」を選択することが唯一の現実的な選択肢となります。

Minecraft (マインクラフト)

ブロックで構成された世界で創造と冒険を楽しむサンドボックスゲームです。このゲームはJava EditionとBedrock Editionで動作の軽さが異なります。処理が軽量なBedrock Editionでは、720p解像度で描画距離を8チャンク程度に短くし、各種グラフィック効果をオフにすれば、平均40から60 FPSで比較的スムーズに遊べます。

一方、Java Editionでは、パフォーマンスを改善するMOD「Sodium」の導入が必須です。MODを導入し、同様の設定にしても、フレームレートは30から50 FPS程度となり、Bedrock Editionよりは重くなります。どちらのバージョンでも、巨大な建築物や複雑な回路があるエリアでは、パフォーマンスが大幅に低下します。

まとめ:ゲーム性能

Celeron N5105のゲーム性能は、ベンチマークスコアが明確に示している通り、ゲームを主目的とするには全く力不足です。Time SpyやFire Strikeの低いスコアは、現代的な3Dグラフィックスを持つゲームのほとんどが、設定を最低にしても快適なフレームレートで動作しないことを意味します。プレイの可能性があるのは、CS GOやDOTA 2のような要求スペックが非常に低いeスポーツタイトルや、Minecraftのような負荷の軽いゲームに限られます。

しかし、それらのタイトルですら、解像度やグラフィック設定を大幅に引き下げ、画質を犠牲にするという大きな妥協が前提となります。さらに、負荷のかかる場面ではフレームレートが不安定になり、ゲーム体験の質は著しく低下します。結論として、Celeron N5105はあくまでウェブブラウジングや動画視聴、オフィスソフトといった基本的なPC作業をこなすためのプロセッサです。

MeLE Quieter3Qの核心:省電力性能と完全ファンレス設計の魅力

MeLE Quieter3Qが通信している様子。

MeLE Quieter3Qの設計思想の中核をなすのが、その卓越した「省電力性能」と、それによって実現可能となった「完全ファンレス設計」です。この2つの特徴は密接に関連しあい、本製品に静かで経済的、そしてユニークな価値をもたらしています。ここでは、その具体的な性能と、運用する上でのメリットや注意点について解説します。

驚異的な省電力性能

MeLE Quieter3Qは、一般的なデスクトップPCとは比較にならないほど低い消費電力で動作するのが大きな特徴です。具体的な測定結果によると、OSが起動して何も操作していないアイドル状態では、消費電力はWindows環境でわずか4.0W、Ubuntu環境ではさらに低い2.4Wです 。これは、常時点灯しているLED電球1個分よりも少ない電力です。

CPUに高い負荷がかかるベンチマークテストの実行時でも、消費電力は約12.0Wに抑えられています 。この優れた省電力性能は、24時間365日稼働させるホームサーバーや、常に映像を表示し続けるデジタルサイネージ、あるいは特定の監視タスクを実行する専用機といった用途において、電気代を気にすることなく運用できるという大きなメリットをもたらします。付属のACアダプタも12V/2Aの24W仕様と、非常に省電力な設計になっています。

完全無音を実現するファンレス設計

MeLE Quieter3Qは、その名の通り冷却ファンを一切搭載していません 。CPUの冷却は、熱伝導率の高い金属製の筐体と、天板に設けられた細かいスリットからの自然放熱(パッシブ冷却)のみで行われます 。これにより、動作音は完全にゼロとなり、書斎での集中作業や寝室でのメディア鑑賞など、静粛性が求められる環境で最高のパフォーマンスを発揮します 。

ファンレス設計のもう一つの利点は、ホコリやチリを内部に吸い込まないことです。そのため、故障のリスクが低減され、面倒な内部の清掃も必要ありません。この特徴から、パン屋さんのように小麦粉が舞う環境や、埃っぽい工場など、一般的なPCが苦手とする場所での運用にも適していると評価されています 。

ただし、この設計には注意点もあります。動画のエンコードやゲームのように高い負荷が長時間続くと、CPUの過熱を防ぐために性能を自動的に調整する「サーマルスロットリング」という機能が働きます 。また、その際には本体天板が手で触れると驚くほど熱くなることがあるため、火傷や周囲の物への影響を考慮し、通気性の良い場所への設置が推奨されます 。

MeLE Quieter3Qのアップグレードガイド:ストレージ増設で可能性を広げる

MeLE Quieter3Q本体内部とM.2ストレージ

MeLE Quieter3Qは、そのコンパクトな筐体に大きな可能性を秘めています。特にストレージは柔軟な増設に対応しており、ユーザーの用途に合わせて容量と速度を大幅に向上させることが可能です。ここでは、M.2 SSDとmicroSDカードを使ったストレージの増設方法と、購入前に知っておくべきメモリの仕様について詳しく解説します。

メモリに関する重要な注意点

MeLE Quieter3Qのメモリは、マザーボードに直接はんだ付けされたオンボードタイプ(LPDDR4)です 。そのため、一般的なデスクトップPCやノートPCのように、購入後にメモリを交換したり、スロットに追加して増設したりすることはできません。製品ラインナップには8GBモデルと16GBモデルが存在するため 、自身の用途を考慮し、購入の段階で必要なメモリ容量を備えたモデルを選択することが不可欠です。

M.2 SSDによる高速ストレージの追加

MeLE Quieter3Qの大きな魅力の一つが、内部にM.2 2280規格の拡張スロットを備えている点です 。このスロットは高速なNVMe SSDに対応しており、最大で5TBまでの大容量ストレージを増設することができます 。接続はPCIe 3.0 x2レーンで行われます 。ここにOSをインストールすれば、標準搭載のeMMCストレージよりも格段に高速な起動やアプリケーションの読み込み速度を体感できるでしょう。ただし、電源容量の制約から、増設するNVMe SSDは消費電力が3W以下の製品を選ぶことがメーカーによって推奨されています。

microSDカードによる手軽な容量拡張

より手軽にストレージ容量を増やしたい場合には、本体に搭載されているmicroSDカードスロットの利用が便利です 。このスロットは最大2TBまでのmicroSDカードに対応しており 、写真や動画、音楽、書類といった各種データの保存先として手軽に活用できます。高速なM.2 SSDをシステムドライブとし、データ保存用に大容量のmicroSDカードを組み合わせることで、コストを抑えつつバランスの取れたストレージ環境を構築できます。

MeLE Quieter3Qの接続性:USBポートの詳細と注意点

MeLE Quieter3Q 本体 横向き。接続ポートが見える。

MeLE Quieter3Qは、そのコンパクトなサイズにもかかわらず、デスクトップPCのように快適な接続環境を提供するための豊富なUSBポートを備えています 。キーボードやマウス、外付けストレージ、その他の周辺機器をハブなしで十分に接続できるのが大きな魅力です。ここでは、各USBポートの仕様、性能、そして最も注意すべき点について詳しく解説します。

豊富なUSB Type-Aポートの配置と性能

本体には合計4つのUSB Type-Aポートが搭載されており、右側面に3つ、背面に1つという便利な配置になっています 。公式の仕様では、これら4つのポートはすべて「USB 3.0 (Gen1)」、別名「USB 3.2 Gen 1」であり、最大5Gbpsのデータ転送速度に対応しています 。これにより、外付けSSDやUSBメモリからの高速なデータ転送が可能です。

興味深いことに、右側面にあるポートのうち2つは、公称スペックを上回る「USB 3.1 (Gen 2)」、つまり最大10Gbpsの性能を発揮したとの報告があります 。残りのポート(右側面の1つと背面の1つ)は公称通りの5Gbpsだったとのことです 。より高速な外付けSSDなどの性能を最大限に引き出したい場合は、右側面のポートから試してみると良いでしょう。

最重要注意点:電源専用のUSB Type-Cポート

MeLE Quieter3Qの背面には、USB Type-C形状のポートが1つ搭載されています 。しかし、このポートの取り扱いには最大限の注意が必要です。このポートはデータ転送や映像出力用ではなく、本体への電源供給専用ポートです 。

さらに重要な点として、このポートはUSB PD (Power Delivery) 規格と互換性がありません 。そのため、付属している専用の12V ACアダプタ以外は絶対に使用しないでください 。スマートフォンの充電器や他のノートPC用のUSB PDアダプタなどを誤って接続すると、PC本体だけでなく、接続した機器側も故障する重大な原因となる可能性があります 。本体上面の注意シールにもこの警告が記載されているため、必ず専用アダプタを使用するよう徹底してください 。

MeLE Quieter3QのBIOS:その機能とアクセス方法

MeLE Quieter3Qには、システムの基本的なハードウェア制御を司るAmerican Megatrends製のUEFI BIOSが搭載されています。このBIOSは、日常的な使用から特定の業務用途まで、幅広いニーズに対応するための便利な機能を備えています。ここでは、提供された資料を基に、その仕様や機能について詳しく解説します。

BIOSの基本情報とアクセス方法

あるレビュー記事で確認された本機のBIOSバージョンは「ML_JPL1V1.0」で、その日付は2022年3月15日でした 。このBIOS設定画面にアクセスするには、PCの電源を投入した直後に「F7」キーを押します。これによりブートメニューが表示され、そこからBIOS設定画面へ進むことができます 。

サポートされている主な機能

MeLE Quieter3QBIOSは、特に無人運用やリモート管理において役立つ多彩な機能をサポートしています。これには、ネットワーク経由でPCを起動させる「Wake on LAN (WoL)」や「PXE」が含まれます 。また、停電復旧後などに電源が供給されると自動的にPCを起動させる「Auto Power on」や、指定した時刻にPCを起動する「RTC Wake up」といった機能も利用可能です 。

MeLE Quieter3Qのメリット・デメリット

MeLE Quieter3Qは、手のひらサイズのコンパクトな筐体に静音性と十分な性能を詰め込んだユニークなミニPCです。多くの利点を持つ一方で、その特殊な設計ゆえの注意点も存在します。ここでは、実際のユーザーレビューや製品仕様に基づき、そのメリットとデメリットを詳しく解説します。

【メリット】

メリット1:完全無音の静音性

冷却ファンを搭載しないファンレス設計のため、動作音は完全にゼロです 。書斎や寝室での使用はもちろん、オーディオ鑑賞やホームシアターPC(HTPC)として、コンテンツに集中したい場面で最高の環境を提供します 。

メリット2:究極の省スペース設計

本体サイズは131mm x 81mm x 18.5mm、重量は約203gと、まさに手のひらサイズです 。設置場所を選ばず、付属のVESAマウントを使えばモニターの背面に取り付けることも可能で、デスクスペースを最大限に活用できます 。

メリット3:優れた省電力性能

アイドル時の消費電力は数ワット、高い負荷がかかった状態でも12W程度と、非常に電力効率が良いのが特徴です 。24時間稼働させるホームサーバーや常時表示のサイネージなど、電気代を気にせず運用したい用途に最適です 。

メリット4:豊富な接続ポート

この小さな筐体に、USB3.0ポートを4つ、4K@60Hz対応のHDMIポートを2つ、ギガビット有線LAN、Wi-Fi 6、microSDカードスロットと、豊富なポート類を搭載しています 。ハブを使わずに多くの周辺機器を接続できます。

メリット5:メンテナンスフリー

ファンレス構造は、内部にホコリを吸い込む心配がないことも意味します。これにより故障リスクが低減されるだけでなく、面倒な内部清掃も不要になります。実際に、小麦粉が舞うパン屋のような環境でも高く評価されています 。

メリット6:Windows 11 Proを標準搭載

OSにはWindows 11 Proがプリインストールされており、個人利用だけでなく、リモートデスクトップサーバーや暗号化機能「BitLocker」など、ビジネスシーンで役立つ機能がすぐに利用できます 。

メリット7:優れたストレージ拡張性

標準搭載のeMMCストレージに加え、内部にM.2 2280スロットを備えており、ユーザー自身で高速なNVMe SSDを最大5TBまで増設することが可能です 。これにより、システム全体の応答性を大幅に向上させることができます。

【デメリット】

デメリット1:高負荷時の本体発熱

ファンレス設計の代償として、CPUに高い負荷が長時間かかると、本体天板がかなり熱くなります 。あるレビューでは、触り続けると火傷の危険性があるとまで指摘されており、小さなお子様がいる環境などでは設置場所に注意が必要です。

デメリット2:限定的な3Dゲーム性能

CPU内蔵のグラフィックスは、動画再生支援は得意ですが、3Dゲーム性能は非常に限定的です 。軽量なゲームでさえ設定を大幅に下げる必要があり、本格的な3Dゲームのプレイはほぼ不可能です。

デメリット3:特殊なUSB Type-C電源ポート

背面のUSB Type-C形状のポートは電源供給専用ですが、一般的なUSB PD規格と互換性がありません 。付属の専用12Vアダプタ以外を接続すると、PC本体や接続機器が故障する可能性があるため、取り扱いには最大限の注意が必要です。

デメリット4:購入後にメモリの増設は不可

メモリはマザーボードに直接はんだ付けされているオンボードタイプのため、購入後に交換や増設を行うことはできません 。購入時に自身の用途に合ったメモリ容量(8GBまたは16GB)のモデルを選ぶ必要があります。

デメリット5:高負荷時の性能低下(スロットリング)

高い負荷が続いて本体温度が上昇すると、CPUが自身を保護するために自動的に動作クロックを下げる「サーマルスロットリング」が発生します 。これにより、長時間にわたる重い処理では性能が低下する場合があります。

MeLE Quieter3Qのスペック(仕様)一覧

  • モデル: Quieter 3Q (81E)
  • プロセッサ: Celeron N5105 クアッドコア (10nmプロセス / 64bit / 4コア / 4スレッド / 最大2.90GHz)
  • GPU: インテル® UHD グラフィックス
  • RAM(メモリ): 8GB または 16GB LPDDR4
  • ストレージ: eMMC 128GB / 256GB / 512GB
  • 拡張ストレージ:M.2 2280 NVMe SSDスロット(最大5TBまでサポート)、microSDカードスロット(最大2TBまでサポート)
  • 電源: ACアダプター 12V / 2A
  • ワイヤレス通信: Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1
  • インターフェース: USB3.0 ×4、HDMI ×2、microSDカードスロット、ギガビットLAN端子(RJ-45)、3.5mmオーディオジャック、ケンジントンスロット、DCポート
  • 冷却ファン: なし・ファンレス設計
  • VESAマウント: 対応(付属)
  • OS: Windows 11 Pro
  • サイズ: 13.1 × 8.1 × 1.83 cm
  • 重量: 0.2kg (200g)
  • 発売日: 2022年前半

MeLE Quieter3Q 評価レビュー

MeLE Quieter3Qは、特定のニーズを持つユーザーにとって非常に魅力的な選択肢となる、個性的でコストパフォーマンスに優れたミニPCです。各項目を評価し、その実力を分析します。

項目別評価

スペック:★★★★☆
このサイズと価格でCeleron N5105と8GB以上のメモリ、Windows 11 Proを搭載し、日常作業や動画再生には十分以上の性能を発揮します。

デザイン:★★★★☆
手のひらサイズで非常にコンパクトな金属製の筐体は、実用的で設置場所を選びません。付属のVESAマウントも高く評価できます。

通信:★★★★★
Wi-Fi 6、ギガビット有線LAN、Bluetoothと、最新の通信規格に完全対応しており、このサイズのPCとしては満点の接続性です。

機能(拡張性):★★★☆☆
4つのUSBポートやデュアルHDMI、M.2 SSDスロットなど拡張性は高いですが、メモリが増設できず、電源ポートが特殊仕様な点は大きなマイナスです。

冷却性能: ★★★☆☆
完全無音のファンレス冷却を実現している点は素晴らしいですが、その代わりに高負荷時には本体が非常に熱くなり、性能低下も見られます。

使いやすさ:★★★☆☆
OSがプリインストールされ設定は簡単ですが、本体の発熱や、誤って機器を故障させる危険性のある特殊な電源ポートは、常に注意が必要です。

価格:★★★★★
豊富な機能と十分な性能、Windows 11 Proまで付属することを考えれば、コストパフォーマンスは非常に高く、大きな魅力となっています。

総合評価:★★★★☆

総評:特定のニーズに完璧に応える「静かな実力者」

MeLE Quieter3Qは、「万人向けのPC」ではありません。むしろ、静音性、省スペース、省電力という特定の価値を最優先するユーザーのために作られた、極めて的を絞った製品です。その特性を理解すれば、これ以上ないほどの満足感を得られるでしょう。

主な強み

本製品の最大の魅力は、ファンレス設計による完全な静粛性と、どこにでも置けるコンパクトさ、そして高いコストパフォーマンスにあります。書斎や寝室での利用、常時稼働のホームサーバー、HTPC(ホームシアターPC)といった用途では、その静音性が絶大な効果を発揮します。さらに、4つのUSBポートやデュアル4K HDMI出力、Wi-Fi 6対応など、その小さな筐体からは想像もつかないほどの豊富な接続性を備えており、多くの周辺機器をスマートに接続できる点も大きな強みです。

注意すべき弱点

一方で、このPCを選ぶ上で必ず理解しておくべき弱点も存在します。最も注意すべきなのは、高負荷時に本体天板が手で触れなくなるほど熱くなること、そして電源供給用のUSB Type-Cポートが独自規格であり、一般的なUSB PD充電器を接続すると故障の原因となる点です。また、メモリが後から増設・交換できないため、購入時に将来の用途まで見越したモデル選択が求められます。3Dゲーム性能もほぼ期待できないため、エンターテイメントは動画鑑賞が中心となります。

MeLE Quieter3Qは、こんな人に最適

このPCは、そのユニークな特徴から、以下のような方に特におすすめできます。まず、リビングのテレビに接続し、映画や動画配信サービスを楽しむための静かなメディアセンターを探している方。また、オーディオや集中したい作業のために、一切の動作音がないPC環境を求める方。さらに、低消費電力を活かして24時間稼働させるファイルサーバーや、特定のタスクを実行する専用機として使いたい方にも最適です。実際に、天体写真撮影の制御用PCや、ホコリの多い場所での監視PCなど、ニッチな分野で高く評価されています。

まとめ

結論として、MeLE Quieter3Qは、そのメリットとデメリットが非常にはっきりした製品です。もし、PCに絶対的な静かさと小ささを求め、そのために多少の不便さや性能の限界を受け入れられるのであれば、本製品は最高の相棒となるでしょう。しかし、もしあなたがゲーム性能や簡単なアップグレード、汎用的な使いやすさを重視するならば、他の選択肢を検討すべきです。これは、その価値を正しく理解したユーザーに、最高の体験を約束する「静かな実力者」なのです。

[amazon]

MeLE Quieter3Qの価格・購入先

MeLE公式サイト

8GBメモリ搭載モデル

N5105 8G 256GB:$259.99、N5105 8G 128GB:$249.99、N5105 8G 512GB:$289.99

<16GBメモリ搭載モデル>

N5105 16G 256GB:$299.99、N5105 16G 512GB:$319.99で販売されています。

MeLE公式サイトで「MeLE Quieter3Q」をチェックする

ECサイト

  • Amazonで28,999円(税込)、
  • AliExpressで24,790円 (8GB/256GB)、
  • 米国 Amazon.comで$169.99、

で販売されています。

Amazonで「MeLE Quieter3Q」をチェックする

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